古泉とキョン「あいかわらずなボクら」


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1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:02:35.67 ID:SaDENkVG0


 古泉君視点でお送りする普通のssなのですが、非日常な事は全く起こりません。
 BL要素は0% メインは古泉、キョン、谷口、国木田の4人の話になります。




 下のSSも書いてます。
 みくる「ナイショですよぉ♪」
 ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1335906234/
 こちらは激しいH描写がありますのでご注意下さい。

2 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:04:24.01 ID:SaDENkVG0



「ん? お前こんな所で何やってんの?」
「偶然ですね、まぁ偶然と言いましてもこれで2回目になるのでしょうか?」

 どうも、古泉です。
 若輩者でありますが、このお話は僕の語りで進行させていただくとしましょう。至らぬ点があるとは思いますが、どうぞよろしくお願いします。

 さて、と。冒頭の会話なのですが、その人物とはSOS団団員その1である彼の友達であり、同じクラスの谷口氏でした。
 場所はゲームセンターですね。この近辺では結構な規模の大きさを誇るこの場所は、平日の夕方であってもかなりの人間が集まる場所でした。
 そのゲームセンターの少し外れた場所。トイレの前で彼と偶然遭遇してしまった次第でございまして。

「なぁ、お前にさ、このゲーセンでまた会ったら言おうと思ってたんだけどさ、お前時間あるか? 1時間ほどでいいんだ」
「まぁ若干の時間はありますが、何故でしょうか?」
「ちょっとついて来いよ」

 おっと、言い忘れていましたが僕は絶賛勤務中でしてね、森さんや新川さんと連絡を取り合い、彼の行動を監視していた。と言えば分かりやすいでしょうか?
 この場所は1週間で1回の頻度で彼が来る可能性があり、機関のメンバーが交代でいつもこの時間になると待機しているのでした。
 理由? それはあえてコメントを控えさせていただきましょうか。

 谷口氏の後について行くと、彼の友達であり同じ中学出身の国木田氏が見えます。ゲームの画面を見ながらレバーとボタンを素早く押している彼はゲームの世界に没頭しているのでしょうね。

「おい国木田。またこいつ、ここにいやがったんだよ」
「本当だね、こんばんは古泉君」
 僕は「どうも」と一言言うと、国木田氏の隣の椅子に座ります。そして画面を見るとアクションゲームのような激しいバトルが画面内で繰り広げられていました。


3 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:06:17.52 ID:SaDENkVG0


「なぁ、古泉。お前……アクション系上手い?」
「と、いいますと?」
「こんな感じのゲームだよ。もしよかったらでいいんだが、後で俺達とやらねぇ?」

 まさか僕が学校の人間に誘われるとは思いませんでした。
 僕は機関という組織に属しており普通の高校生活は送れず、こういった友好関係など皆無でした。同じクラスでも接点を持たず、SOS団に関わりがある人間にしか僕から喋る事などありませんでしたし。
 勿論僕に興味を持ってもらっているのか。同じクラスでも誘われる事はあっても、そんな普通の人間と接する時間など、僕には無かったのだから。

「後でさ、キョンも来るんだよ。そんで4人で……アレやらねぇ?」

 谷口氏が指差すのはゲームの個体でしたが、かなり大規模な個体であり、密室のような部屋が4つ並んでいて中が見えないようになっていました。
 僕はゲームに関してはあまり知識が無い為、どういったゲームなのか想像がつきませんでした。

 それよりも彼がこの場所にやってくる。
 ただの監視員である僕はその谷口氏の好意を断らなければならない。そして僕がこの場所にいた事などは内密にしていただかないといけません。

「キョン遅いねぇ」
「ったくよぉ、俺もそんなに時間が無いって言うのによぉ」
「で、どうだ古泉。ちょっとくらい俺らに付き合えよ」
 4人でゲームですか。僕個人としましてはとても興味をそそられますが、僕は任務中でして……申し訳ございませんが……



4 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:08:02.22 ID:SaDENkVG0


「うおっ! 古泉?」
「おっ、キョン! てめぇ遅いぞこの野郎!」
 僕の背後から聞こえる彼の声に、僕は一瞬その微笑を崩してしまいました。
 いつもの僕なら気配で分かりそうなものを、このゲームセンターという大音量が鳴り響く空間で僕は簡単なミスを犯してしまった。


 監視は見つかってはならない。そう機関の人間に言われてましたからね。
 さてと、この状況を如何に打破するか。ですね。


「な? 言っただろキョン。こいつさ、この前もこのゲーセンにいたんだぞ?」
「マジか古泉?」
「そうですね、僕も偶然が2回も続いてしまうとは……正直驚きですね」
「珍しいねぇ、どうせ谷口が言うからさ、嘘だと思ってたんだけど」


「バカ、俺はいつだって正直者だろ」
「お前のドコが正直者なんだよっ。それならまずナンパした女を一人でも連れてきてみろよ、話はそれからだろ」

 その彼は普段SOS団で使わないような言葉を発していた。勿論僕に対してもある程度は突っ込みを入れてきますが、谷口氏に対して容赦ないセリフを吐き出したのは少し新鮮でしたよ。
 その後も何度かノリ突っ込みというヤツでしょうか? お互いに笑い合う二人。特に彼が笑うシーンを見ると、それもまた団活時には見せないようなそんな笑顔を見せるのでした。

「なぁキョン。今日は4人でアレやろ〜ぜ」
「古泉もか?」
「だってよぉ、いつも3人だろ? 他のゲーセンからゲストが来たってやる気のねぇヤツもいるしよぉ、どうせなら身内でやりてぇよ」
「そうだね。僕もその方がいいよ、どうだい? 古泉君もやってみないかい?」


5 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:09:49.18 ID:SaDENkVG0


 と、そこで僕のジャケットを引っ張る彼。
 そのまま谷口氏と国木田氏と少し離れた場所で、小声で喋ってきます。

「お前……いいのか?」
「さて、何の事でしょうか?」
「その、なんだ? 機関の何か仕事中か何か……なんだろ?」
「んふっ、ご名答ですね。如何にもその通りです」
 彼も良く分かってらっしゃる。普段団活以外では今まで会った事がありませんからね。おっと機関絡みでしたら何度もお会いしていますがね。

 と、そのタイミングで僕の胸ポケットからバイブレーションの振動が伝わってきます。この空間の大音量のせいで音は聞こえませんが、メールだと確信していました。胸元から携帯を取り出した瞬間でした。

「貸せよっ!」
 突然の事にビックリしてしまいました。そんな強行手段をとる彼が初めてなだけに、いともあっさりと携帯を奪われてしまいます。
 その中には機関絡みの情報が入ってるだけに彼には見せられません。急いで奪還しようと思い、手を伸ばしますが、彼もそれは想定済みなのでしょうか、僕の手を掻い潜ると、僕の携帯を掲げたままニヤリとした顔を見せるのでした。
「別に中身には興味がねぇ。だが電話だけさせてくれ」
「何故ですか? どこに掛けるおつもりで?」
 それなら、僕の携帯じゃなくともあなたの携帯でいいのでは?

 一体何処に掛けたのでしょうか? 耳を当てだした彼の一瞬の突いてその携帯を奪還しようと思ったのですが。



6 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:11:30.12 ID:SaDENkVG0


「もしもし、森さん? 俺ですよ」
 えっ? 何故森さんに? 一旦奪還するのをやめ、その成り行きを見守りました。あぁ……もう始末書では済まないのかもしれません。
 このままでは機関から叱責されるのは間違いないと思った僕は、強引に彼に迫りその携帯に手を伸ばします。それに気づいた彼は携帯を持ったまま一目散に逃げていってしまったのでした。


「お〜いキョン何処行くんだ? もう始まっちまうぞ」
 彼を追いかけます。この時の僕の顔はきっと終始笑顔ではなかった事でしょう。広いゲームセンターの中を縦横無尽に走る彼。僕が全速力で追いかけていると、やがて観念したのか立ち止まるとニヤっとしながら「ほらよっ」と携帯を僕の方に投げ出した。


「俺と遊んでいいってよ。だからちょっと付き合え」
 唖然でした。その言葉が理解できない。


「森さんの許可を貰ったんだ。好きなだけ連れまわしてOKだってな」
 ……あなたは一体何を言っているのですか?

