キョン「この俺が! 化け物だ!」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/07(土) 22:23:03.04 ID:bnzqjToE0

キョン「なあお前……ただの人間には興味ないんだよな?」

ハルヒ「そうよ。なに、あんた宇宙人?」

キョン「さぁて……それは俺にも分からないんだがな。
     しかし一つだけ言える事がある。

     ……俺は化け物だ」

ハルヒ「はぁ……馬鹿に付き合ってられないわ。証拠はどこにあるのよ、証拠は?」

キョン「今は人目が多いからな。放課後、見せてやるよ」

ハルヒ「嘘だったら背骨へし折るからね! 脅しじゃないわよ!」

キョン「クックックッ……怖い怖い……」

 ザクッ!

ハルヒ「うるさい!」

キョン「おまっ、シャーペンを背中に刺すなよ!? いくら化け物相手でも酷くないか?」

ハルヒ「ふん! まだあんたを化け物だなんて認めてないんだから!」カチカチカチカチ

キョン「この状態で芯を出すの!? これ立派な傷害罪だよ? 訴えたら俺、多分勝てるよ?」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/07(土) 22:25:48.34 ID:bnzqjToE0

ハルヒ「化け物と裁判ってのもいいかもね!」カチカチカチカチ

キョン「お前、頭おかしいよ! 化け物の俺も流石に引くよ?」

ハルヒ「はん! なぁにが化け物よ……ってなによこれ!? 傷口から濃緑色のネバネバした液が出てきた!?」

キョン「そりゃあ化け物だからな」

ハルヒ「ふ、ふん! トリックね! あたしは騙されないからね!」カチカチカチカチ

キョン「というかそろそろシャーペン抜いてはくれないか?」

ハルヒ「そんなのあたしの勝手でしょ! ……あれ? シャーペンが背中にどんどん吸い込まれていく!?」

キョン「あーあ、だから抜けって言ったのに。あのシャーペン、俺の身体の一部になっちまったよ」

ハルヒ「そんな! あれ非売品でお気に入りだったのに! 返して!」

キョン「わがままだなぁ。まあ取り込んだ直後だし……」

ハルヒ「あっ、傷口から出てきた……ってなんでボールペンになってんのよ!?」

キョン「薄緑・緑・深緑の三色だからお得だろ?」

ハルヒ「全部緑じゃない! ってか体液なのこれ!?」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/07(土) 22:33:30.59 ID:bnzqjToE0

――――

国木田「あ、あの……涼宮さん」

ハルヒ「誰、あんた?」

谷口「キョンって奴と同じ中学だったそうだ」

ハルヒ「あんたも誰?」

谷口「……中学で同じクラスだったのに」

国木田「涼宮さん……悪い事は言わない。あれに関わるのは止めたほうがいいよ」

ハルヒ「あれ……ってキョンって奴の事?」

国木田「うわあああ! その言葉を口にしないで!」

ハルヒ「どういう事よ?」

国木田「……なぜあれがキ、キョン、って呼ばれてるか……その理由を話すよ」

谷口「おい国木田、すごい汗だぜ。大丈夫か?」

ハルヒ「関係無い他人はどこかに行ってよ」

谷口「……告白までしたのに」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/07(土) 22:52:14.34 ID:bnzqjToE0

国木田「あれは、そう……中学一年の頃だった」

 最初は普通の人間だと思ってた。
 それなりに喋って、遊んで、友達になったと思ってたんだ。
 でも、ある日……

 『俺の秘密、教えてやるよ』

 って、あれがその時の仲の良かったグループを空き教室に呼んだんだ。
 うん。僕も一緒にね。
 そして、あれは本来の姿を見せたんだ。
 僕は直前に、急激に嫌な感じがして窓から飛び降りた。
 三階だったからあちこち骨折もしたし、頭も打って半年ほど入院したよ。
 だけど、僕は運が良かったんだ。
 ほかの皆は、あれの正体をばっちり見てしまったんだろうね……。
 全員、僕以外の全員が、正気を失っていたんだ。

 唯一、口にする言葉は、『キョン……キョン……』とだけ。
 それが、あれのあだ名になった。本名なんて恐ろしくて言えやしない。
 あれ本当の姿が、よっぽど恐ろしかったんだろう。
 今も彼らは、施設であの時の状態のまま……正気に戻れずに暮らしているんだよ。

 僕は唯一、助かった人間だ。だから忠告するよ。
 『キョン』に関わっちゃいけない! 話もしちゃいけない! 何も知らないほうが良いんだ!

