キョン「げえっ!関羽!」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/24(土) 22:31:28.04 ID:rCrEU8Ki0

古泉「さてと将軍様、どういたしましょう?」

古泉が少し困ったように肩をすくめた。

長門「ここは校舎の外に出て鶴翼陣形で戦うべき。」

長門がそう言ってるんだ。そうしよう。

みくる「ふぇ〜!? 外に出るんですかぁ?」


・・・さて、どうしてこうなってしまったのかというと、自体は半日ほど遡る。


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 22:34:58.39 ID:rCrEU8Ki0

俺が目を覚ましたとき、そこは保健室のベッドの上だった。

古泉「目が覚めましたか」

さわやかに微笑みながら俺を見下ろす古泉。
なんなんだ。俺は自室のベッドに寝ていたはずだ。

古泉「んっふ。一から説明するほど時間がありません」

長門と朝比奈さんまで・・・
俺を含め、全員が制服を着ている。

古泉「詳しい話は後に。今はすぐにここを脱出しなければなりません」

おい古泉手を引っ張るんじゃ・・・


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 22:37:09.78 ID:rCrEU8Ki0

みくる「ひゃあああああっ!?」

朝比奈さんが窓の外を見て叫んだ。反射的に目を向けると、そこには5人ほどの人影。
それも、手に手に槍や剣を構えているようだ。

古泉「くっ 思ったより早く気づかれましたね」

長門「ここは私に任せて。あなたたちは彼を最優先に守るべき。」

しかし、と古泉が言いかけると、「大丈夫、雑兵だから」と長門が遮った。

古泉は小さく頷き、

古泉「急いで!逃げましょう! とりあえず部室へ!」

と叫んで、俺の手をとり保健室を飛び出した。


・・・また妙な事件に巻き込まれてしまったようだ。

どーせハルヒなんだろ?
やれやれ すぐにそう理解できる自分が悲しいね。


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 22:40:09.34 ID:rCrEU8Ki0



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/24(土) 22:43:10.53 ID:rCrEU8Ki0

背後から窓ガラスの割れる音が聞こえたが、構わず走った。
というか、古泉が俺の手を握り走るので、俺に選択の余地は無いわけだ。

朝比奈さんも息を切らしついてくる。

裁縫同好会、百人一首部、奇術部、、、
部室が遠く感じられる。


校舎全体は薄暗く、空は灰色に曇っている。
いつぞやの閉鎖空間を思い出す。あぁ忌々しい記憶


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/24(土) 22:45:12.48 ID:rCrEU8Ki0

古泉「逃げ切りましたね・・・」

部室だ。

遠く、叫び声のような、うめき声のようなものが聞こえ、俺は思わず身震いする。

みくる「校庭に・・・どんどん集まってるみたいですぅ・・・」

古泉がドアに鍵をかける。
おい、さっきのあいつらはなんなんだ・・・?またハルヒの閉鎖空間か?
他に考えつく原因も無いがな

古泉「えぇ、その通りです。しかし、ここは閉鎖空間とは少し異なります」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 22:52:24.90 ID:rCrEU8Ki0

・・・詳しく話してもらおうか

古泉「閉鎖空間と、夢の世界との中間のようなものでしょうか。 神人は存在せず、現実世界との行き来も比較的簡単です。」

それでお前たちがここにいるわけだ。

古泉「昨晩・・・といってもつい先ほどですが、機関から連絡があったんです。長門有紀と朝比奈みくるをつれてこい、とね

   それから・・・」

珍しく、少し困ったような表情を浮かべる古泉。なんだ?

古泉「神人は存在しないのですが、武将が存在するんです。」


ぶ、ぶじょう?戦国だとか、三国だとかのあれか?

古泉「武将というか・・・、偉人達というか・・・。」

古泉「とにかく、僕達は狙われているんです」


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 22:58:10.33 ID:rCrEU8Ki0

俺はまだ寝起きということもあり、頭の回転がすこぶる遅い。

腕を組んで頭を整理していると、長門が部室に入ってきた。
こいつにカギは通用しないのか?

古泉「よくぞご無事で」

長門「・・・問題ない  古泉一樹から話は聞いたの」

ああ、一応な。 だが全く理解できないぜ。

長門「この空間で鍵を握るのは涼宮ハルヒ      それと、あなた」

また俺か。
いつも思うんだが、やっぱり俺は異世界人か何かなのか?
どうしてこう俺ばっかりなんだ。




14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/24(土) 23:01:08.14 ID:rCrEU8Ki0

・・・で、だ。 そのハルヒはどこにいるんだ?

長門「校庭東側に陣営を張っている。」

陣営・・・。 それで、この空間からどうやって抜け出せる

古泉「涼宮さんは今、まさに戦乱の世の夢を見ている、というのが我々の推測です。

   そして、我らが将軍は  あなたなんですよ」

戦乱の世か。なんだってそんな・・・って なにぃ!? 俺が将軍だと!


長門「あなたか涼宮ハルヒ どちらかが死ぬか、停戦協定を結ぶか」

長門「それまで戦いは終わらない」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 23:07:12.95 ID:rCrEU8Ki0

またわけのわからん事をしでかしやがったなあ あいつは。
原因は?俺には覚えがないぞ。

朝比奈「あのぉ、昨日の放課後・・・」

(回想)

部室にて

ハルヒ「あーぁ 世界史の授業ってちっとも面白くないわ!」

ハルヒ「三国志とか、物語にすると面白いのに。教科書がいけないのよね!」

ハルヒ「教科書はもっと痛快で愉快じゃなきゃだめなのよ!ねえキョン!?」

キョン「・・・・・・・・・あぁ・・・zZZ」

ハルヒ「大体、時間系列がずれるのも問題ね!全員いっぺんに戦争したり革命起こしたりするべきなのよ!ねえ古泉くん?」

古泉「えぇ全くもってその通りです」

キョン「・・・・・・・・・・・・zZZ」

(回想)

朝比奈「と、いうことが・・・」


どう考えても原因はお前だな、古泉。 

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/24(土) 23:22:06.75 ID:rCrEU8Ki0

古泉「んっふ。その可能性は否めませんね」

爽やかに肯定しやがった。 お前反省する気もないのか?

