キョン「あのな、俺たちにはプラトニックな感じが似合うんだよ」


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トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:かがみ「こなたトイレ行こー」こなた「うーん!」

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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 20:21:49.78 ID:QC4GUl3Y0

ハルヒ「は?」

キョン「だからな、お前は何だ宇宙人やら超能力者やら未来人やら
    を期待しているみたいだがな、俺たちにそんなの似合わないんだよ」

ハルヒ「えっ……?」

キョン「俺たちに似合うのはプラトニックな恋の雰囲気なんだよ」

ハルヒ「ちょっと待って? 話が見えてこないわ」

キョン「なんだって?」

ハルヒ「え?」

キョン「ん?」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 20:24:10.26 ID:QC4GUl3Y0

ハルヒ「えっと……何言ってんの?」

キョン「……だからな?」

ハルヒ「プラトニックな雰囲気が〜でしょ?」

キョン「なんだよ。分かってるじゃないか」

ハルヒ「それは分かってるのよ」

キョン「じゃあ何が分からないって言うんだ?」

ハルヒ「その……誰と誰がプラトニックな雰囲気が似合うって?」

キョン「いや、どう考えても俺とハルヒだろう」

ハルヒ「え?」

キョン「ん?」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 20:41:33.25 ID:QC4GUl3Y0

キョン「いや、ハルヒって俺のこと好きだろ? だから」

ハルヒ「ちょ、ちょっと待ちなさい!!」

キョン「なんだよ」

ハルヒ「あんたなんで気付いて……じゃなくて! なんで!? え!?」

キョン「……はあ。お前それで隠してるつもりだったのか?」

ハルヒ「あ、ちょ、え!?」

キョン「気付いてないとこんな話する訳ないだろ?」

ハルヒ「……ちょっとだけ待って? 頭が爆発しそうだわ」

キョン「カチューシャで留めてあるから爆発はしないだろうよ」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 20:45:43.06 ID:QC4GUl3Y0

ハルヒ「……ふうー」スゥゥゥハァァァ

キョン「落ち着いたか?」

ハルヒ「な、なんとかね……」

キョン「それでだが」

ハルヒ「ちょっと待って!!」

キョン「こう遮られてばかりだと一向に話が進まんな」

ハルヒ「いいわ! 認める! あたしはあんたのことが好きよ!」

キョン「まあ、言われても今さらって感じなんだがな」

ハルヒ「それで……」

キョン「なんだ? できれば早く話を進めたいんだがな」

ハルヒ「……あ、あんたはどうなのよ」

キョン「ん?」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 20:49:29.35 ID:QC4GUl3Y0

ハルヒ「あ、あたしはあんたの……キョンのこと好きって認めたけど
    あんたは、……どうなのよ?」

ハルヒ「……あたしのこと、どう思ってるのよ」

キョン「ん? 好きだぞ? それでだな」

ハルヒ「ちょっとちょっとちょっと! ストップ!」

キョン「あーなんなんだよもうお前はさっきから」イライラ

ハルヒ「あんたにとっては使い古された情報でもあたしにとってはトップニュースなのよ!」

キョン「……ったく」

キョン「で、なんだ?」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 20:55:34.00 ID:QC4GUl3Y0

ハルヒ「いい? キョンはずっと前から気付いてたみたいだけど
    あたしはこれでも自分の気持ちをひた隠しにしてきたつもりなの」

キョン「ああ」

ハルヒ「あんたと付き合ったらどんな感じなんだろうとか
    実は2人で不思議探索したかったりとか、街でバッタリ会ったらどうしようとか
    いろいろと妄想もしたわ!」

キョン「声を張り上げて言うことじゃないと思うがな」

ハルヒ「そんな積もり積もった思いをバタバタしながらだけど、やっと打ち明けたのよ?」

キョン「ああ、そうだな」

ハルヒ「なのに『好きだぞ? それでだな』はちょっとひどすぎない?
    というかひどいわよ!! バカキョン!! なに当然のように流そうとしてるの!?」

キョン「……あー、つまりあれか。ちゃんと言えと。そういうことか?」

ハルヒ「そ、そうよ!!」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 21:01:04.76 ID:QC4GUl3Y0

キョン「ハルヒ、実はな、結構前から俺はお前のことが好きだったんだ」

キョン「やっと本題に入れるな。それで、俺が言いたいこt……ハルヒ?」

ハルヒ「……///」カチンコチン

キョン「やっぱり固まっちまったか。これだからちゃんと言わない方がよかったんだ」

ハルヒ「……」

キョン「おい」ツン

ハルヒ「……」フニッ

キョン「……はぁ」

ハルヒ「……っは!!」

キョン「お、気付いたか」

ハルヒ「キャ、キャン!!」

キョン「一回落ち着け」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 21:07:41.19 ID:QC4GUl3Y0

