佐々木「……キョン…………………エッチしたい」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 18:47:16.88 ID:lZqLICLQ0

「どう? あいつ、ちゃんと勉強してる?」

「うーん、まずまずってところかしら。
一学期中に基礎から徹底的にやり直したから、ペースは上がってきてるのだけど、
本人が焦ってるせいもあって最近はグロッキー気味。
ちょっと休ませた方がいいかもしれないわ」

「いいのよ、そのまま鞭でひっぱたいてれば。
だいたいにおいて、三年にもなって理数の基礎部分がなってないってのが言語道断なのよ。
この二年間、SOS団としてなにをやっていたのか。怠慢もいいところよ」

入学以来、目のまえの女性に振りまわされ続けた彼のことを思うと、苦笑するしかない。
もっとも、中学時代の彼を知る身としては、平凡な高校生活を送ることができていたとしても、
そう大した差はなかったのではないかと思えてしまうのが悲しいところだ。

「でも、ほんとのところどうなの? 受験までには間にあいそう?」

「それはね。このまま行けば問題ないと思うわ。
もともと学校の授業が身に合わないだけで、理解力は高い人だし。くっくっ」

「そっかー、佐々木さんが言うなら安心できるかなー。
やっぱり、へこんでるあいつの姿とか見たくないしね」

「それについては大丈夫。
私がついている限り、キョンには絶対そんな思いはさせないから」

「うわー、それってすごい佐々木さんらしいノロケ。あてられちゃうわー」

「んふぅ……」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 18:48:55.06 ID:lZqLICLQ0

「はあー。でも二人のそういうとこ見ると、あたしじゃやっぱり無理だったかなーって思うわ。
正直、妬けちゃう」

「あ……。その……、ごめんなさい」

「あ、こっちこそごめんね。そういうつもりじゃぜんぜんないの。
あたしいまは古泉くんいるしね」

目を逸らせてカップに口をつけたタイミングがお互い同時だったのは、
二人して同じ人間の姿を目に浮かべたからだろう。
私はエスプレッソ。彼女はカフェオレ。私の方が、少し苦い。

「佐々木さんと一緒にいる時のあいつの目、見ちゃうとね。
悔しいけど、どうやっても勝てないって思っちゃう。
もう、あの信頼しきった感じ。あたしじゃやっぱり無理」

ここではない、どこか遠くにいる人間を見つめる彼女の瞳は、
すべてを受け入れてくれるような優しさにあふれていて、
それでいてほんの少しだけ切なく見える。
私も、こんな瞳で彼を思うことができるだろうか。
わからない。
いまの私には、どこか遠くではなく、手を伸ばせばすぐに触れられるところに彼がいる。
それは間違いなく、私の喜びだ。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 18:51:23.40 ID:lZqLICLQ0

「でもすごいわよね。
あたしがどんなに引きずりまわしても、あいつの成績どうにもならなかったのに、
佐々木さんがついたとたん、俄然やる気出しちゃってんだもん。
なんかうまい手綱の絞り方とか、あんの?」

「くっくっ。手綱ねぇ」

苦笑して思い浮かべる。私は彼にひと言、口にしただけだ。
僕をまた一人にするつもりかい。
目のまえにぶら下げられたニンジンで動くような人間じゃない。
彼を動かすのは使命感といってもいいほどの責任感だ。

「うーん。しかし、同じ大学に入るのであれば、もうひと踏ん張りしてもらわないとなあ」

「佐々木さんと同じって、それかなりレベル高くない?」

「くっくっ。さすがに最高学府とまでは言わないけどね」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 18:53:42.42 ID:lZqLICLQ0

「でも、キョンよ?」

「キョンだからよ。
私にできるのは手助けだけで、努力と向上心はあくまでも彼本人の意志にかかっているけれど、
私は、キョンならば可能だって信じてる」

「ラブラブねー。やっぱりあてられちゃう」

「んふぅ……。だって、合格してくれないと、私も困っちゃうし……」

「ん?」

「その…、同じ大学に入れたら、ルームシェアしようって約束して…」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 18:56:22.80 ID:lZqLICLQ0