古泉「つまり涼宮さんは、痛快で愉快な世界史をリアルにつくり上げてしまったのではないか、と。
    三国無双というゲームをご存知ですか?」

あぁ。あのばったばった切り倒すやつだな。いいストレス解消だぜ。

古泉「涼宮さんも以前そう仰ってましたよ。この世界は、ゲームの世界観と酷似しています。舞台は学校ですがね」

抜け出すにはどちらかが死ぬ、か。 もちろん現実世界には影響ないよ・・・な?

長門「わからない。通常の閉鎖空間とは違う。現実世界での影響は保障できない」

なんと。

つまり停戦協定を結ぶしかないのか・・・  

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/24(土) 23:31:17.15 ID:rCrEU8Ki0

仕方あるまい。世界を救うため、ゲームに乗ってやろう。
それで古泉、軍勢はどんな感じなんだ

古泉「はい。機関も軍勢を動因しています。100人程度でしょうが・・・。」

長門「涼宮ハルヒの軍勢はおよそ3000。名の知れた猛将、達人も含んでいる。」

古泉「古代戦争において、一番重要なのは軍勢ですからね」

・・・勝ち目があるとは思えんな

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 23:32:52.56 ID:rCrEU8Ki0

長門「ないことはない」

うん?どうしてだ

古泉「今言ったように、この世界はゲームの世界と酷似しています。ある特定の武将を除いた雑兵が、恐ろしく弱いのです。」

長門「武将達が涼宮ハルヒの特別なイメージをかけているのに対し、雑兵たちは無意識のうちに造られているから。」

古泉「各武将と、我々現実世界人の戦闘能力は雑兵の何十倍もあると思われます。

   つまり、敵武将にさえ気をつければ、勝てない闘いではありません それでも、やはり人数の差が・・・」

ううむ・・・ いくら長門がいても、そればっかりはな・・・

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 23:35:11.24 ID:rCrEU8Ki0

と、いうことで。停戦協定を結ぶしかないだろうな。古泉、我が軍勢を校庭西側に集めろ。
そこから、俺達だけでハルヒの軍幕に行くんだ
事が上手く進めばいいが・・・。

みくる「ふぇ?あたしもですかぁ〜?」

長門「チッ・・・」

−10分後−

新川「御機嫌よう。将軍。」
森「こんにちは」

おお、これはこれは。なんと力強い仲間。
一緒に戦ってくれるんですね?


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/24(土) 23:40:12.64 ID:rCrEU8Ki0

機関から駆けつけた軍勢の中にはいつぞやの田丸兄弟の姿も見えた。

校庭を挟んで、東側にハルヒ軍、西側に俺達、という構図になっている。

うむ・・・しかしいざ対峙すると、むこうはすごい軍勢だな・・・
正面から合戦したとして、勝ち目のある戦争ではない。
そのくらい、俺にだってわかるさ。

両軍の間はかなり広い。こんなに校庭広かったか?
とにかく、ちょうど合戦できるような広さでもある。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 23:40:52.94 ID:rCrEU8Ki0

俺、朝比奈さん、古泉、長門

という部隊でハルヒ軍中へと行くことにしよう。
まさかハルヒも朝比奈さんが居て、しかもこの人数だったらいきなり襲うことはあるまい。

びくつく朝比奈さんをなだめながら校庭を進むと、ハルヒ軍から一人騎馬兵が駆けてきた。

?「なんだ?敗北宣言か?」

随分と威厳のある顔である。彼も名の知れた武将なのであろう。

いや、協定を結びに来た。ハルヒ将軍との会見を願い出たい。

騎馬兵は ついてこい、とだけ言って馬を進めだした。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 23:44:52.93 ID:rCrEU8Ki0

古泉が耳打ちしてくる

古泉「驚きましたね。彼、恐らく馬超ですよ」

なんだと。名前聞いたことあるぞ。
馬超がわざわざこんな使いをするほどか・・・。
ていうかよくわかるなお前。

馬超「涼宮将軍〜 敵方将軍が会見の申し出です」

しばらくののち、通行の許可が下りた。
刺すような視線の中、いくつも張られたテントの脇を進む。


そして、一番大きなテントの中に入った。


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/24(土) 23:49:43.44 ID:rCrEU8Ki0

ハルヒ「遅かったじゃない! 何?降伏しにきたの?」
何人もの取り巻きの中、椅子にふんぞり返るハルヒ。

いや、降伏ではない。 無駄な流血は避けて、五分同士で引き下がろうじゃないか

ハルヒ「はぁ?アンタなに言ってんの?そんなことできるわけないじゃない!」

うむ。この軍勢の差である。当たり前といえば当たり前だが
じゃあどうしろと・・・

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 23:50:23.71 ID:rCrEU8Ki0

ハルヒ「そおねえ。まずあんた、あんたは一生奴隷ね。それからジャンヌちゃんにも私のペットになってもらうわ。それから・・・」

ジャンヌ、のところで朝比奈さんを指さした。
なんとも頼りないジャンヌダルクである。

しかし・・・。 意味不明な協定だが、とにかく、ここで手打ちとなれば明日の朝には自室のベッドだ。
どんな条件だろうと手を打t

長門「断る。そんな条件は呑めない。 戦争は上等」


あのぉ、長門さん?なんでですか?
古泉の顔が凍りつくのが視界の端に映る。多分、俺も同じような表情をしているのだろうが。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 23:51:04.33 ID:rCrEU8Ki0