キョン「落ち着いたか。ようやく本題だな」

ハルヒ「な、何?」

キョン「いくらプラトニックな恋が似合うと言ってもだな」 ハルヒ「うん」
キョン「正直現実じゃ難しいと思うんだよ」        ハルヒ「そうね」
キョン「健全な男女が身体の関係無しでお付き合い?
    ノー、ありえない」               ハルヒ「うーん」

キョン「そこでだ。提案なんだが、そういう設定の映画を撮ればいいと思うんだが、どうだろうか」

ハルヒ「映画? あたしとキョンが主役ってこと?」

キョン「そうだ。いくら現実でプラトニックな関係が難しいと言っても
    映画の中で、しかもそういう設定なら容易にできるんじゃないかと思ってだな」

キョン「ということで、監督は既に古泉に任せてある」

ハルヒ「えっ!? あたしじゃないの!? というか本気でやるつもり?」

キョン「もちろんだ」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 21:16:45.71 ID:QC4GUl3Y0


キョン「ちなみに長門と朝比奈さんにも協力をお願いしてある」

ハルヒ「ずいぶん準備がいいのね……」

キョン「ということで後はハルヒだけなんだ。どうだ? やってみないか?」

ハルヒ「別にいいんだけど……なんで普段やる気のないあんたがそこまで情熱的になれるの?」

キョン「そんなのお前とプラトニックな恋がどうしてもしたいからに決まっているだろうが!」

ハルヒ「キョ、キョン……///」ジュワッ

古泉「そろそろ入ってもいいですかね」

みくる「いいんじゃないですか〜?」イライラ

長門「落ち着いて」


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 21:22:22.53 ID:QC4GUl3Y0

キョン「ということで、まずは今回の映画のスタッフの紹介だ」

キョン「まずはなんか色々と指揮をとってくれたりする人! 古泉!」

古泉「どうも」

キョン「そして脚本はおそらく数多の恋愛経験を積んできたであろうある人にお願いしました」

未来みくる「へっくちっ!」ブシュンッ

キョン「そしてカメラマン! 長門!」

長門「努力する」

キョン「そして朝比奈さん!」

みくる「え!? わたしの役はないんですか?」

キョン「以上だ!」

ハルヒ「わかったわ」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 21:27:02.94 ID:QC4GUl3Y0

キョン「とは言っても最初何からすればいいのか全然わからないな」

古泉「あの、脚本を見せてもらえませんか? やはり内容は把握しておかなければ」

キョン「そうだな。実は俺もまだ見てないんだ」

ハルヒ「そうなの?」

キョン「ああ。プラトニックな感じでお願いしますとは言っておいたんだが……
    よし! まずは皆で脚本を読むことから始めるか!」

キョン「ということで、はい、これ脚本だ」

みくる「わあ! 楽しみです!」

ハルヒ「ど、どんな内容なのかしら……」ドキドキ

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 21:32:38.91 ID:QC4GUl3Y0

キョン「なんというか……」

ハルヒ「ええ」

古泉「こんなに『禁則事項』というセリフがでてくる映画は初めてですね……」

ハルヒ「ええ」

キョン「却下! 却下だ!!」

みくる「ええ!? やめちゃうんですか? わたしはすっごくいいと思ったけどな……」

キョン「こんなのじゃ何も伝わらん! 古泉! お前が書いてくれないか!?」

古泉「ぼ、僕ですか?」

キョン「ああ、顔がいいお前ならなんとかなるだろう」

古泉「……一応、努力はしてみます」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 21:37:02.49 ID:QC4GUl3Y0

古泉「できました!」

キョン「どれ、読んでみよう」

ハルヒ「ふんふん……」

長門「……」

みくる「……あの、セリフが多すぎませんか?」

キョン「ああ、少し説明口調すぎるな……。しかもアイラービューとかエクセレントとか
    なんなんだこの無駄な横文字は」

古泉「僕は100点だと思うのですが……」

キョン「却下! 却下だ!! こうなったら長門だ! 頼む!」

長門「……わかった」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 21:43:11.95 ID:QC4GUl3Y0