「おっ、珍しく真顔だな」
 その時ばかりは僕のデフォルトである笑顔も、そして余裕も彼に見せることは出来ませんでした。

――――――――――――――――――――――



7 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:13:20.36 ID:SaDENkVG0


「で、これを同時に前に倒すと、ダッシュだ」
「なるほど」
「で、そのまま左右に倒すと……」
「旋回ですね」
「そうそう。古泉君上手いね、谷口とは大違いだよ」

 僕が連れられた場所。

 それはさっき谷口氏が指差したあの大掛かりな固体の中でした。今彼ら3人にそのゲームの操作方法を伝授されている場面でして。今必死に訓練を行っている最中ですね。
 個体の中に入ると、部屋の上半分以上が画面のスクリーンでして、とても臨場感があり、迫力があります。こんなゲームなど体験した事が無いだけに少しばかり緊張してしまいますね。
 しかしながら機関の任務の方が遥かに緊張感がありますが。

 おっとそんな機関絡みの事は……今の僕には必要ありませんでしたね。


 さて、と。そういった心境の変化なのですが。
 先ほどの話に戻しますと、信じられないと言った顔をしていたであろう僕に、彼は……


「じゃあ森さんに掛けてみろよ」
 勿論その通りにしないと僕も気が気でありませんでしたからね。
 そして森さんに電話すると。彼の予想通りの返答が返ってきます。

「今回は仕方がありません。彼の要求通りに従いましょう」
 そんな森さんの言葉は、改めて以外だった。と、そう思わざるをえませんでした。成り行き上仕方が無かったといえばそれまでですが、彼と一緒に遊ぶという事は今まで考えられなかったのですから。


8 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:15:16.92 ID:SaDENkVG0


「古泉君。今度は射撃の練習だね」
「おい。接近戦はいいのかよ」
「アホかお前は、ビギナーに殴り合いは自殺行為だろ」
 僕の後ろから3人の会話が聞こえる。
 その会話が結構面白く、いつもの微笑に輝きが宿ります。

「ローグでやんのか?」
「そうだね。古泉君はまずローグで行くべきだと思うよ」
「そうだな、最初はそれが無難だろう」

 どうやら僕は今使っている「ローグ」というキャラに決まってしまったようですね。

 おっと、3人の会話についこのゲームの紹介をするのを忘れていましたね。あまりに楽しかったので……申し訳ございません。

 このゲームはどうやら全国のゲームセンターにある同じ機体と繋がっていて、要するにネット対戦できるゲームですね。
 雰囲気と致しましては中世の騎士や馬など、建造物もその時代に合わせた感じの世界が描かれていました。
 そしてゲーム内容なのですが、2陣営に分かれて相手の砦を落とせば勝利という至ってシンプルなルールなのですが、その中に色んな職業があり、「ローグ」と言う職業もその一つであり、他にナイトやアコーライト、スナイパーや巨大な投石器まであり、その数は所見の僕には把握できませんでした。
 同時に16人まで参加可能らしいのですが、このゲームセンターには4つしか個体が無く、他の店舗と合わせて4対4で行うのが最大なのだそうです。

 以上簡単な説明でしたが、他のルールは実践しながら教えてくれるそうでして……いつもなら説明好きな僕も、今必死にその操作を覚えないといけませんのでそんな余裕も無く、必死にレバーやボタンを押している最中でした。



10 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:18:28.27 ID:SaDENkVG0


 今はその「ローグ」なる職業で、弓を放つ練習をしていました。
 最初は止まっていたターゲットも弓を当てると、今度はそのターゲットも動き出します。そしてタイミングよく放つと、大きくHITの文字が出ます。

「上手いね古泉君。動いてるターゲットにも当てるなんて」
「谷口と大違いだな」
「うるせぇよ。俺はなこんな弓よりも……接近戦命だからな突撃あるのみだ」

「でもよぉ。どうするんだ? 接近戦はいいのか?」
「谷口よ。そりゃ初心者には無理ゲーつったろ?」
「そうだね、キョンの言うとおりさ」
「つまりだな古泉。お前は遠距離専門の部隊を頼む」

 勝手に遠距離専門の部隊を任されてしまいました。
 接近戦の操作は相当難しいようですね。

「な〜に簡単さ。相手を見つけたらぶっ放して、近寄ってくれば逃げればいいんだ」
 そうは言うものの……正直いいますと自信がありませんね。

「おっ、開いたぞ! さぁ〜ていっちょやるか!」
 その谷口氏の声に振り返ると、ニコっと笑う国木田氏。そして……ニヤニヤしながら指を鳴らす彼がいました。

 今僕は……機関の生活とは程遠い世界にいるのかもしれない。

――――――――――――――


11 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:20:38.85 ID:SaDENkVG0


「聞こえるか? 古泉」

「んふっ、感度良好ですよ」

「あれ? 古泉君もやる気だね」

「うぉ〜〜燃えてきたぜっ!」

 4人が別々の個体に入ります。 そして今聞こえる声は耳に装着したインカムからですね。

 中々本格的で内心ドキドキしています。

 ゲームが開始されると、目の前の画面が勝手に動いて行きます。

「国木田がやってくれるから、ほったらかしでいいぞ」

 彼の声。何故かホッとするのは言うまでもありません。もちろん谷口氏や国木田氏でも安心はするのでしょうが、彼との長い付き合いがありますからね。

「古泉君。画面右下の、ローグって職業分かるかい?」

「はいっ、決定でよろしいでしょうか?」

「うん。後の部隊も全部ソレでいいよ」

 国木田氏に言われるがまま決定ボタンを押して行きます。そして画面が切り替わると、他のメンバーも決定したようですね。

 彼の職業は……なんでしょう。ナイトですね。

 国木田氏は、アコーライトでしょうか。

 そして谷口氏は、パラディンと決定したようです。

 どんな特性があるのかは今の僕には分かりかねますが、そのキャラグラフィックを見て普段の3人に何故かマッチしているような気がしてしまいます。

「古泉君はアーチャーでも良かったんだけどね」

「まぁ一人のグレードを下げた分、国木田の戦力がヤバイ事になってるのだが」

「大丈夫だ古泉。俺のパラディンがお前を守ってやるぜっ!」

 どうやら戦力とは決まった上限があり、参加する人間同士で調整できるそうですね。 例えば僕が弱い部隊で編成して、国木田氏の方に余分に戦力を回す事が出来るそうです。まぁ僕は初めてなので戦力外だと思っていましたので、それはありがたい事でした。僕より上手いであろう国木田氏が強力になればきっと僕以上の戦果を上げる事でしょう。



12 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:22:48.52 ID:SaDENkVG0


 さて、画面が切り替わるとマッチング待機画面ですね。

「古泉君は、とりあえず自陣の防衛に回ってもらおうかな」

「了解です」

「そうだな、それが無難だろう」

「後は自陣の索敵だぞ。敵が来たら思いっきりぶっ放せ!」


「古泉。ちなみに言っておくが、このメンバーでは国木田が総大将だからな。良く指示を聞いておけよ」

「分かりました」

「俺は特攻隊長だぞ。おっけ〜?」

「んふっ、了解ですよ」

 何故だろう。このマッチング画面だけで僕の心臓の音が高鳴っているのに気がつきました。

 所詮ゲームなのに、彼やその友人と共に、敵を倒す。そんなシチュエーションがあまりにも斬新すぎて、これから始まるゲームに胸が高鳴っていくばかりでした。


13 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:25:00.54 ID:SaDENkVG0


【対戦相手が見つかりました】

 その文字が大きく画面に出ると、喉をゴクリと鳴らします。そして全体地図が大きく表示されます。


「あぁ〜〜〜! 何で森なんだよっ! しかも何だよ。殆ど森しかねぇぞ!」

「ひっひっひっ! 谷口終了だな」

「困ったね。このマップだと、突撃できないね」


 どうやら今回のマップに対して色々な文句が聞こえてきますね。そのマップを見ると、谷口氏の言うとおり森が大半を占め、敵陣の右上辺りは草原が広がっています。

「まぁ、僕はこの方が得意だけどね。色々ワナも仕掛けられるし」

「古泉。お前のキャラはこういった視界の悪い場所は結構有利なんだぞ」

「そうなんですか?」


「一発打って逃げる。ヒットアンドアウェイ戦法使いまくりだからな」

「そうだね。ローグは素早いし、森でもそんな移動力は落ちないしね」

「おいっ! 国木田! 俺どうするんだよっ!」

「まぁ……適当にやってくれていいよ」

「国木田ぁ!!」


14 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:27:55.77 ID:SaDENkVG0


 そして、対戦相手の詳細が出ると、3人同時に声を発するのでした。当然僕には分かりませんが。

「投石器だと? しかも遠投じゃねぇか」

「まずいねぇ。すぐに見つけないとすぐに負けちゃうね」

「任せろ! 俺がぶっ壊してやるよ」


「いいか古泉。この投石器なんだが、アホみたいな射程があってだな、かなり遠くから俺達の砦に攻撃できる。しかも破壊力も半端じゃないから」

「この投石器を……まず見つけて破壊しなきゃいけないね」

 なるほど、どうやら敵陣にはそんなキャラを出してきたんですね。そしてその投石器を見つけて破壊する。それが最優先事項なんでしょう。


「投石器相手だと、どうしてもラインを上げないとだからね……」

「森だし視界が悪くて見つけにくいな」

「すまない古泉君。防衛って言ったんだけど、まずはこの投石器から見つけよう」


 そして、画面右上のタイムがなくなると、画面が切り替わります。

 ファンファーレがなると、ゲームスタートの文字が大きく映し出されました。



15 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:30:21.05 ID:SaDENkVG0


「古泉君、まずは中央のラインまで上がってくれないかい?」

「わかりました」

 僕の部隊はマップの左下から登場しました。その横に彼。そして国木田氏、そして谷口氏といった順番です。

 国木田氏の言うとおりマップ中央まで走ります。それに続き彼も同じく進軍。そして国木田氏は自陣中央に位置し、谷口氏もマップ右を進軍を開始しました。


「早ぇな古泉。俺のキャラ鈍足だからな」

「くそっ! 何で森なんだよっ!」

 さて、少しばかりユニットの説明をさせていただきますと、彼の扱うナイトは移動力は無いのですが、接近戦に強いと、さっき説明にありましたね。そして谷口氏の扱うパラディンは要するに騎兵ですね。森の影響で移動力が落ちていますが、谷口氏いわく「草原では最強」だそうです。