ハルヒ「そうこなくっちゃ 流石は趙雲ね! じゃ、1時間後に攻め入るから、覚悟しときなさい!」

長門は趙雲か。
随分小柄な趙雲である。

しかし、ジャンヌダルクに趙雲とはな。本当にすべてがごちゃ混ぜになっているようだ。

ハルヒ「ふん。諸葛亮がいるからって、ハルヒ最強軍には勝てないわよ!」
なんと古泉が諸葛亮だと申すか。

取り巻きの視線が刺すように怖くなり、うちの長門(趙雲)も今にも飛び掛りそうなので、陣営に帰ることにする。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 23:53:18.17 ID:rCrEU8Ki0

ところで古泉。俺は世界史をなめていた。世界史というのはつまり近代史も含むわけで、さっき俺ヒトラーと目があったぞ。
古泉「えぇ。凍てつくような視線でしたね。恐らく彼が参謀なのでしょう」

長門「しかし全員近代武器は所持していなかった。恐らく絵柄的な問題」

なんということだ・・・歴代の天才達に猛将か・・・ どうするんだ、古泉、もとい。諸葛亮。

古泉「困ったものですね・・・。とりあえず、平地での合戦で勝ち目はありません。
         敵の騎馬隊を防ぐためにも、校舎に陣を張るのが適策でしょう。」

うむ。そうだな。全員、校舎に引き上げだ。
というか、ハルヒはハルヒのまんまか。あいつらしい。

俺は誰なんだ? ま、どーでもいいがな。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 23:54:28.60 ID:rCrEU8Ki0

俺達は陣営に帰ると兵士たちにその旨を伝え、全員部活棟に引き上げた。

1階に長門部隊、2階に荒川さん、森さん部隊、
そして3階、部室を最高司令部とし、俺と古泉、朝比奈さんの総本部部隊を設置した。

ジャンヌダルクといえば勇猛果敢に敵陣に攻め入るのが現実だったのだろうが、今回は期待できそうも無い。

古泉「とにかく、これで様子を見ましょう。 長門さんの部隊は45人、
   それから、敵の騎馬部隊が上階に進入できない用、階段に机と椅子でバリケードを設置してあります。」

それは長門部隊の撤退が難しい事を示していたが、いざとなれば長門がなんとかするだろう。
いきなり死ぬとは思えんからな。

とにかく。今は少しでも敵数を減らすのが先だ。

もうすぐ ハルヒ達が攻めてくる。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/24(土) 23:55:34.35 ID:rCrEU8Ki0

※ キャラ名はあくまでそのまま行きます。分かりにくくなるかもしれませんが・・・

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 23:56:22.92 ID:rCrEU8Ki0

俺と古泉、総本部部隊は屋上に集合している。
古泉たち超能力者のエネルギ−弾がある程度使えることが分かったため、屋上から弓のように放つのだ。


部室では朝比奈さんが震えている。

なに、問題ありませんって。ゲームだとでも思って、さっさと済ませましょう。
そう言って、俺は部室を後にした。

とはいえ、俺だって脚が震える。長門の言葉が引っかかる。

長門「わからない。通常の閉鎖空間とは違う。現実世界での影響は保障できない」

俺だってこんなことで死にたくないさ。世界が破滅するのもごめんだね。


ジャーンジャーン
遠くでドラの音が聞こえ、ドドドドドドという地響きがする。

俺は小刻みに震えるため息をつく。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 23:57:46.50 ID:rCrEU8Ki0

徐々に、ハルヒ軍の前線が近づいてくる。騎馬隊だけで100騎はいるだろうか。
装備は、甲冑、兜とまさに時代映画のクオリティ。
長い槍先に恐怖心を煽られる。

そういえば、俺達も長門に情報操作してもらい、全員ハルヒ軍と同じような装備をしている。
長門印の鎧だ、強度は相当のもんらしい。

古泉「敵を殲滅するためには、ギリギリまで引き寄せること・・・」

古泉が俺の横でつぶやいている。見て分かるぜ。お前も怖いんだな。


ドドドドド・・・ 前線はどんどん近づいてくる。そろそろ、一人一人の顔が確認できる・・・


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/24(土) 23:58:30.04 ID:rCrEU8Ki0

古泉「今です!!!」

古泉が叫んだ。 もうすぐそこまで騎馬が迫っている。

一斉に弾が放たれた。50程の赤い弾が軌跡を残しながら飛んでいく。

ハルヒ騎馬隊は初めて見る光景に驚いたようだった。
弾が当たる前に、驚いて転倒する者もいた。

そして俺達が驚いたのは、エネルギー弾が当たった騎馬兵たちが、思い切りふっとんだことだ。
短い悲鳴をあげながら、馬から吹っ飛んでいく騎馬兵達。

後続の歩兵たちも思わずひるみ、突進がとまる。

古泉、これはいけるかもしれん。



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:03:26.12 ID:rCrEU8Ki0

3階に下りると、階段のところに朝比奈さんが立っていた。

みくる「あの、ちょっと気になることが・・・。 部室に来てください。」

俺と古泉が部室に入ると、朝比奈さんは窓の向こう、ハルヒ陣営を指さした。

なっ!?

思わず声をあげる。
なんなんだ?一体 どういうことなんだ?