キョン「今度はセリフが少なすぎるな……」

長門「……申し訳ない」

キョン「いや、いいんだ。長門も古泉もすまないな」

古泉「いえいえ。お気になさらず。……あの、提案なのですが」

キョン「ん?」

古泉「あなたが書いてはどうでしょうか?」

キョン「俺が?」

古泉「ええ。そもそもこの映画はあなたの一種の「夢」を映像化するものでしょう?
   だからこそ脚本も手がけるべきではないかと思うのですが」

ハルヒ「あたしもそうするべきだと思うわ。ちょっと書いてみたいって欲もあるけど
    今回はあんたに任せてみようと思ってるから」

キョン「そうか。なるほどな……わかった。少しこっ恥ずかしいが、俺が書いてみる」

みくる「がんばってくださいね!」

キョン「ありがとうございます」

長門「期待している」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 21:46:40.60 ID:QC4GUl3Y0

キョン「よし、完成だ。……どうだ?」

みくる「す、すごくいいです!」

長門「これでいい」

古泉「ええ、素晴らしいですよ」

キョン「そうか、一安心だ。どうだ? ハルヒ」

ハルヒ「え、ええ! なんとかやってみるわ!」

キョン「よし、それじゃあ早速撮影に入るか!」

古泉「そうですね」

キョン「脚本に時間をとって景色も夕焼けでなんか丁度いい感じになったしな!」

ハルヒ「そうね!」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 22:01:08.06 ID:QC4GUl3Y0

古泉「その前に、映画を撮影するにあたって一つ質問があるのですが」

キョン「なんだ?」

古泉「これは僕個人の考えなのですが、やはり重要なのは雰囲気だと思うんです。
   ですから、二人が演じやすいように物語の流れにそって撮影していきたいと思っているのです。
   いかがでしょうか?」

ハルヒ「最初にクライマックスシーンを撮影しちゃったりとかはしないってこと?」

古泉「ええ、そういうことです。その時々の感情で撮影に臨めた方がやりやすいでしょう?」

ハルヒ「そうね。いくらなんでもいきなりクライマックスの感情で演じろって言われても
    100%の力は出せないわ。特にキョンはね」

キョン「俺ははなから古泉に任せるつもりだ」

古泉「それはありがたいですね。えーっと……つまり、最初から物語のクライマックス
   までを順々に撮影していきたいと思います」

ハルヒ「わかったわ!」

34 名前:ごめん1レスだけ勝手に一人で楽しませて[] 投稿日:2011/01/05(水) 22:20:37.87 ID:QC4GUl3Y0

※ここで番外編
鶴屋「実はキョンくんとハルにゃんが映画撮影をすると小耳に挟んで
   こっそり脚本を盗み見ちゃったのさ!」

朝倉「どうだったの?」

鶴屋「ものすごく熱々だったにょろ! これは期待しちゃうね!」

朝倉「もっと詳しく教えてくれない? 熱々なのはいいことだけど……」

鶴屋「読んだ感じじゃ二人が付き合うまでのお話って感じだったよ」

朝倉「そうなの? プラトニックな恋なんて言うから、てっきり付き合ってるとこから
   初めるんだと思ってたのに」

鶴屋「どうやらキョンくんの望みらしいっさ! なんというかこう、付き合う前のドキドキ感を体験したいらしいよ!
   お熱いね! とってもお熱いにょろ!」

朝倉「聞いてるこっちまで恥ずかしくなってきちゃった」

鶴屋「わたしもこんな体験がしてみたいね! どう? 2人で撮影覗きに行かない?」

朝倉「それ賛成!」

鶴屋「それじゃあレッツゴー! にょろ!」

本編へ

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 22:30:14.84 ID:QC4GUl3Y0

古泉「最初のシーンはあなたが屋上で涼んでいるところに凉宮さんがやってくる、というものでしたよね?」

キョン「ああ、そうだ」

古泉「それではさっそく移動しましょうか?
   生憎、機材は既に揃いましたし」

キョン「いやに手際がいいな」

ハルヒ「まあ、一度経験したことだからね」

みくる「そうですね、文化祭が懐かしいです」

ハルヒ「またみくるちゃん主役で撮ってみる?」

みくる「い、いえっ! その! ……わたしはどちらかというと見てる方が……」

ハルヒ「あら、そう?」

キョン「ほら、無駄話してると日が暮れちまうから早く行くぞ」

長門「……」トコトコ

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 23:39:48.87 ID:QC4GUl3Y0

古泉「シーン1……アクション!」

キョン「……ふう」

キョン「…………いい風だ」ソヨソヨ

ガチャッ

ハルヒ「あ、こんなとこにいたのね!」

キョン「ハルヒか。どうしたんだ?」

ハルヒ「んー、ちょっとね」

キョン「なんだよ」

ハルヒ「なんでもないわよ」

キョン「……まあ、別にいいか」

ハルヒ「そうよ、別にいいのっ」


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 23:43:21.72 ID:QC4GUl3Y0

ハルヒ「キョン、何してたの?」

キョン「……んー、なんとなく風にあたってただけだ」

ハルヒ「……そっか」

キョン「ああ」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「ねぇ」
キョン「なぁ」

ハルヒ「何?」
キョン「なんだよ」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「……どうした?」

ハルヒ「……あのね」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 23:48:52.39 ID:QC4GUl3Y0