「古泉君。その森でストップしてそこで待機」

「キョンはそのまま進軍。敵とぶつかるまで進んでみて」

「「了解!」」

 彼と被ってしまいましたね。ふふっ笑ってしまいます。

「俺は? おいっ国木田!」

「そのまま草原に抜けてみて砦の端っこから強襲を掛けてみて」

「おっしゃぁ!」

 谷口氏の声が大きすぎて、少しばかり耳が痛いのですが。


16 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:32:46.11 ID:SaDENkVG0


 と、その時でした。僕の画面に敵影が見えました。森からゾロゾロと歩兵が現れます。僕は弓を構えながら国木田大将に報告します。

「敵が見えました。そのままこちらに接近してきます」

「古泉君。敵の位置を教えてくれないかい? 地図にタッチすればみんなに分かるから」

 すぐに画面をタッチすると、その地点が何度か光り始めます。

「よし。ぶっ放せ古泉っ! 血祭りにあげろっ」

「黙って谷口! 古泉君。そのまま左に迂回だ」

 ここは勿論国木田大将の仰せのままに。

 弓を構えるのをやめ、画面左端まで移動します。視界に敵を捉えたまま次の指示を待ちます。


「ヘタに攻撃しかけるなよ。場所が見つかっちまったら、まだ見つからん投石器のタマが飛んでくるぞ。モロに食らったら一発で昇天だからな」

「まずは投石器を見つけるんだ。それにその先鋒部隊の後にどれだけ後続がいるか分からないからね。」

 なるほど。少なくとも谷口氏が言ったような行動に出なくて良かった訳ですね。


「国木田。このままだと俺の部隊がさっきの先鋒部隊とぶつかるぞ」

「これ以上自陣に入ってこられると厄介だね。よし、キョンはその部隊を頼んだよ」

「OK! ちょっとばかし捻ってきてやるか」


17 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:35:46.34 ID:SaDENkVG0


 画面を見ると、どうやら彼の部隊と先鋒部隊が戦闘を開始したようです。マップではこちらの部隊は青で表示され、赤い点々がちらほらと中央に見えます。

「ははっファイターでナイトに勝とうなんざ、甘すぎるぜ」

「国木田。追い討ち掛けるか?」

「いや、そのままその戦線を維持して欲しい。キョンは足が遅いからね」

 どうやら彼の部隊が先鋒部隊を蹴散らしたようですね。赤い点が一つ二つと消え、残った点も敵陣へと消えて行きます。

「古泉君。どうだい? 敵はいない?」

「はい。この場所からは発見できませんね」

「じゃあさっきの位置まで戻って敵を探してもらえないかい?」

「了解です」

「森だとイキナリ目の前にいるかもしれないから気をつけて」


 そしてマップを見ると、画面右上、敵陣側でも戦闘が始まったようです。どうやら谷口氏が砦に対して攻撃を行っているようです。

「バカじゃねぇのかこいつら。砦に誰も護衛がいないんだが」

「気をつけて谷口。今の一撃できっと敵は戻ってくるから」

「これなら中央の門まで一発かまして来るぜ!」

「やめろっ谷口! 国木田の言う事を聞けっ!」

 っと、インカムに気を取られていると……

 僕の画面に見える森から出て来たのは、投石器?

 そしてその投石器の車輪が外れると、その場で組み立てるような作業を見てしまう。これは一体……


18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:38:54.62 ID:SaDENkVG0


「と、投石器ですっ!」

「どこ?」

「どこだ?」

「それが……なにやら組み立ててるのでしょうか。これは……」


「古泉場所は? 何処だ?」

「画面をタッチして!」

 っと、僕も焦ってしまい場所を言うのを忘れてしまいます。急いでそのポイントに指をつけました。まだこのゲームに頭も体もついていかないようですね。

「古泉君。その投石器はどんな状態? 車輪ついてる?」

「どうなんだ古泉! はっきりしろ!」

「ええっとですね……先ほどは車……!」

 その時でした。いきなり彼が僕がプレイしてる個体へと入ってきたのです。そして僕の画面を見るなり、僕のインカムの側で叫びだした。


「組み立ててやがる。来るぞ国木田!」

「OKキョン! その位置だね」

 呆気に取られてる僕をよそに、すぐに飛び出していくのでした。

 ゲームでこんなに熱くなる彼に驚きを隠せません。そして何よりも僕のインカムで叫んだ時に唾が飛んできたのは……内緒です。


19 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:40:56.43 ID:SaDENkVG0


「キョン! そのまま正面から投石器を強襲して」

「OK! ぶっ壊してくるぜ!」

「古泉君。その位置から投石器の後ろに注意して。きっとローグがアーチャーがいるはずだ! キョンが戦闘を開始したら横から一気に攻撃するんだ」

「了解です」




「うあぁ!」

「どうしたの? 谷口」

「落とし穴だっ!」

「アホかお前は。敵の城門の前なんてその手のワナがあるに決まってんだろ!」

 マップ画面を見ると敵城門前で団子状態になっている谷口氏を見てしまっては僕の微笑も少し崩れてしまいます。


「動けねぇよ!」

「困ったな、投石器の後ろに回り込んでもらおうと思ったんだけど」

「このクソアホ野郎!」


20 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:42:59.95 ID:SaDENkVG0


 と、マップ画面に見とれていると、いきなり画面が真っ赤にフラッシュしました。体力ゲージを見ると僅かでしたが減っているのに気がつくと、僕の部隊がダメージを受けている事はすぐに分かりました。

「古泉です! 気づかれました!」

 何処だ? 何処にいる? 辺りを見回しても敵影は見えませんでした。


「逃げろ古泉! 後退しろ! 下がるんだ」

 視点を180度変えると……いたっ! 敵軍隊が森のあちらこちらから見えました。しまった。後方に敵がいたなんて。僕の部隊は退路を絶たれた状態 となり混乱状態に陥ります。


「ダメです。前方に投石器。後方に敵部隊がいて挟まれています」

「自陣へ戻って来い古泉! そのまま敵部隊を乗り越えろ!」

 また画面がフラッシュします。その度に体力ゲージ少しづつ無くなっていく。向き直り前方の投石器に視点を変えると国木田氏の言うとおり、更に敵部隊が現れました。このままでは全滅してしまう。


 そしてとうとう横にいた僕の所属する兵隊がバタっ倒れてしまいます。

「全滅だけは避けるんだ。お前だけでも逃げろ。5秒以内だ!」


21 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:46:27.70 ID:SaDENkVG0


 彼の言葉を信じ、残った部隊は後方にいた敵軍めがけて進軍します。そして目の前に見える敵部隊に迫りながら、その横を通り抜けます。

 当然画面でも激しい剣の音と、次々と倒れる僕の部隊の兵士、僕のキャラも多大なダメージを受け、体力ゲージが緑から赤色に変化していました。


 もう少しで通り抜けられる!

 その時でした。 またもや敵兵が奥の森から出現したのです。


 素通りで逃げただけで多大な損害を受けただけに、今度はもう通り抜け出来ない。このゲームを初めてやる僕でもすぐに理解できました。半ば観念していると。


「よぉ古泉。良く逃げれたな、そんなにボロボロになっちまって……」

「俺がタップリとお返ししてやるぜっ!」


 新たな敵軍だと思っていたその部隊は、彼の部隊でした。

 僕を追いかける部隊と、彼の部隊が接触すると、一斉に剣が交わる音が聞こえます。この時ばかりは全身分厚い鎧姿の彼が、物凄く頼もしく感じてしまいました。


「古泉。弓部隊はいたか?」

「分かりません。必死だったもので」


「俺の弱点は遠距離攻撃だ。こんな深い森だとすぐに逃げられちまう。つまり遠巻きに攻撃されるとどうしようもねぇんだ」


「その代りと言っちゃなんだが」


「接近戦では俺に勝てるヤツはいねぇ!」



22 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:49:02.83 ID:SaDENkVG0


 目の前で繰り広げられる戦闘は彼の率いる部隊にあっという間に四散しました。 そして彼が扱う範囲攻撃のような衝撃波で敵軍の体力ゲージが一気にレッドゾーンになって……

「古泉。追い討ちだっ! お前の弓でトドメを刺せっ!」

 目の前に四散する敵を捉え、弓を構えると狙いを定めて一気にアタックボタンを押した。

 ドサッと倒れる敵兵士。一人倒すと更に後方に逃げる敵兵に対し弓を放っていく。

「上出来だ古泉。やるじゃねぇか」

「いえいえ。偶然ですよ」


 彼との共同戦線。 それが如何に嬉しくて楽しくて……感動すらしてしまうほどでした。

「何人残ってる?」

「4人です」

「十分だな。俺に続け古泉」

「しかし体力ゲージが既に赤になってまして……」

 確か、砦に戻れば倒された部隊も復活して、残存部隊の体力も回復するとはずでは?