古泉「これは色々と問題がありすぎますね・・・」

朝比奈さんが指さす向こう側、ハルヒ陣営には、先ほどとは比べ物にならない数の軍勢がいた。
もう、人が多すぎてグラウンドの土が見えないほどに、埋めつくされている。

古泉「万の単位ですね・・・」

とにかく、ハルヒの軍勢は増加していた。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:01:28.13 ID:Vf+VgO/Y0

古泉「さぁどんどん打つんです!」

古泉の掛け声で、さらに弾を打ち続ける超能力者たち。
閉鎖空間での10分の1程しかパワーが出ないそうだが、そうは見えない。


しかし、なんせ兵力の差が歴然すぎる。どんどん校内にハルヒ軍たちが進入してくる。



古泉「とりあえず、僕達だけでも1階の様子を見に行きましょう。」

そうだな・・・ 接近戦での能力差が気になるからな


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:04:06.23 ID:Vf+VgO/Y0

古泉「今は校内の敵兵をなんとかしなければ。1階へ!」


2階では新川さんと森さんの部隊が待機していた。まだ踏み込まれていないようだ。

新川「2階からでは校庭がよく見えません。敵軍はどのような状況ですか?」

それが・・・増加してます。もう。1万人を超しているかと。

2階全体の空気が変わった。絶望とも、なんともいえない重さがのしかかる。
静かだ。 全員が沈黙している。

うん? 1階では戦闘が行われているはずだ。静かなわけが無い。
おかしい。

古泉が階段に向かって走り出した。俺も後を続く。


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:05:48.24 ID:Vf+VgO/Y0

階段に積まれている机をくぐり抜け、一階の廊下に出た。

思わず目を見開いてしまった。

長門が馬超と一騎打ちをしていたからだ。

他のハルヒ軍兵士は見当たらない。
廊下の真ん中に長門と馬超、それを挟むように俺達の兵士が闘いを見つめている。


とんでもない速さで二人の剣が動いていた。


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:07:47.30 ID:Vf+VgO/Y0


剣と剣がぶつかる音が廊下に響く。

馬超が長門に切りかかった。長門はそれを後ろに避けるが、馬超はすぐに体制を整えて構えに戻る。

次は長門、次は馬超・・・

幾度となく同じ攻防が繰り広げられる。


勝負は一瞬で決まった。切りかかった馬超の喉元に、長門が剣を突き刺したのだ。

膝から地面に落ちた馬超は、いきなりふっと消えた。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:11:03.79 ID:Vf+VgO/Y0


古泉「無事でしたか!」

長門「一階の部隊全員が無事。敵兵全員の消滅が確認済み。死亡と同時に、肉体そのものが消滅した。」

なんと、あれほどの敵勢を45人で撃退だと?
長門、どう戦ったんだ

長門「敵軍は主に剣と槍で攻撃してきた。
   もっとも利く攻撃はエネルギー弾、もしくはエネルギーを武器に纏わせること。」

古泉「なるほど・・・。10分の1とはいえ、生身の人間には相当きついのかもしれません。」

長門「敵兵の一人が言うには、まだまだ沢山の部隊が送りこまれる。油断は禁物。私は定位置に戻る」

あぁ。しかし、それほどまでに超能力が効くとはな。お前ら、MPみたいなのはあるのか?

古泉「その用に表現し難いのですが、あることにはあります。精液みたいなm」

もういい。黙ってろ。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:12:20.02 ID:Vf+VgO/Y0

次に攻めてきたのは、どこか西洋風の鎧を纏った兵士達であった。

総本部部隊は最初と同じように屋上から弾を撃っていたのだが、一騎だけ弾にひるまず突進してくる兵がいた。



その姿は緑の髪の・・・  って鶴屋さん!?
なんだってハルヒ軍に!?

鶴屋さんは「あっはっはっはー」と笑いながら校舎に侵入していった。

思わず階段を駆け下りる。

長門「わからない。通常の閉鎖空間とは違う。現実世界での影響は保障できない」

もし討ち取ってしまったら現実世界の鶴屋さんはどうなるのか?考えるだけでも恐ろしい。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:13:21.86 ID:Vf+VgO/Y0


一階ではまだ雑兵軍団と長門軍団の闘いが続いていた。

そして、その一角で長門と鶴屋さんの一騎打ちが行われていた。

鶴屋さん「あっはっは! カルタゴ名将、このハンニバルさんと互角とは、さっすがだね趙雲にゃん!」

ハンニバルさんは爆笑しながら剣を振っている。そのとき、

長門「わんわんわんわんわん!」

と犬の様に吠えた。一瞬全員が静かになり、

鶴屋さん「あっはっはっはっは!」 と腹をかかえて爆笑しだした。

すかさず長門がタックルし、鶴屋さんに馬乗りになる。そして剣を喉元に・・・

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:14:06.06 ID:Vf+VgO/Y0

おいやめろ長門!



長門の動きがとまる。



いいな、武将は一人として殺すな
全員コンピ研にでも監禁するんだ。

長門はしばらく俺をみつめていたが、小さく頷いた。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:14:46.42 ID:Vf+VgO/Y0

古泉「さて、鶴屋さん、すこしおとなしくしといてくださいね」

コンピ研部室である。
パソコンが乗っていた長机をとっぱらい、後ろ手で縛られた鶴屋さんが椅子に座っている。

鶴屋さん「はいはい。 いやぁキミたちも毎度たいへんだねっ!」

この人これがどんな状況なのか気づいているのか?