ハルヒ「なんでここに来たと思う?」

キョン「別にいいんじゃなかったのか?」

ハルヒ「いいから当ててみなさいよ」

キョン「……んー」

ハルヒ「……いい風ね……ふぁ〜ぁ……」ソヨソヨ

キョン「俺を探しに来たんだろ?」

ハルヒ「まあ……そうね」

キョン「わかった、雑用か?」

ハルヒ「違うわよ」

キョン「違うのか? じゃあ…………駄目だ、悲しいことに雑用しか思い浮かばん……」

ハルヒ「雑用係がしっかり板についてきていい感じじゃないの」

キョン「バカにするな、バカに」

ハルヒ「ふふっ」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/05(水) 23:54:08.31 ID:QC4GUl3Y0

ハルヒ「確か、明日休みだったわよね」

キョン「ああ、そうだっけ」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「……二人で、どっか出かけるか?」

ハルヒ「…………うんっ」

キョン「よし、決まりだ」

ハルヒ「……ふふっ」

キョン「どうしたんだ?」

ハルヒ「正解っ!」

キョン「……ん?」

ハルヒ「ここに来た理由! ……じゃあ、あたしそろそろ帰るわね」

キョン「え? あ、ああ……」

古泉「カット!」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 00:02:32.92 ID:p23lrbuJ0

古泉「シーン1『約束』 無事終了ですね」

キョン「ふう〜、結構緊張するな」

ハルヒ「そ、そうね……」

みくる「そうなんですか? 全然そんな風には……」

長門「二人ともリラックスしていた」

キョン「いや、内心緊張しまくりだったぞ」

ハルヒ「あたしもよ……セリフ出てこなくって間が空いたりしちゃったわ」

古泉「逆にそれが効果を生み出しているように感じました。というか狙ってやっていると思ってましたよ」

キョン「そんな訳ないだろう。素人だぞ?」

みくる「でも一回で出来ちゃうなんてすごいですよ!」

キョン「あ、ありがとうございます。今のでよかったんでしょうか?
    自分で言っておきながらいざやるとなるとやっぱり難しいですね」

みくる「その調子ですよ!」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 00:13:34.26 ID:p23lrbuJ0

古泉「それでは早速シーン2の撮影を始めますか?」

キョン「そうだな」

ハルヒ「シーン2はどんな感じだったかしら?」

古泉「えーっとですね……」

長門「下校シーン」

古泉「あっ、そうですね」

キョン「それならあまり緊張せずにいけそうだな」

みくる「がんばってください!」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 02:09:48.91 ID:p23lrbuJ0


古泉「シーン2……アクション!」

キョン「……俺もそろそろ帰るか」

ビュゥゥゥ!

キョン「うおっ、寒っ」

ガチャッ

キョン「ふう……さすがにもう誰も校舎に残ってないな」

キョン「とりあえず鞄を取りに教室に戻るか……」



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 02:13:21.66 ID:p23lrbuJ0

キョン「到着、っと」

キョン「ん?」

キョン「……」

キョン「……ハルヒのやつ、人の席に座って何してるんだ?」

キョン「……」

キョン「……ハルヒ」

ハルヒ「あ、キョン」

キョン「お前、帰ったんじゃなかったのか?」

ハルヒ「ちょっと、忘れ物があってね」

キョン「忘れ物?」

ハルヒ「……っそ、忘れ物」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 02:24:14.43 ID:p23lrbuJ0