「大丈夫だよ古泉君」

 自陣方面から出てきたのは、国木田氏の軍勢でした。

 そして僕の部隊の隣に来ると少しずつ体力が回復していたのでした。確かアコーライトと言うのは僕にもまだ理解できない点ががあり詳しくはいえませんが

23 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 02:51:08.33 ID:SaDENkVG0


「時間がねぇな」

「投石器に一発打ち込まれるのは仕方が無いね。このまま一気に叩こう」

「OK。古泉は俺が叩いて逃げ惑う敵を討ち取れ」

「了解です」


 そして大音量の谷口氏の怒鳴り声がインカムから聞こえてきます。


「くそっ! やっと出れたぞこの野郎! ってか敵が現れねぇってどういうこった?」


「谷口。僕が思うんだけどね、向こうの陣営からすると、とりあえず落とし穴は掘ってみたけど、まさかそんな開幕でハマるとは思わなかったから敵軍もいなかったんじゃないかな?」


「俺も国木田の意見に賛成だな。そうに違いない」

 遅ればせながら僕も同意見ですね。



「うるせぇよお前ら! 俺も戦わせろ!」

 彼の笑う声に、国木田氏も笑う。

 僕も自然と声に出して笑っていたのは……自分でも驚きでしたね。




31 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 06:29:51.41 ID:oNCnvu4F0


 その時でした。マップ画面の自陣の砦が赤く光ります。画面上のこちらの戦力ゲージの4分の1ほどが一気に削られます。どうやら敵軍の投石器の攻撃のようですね。
 ちなみに谷口氏が砦に加えた攻撃などゲージ全体の3%ほどでして、投石器の攻撃が如何に強力なのかは一目瞭然でした。

「キョンはそのまま投石器に向かって。ここで一気に叩かないと戦況がかなり不利になっちゃうからね」
「分かってる。逃げられると勝ち目が無くなっちまうからな」
「後続は僕が続く。古泉君はキョンの側面を頼んだよ」
「「了解!」」
 返事が被るのは2度目ですね。僕は一人でニヤっとしてしまいます。

「おい! 国木田! そのまま城門を頂いていいのか? マジで敵がいねぇんだが」
「……おかしいね」
 と、国木田大将。勿論顔は見えませんが考えているようですね。

「いくぞ! こんなチャンス滅多にねぇ!」
「谷口。攻撃するのは構わないけど、すぐに退却できるようにして」
「分かってるぜ。いっくぞぉ〜〜!」

 今度は敵側の戦力ゲージが減少します。勿論投石器の攻撃と比べるまでも無いダメージでしたが、先ほどの攻撃より若干高くなっています。砦の中央にある門はウイークポイントらしく、その効果は2倍だそうですね。


32 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 06:31:41.89 ID:oNCnvu4F0


「なぁ国木田……向こうは全員投石器の周りにいるんじゃないか?」
「そうだね。そう考えてもおかしくないね」

 このゲームのルールでは時間内に相手の戦力ゲージを無くすか、ゲージが多く残った軍が勝利になります。
 そして今回、敵側は砦に防衛部隊を配置していないわけですね。
 それは完全な投石器シフトで、自軍の砦は殴られても投石器で一気に逆転できる……そういった算段でしょうか。
 つまり、この投石器さえ破壊すれば戦況は一気に有利になる。僕でもすぐ理解できましたよ。

「敵が見えた! ぶっ潰してやる!」
「キョン! 雑魚は僕に任せるんだ! そのまま投石器がいた方向に向かって!」
「OK! ……っておい! 大将2人もいるぞ!」

 マップ画面を見ると、赤い点の中に旗が二つ現れます。すると彼の部隊と接触し、戦闘が始まりました。
「ナイトとウォーリアーだと? 来やがったな」
「キョンは投石器に向かうんだ! 古泉君。僕の側面から援護を頼む」
「了解です!」

 マップ画面でも激しく重なる青と赤の軍勢へと、僕の部隊も進軍します。そして視界にも両軍が入り乱れる光景を目の当たりにして、激しくぶつかり合う国木田氏を発見します。
 相手側に弓を構えると、じっとそのタイミングを伺います。


33 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 06:34:01.06 ID:oNCnvu4F0


「国木田! ナイトがついてくるぞ! こんの野郎……俺とやる気かよ」
「キョン! 先に投石器だっ!」

「ダメだ国木田。さっきの場所にはもういねぇ! くそっ! 逃げるの早すぎだろ!」
「谷口! 投石器が動き出したよ。後方から投石器を追い詰めるんだ」
「分かった! 谷口様がオイシイ所をさらってやるぜ!」

 激しいインカムの声と、目の前で繰り広げられるバトルを目の当たりにして僕もその操作に夢中になり、何度も側面から弓矢を繰り出します。
 手当たり次第に弓矢を放った結果何人かの敵兵を倒すと、国木田氏と戦う大将にも僕の弓矢がヒットしました。

 心の中で「よしっ」と思ったのもつかの間……
 その大将らしきキャラが僕を見つけたのか、突然僕に猛突進してきたのです。

「古泉君! 逃げて! 思いっきり自陣に戻るんだ」
「はいっ!」
 接近戦ではまず勝てない。ウォーリアーと言われる敵のキャラも接近戦に長けたキャラらしく、まず僕では勝てないと思いました。指示通り自陣まで一心不乱に撤退しようとすると、そのウォーリアーも一人で僕を追いかけてくる!

「古泉君大丈夫だ。足では君の方が上なはずだ」
 僕は激しい戦場から離れ、深い森を一気に抜けます。勿論敵の大将も追いかけてきましたが、途中で追いかけてこないのに気がつきました。僕が後ろに振り返ると……



34 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 06:35:57.68 ID:oNCnvu4F0


「ふふっ残念だね。その地点は僕が落とし穴を作っておいたんだ」
「古泉君! そいつは動けない! 戻って一気に倒すんだ!」
 国木田氏のトラップが発動。
 僕はすぐさま落とし穴に落ちた敵大将に向け接近し、矢を連打しました。少しづつですが敵の体力ゲージが減っていきます。画面でも這い上がってこようとする敵に容赦なく弓矢を放つと、敵大将はとうとう体力が無くなり消滅します。

「よし!」
 思わず声に出してしまいました。
 そして敵大将を倒すと相手の戦力ゲージも削られます。なるほど、敵大将を倒してもゲージを減らす事が可能なのですね。
 だから先ほど彼が言ったように「自分だけでも逃げろ」と言ったのはこう言う理由があったからでしたか、なるほど。

「敵大将を討ち取りました!」
「よくやった古泉!」
「よし! じゃあ古泉君は一旦砦に戻って人数を補充してほしい。その位置からだと砦が近いからね」
「了解です!」
 返事にも力が入ります。僕も完全にこのゲームに夢中になっていました。


35 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 06:37:28.24 ID:oNCnvu4F0


「くそっ! このナイト……腕スキル半端じゃねぇぞ。上手すぎだろ」
「キョン! もう少し粘れるかい? 側面にアーチャーを見つけた。僕はこっちに向かう」
「分かった。とりあえずコイツをぶっ殺す」

「おい! 国木田。敵が見えたぞ! うっひょ〜! アーチャーだらけじゃねぇか」
「そっちにもか……谷口。その近くにきっと投石器がいるはずだ。場所を教えて」
「おうよっ。谷口軍の恐ろしさを見せてやるぜぇ! 全軍突撃ぃ!」


 砦で待機している間にもマップ上では赤と青の点が入り乱れ激しく点滅していました。みなが戦っているのに砦で待機と言うのも非常に心苦しく思ってしまいますね。

36 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 06:40:41.03 ID:oNCnvu4F0


「おい、古泉! コッチに来い!」
 彼の声です。しかし……僕は今砦で人数補充中でして。

「コッチだ。俺の横に来いって言うんだ!」
 だから……
 すぐに彼の横にワープできればいいのですが、相当時間がかかってしまいますし。

「俺の横に来て画面を見ろっつってるんだよ」
 やっと理解できました。ゲームの世界での話ではないのですね。

 僕は自分の個体から出ると急いで彼がいる個体へと入ります。すると目の前で激しいバトルが繰り広げられていました。目の前に見えるナイトと剣を交え、そして盾でガードするといった本物さながらの迫力に圧倒されます。


「周りにアーチャーがいるんだ。左右の画面で俺を狙うヤツがいたら教えてくれ」
「分かりました」
 なるほど、彼は目の前の大将から目が離せない。
 そして僕はその周辺をじっくりと、目を凝らします。すると……

「左です。こちらに打ってきます!」
「そらよっ!」
 画面が90度程左方向に動くと、ピッタリのタイミングで盾を出す彼。するとその大盾が敵軍の弓矢を弾き返しました。そして向き直ると目の前にいた大将の攻撃も同時にガードしてしまいます。

「甘いぜっ」
 と、彼の顔がニヤリ。
 彼のナイトが放つ横一線のなぎ払い。敵の大将が大きく吹き飛びます。そして更に追い討ちを掛けるべく大将に向かって行きます。激しい攻防戦に思わず見とれてしまいます。

「他は? いねぇか?」
「すいません。目の前の画面に気を取られていて……」
 再度左右の画面ををチェックします。あちらこちらで敵軍とこちらの戦闘が繰り広げられている中、彼を狙うアーチャーも国木田氏率いる軍隊と接触し、画面の180度全てで激しいバトルが繰り広げられています。



37 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 06:43:01.68 ID:oNCnvu4F0


「右です! こちらを狙っています」
「OK!」
 またもや画面が90度ほど動くと……しまった!
 既に国木田氏の部隊が接触してて弓を放つ気配はありませんでした。
 そしてその瞬間、画面が赤くフラッシュすると、その側面、つまり先ほどまで正面にいたナイトに重い一撃を受けてしまいました。

「くそっ!」

 彼は向き直りガードしようとしますが、相手のナイトの連続攻撃が止まりませんでした。次々に削られる体力ゲージに思わず「す、すいません!」と声を荒げます。
 既に体力ゲージは真っ赤で10分の1程になっていました。そして態勢を崩したであろう彼のナイトは地べたにつき倒れてしまいます。

「まずい! 無理か!」
 目の前でジャンプする敵ナイトは宙を描きます。そして剣を構えた瞬間……



 画面右端から飛び出したのは……国木田氏?


