キョン「また転校生だと?」


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1 名前: ◆EHGCl/.tFA [sage] 投稿日:2009/05/16(土) 13:33:58.97 ID:UBP/3gpk0

ハルヒ「そうなのよ! しかも身長190センチオーバーの大男!」

キョン「ふーん。で、何年生なんだ?」

ハルヒ「2年生。私たちと同じクラスよ」

キョン「……マジかよ」





古泉「転校生ですか」

キョン「そうなんだ。またお前ら絡みか?」

古泉「いえ、今回の件に関しては機関はノータッチです。ごく普通の一般的な生徒さんでしょう」

キョン「ふぅ……それならいいんだ、それなら」

古泉「あなたも心配症ですね」

キョン「今までのことを考えれば当然だろうが」

2 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:35:14.93 ID:UBP/3gpk0

翌日

ハルヒ「キョン! 遅い! 今日は転校生が来る日だから私並みに早く学校に来なさいって言ったでしょうが!」

キョン「無茶を言うな、無茶を。大体、午前五時から校門前に並ぶ奴があるか」

ハルヒ「いいじゃない、別に。これからとんでもない秘密を持った転校生に会うんだからさ」

キョン「絶対普通の転校生だ。ただ身長が大きいだけで不思議扱いするんじゃない」





?A「いくら侵入するからって、学生はないんじゃないか、学生は……やれやれだぜ」

?B「そう言わないでください。あなたの若さでしたら充分通用します」

?A「学ランに袖を通すのもずいぶんと久しぶりだ…」


4 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:36:35.61 ID:UBP/3gpk0

ハルヒ「あ、担任来たわよ担任!」

キョン「おい……あの後ろについてきたのが転校生か…?」

ハルヒ「み、みたいね……想像以上の大きさだわ…」


岡部「ええ、みんなも知っているとは思うが今日から転校生がこのクラスに編入する。仲良くするんだぞ」

岡部「それじゃあ空条君、自己紹介を」

承太郎「空条承太郎だ。よろしく」



ハルヒ「あ、あれが高校生・・・うーん、謎の臭いがプンプンしやがるわ」

キョン「……」

キョン(古泉の野郎…本当に何もないのか…?)

7 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:37:51.76 ID:UBP/3gpk0

キョン「おい、古泉!」

古泉「おや、どうしましたか? そんなに息を荒くして」

キョン「今日、俺たちのクラスに入ってきた転校生の空条承太郎って奴だがな」

古泉「はい」

キョン「なんだか、こう、俺の勘なんだが、とてつもない謎を持っている気がしてならない…」

古泉「……と言いますと?」

キョン「いや、ほら、なんていうかな……ハルヒが引き寄せたって感じがしてならないんだよ」

古泉「……分かりました。あなたがそこまで感覚的に言うのは珍しいことですしね。もしかしたら何かあるのかもしれません」

古泉「念のため、機関のほうで調べてみましょう」

キョン「頼む…」

8 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:39:16.78 ID:UBP/3gpk0

5日前

承太郎「ん、この封筒は何だ…?」

承太郎「俺宛か……差出人は不明」

『日本 涼宮ハルヒ 能力 神 危険 創造 スタンド 可能性』

承太郎「……『スタンド』という単語だけでイタズラではなさそうだな…」

承太郎「SPW財団に掛け合ってみるか」

10 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:40:29.19 ID:UBP/3gpk0

現在

承太郎(とりあえず涼宮ハルヒとかいう女に接触してみるか)

承太郎「涼宮は……お前か?」

ハルヒ「え、あ、うん、そうだけど?」

承太郎「お前の話は転校前の学校でもよく聞いていた。なんでも不思議を探す部活をしているそうだな?」

ハルヒ「ええ、そうよ。SOS団、って言うの」

承太郎「たしか、宇宙人、未来人、超能力者、異世界人を探すのが目的、だったか」

ハルヒ「よく知ってるわね。なかなか見込みあるわ! 承太郎だっけ、SOS団に入ってみる?」

承太郎「……そうだな、それも悪くなさそうだ」


キョン(古泉……こいつ、マジで何かあるって…)

11 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:41:41.68 ID:UBP/3gpk0

ハルヒ「今日からSOS団に入団した私と同じクラスの空条承太郎よ!」

承太郎「よろしく」

みくる「あ、朝比奈みくるですっ! お、大きいですねぇ…」

長門「長門有希」

古泉「古泉一樹です。よろしく」

承太郎「で、このSOS団ってのは何をする団体なんだ?」

ハルヒ「そうね、平日は基本的に部室で不思議に関する情報を集めるとか、あとは自由活動かしらね」

承太郎「休日は、例の不思議探しってやつか」

ハルヒ「そうそう! いやぁ、承太郎、なかなか飲み込みが早くていいわね! どこかの雑用とは大違いよ!」

キョン「余計なお世話だ…」

13 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:43:05.11 ID:UBP/3gpk0

承太郎(SPW財団との話では、このSOS団、何かしらの力がひしめいているらしいが…)

承太郎(それらしいものは感じられない。スタンドではなさそうだしな…)





谷口「ん、なんだ、これ」

国木田「矢じり、みたいな形の石だね」

谷口「なっかなか綺麗だな! 通学路にあるってことは誰かが落とした宝石ってところじゃないか?」

国木田「だったらこうb」

谷口「よっし! 質に行って売ってこようぜ!」

国木田「…言うと思ったよ」

15 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:44:26.61 ID:UBP/3gpk0

翌日

教師「それでは、ここの英訳を……空条君」

承太郎「…今現在、世界では温暖化によって水位が上昇していると言われているが…」

キョン(とても高校生とは思えないガタイ、頭脳、知識…)

キョン(それに俺が養ってきた第六感が、あいつはただものじゃないと言ってるしな…)

キョン(しばらくは目を離せないというか落ち着けないというか…)





谷口「よーっす、キョン、飯にしようぜ」

キョン「おう」

承太郎「キョン、俺も一緒していいか」

キョン「あ、ああ」

谷口「それじゃあみんな席に着いたところで聞いてくれよ。昨日さぁ」

16 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:45:42.89 ID:UBP/3gpk0

キョン「自業自得だ」

谷口「ほんと、ついてないよなぁ」

承太郎「谷口、だったか」

谷口「あん? なんだ?」

承太郎「その石、どこにやったか分かるか?」

谷口「ああ、すまん。覚えてないんだ。手を切っちまって、ムカッときたもんで蹴っ飛ばしちまった」

承太郎「そうか……」

谷口「あれ、承太郎のもんだったのか?」

承太郎「ああ、いや、違う。SOS団の不思議になるかもしれないと思ってな」

国木田「へぇ、空条君もSOS団入ったんだね」

17 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:46:57.59 ID:UBP/3gpk0

放課後

承太郎「ああ、俺だ。手紙の差出人がどこからか手に入れた矢じりをこの周辺にばらまいたに違いない」

承太郎「すでにクラスメート一人が矢じりで負傷した。……いや、まだ本人に自覚はない」

承太郎「分かっている。ああ、引き続き周辺の警戒を頼むぜ」




キョン「今日は朝比奈さんも古泉もハルヒもいないし、帰るかな」

キョン「…ん?」

キョン「よう、谷口。一緒に帰ろ…」

谷口「ああ? なんだ、キョン?」

キョン「何やってんだ! その右手で掴んでいる国木田の首を放せ!」

谷口「ふん・・・・・ふふ、はははh!」

キョン「谷口…?」

18 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:48:10.64 ID:UBP/3gpk0

谷口「キョンよ、俺たちってさ、いっつも底辺の落ちこぼれ組でさ」

キョン「……?」

谷口「いっつもギリギリのところを生きてるじゃん? だけどよ、この力があると何だってできる気がしてくるのよ」

キョン「力…? 何のことだ?」

谷口「やっぱりお前にも見えてねえんだ……くく」

キョン「と、とにかく、その国木田の手を放せ」

キョン(国木田の傷が酷い…それに、いつかの眉毛女を思い出すな、これは…)

谷口「いいや、無理だね。見返してやるのさ。今まで俺をコケにしてきたクズどもをな」

谷口「勉強できない、スポーツだってうまくない、女にもモテない…」

谷口「だが俺はこの力で誰にも馬鹿にされない存在になるのさッ!」

キョン「た、谷口…」

21 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:49:45.96 ID:UBP/3gpk0

承太郎「今日は誰も部室にいなさそうだな…」

承太郎「部室に何か『謎』に関係するものがあるかもしれない。鍵を借りてくるか」




谷口「そのために、まず、この国木田を殺してやるよ」

キョン「なんでだよ! 国木田とお前、仲良かっただろうが!」

谷口「るせーッ! こいつ、俺にはいっつもいっつも上から目線で話しやがって…」

キョン「だ、だからって、そんなことで警察に捕まるつもりかよ!」

谷口「キョンよぉ……俺はもう警察なんかにゃ捕まえられない存在になったんだぜ?」

谷口「味わってみるか? んん〜?」

キョン(く、くそ……なんだ、谷口にどんな力が備わってるんだ…)

キョン(長門たち宇宙人みたいな訳わかんない情報操作か?)

キョン(朝比奈さんのように時間を移動するとか、もしかして古泉みたいに赤玉…?)

キョン(ああ、どうしてこうなるんだ!)

24 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:52:01.10 ID:UBP/3gpk0

谷口「よし、それじゃあキョン、お前を国木田と同じ目に遭わせてやるよ」

キョン「く、来るな! いくら谷口でも容赦しねえぞ!」

谷口「ふん……馬鹿めッ!」

キョン「な、なんだこりゃ!」

キョン(アスファルトの地面に足跡が…こっちに向かってくる!)

キョン(これが力か? …とりあえず玄関近くにいるのは危険だ…人が少ないところへ逃げないと…!)

谷口「ん、キョンめ、逃げるか…」

谷口「待てコラァッ!」


26 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:55:19.67 ID:UBP/3gpk0

あの石で手を切った帰り道、俺は思いっきり転んだ。

そりゃもう、一昔前のマンガみたいに盛大に転んだのさ。

たくさんの人の視線を浴びて、俺はもう穴があったら入りたい。むしろ穴を掘って入りたい気分になってた。

だが異変に気付いたのは、家に帰ってからだ。

家に帰って、制服の汚れを落とそうと思った。

だが、俺の制服はまるで新品のように、汚れ一つついていなかった。

それだけじゃない。

転んだときの傷すら痛くない。傷跡なんか一平方ミリメートルも残ってやがらなかったのさ。

そして何かの気配を感じて後ろを向くと、ひっそりとたたずむ俺とほぼ同じ背格好の泥人形。

訳が分からなかったね。精神が病んじまったのかとも思った。

だけど、だけどな。一つだけ分かってことがある。

谷口「それは…」


谷口「俺はすげえ力を手に入れたってことだッ!!」

谷口「なぁ、キョン! いい加減、出てきたらどうだ! ここら辺に隠れてるのは知ってるんだぜ!」

28 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:56:32.51 ID:UBP/3gpk0

キョン(頼む、長門……気づいてくれ……)

キョン(ハルヒも古泉も朝比奈さんもいない……だけどお前は部室にいるはずだ!)

キョン(谷口のバカでかい言葉に、気づいてくれ!)

キョン(ゴミ箱の中に隠れるのも限界だ…!)

谷口「どこだッ! どこだ、キョンッ!」

キョン(くそ……近づいてきてやがる……)

谷口「…んん? ハッハーン、わかったぜ、キョン。そこのゴミ箱の中だな?」

キョン(や、やばい…!)

キョン(頼む、長門! マジで頼む! 気づいてくれ! 助けてくれ!)

谷口「今、ふたを開けてやるからなぁ」

キョン(ひ、光が入ってくる…!)

29 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:57:47.51 ID:UBP/3gpk0

承太郎「おい」

谷口「あん?」

承太郎「何してるんだ?」

谷口「何って、今、探し物してるんだよ」

承太郎「探し物?」

谷口「ああ、ちょっとノートを掃除当番の野郎に捨てられたみたいでな」

承太郎「なるほどな」

谷口「そういうことだ。承太郎には関係ないから、さっさと家に帰りな」

承太郎「俺が何をしているんだ、って訊いたのはゴミ箱を開けていることに関してじゃねえぜ」

承太郎「血まみれの制服でゴミ箱を開けていることに関して訊いたんだ」

谷口「……」

承太郎「玄関先で血まみれで倒れている国木田がいた。……その血、国木田のか?」

谷口「…だったら、どうなる?」

承太郎「………」

30 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 13:59:04.39 ID:UBP/3gpk0

谷口「承太郎……お前もめんどくさい野郎だな。素直に帰ってればよかったものを」

承太郎「……」

谷口「めんどくせえから、お前も殺っちゃうわ」

承太郎(…やはりスタンドか…やれやれだぜ…)

承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールド」

ピタッ

承太郎「谷口、お前に個人的な恨みはないが」

承太郎「悪事を働いた奴を見逃すわけにはいかないぜ」

オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァッッッ!

承太郎「そして時は動き出す。これでお前は終わりだ」

谷口「ごぶぁッッ!」

32 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:00:17.17 ID:UBP/3gpk0

谷口「はぁ、いってえなぁ」

承太郎(何ッ…?)

谷口「思いっきり吹っ飛ばしてくれたねぇ、承太郎さんよぉ」

承太郎(馬鹿な……たしかにスタープラチナで時は止めた)

承太郎(そしてスタープラチナで殴り飛ばした)

承太郎(それなのに無傷だと…? 奴のスタンド能力を見極めなきゃ勝てないみたいだな…)

谷口「なぁ、承太郎さんよ、一つ訊きたいんだが」

承太郎「……何だ」

谷口「この、泥の人形みたいな奴ってなんて名前なんだ?」

承太郎「答える義理はない」

スタープラチナ「オラオラオラオラァァァッ!!」

谷口「ぐぼぶッッッッ!!」

承太郎「……手ごたえはあった…だが」

谷口「きかないねぇ」

承太郎「無傷か……やれやれだぜ…」

33 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:01:30.73 ID:UBP/3gpk0

キョン(一体何が起こってやがるんだよ…)

キョン(さっきから、谷口が承太郎に吹き飛ばされてるように見えるが…)

キョン(だけど、承太郎は何もしてない…全然動いていない…)

キョン(宇宙人同士の戦いは派手でスリルしかなかったが)

キョン(この二人の戦いは、静かすぎて怖いなぁ、おい…)



谷口「くく、お前じゃあ、今の俺には勝てねえよ」

承太郎「……」

承太郎(たしかに奴のスタンドの能力がさっぱり読めない…)

承太郎(殴っても無傷……吹き飛んでいるから攻撃は当たっている……血も吐き出してる……)

承太郎(だが、情報が足りなさすぎる…)

谷口「お前じゃ俺には勝てないが、かといって毎回お前に殴られるのも癪だ」

谷口「今回はここで逃げさせてもらうぜ」

34 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:03:15.19 ID:UBP/3gpk0

承太郎「逃がすかッ!」

スタープラチナ「オラアアッッッ!」

キョン(やったか!?)

谷口「ぐふぅッッ!」

谷口「……だけど、残念。無傷なんだな、これが」

谷口「じゃあな、承太郎。お前が『逃がすか』と思い続ける限り、俺は逃げ続けてやるぜ」

承太郎「消えた、だと…?」

承太郎「やれやれ、とんでもないスタンドを身につけちまったようだな…」

承太郎「さて…」

承太郎「キョン、出てきて事情を説明してもらおうか」

キョン(バレてたのか…)

35 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:04:27.73 ID:UBP/3gpk0

部室にて

承太郎「なるほどな…玄関を出た時にはもう国木田は襲われてたってわけか…」

キョン「ああ…なぁ、国木田は…」

承太郎「彼なら問題ない、腕利きの医療チームを呼んでおいた。もう心配ないだろう」

キョン「そ、そうか……」


キョン「もう一つ質問していいか?」

承太郎「……ああ」

キョン「さっき、谷口をどうやって吹き飛ばしたんだ…?」

承太郎「………そうだな。知ってしまったのなら、理解しておいたほうがいいだろう」

36 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:05:42.84 ID:UBP/3gpk0

承太郎「谷口が言っていた矢じりのような石、覚えているか?」

キョン「ああ、帰り道に拾おうとして手を切ったとかなんとかって」

承太郎「あの石で素質のある者の体を傷つけると、幽波紋(スタンド)という能力が身に付く」

承太郎「さっき、俺と谷口はスタンド同士で戦っていた」

キョン「じゃあ、なんで谷口は吹っ飛んだんだ? 殴られたのは谷口のスタンドってやつじゃないのか?」

承太郎「スタンドへのダメージは、本体へのダメージでもある」

承太郎「つまり、スタンドの首を切り落とせば本体の首を切り落としたことになる」

承太郎「まぁ、例外はあるが」

キョン「そう…なのか」

承太郎「どうした、気になることでもあるのか?」

キョン「その石なんだけどさ…」

キョン「たぶん、俺も拾って小指を切った…」

承太郎「……やれやれだぜ…」

38 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:06:55.78 ID:UBP/3gpk0

承太郎「それじゃあ、谷口のスタンドも見えていたか?」

キョン「え、あ、いや、見えなかった」

承太郎「じゃあ大丈夫だ。スタンドはスタンドを持つ者にしか見えない」

キョン「ああ、そうなのか……よかった……」




谷口「あの承太郎のスタンド……ただスピードとパワーがあるだけじゃない」

谷口「最初に殴られたとき、あいつが近寄るのを見ることができなかった…」

谷口「つまり、瞬間移動だとか、何かそれに近い能力を奴のスタンドは持ってるってことだ」

谷口「……くく、そうだな。とりあえずこの石を使って他の生徒を目覚めさせ、承太郎たちを殺させるとしようか…」

39 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:08:08.74 ID:UBP/3gpk0

昼休み 部室

キョン「襲ってくる可能性がある?」

承太郎「考えたくないが、スタンドはスタンドを呼ぶ」

キョン「…と言うと…?」

承太郎「引かれ合う、と言ったほうが正しいか」

キョン「ええと、つまり、スタンドを持っている人間同士は引かれ合うってことか」

承太郎「そうだ。きっと、俺がここに来るのは決まっていた」

キョン「ふむ…てことは、いずれ新たなスタンド使いか、谷口がここに来るってことか」

コンコン

キョン「あ、はい、どうぞ!」

阪中「あ、今、よかった?」

キョン「あ、ああ、かまわんぞ」

承太郎(…油断はできねえか)


前回はここまでだったので、ここからは書きますね

43 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:11:48.78 ID:UBP/3gpk0

キョン「で、こんなところに来てどうしたんだ?」

阪中「学校祭まで後何カ月かあるのね?」

キョン「ああ、そうだな」

阪中「今年の学校祭は、涼宮さんも一緒に楽しめたらいいな、って思って」

阪中「仲良くなりたいなぁ、ってこの部室に来たのね」

キョン「ああ、あいつか」

キョン(いい人だよなぁ、阪中は)

承太郎「そういえば涼宮は昼休みになるといなくなるようだが、どこへ行っている?」

キョン「さあな。一年生のときは学校の中で不思議なことを探して回ってたぞ」

承太郎(涼宮…スタンド…可能性…神…?)

50 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:16:35.30 ID:UBP/3gpk0

キョン「阪中、悪いな。ご覧の通り、今部屋の中には俺と承太郎しかいないんだ」

阪中「あ……そうみたいなのね」

キョン「俺も見かけたら声かけておくよ。あいつのこと、気にかけてくれてありがとな」

阪中「あ、全然かまわないのね。友達は多いほうが楽しいと思うし」

承太郎「……ッ! 阪中ッ! 伏せろッッ!!」

阪中「え?」

ガシャァァアアン! ザシュッッ!!

キョン「阪中!」

承太郎(廊下の窓から矢じりを投げ込んで阪中を狙った?)

キョン「阪中! 大丈夫か!?」

阪中「あ…キョン、君…だ、大丈夫なのね」

承太郎「キョン、この矢じりには気をつけろ。今、俺の手元にあるから何ともないが」

キョン「分かってる…」

51 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:18:51.60 ID:UBP/3gpk0

承太郎「近くに谷口が潜んでいるのかもしれないな」

キョン「承太郎、矢じりはどうするんだ?」

承太郎「俺が保管する。絶対に谷口には渡さん」

???「それはどうかなぁ?」

承太郎「ッ!! こいつはッ!」

キョン「な、なんだ!?」

承太郎「キョン! 谷口だ! 谷口のスタンドがいる!」

???「ひひひひ」

承太郎「……見えなくなった?」

キョン「承太郎! 部室の窓だ! 矢じりが浮いてる!」

承太郎「何ィッ!?」

53 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:22:20.11 ID:UBP/3gpk0

承太郎(馬鹿な……確かにあの矢じりは俺のポケットに入れておいた…谷口のスタンドか…?)

???「くひひひ、どうした承太郎。俺はここにいるぞぉ?」

承太郎「キョン、阪中を連れて逃げろッ! 俺が食いとめる!」

キョン「わかった!」

???「っと、させねえぜェェッッ!」

承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールドッッ!」

ピタッ

承太郎「ふぅ……時を止めた。とりあえず矢じりはもらっておくぜ」

???「ざぁぁんねんだったなぁああッッ!」

承太郎「ば、バカなッ!」

54 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:25:42.90 ID:UBP/3gpk0

キョン「阪中、行くぞ!」

阪中「う、うん……」

承太郎(馬鹿なッ…時が止まらない…ッ!?)

???「ひひひ、俺の能力がまだ分かっていないようだなぁ?」

???「いい顔だ、いい顔だぞぉ」

承太郎(傷を治したり、止めた時を打ち消したり、こんな多彩なスタンド初めてだぜ…)

承太郎(いや……待てよ……)

???「ッ…… どうした、構えなくていいのか? それとも、もう諦めたのか?」

承太郎「そうだな、俺ではお前に勝てない。そのことをよく『理解』したぜ」

57 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:29:25.78 ID:UBP/3gpk0

???(こいつ……勘づきやがったか?)

承太郎「どうした、聞こえなかったか? だったらはっきり言ってやるぜッ!」

承太郎「『俺ではお前に勝てない。そのことをよく理解したぜ』」

???「チィッ!」

承太郎(逃げたか…だが、そのほうが俺も助かる。もし俺の予想が正しければ)

承太郎(人目につくところでの戦いは、あいつにとって圧倒的に有利だからな…)

承太郎「キョンたちを探すとするか…」



キョン「阪中、大丈夫か?」

阪中「う、うん……窓から何かを投げつけられて、肩を切った時は痛かったけど」

阪中「今は全然なんともないのね。不思議なのね」

キョン(まさか……矢じりの力か…? 阪中もこのスタンドとかいうやつに目覚めてしまうのか?)

58 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:34:10.85 ID:UBP/3gpk0

???『阪中ッッ! 俺の声が聞こえるだろッッ!』

阪中「ヒッ…!」

キョン「さ、阪中?」

阪中「へ、変な声が聞こえるのね…」

キョン「声…?」

承太郎(スタンドはスタンドを持つ者にしか見えない)

キョン(って承太郎が言ってたな……まさか、声もなのか…?)

阪中「何なの! 誰の声なの!」

???『キョンを殺せ! スタンドを使って殺すんだ! さあ!』

阪中「スタンドなんて知らない! キョン君を殺すなんてふざけたこと言わないで!」

???「ひひひ……」

阪中「あ、あれ、体が、か、勝手に動く、の、ね?」

キョン「阪中…ま、待て! 早まるな!」

62 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:39:02.67 ID:UBP/3gpk0

阪中「キョ、キョン君…体が勝手に動くのね…」

阪中「す、スタンド…私はスタンドを知っていた…」

阪中「こ、これは………犬のスタンド?」

キョン「阪中、いいか! 落ち着け! 今、承太郎を呼んでくるから!」

阪中「だ、だめ! わ、私、キョン君を殺したくて、どうしようもない!」

キョン「だ、だめだ!」

阪中「わ、私のスタンド……『フェイスフリー・ドッグ』…?」

阪中「ご、ごめんなのね、キョン君……死んで?」

64 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:42:44.53 ID:UBP/3gpk0

承太郎「…む」

承太郎「キョンッ! スタープラチナ・ザ・ワールドッッ!」

承太郎(とりあえず、キョンをあの犬のスタンドから引き離す…)

そして、時は動きだす。

キョン「ガッ…ハ…」

承太郎「酷い傷だな…この犬がやったってわけか」

キョン「す、スタンド……」

承太郎「分かっている。こんなに血に飢えたような犬、初めて見るぜ」

キョン「阪中…」

阪中「承太郎君、避けてほしいのね?」

承太郎「それは聞けないお願いだぜ」

阪中「じゃあ、君も殺しちゃうのね?」

承太郎「やれるものならな」

66 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:47:01.33 ID:UBP/3gpk0

承太郎(とは言ったものの、阪中本人はきっと谷口のスタンドに操られている…)

承太郎(かといって手を抜けば、あの二匹の獰猛な犬のスタンドが俺をずたずたに噛み砕くだろう)

承太郎「やれやれだぜ…ここが人気の少ない部室棟でよかった、といったところか」

阪中「フェイスフリー! 行って! キョン君を殺して!」

承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールドッッ!」

承太郎「無駄だ」

スタープラチナ「オラァァァァッ!」

ボゴォォッッ! ドグォッッッ!

