キョン「寺関係ってすごい」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/05(日) 22:11:54.82 ID:infPG7pj0

その異変は、入学式の直後におこった。

「涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。宇宙人以下略」

なんて、一つ後ろの女子学生が奇天烈な自己紹介を始めやがったのだ。

「これ、笑うとこ?」
「なによ、あたしは大真面目に・・・!」
「なにもそう、まるで何かに憑りつかれたように熱弁を振るわなくとも・・・」
「・・・ククク・・・クッフッフフ・・・」

唐突に声色が変わり、そいつの周囲からおどろおどろしいオーラが立ち上る。
騒然とする教室。

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/05(日) 22:12:32.42 ID:infPG7pj0

「見破られては仕方がない」
「何だと?」
「今の今まで女子学生に成りすましていたが、実は私は世界を混沌の渦に突き起こすため
冥界から派遣された大妖である。よい機会だ。人間どもよ、ここで滅せよ!」

言うが早いか、自己紹介が若干ウザかった谷口という少年の体が浮かび上がり、担任岡部に襲い掛かる!
二人とも錐もみ回転しながら窓ガラスを突き破り、青空の元へと投げ出された。もう人類は終わりだ!

「破ぁ!」

何やらか細い声が教室に響くと、視界が先行に包まれる。
明順応した俺の目の前から、涼宮ハルヒは消え去っていた。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/05(日) 22:16:18.07 ID:infPG7pj0

「怪我はない」

呆然としていると、教室入口からショートカットの女子がこちらに歩み寄る。

「涼宮ハルヒの正体に気付けなかった」

差しのべられた手を握り返す。

「私のミス。うかつだった」
「よくわからないが、なんにせよ助かったさ。ありがとな。えーと・・・」
「長門有希」
「ああ、よろしくな」

こうして俺たちの文芸ライフが始まっちまった。
今でも思う。冗談のような出会いだったと。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/05(日) 22:21:05.31 ID:infPG7pj0

文芸部室は、言っちゃなんだが寂れかけていた。
生活感のない空間というか、空き教室との違いは本棚とパイプ椅子があるくらいだった。

「座って」

進めてくれるのはいいが、腰かけるべき椅子が見当たらない。
見回してみると、折りたたまれたパイプ椅子が二つ、掃除用具入れの隣りに立て掛かっていた。
設置する。座る。

長門は黙々と読書に励んでいる。

いたたまれない。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/05(日) 22:23:56.03 ID:infPG7pj0

「なあ、どんな本を読んでるんだ?」

会話を切り出すと、長門は本から目を離して、こちらをじーっと眺めてくる。
どんな反応を返すべきか逡巡していたら、手に持っていた本を持ち上げてくれた。

「いや、ブックカバーを掛けられていてはな」

透視しろとでもおっしゃるのか。ここ何部だっけ。

「うかつ」

繊細な手つきでカバーを外すと、分厚い黒塗りの本が現れた。

「なになに、『黒魔術大全〜恋の病からマジモンの病まで〜』」

何部だっけ、ここ。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/05(日) 22:31:55.24 ID:infPG7pj0

仕事は追えたとばかりに魔術を解読する作業に戻る長門。

「いやいや、文芸部だよな?」
「そう」
「文芸部と読書部じゃ、調布と田園調布くらいの違いがあると思うんだが・・・
書いたりはしないのか?」
「何を?」

無表情が基本のせいで冗談なのか測りかねる。

「ほら、小説とか。文芸部っていったら、むしろそっちが主体じゃないか?」

「あなたが書いた方がいいと言うなら、そうする」

「いやまあ、好きにすればいいんだけどな・・・」

しかし、こいつが書く小説か。少し興味があるかもしれない。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/05(日) 22:43:45.36 ID:infPG7pj0

というわけで、ネタ探しの名目で街に繰り出した俺たちだったが
結局のところ目的が見つからないまま喫茶店に入る運びとなった。

「ところで、書きたい話とかはあるのか?」

「それを探している」

「まあ、ゆっくり探せばいいさ。そのための街歩きでもあるしな」

雑談していると、長門の注文が運ばれてくる。
カレー。カレードリア。カレー。アプリコットジュース。

どこから突っ込めばいいのやら。

黙々と食べ進める長門を眺めていると、しかしそれ以上に奇妙な光景が目に入ってきた。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/05(日) 22:53:30.08 ID:infPG7pj0

向かいの席にいる長髪の女性。

擦りガラスな上に背を向けていてよく見えないが、俺の目が正常ならばまるで玉投げかのように
この喫茶店の特製らしい巨大なハンバーガーを口に入れている。

誇大広告でなければ、とてもじゃないが人間の口に収まる大きさじゃなかったはずだ。

しばしその手品のような光景を観察していたせいで、

連れがこちらを見ていることに気付けたのは、長門の前の皿が一枚残らず白地を晒した後だった。

それほど呆けてはいかったはずだが、こっちはこっちで人外じみた食いっぷりである。

「ああ、悪いな。ところで、行きたい場所とかあるか」

長門は一瞬沈黙して、

「図書館」

外出した意味が見いだせなくなってきた。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/05(日) 23:00:24.48 ID:infPG7pj0

――――
――

「はっ、ドリームか!」

「わっ! ちょっとキョン、起きるなら起きるって言いなさいよ!」

瞼が重い。物理的に。パイプ椅子に反り返った姿勢のまま手をやると、べたつく何かが乗っかっていた。

「ふぇぇ……涼宮さんがキョンくんの瞼にヴェルタースオリジナルを積み重ねる遊びをしていて……」

「もう、新記録更新中だったのに。空気の読めないやつね」

「食べ物を粗末にしちゃだめですよぅ」

今時夢オチなんて流行らないだろ。そう呟きながら、手中のそれを口に入れる。

そういえば何か不思議な夢を見ていた気がするが、ヴェルタースオリジナルの衝撃的な味で忘れてしまった。

「あの、よかったら」

おずおずといった調子で、朝比奈さんがポケッティッシュと緑茶を勧めてくれる。

礼を言って瞼を拭いつつ、やはり苦味すら旨い愛情たっぷりの煎茶を啜りながら窓に目を向ける。

無責任に微笑ましそうなニヤケ面を晒す超能力者の奥に、我が部のマスコットでもある文学少女の姿が見えた。

ふわり、と風がショートカットを揺らす。それを眺めていると、ハルヒの悪戯も許せてしまうくらいの穏やかな気持ちが胸中に行き渡っていく。

やっぱり長門ってすごい。改めてそう思った。                         疲れたので終わり



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