「え!? それって同棲ってこと!?」

「いや! その、あくまでルームシェアって名目なんだけど…」

「いやいや、それって思いっきり同棲でしょ!?
あっ、ひょっとして、キョンの手綱ってそれ?
きゃー、エロいわ。やっぱキョン、エロエロだわ!?」

「す、涼宮さんっ。声、大きいから。周り、お客さんいるから!」

「いやー、さすがキョンね。うちの古泉くんもたいがいエロいけど、キョンには負けるわ。
深く静かにムッツリ潜航して、成績うなぎのぼりってわけなのね」

 なんじゃそりゃ。

「す、涼宮さん、あなたは誤解しているわ」

「なに? キョン、エロくないの?」

「エロいわよ! …て、ちがうわよ!」

「……佐々木さん、あんた大丈夫?」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 18:58:35.61 ID:lZqLICLQ0

「あー、もうっ、涼宮さんのせいでしょ!
たしかにルームシェアしようって誘いはしたけど、
キョンが頑張ってるのはそれだけのためではないと理解してほしい」

「え!? てことは、佐々木さんの方から同棲しようって持ちかけたの!?
きゃー、エロいわ。佐々木さん、アグレッシブにエロエロだわ!?」

「す、涼宮さんっ。だから声、大きいから。周り、お客さんいるから!」

「いやー、さすが佐々木さんね。あたしもたいがいエロいけど、佐々木さんには負けるわ。
深く静かにひっそり忍び寄って、愛の力でがんじがらめってわけなのね」

 聞き捨てならないわ。

「す、涼宮さん、あなた人の話、聞いてた?」

「なに? あんた、エロくないの?」

「エロいわよ! …て、なに言わせんのよ!」

「……佐々木さん、あんた面白いわ」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 19:03:14.26 ID:lZqLICLQ0

ひとしきり騒いだあと、私と彼女は目を見合わせて笑った。
二人でくつくつと笑いあった。
示し合わせたようにカップの中身を飲み干し、ケーキを注文する。
渋皮煮とブランデーで味付けしたモンブランに、アプリコットとアーモンドのタルト。
濃厚な甘さには、のどごしのあっさりとした水出しコーヒーがよく合った。
お互いのケーキをひと口づつつつき合って、どこの店のムースが美味しかっただのと感想を言い合う。
いつの間にか、自然とそんなふうに会話のできる雰囲気ができあがっていた。

「あー、同棲かー。卒業したらあたしもしちゃおっかなー」

「ん、でも古泉くんって、いまでもひとり暮らしではなかったかい」

「まーね。ひとり暮らしっちゃひとり暮らしなんだけど、なんというか、殺風景なところなのよ。
寝るだけの場所で生活感がないっていうか」

「くっくっ。そう言われてみると、なんとなく想像ができるね」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 19:05:49.01 ID:lZqLICLQ0

おそらくそれは、彼のいわゆる“バイト生活”に起因するものだろう。
もっとも、最近は開店休業の状態が続いていると聞く。
昨年のクリスマス、私達が正式に交際を宣言した時を境に、
涼宮さんを原因とする閉鎖空間の発生は確認されていないらしい。
それは私についても同じことが言える。
にも関わらず、古泉、橘の両者はあいかわらず超能力者足りえ、
長門、周防を筆頭とするTFEI端末たちも観測を続行中。朝比奈、藤原もまた然り。
詳しい事情を聞いたことはない。それでも、ある種の推測は容易に成り立つ。
涼宮ハルヒの精神構造が成長とともに発達したということも大きな要因ではあるだろうが、
なによりも重要な因子は、鍵とみなされる存在だ。
二人の人間が創造した閉鎖空間の消失点。
いや、情報統合思念体や天蓋領域といった形而上概念にならうならば、相反する因果律の均衡点。
キョン。愛しのわが鍵の君よ。
君はメタファーでもなんでもなく、まさしく現実に機能する本物の鍵であったというわけさ。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 19:09:56.45 ID:lZqLICLQ0