鶴屋さん「ま、楽しかったしいいさっ! 」

・・・いかん、この状況は俺のS心がくすぐられてしまう
このままいるといけない遊びをしてしまいそうなので、立ち去ることにしよう。

新川さんに見張りを頼み、俺達は一階へ戻った。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:16:56.43 ID:Vf+VgO/Y0

古泉「しかし、まさか現実世界の人が出てくるとは・・・」

困ったな。これじゃ無暗に殺せない。
ところで、さっきの馬超ももしかして、「いつぞやテレビで観た中国人」とかだったら・・・

長門「彼は違った。完全にフィクションの人物。現実には存在しない。」

それならいいんだが。とにかく武将だけは殺すなよ、長門。

そうこうしてるうちに、新しいハルヒ部隊が攻めてきた。


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:17:38.00 ID:Vf+VgO/Y0

しかし部隊は思わぬ形でやってきた。

先頭の馬に乗っていたのは老人で、馬を下りるなり、

?「我々は脱走兵です。どうか将軍の配下に。」

と言った。そして後ろにいた兵士達が一斉に剣や槍を地面に落とした。

?「私の名前はモーセ。ハルヒ将軍の横暴には耐えられません。」

なるほど、出ハルヒってやつか?しかし古泉、この状況をどう思う?

古泉「とにかく軍勢を増やすことは大切です。受け入れるべきかと」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:33:10.16 ID:Vf+VgO/Y0

モーセの率いる隊はおよそ200人といったところで、馬もいる。確かに大きな助けになる。

そうだな。モーセ、この隊の指揮は引き続きお前にまかせる。



古泉「とはいえ、この軍勢で謀反をされては困ります。いったんモーセ隊を校舎の外に配備しておいて、出方を見るべきです。」

古泉が耳打ちしてくる。
確かに。そうすると俺達の支配領域も広がるしな。

こうして、俺達は部活棟と、校庭のほんの一部を支配することとなった。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:46:13.48 ID:Vf+VgO/Y0

その後俺と古泉は総本部に戻ったが、しばらくハルヒ達が攻めてくることは無かった。

しかし俺達の軍下に逃げ込む脱走兵は後を絶たず、既に軍勢は500人近くになっていた。


現実社会人の兵、つまりは機関の人間をのぞいた脱走兵隊はすべて校庭に配備している。
そのため俺達の支配領域は確実に広がりつつある。


古泉「やれやれ、こうも攻めてこないと退屈ですね。」

将棋板の向こうで古泉がため息をついた。

しかしこのまま戦争が終わらないのもまずいな。

古泉「確かに・・・ しかし空腹を感じることはないので、兵糧攻めに合う心配はありませs」



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:54:16.25 ID:Vf+VgO/Y0

古泉が言い終わるまえに、谷口が部室に飛び込んできた。

あ、言い忘れていたが、脱走兵の中には谷口もいたのだ。
あまりにもキャラが薄いので忘れていたが。

谷口「な、なんだっていいがな・・・ とんでもねぇ量の敵がきてるぞ・・・!」

なんだと?
窓際に駆け寄ると、確かにとんでもない量の敵軍が進行してきていた。

古泉「なんと珍しい・・・詰みです」

将棋板の上では俺の兵が飛車と金に囲まれ詰まれていた。

・・・縁起がわるい。



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 00:59:23.08 ID:Vf+VgO/Y0

古泉「ちょっとトイレへ行って来ます」

最高に空気の読めない野郎だ。
総本部では幹部緊急会議が開かれていた。

というのも、敵軍勢が攻めてきたのではなく、こんな文書を渡してきたからだ。

「あと1時間後に総攻撃するわ。 この文書を渡した軍勢の何倍もいるわよ!
 まともに戦ったって勝てっこないんだから、さっさと降伏しなさい!」

というものだ。
脱走兵の増え続けるハルヒが痺れを切らし、さっさと戦争を終わらせたがっているのだろう。

いや、そもそも事の発端はお前だろうが。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 01:03:49.32 ID:Vf+VgO/Y0

森「私は、外へ出て陣形を張り、待ち構えるべきだと思います」

みくる「わ、わたしは反対ですっ!」

古泉「確かに、リスクが大きすぎますね・・・」

新川「降伏して涼宮ハルヒの出方を見るべきでしょうか・・・」

古泉「いえ、涼宮さんは普通に処刑しかねません。だったら戦うほうが・・・」

・・・全員の意見が一致しない。




古泉「さてと将軍様、どういたしましょう?」

古泉が少し困ったように肩をすくめた。

長門「ここは校舎の外に出て鶴翼陣形で戦うべき。」

長門がそう言ってるんだ。そうしよう。

みくる「ふぇ〜!? 外に出るんですかぁ?」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 01:14:33.92 ID:Vf+VgO/Y0

とにかく、全面戦争になることに決まった。

総力戦ともなれば、いくら篭城しても兵差のある俺達に勝ち目はないので、いち早くハルヒを捕まえなければいけない。


俺達は校庭に鶴翼陣形を張った。
鶴翼陣形とは、簡単に言えば兵をV時型に並べ、敵軍がその間に入ってきたときに翼を閉じ、敵を殲滅する。というものである。

ハルヒの様な突撃バカにはもってこいな陣形である。



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 01:22:18.10 ID:Vf+VgO/Y0

V字の左側には俺、森さん、長門がいて、右側には古泉、朝比奈さん、新川さんがいる。
朝比奈さんを戦場に立たせることは不安だが、

みくる「大丈夫です・・・。私だって力になりたいんです!」

と言われれば断ることなんてできやしないさ。
ところで鶴屋さんはといえば、ハルヒ軍勢に返してあげた。見張りをおく人材さえ俺達には不足しているからな。





ジャーンジャーン!

