朝倉「あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る」古泉「僕ですか」


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トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:ハルヒ「うわ…足でされて感じちゃうんだ…」

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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:26:06.03 ID:sg9UgOCp0

古泉「彼ではないんですか」

朝倉「彼ってキョン君のこと?知ってるでしょ。長門さんに邪魔されて、失敗しちゃったのよ」

古泉「それで僕ですか。・・・とりあえずその物騒なものをしまっていただけると助かるのですが」

朝倉「それ無理」

古泉(体が動かなくなりました)

古泉(まあ、どうでもいいんですけど)

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:27:43.69 ID:sg9UgOCp0

古泉「僕を殺すことであなたの望む結果が得られるとは思いませんね。涼宮さんは僕のことなんて気に掛けてもいませんよ」

朝倉「あら、ずいぶん謙虚ねえ」

古泉「僕がいなくなっても代わりが補充されるだけです。僕の存在意義は謎の転校生という属性のみに起因したものですから」

古泉「そんなことくらい、自分が一番よくわかっていますよ」

朝倉「・・・」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:30:35.83 ID:sg9UgOCp0

朝倉「と、とにかく、あなたには死んでもらうわ。キョン君のときみたいに長門さんは助けに来ないわよ」

古泉「当たり前でしょう。長門さんの意識は彼に向けられています。彼は鍵なのですから。あなたもそれがわかっているから、殺しやすい僕を選んだのでしょう?朝比奈さんは未来が確定されていますので、殺すことは出来ませんし」

朝倉「・・・冷静ね。死ぬことが怖くないの?」

古泉「怖くないわけがないでしょう。恥ずかしいですが、バイト・・・戦闘のたびに体が震えますよ」

朝倉「なら、どうして」



古泉「・・・疲れたんですよ」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:33:42.68 ID:sg9UgOCp0

朝倉「疲れた?」

古泉「はい。疲れました。僕だって普通の高校生活が送りたかった。友人に囲まれて平穏な日常を過ごしたかった」

朝倉「平穏なんて退屈よ。みんな刺激を求めるじゃない。涼宮さんのように」

古泉「・・・」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:35:39.17 ID:sg9UgOCp0

古泉「僕は主人公になりたかったんです」

朝倉「?」

古泉「恥ずかしい話ですけどね。今でもそう思うんです。世界が、ドラマが僕を中心に動いて、毎日が楽しくて――そういう人生を送りたかった」

古泉「でも、無理なんですよ、普通は。現実は退屈です。何も起こりはしない。自分なんてひどくちっぽけな存在だと気がつくんです」

朝倉(退屈、かあ。私も何も起こらない観測対象にいい加減うんざりなのよね)


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:37:56.80 ID:sg9UgOCp0

古泉「僕に超能力が備わったとき、目の前が一気に開けた気がしました」

古泉「わくわくして仕方なかった。これから楽しいことがいっぱい起こるだろうって」

朝倉「・・・よかったわね」

古泉「でも、現実は現実でした。いかに非現実的でも、そこに存在する限りはつまらない現実なんです。大怪我を負ったり、再起不能になっていく仲間たちを見て、僕は怖くなった。ドラマもヒーローもない、死の恐怖に怯える生活が始まったのです」


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:40:33.24 ID:sg9UgOCp0

古泉「その憎き恐怖の根源は、まさしく物語の主人公でした。彼女の意のままに世界は動いていく。・・・僕はうらやましかった。どうして僕だけがこんなに苦しまなければならないんだと、今でも恨んでいます」

朝倉「でもあなた、涼宮さんが好きなんでしょう?知ってるわよ」

古泉「バレてましたか」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:43:34.85 ID:sg9UgOCp0

古泉「だから、疲れてしまったんです」

古泉「憎む相手が憎めない」

古泉「物語が近くにあるのに、僕は脇役で」

古泉「僕の存在意義なんてなにもないんです」

古泉「だから――疲れたんですよ」


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:45:33.65 ID:sg9UgOCp0

古泉「死にたくはないですが・・・殺したいならどうぞ。なるべく痛くないようにしてくれると嬉しいです」

古泉「僕の代わりなんていくらでもいるんです」

朝倉(・・・そんな目で見ないでよ)

朝倉(こっちが落ち込んでくるじゃない)

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:47:55.02 ID:sg9UgOCp0

朝倉「話はそれで終わり?」

古泉「はい。言い残すことは特にありませんね」

朝倉「そう。じゃあ・・・」

朝倉「・・・いくわよ」

古泉(目をつぶろう)

古泉(涼宮さん、すみませんが僕は脱落です)

古泉(・・・さようなら)

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:49:51.51 ID:sg9UgOCp0

古泉(・・・?)

古泉(いつまで経っても何もない?)

