涼宮ハルヒの畢竟


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12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 19:16:20.57 ID:C+V5yUXY0

部活が終わり、俺は珍しくハルヒと帰っていた
「ねぇ、キョン。あんたこの世に生まれてきた意味を考えた事ある?」
んー?ねーよ。勝手に親が産んでくれたわけだし・・・
「違うわよ!この世界に何か面白い事があるから生まれてきたのよ!」
へーそんなもんかね
「そうよ、そうに決まってる。だから私、今とてもワクワクしているの」
ふーん、しったこちゃねー、と俺は心で呟いた
「でね、キョン。私たまに思うの。もしね、キョンがこの世に居なかったら私はどう感じるのかなって」
おいおい、俺を勝手に消すなよ。(消されるのは朝倉の件でコリゴリなんだぜ)
「だから、明日あなたを殺そうと思うの」
what?なんて言った?why?ナゼに俺が殺されなきゃならんのだ?
「だって、そっちの方が面白そうじゃない」
そんなことを言うハルヒは真剣そのものであった。
でぇーどうやって殺すつもりなんだよ?今じゃねーのか?
「それはねキョン、いきなり背後から襲うよりも予告殺人の方が楽しいでしょ?」
「殺されるという恐怖心に煽られたキョンも見てみたいじゃない」
こいつマジか?
「あと、色々準備もあるし。だから逃げちゃダメよ。明日中に殺すから」
マジデすか?
うーん、困った・・・・古泉に言って閉鎖空間に逃げ込むか・・・・
いや無理だな、ハルヒの精神状態はきっと満足度1000%で安定しているだろうし・・・
朝比奈さんと過去に逃げる?ああ、どのみちこの平面の俺を助けに来なきゃならなくなる
あとは・・・長門!

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 19:28:02.87 ID:C+V5yUXY0

俺は帰ると同時に自転車を必死に走らせた
長門のマンションについた頃にはもう日はすっかり落ちていた
呼び鈴を押す
「・・・・・・・」
いつもの無言だ
「長門、おれだ。すまないが急ぎの用がある開けてくれ」
するとドアがスーと開き、そこには長門が立っていた。
「入って良いか?」
少しだけ顎を引き招き入れてくれた。
「飲んで」・・・・
いつぞの時と同じ景色。
あのな長門、ハルヒが明日俺を殺すって言うんだがどうにか成らないか?
長門は湯飲みを置き、ゆっくりと語り出した
「涼宮ハルヒが願う事は実践させる事。彼女が願った事象は必ず起きる。それが必然。」
じゃぁ、俺は殺されるのを指咥えてまっておくしかないのか?
「ちがう。回避は出来る。ただ、とても危険。世界が変わってしまうかもしれない」
どのくらい変わってしまうんだ?
「かなり」
かなりどう?
「ユニークに」
どうユニークなんだよっ!
「ハルヒが朝比奈みくるのようにお茶汲みに成るかもしれない」
その程度か!それならかまやしない、是非回避策を頼む
「わかった・・・・明日、学校にいく前に私のところに来て。それまでに涼宮ハルヒに殺されない様に」
家からここまでなら大丈夫だろ。ハルヒは待ち伏せなどしない。大丈夫、狙うのは絶対に学校の中だ
「じゃ、明日」
長門の寂しそうな顔を見ながら俺はマンションを後にした。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 19:36:01.65 ID:C+V5yUXY0

翌朝、俺はダッシュで自転車を走らせて長門のマンションへ向かう。
マンションの前に到着すると既に長門が待っていた。
おはよう、今日は頼むぜ!
長門は2度瞬きをし、俺に挨拶をした。
自転車の後ろに長門を乗せ、俺は学校へ向かう。
一応、この時間は大丈夫だろ、なにせ長門が居るからな。
学校に入り、上履きに履き替える。
長門と一緒に教室へ向かうと既にハルヒはいつもの席に居た。
そっと俺はドア裏へ隠れる。
おい長門、もう来ちまってるぞ。と小声で話しかける。
「大丈夫、彼女はまだ行動しない。授業が始まってからが危険」
おいおい、でどうすんだよ?
「来て」
長門の後ろを付いて行くとそこはSOS団の部室だった。
「ここに居て。ここから出てはいけない」
おい、ハルヒがきたらどうすんだ?
「大丈夫、彼女はここに出られない」
良く分らんが、長門のいう事に従うしか俺にはない。
とりあえず扉をロックして俺はHR始まりのチャイムを聞いた。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 20:24:42.51 ID:C+V5yUXY0

