ハルヒ「じゃあ誰の脇汗が一番おいしいか勝負よ!!」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/05/30(水) 23:14:09.18 ID:NYZf/Drw0


キョン「なぜそうなる」

佐々木「やれやれ、相変わらず君の団長さんとやらは面白い思考回路をお持ちだね」

 うだるような夏の暑さに都内の人間がアツイアツイと無駄な呪文を詠唱している8月半ばの
 俺達高校生にとっては夏休みの終わりの足音をだんだんと感じさせうる如何ともしがたい時期に
 世間で言うところの美少女、しかも二人組に挟まれてただでさえ顔中を汗塗れにして今年の残暑の厳しさを
 呪っていた俺が更に冷や汗という類の汗まで垂れ流しながらファーストフードの一角で
 周囲の客の好奇と興味と一部嫉妬の視線に晒されながら目の前のシェイクがこうしている間にも
 独特の食感を失いながらただの甘ったるい液体と化し続けている現状に嘆息しようと肺に息を溜めている
 その瞬間にも当の現況二人の少女は、一人は睨みつけるように片や半ば余裕とも言える微笑を浮かべて
 見つめ合って、いや睨みあっているこの現状をどう表すべきか俺には分からない。こんな感じでお願いします。


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/05/30(水) 23:36:21.58 ID:NYZf/Drw0


ハルヒ「あんたが言ったんじゃないの!」

佐々木「ボクが?」

ハルヒ「そうよ!」

キョン(そんな流れあったっけ・・・?)

───

佐々木「涼宮さんは汗っかきなのかい?」

ハルヒ「な゙っ!?」

佐々木「いや、脇の所に汗が染みているからさ」

ハルヒ「っ!」

キョン「……」

ハルヒ「あ、あんたも染みてるじゃない!」

佐々木「えぇっ!?」

ハルヒ「ふんっ」

佐々木「……ま、まあ、ボクのは無臭だし……」

ハルヒ「なっ、あたしが臭いって言うの!?」バン!

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/05/30(水) 23:36:39.24 ID:NYZf/Drw0


キョン「お、おい……周りが見てんだろ、静かに……」

佐々木「ま、少なくともボクのは君よりも良い臭いであると思うね」

ハルヒ「いーえっ!あたしのほうが臭いだって味だって何だって上だわ!」

佐々木「はっ、何馬鹿なことを……」

ハルヒ「ほら、キョンも何か言ってやりなさい!」

キョン「いや、味とか、まず味わったこと無いし……」

ハルヒ「じゃあ誰の脇汗が一番おいしいか勝負よ!」

───

キョン「………」

キョン「はぁ………」

ハルヒ「ま、あたしが負ける訳ないけどねっ」フフン

佐々木「ほう……そこまで言うならその勝負、受けて立とうじゃないか」

キョン「佐々木まで!?」

佐々木「そうと決まったらキョン、場所を変えよう ここは人目に付く」

キョン「何で変なとこ現実的なんだ」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/05/30(水) 23:40:25.45 ID:NYZf/Drw0


──

キョン「という訳で、例のマンションに向かっている訳だが」テクテク

 ジーワジーワジーワ

キョン「暑ぃ……」

ハルヒ「はぁ……汗でベットベト……」

佐々木「………」

キョン「今年の暑さは異常だな……汗が滝みたいに出て来る」

ハルヒ「暑い……」

佐々木「涼宮さん、あまり暑い暑い言われるともっと暑く感じるからやめてくれないかな」

ハルヒ「あー暑い暑いー」

キョン「子供かお前らは」

佐々木「なっ、ボクまで!?」

キョン「ああ、何だか二人とも子供っぽいぞ、ウン」

ハルヒ「コイツはともかく、何であたしまで!」

佐々木「珍しく意見が一致したよ」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/05/30(水) 23:46:57.73 ID:NYZf/Drw0


キョン「いや、だってなぁ……比べちゃうと、どうしても二人とも子供に見える、うむ」

佐々木「比べるって、誰とだい」

キョン「そっか、佐々木はまだ会ったことないかな 今から行くマンションで会う奴だよ ちょっと変わってるけどな、仲良くしてやってくれ」

ハルヒ「うん、まあ、確かに物知りだし何でも出来る子だけど、大人とはまた違うんじゃ?」

キョン「細かいことは気にしない」

───

 ピンポーン

キョン「来たぞー、開けてくれー」

ハルヒ「いきなり訪ねて大丈夫なの?」

キョン「まあ、割と会いに来るし」

ハルヒ「え!?」

佐々木「キョン、この部屋の子とそんなに仲が良いのかい?」

キョン「??」  ガチャッ

朝倉「いらっしゃ〜い、キョン君♪」

ハルヒ「は?」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/05/30(水) 23:57:21.54 ID:NYZf/Drw0