ハルヒ「……忘れ物というか、言い忘れたことがあって」

キョン「俺にか?」

ハルヒ「そうね」

キョン「なんだ?」

ハルヒ「その、…………一緒に帰らない?」

キョン「お前……それ言うためにずっと待ってたのか?」

ハルヒ「な、何よ。悪い?」

キョン「いや……なんというか、すまんな」

ハルヒ「なんで謝るのよ」

キョン「わからん」

ハルヒ「何よそれ」

キョン「いや……ありがとな」

ハルヒ「……ふふっ、あんたおかしいわよ?」

キョン「ああ、分かってる」クスッ

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 02:29:31.02 ID:p23lrbuJ0


キョン「おいこらっ! ちょっと待て!」

ハルヒ「どっちが先に坂を下りきるか競争よ!」

キョン「この糞寒い中走ったら凍え死んじまう!」

ハルヒ「よーい、ドン!」ダッ

キョン「ちょ、おいっ! ……くそっ!」ダッ


62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 02:37:10.61 ID:p23lrbuJ0

キョン「ハァ、ハァ……死ぬ……」

ハルヒ「遅い! 罰金!」

キョン「お前なぁ……」

ハルヒ「って、言いたいところだけど、今回は許してあげるわ」

キョン「……ふう。疲れた……」

ハルヒ「はい、これ。あったか〜いココア」

キョン「えっ……」

ハルヒ「何よ、その信じられないものを見たような顔は」

キョン「お前が人に気を利かすことができるなんてな……」

ハルヒ「あんた、それ本気で言ってるの?」

キョン「まさか、半分だけだ」

ハルヒ「あんたねぇ!」

キョン「すまんすまん。とりあえず、どっかに座るか。休憩したい」

ハルヒ「ん、……そうね」


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 02:45:50.33 ID:p23lrbuJ0

古泉「……」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「……おいっ、古泉!」ボソッ

古泉「……っは!」

古泉「シ、シーン2『羞恥心』、カット!!」

ハルヒ「……ふう、いい汗かいたわ」

キョン「なんだかボケッとしてたぞ? カットも忘れていたようだが、大丈夫か?」

古泉「すいません、僕としたことが……監督という立場を忘れて見学者になってしまいました」

みくる「すごいです……なんか世界に入り込んじゃいました!」

古泉「ええ、まさにそうですね」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 02:56:00.05 ID:p23lrbuJ0

古泉「いや、本当に……恐れ入りました」

キョン「というか本当に坂を駆け下りる必要はあったのか?
    あの部分だけは演技抜きで死にかけたぞ」

古泉「言ったでしょう? 雰囲気を大切にしたいと」

キョン「そういえばそうだったな……」

ハルヒ「そうよ! あの方がリアルだわ! さすが古泉くんね!」

古泉「なんだか、照れますね」

キョン「100歩譲って俺はいいとして、長門は大丈夫だったのか?
    カメラを持ってあの坂を全速力の俺についてくるのはさすがにしんどかったろう?」

長門「大丈夫。あなたが心配する必要はない」

キョン「それならよかったんだが……。しかし古泉、念のため
    長門や朝比奈さんの負担も考えておいてくれ」

古泉「もちろんです。坂のシーンも事前に長門さんから了解を得ていたので」

キョン「そうか」

みくる「わたしは感想係ですけどね」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 03:13:59.86 ID:p23lrbuJ0

古泉「続いてシーン3『疑問』ですね」

キョン「さっきの坂の続きで座りながらしゃべるシーンだな」

古泉「そうです。事実上、下校シーンはこのシーン3で終わりですね。
   とくに涼宮さんの家まで送るような描写は必要ないでしょう」

ハルヒ「会話だけで終わらせるの?」

古泉「そうですね、あえて並んで歩く描写を省いた方が仲睦まじいお二人を想像し易いかと考えたので」

キョン「俺の脚本ではしっかり描写されてるが、古泉の言うとおり省いた方がいいかもな」

みくる「この会話の後二人はどんな雰囲気で帰ったんだろう……とかですか? すごくロマンチックです」

古泉「なんだかこの作品を作り上げるのが楽しくなってきましたよ」

みくる「わたしもすっごく楽しみです!」

長門「どこかで上映する予定は?」

キョン「……あ」

ハルヒ「……」

古泉「か、完成すればそれでいいんですよ! 達成感が大事ですよ! 達成感が!」

みくる「そ、そうですよ!」

長門「ごめんなさい」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 03:25:52.32 ID:p23lrbuJ0

古泉「そ、それでは気を取り直してシーン3……アクション!」

ハルヒ「……ここでいい?」

キョン「ベンチとかじゃなくていいのか? ただの石の階段だぞ?」

ハルヒ「大丈夫よ、ちょっとだけお尻が冷たいけど」

キョン「俺の上着を下にひくか」

ハルヒ「いいわよ、大丈夫。これくらい我慢できるわ」

キョン「遠慮するな。お前らしくない」

ハルヒ「何よそれ」

キョン「お前は好きなように暴れてればいいんだ」

ハルヒ「いっつも文句言うくせに」

キョン「俺が突然文句を言わずに全てお前の言うことをはいはい聞きいれたらどうだ? なんか気持ち悪いだろ
    それが俺にとっての『遠慮がちなハルヒ』だ」

ハルヒ「うっ……確かに。よくわかったわ」

キョン「よろしい」ファサッ

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 03:41:24.41 ID:p23lrbuJ0

ハルヒ「よいしょ!」ストン

キョン「ふうー……久々に走ったから足が重い」

ハルヒ「情けないわね」

キョン「ほっといてくれ。俺は運動が得意じゃないんだ」

ハルヒ「知ってるわよ。……っと、ちょっと寒いわね、やっぱり」ブルッ

キョン「……ココアはあったかいぞ」

ハルヒ「……そうね」

キョン「もう上着もないしな……」

ハルヒ「さすがにあたしもそこまで我が儘じゃないわよ」

ハルヒ「お尻は冷たくないし、十分よ!」

キョン「そうかい。そりゃ、安心だな」

ハルヒ「…………ありがとね」

キョン「…………いいさ、別に」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 03:50:12.93 ID:p23lrbuJ0