君の選択こそが世界の可能性を決定する。
だが、本当にそんなことがあり得たとしても、私にはなんの興味もない。
世界の未来、人類の行く末、生命の進化。どれも卑小な人間風情には手に余る問題だ。
私は自分に芽生えた恋愛感情を認めるだけで一年かかった。
別々の道を進むことになった一年間には後悔と自己憐憫で何度も涙を流した。
再会できた喜びを素直に表せない自分を疎ましく感じ、
思いを伝えるために小細工を弄する自分を浅ましいと自己嫌悪した。
それでも、彼から告白を受けた時には、この世界のすべてに感謝した。
うれしいと声を上げて泣き、私は私自身でよかったと、心の底から思うことができた。
彼とはじめて結ばれた時には、爆発するような歓喜に翻弄され、
際限もなく絶頂に陶酔し、臆面もなく世界一幸せなのは自分だと実感した。
まったく、いま思い出しても赤面を禁じ得ない。
私は神などではない。そんなものになりたいとも思わない。
私は世界中どこにでもいる、恋に浮かれる女の子なのだ。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 19:16:33.57 ID:lZqLICLQ0

「ふふーん。佐々木さん、キョンのこと考えてるでしょ」

「う……。わかる?」

「すっごいエロい顔してる」

「…恥ずかしいから。あんまりそういうことは言わないで…」

「あーもう!  そのカップからちょこんと上目遣いとか、反則!
思わず襲いかかりたくなっちゃう」

 ダメ。キョンだけ。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 19:22:43.92 ID:lZqLICLQ0

「涼宮さんこそ、熱烈な恋愛模様を展開していると伺っているけれど」

「んっふーん。まーねー。あんたたち二人に負けず劣らずラブラブよー」

「まあその…、それについてもいろいろと聞いているよ。
部室に行ってみたら、二人っきりで……キスしてたとか。
目を離すといなくなってるとか」

「チューぐらい誰だってするでしょ?」

「が、学校だぞ!?」

「…佐々木さん、口調ヘンよ。
んー、でも特進クラスってやっぱストレス溜まんのよね。
スキンシップでベタベタしてると、ついついストレス発散も兼ねて……」

「ま、学び舎で!?」

「とくにいまは夏休み中の集中講義で、校内に人いないし…」

「なんたる破廉恥!?」

「教室は鉄板として、視聴覚室、音楽室に柔道場。
男子トイレもすごかったけど、階段踊り場が超ヤバかった」

「イイナー」

「ん?」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 19:30:53.06 ID:lZqLICLQ0

「いや! なんでもないわ。
…しかし、それはあきらかに犯罪行為でしょう。猥褻物陳列罪よ」

「やだなー、見られたいわけじゃないのよ。
あくまでも見られるかもしれないってスリルが興奮するんじゃない。
あ、でも、渡り廊下を駅弁で通るっての、いいかもしんない」

「涼宮さん、それ、ただ単に頭おかしい人だよ……」

「ふふん。佐々木さんは、そーゆーの興味ないの?」

「え! で、でも、キョンとは学校が違うし……」

「同じ学校だったら、やってみたい?」

「…ちょ、ちょっとは…」

「やっぱエロエロだぁ」

「し、失敬な! 振ってきたのは涼宮さんじゃない!
…それに、公共の場所で全裸なんて、やっぱりありえないよ」

「いや、全裸言ってないし」

「え! 全裸ちがうの?」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 19:38:49.75 ID:lZqLICLQ0