そして時は動き出す。

フェイスフリー「キャンッ!」

阪中「ぐっ……」

承太郎(阪中のダメージが少ない……もっと数がいるのか、この犬は)

68 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:49:21.67 ID:UBP/3gpk0

キョン(くそ…俺はまた役に立たずに寝ているだけなのか……)

キョン(くそっ……)

キョン(あんな凶暴そうな犬、阪中には似合わないってのに……)

キョン(…あれ?)

71 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:53:33.58 ID:UBP/3gpk0

承太郎「な、なんだ、あの量の犬は…」

阪中「承太郎君、犬ってたくさんいればいるほど可愛いのね」

阪中「ふふ、こんなにたくさん可愛い犬がいるなんて、私は幸せ」

承太郎(廊下を埋め尽くすほどの犬コロだぜ…ザッと100はくだらねえ。……やれやれだぜ)

阪中「フェイスフリー…承太郎君を殺して、キョン君も殺して」

フェイスフリー「ワンッ!」

承太郎「くそッ!」

キョン「承太郎……避けろ……」

承太郎「ッ!」 バッ!

承太郎「キョン……まさかお前…」

キョン「俺もさっきのいざこざで矢じりにやられてたみたいだ……」

キョン「そして、俺のスタンド、こいつを使う」

キョン「古泉が言っていた、『感覚的に自分が何をすべきか分かっていた』ってな」

キョン「俺にとって、それが今さッ!」


73 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 14:59:06.15 ID:UBP/3gpk0

キョン「行け! 俺のスタンド! 奴らの動きを止めろ!」

???「ダリィィィィィッッッ!」

フェイスフリー「……わふ…」

阪中「あ、あれ、どうしたの! フェイスフリー! みんなそろって欠伸なんかして!」

キョン「俺のスタンドの能力、俺にピッタリの能力だ」

キョン「ありとあらゆるものから『やる気』を奪う。無理やり倦怠期を迎えさせるのさ」

キョン「承太郎! 今だ! 阪中を気絶させるんだ!」

承太郎「フッやれやれだぜ…」

スタープラチナ「オラァァッ!」

阪中「うっ……」

キョン「これがスタンド……やれやれ…」


阪中…スタープラチナによって気絶。谷口のスタンドの暗示は解除された模様。
キョン…土壇場でスタンドが発現。スタンド名『ウェアリネス・ライフ』(命名・承太郎)
ウェアリネス・ドッグ …阪中に忠実な番犬のようなスタンド。一体一体は大した能力ではないが、その数は計り知れない。


76 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:03:11.40 ID:UBP/3gpk0

放課後 いつもの喫茶店

キョン「ハルヒには都合が悪いと伝えておいた」

承太郎「すまないな、キョン。阪中も付き合ってもらって悪い」

阪中「あ、そんな、全然……私だって体が言うことを聞かなかったとはいえ、二人を傷つけるなんてことを…」

キョン「もう過ぎたことだ。気にするなよ」

承太郎「そうだな。それよりも今は姿を消した谷口を探すのが先決だ」

承太郎「きっと、あいつは俺たちに近い存在の生徒に矢じりを使って無理やりスタンドを発現させ」

承太郎「自らのスタンドで、阪中をそうしたように操って俺たちを殺そうとしている」

キョン「……谷口…」

阪中「谷口君…」

承太郎「今はそんな風に沈んでいる場合じゃないぜ。これからどうするかを考えなきゃならない」

キョン「そうだな……もし俺たちの教室の誰かが発現したなら、お互いに分かりやすいが…」

阪中「他のクラスに他の学年ともなると、そうはいかないのね…」

77 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:06:59.74 ID:UBP/3gpk0

承太郎「そこでだ、阪中。お前に頼みがある」

阪中「え?」

承太郎「お前のスタンド、フェイスフリー・ドッグを学校中に放してほしい」

阪中「え? どうして?」

キョン「そうか! もしスタンド使いがいたなら何かしらのリアクションをとるに違いない!」

承太郎「そうだ、俺のように何年も前からスタンドを知っている者ならまだしも」

承太郎「目覚めてわずかな時間しか経っていない者が、別の誰かが操るスタンドを見たとして」

承太郎「何かしら不審な行動を起こすに違いない。もしフェイスフリーがその不審者を見つけたら」

承太郎「遠吠えなり他のことなりで阪中や俺たちに伝えればいい」

承太郎「北高校をフェイスフリー・ドッグの縄張りにしてしまえ、そういうことだ」

79 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:11:08.23 ID:UBP/3gpk0

キョン「それに、学校に犬がいること自体不自然だ。 フェイスフリー・ドッグ……いいスタンドじゃないか」

阪中「あ、ありがとうなのね。えへへ」

承太郎「それと二人に注意しておくことがある」

承太郎「まずスタンドには射程範囲がある。俺のように近距離パワー型のスタンドもいれば、飛行機のようなスタンドを使って遠距離攻撃をしてくる者もいる」

承太郎「スタンドの能力は十人十色、千差万別。不審なことがあったらとにかくスタンド能力を疑え」

承太郎「それと、キョンには言ったがスタンドへのダメージは本体へのダメージに変換される」

承太郎「フェイスフリーのような多数のスタンドは、少しやられたくらいなら問題ないが」

承太郎「俺やキョンのように数が一つしか存在しないスタンドが致命傷を負った場合、スタンドを使っている者も死ぬ」

承太郎「そこのところを理解しておいてほしい」

キョン「ああ、わかった」

阪中「わかったのね」

81 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:13:28.94 ID:UBP/3gpk0

キョン「ただいまー」

妹「ああ! キョン君、大変なんだよー! あ、おかえりー!」

キョン「はいはい、それでどうしたんだ?」

妹「私が帰ってきたらね、なんかシャミセンがけがしてたの」

妹「散歩でけがしたみたい」

キョン「シャミセンが怪我ねぇ。そりゃ、大変だ。病院にでも連れて行ってもらえ」

妹「キョン君、連れてってあげてー?」

キョン「…今日は疲れてるから、明日でいいならな」

妹「ぶー! キョン君のケチー!」

キョン「ああ、ごめんごめん」

83 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:16:19.63 ID:UBP/3gpk0

キョン宅 自室

キョン(ふー…今日はいろいろあって疲れたな…スタンドか…)

キョン(おお、普通に出せる!)

キョン(一般人には見えずに、別のものに力を加えることができるのか…)

キョン「よし、ウェアリネス、机の上の本をとってこい」

ススススーッ

キョン「うおっ、とってきやがった! 賢いな、こいつ!」

キョン(て、犬じゃないんだし…馬鹿か俺は)

カリカリカリカリカリ

キョン(ん? ドアが引っかかれてる…シャミか?)

ガチャリ

キョン「おお、どうしたシャミセン」

キョン(スタンドみたいに話しかけちまったな)

シャミ「ああ、やっと話のできる人間と二人きりになれた」

86 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:18:58.91 ID:UBP/3gpk0

キョン「ったく、猫に話しかけるなんて、俺は寂しい人間かってうぉい!」

キョン「な、なんだ? また話ができるようになったのか? ってことはハルヒの奴がまた何かを企んでやがるのか?」

シャミ「いや、そのハルヒとかいう奴は関係ないだろう」

シャミ「お前の妹さんから聞いただろう、私の足のけがを」

キョン「あ、ああ」

シャミ「そのけがをした途端、何かうまく表現できないような感覚に襲われてな」

キョン「うん」

シャミ「それで…」

シャミ「こんなものが出てきて、しゃべれるようになってしまったんだが…」

キョン「……す、スタンド…?」

88 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:22:05.26 ID:UBP/3gpk0

キョン「猫にもスタンドだと…?」

シャミ「スタンド…? スタンドと言うのか?」

キョン「シャミセン、ちょっと待ってろ」

シャミ「なんだ、それは…」

プルルルル、プルルルル、ガチャ

承太郎『どうした、キョン』

キョン「な、なぁ、承太郎、人間以外の動物にもスタンドって発現するのか?」

承太郎『ああ、する。俺はかつて、動物のスタンド使いと仲間だったこともある』

キョン「その動物のスタンド使いは、言葉を喋れたか?」

承太郎『いや、言葉は喋れなかった。知能は非常に高いようだったが』

キョン「な、なぁ、うちの飼い猫がスタンド使いになったんだが…」

承太郎『……やれやれだぜ』

90 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:26:44.95 ID:UBP/3gpk0

翌日 昼休み 教室

キョン「てなわけで、シャミセンもスタンド使いになったわけだ…」

承太郎「飼い猫をスタンド使いにして、まずキョンを仕留めようと思ったわけか」

キョン「はぁ……しゃべれる飼い猫なんて…」

キョン(一度経験したからあの時ほど驚かないが…ヒヤヒヤするんだよなぁ…)

承太郎「今は大丈夫そうだが、谷口に操られ、いつ敵になるか分からない」

承太郎「シャミセンのスタンドはどんな形だった? そこからある程度の能力が推測できる」

キョン「んー、そうだなぁ…真っ黒なトラのようなスタンドだったなぁ」

承太郎「トラか……阪中と言い、動物型のスタンドが多いな…」

キョン「だな…」

92 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:29:22.65 ID:UBP/3gpk0

午後 授業中

キョン(スタンドって、スタンド使いに似るのかな…)

キョン(戦闘中のフェイスフリーはかなり怖かったけど、巡回中のフェイスフリーは普通にシベリアンハスキーみたいで可愛いし)

キョン(承太郎のスタープラチナは、本人みたいにガタイがよくてかっこいい)

キョン(それに引き換え俺のスタンドは、やる気を奪うスタンドだしなぁ…)

キョン(見た目も、なんか魔法使いみたいで弱弱しいし、近寄られて殴られたら一発で死んじまいそうだな)

キョン(はぁ…)

教師「おい! キョン! 居眠りするな!」

キョン「あ、すみません…」

キョン(あの教師…ちっとイタズラしてやるか)

94 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:33:13.70 ID:UBP/3gpk0

キョン(ウェアリネス……教師の脇腹をこちょばしてやれ!)

キョン(ふふ……)

承太郎「……」

キョン(げぇ!スタープラチナ!)

阪中「……」

キョン(フェイスフリーまで……授業の妨害はさせねえってか……くそ……)

キョン(はぁ……授業たるいなぁ……)

キョン(スタンド……スタンドねぇ…)

キョン(そういえば、ハルヒには見えてないみたいだな…他の奴らにも…)

キョン(とりあえずクラスメートと戦わなきゃならない、って状況は今のところなさそうだな)

95 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:36:10.71 ID:UBP/3gpk0

放課後

阪中「キョン君! スタンドを使って授業の妨害をするような真似をしたらダメなのね!」

キョン「す、すまん……ヒマで、つい、な」

承太郎「……やれやれだぜ。ヒマだということには賛成するが」



キョン「阪中、それじゃあ俺たちは部活に行くけど、阪中はどうする?」

阪中「うーん、ルソーの散歩してあげないとダメだし、私は帰るのね」

キョン「おう、わかった。気をつけてな」

承太郎「じゃあな」

阪中「うん、二人とも部活頑張ってね」

97 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:39:40.85 ID:UBP/3gpk0

部室

キョン「今日は朝比奈さんだけですか?」

みくる「そうみたいです。最近、涼宮さん、あまり顔出してなくて…」

みくる「古泉君も長門さんも同じで…」

みくる「でも、今日は私とキョン君と承太郎君の三人がいますし、活動しちゃいましょうか」

キョン「そうですね」

承太郎「最近、涼宮はなんで来ないか、分かるか? 授業には出席しているのに、なぜ部活に来ない?」

キョン「さあな、あいつは自己中心を体現したような女だから、勝手に休むし、俺たちが勝手に休めば怒る」

キョン「それだけさ。それより今は朝比奈さんのお茶を楽しむとしようぜ、承太郎」

承太郎「……ふん」

99 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:42:41.46 ID:UBP/3gpk0

みくる「みなさん、お茶が入りまし……わっ、たっ…きゃあ!」

キョン「あ、朝比奈さん!」

承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールド」


そして時は動き出す。

みくる「きゃあ……って、あれ…? わ! きゃあ!」

キョン(承太郎が時を止めたのか)

キョン「朝比奈さん、どうかしましたか?」

みくる「お、お茶をこぼしたと思ったら……」

キョン「ははは、朝比奈さんお茶なんてこぼしてませんよ」

みくる「そ、そうじゃないんです…お茶をこぼしたと思ったら…」

みくる「承太郎君の後ろに、し、知らない人が……」

みくる「じっと、こっちを見てるんです…」

キョン・承太郎(何ィ!?)

みくる「こ、怖いですぅ…」

101 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:47:05.13 ID:UBP/3gpk0

みくる「ひゃわぁ! きょ、キョン君の後ろにも…な、なんなんですかぁ…」

みくる「どうして、知らない人たちがここに……こ、こっち見ないでぇ…」

キョン「じょ、承太郎…?」

承太郎「あ、ああ、あまりにも予想外な出来事に、つい言葉を失っちまったぜ…」

キョン「あ、朝比奈さん、大丈夫です」

みくる「て、キョン君近づいたら、知らない人も近づいてきますぅ!」

キョン「あ、すみません。ウェアリネス、ちょっと離れてて」

キョン「朝比奈さん、まず最初に一つだけ訊きたいんですけど」

みくる「ひゃ、ひゃい…」

キョン「ここ数日の間、どこかに切り傷を作ったりしてませんか?」

みくる「し、してないですぅ…」

みくる(ここ数日、私未来に帰ってたんです……この時間軸に、新たな不穏因子が生じたとかで…)ボソボソ

キョン「な、なんですって…?」

103 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:50:46.54 ID:UBP/3gpk0

承太郎(それは確かか?)ボソボソ

キョン(ああ、理由は言えないが、ここ数日、彼女は絶対に矢じりによって傷つけられていない…)

承太郎「……つまり、スタンドの才能を引き継いだものってわけか」

承太郎「俺と同じタイプのスタンド使い、か…」

みくる「す、スタンドってなんですかぁ……カメラスタンドならそっちの段ボール箱に入ってますよぉ…」

キョン「朝比奈さん、聞いてください」

みくる「な、ななななんですかぁ…?」

キョン「こいつらは悪い奴じゃないんです。ええと、そうだな…なんて言えばいいんだろう…」

承太郎「守護霊のような存在だ」

キョン「そう! それ! 不思議な能力を持った守護霊なんです、俺たちの」

承太郎「そうだ、そして朝比奈みくる、お前にもその素質がある」

みくる「そ、素質なんてありませんよぉ……怖いですぅ……」

105 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 15:55:30.51 ID:UBP/3gpk0

承太郎「やれやれだぜ…この手の女は苦手なんだがな…」

承太郎「スタンドは身の危険を勝手に排除するものでもある」

承太郎「つまり、こうすれば朝比奈のスタンドを無理やり引きずり出すことができる!」

スタープラチナ「オラァァァッッ!!」

みくる「ひゃ、ひゃああああ!」

バシィィィィッッ!!

キョン「と、止めた…?」

みくる「あう……ひっく…えぐ…」

承太郎「……こいつが、朝比奈のスタンドか…ポルナレフを思い出すぜ…」

みくる「ふぇ……ひゃぁ! 私の後ろにも!」

キョン「それは朝比奈さんの守護霊です。朝比奈さんをしっかり守ってくれますよ」

みくる「しゅ、守護霊さん、ですかぁ…?」

キョン「はい、そうです。怖がっちゃ、守護霊に失礼ですよ」

みくる「あ、そ、そうですよね…守護霊さん、ごめんなさい…」

キョン(中世の騎士のような甲冑、西洋の剣に盾を持ったスタンドか…特殊能力は何なんだろう…)

108 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 16:00:00.20 ID:UBP/3gpk0

一時間後

みくる「そ、そんなことが……だから、不穏因子ってこれのこと…? でも…」ボソボソ

キョン「とりあえず承太郎、これで俺たち側のスタンド使いは四人と一匹だな」

承太郎「ああ、仲間はいれはいるだけいい。特にスタンド同士の戦いでは、連携が取りやすい」

みくる「あ、あの……」

キョン「どうかしましたか?」

みくる「今の矢じりの話…本当だったらまずいかもです……」

キョン「どうしてですか? まさか友達がここ最近、切り傷を作ってたとか…」

みくる「そ、そうなんですっ!」

承太郎「そいつは誰だ? 今のうちに話をしておかないと、谷口に操られた状態で近づかれる可能性がある。それは避けたい」

みくる「あ、えっとそれは」

鶴屋さん「やっほー! ハルにゃんたちいるかーい?」

112 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 16:02:44.18 ID:UBP/3gpk0

みくる「あ…」

キョン「あ、鶴屋さんじゃないですか。見ての通り、今は三人です」

鶴屋さん「あー、そっかぁ」

キョン「どうしたんですか? 用事があるなら伝えておきますよ?」

鶴屋さん「んーにゃ、それはいいやっ!」

キョン「あれ、ハルヒに用事があったんじゃないんですか?」

鶴屋さん「んーん、ハルにゃんたちがいないことを確かめにきたのさっ!」

キョン「と、言いますと?」

鶴屋さん「んー、こんなこと言いにくいんだけど」

承太郎(やれやれだぜ……)




鶴屋さん「キョン君たち、死んでくれない?」

115 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 16:06:02.58 ID:UBP/3gpk0

みくる・キョン「!!」

鶴屋さん「なんかさ、よくわかんないけど、衝動が…すごくてさっ!」

キョン(石つぶて…? 本人が…?)

承太郎「…! キョンッッ! そこに突っ立てるんじゃねえッッ!」

ギュゥゥゥゥンッッ!

キョン「ごはッッ!!」

みくる「キョン君!!」

承太郎「くそッッ…!」

承太郎(こいつの能力…単純だが、それゆえに恐ろしいぜ……)

鶴屋さん「ありゃりゃ? 今のじゃ、ちーっとばかし『加速』が足りなかったみたいだねっ!」

119 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 16:10:08.15 ID:UBP/3gpk0

承太郎「キョン、あいつのスタンドの能力は『加速』だ。本人が投げたように見えたが、きっと何かしらスタンドの力が込められた石を投げたのだろう」

キョン「くそっ……」

みくる「きょ、キョン君…動かないでください…怪我が大きくなっちゃいますぅ…」

鶴屋さん「んー、この部室、ぶっ壊していいかい?」

鶴屋さん「私の力を使うには、この部室、ちっとせまいんだよねぇ」

承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールド!」

ピタァッ

承太郎「そんなにここが狭いなら出ていけばいい」

スタープラチナ「オラァァァッ!!」

ボゴォッ!


そして時は動き出す。


鶴屋さん「ガフッ!」

キョン「あ、窓から落ちる…」

123 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 16:16:41.03 ID:UBP/3gpk0

キョン「承太郎、やったか…?」

承太郎「いや、手ごたえはあったが、殺すには程遠い…」

承太郎(それに時を止めていられる時間もいつもより短かった…俺が動いていられる時間すらも『加速』したというのか…?)

承太郎「キョン…あまりザ・ワールドに頼らないほうがよさそうだぜ」

キョン「……そうか…」

みくる「キョン君…」

キョン「朝比奈さん…」

みくる「キョン君、大丈夫ですよ、きっとすぐによくなりますから」

キョン「朝比奈さん……避けて……部室の窓に…」

みくる「え…? き、きゃぁぁあああ!」

承太郎「なにッ! いつの間に、そこにッ!」

鶴屋さん「ふふ、何を驚いているんだい?」

承太郎(あいつを廊下の窓から吹き飛ばして、まだ十五秒ほどしか経っていない…)

承太郎(その十五秒で、誰にも気づかれず部室の窓から部室内に入ってきたって言うのか…? やれやれだぜ…)

128 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 16:19:58.22 ID:UBP/3gpk0

鶴屋さん「戻ってきただけじゃないよっ! こんなのも調達してみたっさ!」

キョン「が、画鋲…!」

鶴屋さん「さあ、いっくよー!」

キョン「ウェアリネス! 画鋲から『やる気』を奪え!」

ウェアリネス「ダリリリリィィィィィィイイイイッッッ!!!!!」

鶴屋さん「お、おろろ? 画鋲の針がふにゃふにゃしてきたさっ! わははははっ!」

承太郎「おい、女。油断してていいのか?」

承太郎「こっちは二人。そっちは一人。キョンがお前の攻撃手段を封じ、俺がお前を叩きのめす」

承太郎「さて、どうする。降伏するなら今のうちだぞ」

鶴屋さん「ふふん、なかなか面白いことを言う後輩だねっ!」

鶴屋さん「でもね、画鋲がこんなになっても超高速で飛ばせばどうなるっかな?」

134 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 16:24:20.19 ID:UBP/3gpk0

承太郎(小さなネジでも、高いところから落とせば下にいるヘルメットを貫通する…)

承太郎(こいつは、それを今やろうとしているのか…)

鶴屋さん「それじゃあ、いっくよー!」

ギュゥゥゥゥウウウウン!!!

承太郎(スタープラチナの動体視力ならどうってことはないッ…)

スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァアアアッッッ!!」

鶴屋さん「おおっ! すごいっさ! めがっさすごいっさ! んー! こういうのを待ってたんだっ!」

鶴屋さん「ねぇ! みくる? すごいと思わないっかい!?」

鶴屋さん「…って、あれ、みくるは?」

承太郎「………」

キョン「………」

鶴屋さん「ありゃー、逃げられちゃったみたいだねっ! 残念無念!」

142 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 16:28:30.64 ID:UBP/3gpk0

鶴屋さん「それじゃあ、君たちを殺してから、みくるも殺すかなっ!」

キョン「あ、朝比奈さんは関係ないだろっ…!」

鶴屋さん「そういう衝動なのさっ! 文句言わないでよねっ!」

鶴屋さん「キョン君だって無性にラーメンが食べたくなることとかないかいっ?」

鶴屋さん「それとおんなじさっ」

承太郎「さあ、どうする。画鋲は通用しなかったぜ? まだやるか?」

鶴屋さん「はっはーん、君、君ィ、私のことなめてもらっちゃぁ、困るっさ!」

承太郎「…」

鶴屋さん「加速させる…そう、それは確かにひ弱な物体でもダメージを与えることができる能力っさ」

鶴屋さん「でも、それだけじゃあないんだなっ!」

バキバキィィィッッ!

承太郎「…ッ!」

キョン「床が抜けたァァッ!?」

鶴屋さん「そこさっっ!!」

ギュゥゥゥウンンン!!

148 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 16:33:09.25 ID:UBP/3gpk0

キョン(まずいッ……! 床を『加速』させ、腐らせて承太郎の足を封じるなんて…!)

キョン(それにスタンドが見えない…こんなにスタンドの能力が強いんだから、近くにいるはずなのにッ…)

スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラアアァァァァッッ!!」

承太郎「くっ…」

鶴屋さん「ははははは! その姿勢じゃあ、満足に避けることも、スタンドで画鋲をはじくこともできなさそうだねぇ!」

鶴屋さん「君の能力、私が推測するに『時間を止めること』じゃないかい?」

承太郎「ッ…」

キョン(そうだった…鶴屋さんは…スタンドがなくても、鶴屋さん本人が何かしら不思議な力を持った人だった…)

キョン(それを忘れるなんて…)

鶴屋さん「大当たりみたいだねっ! いやぁ、私って、実はすごいんじゃないかなっ!」

152 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 16:36:31.47 ID:UBP/3gpk0

承太郎「さて。俺は脚をとられ満足に回避できない。キョンも初撃のダメージが強すぎて、満足にスタンドを操ることすらできない」

承太郎「これからお前はどうする」

鶴屋さん「んー、そうだねっ。君たちを殺すよっ!」

承太郎「そうか」


ゴインッッッ!


