佐々木「キョン、久しぶりに麻雀でもやらないかい?」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 18:55:21.81 ID:PXhTFIENP

キョン「また唐突だな。どうしたんだ急に?」

佐々木「僕も毎日毎日勉強漬けの日々に疲れてきていてね。少し昔を懐かしんで楽しみたいと思ったのさ」

キョン「そういうことか。しかし2人じゃ麻雀はできないぞ?」

佐々木「僕の方で1人連れてくる。キョンの方から1人連れてきてくれないか?」

キョン「OK。連れてこられそうなヤツに心当たりがある。といっても場所はどうする?」

佐々木「僕の知っているお店で18歳未満でも入れるお店がある。駅前にあるものだ。そこでどうだい?」

キョン「了解。じゃあ1時間後くらいに駅前で落ち合おう。それでいいか?」

佐々木「構わない。じゃあ楽しみにしているよ、キョン」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 18:55:49.18 ID:PXhTFIENP

――1時間後

佐々木「紹介するよ。橘京子さんだ」

橘「自己紹介の必要はないですよね。キョンさん」

キョン「お前か……そういえば佐々木と行動を共にしていたんだったな」

橘「そう睨まないでくださいよ。今日は事を荒立てるつもりはありません。もうそんな必要もなくなることですしね」

キョン「必要がなくなる? そいつはどういう意味――」

佐々木「あー、会話に割りこむようですまないが、キョン、キミの相方は隣にいるその人なのかな?」

キョン「あ、あぁ。こいつは――」

長門「長門有希」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 18:56:47.25 ID:PXhTFIENP

佐々木「長門さん、だったね。一度会ったことがあるから覚えているよ」

橘「てっきり古泉一樹でも連れてくるかと思いましたが、アテが外れたようです」

キョン「あいつは頭は悪くないはずなんだが何故かゲーム関係になるとからっきし弱いんでな。戦力的に除外した」

橘「そうですか……こっちも九曜さんを連れてくるべきでしたかね」

佐々木「問題ないよ。私たちだけで十分」

橘「佐々木さんがそう言うなら、まぁいいです」

佐々木「じゃあ行こうか。お店はすぐそこだよ」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 18:57:37.56 ID:PXhTFIENP

佐々木「そうだキョン。どうせだから何か賭けないかい?」

キョン「それはレートを乗せるってことか? 言っとくが金なら無いぞ」

佐々木「友人と楽しむ一時にそんな無粋なことはしないよ。そうだね……罰ゲームなんてどうだい?」

キョン「罰ゲーム?」

佐々木「そう。ビリの人はトップを取った人の言う事を一つだけなんでも聞く、なんてどうだい?」

橘「私はそれでいいのです。ううんそれがいいのです」

キョン「まぁそれくらいなら俺も構わんが……長門もそれでいいか?」

長門「……」

キョン「長門?」

長門「……あなたがそれでいいなら」

佐々木「電車の時間もあるし今からだと半荘5回ってところかな。じゃあ早速始めよう」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 18:58:22.38 ID:PXhTFIENP

佐々木「リーチ」

長門「リーチ」

キョン(初っ端から長門と佐々木の正面対決か。ここはヘタに動かず様子を見た方がいいな)

橘「ふふっ」

佐々木「ロン。8000」

橘「はーい」

キョン(なんだ? 今の打牌は……?)

キョン(確かに長門の現物ではあるが佐々木には危険な牌だ。橘にも勝負手が入っていたのか?)

橘「ふんふーん♪」

長門「……」

キョン(なんだ……? 何か違和感を感じる……)

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 18:59:05.42 ID:PXhTFIENP

佐々木「ツモ。1300・2600」

佐々木「ツモ。2000オール」

佐々木「ツモ。4000は4100オール」

キョン「おいおい、お前の独壇場だな」

佐々木「最初の長門さんとのリーチ勝負に勝てたからね。どうやら流れに乗れたみたいだ」

キョン「流れ?」

佐々木「キミにとっては意外かも知れないが僕は流れ論者でね」

キョン「流れ、か? 佐々木はもっと確率とかを重視して打つタイプだと思っていたが」

佐々木「くつくつ、意外だろう? でも、流れは確かにあるんだ。それは何も麻雀に限ったことじゃない」

佐々木「この世のあらゆるものには流れがあるんだよ。そしてそれに乗ることができれば、敵はいない」

佐々木「例え相手が超能力者や未来人、宇宙人でも、ね」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 18:59:54.71 ID:PXhTFIENP