「んー、あたし、服着たままするのがけっこう好きかな。
なんていうか、がむしゃらに求められてるって感じで」

「し、下着脱がずに、どうやって…す、するの?」

「パンツだけ脱げばいいじゃん」

「そ、そっか。パンツだけ脱げばいいのか……」

「あとはちょっとだけ下ろすとか。
あ、でも古泉くんは片足に引っ掛けておくのが好きなんだって。
足首と太ももで趣旨が異なるとか力説してたわ。わけわかんないわよね」

「はうぅ」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 19:45:40.21 ID:lZqLICLQ0

「こないだ三日ぐらいできなかった時なんか、朝あうなりトイレ連れ込まれちゃって、
パンツ脇にずらしただけでいきなり挿れてきたのよ。信じられる?」

「そ、それは…、災難だったね」

「しかも我慢できずに中で出しちゃうし。
出席間に合わなくなっちゃうからそのまま教室戻ったんだけど、
授業中、奥からたれてきちゃって大変だったわ」

「うわぁ、パンツが…」

「でも、なんかヌルヌルしてる感触で、逆に興奮してきちゃって。
次の休み時間にこっちから襲っちゃった。テヘ」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 19:51:40.36 ID:lZqLICLQ0

「テヘって笑うには、えげつない内容だよ、涼宮さん。
……でもたしかに、想像するとちょっとゾクッとするシチュエーションかもしれないね」

「ねえ、佐々木さん」

「うん?」

「キョン、ちゃんとしてくれてる?」

「ん! ケホッゴホッ。なな、なにをいきなり言い出すんだい、涼宮さん!?」

「うーん。あいつそういうとこ、ほんと鈍感だからさ。ちょっと心配になっちゃって」

「…たしかに、そう感じてしまう部分はあるわね。
けれど、実際に交際をはじめてわかったことは、鈍感というものとは少し違うんだ。
なんというか、心の動きを読み取ろうと努力をしてくれるというか、
気持ちを大切に扱ってくれるというか…」

「要するに奥手なわけね。佐々木さんも、キョンに対しては同じ感じなの?」

「そうだね。僕としても、キョンが嫌がることはしたくはない。
…ただ、大切にしてくれるのは嬉しいのだけれど、
もう少し積極的になってくれても、いいでのではないかと…思う」

「一人称が僕になってるわよ」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 19:59:21.02 ID:lZqLICLQ0

「う、すまない。涼宮さん相手だと、自然と口調が」

「そんなもん、あんたの楽な方でいいわよ。
ねえ、ひょっとして、まだエッチ済ませてないの?」

「いや! さすがにっ、それは!。……今年の元旦に済ませた」

「プッ。なにそれ、ほんとに姫初めじゃない。カレンダーの年中行事の一環みたい」

「ああ。そういう反応をされると思って言わなかったんだ」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 20:05:09.36 ID:lZqLICLQ0

「ククッ、いかにもあんたたちらしいわ。おかしー。
……ごめんなさい、ちょっとツボに入っちゃって。んで、そん時はすんなりいったの?」

「…まあ、それほど手間取りはしなかったと思うよ。はじめて見た実物に慄きはしたがね。
なにしろ、…その、予備知識として得ていたものよりも、大きさがあったものだから」

「ほへー、キョンがねぇ。……巨根?」

「そ、その言い方はちょっと。ええっと、これぐらい?」

「…………それは勃起状態?」

「え! ボッキ!? これぐらい?」

「……………………癪に障るわ」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 20:12:38.75 ID:lZqLICLQ0

「…………」

「…………」

「あーっと……。こ、古泉くんとは、初めての時はどんな感じだったんだい?」

「彼とは…。そうねえ、一番最初の時はあんまうまくいかなかったわね」

「そうなんだ。ちょっと意外だな」

「あたしん時はさ、去年の暮、ちょっと荒れちゃったじゃない? あんたとキョンのことで。
そん時にね、ずっと古泉くんがそばに居てくれたのよ。で、思わず甘えて抱きついちゃったのが最初」

「優しいねえ、古泉くんは」

「顔もいいし、お金も持ってるしね。ただ、大変だったのがそのあとで。
ベッドに入っていざ本番ってなったとき、あたしあんまりにも痛かったから手ぇ振ったら、
古泉くんの顔面に裏拳ジャストミートしちゃって」

