キョン「おいっ!」


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トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:柊かがみ「えっ?親戚の子を預かってほしい…?」

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2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/05(月) 23:47:48.28 ID:UssHwvlGO


キョン「おい!いいかげん泣くのやめろよ!」


覚えているだろうか?小さい頃に遊んだ人・遊んだ場所・隣にいた友人の事を
俺? 覚えているわけないだろう。 毎日毎日ハルヒに無理難題を押しつけられ走り回ってるんだぜ?

キョン「ほら、もう立てよ。暗くなっちまうだろ……」

そんな幼い頃の不思議な不思議な記憶の断片……


キョン「やれやれだぜ……」


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/05(月) 23:48:45.85 ID:UssHwvlGO



それは小学生時代の夏の話。

サンタクロースを信じていたかって? もちろん信じていたさ。 ヒーローだってオバケだって探せば居るはずだと信じて疑わなかったさ

今日だって夏休みを利用して隣町まで不思議探検しにきたんだ。

きっと何か見つかるはず。根拠の無いその自信はきっと幼い頃だけにもてる大切な宝物なのだろう

そして俺は見つけたんだ。これから何年も先に俺を不思議な世界に連れていってくれる奴を



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/05(月) 23:49:39.59 ID:UssHwvlGO



キョン「……おい。もう怒らないから……お前、名前は?」

??「う……ぇっ、うぅっ、す……るひ」

キョン「えっ?」

ハルヒ「すずみや…エグッ……はるひ」

その子は『すずみやはるひ』名乗った。
顔は涙でぐしゃぐしゃだったが、幼い俺のハートを打ち抜くには十二分に整った顔立ちだった。

キョン「あー、はるひちゃん。 とりあえずブランコにいこうぜ?少し落ち着くだろ?」

ハルヒ「(コクッ)」




6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/05(月) 23:50:36.17 ID:UssHwvlGO



なぜこうなった?
俺は幼いながらにも悩んでいた。 隣のブランコにはよく知らない女の子。日もそろそろ落ち始めていた


事の発端は、なんだろ?きっと正義感ってやつなんだろうな。
たまたま隣町の公園で遊んでいたら泣いている女の子を見つけたんだ。
俺はすべてが新鮮な景色にきっと有頂天になってたんだろう……
困っている人を助けるヒーロー気分だったと思う。気付いたらこの子に声をかけていたんだ。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/05(月) 23:52:16.44 ID:UssHwvlGO



キョン「なあ。なんで泣いてんだ?そろそろ教えてよ」

ハルヒ「……なくしちゃったの……」

キョン「なにを?」

少女は一生懸命に身振り手振りで何かを伝えようとしていた

キョン「んー、つまりあれか?帽子かなんかなくしたわけだ?」

ハルヒ「うん」

キョン「よし。俺もそんなに遅くまで付き合えないけど、一緒に探そうぜ?」

ハルヒ「いいの……?」

キョン「まかせとけって!これでも学校じゃ『めいたんてい』って呼ばれてるんだぜ」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/05(月) 23:53:20.11 ID:UssHwvlGO



ハルヒ「……めいたんてい?」

キョン「おう!この前だって国木田のオモチャ捜し出したんだぜ?」

ハルヒ「くにきだ?」

キョン「国木田は俺の友達だ!ってお前にはわかんないか……俺何言ってんだろ」

ハルヒ「変な人……」

そういうと、女の子は少し笑ってくれたんだ。それをみて少し安心した。

キョン「ううっ、笑うなよ!それより早く探そうぜ?」

ハルヒ「うんっ!」



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/05(月) 23:54:53.64 ID:UssHwvlGO



キョン「ところでどこら辺で無くしたんだ?」

ハルヒ「んとね、友達と遊んでたの。それでね砂場で遊ぼうってことになって……」

ハルヒ「砂場で遊ぶと汚れちゃうと思ってね。そこのベンチに置いといたの。そしたら……」

キョン「無くなってたわけか」

ハルヒ「うん」

キョン「じゃあ、まずそのベンチのまわりを探そう」


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/05(月) 23:55:39.33 ID:UssHwvlGO