 そして巨大なハンマーで横から思いっきりナイトを叩きつけます。そして弾き飛んだナイトに猛突進してくではありませんか。
 その国木田氏の巨大ハンマーに防戦一方のナイト。彼曰く、腕スキルが半端じゃない相手のナイトは最初の一撃を受けただけで国木田氏の攻撃を次々に受け止めます。


「下がって! キョンがやられると大損害だ」
「すまん。コイツは俺の腕ではどうにもならん。ランカー並だぞ」



38 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 06:45:38.55 ID:oNCnvu4F0


「よし戻れ古泉。もうお前の部隊は全快してるだろ。早く来い!」
「了解です!」
 僕は慌てて自分の個体へと戻ります。早く戦線に復帰しなければ。
 そして自分の画面を見ると、人数は補充されており、体力も全て緑色の最大値に復活しています。

「出ます!」
「ダッシュだ古泉! 急げ!」
「よし、古泉君。まずはキョンの部隊の護衛を頼んだよ。そこには僕の工作隊や補給部隊もいるから周囲を警戒して欲しい。まだその近辺に敵軍が潜んでいるかもしれない」
「了解です」

 急いで前線へと向かいます。そしてその時でした。また大音量の声が聞こえてきました。


「い、いた!! 国木田! 投石器だっ! 左端から自陣へ向かってるぞ!」
「よし! 逃がさないでよ谷口。そこで仕留めるんだ!」
「でもよぉ……既に俺ボロボロなんだが。ったくアーチャーがうぜぇんだよ!」



「死んで来い谷口。そして投石器と心中しろ」
「そうだね。死んでもいいからその投石器を見逃すわけにはいかない」
「お前ら……分かったよ。そこまで言うなら……男谷口の神風を見せてやるぜぇ!」


 そしてインカムから聞こえる激しい叫び声が何度も響き渡ります。
 主に「ぐはっ」や「イテェ」「うぉぉ!」など、まるで自分が傷つけられてるように谷口氏が叫びます。そして、谷口氏の部隊がマップ上から消えてしまいます。


「おい谷口。投石器はどうした」
「すまん。また落とし穴に嵌っちまって……アーチャーにフルぼっこにされた」
「犬死にだね」
「あぁそうだな。お前は本当にその言葉がよく似合うぜ」



39 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 06:47:25.93 ID:oNCnvu4F0


 そして谷口将軍が倒れたので自軍のゲージが少し削られます。
 戦局は相手が75%ほど、こちらは65%と言ったところでしょうか。
画面上部を見ると残りタイムは後半分ほどですね。さてここからが正念場です。

「古泉です。周囲には敵影はありません」
「たまにいるんだよな。乱戦の中でちゃっかり背後に忍ばせているヤツがよ」
「今キョンが襲われると危険なんだ。古泉君はその場で警戒を続けて」
 国木田大将の指示通り、国木田補給部隊に彼の部隊をぐるりと一周します。国木田氏の大将は彼曰く「ランカー並み」のナイトとずっと戦闘を行っているようですね。国木田氏も相当腕スキルが高い事が伺えます。

「ったく……やるねぇこのナイト。無茶苦茶上手いよ」
「国木田っ! 黄色まで回復した。加勢しようか?」
「いや、キョンはそのまま谷口がやられた地点まで進んで投石器を見つけるんだ」
「分かった。そっちがメインだからな」

「古泉君……僕の側面から援護お願いできるかな。強いんだよこのナイト」
「了解です! 援護に向かいます」


40 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 06:50:57.11 ID:oNCnvu4F0


 僕も前線へと進軍を開始します。颯爽と森を抜けやがて乱戦が行われている場所まで到達すると弓を構えます。敵影を発見するとターゲットに対して一斉に矢を放ちます。

「古泉君、その周囲にアーチャーがいるんだ。そっちをお願い」
 国木田氏が言った瞬間僕の方向にも弓矢が飛んできます。すぐさま方向を変え反撃を開始します。僕の軍と比べ相手の数は若干少ないと思った僕は、力任せに相手アーチャーと打ち合います。

「無理しないで、古泉君のローグよりアーチャーの方が遠距離攻撃は得意なんだ」

 しかし……あと少しでそのアーチャーを倒せるんです。数ではこちらが上です。更に打ち合った結果、今までのゲージの減り具合で予想してみても……

 僕が勝つ! 勝てるはず!

 渾身を込めた一撃は相手アーチャー部隊を撃退する事に成功しました。
 勿論僕の部隊もゲージは既に赤色でしたけどね。

 そしてすぐさま国木田氏の加勢に入ります。
 側面に位置した僕の部隊は国木田大将と敵ナイトが離れた一瞬を突き一斉射撃を繰り出しました。
 完全にノーガードだったナイトは一斉射撃を受け体力ゲージが一気に赤色になります。

「ナイスだ古泉君、助かったよ。今の一撃は大きいね」
 べた褒めされてしまい僕もニヤニヤしてしまいますね。きっと今の僕顔は彼にも見せられないほど緩みきっている事でしょう。



41 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 06:53:49.16 ID:oNCnvu4F0


「このナイトは絶対倒さないといけない……でもここで倒してしまえは時間的にもう出て来れないからね。絶対ここで倒さないと」

 ちなみに部隊が全滅しましても、ペナルティで暫く戦場には出れませんが、時間が経てば砦からまた新たにプレイ可能となってます。ですから谷口氏ももうすぐ復活するはずですね。もちろん相手方のウォーリアーも既に復帰している事でしょう。

「古泉君。相手ナイトの後方に部隊を移動してくれないかい? このナイトは逃がしちゃダメだ。さっきみたいに予想できない場所から攻撃するんだ」
「了解です」


「おい国木田! 投石器が見つからん。ったく何処に行きやがった」
「見失っては仕方が無いね。谷口が倒してくれてたらそれで良かったんだけど」

「どうする? 俺もそのナイトをフルボッコに行こうか?」
「キョンはそのまま砦を強襲して欲しい。きっとウォーリアーの部隊も出てくるはずだ。あまりこのナイトに合流されたくないからお願い」
「分かった。行って来るぞ」


「うっしゃぁ〜復活したぞおい! 今度こそ大戦果をあげてやるんだっぜ。で国木田。どうすりゃいい?」
「右端からそのまま進軍して敵の砦を強襲しててよ」
「おいおいまたかよ!」
「だってこのマップでパラディンを有効に使うって相当難しいよ」

 しかしながら、この国木田大将と言う人は凄い人ですよね。インカムにも対応しながら自分自身は今でも凄腕ナイトと戦っているんですからね。この中で大将と呼ぶに相応しい人間だとそう思いましたよ。



42 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 06:56:40.89 ID:oNCnvu4F0


 そして僕も国木田氏とナイトの一騎打ちをじっと見たままスキを伺いますが、赤ゲージだというのに逃げる気配も見せませんね。さっきの強襲を恐れているのか、ピッタリと国木田大将から離れません。
 そしてこのまま僕が弓矢を放つと、国木田氏にも当たってしまう可能性があり、逃げるよりも国木田大将の周りにいるほうが安全だと思っているのでしょうか?

 国木田氏も既に赤ゲージであり相手ナイトもここが勝負所だと、そう思っているようですね。この勝負でゲームの明暗が分かれると言っても過言ではないでしょう。


 マップ画面右端、敵軍の砦付近でも戦闘が開始されます。
 彼率いるナイト部隊が砦を攻撃。相手の戦力ゲージにダメージを与えます。
「まだ足りんか? もう一発入れっ!」
 彼も夢中ですね。何だかコンピ研のゲームを思い出しますね。


「よしキョン! こっちからも行くぜ!」
 谷口氏も敵陣右端に到着。すぐさま攻撃を開始します。相手の戦力ゲージがこちらのゲージを下回りました。


「よっしゃ! 勝っただろ! もう時間もねぇし、この一発は大きいぞ!」
 谷口氏のインカムから伝わる大音量だけは慣れそうにありませんね。


43 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 07:00:34.34 ID:oNCnvu4F0


 さて、谷口氏の言ったとおり僅差ですが戦力ゲージではこちらが勝ってますね。

「来たぞ国木田! ウォーリアー部隊がこちらに接近してくるぞ」
「キョン逃げるんだ。君がやられて逆転されたら僕たちの負けになってしまう」

「おい! 砦からアーチャーが出てきたぞ!」
「谷口も逃げるんだ。あと5カウント。逃げ切って僕たちの勝ちだ」

「って言うわけだ古泉君。このナイトから一斉に逃げるよ。もう戦う必要が無いからね」
「了解ですよ」

 だが僕も最後に……そのナイトに攻撃したい。
 その衝動は抑えられませんでした。自陣へ退却する国木田氏を追撃する凄腕ナイト。僕はその機動力の速さを生かし、側面を辿り先回りをします。

 そして国木田氏が走る後についてくるナイトを確認すると、側面から一斉射撃を開始しました。


 ドサッと倒れる敵ナイト。
 た、倒した。
 それはとてもあっけなかったのです。

 見えない場所、予想だにしない場所からの強襲はいくら熟練された人間でも回避が難しいのでしょう。

 そして「ランカー並」のナイトは初めてプレイする僕の弓矢の前に倒れたのでした。若干鳥肌が立ったのを感じましたよ。


「すごいよ古泉君! もうこれで勝ったも同然だね」
 トドメとばかりに敵軍の戦力ゲージが削れると、明らかにこちらの勝利でした。そして残り時間もあと2カウント。もう勝利は決定的でしょう。



44 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 07:02:44.34 ID:oNCnvu4F0


「もらったな。とりあえず古泉の初陣は勝利で飾れたわけだ」
「谷口様の削りが勝利へと導いたんだぞ」


「でも……おかしいねぇ」
 と、国木田氏。何か気になる事でも?