「おい、キョン起きろよ。HR始まるぜ」と谷口が俺を起す。
ん?なんだ?何で俺はこんなところに居るんだ!
後ろを恐る恐る振り返ると、そこにはハルヒがいた。
「何?何か用?」
いや、別に・・・昨日の話しを忘れていてくれたらと思った俺の願いは次の瞬間儚くも崩れ落ちた。
「キョン、振り向かずに聞いて。昨日の話、本当よ。私、帰ってからずっと考えたの。
もし、キョンが居なくなったらどうなるんだろうかって。うんん、それだけじゃない。
家族が居なくなったどうなるんだろうって。でね、私、朝学校にいく前にお父さんとお母さん刺し殺しちゃったの」
what?なんですと?あれ?これ昨日も言ったか?
いやいや、それはいかんだろ、冗談でも。
とっさに振り向こうとしたとき、尖った痛みを感じた。
「キョン、振り向いちゃダメ、そのまま聞いて。今、あなたの背中に押し当てていたのはシャーペンの芯。
これがナイフだったらあなたの心臓を後ろから一突きだったのよ。でもそんなんじゃダメなの。
それにお父さんお母さんを殺しても何も感じなかったわ。動かなくなった・・・・それだけ。
でもね、キョンなら絶対に何か違うような気がするの、分るでしょ?」
俺は既にハルヒの言っている事を脳で咀嚼出来なくなっていた・・・

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 20:31:28.04 ID:C+V5yUXY0

俺は蛇に睨まれた蛙の様にもう動けない。
額から噴出す汗が頬を伝い、顎の先から落ちてゆく。
その汗の滴が肌を離れる感覚すら痛かった。
遠くでチャイムが聞こえる、きっとほんの数m先の黒板の上のスピーカーなんだろうが
今の俺にはもう途轍もなく遠くからの音に聞こえる。
視界に女が見える。
ああ、地理の山岡先生か
こうしている場合じゃない、逃げなきゃ
精神を集中して体を動かそうとする。
痛っ!
また背中に痛みが走る。
「キョン、今逃げようとか考えてる?今のも芯だけど、今度は違うかも知れない。だから動かないで」
もう何がなんだか、半狂乱になりかけている俺、幽体離脱でもしたかのように教壇からの視線で俺が見える。
だが、ハルヒの顔が見えない。
ハルヒは今、どんな顔をしているんだ?
しかし、体が恐怖で膠着して動かない。
長門!お前だけが頼りだったのに!

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 20:39:07.56 ID:C+V5yUXY0

「キョン聞いて、この時間中にあなたを殺すことにするわ。先生が黒板に100文字書いた瞬間に後ろから刺すわ。
いい事、逃げたりしちゃダメよ。これは団長命令、絶対服従よ。」
そういうと、ハルヒは机の引き出しの中で何やらゴソゴソとしていた。
冷たい金属音が聞こえた。
ナイフ?!ナイフが机の角に当ったような音?
そして背中に固く冷たい感触を覚える。
山岡先生は何も気づかず、黙々と教科書を諳んじる。
白墨が黒板を走る音がやけにはっきりと聞こえる。
「10文字・・・・」
文字数をカウントしているハルヒが唱える。
もしかして刺される瞬間に長門が乱入して助かるのか?希望観測的にはどうなんだ?
ありえないこともない。
いや、ここは一瞬の隙をついて逃げるべきか?
「20文字・・・・」
やべー、山岡の奴、走り書き始めやがった!
「40文字・・・・」
いつものハルヒの声が段々とデジタル化された音声のように聞こえ始めた

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 20:46:40.78 ID:C+V5yUXY0

「ねぇキョン、初めてあなたに話しかけられた時、実はあのときに殺意を覚えたのよ」
when?いついつ?思い出せねぇよ!
「60文字・・・・」
頼む、そこらで止めてくれよ
願いが叶ったのか、山岡はチョークを置き、また教科書を読む。
「今、67文字よ。キョン、最後に言い残す事ある?あ、ダメよ喋っちゃ。心の中で思いなさい。
私には分るの、キョンが今何を思っているか。「ハルヒに殺されて俺は幸せだな」ってね」
幾ら俺がアホキョンだとしてもだ、人に殺されることを幸せなんて感じるわけないだろ!
また山岡が黒板に白墨を走らせる。
「80文字・・・・」
「90文字・・・・」
カリカリ、カリカリ、ゴッ・・・・・山岡が走らせていたチョークが折れる
「98文字・・・・あと二文字ね」
山岡が新しいチョークを手に取り、文字を書き始めた瞬間
「99」
長門!俺の声にならない叫びと同時にハルヒが背後で百を唱える
その瞬間、おれの中に無機質な冷たさを感じる
ふと、見下ろすと俺の制服の胸ポケットから鋭利な刃物が少し見えていた。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 20:53:55.64 ID:C+V5yUXY0

声にならない、初めての痛みを感じる。
刹那的に心臓の鼓動が早くなる、しかし次の瞬間俺の心臓が止まった。
視界が傾く、やべぇ倒れる・・・しかし何も出来ないまま俺は床に叩きつけられる。
誰かの悲鳴が聞こえる。
ああ、前の席に座っていた阪中・・・俺の血をあびてセーラー服が真っ赤に染まっている。
あちらこちらで悲鳴が聞こえる。
「おい、キョン、しっかりしろ!」谷口と国木田の声が聞こえた気がする。
ああ、俺このまま死んじゃうんだ・・・・長門は何にもしてくれなかった
何故なんだ、ながとぉ!
「キョン、死んじゃいや!ねぇ、キョン!」
最後の力を振り絞って目を開けるとそこには薄ら笑いしたハルヒが居た。
「ねぇ、キョンったら!」
しかし、顔は笑っている。俺を抱きかかえようとしているキョンの顔は誰にも見えていない
くそ!なんてこった。俺の11年の人生はこんな形で終わるのか・・・・