古泉(朝倉さんは何をしているのでしょう)

古泉(目を開けてみますか)

古泉(??)

古泉「あの・・・まだですか?」

朝倉「・・・」

古泉(朝倉さん、固まってますね)

古泉(俯いているから、表情が読めません)

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:51:44.45 ID:sg9UgOCp0

古泉(・・・!)

古泉(空間が元に戻っていく・・・!?)

古泉(体も自由に動くようになりました)

古泉「朝倉さん、どうしたんです?僕を殺して涼宮さんの出方を見るのでは?」



朝倉「・・・やっぱりやめたわ」

古泉(!?)

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:53:49.13 ID:sg9UgOCp0

朝倉「・・・何だか私も疲れちゃった」

朝倉「所詮私はバックアップ」

朝倉「私の代わりもいくらでもいるわ」

古泉「・・・」

朝倉「じゃあね。・・・呼び出したりしてごめんなさい」

古泉「あ、朝倉さん!」

古泉「・・・行ってしまいましたね」

古泉(なんだか悲しそうな顔でした)


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:55:46.06 ID:sg9UgOCp0

次の日 部室



古泉「おや、長門さんだけですか」

長門「・・・」

古泉「どうしました?僕の顔に何かついてます?そんなに見つめられると照れますよ」

長門「話がある」

古泉「何でしょう?」

長門「昨日の、朝倉涼子の件」

古泉(やっぱり長門さんには隠せなかったんだな)

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 05:58:44.60 ID:sg9UgOCp0

長門「助けにいけなかった。謝罪する」

古泉「お気になさらず」

長門「朝倉涼子の信号が急に途絶えたので、私は彼の安全を確認した」

古泉(彼は人気者ですねえ)

長門「彼は無事だった。次に涼宮ハルヒの観測も行ったが、何の異変も見られなかった」

長門「あの時点で朝倉涼子の行方は把握できなかった。目的も不明だった」

古泉「わかってます。長門さん。朝倉さんが僕のところに来るなんて誰も予測できなかったでしょう」

長門「・・・昨日の朝倉涼子の行動に対し、統合思念体は彼女の完全抹消を決定した」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:01:43.98 ID:sg9UgOCp0

古泉「なぜです?」

長門「・・・?あなたの質問の意図がわからない。あなたは昨日殺害される危険があった。それは理解しているはず」

古泉「僕はこの通り、生きていますが」

長門「それは結果論。朝倉涼子を放置することは以後も同様のケースを引き起こす恐れがあると統合思念体は判断している」

古泉「・・・」

長門「なぜ朝倉涼子が殺害を取りやめたのかは統合思念体も解析不能だった。恐らくエラーの蓄積が原因と思われる」

古泉「それで、彼女は既に抹消されたのですか?」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:04:40.53 ID:sg9UgOCp0

長門「・・・朝倉涼子はまだ存在している」

古泉「そうですか。しかしなぜ?処分は絶対なのでは?」

長門「私が統合思念体にエラーの蓄積条件を解析することを提案した。要求は認められた」

古泉「なるほど。それで、処分が延期になったのですね」

長門「そう。私を含め、地球に派遣されたTFEI端末のエラー蓄積は異常。早急な解析が必要。朝倉涼子はいい実験材料」

古泉「実験材料?」

古泉(そんな言い方しなくてもいいじゃないですか、長門さん)

古泉「・・・長門さん」

長門「何?」

古泉「彼女を・・・物のように言ってほしくないです」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:07:17.16 ID:sg9UgOCp0

長門「・・・さっきから私はあなたの思考パターンを推測することができない」

長門「朝倉涼子の抹消の話を聞いたとき、あなたは酷く悲しそうな顔をした」

長門「今もそう」

長門「彼女がまだ抹消されていないと聞いたときは、安堵の表情を見せた」

長門「殺害を企てた相手に対する反応として適切ではない」

長門「理由を説明してほしい」

古泉「・・・」



古泉(そんなこと、僕にもわかりませんよ)

古泉(ただ、去り際に見た彼女の顔がとてもさびしそうで――)

古泉(なんだか放っておけない、のかもしれません)

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:09:45.01 ID:sg9UgOCp0

古泉「長門さん。あなたはどうなんです?」

長門「?」

古泉「あなたが朝倉さんの処分を延期するように請願したのはどうしてですか?」

長門「先ほども述べた。エラー解析のため」

古泉「本当にそれだけですか?それが朝倉さんではなくてもあなたは同じ行動を取りますか」

長門「・・・」


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:12:05.41 ID:sg9UgOCp0

古泉「長門さん。あなたも充分、エラーが蓄積しているのではないでしょうか。・・・たぶん、僕もですよ」

長門「あなたの言うことが理解できない。あなたは人間。エラーは蓄積しない」

古泉「言葉の綾です」



古泉「・・・また朝倉さんと話がしたい」

古泉「走り去る彼女を見て、僕はそう思いました」

古泉「変でしょうか」

古泉「あなたもそう思ったからこそ――朝倉さんを救ったのでは?」

長門「・・・」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:15:07.85 ID:sg9UgOCp0