敵陣からドラが響く。



森「いよいよですね・・・」

隣で森さんがつぶやいた。

長門が目をキラキラさせている気がするが、俺はそんなこと気にかけるほど余裕ではない。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 01:27:31.20 ID:Vf+VgO/Y0

地面が揺れる。ハルヒ軍が一斉に駆け出したのだ。

軍勢はどんどん近づいてくる。
俺達の何倍あるだろうか?

まっすぐにこちらに向かってくる姿に、俺は思わず身震いする。

長門「とにかく、涼宮ハルヒを討ち取る。それだけ。」

長門が呟き、森さんが頷く。


どんどん近づいてくる。
向かいで古泉が手をかざした。


それを合図に、いくつものエネルギー弾がハルヒ軍に飛んでいく。



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 01:32:23.39 ID:Vf+VgO/Y0

ほんの先端の騎馬兵の勢いが折れたが、すぐに後ろから他の騎馬が飛び出してくる。

そして先陣がどんどんV字の中心に吸い込まれていく。


・・・おかしい。流石にこんなに策に掛かるもんか?

とにかくすごい量の歩兵が流れていく。俺達には一切手を出さずに、だ。

どうもおかしいぞ、と思ったとき、森さんがはっと声を上げた。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 01:38:47.45 ID:Vf+VgO/Y0

森「陣形を二分するつもりなんだ・・・! そうすれば私達の軍形がみだれますから・・・!」


なるほど これだけの勢いで突進しているのも、翼に挟まれないようにするためか!

いまの状況で挟みこんだとしても、敵陣後方にいるハルヒを挟みこめない・・・


図解

Ф


むしろ、中と外から襲われることになるのか・・・

畜生、どうすりゃいいんだ!



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 01:44:56.85 ID:Vf+VgO/Y0

混乱して全く良い策が浮かばない。

そうこうしてるうち、V字は完全に崩され、=型になってしまった。

  ↑
  |
|||
|||
|||
|||
|||
  |

古泉側との連絡は絶たれた。
お互いが孤立して戦わなければならない。

長門「敵の多くを挟みこんでいる分、我々はまだ有利。勝ち目はある。」

そうか・・・!

このまま挟み撃ちにしちまえ!

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 01:48:05.06 ID:Vf+VgO/Y0

ハルヒ軍と俺達との肉弾戦が始まった。
現実世界人である分、俺の剣はおもいきりハルヒ軍兵士を吹っ飛ばしていく。
まさにゲームをしている感覚だ。


だが・・・ いくら切ってもキリがない。
次々に俺を囲んでくる。

一刻も早くハルヒを見つけなければ・・・!


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 02:01:01.40 ID:Vf+VgO/Y0

陣形は確実に崩された。
=の感覚が広がってきているのだ。

もう、はさみこむことも難しくなっている。

しかも、400人以上はもともとハルヒ軍の脱走兵なので、少しずつ数が減ってきている。

俺の周りにいるのは・・・ ざっと100人いるかいないか。

もう、だめかもしれんな・・・



考えが頭をよぎった時、強烈な衝撃が俺の腹部を襲った。
後方に思い切り吹っ飛び、地面をころがった。

痛みを感じる前に、驚きが五感を支配する。

な、なんだってんだ・・・!?

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 02:08:04.28 ID:Vf+VgO/Y0

仰向けの俺に人が近づいてくる。
体が言うことを利かなかった。 剣が振り降ろされ・・・


だが俺の首が飛ぶことはなかった。むしろ飛んでいったのは俺を討とうとした兵士のほうだ。



・・・長門。

長門が代わりに立っていた。

長門「立って」

小さな手につかまれ、俺は体を起こした。
長門の後ろで男が立ち上がる。

?「ふん、横から蹴り飛ばすとはな。騎士道精神に反するんじゃないか?」

?「俺は誇り高きスキリアの民、オドアケルだ。小娘、そこをどいてもらいたい。」

オドアケルはまっすぐに長門を見つめている。



長門「・・・断る」





70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 02:14:50.82 ID:Vf+VgO/Y0

しかしまぁ、俺はこんな状態で噴出してしまった。

誇り高きゲルマンだかスキリアだか知らんが、国木田、お前が言っても威厳が無い。


国木田「ふん、なんと余裕のある君主か。小娘、とにかく俺は彼を討たねばならぬ。どくんだ。」

長門「・・・断る」

じゃあ・・・ と、国木田が剣をひろった。

長門「逃げて。殺しはしない」

長門はそれだけ言うと、国木田に切りかかった。


俺は少し躊躇したが、とにかく駆け出した。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 02:23:07.98 ID:Vf+VgO/Y0

どこへ逃げるのか?それともこの軍勢のなかでハルヒを探すのか?

わからない。この世界から逃げ出したかった。


古泉はどこだ?朝比奈さんは無事か?長門は?森さんたちは?

頭の中がごちゃまぜだ。何一つ答えが浮かばない。

とにかく、誰かに会いたかった。俺一人では答えが出せない。


周りはもうハルヒ軍だらけだ。俺をみつけるなり、後ろから追ってくる。

もう、これまでか。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 02:31:08.31 ID:Vf+VgO/Y0

槍の柄が俺の脚を掠める。

地面に転がってしまった。もう体力も尽きた。立てるかどうかも怪しい。


兵士が俺に近づいてくる。何人も、だ。



俺は目をつぶり、死を覚悟した。



俺が死んだら、世界は終わるのだろうか。

俺だけが死んでいい。一般人を巻き込まないでくれ・・・。

心から祈った。こんなときだけ神に祈るのは反則か?




南無阿弥陀仏、主よ 憐れみたまえ、アッラーに絶対の帰依を。




74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 02:42:18.21 ID:Vf+VgO/Y0

目を開けろ

声が聞こえた。神の声か?
言われるとおり目を開ける。


何人もの男が俺をのぞきこんでいた。

今殺さず、ハルヒの前へ連れて行くのかもしれない。


立てるか?