鶴屋さん「あ、あれぇ…? なんでみくるが…後ろにいるの、かな…」

ドザァァァッ……

キョン「え、あ、あれ? …どうして、朝比奈さんが?」

承太郎「…やれやれだぜ」

みくる「鶴屋さん…」

170 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 16:46:05.25 ID:UBP/3gpk0

キョン「うわぁ……分厚い盾で頭をガツンか…痛そ…」

承太郎「助かった、朝比奈」

みくる「いえ、私がこの能力を使えるようになったのも、承太郎君のおかげですし…」

キョン「しかし、朝比奈さん、朝比奈さんのスタンドって一体どんな能力なんですか?」

承太郎「そうだな…突然姿を消したときはスタンドかとうすうす思っていたが…」

承太郎「俺もそれは気になっていたぜ」

みくる「ふふ…禁則事項です」

キョン・承太郎「……やれやれだぜ」




キョン …鶴屋さんのスタンドによって加速した石つぶてで負傷。命に別状はない。
みくる …スタンドの素質があり、承太郎によって無理やり覚醒させられたが、そのスタンドでキョンと承太郎を救う。スタンド名:トラベル・ガーディアン(命名:承太郎)
トラベル・ガーディアン …みくるのスタンド。中世騎士のような出で立ち。
鶴屋さん …谷口に操られていた模様。朝比奈みくるのトラベル・ガーディアンによって気絶させられる。スタンド名:プレザント・アクセリレーション(命名:承太郎)
プレゼント・アクセリレーション …『加速』する能力。本人は気づいていないが、使い方によっては非常に強力。

186 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 16:53:15.43 ID:UBP/3gpk0

キョン「あ! 承太郎、鶴屋さんの手を見てくれ」

承太郎「……なるほど、この小人が『加速』させていた、というわけか」

キョン「ああ……朝比奈さん、床は直りそうですか?」

みくる「はい、もちろんです」



あの後、俺と承太郎は、気絶する鶴屋さんのためにとりあえず寝袋を敷きその上に寝かせた。

なぜ寝袋があるのかは知らん。ハルヒがキャンプか何かをするために用意しておいたのだろう。

それから、朝比奈さんのスタンドの能力を改めて訊いた。

禁則事項、は朝比奈さんなりのちょっとした冗談だったらしい。

彼女のスタンド、トラベル・ガーディアンの能力は、承太郎の『時を止める能力』に似ている。

『時を操作する能力』と言うのが一番分かりやすいだろうか。

何か物体の時間を、ゆっくりではあるが巻き戻したり進めたりすることができる。

だが、その能力を自分に使おうとすることはできない。

自分に能力を使うと、自身は時空のはざまに飲まれ、ほんの数十秒間だけ未来に進むことができるそうだ。

195 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 16:57:03.26 ID:UBP/3gpk0

キョン「つまり、朝比奈さんは能力を自分に使ってみて、時空に飲まれ」

キョン「ポッと出てきた時間が、あの鶴屋さんの真後ろだった、ってことですか?」

みくる「そういうことだと思います…私にもよくわからなくて…」

承太郎「スタンドっていうのは不可思議な能力が多い」

承太郎「俺のじいさんの能力も、使えば使うほどいろんなことができることが分かった」

承太郎「キョンも、朝比奈も、これからスタンドを使いこんで、可能性を見出せばいい。それだけだ」

キョン「なるほどなぁ…」

キョン(俺のウェアリネス……画鋲を狙ったとき、鶴屋さんには当たらなかったのか…?)

キョン(それとも、他の要因があるのか…? くそっ…)

211 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 17:01:15.10 ID:UBP/3gpk0

ちょいと休憩しますー

15分くらいに再開しますね

244 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 17:19:27.52 ID:UBP/3gpk0

ただいまです

続き書きますね

252 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 17:26:23.30 ID:UBP/3gpk0

一方、同時刻  とある住宅街


阪中(ふふ、ルソー、あんなに喜んじゃって)

阪中(フェイスフリーも可愛いけど、ルソーも可愛いのね)

阪中(……犬ってやっぱり可愛い…)

阪中(…あれ? あの人って確か…)




阪中「長門さん!」

長門「……」

阪中「お久しぶりなのね」

長門「……久しぶり」

阪中「これからどこか行くの?」

長門「……ここが目的地」

阪中「え?」

長門「ここである人物を探していた」

259 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 17:35:14.83 ID:UBP/3gpk0

阪中「え、そ、それってもしかして…」

長門「………不穏因子」

阪中「ちょ、ちょっと待ってほしいのね! そ、そのナイフ! しまうのね!」

長門「問答無用」

ガシィィンッッ!!

長門「……」

阪中「ふぇ、フェイスフリー!」

フェイスフリー「ガルルルルルゥゥッ」

長門「チッ」

阪中「あ、長門さん! 待つのね!」

阪中「……長門さん?」

266 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 17:40:44.50 ID:UBP/3gpk0

部室
キョン「鶴屋さん、今までの話、理解できましたか?」

鶴屋さん「うん、なんとなく…かな。でも、こんな坂道しかないような高校に、そんなすっごい事件が起きてたなんてねー」

承太郎「ただ、この事件は絶対に公的な機関に発表してはいけない」

承太郎「スタンド能力が今の世界に知られたら、戦争の引き金になりかねない」

承太郎「この事件は、スタンドを知る者のみで解決しなければならない」

鶴屋さん「そうみたいっさ…」

みくる「そう、ですね……」

ブーッ、ブーッ

キョン「っと、電話だ。すまん」

キョン「阪中か? どうした」

阪中『ついさっき、敵の攻撃を受けたのね』

キョン「何だって!?」

269 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 17:43:44.39 ID:UBP/3gpk0

阪中『長門さんが急にナイフで切りかかってきたんだけど』

キョン「長門が…?」

阪中『聞いて、キョン君。その長門さん、なんていうか、長門さんらしくなかったの』

キョン「…どういうことだ?」

阪中『なんていうんだろう、どこか表情というか感情というか、長門さんらしくなかった…』

キョン「……あいまいだな」

阪中『……もしかしてキョン君、私を疑ってるの?』

キョン「いや、たしかに感覚で何か違うっていうのはよくあることだ。そこは分かるが…」

阪中『あ、そ、そうだ! 長門さん、舌打ちしてた!』

キョン「舌打ち?」

阪中『そう! 長門さん、私がスタンドで攻撃を防いだ時、たしかにチッって!』

272 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 17:47:10.82 ID:UBP/3gpk0

キョン(いくら長門が人間らしくなってきてるからといって、舌打ちをするような奴か…?)

キョン「阪中、その長門はどこに行ったか分かるか?」

阪中『ううん、詳しくは分からないけど、学校とは反対側にある、廃ビルのほうへ行ったみたいだったのね』

キョン「廃ビル…?」

阪中『私にもよくわからないのね…』

ガチャリ

みくる「あ、長門さん。お茶飲みますか?」

キョン「何ッ!?」

長門「……?」

阪中『キョン君? どうかしたの? ねぇ、キョン君?』

276 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 17:50:56.36 ID:UBP/3gpk0

承太郎「おい、キョン、どうした?」

キョン(まずい……部室にいる長門、そして、今電話をしている阪中…絶対にどっちかが偽物だ…)

キョン(部室にいる長門が偽物だった場合、朝比奈さんや鶴屋さんは完全に油断しているから、俺が指摘してもあっという間にやられる可能性がある…)

キョン(阪中が偽物だった場合、本物の阪中がすでに人質にとられている可能性がある…)

キョン(どちらにしろ、仲間の命がかかっているッ…!)

承太郎「おい、キョン。どうした、と訊いている」

281 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 17:53:30.40 ID:UBP/3gpk0

みくる「長門さん、今までどちらにいたんですかぁ?」

キョン(朝比奈さん、ナイスだッ!!)

阪中『ねぇ、キョン君。何かあったの?』

キョン「ああ、いや何でもない。断じて何でもないぞ」

長門「……隣」

みくる「コンピュータ研究会さんですかぁ」

鶴屋さん「長門っちはコンピューターすごいんだってねー! 私はちょこっとしかいじれないからうらやましいっさ!」

284 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 17:57:03.28 ID:UBP/3gpk0

キョン「あ、阪中! 悪い、電池が切れそうだ。また後でかけなおすか、学校に来てくれ!」

阪中『あ、え、ちょっと待つのね! 敵が現れたのにそんなにのんびりしてていいの!?』

キョン「待て、俺だって馬鹿じゃない。敵が現れて、廃ビルに逃げ込んだ。それにまんまと釣られていって待ち伏せをくらったらただのバカだ」

キョン「こっちには承太郎たちがいる。これから俺たちもそっちに向かうから、そうだな、阪中の家で待ち合わせよう、いいな」

阪中『あ、ちょ、えーっと、ダメなのね。そんなにたくさんの人、入れられないのね』

キョン「どうして? 前はあんなに大勢でけしかけても断らなかったのに?」

阪中『あ、え、っと、その…』

288 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:00:40.82 ID:UBP/3gpk0

キョン「お前、偽物だな?」

阪中『…え? わ、私を疑ってるのね!?』

キョン「阪中、お前はものすごくまじめで、いい人だ」

キョン「俺が授業を妨害しようとしたとき、お前は俺を止め、授業が終わった後、わざわざ怒りに来るくらいにな」

キョン「そんな人が『来てくれ』だの『待ち合わせよう』だの適当に指示されたり、家に大勢で無理やりけしかけられそうになったら」

キョン「もし、俺がその人の立場だったらもっとちゃんと順番に物事を進めようとするけどな?」

キョン「なぁ、阪中?」

キョン「たしかに阪中は流されやすいタイプだとは思うが、きちっとした真面目な人だってことくらいは1年からの付き合いで分かってるぜ?」

阪中『…クソッ!バレたかッッ!!』

キョン(うわ、かまかけたら当たったよ…)

300 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:07:13.97 ID:UBP/3gpk0

キョン「ちっ、切られたか…!」

承太郎「キョン、どうした?」

キョン「阪中と長門の偽物が現れた! 敵の可能性が充分ある!」

みくる「ひっ…」

キョン「長門、お前は確かにコンピュータ研にいたんだな?」

長門 コクリ

キョン「それを証明できる人はいるか?」

長門「コンピュータ研の五人。プログラミングの手伝いをしていた」

キョン(プログラミングか…長門の腕前は、どれだけ精巧な偽物でも真似できまい)

キョン「みんな、この長門は本物だ」

承太郎「これからどうする? 俺は直接阪中と話をしていないから、状況がいまいち分からないんだが…」

キョン「……そうだな、とりあえず本物の阪中を部室に呼ぼう」

305 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:10:30.66 ID:UBP/3gpk0

キョン「ああ、阪中、俺だ。偽物の長門が現れたんだってな…ああ、そうだ、今さっきそいつと話してた」



みくる「偽物、ですかぁ…怖いですぅ…」

鶴屋さん「大丈夫っさ! みくるの偽物が現れても私は一発で見分けられるよっ!」

みくる「え? 本当ですかぁ? そ、それはちょっと嬉しいですぅ」

鶴屋さん「だってぇ、ここ、ここ!」

みくる「ふぇ……っっ!」

鶴屋さん「あははっはははっ! ごめんよ、みくるっ! て、ちょっと! スタンドはだめっ! ダメだってば!」

309 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:14:37.43 ID:UBP/3gpk0

鶴屋さん「いいじゃないか、ほくろ。可愛いと思うけどなぁ」

みくる「鶴屋さんは変わってるんですぅ!」

鶴屋さん「はぁ……笑った笑った!」

鶴屋さん「さて、笑ったところでキョン君、一つ見落としてることがあるよ」

キョン「え?」

鶴屋さん「キョン君は今、長門っちが本物だと思ってるよね?」

キョン「え、あ、はい」

鶴屋さん「もしも」

鶴屋さん・承太郎「コンピュータ研の誰かがスタンド使いだったら?」

鶴屋さん「お、承太郎君、わかってるねぇ」

承太郎「ふん…」

キョン「…あっ! そうかっ!」

長門「………」

みくる「長門さん、汗、すごいですぅ…」

310 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:19:00.21 ID:UBP/3gpk0

承太郎「やれやれ、電話の相手をしていた偽物をだしぬいた時は『やるじゃねえか』と思ったが、まだまだだな、キョン」

キョン「全く思いつかなかった…」

キョン「コンピュータ研…もうSOS団にいちゃもんつけることはないと思ってたが…こんなことでまた対峙することになるなんてな…」

承太郎「隣に行くぞ」

鶴屋さん「私も一緒に行くっさ!」

キョン「それじゃあ、俺はこの長門を見張ってる」

みくる「私もキョン君と一緒にいますぅ」




コンピュータ研究会 部室

鶴屋さん「たのーもー!」

承太郎「…空っぽか……」

鶴屋さん「電気は消えてるね。けど」

承太郎「椅子が温かい。奴ら、詰めが甘いぜ…」

313 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:26:40.51 ID:UBP/3gpk0

承太郎「おそらくあの偽物の長門とスタンド使いは繋がっていたのだろう」

鶴屋さん「そして、バレたから急いで隠れた。もしくは逃げたってところかな」

承太郎「もし、ばれてから現在までのわずかな時間で逃げたのだとしたら、もっと騒がしくなっているはず」

鶴屋さん「だから、この部屋のどこかに隠れた」

承太郎「あとはシラミつぶしか。素直に出てくれば何もしないでやろうと思ったが…」

鶴屋さん「素直に出てこないと、どうするんだい? 承太郎君?」

承太郎「……顔面たたきつぶす。そういうあんたは?」

鶴屋さん「ああっと! 偶然ポケットに、おっきいボルトが入っていたよー! これを体にぶちこんじゃおうかなぁ!」

ガタンッッ!

部長「ひ、ひぃぃ!! 許してくださぁい!」

鶴屋さん「掃除箱に隠れていたのかぁ」

承太郎「……やれやれだぜ」

316 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:29:21.79 ID:UBP/3gpk0

下校時間 部室

キョン「結局、阪中の奴こなかったな…」

承太郎「……」

みくる「あ、あの…みんなで阪中さんの家に行きませんか?」

鶴屋さん「そうだね…敵が学校にしか現れないとは限らないしさ…谷口もどこに潜んでるか分からないし…」

キョン「よし、行ってみるか」

承太郎「それがいいだろう」

部長「あ、あの、僕は、どうすれば…」

ガシィィッ

部長「あ……ちょ……首、しまr……」

承太郎「てめぇはこれから俺たちの言うことだけを聞け。いいな?」

部長「あ、は、はひ……」

318 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:32:34.72 ID:UBP/3gpk0

道中

ワンワンワン!! ワン!

キョン「近くで犬が鳴いてるなぁ」

承太郎「これはフェイスフリーではないな。どこかの飼い犬だろう」

みくる「阪中さんの犬かもしれませんよぅ?」

キョン「…嫌な予感がする…行ってみよう」






キョン「阪中ッッ! どうした、阪中ッ!」

阪中「キョン、君……た、谷口……」

承太郎「何…?」

阪中「谷口……あっちの……ビル……」

キョン「廃ビル…?」

321 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:36:09.52 ID:UBP/3gpk0

キョン「朝比奈さん、阪中、どうですか?」

みくる「大丈夫です……命ある限り、このスタンドは絶対に健康だった状態まで戻せますから…」

阪中「……」

承太郎「治療が終わったら、阪中を家まで送り届けて、それからこのビルに乗り込む。いいな?」

キョン「ああ」

鶴屋さん「了解っさ!」

部長「あ、あの、僕は…」

ガシィィッッ

承太郎「おい…」

部長「ひぃぃぃぃぃいいいいいい」

327 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:41:43.77 ID:UBP/3gpk0

廃ビル

眠る阪中を家まで送り届け(母親になぜ阪中が寝っぱなしなのかを言い訳するのが大変だった)

それから俺たちは、阪中が言い残した谷口の潜むビルへと入っていた。

承太郎「いいか、俺たちは待ち伏せされている状態だ。うかつに一人で進むなよ」

キョン「ああ……」

キョン(阪中のフェイスフリー・ドッグを破った谷口のスタンド……一体、どんな能力なんだ…)

承太郎「おい」

部長「は、はひっ!」

承太郎「お前のスタンドを谷口に化けさせて、進ませろ」ボソボソ

部長「ええええええ!」

承太郎「うまくやれば生き残れるかもしれないが、やらなければ確実に死ぬぜ」

部長「は、はひぃ!」

328 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:44:21.48 ID:UBP/3gpk0

5分後
部長「……」

10分後
部長「……」

15分後
部長「……」

20分後
部長「………ぐぶっ…ごぶぁぁぁ!」

承太郎「部長が攻撃を受けたか。朝比奈、こいつを治療してどこで攻撃を受けたか訊き出せ」

みくる「は、はい!」

キョン「俺たちは警戒だな…?」

承太郎「……ああ」

330 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:46:35.65 ID:UBP/3gpk0

みくる「あ、あの……信じられないんですけど……」

キョン「はい?」

みくる「部長さん、その……お、おし…お尻に攻撃を受けたみたいで……」

承太郎「尻だと?」

みくる「はい……その、敵と言うのが」

???「おやおや、みなさんでしたか」

キョン「その声はまさかッ……」

古泉「僕ですよ、古泉一樹です」

335 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:49:20.46 ID:UBP/3gpk0

古泉「谷口様の命令を受けて来てみれば……皆さんが勢ぞろいしていたなんてねぇ…」

キョン「谷口、様だと?」

承太郎「待てキョン、こいつも操られている」

古泉「ふふ……そこの部長さん、なかなかいいお尻でしたよ」

キョン「……おい、まさか、いや、もしかして…」

承太郎「今回危ないのは俺たちのようだな……やれやれだぜ…」

みくる「え? ど、どういうことですかぁ?」

鶴屋さん「み、みくるは知らなくていいんじゃないっかな…?」

みくる「ど、どうしてですかぁ? 私だって皆さんと戦いたいですぅ!」

キョン「朝比奈さん、いつでもお尻の治療できるように待機していてください…」

みくる「…は、はい…」

340 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:52:55.09 ID:UBP/3gpk0

古泉「で、す、が、あくまで谷口様の障害となるあなたたちの排除が優先です」

キョン「やれるもんなら…こいっ!」

古泉「んもっふ!」

承太郎(赤い玉を投げつけて攻撃…さて、このあと玉はどうなるッ?)

キョン「外れたッ?」

古泉「んふ、まだですよ? もっっっふ!!」

承太郎「違うッ! 後ろに回り込んだだけだ!」

キョン「なんで棒状になって尻めがけて飛んでくるんだよォォッ!!」

承太郎「ザ・ワールドッッ!」

ピタァッ

承太郎(キョンを弾道から逸らすぜ)


そして時は動き出す


キョン「…ッ、承太郎か…助かったぜ…」

342 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 18:57:29.72 ID:UBP/3gpk0

古泉「まだまだ追いかけますよ! もふもふもふもふ、ふんもっっっふっっ!!!」

キョン「避けても避けても追いかけてきやがるッッ!」

キョン「くそっ! ウェアリネス! あの棒の『やる気』を奪えッッ!」

ウェアリネス「ダリリリリィィィイィイイイッッ!!!!」

古泉「おっと……玉が溶けてなくなってしまいましたね……残念です。んふっ」

承太郎「やれやれだぜ…こんな危ない野郎、とっとと片つけてやる」

承太郎「スタープラチナ・ザ・ワール…」

バコォォォッッッ!!

承太郎「なッッ!」

キョン「廃ビルで床がもろくなってやがったのかッ! 承太郎ッッ!」



古泉「さって、頼りになる承太郎君は地下の部屋にいるようですね」

キョン(なんだろう……谷口に追われた時、阪中に襲われた時、鶴屋さんと対峙した時、そのどちらよりも身の危険を感じているッッ!)

345 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 19:02:43.02 ID:UBP/3gpk0

古泉「……ふふっ、あなたのウェアリネスというスタンド、非常に素晴らしい能力です…」

古泉「ですが、僕は弱点を見抜いてしまいましたよ?」

キョン「……?」

古泉「ふふ、あなたのウェアリネス、能力の対象が『何をやるつもりなのか』をあなたが理解していないと効果を発揮しない。違いますか?」

キョン(……ッ! そうか…! だからだったのかッ!)

古泉「それを理解したうえで、僕はどんどん攻撃しますよ?」

古泉「もっっっっっっふぅぅ!」

キョン(棒が三本ッ…!)

キョン「ウェアリネスッッ!」

ウェアリネス「ダリダリダリダリダリダリダリィィィィィィィィィッッッッ!!!!」

キョン「何だとッ! 棒が消えないッッ!」

古泉「ふふ、言ったでしょう? あなたは、この棒の『やる気』の目的を理解していない」

346 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 19:05:24.59 ID:UBP/3gpk0

キョン(このままじゃ、童貞よりも先に別のものを卒業しちまいそうだッ!)

キョン(……ん? てことは、この棒の目的は『俺を殺す』ではなく……)

ウェアリネス「ダリィィィィィィィッッ!!!」

キョン「消えたッ…!」

古泉「ほう…」

キョン(消せたのはうれしいんだが……これは…改めて身の危険を感じるぜ…)





一方、地下

承太郎「やれやれ……ついてないぜ……」

???「あなたを待っていた…」

承太郎「ッ!」

???「あなたを殺す。全て作戦のうち」

承太郎「お前はッ…」

349 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 19:08:14.50 ID:UBP/3gpk0

承太郎「長門ッッ!」

承太郎(長門まで操られて……谷口の野郎…)

長門「あなたを殺すのが私の目的」

承太郎「お前みたいなひ弱そうな女に殺されるつもりはない。どきな」

長門「無理」

承太郎「そうか…」

ザ・ワールドッッ!!


ピタァッッ!



承太郎「容赦はしないぜ…」

オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァァッッッ!!



そして時は動き出す

351 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 19:11:58.19 ID:UBP/3gpk0

長門「無駄。肉体の損傷は基本的に問題ない」

承太郎(何ィッ!? こいつも谷口のように傷を治す能力を持ったスタンドかッ!?)

長門「あなたを殺す。死んで」

承太郎(ずいぶんサイバーな容姿のスタンドだな……ん)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ………

承太郎(床かッ!)

バタァァァンッッ!

承太郎(前後の床が起き上がって俺をつぶそうとするとはな…)

承太郎(時を止めなければ反応できなかったぜ……)

承太郎(しかし、どうする……長門本体にもスタンドにも謎が多すぎる……)

355 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 19:16:10.05 ID:UBP/3gpk0

一方、ビル内

古泉「さあ、どうしました? 息が上がってますよ?」

キョン(尻をかばいながら戦ったら、そりゃ、息も上がるってーのッ!)

キョン(鶴屋さんは、治療を続けている朝比奈さんの護衛をしなきゃいけないし…)

キョン(ああ、くそッッ! 古泉、嫌な能力だぜッ!)


ワォォォォォオオオオオオオオオン……


古泉「おや…? 狼、でしょうか? こんな街に?」

キョン(…ッ! この声はッ!)

バゴォォォォン!!

キョン「っつ…! さ、阪中ッ!」

阪中「待たせたのね!」

キョン「犬の群れでビルの壁をぶち破るなんて…やれやれ…」

360 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 19:18:51.12 ID:UBP/3gpk0

キョン「傷はもういいのか?」

阪中「うん、朝比奈先輩のおかげで大丈夫なのね」

キョン「よし、とっとと古泉を倒して、地下に落とされた承太郎を助けるぞ」

阪中「その心配はないのね」

キョン「え?」

阪中「強力な助っ人を呼んできたのね」

キョン「あ……お前はッッ!」





地下

承太郎(くっ……長門のスタンド…待針のようなアンテナを飛ばして触れたものをコントロールするだと…?)

承太郎(瓦礫だらけのこの部屋じゃ……長門が圧倒的に有利ッッ…)

承太郎(時を止めても…避けるだけで精いっぱい、かッ…)

363 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 19:22:58.38 ID:UBP/3gpk0

長門「……とどめ」

承太郎(ッ…! 死角からッッ! 時を止めても無理かッ…)

ドゴォォォッッッ!

承太郎(っく……ずいぶん、でけぇ塊をくらっちまった……やれやれ、だぜ…)

ヒュゥゥゥゥゥゥ、スタッッ!

承太郎(な、んだ…?)

長門「誰」

???「誰って聞かれても答えようがない」

長門「……あなたは」

承太郎(…猫ッ…?)