キョン「もう暗くなってきたな……」

ハルヒ「そうね」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「……なあ、ハルヒ」

ハルヒ「ん? どうしたの?」

キョン「お前…………いや、やめとくよ」

ハルヒ「何よ、気になるじゃない」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 04:01:27.43 ID:p23lrbuJ0

キョン「いいんだ。なんでもない」

ハルヒ「本当に?」

キョン「ああ」

ハルヒ「……っそ」

ハルヒ「……じゃあ、あたしが聞きたいこと聞いていいかしら?」

キョン「ん、何だ?」

ハルヒ「あんたさ……気になる人とかって……いるの?」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「なんで黙るのよ」

キョン「いや、質問が被ったもんで、少し驚いた」

ハルヒ「被った? あ、さっきの……?」

キョン「……ああ」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 21:36:17.63 ID:p23lrbuJ0

キョン「気になる人……か」

ハルヒ「ええ」

キョン「ハルヒはどうなんだ?」

ハルヒ「あたし? あたしは…………いる」

キョン「いるのか?」

ハルヒ「うん。いる」

キョン「そうか……」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「……聞かないの?」

キョン「ん?」

ハルヒ「……気になる人」

キョン「……ああ」

キョン「今は……いい、んだと思う。多分」

ハルヒ「……っそ」


110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 21:46:04.48 ID:p23lrbuJ0

ハルヒ「で? あんたはどうなのよ」

キョン「俺か」

ハルヒ「逃げようったってそうはいかないわよ。
    あたしが答えたんだから当然あんたも答えなさいよね」

キョン「わかったよ」

ハルヒ「いるの? ……いないの?」

キョン「いる……」

ハルヒ「……」

キョン「……」

キョン「……なんで黙るんだよ」

ハルヒ「我慢してんのよ」

キョン「何を?」

ハルヒ「問い詰めるの。フェアじゃないもの」

キョン「……そうかい」クスッ

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 21:52:02.73 ID:p23lrbuJ0

ハルヒ「……はぁーっ」スタッ

キョン「なんだ? 急に大きなため息ついて」

ハルヒ「んーっ……はぁ……ううん」ニコッ

キョン「なんだよ」

ハルヒ「……ちょっと、がんばってみようって思って」

キョン「……何を?」

ハルヒ「……それを聞くな、バカキョン」

キョン「む?」

ハルヒ「さって、と! そろそろ帰るわよ! キョン!」

キョン「あー、そうだな。もう随分暗くなっちまった」

ハルヒ「はいこれ、上着」ファサッ

キョン「ああ、すまんな」


113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 22:06:45.12 ID:p23lrbuJ0