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 20:55:42.25 ID:C+V5yUXY0

ん?11年・・・・・なんだこの感触は。
懐かしい感触、段々と俺の心が消えてゆく。
俺の心?ちがう、これはキョンの心
俺の体からキョンが消えてゆく
俺の体?体ではない、俺の部品。

そして俺は次の瞬間、元の姿へ戻っていった。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 21:03:18.23 ID:C+V5yUXY0

一体どれぐらい寝ていたんだろう?
ドアを叩く音で目が覚める。
ハルヒか!
誰だ?
「・・・・・私」
長門か!
俺は鍵を開け、長門の姿を見た瞬間安堵を覚える。
ふと、気になって時計を見ると9時半過ぎ
既に1時間目途中頃である。
「もう大丈夫、涼宮ハルヒはあなたを殺すことに成功した。」
なんだって?俺を殺した?
「そう、私が作り出した空間の中であなたを殺した」
いや、意味が良く分らないんですけど、長門さん?
「前に・・・朝倉涼子に襲われたとき私の机を貫いた槍は机だった。あれと同じ。
教室に有った黒板消しを再構築し、あなたを作り出した。そして今日までのあなたの心をコピーして
その中へ織り込んだ。
涼宮ハルヒは黒板消しで出来たあなたを後ろからナイフで突き刺し、そして殺意と共に自我を封鎖した。」
なるほど。
しかし、それでは俺が突然居なくなってみんな驚いているだろう。
「大丈夫、今教室を時間停止させている。直ぐに教室に戻って・・・・再構築しているので汚れなどない」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 21:06:34.64 ID:C+V5yUXY0

俺は急いで教室に戻る
そして椅子に座る
長門が教室の電気のスイッチを押した瞬間・・・・
「きゃー!」「うわー!」と悲鳴が聞こえる
おいおい、何騒いでるんだ?
俺は淡々と話す。
「お前、涼宮に刺されて・・・・・あれ?」
お前ら全員、山岡先生含めて朝から寝コケてんじゃないよ!
ざわつく教室。そりゃ目の前で俺が殺されたのに生きているんだからな、それもぴんぴんして。
そして俺は後ろをそっと振り返った。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 21:08:07.68 ID:C+V5yUXY0

そこには気を失ったハルヒが居る。いや、眠りについている。
そっと肩に手を当て、俺はハルヒを起す。
「キョン・・・・・あれ」
その言葉を聴いた瞬間・・・・


続きは二通りあるけど白黒どっちがいい?

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 21:10:07.38 ID:C+V5yUXY0

じゃ両方書く

59 名前:[] 投稿日:2007/09/21(金) 21:13:19.71 ID:C+V5yUXY0

「私、珍しく眠っちゃったみたい」
何言ってんだ、お前と俺が授業中に寝るのはデフォだろデフォw
そんな面白い事いってると吉本芸人も大爆笑だっぜ!
「ねぇキョン聞いて、私夢見てた。キョンが居なくなる夢」
へぇ、そりゃ面白そうだな
「きいて・・・その時私とても悲しくなってずっとキョンのこと呼んだわ。そうしたらキョンが目の前に現れたの
そして、今分ったの。私がこの世に生まれてきた理由・・・それはあなたに会うために。
ずっと一緒に居てくれる?
俺は照れくさくなって、窓の向こうを見た。
今日も空は青く、雲は好きに流れる。
ああ、俺にもわかったぜ、親が産んでくれたんじゃない
『お前に会うために生まれてきたんだぜ』

fin

62 名前:[] 投稿日:2007/09/21(金) 21:20:36.89 ID:C+V5yUXY0

「キョン・・・・・あれ」

「さっき、私が刺して死んだよね?」
夢でも見てたんじゃねーのか?それより涎拭けよ
慌ててハルヒはカバンの中からタオルを出す。
そのタオルで顔を拭いた瞬間タオルの中から見覚えのある冷たい固形物が現れ俺を貫く
その固形物は一直線に俺の心臓を貫き、背中に出たような感触を覚えた
「ねぇキョン、私が騙されるとでも思ってた?あんた、長門に何かさせたでしょ?
長門・古泉・朝比奈が普通じゃないって事はもう知ってたのよ。それだけじゃない、
居なくなった朝倉も喜緑もね・・・・ふふふ、これで全て完了」
俺はとっさに長門を呼ぼうとしたがもう声が出ない。
坂中の声が聞こえる、谷口の声が聞こえる、国木田・・・・そしてハルヒの泣き声と笑顔。
どっか見たようなデジャブ・・・・・

黒板から黒板消しが落ちた瞬間、俺の体は停止した。


end

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/21(金) 21:22:29.27 ID:C+V5yUXY0

えっと、あとがきです。

こんな駄作にwktkしてくれて有難う。
これで心置きなく寝られます。
またいつの日かダサく発表したら宜しくお願いします。



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