 ……窓から飛び降りる瞬間、視界に入ったあれの姿。一瞬だったのに、今でも夢に見てうなされるんだ。
 僕は忠告したからね! ……後は涼宮さんの責任だ。僕は悪くない、悪くないんだ……。

ハルヒ「……ふ、ふん。よくある話じゃないの! かえって興味が湧いてきたわ!」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/07(土) 23:05:31.48 ID:bnzqjToE0

――――

 パーパープー ピーパープー

ハルヒ「……ブラスバンドの音が良く響くわね」

キョン「放課後だからな」

ハルヒ「……ねえ、どこまで行くつもりなのよ?」

キョン「誰もいない、静かな場所を探してるんだ。
    俺が化け物だって証拠を見せるには、そういう環境が必要なんだ」

ハルヒ「……あんた、もしかしてあたしにスケベな事しようと考えてるんじゃないでしょうね?」

キョン「そんなつもりはないさ。
    ただ、不思議なものに興味があるというお前に、本当の不思議を見せてやりたいだけだ」

ハルヒ「……」

キョン「ん。ここなら大丈夫そうだな」

ハルヒ「文芸部……? 確か廃部になったはずよね」

キョン「おあつらえ向きだろ? 隣はコンピ研か……今は誰もいないみたいだし」

ハルヒ「文芸部室の鍵は?」

キョン「……もう借りてある」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/07(土) 23:22:34.75 ID:bnzqjToE0

 ガチャ キィィィーーー

ハルヒ「……埃っぽいわね」

キョン「廃部した部室だからな。掃除もしてないんだろ」

 カチャリ

ハルヒ「何で鍵かけるの!?」

キョン「あんまり他の奴には見られたくないんだ」

ハルヒ「……あんたが化け物だっていう証拠を?」

キョン「ああ」

ハルヒ「じゃあ、さっそく見せてよ。さっきのトリックみたいなのじゃ、あたしは騙されないわよ!」

キョン「ボールペンの事か」

ハルヒ「シャーペンだったんだけどね」

キョン「ま、それはどうでもいい事だ。しかし、どうしたもんかね」

ハルヒ「何が?」

キョン「どこまで見せればいいのか、ってな」

ハルヒ「あたしが正気を失わない程度に……って事ね?」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/07(土) 23:42:49.78 ID:bnzqjToE0

キョン「……国木田からでも聞いたのか」

ハルヒ「名前は覚えてないけど、とても怯えていたわ」

キョン「あの時は……俺も馬鹿な真似をした」

ハルヒ「……本当の事、なの?」

キョン「ああ、いくらなんでもやりすぎた。今回は上手くやるつもりだから安心してくれ」

ハルヒ「ふん……能書きはいいのよ! 早く見せなさいよ、あんたが化け物だって証拠を!」

キョン「分かった、怒鳴るな。……控えめに始めるから、信じたら言えよ? 境目を見誤ると、お前も廃人だ」

ハルヒ「上等よ! さっさとやんなさいよ!」

キョン「じゃ……これくらいからかな」

 ゴトン

ハルヒ「え……? キョンの頭が、床に……?
     えっ……? 首が、床まで伸びて、る……の……?」

 ゴロン ゴロン ゴロン ゴロン

キョン「あはははははははははははははははははははははははははははははは」

ハルヒ「部室の中をキョンの頭が転がって……でも首は切れてなくてどんどん伸びてて……」

キョン「あはははははははははははははははははははははははははははははは」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/07(土) 23:58:58.70 ID:bnzqjToE0