長門「ツモ。2000・4000 は 2200・4200」

佐々木「おや、長話に夢中でちょっと気が緩んだかな」

佐々木「でも、一筋縄ではまくられないよ」

橘「佐々木さんに敵はいないのですよ。この勝負は最初から決着がついているも同然なのです」

キョン「佐々木は確かに中学時代も敵なしだった。強いのは知っている。だが――」

キョン「最初から勝ち負けが決まっている勝負なんてない! リーチ!」

橘「キョンさんのリーチですか……」

キョン(なんだ? 佐々木のリーチには平然と向かっていったのに俺のリーチに対してはやけに固いな)

佐々木「ロン。2000点」

キョン「くそ、ダメだったか」

橘(ふふふ……)

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:01:02.69 ID:PXhTFIENP

橘「リーチなのです」

キョン(オーラスにラス目の橘のリーチか。ダントツの佐々木はもちろん、2着目の長門も振らないだ――)

佐々木「これかな?」

橘「ロン! 12000なのです」

佐々木「はい」

キョン(何故だ? 何故危険牌を勝負する必要がある? 確かにハネ満を振ってもトップはトップだが……)

佐々木「これで一半荘目終了だね。トップは僕、2着が長門さんで3着が橘さん。キョン、キミはラスだよ」

キョン「そうか。橘がハネ満をアガったことで俺と橘の順位が入れ替わっちまったのか」

橘(まずは第一段階終了、といったところでしょうかね)

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:02:02.33 ID:PXhTFIENP

佐々木「ツモ。3000・6000」

長門「ロン。6400」

橘「ロン! 5200!」

キョン「ツモ。500・1000」

キョン(全員アガってはいるが俺のアガリのこの値段の安さが態勢の悪さを物語っているな……)

佐々木「ロン。2600。これでラストだね」

キョン(これで佐々木は2連勝。長門もなんとか二着をキープしているが点差はさっきより開いている)

キョン「また俺がラス、か。罰ゲームが見えてきたなぁおい」

橘「言っておきますが罰ゲームは絶対ですよー? 無かった事になんてできませんからね」

キョン「そんなことはわかっとる。俺も男だ。約束は守るさ」

キョン(なんだか橘はやたらと罰ゲームにこだわっているようだな。実はゲーム好きだったりするのか?)

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:03:04.79 ID:PXhTFIENP

バンッ!

古泉「何をやっているんですか!」

キョン「古泉? なんでこんなとこに?」

古泉「あなた達こそなんでこんなところにいるんですか!」

キョン「な、何をそんなに怒っているんだ古泉。俺はただ友人と麻雀をしているだけだが……」

古泉「それには何かが賭けられているはずです。違いますか?」

キョン「まぁ賭けてるっちゃ賭けてるが、単なる罰ゲームだ」

古泉「それはもしや負けた者は勝った者の言う事をなんでも聞く、という内容のものですか?」

キョン「あ、あぁ。そうだが。なんでそれをお前が――」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:03:42.67 ID:PXhTFIENP

古泉「機関から緊急の連絡が来ました。橘京子の組織が『鍵となる少年』を手に入れる手はずを整えた、とね」

キョン「どういう、意味だ?」

古泉「橘京子。あなた達は勝った時、彼にどんな条件を飲ませるつもりですか?」

橘「そんなことをあなたに言う必要はありません」

古泉「あまり調子に乗らないでください。僕がここにいるということがどういうことかあなたにも想像できるでしょう?」

橘「調子に乗っているのはどっちですか。とにかくあなたが首を突っ込むようなことじゃありません」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:04:26.57 ID:PXhTFIENP

佐々木「僕達は勝ったらキョンに『SOS団を抜けてこちらに来て欲しい』と言うつもりだよ」

橘「佐々木さーん。そんな簡単にバラしちゃっていいんですか?」

佐々木「構わないよ。キョンは約束を守ると言ってくれたからね」

キョン「くっ……た、確かに言ったが……」

古泉「どうするおつもりです? 罰ゲームをかけた友人との麻雀と言えば聞こえはいいですが――」

古泉「実質これは一人の人間を賭けたヤクザの鉄火場と変わりません」

キョン(確かに軽率だった……まさかこんなことになるとは……)

長門「問題ない」

キョン「長門?」

古泉「長門さん?」

長門「私がさせない」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:05:10.27 ID:PXhTFIENP

キョン(3回戦目。ここで佐々木の3連勝を許すようなことになれば俺の身が危うい)

キョン(ここまで俺は2ラス。手が入ったら多少危険でも勝負に行くしかない!)