「どうしました?」
 思わず質問します。僕でさえ、その国木田氏の疑問が分かりませんでした。


「……ったく。そういう事だったんだね。途中でおかしいと思ったんだよ。この勝負……僕達の負けだ」
「えっ?」
「何でだよ国木田!」


「僕の判断ミスさっ。今思えば……さっきキョンを投石器の捜索に回したのが間違っていたね。あの場面では古泉君に捜索してもらうべきだった」


「移動力に長けたローグならこんなラストはありえなかったはずだよ」

 そして残り1カウント……



45 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 07:04:39.20 ID:oNCnvu4F0


 その時自陣の戦力ゲージが大幅に削られました。突然の事に僕も信じられませんでした。マップ画面を見ても誰も倒されていないのに。

「うお! どうした国木田!」
「ったく、そういう事かよっ! クソっ!」
 谷口氏と同じく僕にもその意味が分かりませんでした。

 彼はどうやら理解したみたいですが……




「やられたね。まさか単身で投石器が自陣に接近していたなんて」


 カウントが0になりゲームは終了しました。
 敗北を示す青い文字が大きく表示されます。
 どうやら僕の初陣は敗戦となってしまいました。



46 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 07:06:28.37 ID:oNCnvu4F0


「谷口! お前がワナにハマリまくるのがいけねぇんだろ?」
「アホか。キョンこそ何であんなデカイ投石器を見つけられねぇんだ!」

 ゲームが終わり個体から出てきた四人。
 すぐにケンカ腰な二人でした。彼が谷口氏に接近するとすぐに襟首を掴みます。ちょっと! 周囲の人が見てますよ。


「まぁまぁ僕の判断ミスさ、僕はてっきり投石器は自陣に戻ってもう出てこないと思ってたからね。あの時点ではまだ敵軍がリードしていたしね。必死に守ってくる。そう思ったんだ」

「違うぞ国木田、お前の責任ではない。谷口が全く役に立ってなかったせいだ。ってかお前! 砦殴ってただけだろが」
「なんだと? この鈍足ナイト野郎が! お前遅すぎるんだよ!」
「まぁまぁ落ち着いて。」


 周囲を気にせずこんな激しくぶつかり合う彼も初めて見ますね。
 しかしながらそれだけこのゲームに熱が入ってると、そう結論付けるのは容易であり、もちろんその気持ちも十分理解できます。


47 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 07:07:55.00 ID:oNCnvu4F0



「どうだった古泉君? このゲーム結構面白いと思わない?」
「そうですね。次こそこのメンバーで勝利を勝ち取りたいと言う気持ちは十分にありますよ」

 素直な気持ちでしたね。
 単なるゲームであれ、こんなに夢中になれるとは正直思いませんでした。

「おっ、古泉もやる気だな? よ〜し、これでメンツは揃ったワケだ」
「よっしゃぁ〜! これでお前も正式な国木田軍団の一員だぞ」

 どうやら僕は機関やSOS団のみならず、「国木田軍団」にも所属するようになりまして……

「これからもよろしくおねがいしますよ」
 と、いつもの微笑を見せるのでした。



 でも……その微笑はいつもとちょっと違うんですよ
 作り物の微笑ではなく、自然に出た笑顔なのですから。


――――――――――――――――――


48 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/06(日) 07:09:42.44 ID:oNCnvu4F0



 さて、その次の日の話になりますが、ここからはほぼ簡単なセリフのみでお楽しみいただければと思います。あと少しだけお付き合い下さい。
 ちなみに今は文芸部室でして、既に長門さんや朝比奈さんもいらっしゃいます。と、そこに彼が入ってきたシーンですね。

「おっ? いいモン持ってるじゃねぇか。俺にも見せろ」
「勿論ですよ。実はあなたに見せる為に持ってきた次第でして」


「……色々載ってるな」
「次はアーチャーを操作したいですね。僕と致しましてはまず遠距離を極めてみたいですね」


「…………」
「更に上級のスナイパーも興味をそそられますが、戦力的にオーバーしてしまいますからね。勿論、国木田氏のアコーライトや特殊部隊もとても魅力的に感じます」


「古泉……」
「何でしょうか?」


「完全にハマっちまったな」
「いかにも、その通りですね。認めざるを得ません」


「今度の勝負は一週間後だ」
「了解です。楽しみにしてますよ」


「あの〜。何のお話ですか? 勝負?」
「何でもありませんよ朝比奈さん、男にしか関係ないお話ですよ」


「な、古泉っ」


「そうですね。これは僕達だけの戦いなのですから」


53 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/07(月) 04:20:55.89 ID:q+54xs9A0


 2

 さて世間一般では桜も散り、湿っぽい梅雨が明けるとそろそろ蒸し暑い季節がやってくる。そんな日の出来事でした。
 僕が国木田団に入隊してから1週間の時が流れようとしてます。
 機関の仕事も卒なくこなし、SOS団でも大した事件など起きず、僕が待ちに待ったその日がやってきます。

 そう。国木田団による定例集会の日でした。

 どうやら一週間に一度なのは、国木田氏のスケジュールの為らしく、プライベートでもかなり多忙なスケジュールだと彼から聞きました。
 勿論谷口氏もそれなりに忙しいと本人から聞きましたが……彼曰く「暇人」だそうですね。んふっ。僕にも谷口氏の存在はよく分かりませんね。

 ちなみに学校が終われば、彼らにも若干の時間はあるのですが、その時間は僕や彼が所属しているSOS団の団活がある為、僕達が時間を合わせる事が出来ません。そんな団活の時間に彼ら2人はゲームセンタに赴く事もあるそうで……僕と致しましては非常に羨ましい限りです。


 さてと、着きましたね。僕達の戦場の舞台であるゲームセンターです。
 僕は髪をかき上げると、悠々とその店内に入ります。

 店内に入るとゲームセンターならではのこの大音量はどうも慣れそうにありません。ふふっ谷口氏のインカムにも匹敵しますよ。

 僕は一人で笑顔を絶やさず、その個体があるコーナーへ進みます。


 実は今日の為に色々部隊編成のプランを立ててきたのですよ。勿論戦力は皆で決めないといけませんので何種類ものデッキを組んで来てしまいまして、いやはやお恥ずかしい話ですね。


54 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/07(月) 04:22:43.74 ID:q+54xs9A0


「よぉ古泉! はえぇな。国木田はちょい遅れるってよ」
 谷口氏と合流します。僕達はどうしてもSOS団の団活がありますので、彼や国木田氏が先に待ってるのはこれから集会を重ねたとしても、それは仕方の無い事でしょう。

「今な、このゲーセンで知り合った人がやってるんだ」
「一番左でやってる人なんだが……」
「でもよぉ。羨ましいよなぁ。他のメンバーがさ、全部女っぽいんだよ。一体何処でナンパしやがったんだよぉ。かぁぁ! 俺も一緒にやりたかったぜ」

 ほぉ、このゲームは女性がプレイする事もあるのですね。いやはや、結構驚きですね。あんなハードなプレイスキルを駆使しなければならないのに、果たして女性に勤まるのでしょうか?


「きゃぁ〜〜〜何やってるのよっ! バカっ!」
 個体から断末魔のような激しい声が聞こえますね。しかしながら経験者である僕は、その気持ちもよく分かりますよ。
 ふふっ。僅かに僕の微笑がニヤリと変化してしまいました。


 しかしながら……この声。
 何処かで聞いたことがあるような……気のせいですかね。



「羨ましいなぁ……俺だったら3人共パラディンで守ってやるって言うのによぉ。ゲームを超えて俺の勇ましい姿を見せてやるんだが」

「古泉。俺は出会いと言うものを、いつ何時であれ最優先に物事を考えてるんだ。きっとその努力が実る事を信じて……な」


 いつ何時でも女性の事を考えてらっしゃる。さすがですね。



55 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/07(月) 04:24:56.70 ID:q+54xs9A0


 そういえば、彼曰く【変な事喋りだしたらひたすら無視しろ】と言ってましたね。それが今なのでしょうか?
 僕は何も言わずスマイルフェイスを谷口氏に送ります。


「そうだ古泉。どうせならSOS団の女性陣も連れて来いよ。まぁ、しいていえば俺は朝比奈さん担当でよろしく。俺が優しく教えてやろうではないか」
 勝手に話を膨らます谷口氏はとても楽しそうですね。羨ましい限りですよ。


「キョンはな「絶対ダメだ」って言うんだな。ケチくせぇんだよ! どうだ? お前の権限とかで連れてこれないのかよ」
「んふっ。僕でも彼女達を動かすのは……非常に難しいとしかいい様がありませんね。お力になれず申し訳ございません」



「ったく、お前もかよ。結構いいと思ったんだがな……【ゲームから始まるアバンチュール作戦】は使えんのか……」




【いいか古泉。この集会はな……絶対にバレてはいけない】
【これは俺達だけの戦いなんだ】


 僕が国木田団に所属して、帰り際に彼が言ったセリフですね。
 この考えに僕も万丈一致で同意しました。


 ここは男だけの戦場であり、大変恐縮ではありますが、神である涼宮さんも宇宙人である長門さんも、未来人である朝比奈さんも、僕達が繰り広げる血みどろで過酷なこの戦場を……教えてしまう訳にはいきません。



56 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/07(月) 04:26:37.91 ID:q+54xs9A0


「おっ、終わったか?」
「そのようですね」
 やっと谷口氏の演説も終了の兆しが見えてきましたね。
 と、言うより、どうやら固体の中の女性に意識が持っていかれた。そう断言してもよいでしょう。

「なっ! 何てこった……」
「どうしました?」

「すげぇ。A……+……なななんとっ! その隣もA……A。AAだと! ぬぉお! 更に隣もA……マイナー。もとい! Aランクだとぉ!」


 申し訳ございませんが、彼と友達になって1週間程の僕には、彼の言語は全く理解できないモノでして……


 そして、その個体から出てきたメンバーを何となく見てみると、僕はその微笑をキープできる程、余裕はありませんでした。
 今から戦場に身を投じようとする雰囲気は吹き飛び、いつもの「機関」専用の微笑へと変化しました。


57 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/07(月) 04:28:26.16 ID:q+54xs9A0