キョン「さて、と」

ハルヒ「キョン! あたしを家まで送りなさい!」

キョン「そのつもりだったが……なんかこう、お前の方から言われると力が抜けるな」

ハルヒ「好きに暴れろって言ったのはキョンじゃないの」

キョン「確かにそうだが……ええいもうめんどくさい」

キョン「行くぞ、ハルヒ」

ハルヒ「ふっふん、それでこそキョンよ!」ニカッ

キョン「なんだそりゃ」

ハルヒ「それじゃ、行きましょ!」

キョン「……ああ。行くか」

古泉「……カット!」


114 名前:>>113 なんか「さてと」が2回続きで違和感があるな[] 投稿日:2011/01/06(木) 22:14:45.65 ID:p23lrbuJ0

キョン「ふう」

古泉「お疲れ様です」

みくる「今回のシーンもすっごくよかったですよ!
    わたしの頭じゃなんだかうまく言い表せませんけど……」

長門「微妙な距離感」

みくる「そ、そう! それです!」

古泉「確かに。石の階段に座っている時と、立ちあがって歩き始めるまでのお二人は
   なんといいますか、どこか雰囲気が違いました」

キョン「なんにせよ、雰囲気があるのならよかったよ」

ハルヒ「そうね。あたし達には分からないわ」

古泉「ふむ……」

キョン「とりあえず、段々慣れてきた感じはある」

長門「いいこと」

キョン「ああ、そうだな」

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 22:24:28.46 ID:p23lrbuJ0

古泉「それでは、次のシーンですが……」

みくる「下校シーンはここで終わりなんですよね?」

古泉「ええ、そうですね。お二人が並んで歩くシーンは省かせていただいたので……
   次は、ここから次の日に飛びます」

キョン「屋上での約束か?」

ハルヒ「そうね」

キョン「ハルヒとデートか……」

みくる「普通ではなさそうですね」

ハルヒ「ちょっと、どういう意味よそれ」

みくる「ひぃ!」

長門「『おもしろい』という意味」

みくる「そ、そそ、そうです!」

ハルヒ「なんだ、それならバッチリ期待に応えてあげるわ!」

キョン「おいおい……脚本を無視するのはやめてくれよ」

ハルヒ「まっかせなさい!」

キョン「……どうだかな」

120 名前:ごめんまた1レスだけ勝手に一人で楽しませて[] 投稿日:2011/01/06(木) 22:39:30.24 ID:p23lrbuJ0

※番外編
鶴屋「あの省かれた二人が並んで歩くシーン、見てみたかったにょろ」

朝倉「きっとキョンくんのポケットに涼宮さんが手を入れたりして」

鶴屋「うんうん」

朝倉「キョンくんがさりげなく道路側にきたりして」

鶴屋「うんうん」

朝倉「涼宮さんは涼宮さんでずーっと笑顔で楽しそうで……」

鶴屋「はぁ……」

朝倉「はぁ……」

朝倉「覗くの、やめる?」

鶴屋「……忍耐力をつけるいい機会っさ」

朝倉「もはや修行ね」

鶴屋「まだまだ引き続きレッツゴー……にょろ……」

朝倉「うん、レッツゴー……」


121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 22:46:29.68 ID:p23lrbuJ0

古泉「それでは、今日のところはここで一旦解散ということで」

キョン「なんでだ?」

古泉「もう夜なので……。さすがに『次の日』という始まり方で外が真っ暗だったら違和感があるでしょう」

ハルヒ「別の設定時刻が夜のシーンとかを纏めて撮らない方針だったわよね」

古泉「ええ、あくまで順々に、です」

キョン「そうだったな。ということで、解散か」

古泉「ええ」

ハルヒ「明日は9時に駅前集合ね!」

キョン「それでいいのか? 古泉」

古泉「構いませんよ。映画の流れ的にも問題はありません」

長門「了解した」

みくる「わかりました!」

ハルヒ「んじゃ、またね!」

キョン「ああ」

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/06(木) 22:53:34.46 ID:p23lrbuJ0

古泉「と、いうことで、皆さんおはようございます」

みくる「お、おはようございます!」

長門「おはよう」

キョン「いい天気だな」

ハルヒ「やっとね! 楽しみで昨日の夜は眠れなかったわよ!」

古泉「それはそれは。では、今日の撮影1回目へと早速とりかかりますか?」

ハルヒ「そうね、時間がもったいないわ!」

長門「現実の時刻と映画の時刻に差異が発生するのは避けるべき」

キョン「そうだな。また明日に持ち越しになっちまう可能性もある」

みくる「がんばってくださいね!」

キョン「ありがとうございます」

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 02:19:23.47 ID:IXVy70Wo0

古泉「その前に……大事なことを忘れていました」

キョン「ん? 何だ?」

古泉「このシーン4『反則』の部分の脚本の特殊性についてなんですが……」

キョン「ああ、それか」

ハルヒ「あたしも気になってたのよね。今までとは違って、大まかな流れだけでセリフが一切書かれてないじゃない」

みくる「アドリブってことですか?」

キョン「そういうことになりますね」

古泉「何故、そのように?」

キョン「デートに関しては、より真実性がある方がいいと思ってな。
    自然な姿が一番映えると思ったんだよ」

長門「あなたと涼宮ハルヒならできる」

みくる「そ、そうですね! これまでも物凄く良い演技をしてきたんですから!」

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 02:20:52.60 ID:IXVy70Wo0


ハルヒ「あたしは大丈夫だけど……キョンが心配ね」

キョン「あまり安心しすぎるのはやめてくれ。
    どんな変化球を投げるのか自分でも想像がつかん。
    突発的にとんでもないことを口にしてしまう可能性もないとは言い切れない」