佐々木「リーチ」

キョン(マズイ! このままだとまた橘に差し込まれる!)

長門「ポン」

佐々木「なるほど、ツモずらしかい」

長門「ポン」

佐々木「それとも橘さんにツモらせないための苦肉の策かな?」

長門「ロン。5200」

佐々木「!」

キョン(佐々木のリーチが今日初めて空振りした!)

長門「あなたはとても優秀。でも、ここからはそれを崩しに行く」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:05:52.35 ID:PXhTFIENP

長門「ツモ。2600オール」

長門「ツモ。4000は4100オール」

長門「ツモ。2600は2800オール」

長門「ツモ。8000は8300オール」

キョン(なんつーチート麻雀だ。後ろで見てる古泉も多分俺と同じような顔をしているに違いない)

佐々木「これは……ちょっと厳しいね」

橘「残り1万点切っちゃいました……」

長門「リーチ」

橘「まだ来ますか!」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:06:34.14 ID:PXhTFIENP

キョン(長門の大攻勢は大したもんだ。しかし困った。安牌がない)

キョン「くっ」

長門「……」

佐々木(長門さんは気配を断つのが上手い。危険牌がいつもほど絞りきれない。でも――)

佐々木(ここは親を流すために全力で攻める!)

佐々木「片スジ追いだけど……通れ!」

キョン(佐々木も来てる!)

佐々木(通った! これなら行ける!)

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:07:14.43 ID:PXhTFIENP

佐々木「ロン。2000は3200」

長門「……はい」

古泉(やはりこうなってしまったか……)

古泉(長門さんの今のリーチの待ちは5−8筒)

古泉(その8筒を彼が一発で切ってしまった)

古泉(当然アガることは出来ない。彼がラス目に落ちてしまうから)

佐々木「ツモ! 4000オール!」

古泉(このままだと彼は……)

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:08:09.01 ID:PXhTFIENP

佐々木「リーチ」

キョン(クソっ! 一向聴から一向に進まないまま佐々木にリーチが入ってしまった。)

キョン(安牌はない! この手、どうする? どうするのが正着なんだ?!)

長門「チー」

佐々木「おや、一発は消されてしまったようだね」

長門「……宝の山は上家のツモにある」

キョン「長門?」

長門「信じて」

キョン(これは……テンパった! 頼む! この一枚よ通れ!)

キョン「こんなところで曲げていて戦えるか! リーチだ!」

橘(くっ、佐々木さんに差し込みたいけど当たり牌らしきものが私の手牌にはない!)

佐々木「おや、これは分が悪そうだ」

キョン「ツモ! 3000・6000!」

長門「それでいい」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:09:08.97 ID:PXhTFIENP

キョン(3回戦が終了。残り2半荘で依然総合トップは佐々木のままだ。やはり最初の2連勝が効いている)

橘「ちょっとお手洗いに行ってきます」

佐々木「じゃあ僕も」

古泉「さて、どうするおつもりですか? このまま佐々木さんに逃げ切られてしまっては終わりですよ」

長門「彼女は強い。だがつけいる隙が無いわけではない。勝機は十分にある」

古泉「長門さんを疑うわけではありませんが、彼を失うことは我々にとって一番の脅威と言っても過言ではありません」

古泉「それ故、常に最悪の状態を想定して動かなければなりません」

キョン「聞きたくないが一応聞いておこう。その最悪の状態とやらになった場合お前らはどうするつもりだ?」

古泉「外に機関の人間が待機しています。公衆の面前で抗争が始まるかも知れませんね」

キョン「!」

古泉「我々としてもそれは避けたい状況です。絶対に勝ってください。お願いしますよ、長門さん」

長門「了解した」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:09:38.74 ID:PXhTFIENP

キョン「というか長門。お前はあの情報操作とやらを使えばこの勝負くらいどうにでもできるんじゃないのか?」

長門「できなくはない。ただし推奨はしない」

キョン「そいつはどうしてだ?」

長門「向こうには周防九曜がいる」

古泉「なるほど。こちらが大人しくしている分には問題ないがこちらが情報操作を行えば彼女が動く可能性がある」

長門「そう」

長門「通常空間で異なる情報操作同士が衝突した場合どのような影響が起きるかわからない」

キョン「つまり情報操作を使わずヒラで打って勝つしかないってことか」

長門「そう」

古泉「しかしですね――」

長門「安心して」

キョン「長門?」

長門「あなたは私が守る」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:10:22.44 ID:PXhTFIENP

佐々木「……」

キョン(なんだかトイレから戻ってきてから佐々木の様子が変だな?)