男が聞く。 俺はゆっくり首を振った。

男は俺を抱くようにして座らせた。 男も地面にしゃがみこむ。

「俺は関雲長だ。お前を殺す気はない。」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 02:45:57.22 ID:Vf+VgO/Y0

げえっ!関羽!

言ってみたかっただけだ・・・



しかし、どうして殺さないんだ。

関羽「うむ。俺は義理人情のある人に弱くてな。お前、ハンニバルを返してくれただろう」

・・・鶴屋さんのことか。

関羽「生きて帰ってくるとは思わなかったからな。感謝しているんだ」

なるほど・・・。 思わぬ形で項を奏したな・・・

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 02:49:58.23 ID:Vf+VgO/Y0

関羽「とにかく、今回は殺さない。だけどな、これが最後だ。次に戦場で会ったら、間違いなく俺はお前を殺す。」


・・・恩に着る。

関羽「それから、お前の仲間だけどな、校舎に撤退したぞ。俺の馬をやる。いってやれ」


そうか。すまない。

関羽は兵を連れて去っていった。


俺は何回か落ちながらも馬に乗ると、校舎を目指した。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 02:55:54.58 ID:Vf+VgO/Y0

馬の操作は思ったより簡単だった。

ハルヒ兵は校舎に向かって進軍していた。
蹴散らしながら駆けた。



校舎に入ったときには既に戦が始まって・・・

いや、そこで俺は気づいた。長門印の鎧同士が切りあっているのに。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 02:58:43.23 ID:Vf+VgO/Y0

長門が俺に気づいた。
大柄な男から剣が生えている。

長門「部室へ」

それだけ言うと、剣を深く突き刺した。

俺は人の波を分けて階段を上った。

謀反、脳裏にその言葉がよぎった。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:03:50.59 ID:Vf+VgO/Y0

ドアの外には森さんと新川さんが立っていた。

新川さん「ご無事でしたか・・・!どうぞ中へ]


部室のドアを開ける。

朝比奈さんが小さく悲鳴を上げた。

古泉「よかった・・・ 無事でしたか・・・」

そんなことはいい。現状を説明してくれ。

古泉「はい。 戦局が圧倒的不利でしたので、僕は総員撤退を命じましたが、なにせあの状況だったので、上手く指示が通りませんでした。」

古泉「生き残ったのは半分が現実世界人・・・これは最初の人数と同じです。それから、脱走兵が100人ほど・・・」

それで?

古泉「その脱走兵たちの謀反です。校舎に入った途端、機関の兵たちを切り始めたんです」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:11:52.85 ID:Vf+VgO/Y0

古泉「主犯はスパルタクスという人物ですが、謀反を起こした脱走兵たちに問題があって・・・」

古泉は一呼吸おいて、俯いた。

古泉「非常に強いんです。ほかの敵兵と比べ物になりません。」

谷口「あぁ。気を抜いたら死んじまう」

なんだお前いたのか。
ハルヒの本隊はこっちに進軍している。もしそれが到達したら・・・

古泉「もうそれまでです。現状だけでも精一杯ですから。
    謀反兵には涼宮さんの特別な思いがあった・・・つまり、これもシナリオのひとつなのかと考えられないでしょうか?」

そうだな。それならば、これからなんとかなる気もする。

流れに身を任せよう・・・。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:13:01.84 ID:Vf+VgO/Y0

すまん
なのかと→なのだと

眠くなってきた 見てるひとありがとう

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:16:34.50 ID:Vf+VgO/Y0

新川さんが部室に入ってきた。

新川さん「本体が校舎に進入した模様です。 決断を。」



・・・もう、いまさら抵抗してどうにもならん。あきらめよう。



谷口が何か言いかけたが、古泉が制した。

古泉「良策でしょう。このまま戦っても意味がありません」




88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:21:22.17 ID:Vf+VgO/Y0

ハルヒ軍兵士が部室に入ってきた。



?「俺は涼宮軍の呂h」

谷口「りょ、呂布だーーっ!!」


空気の読めない野郎である。







呂方「ゴ、ゴホン・・・ 呂方だ。お前達、降伏だな?」


あぁ。もうどうにでもしてくれ。


俺達は目隠しをされ、後ろ手に縛られた。
足が震える。ハルヒは俺達をどうするつもりだろうか・・・



89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:24:09.24 ID:Vf+VgO/Y0

ずいぶん長い間歩かされた。

誰一人として喋らないので、なおさら長く感じられる。

処刑だろうか とか、 もう現実には戻らないのか とか考えると、どうにも希望は湧かなかった。





呂方「着いたぞ」

椅子に座らされた、目隠しがはずされた。



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:28:20.41 ID:Vf+VgO/Y0

眩しい視界の中で、ハルヒが踏ん反りかえっている。


ハルヒ「てこずらせたわね。何人犠牲になったと思ってんの?」


横を向くと、同じように 長門、朝比奈さん、森さん、新川さん、谷口が座っていた。


ハルヒ「まぁいいわ。 それより、あんた達は一生私の奴隷だからね!」

いつものハルヒスマイルでそう言う。 それより、俺には気になることがあった。




おい、こいz・・・いや、諸葛亮はどこだ?

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:32:09.78 ID:Vf+VgO/Y0

ハルヒ「ふん、あんた、軍中の統制もしっかりできないのね・・・」

おいどういうことだ はやくどこにいるのか教え・・・

俺が言いきる前に、

椅子の後ろ側から古泉が現れた。




古泉「どうも。縄はキツくないですか?」

爽やかに笑う古泉。

ほどいて今すぐにでも殴りたいね。


古泉「勘弁してくださいよ。これも生きるための策なのです」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:35:21.98 ID:Vf+VgO/Y0

なんだと?