「うわぁ」

「あっという間に萎んでいったわね。
あたしもわんわん泣いちゃったんだけど、古泉くんずーっと抱きしめてくれたのよ。
そんときにね、改めて古泉くんいいなあって思って」

「本当に優しいねえ、古泉くんは」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 20:17:34.48 ID:lZqLICLQ0

「翌朝起きてみたらね、古泉くん、顔面に青あざできてて……。
鼻血止まんないの隠すためにずっと抱きしめてたんだって……。
シーツ血まみれだったわ……」

「……超優しいね、古泉くん」

「シャワー浴びたあと、バックでいいですかって頼んできたわ」

「はは……」

「うん、ヤった。ヤりまくってやった」

「…そんなに?」

「クリスマス明けから大晦日までずっとヤッてたわね。
箱買いしたゴム、あっという間になくなったわ」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 20:23:53.15 ID:lZqLICLQ0

「す、すごい。それでお正月に会った時、あんなにツヤツヤだったんだ」

「古泉くんは、ほんとに昇天しかかってたけどね。
でも、ってことは、あたしたち、年末年始はさんで入れ違いに初めて済ませたってことね」

「そうだね。僕はそこまでバイオレンスな処女喪失ではなかったけれど。
元日に一緒に初詣に行って、帰りに彼の家に行った時、
ご家族が不在だったので致しました、という流れだよ」

「やっぱり、痛かった?」

「いや、ありがたいことなのか、痛みはさほどなかった。
正確には、痛みを感じる間もなく、キョンが終わったというべきかもしれないが」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 20:35:02.21 ID:lZqLICLQ0

「あちゃー。キョン、やっぱりかー」

「挿入した瞬間に射精していたよ。だが、それは想定の範囲内だったしね。
むしろ、僕にとっては初期段階での射精は喜ばしいものだったといえる。
キョンの肉体的歓喜を体内で実感できるからね。
初めて膣内で受けとめた精液は、なんというんだろう、
……一番奥に吸い付くようにして染み渡ったよ。あれはいいものだ」

「……佐々木さん、あんた、なにげに凄いわよね。さっきから、問題発言かましまくってるわ。
もう、エロい顔とか通り越して、…だるんだるんになってるし」

「えぇ! 本当かい? それはいけないな。もっと締めていかないと」

「まあ、ユルいのはイヤよね。
でも、ってことは、最初っから中出しだったの?
あんた、そういう準備は怠らないタイプに見えるけど」

「もちろんさ。去年の年末年始は気合で安全日をずらした。
ぶっちゃけ、いつでもどこでも発射オーライだったよ」

「ひょっとして、頭ん中もだるんだるん?」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 20:42:34.21 ID:lZqLICLQ0

「想定外だったのはそのあとだよ。
キョンは膣内に挿入したペニスを引き抜くことなく、立て続けに五回、射精した」

「ご、五回!? 抜かずの!?」

「ああ。三度目の射精あたりから、僕も沸き上がってくる快感を無視できなくなってしまってね。
お恥ずかしいことに、最後には半狂乱になって悶え狂っていた」

「…あー、なんていうか、あたしまでだるんだるんになってきたわ」

「僕はいままで、肉体の恒常性は理性の力によって均衡を保持し得ると思っていたんだ」

「…はあ」

「実際に、多少の体調不良や生理痛などは意識的に抑えこむことができてきたからね」

「健康なのはいいことだわ」

「しかしあの日、絶え間なく突き上げてくるオーガズムの要求に、理性は為す術もなく肉体を手放してしまった。
ショックだったよ。
曲がりなきにも18年間固持し続けてきた信念を、たった一回のキョンの射精が打ち砕いてしまったのだからね」

「五発だけどね。抜かずの五連発」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 20:48:01.98 ID:lZqLICLQ0