橘「佐々木さん? 大丈夫ですか?」

佐々木「え? う、うん。問題ないよ」

橘「では、4回戦を開始しましょうか」

キョン「……望むところだ」

長門「……」


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:11:07.94 ID:PXhTFIENP

佐々木「ポン」

キョン(橘の第一打をポンか。面前派の佐々木が役牌を一鳴きなんて珍しいな)

橘「ふんふーん♪」

佐々木「……ポン」

古泉「!」

キョン(白と中をポンされた! しかも俺の手牌にはポツリ浮きの發……駄目だ。この局はもう行けない)

古泉「あなた達……まさか!」

橘「部外者は黙っててください」

古泉「くっ……」

橘(作戦通り!)

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:11:47.02 ID:PXhTFIENP

――数順後

佐々木「おや、高目がまだ残っていたようだ」

キョン(最悪だ……)

佐々木「ツモ。16000オール」

古泉「親の大三元……」

佐々木「僕の流れはまだ淀んでいないようだね。長門さんはどう思う?」

長門「何も」

佐々木「何も?」

長門「役満一つアガられたところで何も思うところは無い」

佐々木「なるほど。まだまだ油断できないってことか」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:12:33.27 ID:PXhTFIENP

橘「ロン。2600」

長門「はい」

キョン「ろ、ロン。3900」

長門「はい」

佐々木「ずいぶん点棒をばら撒くね。トビが出ないようにってことかな?」

長門「……」

佐々木「でもそれだと長門さん自身がトビのピンチだよ」

長門「その心配はない。ツモ。8000オール」

佐々木「いきなり来たね……」

長門「トビは出さない。あなたにトップも取らせない」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:13:27.91 ID:PXhTFIENP

長門「ロン。12000は12300」

佐々木(やられた! キョンの切ったアタリ牌を見逃して僕からの直取り!)

佐々木「やれやれ。鮮やか、というしかないね」

橘「佐々木さーん。そんな悠長なこと言ってる場合じゃないですよー」

佐々木「大丈夫。私だってそう簡単に負けたりしないよ」

佐々木(いくら長門さんでも思い通りにできない部分がある。それは……)

佐々木「それだよキョン。ロン。16000」

キョン「中、トイトイ、三暗刻、ドラ3……くそっ。トビだ」

佐々木(いくら長門さんでもキョンの弱さまではカバーできない!)

キョン「長門、すまない。俺が不甲斐ないせいでお前の頑張りを無駄にしちまった」

長門「無駄ではない」

キョン「長門……」

長門「まだ終わってはいない」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:14:12.36 ID:PXhTFIENP

キョン(これが最後の半荘。泣いても笑ってもこれが最後だ)

キョン(総合ラス目の俺は総合3着の橘と40ポイント以上離れている)

キョン(つまり橘と4万点以上離した上位を目指さなければならないワケだ)

キョン(だがこれは現実的には厳しい。というより不可能と言ってもいいくらいの条件だ)

キョン(そして長門。こちらは総合トップの佐々木と18.2ポイント差の2着)

キョン(俺がラスを回避するより長門がトップをまくる方が楽なはずだ。頼むぜ長門大明神)

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:15:12.12 ID:PXhTFIENP

佐々木「ツモ。3000・6000」

キョン「いきなりデカイ手だな」

佐々木「しかも親は長門さん。どうだい? 心の準備の方は」

キョン「俺は長門を信じてる」

佐々木「……そうか」

長門「ツモ。3000・6000」

佐々木「くつくつ、今度は僕が親番の時にハネ満ツモか。確かにまだまだ油断ならないね」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:15:50.24 ID:PXhTFIENP