キョン「おう、昨日ぶり」ナデナデ

朝倉「何? また会いたくなっちゃったの?」フフ

キョン「……ダメか?」

朝倉「ふふ……まあいいわ、入って  そちらの御二人さんも♪」

ハルヒ「………おじゃまします」

佐々木「………おじゃまします」

 ガチャ バタン

ハルヒ「って、何この部屋、暑くない?」

佐々木「外と同じ……いや、それ以上に暑い……蒸し風呂みたいじゃないか……」フゥ

朝倉「ごめんなさいね、この部屋、冷房つけてないの」

ハルヒ「何で!?」

朝倉「だってぇ……」

朝倉「キョン君が、そうしろって……」

キョン「………」

ハルヒ「ちょっ、どういうことなのっ!?」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/05/31(木) 00:17:39.72 ID:vi4eHMp/0


キョン「どういうことって……なぁ?」

朝倉「ふふ……♪」

 そう言って朝倉はセーラー服の端をパタパタと手で振った。
 汗でうっすらと透けた白地の下に、水色のブラが一瞬見えた。
 朝倉らしい色だなぁとも一瞬考えたが、後から吹き上がってくる興奮にかき消された。

朝倉「キョン君……」

 朝倉が艶っぽい流し目でこちらを見てくる。
 その頬はうっすら上気しているようでもある。
 濡れそぼって健康的にふっくらとした唇から、舌を微かに覗かせた。
 普段真面目な姿しかクラスでは見せない朝倉の色っぽい仕草は俺が重い腰を上げるに十分だった。

キョン「…………」

 いざ目の前に来ると、何だ、緊張する。
 今更だが。

朝倉「……見る?」

キョン「ああ」

 朝倉は一瞬ためらったが、恥ずかしそうにその腕を上げる。

キョン「……」

 俺は、既に十分にしめっているセーラー服の袖を、さらに肩までまくってやった。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/05/31(木) 00:39:33.05 ID:vi4eHMp/0


キョン「……」ジィィィ

朝倉「……そんなに見ないでよ……」

 朝倉が頬を赤らめながらそう言いつつ、腕は次第に上がって行く。

 そして、朝倉の白い脇が露わになった。

 一日中汗をかいていたからだろう。
 じっとりと濡れ、湯気のようなものまで立ち上っている。

 俺はそこに、

キョン「……」バッ

朝倉「キャッ!?」

 思い切り、鼻を押し付けた。

朝倉「もぉ……」

 朝倉が片手で顔を覆っている。
 俺はそんなこともお構いなしに、思い切り鼻息を吸い込んだ。

 ほのかに甘酸っぱい香りが鼻の奥を刺激する。
 心地良い微かな痛みが頭に走る。
 俺は心の底から陶酔した。
 鼻の頭に、俺の顔中に、ぬるぬるとした液がまとわりついてくる。
 それが心地良かった。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/05/31(木) 00:53:03.19 ID:vi4eHMp/0


ハルヒ「……」

佐々木「……」

 二人は絶句して見つめていた。
 俺にはどうでも良かった。

朝倉「やぁだっ……くすぐったいよぅ、キョン君……」

 甘えた声を出す朝倉。
 くすぐったがりながら、体をクネクネと動かす仕草か愛らしく、いやらしかった。

 俺は完全に理性が飛んでいた。


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/05/31(木) 00:53:22.86 ID:vi4eHMp/0


キョン「朝倉っ……頼むっ……!」

 俺は炊飯器を取り出した。
 そしてフタを開ける。
 もわもわとした湯気が立ち上り、旨そうな白飯が姿を見せた。
 米の一粒一粒が立ち上がり、上手に炊けている。
 俺はそれを茶碗によそる。
 ほかほかのご飯が一膳出来あがった。旨そうだ。

朝倉「もぉ……相変わらずなんだから」

 朝倉はそう言いながらも、茶碗からご飯を手の平に取り、握りこぶしぐらいの塊にすると、
 それを脇に当てた。

朝倉「はいっ、ほっ、ほっ」

 そして腕をパタパタと、脇を開け閉めしながら、ご飯を握り固めていく。

キョン「……」ゴクリ

 ヌルヌルの大量の汗にまみれながら、ご飯が一つの形を成していく。

 おにぎりだ。

 ヌッポヌッポ ヌッパヌッパ

朝倉「はい、お待ちどう様♪」

 そして、出来あがったそれを両手の上に乗せて、俺に差し出してくれた。極上の笑顔と共に。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/05/31(木) 00:53:47.87 ID:vi4eHMp/0


キョン「ありがとう……!」

 俺はそれを無我夢中でもぎとると、むしゃぶりついた。

キョン「うめぇ、うめぇ……!」

 朝倉の汗のしょっぱさと独特の臭いと酸味が口中に広がり、鼻の奥まで伝わって、俺の脳を痺れさせた。
 これが幸せって奴か。 俺は幸福を噛みしめた。

 この後ハルヒと佐々木のも何度も確かめたが、やはり朝倉が一番だった。

 今でもそう。
 職場で食べる弁当のおにぎりは、最高だ。


      完



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