「お〜い! 藤原さん」
「あっ谷口君じゃないか。久しぶりだね」
「ちょっとぉ〜どうしたんですか? 美女と3人でゲームなんかして……俺もやりたいですよ」

 谷口氏のその知り合いなる人物。
 彼は確か、朝比奈さん所属の未来組織における敵対勢力……


「ちょっと藤原さんっ! どうしてあたしを放ったらかして逃げたんですか? ヒドイじゃないですか!」
「__敗因は__あなた__」
「くっくっ。カウント70を残してで落城なんて、僕は初めてだよ」
「ちょっと待て! 僕にも弁解させてくれ! あの落とし穴が、落とし穴が」


 なんとまぁ……凄まじい光景ですね。
 まさか、敵対する未来人に続き、僕とも敵対する組織所属の橘京子。そして長門さんと互角の力を持つであろう天蓋領域……周防九曜。
 そして、橘京子が神とあがめる存在の佐々木氏。ですね。


 本来なら、機関の人間である僕は、すぐに上層部に報告しなければいけない立場なのですが、橘京子に思いっきり飛び蹴りを受けた藤原氏。そして倒れた彼に何度も膝蹴りをかます光景は……まさに地獄絵図ですね。


 そして彼女たちは僕の存在に気づいていないようですね。


 僕は考えました。
 もう少し藤原氏の行く末も見てみたい……そんな衝動に駆られまして。


58 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/07(月) 04:30:30.70 ID:q+54xs9A0


「言い訳は無用ですよ藤原さん。罰として、そこのサーティンワンアイスをトリプルで奢りさえしてくれたら。許してあげなくもありません」
「__そうね__バラエティパックがいい__」
「だからちょっと待ってくれよ! さ、佐々木! 助けてくれっ!」
「僕からは特に君にしてあげられる事はなさそうだね。すまないが僕もトリプルをカップでお願いできるかな」


 その光景は、僕の知る敵対勢力のイメージを180度ほど変えてしまうような、そんな光景だったのです。
 情けない藤原氏にアイスの話に夢中になる3人。まるで普通の女子高生となんら変わりありません。

「藤原さ〜ん。大丈夫っすか?」
 と、谷口氏。

「すまないね。情けない所を見られてしまったようだ」
「ちょっとぉ。俺にも紹介してもらえません? 誰でもOKっすよ」
 そしてそんな空気に溶け込んでいく谷口氏はある意味凄いと感じてしまいましたよ。


 と、そこでやっと僕の存在に気がついたようですね。笑顔が無くなる藤原氏に……TEFIと酷似した目で見つめる周防九曜。そして一瞬だけこちらを睨み、すぐに笑顔に戻る橘京子。


「こんばんは古泉君」
「久しぶりですね橘さん」
「なっ! なんだと! お前ら知り合いか?」
「まぁ、知り合いと言うべきか、と問われましても僕にはその関係を明確に表現する言葉は、僕には持ち合わせていませんのでね」


「紹介しろ! 古泉! これは命令だ! 俺に紹介するんだぁ!」
「…………」

 やれやれ。と彼の真似をします。
 一体この場はどうすればよいのでしょうか。



59 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/07(月) 04:32:56.42 ID:q+54xs9A0


 敵対勢力と、その中心にいる一般人の谷口氏。勿論一般人には危害を受けないようにしなければ……といいましても、彼女達も同じ立場なのでしょうし、そのような大それた行動には出ないとは思いますが。

「橘さんの知り合い?」
「うんうん。そうですよぉ。一樹はあたしのお友達なんですぅ」
「一樹だと? お前っ! SOS団以外にこんなツインテールちゃんと付き合っていたのか!」
「まぁ、古い知り合いですからね。橘さん。あまり彼が誤解するような言葉は遠慮していただきたいですね」


「分かった古泉! ツインテールちゃんは諦めよう。じゃああのショートな大和撫子ちゃんを紹介するんだ。これは命令だぞ!」
「って……僕の事なのかい?」
「__そう__みたい__」


 やれやれ。二度目のやれやれですよ。


 縦横無尽に走り回る谷口氏に、相手も翻弄されます。それはまるで草原を掛けるパラディンそのものだと、そう感じずにはいられませんでした。

 まぁ……もっとも、そんな勇士を未だかつて見たことはありませんが。


「よく分からないんだが……ごめんなさいと言えばいいのかな?」
「おっけ〜! 分かりましたよ」
「じゃあその……髪の長い彼女はどう? 綺麗だねその長い髪」


 谷口氏にアドバイスするとすれば……
 いや、愚問でしたね。彼には彼なりの考えがあるのでしょうし……
 僕がとやかく言う場面ではないのでしょう。


「__ごめんなさい__」
「よしっ! これでまた更新だな。俺は一体何処まで行くのだろうか……」


 この時、谷口氏の扱いに慣れていない僕は思いました。

 谷口氏の「取扱説明書」が僕には必要だと。



60 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/07(月) 04:34:46.62 ID:q+54xs9A0


 と、そこで藤原氏が起き上がると、僕に接近してきます。
 やっと、別世界から戻ってきたようで安心しましたよ。
 これが僕の日常「機関」の日常へと、頭を切り替えます。

「おいアンタ。今日の所は見逃してやろう。僕達にとってもプライベートは必要なんでね。気分がいい間にさっさと……「うぃ〜〜っす藤原さん。俺も彼女達とこのゲームやってみたいっす!」


「…………」
 き、機関……の、に、日常が……


「あれ? 一樹もこのゲームやるの?」
 その声に反応した谷口氏は、まるで森を掛けるローグの如く俊敏でしたよ。


「そ〜なんっすよ。まぁまだ古泉はビギナーでしてね。俺がいないとすぐやられちゃうんですけども」
「くっくっ、そうなのかい? まぁ僕もこのゲームは結構面白いと思ってるんだよ」
「そうだろ? じゃあもう……俺と一緒にやるべきだと、そう思わないかい?」
 次々にターゲットを変える谷口氏。
 最早賞賛に値しますよ。言葉を失うほどにね



「アンタもやるのかい? そうか……分かった」
 おっと、忘れていました
 こちらを睨む藤原に対し僕も微笑で対抗します。


 ですが……
 次に放った彼のセリフは僕の予想を遥かに越えるものでした。


61 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/07(月) 04:36:45.01 ID:q+54xs9A0


「このゲームをプレイする人間には……悪い奴はいない!」
「よろしく古泉君。僕はアンタを歓迎するよ」


 そんな、笑顔で握手されても……
 僕はなんと応えるべきなのでしょうか?



「さてと、僕はもう塾の時間だから帰らないと」
「藤原っ! 早く奢りなさいよっ! さ〜て今日は何を食べようかなっ」
「ま、待ってくれ! もう僕にはお金が無いんだが」
「__これ__あなたの__未来からのお給料__」


「なっ! 九曜! 何で君が持ってるんだ……って返してくれぇ!」
「また会おう谷口君! 古泉君! さらばだ!」


 橘に引っ張り回される藤原氏。
 それは僕がイメージしていた敵対未来人と言う概念を軽く吹き飛ばしてくれましたよ。


「くっそ〜、彼女ゲットのチャンスだったのによぉ!」



 さて、と。今度彼に頼んで「谷口説明書」を筆跡してもらわねば。




 やれやれ。国木田氏も彼も……まだでしょうかね。


64 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/11(金) 03:09:31.11 ID:dram2nb00



―――――――――――――――

「やぁごめん。遅くなっちゃったね」
「国木田おせぇよ! さっきな、美女が三人もこのゲームやってたんだぜ」
「そうか。それはよかったね」

 国木田氏が到着します。先ほどの騒動の後5分くらいでしょうか?
 個体は誰もプレイしていないので、後は彼が来ればすぐに戦闘を始められます。


「それがよぉ、全員Aクラス以上という前代未聞のパーティでさ、ついでに藤原さんっているだろ? あの人の友達っていうんだからさ、どうやらこのゲームを通じて俺は……パートナーをゲットできるかもしれんのだ。どうだ? 驚きだろ?」

「そうだね。それは驚きだね」
「だろ? 珍しいよな、このゲームで女が必死になってるとかよ、くぅぅ! 俺ももっと修行しねぇと」
「ねぇ、古泉君。今日はどんな編成で行く?」

 谷口氏の会話内容に対して国木田氏は淡々と受け答える。
 なるほど、彼の相手をしているようで、殆ど聞いていない様子ですね。さすがです。



65 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/11(金) 03:11:07.27 ID:dram2nb00


「そうですね。僕の編成は……」
「しかも古泉の知り合いもいたんだぞ。これはもう……運命だろ!」

「古泉君そうなのかい?」
「まぁ、知ってるのは一人だけですが。知り合いと言うほどでもありませんよ」

「ふ〜ん」
 明らかに興味がないであろう国木田氏。
 顔色も変えず、棒読みの受け答えに谷口氏の扱いが如何に巧みの業であるかなどすぐに理解できましたよ。


「今日の僕の編成は……古泉君が遠距離専門で行ってくれるなら、僕はもう少し特殊工作部隊と補給部隊の割合を増やそうかな」
「アーチャー主体で、ランサーを少々。そんな組み合わせはどうかなと」
「定番だね。大抵の遠距離部隊はその組み合わせでいいと思うよ」
「まずは、初勝利を目標に頑張ってみたいですね」

 国木田大将から許可を貰いましたね。よし、今日の編成はアーチャーにランサーに決定です。



66 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/11(金) 03:13:17.11 ID:dram2nb00