シャミ「飼い主を捜して歩いていたら、見知らぬ犬にくわえられ、ここまで持ってこられた」

シャミ「今の私はむしゃくしゃしているぞ」

365 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 19:25:57.20 ID:UBP/3gpk0

ビル内

キョン「古泉の能力は、赤いスライムのようなものを自由自在に操られる能力だ」

阪中「攻めにも守りにも使えるってわけなのね」

古泉「攻めにも受けにも、と言ってほしいものですね」

阪中「受け…?」

キョン「ああ、そういうのはいいから」

古泉「んふ、困ったものです」

阪中「フェイスフリーッッ! 突っ込んでッッ!」

フェイスフリー「ワォォォォォォオオオッッ!」

ボヨォォォォンッ

阪中「…あの赤いバリアみたいなの、やっかいなのね」

キョン「そうなんだ…あのバリアを張っている理由がわからなければ、俺もあのバリアを消せない…」

366 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 19:28:02.91 ID:UBP/3gpk0

阪中「だったら、これならどうかしらッッ!」

キョン「ん?」

阪中「フェイスフリーッ! 集まってッッ!」

キョン「お、おい……嘘だろ……?」

阪中「フェイスフリーは一匹一匹は確かに力が弱いのね」

阪中「でも、集まって、一つになれば」

阪中「こんなこともできるのねッ!」

キョン「巨大化しただとォォッッ!」

古泉「おやおや、困りものですねぇ」

369 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 19:31:01.86 ID:UBP/3gpk0

阪中「フェイスフリーッ! ぶっ潰してッッ!!」

フェイスフリー「ウガォォォオオオオオッッ!!」

古泉「ぐ……うぐ……」

キョン「いけぇぇぇッッ! フェイスフリーッッ! あいつのバリアを破れェェェッッ!!」

古泉「さ、させるか……ッッ! このバリアであなたを包み込んで四方八方から攻めまくるまでこのバリアは消しませんよォォォッッ!!」

キョン「それが目的かよォォォォッッッ!!!」

古泉「ハッ…しまっ……」

ウェアリネス「ダリィィィィイイイイイイッッッ!!」

キョン「バリアが消えたッッ! やれッ! 阪中ァァァッッ!! フェイスフリィィィィッッ!!」

ドゴォォォォォッッッ!!

371 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 19:35:06.01 ID:UBP/3gpk0

古泉「………も、っふ………」

阪中「気を失ってるだけみたいなのね…」

キョン「ある意味、一番危険を感じた敵だったよ…阪中、ありがとうな…」

阪中「あ、別にいいのね…谷口君にやられてた私を運んでくれたのはキョン君たちだし、恩返ししたかったのね」

阪中「朝比奈先輩、鶴屋先輩、キョン君、ありがとうなのね」

みくる「わ、私は当然のことをしたまでですからっ、気にしないでくださいっ」

鶴屋さん「そうそうっ! そんなこと気にしないのが一番さっ!」

阪中「ありがとうございますっ!」

キョン「…あ、そうだ! 承太郎を助けにいかないとッ!」

阪中「大丈夫なのね、キョン君」

キョン「…え?」

阪中「あなたの猫さん、すごく強いから」

381 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/16(土) 19:45:27.39 ID:UBP/3gpk0

とりあえずスタンド能力まとめ

キョン……ウェアリネス・ライフ
・人型のスタンド、魔法使いのような長い帽子にマントをまとっている。
・対象物の『やる気』を奪い、無理やり倦怠期を迎えさせる。
・対象物の『やる気』の目的を、キョンが理解していないと効果は発揮されない。
・一応、接近戦パワー型だがスタープラチナよりも弱いのであまり目立たない。

阪中……フェイスフリー・ドッグ
・犬型のスタンド。シベリアンハスキーのように狼に近いが犬。
・複数に分裂しているときは、スピードで相手を撹乱し、確実にダメージを与える。
・合体して一つになると、強大な力を手に入れる。スピードはがた落ち。
・典型的な接近戦パワー型。

みくる……トラベル・ガーディアン
・人型のスタンド。中世騎士のような出で立ち。
・対象物の『状態』の時間を巻き戻し、過去の状態に戻したり、未来の状態に進めたりすることができる。
 そのスピードはゆっくりであるため、治療するときなどは隙だらけになる。
・自分にはその能力は使えず、自分に能力を向けると、時空のはざまへ飛ばされ、数十秒先へワープする。その移動先は指定できない。
・剣と盾があるので一応接近戦はできるが、動きは鈍く、戦闘向きではない。

鶴屋さん……プレゼント・アクセリレーション
・小人のスタンド。基本的に鶴屋さんの手のひらに収まっている。
・対象物を『加速』し、小さな石つぶてでも相手に致命傷を負わせることが可能。
・また、速度の存在しないもの(床や壁などの静止しているもの)に使うと、時間が加速し、一気に老朽したりする。
・中距離で戦うのがベターなスタンド。接近戦にはとことん弱いが、鶴屋さん本人の力で何とかなっている。

568 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 17:09:20.40 ID:ndxacCfG0

キョン「強いって言ったって、下にいる相手が誰なのか分からないし、それに…」

阪中「大丈夫……あなたの猫さんの能力……私たち生き物に対しては、最強と言えるかもしれないのね…」

キョン「…そ、その能力って…一体…?」




地下

長門「…シャミセン」

承太郎「シャミセン、だと…?」

シャミ「いかにも。私はシャミセンと名付けられた三毛猫だ」

承太郎(たしか、スタンドを手に入れた、キョンの飼い猫だったか…)

長門「あなたの参戦は想定外。規模の変化は想定内」

長門「死んで」

シャミ「私はただ家でごろごろしていたいだけなのに、どうしてこんなことに巻き込まれるんだろうか…」

569 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 17:13:16.55 ID:ndxacCfG0

シャミ「承太郎といったか」

承太郎「……なんだ…」

シャミ「スタンドで岩の壁を作り、私の姿を見えないようにするんだ、いいな」

承太郎「スタープラチナ」

バゴゴゴゴゴォッ

承太郎「これで、いいのか?」

シャミ「大丈夫だ」

長門「………これで終わり」

シャミ(四方八方、360度に敵支配下の石つぶてが浮遊してるな……)

シャミ(だが、問題ない)



シャミ「行くぞッッ! インサニティ・タイガーッ!!」

572 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 17:17:38.22 ID:ndxacCfG0

ガオオオオオオオォォゥゥゥゥゥッッッ!

長門「………ッ」

パラパラパラパラパラ……

承太郎(石つぶての落ちる音……? 一体、何が…?)

シャミ「どうしたのかね、石つぶてを落としたりして」

長門(肉体の制御が不可能。情報統合思念体より、新たな制御プログラムを入手)


シャミ「む」

長門「肉体の制御権を再入手。死んで」

シャミ「ふふ…どのようにして体を動かせるようにしたかは知らないが」

長門「……ッ」

シャミ「スタンドは動かせないようだね」

長門「………」

長門「やむをえない。強硬手段。谷口に近づく者を排除する」

574 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 17:20:36.35 ID:ndxacCfG0

シャミ「無駄なのだよ」

インサニティ「ガオオウゥゥゥゥッッ!」

長門「…ッ」

長門(肉体が制御できない。あのスタンドの能力は何)

シャミ「無駄だッ」

バキィィィッッッ!

長門「……ッ…」

シャミ「もう君に勝ち目はない」

シャミ「私のインサニティ・タイガーの前に立ったことを悔やむんだな」

インサニティ「ガウゥッッ!」

バシィィッッ!

長門「……そちらの行動が無駄」

シャミ「ほう。インサニティの一撃を受け止めるか」

575 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 17:23:59.00 ID:ndxacCfG0

長門(シャミセンは、戦闘前、空条承太郎に『自分の姿を見せない』ようにした)

長門(つまり、スタンド能力は、音や波動ではなく『スタンドの姿』に関係ある)

インサニティ「ガオオオオゥゥゥゥッッ」

長門「……ッ」

長門(また。肉体が制御不可能)

バキィィッッッ!!

シャミ「もう抵抗はやめないか」

シャミ「行動できない相手を痛めつける趣味はないのでね」

シャミ「……まだ立ち上がるか。こちらこそやむをえまい」

シャミ「次でとどめを刺させてもらう」

長門(……あのトラの姿を見ないように戦う)

576 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 17:27:49.32 ID:ndxacCfG0

インサニティ「ガオオオオオゥゥゥッ!」

シャミ「!」

シャミ(あの人間、気づいたのか。私のスタンドの能力に)

長門(行動可能。トラの姿を見ないように、情報操作でシャミセンをただの猫に戻す)

長門(情報操作で命を消すようなことをしなければ、地球に何の後遺症を残すこともない)

長門「....................................................」

シャミ「…む」

シャミ(何かをしようとしているな…)

長門「......................................................................................................................これで終わり」



サラサラサラサラサラサラサラサラ……



シャミ「まだ気づいていないようだな」

長門「…ッ!?」

578 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 17:31:34.33 ID:ndxacCfG0

長門(私のスタンドが………消えていく…? なぜ…?)

シャミ「君は私のスタンドの能力を勘違いしている」

シャミ「私のスタンドは、ただ動きを止めるだけじゃない」

シャミ「その生命体の、神経に直接刺激を与え、無意識のうちに行動を混乱させるという能力だ」

シャミ「君がどのような方法を使って、体の硬直から立ち直ったのかは知らないが」

シャミ「蓄積した刺激が、たまりにたまって、最後の最後で暴発したのだ」

シャミ「おわかりかね?」

長門「そんな馬鹿な…」

シャミ「そもそも、私のスタンドを見ようともせずただ何かをぶつぶつと唱えている敵を、私が追撃しないと思ったかい?」

シャミ「追撃しなかったのではない。追撃する必要がなかったのだよ」

シャミ「君の負けだ。完全なまでにね」

シャミ「だから言っただろう?」


シャミ「無駄だ、と」

586 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 17:39:35.83 ID:ndxacCfG0

シャミ「さぁ、承太郎よ」

シャミ「相手はもう何もできない。私のスタンドが神経を支配したも同然だからね」

シャミ「煮るなり焼くなり、好きにするんだ。私は生が一番美味しいと思うがね」

承太郎「……俺を、野生の獣と一緒にするな」

承太郎「今までの敵は気絶させれば谷口の洗脳から解放されていた」

承太郎「長門とやら、悪いが気絶させてもらうぜ」

長門  …コクリ

スタープラチナ「オラァッッッ!」

ドスゥゥゥッッ!

長門「………」

承太郎「ふぅ……まさか、猫に助けられる日が来るなんてな…やれやれだぜ」


古泉一樹 …谷口に洗脳されていたが、阪中・キョンペアによって倒され、洗脳から解放される。スタンド名:尻狙い(命名:キョン)
尻狙い …古泉一樹のスタンド。真っ赤なスライムのようなスタンドで、武器に変形させたり、バリアにしたりと多彩な技を持っている。
       キョンの尻を執拗に狙ったことで不名誉な名前をつけられる。
長門有希 …谷口に洗脳されていたが、シャミセン・承太郎ペアによって倒され、洗脳から解放される。スタンド名:スノウ・マスター(命名:承太郎)
スノウ・マスター …長門有希のスタンド。長門本人と似たような背格好、人間女性型のスタンド。
             待針のようなアンテナを飛ばし、当たった物体を支配下に置く。だが、生命体に対しては生命体の神経が存在するため
             物体ほどうまくコントロールすることができない。長門本人の情報操作を逆手に取られ、消滅。

592 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 17:46:00.30 ID:ndxacCfG0

シャミセン …飼い主を探しがてら散歩しているところ、無理やり阪中とフェイスフリー・ドッグによって廃ビルへ連れてこられる。
         スタンド名:インサニティ・タイガー(命名:シャミセン)
インサニティ・タイガー …シャミセンのスタンド。漆黒の毛並みに、エメラルドグリーンの瞳を持つトラ型のスタンド。
                インサニティ・タイガーが吠える姿を見た生命体は、神経にダメージを受け、思うように体が動かせなくなる。
                強力な能力だが、仲間を巻き込む恐れがあるため、一対一向けのスタンドである。


承太郎「キョン、聞こえるか?」

キョン『承太郎ッ! 大丈夫だったか!?』

承太郎「ああ、お前の飼い猫のおかげでな」

シャミ「承太郎よ、今日の晩御飯にマグロを用意するよう伝えてくれ」

承太郎「……ふ」

キョン『…? 承太郎?』

承太郎「いや、お前の飼い猫、なかなか面白い奴だと思ってな」

595 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 17:49:40.19 ID:ndxacCfG0

キョン「それより、これからどうする?」

承太郎『ここから上へ上るのは少し厳しそうだ。俺とシャミセンは地下から上へ戻るルートを探す』

キョン「わかった。俺たちは予定通り、ビルの中を通って谷口を探す」

承太郎『オーケー、死ぬんじゃないぞ』

キョン「へっ、地下に転落した奴に言われたくねえよ」

承太郎『…やれやれだぜ』




キョン「と、いうことで、俺、阪中、鶴屋さん、朝比奈さん、部長、古泉はビルの中を通って谷口を探す」

キョン「シャミセンと承太郎は地上を戻るルートと谷口の捜索を同時に進めるそうだ」

キョン「それじゃあ、行こう」

596 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 17:53:58.62 ID:ndxacCfG0

ビル 地下

シャミ「承太郎よ」

承太郎「…なんだ?」

シャミ「結局、SOS団は全員スタンド使いになったのか?」

承太郎「涼宮を除いた全員だ。涼宮も確認が取れていないだけで、もしかしたらスタンド使いになってるかもしれない」

シャミ「……そうか」

承太郎「…何か気になることでもあるのか?」

シャミ「その涼宮という女、何度か会ったことがあるが」

シャミ「私の猫の部分、野生の部分を、なんというか騒ぎ立てるのだ」

承太郎「…と言うと?」

シャミ「本能が『こいつはやばい』と何かを訴える」

承太郎「……なるほど、そういう女だ、ってことか」

599 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 18:00:52.37 ID:ndxacCfG0

ビル内

キョン「古泉、訊きたいことが二つほどある」

古泉「はい、なんでしょう?」

キョン「一つは、あとどれくらい敵がいるのか、っていうことだ」

古泉「そうですね、僕と長門さん、谷口の他にあと四人ほどいたはずですが、名前などは聞かされていません」

キョン「そうか…」

キョン(俺たちの暗殺を目的としているはずだから、おそらく俺たちと近しい存在の人間のはず…誰だ…?)

古泉「それで、もう一つとは?」

キョン「あ、そ、そうだな……」

キョン「お前、操られていたときの記憶はないのか?」

古泉「ぼんやりと残っていますが、それほどはっきりとは…何か失礼なことでもしましたでしょうか?」

キョン「ああ、いや、なんでもない、なんでもないんだ…」

キョン(こいつのスタンドが俺や承太郎の尻を執拗に狙ってきたのは…こいつの意志か…?)

601 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 18:06:30.23 ID:ndxacCfG0

???「これ以上先には進ませないよ」

キョン「ッ! 誰だッ!」

???「姿を見せたところで、君たち六人と相手にしなくちゃならないからね……」

???「これで、分散させてもらうよ」

ドドドォォォォンッッ!!

鶴屋さん「爆弾っさ! 崩れるよッ!」

キョン「くそッ! 間に合えッッ! ウェアリネスッ!!」

ウェアリネス「ダリィィィイィィィッッッ!!」

キョン「よしッ! 瓦礫の落ちることに対する『やる気』を奪ったッッ!」

阪中「フェイスフリー! 瓦礫の下にいる先輩や古泉君を助けるのね!」

???「させないよッッ!」

阪中「あ…あなたは…ッ」



阪中「国木田君ッッ!!」

606 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 18:09:57.44 ID:ndxacCfG0

国木田「ふふ、キョンに阪中さん、どうしてって顔してるね」

キョン「だ、だってお前は…谷口に…それに承太郎が腕利きの医療チームに預けたって…」

国木田「谷口様のスタンドがあれば、あんな雑魚の寄せ集めみたいなチーム、小指一本でも吹き飛ばせるさ」

国木田「さて、仲間を救おうとしているみたいだけど」

キョン「…ッ! 阪中ッッ! 気をつけろッッ! 何かが来るぞッ!」

国木田「いい判断だね、キョン」


モクモクモクモクモクモクモクモクモクモク……


阪中「…これは、霧…?」

国木田「そう、霧さ」

キョン「これがスタンドの能力…? 一体どんな攻撃を…?」

607 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 18:14:30.12 ID:ndxacCfG0

キョン(くそ……そういえば谷口のスタンドは『傷を治す』ことができたんだったな…)

キョン(国木田は絶対に敵として現れない……過信していたか…)

キョン「阪中ッッ! まだひっぱり出せないのかッ!? ウェアリネスがやる気を奪うのにも限界があるッ!」

阪中「だ、だめなのねッ! 霧のせいだと思うんだけど……先輩たち、ものすごく体が重くなってて…」

阪中「しかも意識がないみたいなのねッ!」

キョン「国木田ァァッ! 何をしやがったァッ!」

国木田「なに、ちょっと頭を使えばいいのさ」

キョン「…?」

国木田「……キョン、君の頭が悪くて本当に助かるよッッ!」

国木田「ライトリー・フォッグッッ! キョンを殺すんだッ!」

ライトリー「……モクモクッ…」

610 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 18:18:37.84 ID:ndxacCfG0

キョン「くそッ…霧のせいで敵のスタンドが見えないッッ…!」

キョン(ウェアリネスの能力にも限界があるッ…)

阪中「キョン君、任せてッ! フェイスフリーで臭いを追ってみるのねッ!」

キョン「よし、頼むッ!」

阪中「国木田君の臭いを探してッ! フェイスフリィィィッ!」





阪中「そ、そんな…臭いが見つけられない…? どこにいるの…?」

国木田「ふふ……犬のスタンドか。少し驚いたけど、やはり僕のスタンドのほうが一枚上手みたいだね」

国木田「まだまだだね。ライトリー、彼らを窒息させるんだ」

ライトリー「モクモクモクッッ」

キョン「……ッ!」

キョン(こ、呼吸がッ……まさかッ! ……鼻や口に霧としてまとわりついて、呼吸をできなくさせてるのかッ!?)

キョン(ま……まずい……ッ…)

キョン(きっと……阪中も限界…だ………くそッ…姿が見えない……どこに…いやがるッ…)

611 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 18:22:55.16 ID:ndxacCfG0

???「キョン君、あなたってその程度だったかしら?」

キョン(……誰…だ…)

???「もっとガッツのある人だと思ったけれど、的外れだったみたいね」

国木田「…誰だッ!」

???「あら、死に損ないの国木田君じゃない。そんな怖い声出して、どうしたのかしら?」

国木田「誰だと訊いているッ!」

???「そうね、あなたの敵、かしら?」


ビュゥゥゥンッッ!



キョン「グッ…げほッッ……ゲホォッッ!」

阪中「けほッ……けほけほッッ…!」

キョン(ものすごい…風だった……一体、誰…?)

キョン「って、お前は…ッ!」



朝倉「お久しぶりね、キョン君」

613 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 18:25:36.68 ID:ndxacCfG0

キョン「ど、どうしてお前がここに…?」

朝倉「そうね、とりあえずは長門さんに呼ばれた、といったところかしら?」

キョン「……どうしてスタンドまで…」

朝倉「長門さんにつけてもらったの。どう? 似合うかしら?」

キョン「…ああ、お前にピッタリだよ…」

キョン(太い眉毛の侍か…ピッタリ過ぎる…)

朝倉「あ、今ひどいこと考えてなかった? ふふ、そんなこと考えてると、またサックリやられちゃうわよ?」

キョン「す、すまん…」

615 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 18:27:55.31 ID:ndxacCfG0

朝倉「ふふ、からかい甲斐があるわね、やっぱり」

キョン「からかわれてたのか…」

朝倉「はぁ、とりあえずお二人は瓦礫の下にいる人たちを助けてあげて?」

キョン「あ、ああ、わかった」

阪中「わ、わかったのね」



阪中(ねぇ、キョン君)ボソボソ

キョン(ん?)ボソボソ

阪中(お二人はどういう関係なのね?)ボソボソ

キョン(ん、ああ、えっと……腐れ縁…というやつかなぁ…?)

阪中(ふぅん…?)

617 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 18:31:56.16 ID:ndxacCfG0

朝倉「さて、霧は晴れたわ。あなたを切り刻むには絶好の見晴らしだわ、うふふ」

国木田「……朝倉さんが、どうしてここにいるのかは知らないけど僕の前にスタンドを出して立っているということは」

国木田「僕と敵対する、ということでいいんだね?」

朝倉「そうね、そのつもりがないのなら霧を払ったりしないわ。そんなこともわからないのかしら?」

国木田「………いちいち癪に障る女だね…」

朝倉「癪に障ろうとしているもの。褒め言葉、ありがとう」

国木田「……殺してやるッッ!」

朝倉「ふふ、言いくるめられて逆上する男はモテないわよ?」

国木田「ライトリーッッ! 霧で取り囲んで朝倉の動きを封じろッッ!」

ライトリー「モクモクッ!!!」

朝倉「ふふ、残念♪」

ライトリー「モ、モクッ?」

国木田「…消えた、だと…?」




朝倉「ねぇ、切り刻んでもいいよね? ね? 国木田君?」

618 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 18:35:34.36 ID:ndxacCfG0

国木田「なッ…! 真後ろッッ!?」

朝倉「あら、便利な霧ね? 私のナイフを防ぐなんて」

国木田「僕をなめてスタンドで攻撃しないことがあだになったね」

朝倉(ナイフが動かせない…霧のようでいて、霧ではない、物質のようなものかしら?)

朝倉「ふふふ、面白い♪ やっぱり戦いってこうじゃなくちゃ」

国木田「ライトリーッ! 手足も封じろッッ!」

ライトリー「モクモクモクッッ!」

朝倉「国木田君ってこういうプレイがお好みだったのかしら?」

国木田「減らず口をッ…」

朝倉「でも、残念♪」

国木田「なッ……また消えたッ…!?」








朝倉「もう楽しんだ? 切り刻んでもいいかしら?」

620 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 18:38:58.21 ID:ndxacCfG0

国木田「背後に回り込んでもッ! ナイフで攻撃するのは無意味だと言ってるだろッッ! 君も頭が悪いねッ!」

朝倉「だって私はあなたに勝つために闘っているわけではないもの」

国木田「…何?」




朝倉「あなたにナイフを突き付けるために闘っているの♪」




国木田「……ッ! この、イカレ女めッ!」

朝倉「国木田君、こわぁい♪」

国木田「ライトリー! 奴の動きを察知しろッ! 絶対に高速移動の秘密があるはずだッ!」

ライトリー「モクモクモクッ!!」








朝倉「残念でした、国木田君♪」

622 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 18:42:58.57 ID:ndxacCfG0

国木田「ぐッッ!」

朝倉「あは♪ ずぶっって入っちゃったね、国木田君。ねぇ、今どんな気分? 私はとっても楽しいわ♪」

国木田(探知にライトリーを使いすぎた……くそッ…)

国木田(だが、これで奴が高速移動ではなく、点と点の間を瞬間移動しているということだけはわかった)

国木田(……さて、どう対策する…?)

朝倉「ねぇ、国木田君、痛い?」

国木田「……」

朝倉「もう……無視されると辛いなぁ…」

朝倉「あ、そっか! だったらぁ…」









朝倉「無視できないほど刺しまくればいいよねっ♪」

627 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 18:51:02.69 ID:ndxacCfG0

国木田(また後ろッッ!)

朝倉「それっ♪」

朝倉「ああん、前髪が少し落ちただけかぁ…」

国木田(こ、こいつッ…今度は目を狙いやがったッ…)

朝倉「国木田君、ちょっといいかしら?」

国木田「…あ?」

朝倉「もう飽きちゃったからぁ…」





朝倉「めった刺しにするねっ♪」



国木田「なんだと…?」

719 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 23:54:43.52 ID:nHLkJDdF0

なんでIDが変わるのかは謎ですが、続けます


国木田(めった刺しだとッ…? できるものならやってみろッ!)

朝倉「それじゃあ、いくね♪」

国木田「やってみろッッ!」

国木田(また消えたッ!? いや、これは瞬間移動だ…現れる瞬間を冷静に狙うッ!)

朝倉「残念♪ こっちだよ、国木田君♪」

国木田「ぐッッ!」

国木田(ガードが甘かったッ! 脇腹を切られたかッ…)

朝倉「さ、どんどん行くよ♪」

国木田(早く仕掛けを見破らないと……やられるッ!)

721 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/17(日) 23:58:14.23 ID:nHLkJDdF0

ドスッッ!! ブシュゥゥゥッッ! ゴリィッッ!