辺りがどんどん暗くなる中、無言で探しまわる二人。この頃になると俺はやけになっていたんだろうな……
帰宅した時の親の顔が頭に浮かんでくる。ああ当分外出禁止だな。
そんな事を考えているとハルヒが声をかけてきた。

ハルヒ「ねえ。名前は?」

キョン「ああ、キョンだよ。あだ名だけどな」

ハルヒ「キョン?変なあだ名だね」

キョン「叔母ちゃんに文句言ってくれ」

ハルヒ「ふーん。キョンか……キョンね……」

ハルヒは何故か嬉しそうに俺の名前を言っていた。なぜだろうか、それを見ていた俺も嬉しい気持ちになっていた。
きっと、これが初恋ってやつなのかもしれないな。
隣で草を掻き分けているハルヒの顔を見ていると自然と胸が高鳴っていくのがわかった。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 00:02:06.45 ID:wSeW7slKO



ハルヒ「キョンはこの町の人?」

キョン「違うよ、たまたま来てただけ。隣町に住んでるんだ」

ハルヒ「じゃあ、北小なの?」

キョン「まあな。ここらへんだとお前は東小か?」

ハルヒ「うん!凄いおもしろいクラスなんだよ?多分世界で一番おもしろいかも!」

キョン「いいな。俺のクラスは……まあ普通かな?」



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 00:07:33.56 ID:wSeW7slKO



ハルヒはとても楽しそうにクラスの男子がしたおもしろい事、飼っていたウサギが赤ちゃんを産んだ事などを日記に綴るように俺に話してきた。
この頃になると二人の警戒心という壁はまったくなくなっていた。

しかし、肝心の探し物は一向に見つかる気配が無い。辺りは夕闇へと包まれはじめ、目の前のものすらよく見えないようになっていた。

ハルヒ「それでねっそれでねっ……どうしたの……?」

キョン「いや……」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 00:13:14.17 ID:wSeW7slKO



流石に俺も経験したときのない時間帯に外に居ることに恐怖を感じてきた。

風が吹くたびに揺れて音を出す木、散歩に訪れた人の足音。
小さい俺にとっては全てが恐怖を煽りたてるものになっていた

ハルヒ「こわいの?」

キョン「ま……マサカ。」

女の子の手前笑いながら答えたものの、膝は笑いはじめていた。
どうした俺……ヒーローになるんだろ……



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 01:01:25.69 ID:wSeW7slKO


ハルヒ「見つからないね……」

彼女の一言はとても重かった

ハルヒ「もういいよ。ありがと。私の為にここまでしてくれて……」

キョン「いや……」

正直、ハルヒのもういいよの言葉を待っていたのかもしれない。
情けない……

ハルヒ「またママに新しいの買ってもらうよ」

キョン「いいのか?泣くくらい大事なものじゃないのか?」

ハルヒ「……」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 01:02:14.94 ID:wSeW7slKO


ハルヒは何も答えないまま、服についた埃を払いはじめた。

キョン「帰るのか?」

ハルヒ「うん。もう遅いしキョンももう帰らないとでしょ?」

ハルヒの言葉に内心ほっとしている自分とヒーローになりたい自分の葛藤が心で渦巻いていた

ハルヒ「実はね、今日無くしたもの……死んだおじいちゃんが誕生日にくれたものなの」

そう言って振り向いた彼女の顔は笑っていたもののとても切なく、悲しげだった

キョン「………っ」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 01:03:42.99 ID:wSeW7slKO


決めた。俺は決めたぞ!ぜったい見つけるまで帰らん。
親に怒られる?外出禁止?知ったことか!!
俺はこの子のヒーローになるんだ!