――少し前、女子トイレにて

橘「佐々木さん、サインを決めておきましょう」

佐々木「サイン?」

橘「はい。いわゆる『通し』というやつです」

佐々木「このままじゃ勝つのは難しいってこと?」

橘「いえ、そういうわけではないのです。でも勝利を確実にするためにやれるだけのことはやっておきたいのですよ」

佐々木「でもキョン達は正々堂々と戦ってる。私たちがそれを裏切るような真似は……」

橘「サインは戦術の一つです。野球でも監督がブロックサインを出したりするでしょう? それと同じなのです」

佐々木「……」

橘「佐々木さんは、キョンさんと一緒にいたくないのですか?」

佐々木「キョンとはもっと一緒にいたいと思ってる。それは間違いないよ」

橘「では勝ちに行きましょう。全力で」

佐々木「……わかった」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:16:33.35 ID:PXhTFIENP

佐々木「リーチ」

佐々木(ごめんよキョン……でも僕はどうしてもキミと……)

橘(佐々木さんが中指で頬を掻いた。ということは)

橘「勝負!」

佐々木「ロン。5200」

キョン(何が勝負だ白々しい……!)

橘「はーい」

キョン(まずい。本格的にまずいぞ。もう南入だ。長門……!)

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:17:02.53 ID:PXhTFIENP

佐々木「リーチ」

橘「えいっ」タンッ

佐々木「ロン。8000」

長門「頭ハネ。ロン。12000」

橘「えっ」

キョン「長門!」

佐々木(長門さんの捨牌! 三面張を拒否して僕と同じ待ちにしている! まさか……)

橘(サインがバレてる? そんな。今回のはたまたまなはず!)

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:18:08.91 ID:PXhTFIENP

佐々木「リーチ」

長門「リーチ」

橘「二軒リーチ?! 今度こそ!」

佐々木「ロ――」

長門「ロン。7700」

佐々木(まただ! 間違いない。長門さんは私たちのサインに気づいている!)

橘(ど、どうしましょう?)

佐々木(もうこのサインは使えない。でも大丈夫、まだリードしているんだから)

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:19:00.03 ID:PXhTFIENP

長門「ツモ。4000は4100オール」

長門「ツモ。2600は2800オール」

長門「ロン。5800は6700」

橘「あぅ」

佐々木(まずい! 長門さんが走りだした!)

長門「リーチ」

佐々木「チー!」

キョン(なんてこった。長門のリーチと佐々木の仕掛けに挟まれちまった)

キョン(ここで親の長門の邪魔をするわけにはいかない。2人の現物は、っと。これか)

橘「ロンです。1300は2500」

キョン「なっ!」

佐々木「くつくつ、キョン。麻雀は4人でやるゲームだよ」

キョン「すまん。長門……」

長門「気にしなくていい」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:19:29.94 ID:PXhTFIENP

佐々木「ロン。6400」

橘「はーい」

長門「ツモ。2000・4000」

佐々木「さて、次がオーラスだね。この一局で全てが決まる」

キョン「……あぁ」

佐々木「キョン、君は本当に約束を守ってくれるかい?」

キョン「負けたらな」

佐々木「涼宮さんがゴネたら?」

キョン「その辺は負けたら考えるさ」

橘「強がりはよした方がいいのですよ」

キョン「男の子には強がらなきゃならない時もあるのさ」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:20:13.75 ID:PXhTFIENP

古泉(総合トップ目の佐々木さんと総合2着目の長門さんのポイント差は10.3。点棒にして10300点差)

古泉(満貫ツモでは足りない。しかしこんな時に……)

キョン(こんな時に限ってもう目がない俺の配牌にドラが暗刻か。なんてこった)

キョン(長門はハネツモの手を作りに行かなきゃならないってのに俺にドラが暗刻じゃ厳しい……)

長門「私はあなたを信じる。だから、あなたも私を信じて」

キョン「長門……?」

キョン(長門の捨牌は染手に行っているようには見えない。そしてさっきの言葉……その真意は?)

キョン(考えろ! 考えろ! この事態を打開する打ち筋を!)

キョン(差し込み? 駄目だ。長門はツモ条件……ん? ツモ条件? なら――)

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:20:51.62 ID:PXhTFIENP

キョン「リーチだ!」

佐々木「リーチ?」

橘「倍満をツモっても私に届かない状況で?」

キョン(後ろで見ている古泉はどんな顔をしてるだろうか。頼むからポーカーフェイスでいてくれよ)

キョン(なんせ俺のこのリーチは――ノーテンリーチなんだからな!)