国木田「ッはぁッ……」

朝倉「ふふ、もう息も絶え絶えって感じだね♪」

国木田(この女ァ……どこまでも馬鹿にしやがってッ…)

国木田(だが……なんとなくわかってきたぜッ…)

国木田(こいつの瞬間移動……姿が消えてからおよそ五秒後に再び姿を現すッ!)

国木田(その五秒後を狙えばッ…!)

朝倉「あら?」

朝倉(もしかして気づいたのかしら? ……でも、残念♪)

国木田「そこかッ!」

朝倉「違うよ♪」

国木田「離れてナイフを投げるだとォォッ!?」

ドドドドスッッ!!

722 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/18(月) 00:01:28.34 ID:q4NJCub50

国木田「ぐ………もう、ここまでかッ……」

朝倉「ふふ、なかなか楽しかったよ、国木田君♪」

国木田「ひと思いにやれッ……」

朝倉「そんな殺すなんてことしないわ♪」

国木田「……朝倉…」







朝倉「もっといたぶるんだから♪」


国木田「こ、この腐れ女がァァァァッッッ!」

国木田「ライトリィィッッ! この糞女を殺れェェェッッ!」

723 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/18(月) 00:03:37.05 ID:q4NJCub50

ライトリー「モクモクモクッッ!」

朝倉「もう……私にそんな攻撃、効かないわ?」

国木田(消えたッ……)

国木田(1…2…3…4…)

国木田「5ォォッッ!」

ライトリー「モクゥゥッッ!!!」

バゴォォッ!!

朝倉「…ッ!」

朝倉「あは…」






朝倉「あはははははッ! いいねッ、国木田君ッッ!」

朝倉「そのどこまでも諦めない姿勢ッ! そういうの大好きだなァァッ!」

朝倉「いたぶりがいがあるよねェェェッッ!!!!!」

国木田「……いかれてる……」

725 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/18(月) 00:08:20.37 ID:q4NJCub50

朝倉「もうスタンド使っていいよねェッ!? ねェェッ!?」

国木田「……こいよッ…」

国木田(消えたッ…1…2…3…)

朝倉「うふ♪」

グジャァァァッ!

国木田「ぐぶッッ!」

国木田(4秒目で現れただとォォッッ!?)

朝倉「まだまだいくねッ♪」

国木田「くそがァァァァァッ!!」






キョン「よ…っし…部長で最後だな…」

阪中「みたいなのね…まだみんな眠ってるけど、命に別状はなさそうなのね…」

キョン「さて、朝倉は…朝倉ッ!?」

726 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/18(月) 00:12:30.97 ID:q4NJCub50

キョン「スタンドと自身のナイフで国木田をズタズタにしているゥゥゥッ!?」

阪中「きょ、キョン君ッ! ウェアリネス・ライフで朝倉さんを止めてッッ! 国木田君がッ!」

キョン「ウェアリネスッッ!! 朝倉と国木田から『戦う』ことに対する『やる気』を奪えェェェッッ!」

ウェアリネス「ダリダリダリィィィィッ!!」



国木田「うッ……なんだ、このダルさはッ……もうどうでもよくなってくるようなッ…」

朝倉「あははははははァァァッ!!」

国木田「くそッ……なんでこんな殺気立った奴の前にいるのにッ……俺はもう何もやりたくないんだッ…!」



キョン「なんで朝倉の動きは止まらないんだッッ!?」

阪中「…! きっと朝倉さんは今の戦いを『楽しんでいる』のねッ!」

キョン「! そういうことかッ! ウェアリネスゥゥッ!」

ウェアリネス「DARYYYYYYYYYYY!!!!!!!」

729 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/18(月) 00:16:39.87 ID:q4NJCub50

キョン「ハァッ……ハァッ……」

阪中「……ふぅ……」

朝倉「…あら? 私、どうかしてたかしら?」

国木田「…………」

キョン「朝倉、今まで自分が何をしていたか、覚えていないのか?」

朝倉「そうね……キョン君たちを助けに長門さんに呼ばれてここに来たことはばっちり覚えているのだけど…」

朝倉「国木田君と戦い始めてからはなんだか記憶があいまいだわ」

キョン(スタンドの能力の副作用…? そんなもの存在するのか?)

阪中「と、とりあえず、朝倉さんも国木田君も、これで味方なのね?」

朝倉「いいえ、ここから先に進む人員は減らしたほうがいいわ」

阪中「え?」

キョン「そうだな…今みたいな状況になっても困る…」

朝倉「敵の意図で分散させられるくらいなら、こちらも分散してビルの中を探索したほうがいいと思わない?」

阪中「そうね…たしかにその通りなのね」

732 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/18(月) 00:26:54.94 ID:q4NJCub50

朝倉「とりあえず、主火力になるスタンドを持つ人、その人を補助することのできるスタンドを持つ人のツーマンセルあたりが理想かしら?」

キョン「俺、阪中、朝比奈さん、鶴屋さん、部長、古泉、朝倉、国木田の八人だから4ペア作れるな」

キョン「とりあえずこういう組み合わせにして探索を進めよう」

キョン・阪中  鶴屋さん・朝比奈さん 朝倉・部長 国木田・古泉

朝倉「…そうね、これくらいがちょうどいいかしら。部長さんの弱さをカバーできるのは私くらいのものかしら」

キョン「よし、それじゃあ眠っている奴らが目覚めたら探索を始めようか」



朝倉涼子 …地下にいる長門有希が呼びよせた援護人員。スタンド名:バーサーカー・ゴースト(命名:長門有希)
バーサーカー・ゴースト …朝倉涼子のスタンド。眉毛の濃い、凛々しい侍のようなスタンド。
                 最大で5秒、この世界から姿を消し、好きなように移動することができる。
                 途中にある障害物もすり抜けることができるが、姿を現したときに障害物と重なっていた場合、重なっている体の部分は消滅する。
                 また、瞬間移動をする度に、スタンド使用者の理性が薄れ、『殺す』『いたぶる』などと言った残虐な衝動が強くなっていく。
国木田 …一度は谷口に殺されかけたものの、谷口によって洗脳され、谷口の手下となった。スタンド名:ライトリー・フォッグ(命名:国木田)
ライトリー・フォッグ …国木田のスタンド。霧でかたどられた人間のような形のスタンド。
              霧として空中に散布したり、あたり一面を霧だらけにしたり、霧を高密度で集中させることで強力な打撃を繰り出せたりと
              多彩な行動が可能なオールマイティなスタンド。
              ライトリー・フォッグ自体にダメージを与えることは非常に難しく、国木田がやられない限り不死身とも言える。

740 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/18(月) 00:36:05.34 ID:q4NJCub50

スタンド能力まとめ

部長……スタンド名なし
・手鏡に小さな手足が生えたような容姿のスタンド。
・スタンドが触れたものや生物に化けることが可能。
・ただし、スタンドの持ち主である部長が直接操作するため、結構簡単に偽物と見抜かれる。
・戦闘には不向き。不意打ちで敵を倒すしかない。

古泉……尻狙い
・赤いスライムのようなスタンド。
・スライムのように柔軟な動きが可能。
・蛇のように地を這わせたり、槍のように固めて飛ばしたり、バリアのように身にまとったりできる。
・パワーは低めが、使いようによっては非常に強力。

朝倉……バーサーカー・ゴースト
・眉毛の濃い、凛々しい侍のような容姿のスタンド。
・最大で5秒、この世界から姿を消し、好きなように移動することができる。
 途中にある障害物もすり抜けることができるが、姿を現したときに障害物と重なっていた場合、重なっている体の部分は消滅する。
 また、瞬間移動をする度に、スタンド使用者の理性が薄れ、『殺す』『いたぶる』などと言った残虐な衝動が強くなっていく。
・スタンド自身が刀を持っている上に、朝倉本人の戦闘能力も高いため、接近戦では無類の強さを誇る。

国木田……ライトリー・フォッグ
・霧でかたどられた人間のような形のスタンド。
・霧として空中に散布したり、あたり一面を霧だらけにしたり、霧を高密度で集中させることで強力な打撃を繰り出せたりと
 多彩な行動が可能なオールマイティなスタンド。
 ライトリー・フォッグ自体にダメージを与えることは非常に難しく、国木田がやられない限り不死身とも言える。
・打撃の際、集めた霧の密度によっては、恐ろしいほどの威力の打撃を行うことが可能。
 また、窒息させることなどもできるため、殺傷能力は非常に高い。

744 名前: ◆EHGCl/.tFA [] 投稿日:2009/05/18(月) 00:41:03.50 ID:q4NJCub50

長門……スノウ・マスター
・長門本人と似たような背格好、人間少女型のスタンド。
・待針のようなアンテナを飛ばし、当たった物体を支配下に置く。だが、生命体に対しては生命体自身の神経がそんざいするため
 物体ほどうまくコントロールできない。
・スタンド本人の戦闘能力は低い。近くに物が多ければ多いほど強力

シャミ……インサニティ・タイガー
・漆黒の毛並みに、エメラルドグリーンの瞳を持つトラ型のスタンド。
・インサニティ・タイガーが吠える姿を見た生命体は、神経にダメージを受け、思うように体が動かせなくなる。
 強力な能力だが、仲間を巻き込む恐れがある。
・姿から分かるように接近戦が得意。

100 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/19(火) 19:29:33.24 ID:kyxOS9Yo

20:00くらいまで続きを書こうと思います


谷口「……古泉、長門、国木田もやられたか……」

???「…はい」

谷口「残っているのはお前を除いてあと三人……ククッ………思った以上にやるじゃねえか」

???「谷口様にかかれば、どうってことないですよ……」

谷口「そうだなぁ、何せ俺のスタンドは最強だ……それに、俺自身、神になる男だからなッ」

谷口「クククフフ……フハハハハハハハハッッッ!」





ビル内

キョン「俺・阪中ペアはビル内を捜索、鶴屋さん・朝比奈さんペアはいったん屋外へ出て、そこから別の侵入経路を捜索」

キョン「朝倉・部長ペアは地下に降りて承太郎・シャミセンペアと合流」

キョン「国木田・古泉ペアはここらで待機し、別のチームから連絡があったらすぐに救援に向かうこと」

キョン「これでいいな?」

全員「うん」「わかったよ」「わかりました」「ほいっさー!」

101 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/19(火) 19:35:42.49 ID:kyxOS9Yo

キョン・阪中組 ビル内

キョン「よし、それじゃあ進もうか」

阪中「うん、わかったのね」


鶴屋さん・みくるペア

鶴屋さん「…そういえば別の侵入経路がなかったときはどうすればいいんだろうねっ」

みくる「え、えーと、ほら、ビルの中に分かれ道とかあったじゃないですか。そこを進んでみるっていうのはどうでしょう?」

鶴屋さん「おっ、さっすがみくるっだねー! うん、うん、そうしようそうしよう!」


朝倉・部長ペア

部長「あ、あのー……」

朝倉「ん? なーに?」

部長「さ、さっきからナイフをちらちらさせて、どうしたんですか?」

朝倉「うーん……これがないと落ち着かなくて………」

部長(怖ェェェェッッ!)


国木田・古泉ペア

国木田「古泉君、待機している間、何をしていようか」

古泉「そうですねぇ、何しろお互いに知らないことが多いですから」

国木田「そうだね、自己紹介でもしていようか」

103 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/19(火) 19:43:19.30 ID:kyxOS9Yo

ビル内

キョン「……階段、か?」

阪中「そうみたいなのね」

キョン「崩れていて進めないな……」

阪中「キョン君、任せて。フェイスフリー!」

フェイスフリー「わぉん!」

阪中「みんなで協力して階段を作ってほしいのね」

フェイスフリー「わぉぉん!」

キョン「お、おおう! こんなこともできるのかッ!」

阪中「みんなをふんづけることになるのは、すこし心が痛いけど…これしかないからしょうがないのね」

キョン「…フェイスフリー、ありがとな」

フェイスフリー「わふっ」

キョン「よっ、と……上の階はそんなに荒れていないみたいだな…」

阪中「いかにもボスがいそう、って感じなのね」

???「……やあ、キョン」

キョン「ッッ! お、お前はッッ!」

阪中「…誰ッ?」

106 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/19(火) 19:48:13.34 ID:kyxOS9Yo

ビル内 地下

部長(女の人に御姫様だっこされるなんて……)

朝倉「あら、この姿勢を気にしているの? しょうがないじゃない、高いところから飛び降りるにはこれが一番だと思って」

部長「あ、い、いえ……別にいいんです……そんなに気にしてませんから」

朝倉「嘘ね。顔が赤いわ」

部長(……やばい、こんな時に恋してしまいそうだ)

朝倉「でも、もう着いたし、この姿勢は意味ないわね」

ドサァッッ

部長「いったいん!」

朝倉「ふふ♪ 私、あなたのこと嫌いじゃないけど、好きにはなれないわ♪」

部長「え、あ、う?」

部長(なんでいきなりフラれたみたいになってんの? なんで?)

朝倉「それよりも先に進んで承太郎君たちと合流しないといけないわね」

部長「そ、そ、そうですね」

109 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/19(火) 19:52:56.02 ID:kyxOS9Yo

長門「止まって」

承太郎「ん、どうした長門」

シャミ「誰かが近づいてきている。数は2」

長門「……問題ない、味方」

シャミ「そこまでは一猫である私には分からないな。長門とやらを信じるほかない」

朝倉「あら?」

長門「朝倉涼子、わたし」

朝倉「長門さん、無事だったのね」

承太郎「む、お前は」

部長「ひ、ひィィィッッ!」




朝倉「なるほどね、長門さんが、ぷくく、シャミセンに、くくく、やられて、ぷふぅッ!」

長門「情報連結解除の許可は下りている」

朝倉「じょ、冗談よ、冗談ッ!」

シャミ「……どの種でも雌というのは恐ろしいものなのだな」

承太郎「…やれやれだぜ」

112 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/19(火) 19:59:05.02 ID:kyxOS9Yo

シャミ「しかし、せっかく分散したというのにここに五人も固まっては我が飼い主の意図が無視されているも同然だな」

承太郎「こちらも2−3に分かれるか」

朝倉「そうね、スタンドのタイプによって分けるべきだわ」

承太郎「俺・長門・部長、朝倉・シャミセン、これで大丈夫じゃないか?」

朝倉「……うん、スタンドの能力的にもバランスが取れてると思う。これでいいんじゃないかしら?」

長門「……同意」

シャミ「私もそれでかまわん」

承太郎「よし、これでいくぞ。長門、よろしく頼む」

長門「こちらこそ」

部長「……」

部長(なんで僕はこんな扱いを受けているんだろうか……)

朝倉「シャミちゃん、よろしくね」

シャミ「よろしく頼む。時に朝倉女史」

朝倉「何かしら?」

シャミ「私は猫ゆえに姿勢が低い。よって見えてしまうものはしょうがないとしてほしいのだが」

朝倉「…何のことかしら?」

シャミ「人間の雌はそのひらひらとした服の下にもう一枚何かを穿いているのが普通だ」

シャミ「なぜ女史は穿いていないのかね?」

朝倉「…あら、ホント。長門さんったらいじわる♪」

115 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/19(火) 20:05:15.59 ID:kyxOS9Yo

承太郎「それじゃあこちらは、より地下に向かい谷口を探してみる。朝倉たちは上へ戻るためのルートを探してくれ」

朝倉「うん、任せて」

シャミ「私がいるのだ、任せたまえ」

承太郎「よし、行くぜ」



朝倉「上に戻るためのルート探し、かぁ」

朝倉「思わず『任せて』なんて言っちゃったけど、敵に会えないのはつまんないなぁ」

シャミ「女史よ、雌がそんな恐ろしいことを言うものではない」

シャミ「どの種も血を流すのは雄だけでいい。雌は、傷つきかえってくる雄を優しく迎え入れるだけでいいのだ」

朝倉「あら、シャミちゃんは古い考えの持ち主なのね」

シャミ「そうかもしれないな」

朝倉「でも、あなたみたいな性格、嫌いじゃないわよ♪」

シャミ「ふふ、私も女史のような雌は嫌いじゃない」

朝倉「両想いかしら?」

シャミ「恐ろしいことを言うものではない」

朝倉「あん、ちょこっと残念♪」

158 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 16:48:02.33 ID:U2B9ylMo

朝倉「…こっちかしら?」

シャミ「ハズレのようだな」

朝倉「んもう、どうしてただの廃ビルの地下なのに、こうも複雑な作りなのかしら」

シャミ「猫である私にそのようなことを訊くな」

朝倉「あらん、シャミちゃんってばひどいのね」

シャミ「私は猫だから人間にとっての酷い、というのがどのようのものなのか、わかりかねる」

朝倉「人の言葉を話しているんだから、人と同じ感性じゃないの?」

シャミ「…私は人の言葉を喋り、人と同じような頭脳を得たが」

シャミ「ネズミを食べることに不快感を抱くはずもないし、丸いものを転がされると気にもなる」

シャミ「女史はネズミを食べれるかね?」

朝倉「まぁ……無理よね」

朝倉(今の私は情報操作を制限されてるから、身体能力の高い人間も同然だし)

シャミ「そういうことだ。私に人間性を余り求めないことだ……む」

朝倉「ん? どうしたのかしら?」

シャミ「承太郎たちが向かった方向で何かしら戦闘が起きているな……」

朝倉「どうする? 戻る?」

シャミ「そうだな。猫も、仲間の危機を見捨てるようなことはしない」

160 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 16:54:28.94 ID:U2B9ylMo

朝倉「でも、なんで分かったの?」

シャミ「ひげだ。ひげが、空気の振動を察知する」

朝倉「へぇ、便利ね」

シャミ「動物というのはそういうものだ。生きるために体の部分を無駄にはしない」

シャミ「だが」

朝倉「ん?」

シャミ「一つ、非常に気になることがある」

朝倉「何かしら?」

シャミ「さっきからひげが振動しっぱなしなのだが」

シャミ「その振動に見合うだけの音が聞こえないのだ。女史は聞こえるか?」

朝倉「……そういえば聞こえないわね。本当に戦闘が起きているとしたらの話だけれど」

シャミ「戦闘が起きているのは間違いない」

朝倉「……妙ね。新手のスタンド使いかしら」

シャミ「振動が起きているということは、まだ承太郎たちが戦っている、ということだ」

シャミ「急ぐぞ、女史」

朝倉「はーい」

163 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 16:58:10.41 ID:U2B9ylMo

シャミ「振動が近い……この部屋か」

朝倉「シャミちゃん、開けるわよ」

シャミ「私のスタンドも待機済みだ」

朝倉「3」

シャミ「…」

朝倉「2」

シャミ「……」

朝倉「1」

シャミ「………」


バタァンッッ!


シャミ「承太郎ッ! 大丈夫か!」

シャミ(振動はあるのに、何も聞こえない? 誰もいないのか?)

シャミ(ッ!)

シャミ(なんだ、あのチェーンソーを持った女はッ! なぜチェーンソーの音が聞こえないッ!)



朝倉「シャミちゃん、どうしたの?」

朝倉「シャミちゃんってば!」

朝倉(真っ暗な部屋だけど……誰も返事してくれないし、この部屋じゃないみたいね)

164 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 17:03:05.25 ID:U2B9ylMo

シャミ(猫目じゃなかったら、暗闇の中、あの女を捉えることはできなかった…)

シャミ(だがッ…あの女は一体なんなんだッ!)

シャミ(あのチェーンソーを持って、微笑みながらたたずんでる、あの女はッ!)



朝倉「シャミちゃんってばー! ここじゃないみたいだよー!」

朝倉(シャミちゃんが部屋に入ってから2秒くらい後に入ったのに…)

朝倉(もう次の部屋に行っちゃったのかしら…)

朝倉(いったい、どうしたっていうのよ)



シャミ(この部屋は無駄に広いな……)

シャミ(む、柱の影に三人がッ!)



シャミ「おい! 承太郎ッ! 長門ッ!」

シャミ「あの女は何者なんだッ!」

シャミ「おい!」

シャミ「なぜこちらを向かないッ!」

シャミ「貴様らッ! 聞こえているんだろうッ!?」

承太郎「……」

長門「……」

部長「……」

シャミ(なぜだッ…なぜ三人ともこちらを向かない…)

シャミ(どうして、まるで聞こえていないかのように……)

シャミ(待てよ……聞こえていない…ッ?)

165 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 17:13:19.28 ID:U2B9ylMo

鶴屋さん・みくるペア ビル屋外


鶴屋さん「んー、非常口はちらほらあるけど全部繋がってたねー…」

みくる「そうですねぇ…」

鶴屋さん「でも、ここに逃げ込んだってことは、絶対に追い詰められない何かがあるんだよ…」

鶴屋さん「それを見つけなきゃ、この戦いは終わらないっさ!」

みくる「鶴屋さん……」

鶴屋さん「さあて、もうひと頑張りだよっ!」

みくる「はいっ!」




みくる「鶴屋さん! こっちにきてくださぁい!」

鶴屋さん「みくるっ、どうしたんだい?」

みくる「これ……」

鶴屋さん「外壁に人一人が何とか通れるくらいの穴……」

みくる「この穴を覗くと、奥に大きい車庫みたいな建物があるんですっ」

鶴屋さん「ほんとだっ…!」

鶴屋さん「この穴、あの大きい車庫……誰かがこの穴を使ってたと見ても問題はなさそうだねっ」

みくる「キョン君の指示とは少し違いますけど、調べてみませんか?」

鶴屋さん「そうだねっ、いくよみくるっ!」

166 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 17:20:47.84 ID:U2B9ylMo

鶴屋さん「…うわぁ、けっこう大きいねぇ」

みくる「ですねぇ……車庫、なんて言いましたけど、もっと大きいものも入りそう…」

鶴屋さん「小型の飛行機なら、入っちゃうくらいの大きさだよ、これは…ほへぇ」

鶴屋さん「工具とかも転がってるし……もともと何かを整備する施設だったみたいだね」

みくる「……ひゃわっ!」

鶴屋さん「どうしたんだい!?」

みくる「ち、ち、血の跡が……」

鶴屋さん「まだ赤みを帯びてるから、そんなに古くない……」

みくる「だ、だ、誰か怪我してるってことですかぁ?」

鶴屋さん「みたいさっ…」


???「おやおや、また侵入者かと思ったら……」

???「見知った顔が二つか……」


鶴屋さん「誰っ!」

みくる「あ、あなたは……」

167 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 17:29:39.97 ID:U2B9ylMo

鶴屋さん「……わが校の生徒会長様がどうしてこんなところにいらっしゃるんでしょうねぇ?」

会長「分からないのか。ここまで来ておいて分からないとは、鶴屋家の娘もたいしたことないんだな」

鶴屋さん「…む」

みくる「あ、あのっ! か、会長さん、ここに怪我をした人、いませんでしたかっ!?」

会長「怪我をした……ああ、天井に張り付けられてるあのマヌケのことか?」

みくる「天井…あっ!」

鶴屋さん「私くらい髪の長い女の子……みくる、知り合いかい?」

みくる「あ、一応……周防さん、っていうんですっ!」

会長「その女、不穏因子だのなんだのとうるさいし、谷口を殺すとぬかしやがったからな」

会長「かるぅくお仕置きして天井に張り付けてやったのさ」

鶴屋さん「……あんたも操られてるみたいだねっ…!」

会長「操られている、か」

会長「たしかにそうかもしれん」

会長「だが、操られることで生きる目的を手にすることができるなら、それもまた悪くない」

会長「お前たちがここまで来たということは、古泉たちはやられたみたいだな」

会長「もう容赦はしない」

会長「谷口のところに行かせはしない」

会長「……あの女が寂しくないように、すぐにお前らを隣に飾り付けてやろう」

168 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 17:38:06.93 ID:U2B9ylMo

会長「その前に、逃げられても困るのでな」

ガガガガガガガッッ

みくる「ッ! 鶴屋さん! 扉がッ!」

鶴屋さん「……別に大丈夫っさ! ここでこいつを倒すんだからさっ!」

会長「その心意気やよし」

会長「小手調べだ」

ギュゥゥゥゥゥウウゥウウウウンッッ!

ズガァァンッッ!

鶴屋さん「ッ!」

会長「ほう。このスピードを避けたか」

鶴屋さん(ネジを飛ばしたッ……私と同じ能力…?)

鶴屋さん「お返しさッッ!」

鶴屋さん(私のアクセリレーションが丹精込めて『加速』した釘さッッ!)

会長「む」

ヒュゥゥゥンッ

鶴屋さん「何ッ!」

みくる「どうしてッ!?」

会長「ふふ……私と似たような能力かと思ったが……そうでもないようだな」

鶴屋さん(釘の弾道がそれたッ……会長の能力は一体ッ?)