長門「昨日の話は聞いた」

長門「あなたは死にたがっている。本当?」

古泉「おや、話を逸らすこともできるようになったんですね」

長門「質問に答えて」

古泉「死にたくはないですよ。もちろん。でも・・・」

長門「でも?」

古泉「・・・なんでしょう」

古泉「あのまま・・・彼女に殺されるのも、悪くないと思いました」

古泉「疲れていたので、つい弱気になっていたのでしょうか」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:17:36.14 ID:sg9UgOCp0

長門「・・・」

長門「・・・古泉一樹」

古泉「?」

長門「あなたが死んだら、私はあなたを許さない」

古泉「・・・」

長門「そういうことも聞きたくない。二度と言わないで」

古泉(あなたが質問したんですけどね・・・)

長門「約束して」

古泉「・・・はい。すみません」

長門「あなたも、なくてはならない存在。代わりはいない」

古泉「長門さん・・・」


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:19:41.53 ID:sg9UgOCp0

数日後  夜  某所



古泉(ふう、なんとか今日も無事に神人を倒せました)

古泉(涼宮さん、また何かあったのかな)

古泉(ああ、閉鎖空間が消えていく)

古泉(この瞬間はいつ見ても壮観です)

古泉(あれ?人が立ってる)

古泉(あれは――)



朝倉「・・・久しぶり、でもないか」

古泉(朝倉さん!?)

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:22:51.40 ID:sg9UgOCp0

古泉「こんなところで会うとは奇遇ですね」

朝倉「ふふ、本当に奇遇ね。・・・それより古泉君、あなたぼろぼろじゃない。・・・でも怪我はないみたいね。よかった」

古泉「はは、さっき戦闘が終了したばかりで。お見苦しいですが」

朝倉「おつかれさま」

古泉「ありがとうございます。・・・それよりなぜこんなところに?」

朝倉「上司の意向よ」

古泉「?」


62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:26:34.57 ID:sg9UgOCp0

朝倉「涼宮ハルヒの周囲の主要人物の護衛が言い渡されたの。キョン君には長門さん、朝比奈さんには黄緑さんがついてるわ。天蓋領域の行動が活発になっているから、何があるかわからないってね」

古泉「そして僕には朝倉さん、と。・・・護衛ですか。それは頼もしい限りです」

朝倉「さすがに閉鎖空間には入れないけどね」


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:28:23.59 ID:sg9UgOCp0

朝倉「これから帰るんでしょう?送るわ」

古泉「普通は男性が言う台詞なんですがね」

朝倉「気にしないで。まあ、罪滅ぼしも兼ねて、ね」

古泉(朝倉さん、寂しそうな顔をしていますね)

古泉(・・・)

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:31:11.04 ID:sg9UgOCp0

古泉「・・・朝倉さん」

朝倉「なあに?」

古泉「また、会えてよかったです」

朝倉「な、なによ急に」


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:36:08.40 ID:sg9UgOCp0

古泉「僕はあなたに消えてほしくなかった。またこうして話したかった」

古泉「この前、あなたに愚痴を聞いてもらったでしょう?」

古泉「あなたにはいい迷惑だったと思いますが、人に話したことで、なんだかすっきりしてしまったんです」

古泉「僕は少し溜め込み過ぎていたようです」

古泉「出来ればでよろしいですが、これからも僕の相談相手になっていただけませんか?」

古泉「そして・・・朝倉さんの話も聞かせてください」

古泉「話してすっきりして、またあなたの笑顔を見せてください」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:39:51.40 ID:sg9UgOCp0

朝倉「古泉君・・・」

古泉「・・・泣かないでくださいよ」

朝倉「・・・馬鹿。またエラーが出ちゃうじゃない」

古泉(それはエラーじゃなくて、感情って呼ぶんですよ。朝倉さん)

古泉「ふふ、帰りましょうか」

古泉(あなたに会えてよかった)

朝倉「ん?何か言った?」

古泉「いえ、別に」

古泉(こういう日常も、悪くないものですね)


僕たちは闇夜の中を歩き、話し合った。
くだらないこと、たわいもないこと。

何故かとても楽しくて――。

話題は尽きることはなかった。


(終)


73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/09/17(木) 06:43:05.56 ID:sg9UgOCp0

終わりです。
長々とありがとうございましたー。

甲斐甲斐しい眉毛が好き。
不幸な古泉が好き。

フラクラのキョンは「ピーッ」

それでは。

このあとこのスレはご自由にお使いくださいw



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