長門「リーチ」

佐々木「長門さんとの点差は10300だからハネツモ条件……違う! キョンのリー棒が出たから――」

長門「そう。私の満貫ツモで逆転」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:21:41.73 ID:PXhTFIENP

橘「佐々木さん!」

長門「あなた達はサインを使って互いの意思の疎通を図った。でも私たちは違う」

佐々木(やはりサインを見破られていた!)

長門「私は彼を信じた。そして彼もまた私を信じてくれた」

長門「麻雀とは信頼のゲーム。相手の打牌を、思考を、判断を、どれだけ信頼できるかが勝利につながる」

長門「あなた達はサインという安易な手段に逃げた。逃げた者に勝利はやってこない」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:22:20.45 ID:PXhTFIENP

キョン(長門の手が、すっと手元に引き寄せられていくのが見えた)

長門「ツモ。2000・4000」

古泉「やった!」

キョン「佐々木。これで長門がトップだ。俺はラスのままだがチームとしては逆転だな」

佐々木「そうだね。僕達の負けだ」

橘「そんなぁ。上の人になんて報告したらいいか。あぅー」

佐々木「あーあ。負けちゃったか。でもキョン。僕はまだ諦めないよ」

キョン「佐々木?」

佐々木「キョン。僕はもう一度、あの中学の頃のようにキミと過ごしたい。そのためにこれからも全力を尽くすよ」

キョン「佐々木……」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:23:07.41 ID:PXhTFIENP

古泉「ありがとうございます長門さん。おかげで助かりました」

キョン「俺からも。ありがとな長門。本当に助かった」

長門「別にいい」

古泉「しかしこれ以降は軽率な行動は謹んでくださいよ」

キョン「うっ」

古泉「あなたの一挙手一投足に世界がかかっていると言っても過言ではないのですから」

キョン「わかったよ。気をつける」

長門「話は終わった?」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:23:58.32 ID:PXhTFIENP

キョン「あ、あぁ。今日はありがとな長門。もう帰ってもいいぞ」

長門「まだ」

キョン「え?」

長門「罰ゲーム」

キョン「罰ゲームって……」

長門「私が勝者であなたが敗者。私には罰ゲームを行使する権利がある」

キョン「マジかよ……」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:24:55.59 ID:PXhTFIENP

長門「ここからおよそ1.4km先に男女のペアでないと入れないケーキバイキングがある。そこに一緒に行って欲しい」

キョン「ケーキバイキング?」

長門「そう。どういうシステムなのか興味がある」

古泉「おやおや、これからデートですか。では僕はこの辺で退散しましょう。ではまた部室で」

キョン「あっ、おい古泉!」

長門「……ダメ?」

キョン「いーや、そんなことはないさ。長門には散々お世話になったからな。断る理由なんて何一つない」

長門「……そう」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:25:36.94 ID:PXhTFIENP

キョン「じゃあ行こうぜ。店の場所はわかるんだよな?」

長門「把握している。こっち」

キョン(長門はもしかしてこれが目当てで勝ちにいってたんではないだろうか。まさかな、いやしかし)

長門「時間にあまり余裕がない。急いで」

キョン「わかったよ。すぐ行く」

キョン(こいつはたくさんのケーキを見てどんな表情をするのだろう。せっかくの機会だ。よーく見ておこう)



終わり

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:27:25.88 ID:PXhTFIENP

ちょっと玄人向け過ぎたかと反省はしている。
なんとなくこういうのもいっこ書いてみたかったんだ。
次はシリアスじゃないのを投下する予定。
お付き合いありがとうございました。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/14(土) 19:27:23.91 ID:4ibBd0KXO

>>1


麻雀どのくらい知ってる?

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:28:48.49 ID:PXhTFIENP

>>66
どのくらいと聞かれると困るけど、昔プロ連盟に所属してた。
後は麻雀教室の講師をやれるくらい。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:31:30.25 ID:PXhTFIENP

牌姿書いても良かったんだけどそれだけだとほとんど意味ないから。

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/14(土) 19:33:33.85 ID:9rOTjw/2O

>>1
44赤5m 67889p 234s 白白白 ドラ4m
テンパイ取らずならなに切る?

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/05/14(土) 19:37:07.96 ID:PXhTFIENP

>>72
聴牌取らないなら8筒。
筒子の両面変化に期待しつつ萬子の変化も少しだけ期待する。

ベストは以下の形
444赤5m 678p 234s 白白白

次点は以下の形
4赤5m 67899p 234s 白白白
44m 56789p 234s 白白白



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