169 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 17:45:29.65 ID:U2B9ylMo

会長「ほらほら、さっきの威勢はどうしたッ!」

鶴屋さん「ッ…!」

みくる「ひぇぇぇ……」 ガインッ! ガインッ!

鶴屋さん(みくるはトラベル・ガーディアンの盾で防いでいるから大丈夫そうだねッ…)

鶴屋さん(ッ……釘は使いすぎたッ……威力は落ちるけど、ビー玉使ってみるっかな!)

鶴屋さん「これでどうだいッ!」

ビュゥゥゥゥンッッ!

会長「ふんッ!」

パリィィィンッッ!

鶴屋さん(敵のスタンドに壊されたッ!?)

会長「その程度の攻撃、もはや能力でかわすまでもないな」

鶴屋さん「くそゥッ!」

鶴屋さん(右半分が赤、左半分が青の機械的な人型スタンド……)

鶴屋さん(目がチカチカするっさ……)

鶴屋さん(でも、なんだろう…)

鶴屋さん(あのスタンド、どこかで見た覚えがあるんだよねっ……)


みくる(上にぶら下がっている周防さん……大丈夫かなぁ…)

みくる(私はあの速さの戦いについていけないし…)

みくる(できることと言ったら、身を防いで、鶴屋さんを心配させないこと……)

みくる(悔しい、です……)

170 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 17:53:21.45 ID:U2B9ylMo

鶴屋さん(ビー玉じゃあ、だめだッ!)

鶴屋さん(もっと威力の高いものじゃないと、弾かれて壊されるッ!)

鶴屋さん(何かッ…何かないのッ!?)

鶴屋さん(…ッ! 釘もビー玉ももう底をついたッ…)

鶴屋さん(あいつが扉に打ち込んだネジを使わせてもらうよッ!)

グイィッ!

鶴屋さん(あ、あれ! ぬ、抜けないっさ!)

会長「アホか」

ズボォッ!

ビシュゥゥゥウウウッ!

鶴屋さん「ッッ!」

みくる「鶴屋さんッ!」

鶴屋さん(そ、そう、か……壁に刺さっていた、ネジが、突然抜けて、私の体を貫通したのも……)

鶴屋さん(釘は能力で、よけるのに、ビー玉は……スタンドで壊すのも……)

鶴屋さん(そういうこと、だったの、か)

鶴屋さん(だから…)

鶴屋さん(会長は、ここに……)


みくる「鶴屋さぁぁぁぁぁああああんッッ!」

173 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 17:58:32.05 ID:U2B9ylMo

会長「ふふ……鶴屋家の娘、なかなかの身のこなしだったが」

会長「ここまでだな。即死ではないが、もう戦えないだろう…」

会長「この鎖を手足に巻いて」

ビュォォォォォオンッ

ガシャアァァァァァアッッ!

会長「よし、これで天井に二人目だな」

会長「さて」

会長「そこのSOS団員」

会長「貴様、さっきから隅っこでスタンドで防御しているだけ」

会長「私と戦う気がないならさっさと逃げるといい」

会長「私の仕事は谷口に敵を近づけさせないことで、むやみやたらと殺しを働くことではないのでね」

会長「…おい、聞いているのか?」


みくる「………」


会長「友が敗れ、心が折れたか……」

会長「……お前のようなか弱い女ならしょうがない、か」


みくる「……ない…」

会長「ん?」

みくる「…さない…です……」

会長「ほう……やる気か?」

みくる「許さないですッッ!」

174 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 18:04:11.22 ID:U2B9ylMo

会長「しょうがない。すぐに鶴屋家の娘の横に張り付けてやる」

会長「お前ら三人が集まったところで、俺の敵じゃないということを教えてやる」

みくる「あなたはッ!」

会長「む……な、なんだあれはッ!」

みくる「友達を傷つけられた人のッッ!」

会長「す、スタンドの鎧にひびがッ!?」

みくる「怒りというものを知らないんですかッッッ!!」

会長「か、甲冑全体にひびだとッ…!!」


みくる(会長さんにSOS団を潰されそうになった時ッ…)

みくる(涼宮さんが会長に対して、ものすごく怒ってたってキョン君が言ってましたッ…)

みくる(今なら、それも理解できる気がしますッッ!)

みくる「私の大事な人をッッ! 私の友達をッッ! 傷つける人を私は許しませんッッ!」


会長(甲冑が割れたッッ!)

会長(くッッ! 鎧の中から光がッッ! 一体何が起きるんだッッ!)

175 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 18:12:17.56 ID:U2B9ylMo

会長「………ッ」

会長(いないッ……どこだッ!)

会長「ふふ……どこに隠れようとッ!」

会長「無駄なのだよォォッ!」

会長(ありとあらゆる工具、機械部品を磁力によって高速で飛ばしまくればッ!)

会長(必ずあの女に当たるッッ!)

会長(当たるはずなんだッッ!)

会長(なのにッッ!!!)

会長(どうして手ごたえがないんだッッ!! クソがッッ!!!!)


みくる「会長さん、こっちですよ」


会長「何ィッ!」

会長(く、空間に裂け目だとッ!)

会長(ひ、引きずり込まれるッッ…!)

会長「クルール・マグネットッッ!」

会長「私の足を引っ張っている女の手を殴りとばせぇぇぇっ!」

クルール「シャァァァァッッ!」

176 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/22(金) 18:19:30.28 ID:U2B9ylMo

会長(て、手遅れだった、だとッ…!)

会長「ここはどこだッ! 俺をどこに引きずり込みやがったッッ!」


みくる「会長さん、私はここです」

会長「…ッ! 女ッ!」

みくる「ここは、そうですね、説明するとするなら時空の狭間なんです」

会長「…ッ!?」

みくる「時間は連続して流れ、そしてそれが人の生きる空間となる」

みくる「では流れてしまった時間はどうなるのでしょうか」

みくる「そこに存在した記憶は? 記録は?」

みくる「その時間の流れを客観的に見ることのできる空間。それがこの『時空の狭間』なんです」

会長「…なんだとッ…!」

みくる「会長さん、もう終わりです」

みくる「あなたの、負けなんです」

会長「減らず口をッッ!」


みくる「トラベラー・エンジェル……」

トラベラー「わかりました」


会長「どこに向かって剣を振っているッ! ハハハッ! この空間に引きずり込んでも私が有利のようだなッ!」

みくる「いいえ、違います」

ズダダダダダダダダアアアアァァァンッッッ!

会長「グオォォアァッァッ!」

会長(なんだッッ……じゅ、銃弾……なのかッ!?)

みくる「今、戦争の起きていた時代、場所で発砲された何十何百という銃弾をこの時空の狭間に呼びよせました」

みくる「……あなたの負け、と言いましたよね?」

196 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/23(土) 18:47:02.72 ID:iwLPVpMo

会長(…とっさにクルール・マグネットで銃弾を防いだものの……)

会長(数発、浴びてしまったようだな……)

会長(この女ッ……なんて能力だッ……)

みくる「でも、安心してください」

会長「…?」

みくる「どれだけの銃弾、兵器、惨劇を呼び寄せようとも」

みくる「『それが使われた』『それが起こった』という記憶を呼び寄せるだけで」

みくる「過去は変わりません。タイムパラドックスは、起きないんです」

会長「…ッ!」

会長(つまりッ…!)

会長(この空間にいる限りッ…こいつはありとあらゆる攻撃が可能、というわけ、か…?)

会長「くそがァァッ! 貴様を殺してッッ! 俺はこの空間を抜け出すッッ!」

みくる(この空間は持って5分ほど…あまりのんびりはできませんッ…!)

みくる「諦めてくださいッ!」

ガシャァァァァアアアン!!

会長「な、なんだ、この鎖はッッ!」

みくる「覚えていないんですか?」

会長「ば、ばかなッッ……俺の、スタンドで張り付けた鎖…だとッ!?」

みくる「『手足を縛った鎖の記憶』を呼びもどしました」

会長「ふ、ふざけるなッッ!」

みくる「終わりです」

みくる「今、『戦車の砲台の記憶』を呼びもどして、あなたを倒します」

みくる「あなたの磁石とは言え、あれほどの速度、質量をもつものを避けられるでしょうか?」

会長(ッ…! まずいッッ!)

みくる「終わりです……」

197 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/23(土) 18:56:01.94 ID:iwLPVpMo

会長「ま、待てッ! 俺を殺せば、お前のダチも死ぬことになるぞッッ!」

みくる「…ッ?」

会長「いいか、俺のスタンドの磁力であいつらを天井に縛り付けているんだ」

会長「もしも、俺が死に、スタンドの磁力が消え去ったなら」

会長「あいつらは数メートルの高さから落下し…」

会長「どうなるかは言わなくても分かるよなッ…?」

みくる「……そ、そんなッ……」

会長「死んだ人間をよみがえらせることなんて、できるのかな?」

みくる(た、試したことがないから分からない……鶴屋さん…周防さん…)

みくる(どうすればいいの…!?)

会長(ふん……迷ってるな……)

会長(これで、こいつは俺を殺せない)

会長「さぁて、こっちの番だよなぁ?」

みくる「ッ!」

会長「何発か銃弾を浴びたとはいえ、致命傷ではない」

会長「クルールでその綺麗な面をボコボコにしてやるよぉ!」

会長「クルールッッ! その女をボコボコにしろッッッ!!」

クルール「シャアアアアァァァッッ!」

みくる「トラベラーッ!」

ドグォォッッ!

みくる「うっ……」

会長「戦い慣れてない奴には少しきつい一撃だったか」

会長「とどめだッ!」

ボグォォォォォオオオッ!

みくる(ああ……ここまで来たのに…やっとここまで……足を引っ張るだけじゃないって……)

198 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/23(土) 19:00:22.20 ID:iwLPVpMo

トラベラー「こんなところであなたを死なせません」

みくる(トラ……ベラー……)

会長「…ッ! 奴らの体が空間に溶け込んでいるッ! クルールッ! 叩き潰せッッ!」

クルール「シャアアアアッ!」

ジワァァァァ……

会長「…チィッ」

会長(む……空間が崩れつつある…これで戻れるわけだな…)


パリィィィィィンッッ………


会長(ここは、あの倉庫か…)

会長「俺の…勝ちのようだなぁッッ!」

会長「ククク……フハハハハハハハハハッッ!!!」







みくる「………」

205 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/24(日) 11:43:41.63 ID:wNWcxHAo

会長「天井には二人の女……ふふ、助けもせずに逃げ出したようだな」




鶴屋さん(みく……る……)

鶴屋さん(逃げる……さ………)

鶴屋さん(みくるだけでも………逃げて……ほしいな……)




会長「ん…?」

会長「ほう、鶴屋家の娘よ。とっくに息絶えたものと思っていたが、まだ生きているみたいだな」

鶴屋さん(……)

会長「…安心しろ。さっきの女がいつ襲ってくるかわからんからな」

会長「あいつを確実に仕留めるまでお前は人質だ」

鶴屋さん(へへ……どうやら…みくるの足を……引っ張ってるみたいだね……)

鶴屋さん(こんなの………ダメさ……)

鶴屋さん(こんなの……)



会長「くく……殺してくれって顔をしてるな、鶴屋家の娘」

鶴屋さん「……ッ」

会長「行っただろう、お前は人質として生かしておくと」

会長「あの女をしとめるまでの命ではあるがな」

会長「くくく……ふははははッッ!」


ユラァァァァァァァッ……


会長「ッ! ま、また、あの裂け目だと…ッ!」

208 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/24(日) 11:52:34.79 ID:wNWcxHAo

会長「だが、もう同じ手は食らわん!」

会長「クルールッ! あの裂け目にありったけのネジをぶちこんでやれッッ!」

クルール「シャァァァァァアアアアッッ!!」

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウンッ!

会長「……ッ、手ごたえがないッ…!」

会長「バカなッ…! あの裂け目は『時空の狭間』に繋がっていてッ…」

会長「そこにはあの女がいるはずッッ!」

会長「こんなことがあるわけッ!」

会長「あるかぁぁぁぁぁッッ!」

ビュゥゥンッ ビュゥゥンッ ビュゥゥンッ ビュゥゥンッ ビュゥゥンッ ビュゥゥンッビュゥゥンッ

会長「どうして手ごたえがないッッ!」


ズルゥゥゥゥ……


会長「そしてッッ! どうして貴様は無傷で裂け目から出てきやがるッッ!」

みくる「……」

会長「このッ……アマァァァァァッ!」

みくる「……もう負けません」

みくる「私はッ! 鶴屋さんをッ! 友達を助けるためにッ! もう負けられないッッ!」

みくる「あなただけは絶ッッ対に許さないッッ!」

会長「言っていろッッ!」

ビュゥゥンッ ビュゥゥンッ ビュゥゥンッ ビュゥゥンッ ビュゥゥンッ ビュゥゥンッビュゥゥンッ

みくる「トラベラァァァッ!」

カキィン カキィン カキィン カキィン カキィン カキィン カキィン

会長「チィッ!」

会長(さっきの騎士姿の時よりも細身の剣で速さが増してるのかッ…!)

209 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/24(日) 12:00:43.14 ID:wNWcxHAo

会長「だがッ! これならどうかなッッ!」

みくる「ッ!」

みくる(大きめの工具箱ッ……)

トラベラー「させません」

ユラァァァッ……・   ガキィィィィィインッ!

会長「何ィッ!!!」

会長(時空の狭間から、盾のようなものを呼びだしやがっただとッッ!)

みくる「…あなたじゃ私たちには勝てません」

みくる「私には、記憶が味方についてる」

会長「…ッ! ぶち殺してやるッッ!」

みくる「もう……諦めてください」

会長「減らず口をッ!」

バサッッ!

会長「…ハンッ! その天使のようなスタンドに捕まって空を飛んだところで」

会長「俺の攻撃が避けにくくなっただけだぜッ!」

みくる「違います、もうあなたは私の術中なんです」

会長「何ッ!」


ドロォォォォォォォォ………


会長「なッッ! なんだッッ!! 床が溶け始めているッッ!!」

みくる「トラベラー・エンジェルのレイピアで床のコンクリートが『自分が液体だった時の記憶』を呼びもどしました」

会長「ば、馬鹿なッッ!!」

会長「う、ぐ、体が沈んでいくッッ!」

210 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/24(日) 12:07:26.73 ID:wNWcxHAo

会長「ぐ…」

会長「ぐ…?」

会長(胸のあたりまで沈んだところでコンクリートが固まった…ッ?)

スタッ

みくる「……あなたを拘束しました」

会長「こんなことがッ…できるスタンドがあるなんて……」

みくる「さあ、あの二人を解放しなさい」

会長「…ッ」

会長「わかった……」













ガシャァァン



みくる「ッ!」

会長「なぁんて言うと思ったかッ! あいつらも道連れだぁぁぁッ!」

みくる「私にはッ! 二人の命を救うだけの力があるッ!」

ユラァァァッッ

会長(あの天使ッ! 素早い太刀筋で時空の狭間を呼びだしたッ!?)


ボヨォォォンッ


みくる「トランポリンの記憶です。もうあなたに残された手はないですよ」

212 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/24(日) 12:15:53.86 ID:wNWcxHAo

会長「う…うう…!」

みくる「今から時空の狭間で二人の傷を治します」

みくる「それまでに覚悟を決めておいてください」

会長「ッ……」













みくる「覚悟は決まりましたか?」

会長「…ッ」

周防「………不穏因子………排除……すべき……」

会長「煮るなり焼くなり好きにしろ……拘束するだけ、と思っていたが結局はお前らを人質にした挙句、その命を奪おうとしたからな」

会長「今、お前らに殺されたところで恨んだりはしない」

会長「むしろ、それが妥当だ」

みくる「…」


みくる「私だって、人を、動物を殺すようなことはしたくないです」

みくる「……あなたには」

みくる「全てが終わるまでこのままで待っていてもらいます」

会長「…ッ」

みくる「それで、いいですね?」

会長「………とんだアマちゃんだな…」

みくる「ではそういうことで。私たちは行きます」

213 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/24(日) 12:23:57.65 ID:wNWcxHAo

鶴屋さん「みくるっ! あのままでてきちゃったけど、いいのかい?」

みくる「はい。動けない相手の命を奪うなんてことはできません」

みくる「できることなら人の命を奪うなんてことはないほうがいいですから」

みくる「ああ、でも、お仕置きならしておきましたから大丈夫です」

鶴屋さん「おっ、そのお仕置きって言うのはなんだい?」

みくる「ふふ、コンクリートで固めてしまいましたから、トイレは少し我慢してもらわなきゃいけません」

鶴屋さん「…ぷっ、あははははははははははっ!」

鶴屋さん「そうだねっ! それくらいなら全然、神様仏様も許してくれるねっ! うはははははっ!」

みくる「ふふ」



鶴屋さん「はぁ、笑った笑った…」

みくる「これから、どうしましょうか。敵を一人倒したのはいいんですけど当初の目的が……」

鶴屋さん「おお、そうだったねっ」

周防「…………目的………何………?」

みくる「あ、周防さん……私たち、正面玄関以外の、ビルの入り口を探しているんです。知りませんか?」

周防「……………」

鶴屋さん「…上?」

鶴屋さん「おおうっ! 二階部分、壁がぶっ壊れて穴ができてるっさ!」

みくる「あそこならスタンドを使えば登れそうですね……私たちは行きますけど、周防さんも来ますか?」

周防「………………不穏因子………排除………任務………共闘………」

みくる「…ありがとうございます、行きましょうか」

鶴屋さん「あいあいさーっ!」

214 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/24(日) 12:33:27.16 ID:wNWcxHAo

会長 …谷口の刺客としてビル外の倉庫で待ち伏せしていたが、みくるによってコンクリートに埋まった状態に。
      スタンド名:クルール・マグネット(命名:会長)
クルール・マグネット …体の右半分が赤、左半分が青という鮮やかな色を持つ、機械的人型スタンド。
               磁力を自由に扱うことができ、金属部品などを高速で飛ばしたり、金属による攻撃をそらしたりすることができる。
               また、パワーもあり接近戦も得意。
周防 …天蓋領域の指令により会長と戦ったものの、敗れ、拘束されていたところをみくるによって救出、治療され彼女たちに同行する。
      スタンドはあるようだが、今現在、その正体は不明。
トラベラー・エンジェル …みくるのスタンド『トラベル・ガーディアン』の鎧が崩れ、進化したスタンド。純白の翼をもつ女性天使のようなスタンド。
                時を操る能力がさらに強化された。
                レイピアによって時空の狭間を呼びだし、物の記憶を呼びだすことで、あたかもその物がそこにあるかのように使うことができる。
                時空の狭間に敵を引きずり込めば、物の記憶を呼びだすことがさらに容易になり、攻撃のバリエーションも非常に豊かになる。
                また、時空の狭間には『時間のゲート』が存在し、生物がそのゲートを通ると、その時間の状態に戻ることが可能。治療はこの方法で行われる。
                そして、トラベラー・エンジェルのレイピアは物に記憶を思い出させる効果があり、物の状態を昔に戻すことができる。
                パワーはなく、あまり接近戦は得意じゃないが、能力が非常に強力なので、充分戦える。

230 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/25(月) 19:27:40.79 ID:AxPPUKko

昨日は外から帰ったら日付が変わりそうでした。
買い物だけのはずが、いろいろと誘われたりしたもので。

↑言い訳
↓続き

ビル 地下

シャミ(迂闊だった……敵のスタンドの能力が、よもや『聴力』を奪うことだったなんてッ…)

シャミ(光が差し込まない地下室…音が聞こえない耳…)

シャミ(私にはヒゲと猫目、鼻があるからどうにかなってはいるが)

シャミ(承太郎たち人間には、完全なる闇ができあがっているということになるッ!)

シャミ(コミュニケーション手段も封じられているしな…)

シャミ(…ッ、どうすればいいッ!)



承太郎(体にチェーンソーがめり込んだ瞬間、スタープラチナで時を止め、回避することはできるが)

承太郎(猫目のシャミはまだ何とかなるとして、長門や部長は一撃が致命傷となるッ…)

承太郎(……なす術なし、か…やれやれだぜ……)




朝倉「ねぇ! シャミちゃんってばぁ!」

朝倉「んもう、私を置いてどこかに行っちゃうなんて酷いなぁ」

朝倉「私も敵と戦いたいんだけどなぁ」

朝倉「あら?」

朝倉「あら、いやだ。右手がなくなってるじゃない、長門さんったらケチだなぁ」

朝倉「しっかり構成してくれない……と…」

朝倉「あ、あれ、血がものすごい出てる」

朝倉「ど、どうして音もなく、こ、こんな……」

233 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/25(月) 19:37:26.08 ID:AxPPUKko

???(こっちですよ、朝倉さん)

朝倉「だ、誰ッ!」

???(私が誰か分からないんですか? …ずいぶんな扱いですね)

朝倉(あ、頭の中に直接声が響いてるッ…? スタンドの能力かしら…?)

???(私ですよ)

朝倉「いい加減、名乗ってくれないかしら。右手がなくなって、少し不機嫌なのよ」

喜緑(喜緑、江美里です)

朝倉「……あなた、ね。どうして万能にして高性能なインターフェースが二人も操られているのかしら?」

喜緑(私には分かりかねます。ただ、スタンドの能力はある意味で、情報統合思念体の力を妨げる、ということなのかもしれません)

朝倉「人類が見つけた、新しい進化の可能性の一つ、とでも言いたいのかしら?」

喜緑(それを決めるのは情報統合思念体です。私という個体ではありません)

朝倉「そう…賢明ね」

喜緑(あなたが言うと説得力がありますね)

朝倉「余計なお世話よ」

喜緑(からかい甲斐があって面白いですね。あなたみたいに欲望に忠実な人を見ていると飽きません)

朝倉「それはどうも」

喜緑(それよりこんなにのんびりしていていいんですか?)

朝倉「ああ、そうだったわね、こうして私の腕を切り落としてくれたってことは」

朝倉「あなたも谷口君に操られた側だったわ」

朝倉「私の右腕はそんなに安くないってこと、思い知らせてあげないとね」

喜緑(ふふ、楽しみです)

朝倉「楽しませてあげるわよ」

234 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/25(月) 19:48:51.63 ID:AxPPUKko

シャミ(む……血の臭い…まさかッ…)

シャミ(やはりッ! 朝倉女史、追ってきていたのかッ!)

シャミ(インサニティ・タイガァァァッ! チェーンソーを持っているほうを攻撃しろッッ!)

ガウゥゥゥゥウゥウウウッッ!

喜緑「…ッ」

シャミ(避けられたかッ…あのチェーンソー女の聴力は健在のようだな)

朝倉「あら、シャミちゃんじゃない! どこに行ってたのよ」

シャミ(朝倉女史、まさか聴覚が奪われたということに気が付いていないのかッ…?)

朝倉「シャミちゃんってば!」

シャミ(くそッ! どうやって伝えればいいッ!)

シャミ(承太郎たちはあらかじめ気が付いていたからよかったが…)

喜緑(朝倉さん、よそ見厳禁ですよ)

朝倉「え…きゃぁッ!」

朝倉「あ、あっぶなぁい……チェーンソーなんて怖いもの振り回さないでよ」

シャミ(インサニティッ! いまだッ!)

ガルルルルウウウウウゥゥゥッ!

喜緑(ザ・サイレンス、受け止めて)

グイイイィィィッ!

シャミ(へ、蛇のスタンドッ……)

朝倉「ああん、もう、やっかいだなぁ」

朝倉「……あれ」

朝倉「もしかして、私、聴力奪われてるのかしら」

朝倉「今の戦いの音が全くしなかった…」

236 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/05/25(月) 20:03:56.28 ID:AxPPUKko

長門(…喜緑江美里の妨害工作によって情報統合思念体と交信ができない)

長門(聴力の回復、および暗視モードは現時点では絶望的)

長門(敵の居場所の把握ができない)



朝倉(しょうがないかぁ……スタンド、使っちゃおっと)

朝倉(バーサーカーッ! 巻きついてる蛇のスタンドを切り刻んでッ!)

スチャッ……

スパァァァァァアアアンッ!

喜緑(あらら、切られちゃったみたいですね。お腹あたりからの出血がひどいです)

喜緑(ナイフ大好きな朝倉さんにピッタリのお侍さんですね)

朝倉「そういうあなたは、似合わない蛇のスタンドだけれど」

喜緑(人もそうですけど、インターフェースも外見だけで判断してはいけませんよ)

喜緑(さて、これ以上、『わざわざ』接近戦をする必要もありませんね)

朝倉「どういうことかしら」

喜緑(こういうことです)

シャミ(あの女ッ! 離れてから、起動したチェーンソーを五本ほど地面にばらまきやがったッ!)