ハルヒ「ちょっ……まだ探すの?もういいってば……」

キョン「うるさい!俺は見つけるんだよ!きめたんだ」

子供なりに必死だったんだろうな。 今日初めてあった人の為にここまでなれるんだろうか?今の俺には無理だね。
だってそういうもんだろ?大人になっていくってことはさ……

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 01:04:28.73 ID:wSeW7slKO



それから俺は辺りを探し回った。体は擦り傷だらけ、蚊には刺されるし、顔は涙目。
もうわけがわからなかった。

ハルヒ「もういいよぉ……うわぁぁぁあん……」

キョン「くそっ……くそっ」

ハルヒ「ヒグッ…もうやめて……嬉しいよ……けどもういいよぉ……ヒグッ」


時間はすでに夜の9時。 結局、俺はヒーローにはなれないのか……



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 01:06:28.37 ID:wSeW7slKO


その時だった。

キョン「?」

ハルヒ「ヒグッ……どうしたの?」

キョン「いや、今なんか光ったような」

ハルヒ「えっ……?」

俺はその淡く光った場所へと足を進めていった。

そこには辺りを覆うほどの竹藪があった。

キョン・ハルヒ「あっ!」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 01:07:13.83 ID:wSeW7slKO



ハルヒ「見つけた」

笹の葉にかかるひとつの黄色いリボン。やっとみつけた彼女の探し物

キョン「よかったじゃん。」

ハルヒ「うん……うん」


嬉しそうに笑う彼女。それをみて笑う俺。よかったなハルヒ

そう。今日は七夕
神様が願いを叶えてくれたのかもね?
まあ、小さい頃の俺はまったくそんな事に気付きもしなかったが……





26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 01:09:02.23 ID:wSeW7slKO



ハルヒ「ありがとねっ!」
キョン「ああ。」

別れ。1日だけだったけど、なんか楽しかったよ。

ハルヒ「あ……あとね……お礼…なんだけど」

キョン「ん?いいよ。そんな……」



チュッ



キョン「……」



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 01:09:43.46 ID:wSeW7slKO


ハルヒ「あぁぁあっ!お礼だからね!勘違いしないでよ!」

キョン「ああ。」


彼女はそういうと足早にさっていってしまった。
俺はその後ろ姿をただ茫然と見送った
去り際に『またね』と聞こえたのは空耳だろうか?




28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 01:10:28.28 ID:wSeW7slKO


その後?
もちろん怒られたさ。何日間か外に出れなかったしな。
ハルヒの事?小学生の頃のことなんてすぐ忘れちまうだろ?

案の定1週間後にはさっぱり忘れて今日も不思議探しに外に出かけていったさ。



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 01:16:22.67 ID:wSeW7slKO




…………


キ……ョン…… キョン……

ん?誰か呼んでるのか?

ハルヒ「馬鹿キョン!起きろ!」

キョン「ぬわっ!」

ハルヒ「あんたね、団活中に居眠りするなんていい度胸ね!」

どうやら眠ってしまっていたようだ……なんか夢をみていたような……
いかんな、さっぱり思いだせん。

ハルヒ「あんた……何ニヤニヤしてんのよ……」

キョン「あっ?」

どうやら俺は余程嬉しい夢でも見ていたようだ。



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 01:22:35.73 ID:wSeW7slKO



ハルヒ「まったく!だからあんたは万年雑用なのよ!」

ハルヒは言いたいことだけ言うといつもの団長席に戻っていった。

古泉「どうしたんですか?あなたらしくもない」

キョン「いや、俺も気付いたら眠っちまってたんだ」

古泉「そうですか……それより余程楽しい夢でも見てたんですか?」

キョン「なんでだ?」

古泉「終始、寝顔が笑っていたもので」

キョン「まじかよ……」

ふと、ハルヒの後ろ姿が目に入った。
その姿は懐かしいようで、嬉しいようで……

思い出せないことに多少イライラしたものの、なぜか悪い気はしなかった。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/06(火) 01:27:46.74 ID:wSeW7slKO



サンタクロースを信じるかって?
信じていないさ。
けど、子供の頃のような童心ってやつを思い出してみたくはなる。

あの頃のなんでも信じられた時代に俺は戻れるのか……?

終わり

33 名前: ◆eblTbhX84c [] 投稿日:2009/10/06(火) 01:30:48.63 ID:wSeW7slKO

ども。

4ヶ月ぶりに書いてみました。 次はまた長門中心の長文やってみたいと思います。
読んでくださった方ありがとうございました。また何処かでお会いしましょう。



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