ハルヒ「大丈夫よ! このあたしがキョンに言いくるめられるなんてことはありえないもの!」

キョン「随分自信があるみたいだな。まあ、それくらいの方が俺も安心だ。
    もちろん俺もお前からの変化球を受ける準備はできている」

ハルヒ「まっかせなさい!」

キョン「じゃあ、そろそろ始めるか」

古泉「ええ、そうですね」

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 02:21:56.03 ID:IXVy70Wo0


古泉「それではシーン4『反則』……アクション!」

キョン「……すまんハルヒ、待ったか?」

ハルヒ「遅い! 死刑!」

キョン「いきなり死刑か……厳しいな」

ハルヒ「こんな日に遅刻するのは死刑に値するわ!」

キョン「悪かった。妹がだだをこねてな。お詫びに昼飯を奢らせてもらう」

ハルヒ「当然よ! それじゃ、早速行きましょ!」

キョン「ああ」


140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 02:23:04.00 ID:IXVy70Wo0


キョン「……それにしても」

ハルヒ「何よ」

キョン「こんないつもの喫茶店でよかったのか? 一応おいしい店を念入りに調べて来たんだが」

ハルヒ「いつも通りでいいのよ。背伸びしても、疲れるでしょ?」

キョン「そういうもんか……」

ハルヒ「そうよ。いい?」

キョン「ん?」

ハルヒ「あたし達二人が、それをデートだと考えるのなら、それはどこであろうと何をしようとデートなのよ」

キョン「……なるほどな」


142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 02:24:28.17 ID:IXVy70Wo0


ハルヒ「水族館とか、遊園地とか、動物園とか、宇宙とか、異次元とか、過去とか未来とか……
    そういう場所は、SOS団として行った方が面白いのよ」

キョン「とんでもない場所が混ざってるぞ」

ハルヒ「あたしはね」

キョン「ん?」

ハルヒ「……キョンと、普通の時間を過ごしてみたかったのよ」

キョン「……ハルヒ」

ハルヒ「何言わせるのよ」

キョン「いや、嬉しかったさ。それに気分も楽になった」

ハルヒ「……っそ。それはよかったわ」


143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 02:25:38.68 ID:IXVy70Wo0


ハルヒ「気を張ってたの?」

キョン「もちろんだ。初めてのデートで気を張らない男なんて、
    それこそ宇宙人や未来人、はたまた超能力者並に存在しないだろうよ」

ハルヒ「ということは、今気を張っていないあんたは宇宙人ね!」

キョン「なぜそうなる」

ハルヒ「冗談よ、冗談。言ってみたかっただけ」

キョン「……ハルヒ」

ハルヒ「ん?」

キョン「……ありがとな」

ハルヒ「……」

キョン「何赤くなってんだ。らしくない」

ハルヒ「う、うっさい! あんたが変なこと言うからよ!」

キョン「お礼を言っただけだ」

ハルヒ「うぐっ……ま、まあいいわ」

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 02:26:24.31 ID:IXVy70Wo0


キョン「それとだな」

ハルヒ「まだなんかあんの?」

キョン「俺もたまには、お前みたいに好き勝手なことを言ってみようと思う」

ハルヒ「な、何よ?」

キョン「……服、似合ってるぞ。正直それは反則だ、ハルヒ」

ハルヒ「あぅ……が、バカキョン!///」

キョン「トマトみたいになってるぞ?」

ハルヒ「からかうな!」

キョン「ははは……」

古泉「……い、一旦カット! カットォ!!」


145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 02:28:08.26 ID:IXVy70Wo0

と、こんな風にデレてもいいんじゃないかと思うのです。
ということで書き溜めの方も一旦カットです。
今ならなんか物凄く書けそうな気がする!行ってきます。

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 02:42:17.34 ID:IXVy70Wo0


古泉「……」

みくる「……」

長門「……」

ハルヒ「……///」

キョン「……うおおおおお!!」ジタバタ

みくる「キョ、キョンくん! 落ち着いてください!」


149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/07(金) 02:44:04.15 ID:IXVy70Wo0


キョン「な、何を言ってんだ俺は? どうかしちまったのか?」

長門「珍しい一面が見れてよかった」

古泉「物凄い変化球でしたね……投げた彼自身も予想していない曲がり方だったのでしょう」

みくる「涼宮さんが完全に受け切れてませんでした……」

ハルヒ「はぁ……はぁ……ちょっと時間ちょうだい……」

キョン「ぐおおおおお!!」

古泉「やはり一旦カットしておいて正解でしたよ」

長門「好判断」

みくる「なんか本物の監督さんみたいです!」

古泉「恐縮です。それにしても、お二人とも完全に素でしたね……」

長門「シーン4はアドリブ。結果としては、自然な姿の方が映えると言う彼の狙い通り」

みくる「な、なんか……キョンくんのセリフにわたしまでドキドキしちゃいました……」



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