シャミ(しかもそれを蛇のスタンドで操っているッ!)

シャミ(インサニティッッ! 朝倉を咥えて飛ぶんだッ! 音が聞こえない朝倉はチェーンソーの格好の的だッッ!)

朝倉「きゃぁぁっ! シャ、シャミちゃんッ!?」

喜緑(やはり猫には見えるんですね)

シャミ(くそッ! 仲間を巻き込むかもしれないがッ!)

シャミ(聴覚の消えていない敵にならやってみる価値はあるッ!)

シャミ(インサニティ・タイガーッ! 吼えろッッ!)

269 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/01(月) 14:38:15.83 ID:GdBHhHYo

シャミ(われわれの聴力が奪われてはいるが、敵の聴力は健在ッ)

シャミ(それならばインサニティ・タイガーの能力が通用するッッ!)

喜緑「……」

シャミ(何ィィッ!?)

シャミ(何故だッ! 何故、あの女にインサニティの能力が効かないッ!)

喜緑(飛んだようですが…着地する場所が安全かどうか見えていないようですね)

シャミ(しまったッ! チェーンソーの刃が地面に垂直にッッ!)

朝倉「……」

ドンッッ

シャミ(女史ッ!? 口から抜けてインサニティもろとも私を蹴飛ばすなど…ッ)

シャミ(まさかッッ!)

シャミ「やめろォォォォォッ!」



ズザザザザザザザザッ………



シャミ「朝倉ァァァァアアアッッ!」

ズバババババババッッ

ゴリゴリィィッッ……

朝倉「く…ふふ……なかなか面白い、こと……してくれ、る…じゃない?」

朝倉「喜緑、さん…?」

シャミ(まずいッ……朝倉の腹部をチェーンソーが二本貫いているッ…)

シャミ(近づけば蛇が操るチェーンソーのテリトリーッ…)

シャミ(どうするッ……早くしなければ朝倉が手遅れになるぞッ!)

270 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/01(月) 14:47:11.72 ID:GdBHhHYo

喜緑(面白いですか? ……私から見たら、あなたはものすごくみじめに見えますよ)

喜緑(一度、長門さんに消されたにも関わらず、再び長門さんに呼びもどされて、それでこんな結末なんて、ね)

朝倉「ふ、ふふふ……谷口君なんかに、操られて、いる、あなた、には言われたく、ない、ゴブッ、わね」

喜緑(血を吐きながらでもそんな憎まれ口を叩けるなんて、さすがです)

朝倉「言っておく、けど、ブフッ、あま、り、私たちを、ガバッ…なめないほう、がいいわ」

喜緑(そうですか、わかりました。そういうことにしておきましょう)



シャミ(よく考えろッ……何故、奴にはインサニティの能力が通用しなかった…)

シャミ(声が聞こえない、声……声ッ!)

シャミ(なんで気づかなかったんだッ!)

シャミ(奴の能力は『聴力』を奪うことじャァないッ!)

シャミ(『振動を吸収する』という能力だったんだッ!)

シャミ(私が感じていた違和感はこれかッ)

シャミ(地面にチェーンソーがばらまかれた時、承太郎たちに大声で話しかけた時ッ…)

シャミ(地面や空気が振動していたにも関わらず、われわれはそれを感知することができなかったッ!)

シャミ(くそッッ! なかなか趣のある能力じゃぁないかッ!)



喜緑(さて、そろそろ長門さんたちの相手をすることにしますか)

ギュイィィィィィイィィィン……

朝倉「……ゴフッ……」

喜緑(ふふ、みじめです。ほんとにみじめ)

272 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/01(月) 14:54:04.58 ID:GdBHhHYo

喜緑(それじゃあ、あの猫をいたぶってあげましょうか)

シャミ(くるッッ!)

喜緑(ふふ、これで相手をしてあげます)

ブゥゥゥゥゥゥウン、ブゥゥゥゥゥゥウウンッ!

シャミ(あ、あれはッ、業務用芝刈り機ッッ!)

シャミ(なんて残虐な代物を用意してきやがるッ!)

シャミ(だが、猫である私には見えているから、たいした恐怖ではない。落ち着いて対処すればいいのだ)

喜緑(それッ)

ブォンッ

シャミ(見当違いのところに投げたッ…?)

シャミ(ッ!)

シャミ(音を感知できない承太郎たちに投げただとォォォォォッッ!)

シャミ(インサニティッ! たたき落とせェェェェェッ!)

バキィィィィイイ!

シャミ(くっ! 刃に巻き込まれて、ダメージを受けたかッ…!)

シャミ(今度はチェーンソーッ!)

喜緑(うふ、仲間をかばいながら戦って、どれだけ持つかしら?)





シャミ(ハァ……ハァ……)

シャミ(切り落とされてはいないがッ……もう、右前足が言うことをきかない……)

シャミ(出血も酷い……意識が朦朧として、くる…)

シャミ(せ、せめてッ……)

シャミ(承太郎たちに……メッセージ、を……)

シャミ(残して………)

274 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/01(月) 15:03:13.85 ID:GdBHhHYo

長門『空条承太郎、聞こえる?』

承太郎『長門、か? ああ、聞こえている』

長門『よく聞いて。今、私とあなたの脳内に思念型通信プログラムを入力した』

承太郎『聞きなれない言葉だな』

長門『これを使えば声を発することなく、脳内による電気信号の送受信で会話することが可能』

長門『聴力の回復、および視力の暗視モードを試みたが、私たちの聴力には異常が見られず』

長門『また、暗視よりもコミュニケーション手段のほうが、仲間との共闘において重要だと考えられるためこのような手段を講じた』

承太郎『……つまり、頭の中に無線機が入った、ということだな?』

長門『それで構わない』

承太郎『どうして長門がそんなことをできるのか』

承太郎『敵の能力は一体何なのか』

承太郎『考えなければならないことはたくさんあるが』

承太郎『やらなきゃいけないことは一つだな』

承太郎『敵をぶっ飛ばすことだ』

長門『そう』

承太郎『とりあえずはさっき俺たちのもとにいたシャミセンと再び合流するぜ』

長門『承太郎』

承太郎『どうした?』

長門『さっき、シャミセンにも同様の通信プログラムを入力しようとしたが』

長門『不可能だった』

承太郎『何故だ? …猫、だからか?』

長門『違う』

長門『もうシャミセンの脳が機能していない。シャミセンは、生物的に言うと死亡した』

承太郎『…何ィ?』

276 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/01(月) 15:11:39.67 ID:GdBHhHYo

承太郎『死亡した、だと…?』

長門『間違いない。シャミセンの肉体は空間座標軸上に存在している。それは認識できた』

長門『しかし、脳が機能していないがゆえに、プログラムを入力することができなかった』

承太郎『……敵にやられたのか』

長門『間違いない。空条承太郎、三時方向に手を伸ばして』

承太郎『……これは』

長門『シャミセンの死体』

承太郎『……きっと、俺たちをかばいながら戦ったんだな…シャミセンのスタンドをもってすれば敵の攻撃をかわすことなど容易い…』

長門『……髭がない』

承太郎『何?』

長門『根元から抜き取られている』

承太郎『本当だ……あの、独特な触感の髭がない、どれだけ触ってみても見つからない』

長門『シャミセンからのメッセージの可能性がある』

承太郎『考えなきゃならないか』

長門『そしてシャミセンが死んだということは油断できない』

承太郎『そうだな……足止めがなくなった、ということは』

長門『私たちから六時方向、3メートル。何か、巨大な武器を五本ほど引きずっている』

承太郎『……』

長門『2メートル』

承太郎『………』

長門『1メートル』

承太郎『…………』

長門『柱に接触した』

277 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/01(月) 15:18:55.17 ID:GdBHhHYo

承太郎『……』

長門『……』

承太郎『長門、柱っていうのは今、俺たちがもたれかかっている柱のことだよな』

長門『そう』

承太郎『これだけ接近しておいて、何もしてこないっていうのは敵の頭がどうかしてるからか?』

長門『……座標軸上に確認できるだけで何をしているかは分からない』

承太郎『だが、音が聞こえなくても何かしら大きな攻撃をしようとしたら柱もそれなりに揺れるはずだ』

承太郎『もし敵が何かしらの方法で柱を壊そうというのなら』

承太郎『音が聞こえなくとも、感知できる、は…ず』

長門『……シャミセンのメッセージを理解した』

承太郎『ああ……俺もだ』

長門・承太郎『柱から離れなければ』

ババッ!

ギュィィッィイイイインッ!

ドドドドドオドドオオッ!

喜緑(あら? 感触がありませんね……勘づいたのでしょうか)

長門『敵の能力は…』

承太郎『ああ、間違いない。俺たちの周りから振動を奪っている』

承太郎『こんな暗闇じゃあ、声や音も聞こえないどころか、敵の攻撃すら察知できない……』

承太郎『やれやれ、やっかいな能力だぜ…』

承太郎『さて、どうする……』

長門『敵の場所だけは察知できる。私が指示を出す方向にスタープラチナで攻撃して』

承太郎『…よろしく頼むぜ』

長門『十時方向より、敵接近』

278 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/01(月) 15:27:45.12 ID:GdBHhHYo

長門『まっすぐ近づいてくる』

長門『今』

スタープラチナ「オラァァァァッッ!」

喜緑「きゃぁッ!」

喜緑(な、殴られた…? 彼のスタンドには見えているのかしら…?)

長門『動きが停止している。ラッシュを』

スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラアアァァッッ!」

ドゴバゴメゴバギョォォォッッ!

喜緑「くぅッ!」

喜緑(感づいている……少し離れてスタンドに攻撃させましょうか…)

長門『敵が十一時方向に向かって距離を開けている』

長門『…スタンドで操っていると思われる武器を五つほど同じ方向から向かわせてきている』

長門『スタープラチナで時を止めてからの迎撃を推奨する』

長門『……時を止めるまで3』

長門『2』

長門『1』

長門『ストップ』

スタープラチナ「ザ・ワールドッッッ!」

ピタァァァアアッ

スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラッッ!」

ベゴッ! バギィッ! ドゴォ! ズギャァッ! ズドォッ!

承太郎『そして時は動き出す』

喜緑(…! チェーンソーが全て折られて壊されている!?)

喜緑(どうして……?)

喜緑(まさか、長門さんが思念体と通信している…?)

279 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/01(月) 15:37:45.52 ID:GdBHhHYo

喜緑(…だめ、今は戦闘中。余計なことは考えちゃ負けるわ)

喜緑(落ち着くのよ)

長門『これを待っていた』

長門『承太郎、壊したチェーンソーを五時方向に投げて』

ブゥン! ブゥン!

長門『……準備完了』

承太郎『何をする気だ?』

長門『スタンドの能力を使って、チェーンソーの残骸を敵に向けて飛ばす』

ビュゥゥゥゥゥゥッッ!

長門『承太郎、正面に向かって走って』

承太郎『行くぜッ』



……ゥゥゥウゥウウウッ!

ドガァァッッ!

喜緑「っつ!」

喜緑(ちぇ、チェーンソーが五つも飛んできた…?)

喜緑(スタンドかしら?)

長門『ラッシュを』

スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァッッ!!!!」

ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴォォォォッッ!

承太郎『……やれやれだぜ』

280 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/01(月) 15:43:54.44 ID:GdBHhHYo

承太郎『やれやれだぜ…』

長門『喜緑江美里のスリープモードへの移行を確認した』

長門『これで私たちの振動も復活する』



長門「聞こえる?」

承太郎「ああ、バッチリだ。今まで何も聞こえてなかったから、逆にうるさいくらいだぜ」

長門「そう」

スタスタスタ……

長門「……シャミセン」

承太郎「……くそッ…」

長門「私の力で生き返らせることは可能。しかし」

承太郎「…」

長門「一度、失われた生命を復活させるということは、地球という星にわずかであってもパラドックスを生じさせるということ」

長門「推奨はできない」

承太郎「……ここから出口を見つけて亡骸を埋めてやろう」

承太郎「それが、シャミセンの気高い魂への手向けになる」

長門「……そう」

長門「…朝倉涼子を再構成する」

長門「...........................................................................................................................................完了」

朝倉「………ん、んむぅ」

朝倉「ふぁぁ、よく寝たわ」

朝倉「あ、あら? 喜緑さんは? シャミちゃんは? あれ?」

281 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/01(月) 15:53:49.02 ID:GdBHhHYo

朝倉「そう……あなたたちをかばって、最期まで…」

承太郎「かばっただけじゃない、最期の最期まで俺たちのためにメッセージまで残してくれた…」

承太郎「これほど気高い戦士、なかなか見ることはできない…」

長門「……無力」

朝倉「……今、それを痛いほど感じているわ」

承太郎「そうだな………ん、そういえば部長はどこに行った?」

朝倉「え、あ、そういえば…部長さーん?」

長門「この部屋にはいない。この空間から消滅している」

承太郎「なんだって? たしかに一緒に部屋に入ったのは確認したぜ?」

朝倉「あーあ、本当にいやなことばっかりね…」




喜緑江美里 ……谷口に操られ、ビルの地下にて、長門、承太郎、シャミセン、朝倉と対峙する。
            卑劣な手を用いてシャミセンを葬るも、長門と承太郎のコンビネーションの前に倒れる。
ザ・サイレンス ……喜緑江美里の蛇型のスタンド。
             対象物の周りの、ありとあらゆる振動を吸収する。
             音が聞こえなくなるのはもちろん、音波による振動すら感知できなくなるため
             暗闇の戦闘においては非常に有利。
             パワーはないが、蛇のように敵を絞め殺すことが可能であり、暗殺向けのスタンドと言える。
シャミセン ……ビルの地下にて、喜緑江美里に敗れ、死亡。
          敵の能力に気づいていなかった長門と承太郎をスタンドともども守り抜いたが
          それによるダメージで多量の出血をし、それが原因で死亡する。
          死ぬ間際には髭を抜きとることにより、二人に敵の能力が『振動を奪う』ということを伝え
          最期まで仲間を想う気高き戦いを見せた。
部長 ……ビルの地下にて、喜緑江美里との戦闘中、行方不明に。

296 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/03(水) 16:30:57.15 ID:NNr3maQo

ビル 上層

キョン「どうしてお前がここにいるんだ……佐々木ッ!」

佐々木「久しぶりだね、キョン」

阪中「佐々木さん、ってキョン君のお知り合いなのね?」

キョン「あ、ああ……中学の頃、同じクラスだったが…」

キョン「谷口の野郎……佐々木にまで手を出しやがるなんて……」

佐々木「おっと、キョン。自分の友人を悪く言うものじゃないよ」

キョン「お前は…谷口のスタンドに操られているんだ」

佐々木「いいや、それは違うよ」

佐々木「僕はね、自分の意志で谷口君に協力しているんだ」

キョン「……何だとッ?」

佐々木「谷口君は僕にこう言ったんだ」

佐々木「『キョンたちを一緒に殺さないか』ってね」

佐々木「最初は意味がわからなかったよ。見ず知らずの人間にそんなことを訊かれるなんて人生で二度とないことだ」

佐々木「もちろん首を横に振った。中学以来の付き合いである君を殺すなんて、冗談でも首を縦に振れるわけがないじゃないか」

佐々木「だけど、何か、第六感とでも言うのかな」

佐々木「そいつがこう僕に囁くんだ」

佐々木「『もし首を横に振れば、本当にキョンと殺し合いをする羽目になるぞ』ってね」

佐々木「あれほどまでに強い直感を、『直感』と言っていいのかと悩むくらいに頭の中にその言葉が響いたんだ」

佐々木「気づいたら、僕は首を縦に振っていた」

キョン「…だ、だったら、佐々木、お前に俺と戦う意思はないってことだな?」

佐々木「……いいや、違うんだ、キョン」

佐々木「僕は、たとえ相討ちになったとしても君を倒さなきゃ、殺さなきゃいけない」

297 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/03(水) 16:41:57.59 ID:NNr3maQo

佐々木「僕は谷口君の持つ『矢じり』のようなもので傷をつけられ、スタンドという不思議な能力を得た」

佐々木「それから僕は谷口君の傍で、彼がどのようにキョンを殺そうとしているのかを見てきた」

佐々木「…驚愕だったよ」

佐々木「彼のスタンドがどういう能力を持っているのかは知らない。だけど、彼に誘われた人間は100%、そう必ず仲間になっていくんだ」

佐々木「それはもう、勧誘だとか支配じゃあない。洗脳だ」

佐々木「そして、洗脳された人々はみんな、彼に矢じりで傷をつけられ、僕と同じようにスタンドを与えられていった」

佐々木「恐怖を覚えたね。もし、あそこで首を横に振っていたなら、僕もああいう風になっていたのかな、と」

佐々木「キョンの命を奪うことに、何のためらいも感じないようになってしまうのか、ってね」

佐々木「でも、僕は谷口君のスタンドの洗脳を受けていない」

佐々木「やろうと思えば、いつだって谷口君を葬れると思ったんだ」

佐々木「でも、まだ彼のスタンドの能力が分かっていなかったからしばらくは様子を窺ってみることにしたんだ」

佐々木「……それが失敗だった」

佐々木「谷口君が、僕の行動に感づき始めていたのに、僕は気がつくことができなかった」

佐々木「両親を……人質にされたんだ」

佐々木「谷口君はこう言った」

佐々木「『お前の両親を洗脳した。お前がキョンを殺せなかったとき、お前が俺に攻撃を開始した時、お前の両親は何の躊躇もなく自殺する』」

佐々木「悔しかった……力を与えられたことに油断していたんだ」

佐々木「洗脳していない僕に力を与えるということは、彼にはそれ以上の力がある、ということ」

佐々木「結局、僕は彼の掌の上で踊らされていたんだ」

佐々木「………そういうわけだ。キョン、死んでくれないか」

キョン「そんなこと……そんなこと、聞いてあげれるほど、俺は人間としてできちゃいない」

キョン「……できちゃ、いないんだよ……」

299 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/03(水) 16:54:22.07 ID:NNr3maQo

キョン「佐々木……お願いがある」

佐々木「何だい?」

キョン「この戦いに、この阪中は関係ない。彼女を先に行かせてやってくれないか」

阪中「え、えええ!?」

佐々木「……いいだろう。谷口君の洗脳に、彼女は無関係だ」

阪中「ちょ、ちょっと待つのね! キョン君、どういうつもり!? 私を先に行かせるなんて!」

キョン「……阪中、いいか。俺たちの目的は谷口を止めることで、敵を倒し続けることじゃない」

キョン「これ以上、奴の思い通りにさせてはいけない。いけないんだ」

キョン「誰かが、あいつを止めなくちゃいけない」

キョン「だったら、たった少しの人数になったとしても、あいつにたどり着かなきゃいけない」

キョン「それに阪中、お前のスタンドなら臭いで谷口を追える。違うか? お前がもしここでやられたら、谷口をもう追えないかもしれない」

阪中「そ、そうだけど……でも、でも! ここら辺にはもう谷口君の臭いはなかったのね!」

キョン「上には、あるかもしれないだろ?」

阪中「そう、だけど…でも、えっと、その…」

キョン「それに、佐々木の言う通り、この戦いにお前は無関係なんだ。敵が通すと言ってくれるなら、それに甘えたほうがいい」

阪中「あ、で、でも」

キョン「いいから行けッ!」

阪中「ッ……」

佐々木「阪中さん、と言ったかな」

阪中「え、あ、はい…」

佐々木「キョンはね、どうでもいいことに声を荒げたりしない」

佐々木「はて、この場合、どうでもいいことってのはどちらのことなのかな」

佐々木「君を逃がして無関係な争いに巻き込まないこと、谷口君を探し出し止めること」

阪中「そ、それは私をまきこまな」

佐々木「違うよ、キョンはどちらも大事なことだから声を荒げたんだ」

301 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/03(水) 17:00:35.22 ID:NNr3maQo

阪中「ッ……」

佐々木「女という生き物は、男の厚意を黙って受け入れたほうがいい」

佐々木「もっとも、僕が男だの女だのと語ったところで説得力はないだろうがね」

阪中「………キョン君」

キョン「なんだ?」

阪中「絶対に、生きて追いついてほしいのね」

キョン「…ああ、約束する。行け」

阪中「…うん、約束なのね」





キョン「ありがとうな、佐々木」

佐々木「なに、唯一無二の親友の頼みだ。これくらいどうってことないさ」

キョン「……相変わらずだな」

佐々木「キョンのほうこそ」

キョン「戦わなきゃ、いけないのか…?」

佐々木「……キョンには感謝している。僕の中学時代が張り合いのある楽しいものになったのは、他の誰でもない君のおかげだ」

佐々木「…でもね、僕は両親にも感謝している」

佐々木「両親がいなければ、僕はキョンに出会うことも、ましてや感謝することもなかったから」

佐々木「だから、だから僕は全ての感謝の元である両親を助けるために、キョンと戦う」

佐々木「悪く……思わないでくれ」

キョン「誰がお前のことを責めるか」

キョン「もしお前に殺されたところで、怨霊になる自信はねえな」

キョン「……いくぞ」

佐々木「臨むところだ」

302 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/03(水) 17:10:14.86 ID:NNr3maQo

ウェアリネス「DARYYYYYYYYYYYYY!!!!!!」

バシィィィィッッ!

キョン「受け止めた、か」

佐々木「ふふ、魔術師のような格好をしておきながら、パワータイプなんだね」

佐々木「面白いよ、キョン」

佐々木「反撃だッ! アナザー・ゴッドッッ!」

アナザー「ウオオオオオオオッ!」

キョン(ゴーレムのような……いかにもなパワータイプかッ!)

キョン「ウェアリネスッ!」

ウェアリネス「ダリィィィィィッ!!!」

アナザー「……ウオオ……オオオ…」

佐々木「…ッ! スタンドの能力かッ!」

佐々木(アナザー・ゴッドが急にやる気を失ったように、パンチを引っ込めてしまった…?)

佐々木(キョンのスタンドの能力は何だ……?)

キョン「ガラ空きだッッ!」

ウェアリネス「ダリダリダリダリダリィィィィッ!」

ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴッ!

佐々木「く、うぐッ…」

キョン(『殴る』ことに対するやる気を奪ったのはいいが…)

キョン(『防御』にまでは手が回らないな……)

キョン(能力の発動には十数秒程度のインターバルが必要か…)

佐々木「っつつ……ふふ、なかなかいいパンチだよ、キョン」

佐々木「僕も、負けていられないな」

304 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/03(水) 17:16:49.92 ID:NNr3maQo

佐々木「アナザーッ!」

アナザー「ウオオオオオオッ!」

ビュゥゥゥゥゥゥンッ!

キョン(コンクリートブロックを投げたッ?)

キョン(だが、これくらいならウェアリネスで砕けるッ!)

キョン(砕いた後に、すぐさま近づいてラッシュだッ!)



アナザー「……キョンにブロックが当たる確率、2%」

佐々木「最高増加率で底上げだ」

アナザー「……キョンにブロックが当たる確率、50%」



ウェアリネス「DARYYYYYYYYY!!!!」

バキャァァッ!

キョン「よしッ! いけるッ! ウェアリネ…」

ガツッ!!!

キョン「ぐあッ! ……っつつ…」

キョン「な、なんだッ?」

佐々木「君が砕いたブロックの大きめの破片が天井に当たり、君の頭上に降り注いだんだ」

キョン「ぐ…くそッ」

キョン(せっかくの攻撃チャンスを……)

佐々木「さあ、まだまだ行くよ」

305 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/03(水) 17:26:05.17 ID:NNr3maQo

キョン(今のブロックは佐々木の能力かもしれんッ! …接近戦だッ! 距離を開けないように戦うッ!)

キョン「ウェアリネスッ!」

ウェアリネス「ダリィィィィィィッ!」



アナザー「………ウェアリネスにカウンターが決まる確率、16%」

佐々木「最高増加率で、底上げだ」

アナザー「………ウェアリネスにカウンターが決まる確率、64%」



ウェアリネス「ダリダリダリダリダリィィッ!」

アナザー「ウオオオオオオオオオオッッ!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!

アナザー「ウオオオオオッ!」

ドゴォォォッ!

キョン「ッッッ!」

キョン(う……ぐ……あ、危ねえ……顎にカウンターが決まるとは……意識を失いかけたぜ……)

キョン(くそッ……ツイてないぞ…)

アナザー「ウオオオオオオオオッ!」

ドゴォォォォォォォッ!

キョン(天井を砕いたッ!? 破片で攻撃するつもりかッッ!)