「だが同時に、恐ろしいほどの開放感もあった。
僕はそれまで、識閾下のうちに本能と理性を対立する概念として格付けしていた。
しかし、本来両者は肉体を媒介として錯綜しあって表出するからこそ、感情の発露となるんだ」

「…そうね。あたしもよく感情を爆発させるわ。
喜怒哀楽が激しいって通信簿にも書かれてたし」

「そう、涼宮さん。感情の爆発だよ。
あの日、僕はキョンとのたった一回のセックスで、打ちのめされるような快感を得、
その結果、否定しようのない歓喜という感情を経験した。
人間は感情から逃れられない。
そして、感情に身を任せることは天上にも昇るような喜びを生む」

「なに! イクの!?」

「ならば恋愛感情を精神疾患の一種だなどと否定してきたことは、
まったく愚の骨頂とでもいうべき行為だったということさ。
僕は彼への好意を自覚した瞬間に、全裸になって彼の胸へと飛び込んでいくべきだったんだ」

「あんた全裸好きね!?」

「僕はいま、キョンに恋をしている。
キョンからの愛情に歓喜している。
ならば、僕はいますぐ全裸になってキョンの胸に飛び込むべきなのさ」

「だ、ダメよ! それはあきらかに犯罪行為よ!? 猥褻物陳列罪なのよ!?」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 20:55:45.02 ID:lZqLICLQ0

「くっくっ。大丈夫よ、涼宮さん。
さすがに、そこまで本能的衝動に身を任せるような行動はしないわ。
まあ、興奮していささか劣情を催していることを否定はしないけれどね」

「既にその発言が、本能的衝動に身を任せまくってるわ。
しっかし、なんというか、すごい初体験ね」

「そうでもないさ。キョンの予想外の精力強壮を別にすれば、ありふれた体験談だと思う。
もっとも、いつの間にか帰宅していた御母堂から、
おせちと一緒に赤飯を供されたのは、一世一代の不覚だったがね」

ついでに足腰が抜けて、到底、家に帰ることができなくなってしまい、
結局泊めていただくことになった事実は、内緒にしておこう。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 21:00:42.58 ID:lZqLICLQ0

ストローに口をつけると、氷も溶け去ったアイスコーヒーは、すっかりぬるく、
気の抜けた味になってしまっていた。
お互いに、ソワソワと身体を揺すりながら飲み干す。
ズズッという音に、二人して妙に緊張してしまう。

「あっと、いけない予備校行くのに待ち合わせしてんだった」

「古泉くん?」

「そう。いまさら予備校なんか行かなくたって、受験は余裕だけどね」

「それでも、二人は仲良く予備校へ行く」

「仲良く行くのは予備校だけじゃないわ。どこへ行くのも一緒」

「うらやましいわ」

「あんたこそ。キョンとは?」

「ずっと一緒」

「フフ。ごちそうさま」

「ええ。まかせて」

燦々たる夏の日差しに真っ向から挑むような笑顔を浮かべて、彼女は店をあとにした。
待ち合わせの場所からどこへ行くつもりなのか。予備校でないことは確かだ。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/04(火) 21:04:34.34 ID:lZqLICLQ0

バッグから携帯を取り出し、通話履歴のトップを呼び出す。
3コールで繋がった。

「やあキョン。夜にお伺いする予定だったんだが、少し早めに連絡してしまったよ」
「良い陽気だよ。家に閉じこもっていないで、少し散策でもしないかい」
「うん? たしかに、僕はいま声がうわずっているかもしれない」
「大丈夫だ。熱射病のたぐいではない」
「ああ、急に会いたくなってしまってね。来てくれると、とても嬉しいよ」
「……キョン…………………エッチしたい」

 『すぐ行く』

  おしまい

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/04(火) 21:36:29.46 ID:lZqLICLQ0

あらためて読み返してみると、自分でも微妙。
スネークマンショーとか、GAP SYSTEMみたいなものを目指していたのだけど。



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