古泉「スパルタクスの反乱は実は僕の策なのですよ」

笑えない冗談だな、古泉。

古泉「冗談などではありません。あのまま死ぬより、僕は涼宮さんの軍司となって生き延びます」

なにを言ってるんだ、古泉、これはあいつの妄想であって・・・

古泉「関係ありませんね。騙される貴方が悪いんでしょう」



95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:38:16.20 ID:Vf+VgO/Y0

もう反論する気も失せていた。
狂っている。なにもかも。

隣の谷口がぽかんとアホ面を晒している。

全部ぶち壊したかった。
爽やかな古泉の笑顔も、ふんぞり帰っているハルヒも、俺達の居るテントも。

古泉「ところで涼宮さん、僕にはまだ仕事があるんです。」


ハルヒ「あら、なにかしら諸葛君。」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:42:51.99 ID:Vf+VgO/Y0

古泉が俺に近づいてくる。

古泉「ちょっと痛むかもしれませんが、我慢してくださいね」

そう言うとどこからかナイフを取り出した。
刃先が銀色に光り、俺の口が映っている。



ハルヒ「ちょっとなにしてんの!?カエサルは私の奴隷で――・・・」

ハルヒが椅子を立ちあがる。




俺は初めて自分の名を知った。

ガイウス・ユリウス・カエサル

悲劇の皇帝。


99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:47:44.17 ID:Vf+VgO/Y0

どんっ
という衝撃が胸に走る。



腹の辺り、胸からの血が流れる感触。

見ると、体から柄だけが生え、血がにじんでいる。

古泉の微笑は変わらない。




俺も少し笑った。

この世界に来てしまって以来、俺は古泉を信頼していた。

戦場で迷子になって駆けていたとき、本当に探していたのは古泉の姿だったのかもしれない。

そんな自分が、バカらしく思えたからだ。


ハルヒが泣き叫ぶ。

ごちゃまぜの思考が次第に薄れていき

やがて消えた。



100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:49:37.56 ID:Vf+VgO/Y0

真っ黒な空間のなか、俺は皮肉をたっぷり込めて呟いた。






古泉、おまえもか








102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:51:25.44 ID:Vf+VgO/Y0

どん と腹の上になにかが乗った。 重い。


古泉がとどめを刺したのだろうか?





目を開けると、薄暗闇の中、

俺の妹がそこにいた。

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:53:12.65 ID:Vf+VgO/Y0

帰ってきたのか・・・

俺は実感した。




妹「あれーキョンくん、元気ないよ?」

毎日煩わしい妹も、今日は女神だ。

妹「はやくしないと、遅刻しちゃうよ?」



壁の時計を見る。

もうどんなに頑張って間に合う時間ではなった。

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:55:25.36 ID:Vf+VgO/Y0

俺は2時間目の途中で登校し、英Uの教師にたっぷり怒られたあとで、4時間目までの授業をほとんど寝てすごした。

後ろのハルヒはというと、こいつもずっと寝てやがった。



4時間目終了のチャイムで目を覚ました俺は、まっすぐに部室へ向かった。

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 03:57:15.98 ID:Vf+VgO/Y0

部室には古泉だけがいた。


古泉「お疲れさまです。」
そう言って微笑む古泉にも、疲れが見える。


さて、種明ししてもらおうか。

古泉「んっふ。てっきり怒るのかと思っていましたが・・・」

古泉「とにかくお話しましょう。」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 04:03:13.53 ID:Vf+VgO/Y0

古泉の話をまとめると、こうだ。



あの時俺に刺さったのは本物のナイフではなかった。

緊急会議中に「トイレに行く」と言って奇術部の部室へ行き、そこから盗んできた手品用の品だそうだ。
空気の読めない男かと思いきや、とんでもない策士だったわけだ。


そのナイフはなにかに刺すと刃先が柄の中に収納され、変わりに血糊が出てくる、というものだった。


ハルヒは劇中で俺達が死ぬことを望んでおらず、目の前で俺が刺された事により、あの世界がなかったことにした・・・。


古泉は自分であの世界の発端をつくり、さらに解決してしまった張本人、ということだ。

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 04:07:20.92 ID:Vf+VgO/Y0

古泉「んっふ。あのときのあなたの顔といったら無かったですよ」

肩を震わせて笑う古泉につられて、俺も笑った。


いやしかし、長い話だったな。朝寝過ごして遅刻しちまったぜ。



古泉「ぼくも、生まれて初めて遅刻してしまいましたよ」

俺はそれを聞いて、ますます笑ってしまう。



111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 04:08:01.18 ID:Vf+VgO/Y0

古泉、おまえもか


ってな。

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 04:09:19.97 ID:Vf+VgO/Y0

終わりです。

こんな夜中までありがとう!
初めてだし文才ねーから間違いとか多いと思うけど、書いてる俺が一番楽しんだぜ



121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/25(日) 04:31:08.09 ID:Vf+VgO/Y0

あ、そうそう




最初のスレは キョン「そうか、俺は信長なのか」っていう建て逃げ

そのスレでは俺が>>1じゃなかったんだけど、途中から俺が勝手に書き始めたんだ
けど途中でネタ切れして「土曜の夜にもう一回チャンスを!」ってことにした

それがこれ

だから>>119みたいに、本来は日本人も出る予定だったんだけど、いかんせん世界史とってる学生だから・・・すまぬ

とにかくみんなありがとう そのうちまた書いてみるわノシ



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