アナザー「……キョンが、破片で頭を打ち、気絶する確率、6%」

佐々木「最高増加率で底上げだ」

アナザー「……キョンが、破片で頭を打ち、気絶する確率、54%」

318 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/10(水) 17:55:12.31 ID:GVPkWIco

忙しくなるのは週末、としか書いてなかったのに普通に月火も忙しかったです…
おじいさんの言うことはいまいちよくわからんですね、はい。

↑言い訳
↓続き


キョン「ウェアリネスッッ! 破片を弾き落とせッッ!」

ウェアリネス「DARYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドォォッ!

キョン「はぁ……はぁ……」

キョン(なんとか防ぎきったが……すごいピンポイントな攻撃だ…)

キョン(佐々木のスタンドの能力は何だ…?)

キョン(承太郎のスタープラチナのような精密かつ計算的な動きが可能、とか…?)

キョン(いや、速さじゃウェアリネスは負けていない。まだ他に何かがあるはずだ…)

キョン(あるはずなんだ……)

キョン(落ち着け……俺は今まで世界を何度も救ってきたじゃないか、自分を信じろ……)



佐々木(キョンの目つきが変わった……)

佐々木(ふふ、ためらいは取り除かれたみたいだね)

佐々木(それでこそ、僕の命をかける価値があるというものさ)

佐々木(どっちが死んでも恨みっこなしだよ、キョン)

佐々木(…どちらも死ぬなんて考えたくないからね)




佐々木「行くよッ! キョンッッ!」

アナザー「ウオオオオオオオオオオッッ!!!」

319 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/10(水) 18:06:09.04 ID:GVPkWIco

キョン(普通に接近してきたッ? また接近戦を挑むのかッ?)

キョン(佐々木から戦意を奪うなんてことはしたくないッ……)

キョン(もし、そうしてしまったならッ! 佐々木は、全力を尽くすことなく両親を失うからだッッ!)

キョン「ウェアリネスッッ! スタンドだッ!」

ウェアリネス「ダリィィィイイイッ!」


アナザー「ウオオ……オオ……」

佐々木(む、まただ……また途中から減速して……止まってしまった…)

佐々木(キョンの能力は何だろう……『減速させる』? それとも『力の吸収』?)


ウェアリネス「ダリダリダリダリダリダリダリダリィィィィィィィイイイ!!!!!」

ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴォォォッ!

佐々木「ぐッ……」

佐々木(く、ふふ……あえて本体には攻撃してこない、か……キョン、君って人はは本当に優しいね……)

佐々木(でも………僕はこんなところで膝を折れない……)

佐々木(守らなきゃならない家族がいるから、ね……)

佐々木「キョンッ! 君ほどにできた人間と、僕はいまだかつて出会ったことがないッ!」

キョン「……そいつはどうも」

佐々木「君を倒さなきゃ……いや、殺さなきゃいけないのかと思うと、ほら、こんなにも足が震える」

キョン「……くそがッ…」

佐々木「でも、負けられない……家族を失うと思ったら………心が震えて止まらないんだッッ!」

佐々木「アナザーッッ! 本気で行くよッッ! 僕たちはこんなところで立ち止っていられないッッ!」

アナザー「ウオオ……オオオオオ…ッ!」

佐々木「地面だッ! アナザーッ!」

320 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/10(水) 18:14:18.09 ID:GVPkWIco

アナザー「……この一撃でキョンが階下まで落下し、戦闘不能になる確率、1%」

佐々木「最高増加率で底上げだッ!」

アナザー「……この一撃でキョンが階下まで落下し、戦闘不能になる確率、50%」



ドゴオオオオオオオオオオッッッ!


キョン「床をッ…しまったッッ! この部屋をぶち壊すつもりかァァァッ!」

キョン「ウェアリネスッッ! 『崩壊』を止めろォォォォッッ!」

ウェアリネス「DARYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!」

ユラァァァッ……

佐々木「ッ! 部屋の崩壊が止まったッ…?」

キョン「なかなか考えることが大胆だな、佐々木……」

キョン「だが、それ以上、お前の思うようには進ませない」

キョン「ウェアリネスッッ!」

ウェアリネス「ダリダリダリダリダリダリダリダリィィイィィィッ!」



佐々木「なんて、こんなことで僕が退くとでも…?」

キョン「何ッ!?」

佐々木「今の崩壊はキョンに能力を使わせるためさッ!」

キョン(まさかッ……俺の能力の弱点、インターバルを見破ったのかッ…!?)

キョン「ウェアリネスッッ! 戻れッッ! 戻るんだッッ!」

佐々木「いいや、無理だッ! スタンドにもわずかながら意志はあるッッ! そこまで出かかった拳を止めることは不可能ッ!」



アナザー「……反撃して敵の拳を粉砕する確率、0%」

佐々木「最高増加率で底上げだッッ!」

アナザー「……反撃して敵の拳を粉砕する確率、50%」

323 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/10(水) 18:24:18.98 ID:GVPkWIco

キョン(最高増加率で底上げッ…? 何のことだ?)


ガシィィィィィィッ!


キョン(拳を拳で止めたッ!?)

ギシッ……

キョン「ぐッ…?」

ドグオシャァァァァアアアアッ!

キョン「うぐあああぁぁぁッッ!!!」

キョン「ひ、左手がッッ! ふ、く、砕けただとッッッ!!!」

キョン「痛ェェッ……ナイフで腹をグリグリされるよりも、断然ッ! 痛えええッッ!」

キョン(どうしてだッ! さっきまで拳と拳がぶつかってもここまでのダメージではなかったはずッッ!)

キョン(それとさっき佐々木が言っていた最高増加率で底上げ……あれも関係があるはずッ…!)

キョン(ダメージかッ? ダメージを底上げしているのかッ?)

キョン(いや、さっきの破片の時も、佐々木は何かを呟いていた。それはきっと同じセリフだったに違いない……)

キョン(とすると、なんだ……何を底上げしているんだッ!)



佐々木「左手がつぶれた状態でどこまで戦えるかなッッ!」

アナザー「ウオオオオオオオオオオオオオッ!」

ウェアリネス「ダリダリダリダリダリダリィィィッ!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッ!

ドグォォゥッ!

キョン「ぐあッ!」

キョン(か、片手じゃ無理、か……)

キョン(なんて化け物だよ……佐々木…)

324 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/10(水) 18:31:13.21 ID:GVPkWIco

佐々木「キョン……今までありがとう」

佐々木「君には本当に感謝している。ありがとう…」

佐々木「恨み事ならあっちで聞くよ……だから、今だけは我慢してくれ…」




キョン(ああ……意識が遠ざかっていく……)

キョン(ははは……佐々木の手が、俺の首を……)

キョン(……こいつともいろんなことがあったよなぁ…)

キョン(…………塾……無駄話……変な女好き……)

キョン(……たしか名前を褒められていた気がする………)

キョン(……なんか壁をすり抜けられるか、みたいな話もしたっけか………)

キョン(……………すんげぇ低い確率だけど………分子が分解してどうとかって……)

キョン(…こんなことになる確率って………どれくらいだったんだろうな………)

キョン(……………………………………これかッ……)

キョン(……………しぬ、まえに、……せめて……これだけでも……のこ、す……)













佐々木「さようなら、キョン…」

334 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/14(日) 17:47:32.00 ID:WlV0T/6o

週末のこの時間が空くなんて奇跡だッッ……
というわけで続きです。


ビル内

みくる「鶴屋さぁん! 待って、くださぁい!」

鶴屋さん「ファイトだよ、みくるっ!」

みくる「し、しっかりビルの中を捜索しましょうよお……」

鶴屋さん「そんなに悠長なことは言ってられないさっ!」

みくる「き、きっと皆さんなら大丈夫ですから…」

鶴屋さん「さっきの地響き……絶対に戦いがあったに違いないっさ! ………何か嫌な予感がするんさ…」

みくる「鶴屋さん……」






地下

長門「………ッ…?」

朝倉「……え…?」

承太郎「…ん? どうした、長門に朝倉。突然立ち止まったりして」

長門「………………私は認めない」

朝倉「嘘……嘘よ、きっと思念体なりに低レベルなジョークだわ! そうよ、そうに決まってる!」

承太郎「おい、二人とも、よくわかんねえが落ち着け」

朝倉「落ち着いてなんかいられないわよ!」

承太郎「……何が起こった。その思念体とやらに何を言われた」

長門「………ッ…!」

朝倉「キョン君が……」

朝倉「キョン君が、死んだわ」

337 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/14(日) 17:59:18.33 ID:WlV0T/6o

承太郎「…キョンが死んだ………たしかにレベルの低いジョークだ、と信じたいところだな…」

朝倉「もしこれが本当ならまずいことになったわ……」

承太郎「キョンがやられたことと、関係があるのか?」

朝倉「あるわ。長門さん、承太郎君には話したのかしら? SOS団のこと」

長門「…私の関与しうる限り、彼は知らない」

朝倉「そう、じゃあ私から話すわね」






承太郎「長門と朝倉、さっきの喜緑っつー女が宇宙人、朝比奈が未来人、古泉が超能力者、か…。
     にわかには信じられねえ話だが……スタンドがある世の中だ、安易に否定はできねえな」

朝倉「そうよ。そして、三人とも涼宮ハルヒを観察するために北高に潜伏したところを
    涼宮ハルヒが、神と形容してもおかしくない能力を使って一つの団体、つまりSOS団にまとめて入れてしまった」

承太郎「そこまでの話は理解した。納得はしてねえがな。それで、続きは?」

朝倉「問題はキョン君なのよ。彼のどこにも特殊な素質はないの。宇宙人、未来人、超能力者、異世界人、そのどれでもない。
    まったくもって、ただの人間がSOS団にいるの。不思議を求め続ける涼宮ハルヒが無意識化で求めた一般人」

承太郎「……なんとなく話が読めてきたぜ。つまり、神同然の力を持つ涼宮が特殊な人間たちを集めたにも関わらずただの一般人であるキョンを
     SOS団に入れた、その理由は」

朝倉「そうね、人間で呼ぶところの『恋』だとか『愛』ってやつじゃないかしら。
    そして、今まで涼宮ハルヒはその神同然の力を無意識化に使って、キョン君の死だけは完全に防いできたの」

承太郎「そのキョンが死んだ、ということは」

長門「………涼宮ハルヒが、操られている可能性がある」

朝倉「そういうことね。非常に厄介だわ……彼女の神のように世界を作りかえる力を敵に回すとなると……」

承太郎「その神の力だけじゃねえぜ。操られているということは、スタンド能力を手に入れた可能性がかなり高い。
     スタンドは精神の具象化と言われているくらいだから、涼宮のスタンドとなると……」

承太郎(能力だけなら、スタープラチナや、DIOのザ・ワールドを凌駕する可能性だってある……やれやれだぜ……)

338 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/14(日) 18:08:05.52 ID:WlV0T/6o

ビル内

鶴屋さん「こっちの部屋が怪しいさっ……って、うわわわわ!」

みくる「鶴屋さん、危ないっ!」

鶴屋さん「お……っととと、みくる、助かったよぅ…」

みくる「いえ、鶴屋さんが無事でよかったです…」

鶴屋さん「………に、しても……こいつは…部屋がまるまる階下に崩れ落ちてるね……」

みくる「敵の罠、でしょうか…」

鶴屋さん「いや、こいつがさっきの戦闘があった場所だと思うっさ。ところどころ部屋の天井が崩れてるしね」

みくる「あ、ほんとだ……」

鶴屋さん「……え、あれ?」

みくる「鶴屋さん、どうかしま、し……」

鶴屋さん「あ、あれ、下で横になってるのって、うそ、違うよ、うん、違う」

みくる「………キョ、キョン、君……?」

鶴屋さん「そんなはずはないよっ!!」

周防「────────」

鶴屋さん「降りるっさ!」

みくる「はい!」






鶴屋さん「う、うそだよ………なんで、脈がないんさ……息をしてないんさ……」

みくる「そ、そんな……こんなこと、聞いてなかった……うそ……違う、これはきっと……なにかの……」

周防「──────死亡──────確認────」

339 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/14(日) 18:17:34.64 ID:WlV0T/6o

鶴屋さん「キョン君ってば! キョン君! 目を開けてくれよっ!! こんなところで死ぬんじゃないっ!!!」

ドンッ! ドンッ! ドンッ!

みくる「うううう……こんなの、うっく、知らなかった、です………こんな辛いことが起きるなんて………」

鶴屋さん「だ、ダメだ………どれだけ心臓を叩いても……目を覚まさない……
      そ、そうだ! みくるっ、みくるのスタンドなら……」

みくる「………ダメなんです……」

鶴屋さん「ど、どうして! やってもいないのに!」

みくる「分かるんですよ! 私のスタンドは、過去を変えることはできない!
    過去の『記憶』や『状態』を呼びもどすだけ! 失われたものが復活するなんてことは、ないんです……
    傷の治療ならできます……傷はいずれ治りますから、治るまでの間、元気だった状態を呼びもどせばいいんです……
    でも……死んでしまった人は、もう何をやっても生き返らない………私は、無力なんです……」

鶴屋さん「う、す、すっちゃん! すっちゃんのスタンドはどうなんだいっ? どうにかできないかな?」

周防「──────不可能────戦闘向き──」

鶴屋さん「え、ちょ、嘘だよね? 嘘だって言ってよ! ねえ!!!」

みくる「鶴屋さん!」

鶴屋さん「ッ…」

みくる「これが……これは、現実なんですよ……」

鶴屋さん「うそ、嘘だァァァァァアアアアア!!!!」

340 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/14(日) 18:26:53.75 ID:WlV0T/6o

場所不明

谷口「佐々木、どうだった?」

佐々木「………しっかり殺してきたよ…スタンドなんかにとどめは刺させなかった……。
     親友である僕が、しっかりこの手で殺してきた……それがキョンに対するせめてもの礼儀だからね……」

谷口「クク……フハハハハハッ! キョンの悪運もここまで、ってぇこったな!
    まさか、親友を自称する女に殺されるとは思いもしなかったことだろうよ! ハハハハハハッ!」

佐々木「……くッ……………谷口君、両親を解放してくれないか」

谷口「ハハハ、ハハ……はぁ、笑いつかれた。で、何かほざいたか?」

佐々木「両親を解放してくれって言ったんだ!」

谷口「ああ、あいつらな………えっと、どうしたんだっけか……」

佐々木「しらばっくれるな! 僕はキョンをこの手で殺めた! 君はそれ以上を僕に望むって言うのかッ!?」

谷口「チッ………るせぇなぁ」

佐々木「谷口……貴様……」

谷口「ああ、思い出したわ。あの二人な」

佐々木「……?」




谷口「あいつらなら自殺したわ」



佐々木「……え?」

谷口「もう一遍言ってやるよ。じ、さ、つ、し、た」

佐々木「つ、つまらない冗談を言うね、君は。 僕は確かにキョンを殺したよ。 三分間を全力で首を絞め続けた…
     ほ、骨まではいかなかったみたいだけど、呼吸も心臓も脈も停まってたし、瞳孔も開いてた。
     どうしてそれで、ぼ、僕の両親が、じ、自殺するんだ…?」

谷口「知るかよ。言っておくが、俺はこれっぽっちもいかさまをしていない。お前に言った通りの条件付けを、お前の両親に施しただけだ。
    お前の両親が死んだ、っつーことは、なんだ。殺し損ねたんじゃねえのか?」」

341 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/14(日) 18:33:38.41 ID:WlV0T/6o

谷口「……ほんっとに悪運の強い奴だよ……俺の条件付けはスタンド能力だ。100%間違いは起きねえはずだ」

佐々木「理解できないよ!」

谷口「てめぇは理解する必要なんてねえんだよ。キョンは生きてる、お前の両親は自殺した、簡単すぎる二つの結果じゃねえか」

佐々木「谷口ィィィッ!! 貴様ッッ! 僕を嵌めたなッッ!」

谷口「おいおい、人聞きの悪いこと言うなよ。俺はお前に嘘を言った覚えはない。お前が殺し損ねただけだ、っつってんだろうが」

佐々木「僕は………谷口ッッ! 僕は、キョンの想いを無駄にはしないッ! 君を殺して悲劇を止めるッッ!」

谷口「……プッ! ブハハハハッ!! 無駄無駄、やめておけっての。怪我するぞ?」

佐々木「望むところだッ! 両親を失った僕に足枷はないッッ!」

谷口「……はぁ…やれやれ、自分のスタンドが至高だとでも思ってんのか、お前は」

佐々木「……何とでも言え」

谷口「おい、やってやれ」

佐々木「谷口! お前が戦え!」

谷口「俺が出るまでもねえってことだ」

???「谷口様、お任せください」

佐々木「ッ…… 君は……」

???「谷口様に刃向う者は何人たりとも許しません」

佐々木「くそッ……」

342 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/14(日) 18:49:04.43 ID:WlV0T/6o

キョン死亡後から1時間後

現在時刻午後6時



承太郎「……そうか…やはり、キョンは……」

みくる「もう、だめでした……ビルの中にはもう誰もいませんでしたし……」

鶴屋さん「シャミにゃんも…死んだの、か……」

朝倉「……皮肉なものね、あんなにも殺したかった相手がいざ死んだとなると……こんなにも……」

鶴屋さん「………これから、どうするんだい…?」

承太郎「ちょっと待ってくれ、朝比奈、今、『ビルの中にはもう誰もいなかった』、そう言ったか?」

みくる「? ええ、たしかに言いましたけど……」

承太郎「古泉と国木田はどこへ行った…?」

朝倉「そういえば地下で部長も消えたわ…」

長門「三人が、このビルを中心とした半径5キロメートル内空間座標軸上に確認できない。それよりも外、別次元、別時間軸に転移した可能性がある」

承太郎「……嫌な予感がするぜ」

鶴屋さん「ん、キョン君のポケットの中、携帯が開きっぱなしになってるっさ」

朝比奈「ほんとです……何かメッセージがあるのかも…?」

349 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/15(月) 00:01:33.06 ID:UuUZR2Uo

みくる「『ささきかきりつあげるひとじちりょうしんとられめる』 ……メール編集画面でそう書かれてますね」

承太郎「かなりわかりやすい説明だな。誤字を加味して訳してみると
     『佐々木のスタンドは確率を上げる。両親が人質にとられている』といったところか」

鶴屋さん「ちょい待った、佐々木って誰だい? 少なくとも私は知らないよ?」

阪中「私たちのクラスメートでもないのね」

みくる「佐々木さんは、キョン君の中学時代のお友達です。何度かお会いしました」

承太郎「その佐々木って奴にキョンは殺された、ってことか……」

みくる「あの、確率を上げる、っていうのは具体的にどういうことなんでしょうか…?」

朝倉「……ほぼ全ての事象は、行われる直前の条件によって、確率を求めることができるわ。
    それぞれのサイコロの目が出る確率だって単純計算では6分の1だけれど
    投げるときに上を向いている面、投げる腕の角度、投げる強さ、投げる高さ、投げ落とす場所の材質、他にも色々な条件で確率は変動するの。
    その確率を正確に叩きだし、条件を操り、確率を上げる、そういうスタンドっていうことじゃないかしら」

みくる「ふぇぇ……そうなですかぁ……す、すごい複雑なスタンド……」

阪中「承太郎君、これからどうするのね? ……キョン君とシャミ…」

承太郎「……とりあえず遺体はSPW財団に預ける。気になることがあるんでな」

鶴屋さん「気になること?」

承太郎「ああ、キョンもシャミセンも肉体的には完全に死んでいる」

朝倉「そうね、脈も心臓も停まっているし、瞳孔だって開いているわ。思念体も、そう判断した」

承太郎「だが、なんて言うんだろうな、スタンドの持つ特有の波動のようなものを感じる」

阪中「そ、それってキョン君もシャミもまだ生きてるってことなのね!?」

承太郎「いいか、まだ決まったわけではないし、ただの俺の直感だから外れている可能性のほうが高い。
     直感、とでも言うのか、そいつが『キョンとシャミセンはまだ死んじゃいない』ってうるせえんだ」

阪中(キョン君のスタンド……『やる気』を奪う、っていうすごくあいまいなものだったのね…
    もしかして無意識下でそのスタンドを使って…?)

351 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/15(月) 00:12:17.96 ID:UuUZR2Uo

承太郎「とにかくSPW財団にあずからせて、最先端技術の治療を施してみる。目が覚める可能性もないとは言い切れないからな」

朝倉「……そうね、私たちじゃどうしようもできないもの」

長門「……」

周防「──────」

みくる「……悔しいです…」

鶴屋さん「…そうだね……すごく悔しいさ……」

阪中「………ねえ、そういえばこれから場所を探す当てはあるのね?」

承太郎「ああ、キョンは『佐々木は人質を取られている』というメッセージを残した。このメッセージから、佐々木は洗脳されていない、ということが分かる」

阪中「…あ、そっか! 佐々木さんにコンタクトをとってみるのね?」

承太郎「そういうことだ」

みくる「でも、協力してくれるでしょうか……洗脳されていないとは言っても、人質を取られているのなら……」

承太郎「人質を取られているからこそ、外部からの助けが必要だとは思わないか?」

鶴屋さん「佐々木さんって人は第三者の介入を待っているってことかい?」

承太郎「そうとることもできる、というだけだがな」

朝倉「だけど、考えうる限り、一番筋が通っていないかしら。
   考えてもみて。朝比奈さんがこの暗がりで見つけられるほど分かりやすく置かれていた携帯電話を
   キョン君を殺められるほどの力の持ち主が気づかないと思う?」

阪中「気づいていて、あえて放置した、ということ?」

朝倉「そうも考えられる、というだけよ。筋が通っているとは思うけどね」

承太郎「決まりだな、佐々木という人物と接触を図ってみることにしよう」

352 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/15(月) 00:21:13.63 ID:UuUZR2Uo

みくる「でも、番号なんて分からないんじゃ……」

承太郎「キョンの友達、なんだろ?」

みくる「あ、キョン君の電話からかければ……」

承太郎「そういうことだ、かけてみるぜ」


『rrrrrrrrrrrrrr..........』


佐々木『ハァ………ゼッ…ハァ……』

承太郎「キョンの仲間だ。佐々木か?」

佐々木『……ック……フゥ…………ビルの中にいた、キョンの仲間ということかい?』

承太郎「ああ」

佐々木『よかった………キョンのメッセージに気づいてくれたんだね……』

承太郎「そういう話は後だ。俺の質問に答えてもらうぜ」

佐々木『ああ、構わないよ』

承太郎「谷口はどこにいる」

佐々木『北高の裏山にある、大きめの洋館だ』

承太郎「お前は今、どこにいて何をしている」

佐々木『谷口に刃向おうとしたけど殺されかけて、裏山を逃げているところさ』

承太郎「俺たちに協力しろ、と言ったら?」

佐々木『喜んで協力させてもらうよ。僕は……両親を殺されてしまったからね』

承太郎「……つまり人質を殺された、と」

佐々木『そういうことさ、もう僕には谷口のもとで戦う義理はない』

承太郎「分かった、そのまま逃げおおせることはできるか?」

佐々木『たぶん大丈夫、十分くらいで北高のグラウンドにつく』

承太郎「……今から『SPW』と書かれたワゴン車を向かわせる。それに乗れ」

353 名前: ◆EHGCl/.tFA[saga] 投稿日:2009/06/15(月) 00:27:11.99 ID:UuUZR2Uo

佐々木『……信頼してもいいのかい?』

承太郎「信頼しなければ追いつかれて殺されるぞ」

佐々木『…ふふ、そうだね。分かった、そのワゴンに乗ろう』

承太郎「その車には俺も乗る、そこで落ち合ってから詳しく話し合おう」

佐々木『分かったよ』

承太郎「今から十分後だぞ、忘れるのと間違えるのはよしてくれ」

佐々木『ああ、気をつけよう』

承太郎「切るぞ」

佐々木『それじゃあ、また後で』




承太郎「今日、お前らにはSPW財団の所有する施設で寝泊まりしてもらう」

阪中「ええ!? お、お父さんたち、許してくれるかなぁ……」

みくる「わかりました」

長門「……了解」

朝倉「あら、お泊まり会、っていうやつかしら? ふふ、楽しみ♪」

鶴屋さん「なるほどなるほど、明日の決戦に備えて、ってやつさね!」

周防「──────わかった──」

阪中「わ、私だけ!?」

承太郎「俺たちがバラバラに、そして帰宅するとそこが襲われる可能性もある。
     全てが解決するまでは同じ建物内で寝たほうがいいからな」

阪中「わ、わかったのね……なんとか説得してみるのね……」

承太郎「佐々木との約束もある、今からワゴン車を呼ぶからそれに乗って移動するぞ」



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