「今思えば……大和撫子ちゃんが一番可愛かったなぁ。ランク的にいえば、もしかして鶴屋さんや涼宮、朝倉クラスと互角かもしれんな。うんうん、世の中広いぜ」
「へぇ〜」

「でも……遠距離専門の人がいてくれて助かるよ。この前の側面からナイトを一斉射撃で削った時はありがたかったなぁ、今まで逆のパターンばっかりだったからね、予測できない場所からの一撃ははっきりいってどうしようもないからね」
「僕もあのステルス奇襲の魅力に目覚めてしまいまして」

「ツインテールちゃんもなぁルックスはAAクラスに間違いはないんだが、ひじょ〜〜に残念ではあるが……胸がねぇんだな……くぅ! 何てこった……あんなに完成された逸材なのに。胸さえあれば朝比奈さんと互角だったって言うのによぉ!」
「そ〜なんだ」

 国木田大将と同じく、適当に相槌を打つことで谷口氏はオートで喋るわけですね。
 さすがです。谷口氏の扱いに年季を感じますよ。


67 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/11(金) 03:15:34.87 ID:dram2nb00



「遠距離専門ならキョンと行動を共にすることが多くなるね。壁はキョンに任せてその援護を古泉君がやってくれると、早々負けはしないだろう。僕もじっくりとワナとか配置できるし、谷口のフォローに回れる機会が増えるだろうしね」
「そうですね。彼と組む事でお互いの弱点を相殺できますからね」

「まぁもう一人の長い髪の女の子はちょっとな……髪が長すぎっていうのもあるけど、人間離れしたルックスを俺は見逃さなかったぜ。素晴らしい逸材だったさ」
「なるほどね」

 んふっ。僕も早く谷口氏とよりよい関係を築けるよう努力しなければ。


「よぉ。すまんな。遅くなっちまった」
 彼が到着ですね。さてと、ようやく国木田軍団の4人が揃ったわけです。



「ダッシュで来いって言っただろ!」
「これでもマッハできたつもりなのだが、すまんな」
「しょうがないよキョン。さて、ゲームも開いてるし……早速始めようか」


 4人が同時にその個体へと向き直ります。まるで映画のワンシーンのように。
 ここから始まる僕達の戦い。今日は一体どんなストーリーが待っているのでしょうか?
 色んな期待に胸を膨らませながら……僕たちは戦場へと向かうのでした。

―――――――――――――――



68 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/11(金) 03:17:44.43 ID:dram2nb00


「よぉ〜し、いっちょやるか」
「今日こそ勝ちたいよね。あの勝った時の感動を是非古泉君にも知ってもらいたいね」
「んふっ、努力しますよ」
「よし、カワイコちゃんの為にも、俺は男を磨くんだっぜ」

 4人の士気はまるで天を突く勢いですね。
 かけがえのない勝利を目指し、みんなの心が今一つになっているのだと、僕は確信しました。


 キャラ選択画面は、国木田氏と協議の末選んだアーチャーに、護衛部隊もアーチャーと少しばかりランサーと言う槍兵を選択しました。

 ランサーというのは、谷口氏のようなパラディンの突撃を防ぐ事ができます。騎兵に対し絶大な攻撃翌力を持ちますが、意外にも接近戦ではやや攻撃翌力に乏しい面もあります。
 それでもアーチャーやローグのような遠距離専門のキャラよりは若干攻撃翌力がありますので、ランサーを盾にしてその後ろからアーチャーの攻撃を繰り出す。基本的にはそう言った攻撃方法になるでしょう。


「やっぱこれだな」
 彼はナイトが好きですねぇ。その姿も役割もリアルな彼と同じように思えてきます。


「へへっ男はパラディンなんだっぜ。俺にはこの一択しかありえない!」
 さて、今日は獅子奮迅の働きは見せてくれるのでしょうか?


「僕もアコマニアだからね。色々出来て楽しいんだよね」
 メンバー全員同じキャラを選択しました。変えたくないのは分かる気がしますね。
 僕だって遠距離の魅力に目覚め、あわよくばそのキャラを極めたい。そう思ってしまうのですから。


 画面が切り替わると、今日はすぐに対戦相手が見つかったようです。
 そして、スクリーン全体に今回のマップの全体地図が表示されます。


69 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/11(金) 03:19:10.18 ID:dram2nb00


「でかい山だな」
「まずは中央に位置したこの山を奪い合う戦いになりそうだね」
「おぉ! 今日は草原率たけぇぞ! 俺の本気を見せる時が来たんだっぜ!」

 マップ中央に森に囲まれた高い山、そしてその周りはぐるりと草原に囲まれていますね。
 高い場所に部隊を配置すると索敵範囲は飛躍的に伸びるので、この山を占拠することにより敵の位置も見えやすくなる、と言う訳ですね。
 しかも特殊部隊がいれば、高い場所から「落石」攻撃も可能となっており、この山は重要な拠点となるでしょう。

 んふっ、ちゃんと僕も本で勉強してきましたのでね。ある程度の知識は入れてきたつもりですよ。

 そして、画面が切り替わり、敵軍のキャラ情報が表示されます。
 さて今日の僕達の対戦相手はどんな編成なのでしょうか。



70 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/11(金) 03:21:17.30 ID:dram2nb00


「プリーストにパラディン。ローグに……ガンナーだと? ガンナーとかまたマイナーなヤツを出してきたな」
「僕ガンナー嫌いなんだよね。あのギャンブルっぽいのがどうしてもヤダなぁ」
「パラディン……ほぅ。俺と渡り合おうってか……やってやるぜぇ!」

 プリーストはアコーライトの上級キャラですね。
 更に支援部隊に特化した部隊になっており、キャラ自身の性能はアコーライトに劣りますが、回復能力が向上しています。
 国木田団と同じくこのプリーストはきっと総大将でしょうね。この部隊が後ろにいるだけで長期戦は極力さけたいものです。

 そしてガンナーと言うのは砲術兵ですね。
 射程や攻撃翌力はアーチャーやスナイパーよりも大きいのですが、その命中精度の低さから、目の前に敵がいたとしても当たらない可能性がある。と雑誌に載っていましたね。
 当たれば大きいダメージが期待できますが外れる事もありますので、国木田氏が言うようにギャンブル性の高いキャラといえます。


71 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/11(金) 03:22:30.96 ID:dram2nb00


「まずはこの山からだね。ここを占拠すれば案外すぐ終わるかもしれないね」
「そうだな。国木田を山に登らせて、そこから岩落としまくり作戦だ」
 彼と国木田氏の提案にうんうん。と頷きます。

「国木田ぁ俺は?」
「谷口は相手パラディンと戦う事になるだろう。騎馬同士だから……突撃のタイミングだね」


「わぁってるよ。俺がそんな単純なミスを侵すと思うか?」

 3秒ほど沈黙するインカム。
 きっと彼も国木田氏も僕と同じ気持ちを抱いてるに違いありませんね。


 さて、画面を見るとゲームスタートと大きく表示され、ファンファーレが鳴り響きます。
 国木田軍団。出陣の時です!




72 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/11(金) 03:25:39.41 ID:dram2nb00

本編はここまでです。

ここから、1レスだけのお話を載せて行きます。
本編には何ら関係ありませんので御了承ください。

73 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)[sage] 投稿日:2012/05/11(金) 03:32:58.24 ID:dram2nb00

 【本編と関係ございません】

 1話目。
 佐々木さんと古泉くん。

佐々木「キョンがこのゲームをやるって本当なのかい?」
古泉「勿論本当ですよ。しかも普段の彼からは想像も付かないほどこのゲームには熱が入ってましてね、普段なら絶対言わないセリフを次々と繰り出す彼はもう……別人かと思うほどですよ」


佐々木「た、例えば……どんな感じなのかな?」
古泉「もしかして興味がおありで?」


佐々木「いや、あの、違うんだ。そ、そう。普段のキョンを知ってるだけにね。どう変貌するか気になっただけだよ。興味があるだなんて……僕はそんな……」
古泉「んふっ、じゃあお答えいたしましょう」


古泉「例えば、僕があのゲームで窮地に陥ったシーンですね。とそこへタイミングバッチリで救出しにきた彼は……「ったく、こんなにボロボロになっちまって……俺がタップリとお返ししてやるぜ」とまぁ、こんな感じですね。普段の彼からはちょっと想像できないですよね」

佐々木「…………」


佐々木(ぽわわ〜ん)

 佐々木さんの頭の中

 戦況は既に危機的状況の中、必死にその包囲網を破るべく僕は剣を振るう。
 僕の部隊は次々に倒れ、気がつけば僕だけが残っていた。
 そしてにじり寄る敵兵に、剣を構えながら僕は後ずさった。
 振り返っても敵兵が僕に接近してくる。万事休す。もはやこれまでなのか……


「キョン……」
 思わず彼の名を口に出していた。僕はもうこれまでかもしれない。
 先日彼のプロポーズを受けたばかりなのに……こんな場面で僕は……


 と、その時だった。

「佐々木ぃ〜!」
 彼の声が聞こえる。ぐるりと囲む敵兵の向こうから。
 確かに聞こえたんだ、彼の声が。


「キョン!」
 思わず叫ぶ。彼の名前を。


 白馬に乗るキョンは包囲する敵兵を飛び越え宙に舞い、そして僕の前に降り立つと、すぐさま僕の腕を持ち、強引に引っ張ると気がつけば僕の身体は彼の背中に……


 そして彼は言った。

【ったく、こんなにボロボロになっちまって……俺がタップリとお返ししてやるぜ】

(ぽわわ〜ん)


佐々木「要するにこういう事だね?」
古泉「…………」

古泉 (そんな親指を立てられて、ニコっとされても困ります)

――――――――――――――――

 次の投下は、書き溜め無しなので一週間ほどを予定しております。



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