ハルヒ「……ろ、ろくろ首?」

 ゴロン ゴロン ゴロン

キョン「あはははははははははははははははははははははははははははははは」

 ゴロン ゴロン ゴロン

キョン「あはははははははははははははははははははははははははははははは」

ハルヒ「妖怪、なの……?」

キョン「違う違う違ウ違う違う違う違うチガう違うチガウ違う」

 ゴロリ ゴロリ ゴロリ

ハルヒ「ぅわ! こっちに来た……え、頭……大きくなってるの……!?」

キョン「妖怪ジャなくて化け物。俺は化け物ナンだ涼宮ほら見てくれ俺の身体モ」

 グニョン グニョン グニョリ グニョン

ハルヒ「手……と足も伸びて……る……頭……顔……どんどん大きくなって……」

キョン「信じた信じタ信ジたシンじた信じタシンジタ信ジたシンじた?」

 ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ

ハルヒ「きっ、気持ち悪い……! 何で鍵、開かないのよ!」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/08(日) 00:21:40.82 ID:7C9vt0Pe0

キョン「ひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ」

ハルヒ「うわーーーっ! 足元に首がからまってきた! いやーーーっ!」

 ズルリ ズルリ ズルリ

キョン「信ジタ涼宮俺は化ケ物本当の本モノの化け物だカら理解しテクれて嬉シい俺は」

ハルヒ「……わ、分かった! 信じる、信じるから元に戻ってお願いっ!」

キョン「涼ミヤ信じタ良かッた化ケ物がオレだと理カイしてくれた」

ハルヒ「うんっ、うんっ!」

キョン「御礼ニ涼宮ナカ間に仲間ニしてやル俺と同ジ化けモノに」

ハルヒ「えっ……やだ、いやだいやだいやだ! 帰してお願い!」

キョン「遠リョしないデ大ジョウ夫ダから化ケ物ハイイよ怖くナい」

 パタン

長門「静かにしてほしい。読書の邪魔」

ハルヒ「人!? 人がいたの!? ねえ助けて化け物が――」

キョン「かカカ鍵がかかッてタ部室に何ゼ人がいるいたなンで?」

ハルヒ「えっ、あっ……そうよ、あんたいつ入ってきたのよ!?」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/08(日) 00:39:03.73 ID:7C9vt0Pe0

長門「わたしは最初からここにいた」

ハルヒ「嘘よ! あたしたちがここに入った時は鍵がかかっていたんだし、誰もいなかった!」

キョン「そうソウだ誰もいなカった俺と涼宮と山本の切れ端以外ハ」

ハルヒ「山本って誰!? さらっと言われると怖いじゃない!」

長門「山下というのは彼に取り付いている霊の事だと思われる」

ハルヒ「なんでそんなの分かるのよ!」

長門「……わたしも同じだから」

ハルヒ「え……あんたも化け物なの……?」

長門「化け物違う。二十年前、読書のしすぎで死んだ文芸部員の霊。それがわたし」

キョン「幽霊ユウ霊怖い怖イ取り憑カレる祟ラれル涼宮助ケて」

ハルヒ「とりあえずあの子のほうがまだマシだと思うの」

長門「とても良い判断。わたしは取り憑いたりしない。仲間になってほしいだけ」

ハルヒ「良かったわ、ってそれあたし死ぬでしょ! どっちにしても嫌な事には変わりないわ!」

長門「……彼女はわがまま」

キョン「本当ニそウだ社会ニ出たら周リに迷惑ヲかケるタイぷ」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/08(日) 01:09:30.50 ID:7C9vt0Pe0

ハルヒ「うるさい! あんたたちみたいな化け物や幽霊に負けてたまるもんですか!」

長門「そうは言ってもあなたには抵抗手段は無い」

キョン「不思議ガ好きなんだロ好キな不シ議に飲み込マれるのガ嬉しイんだろ」

ハルヒ「くっ……!」

 ドゥン! キィィ

古泉「そこまでです!」

ハルヒ「誰!?」

古泉「高校生活一日目に転校してくるという離れ業をやってのけた古泉と申します!
    強い瘴気を感じて来てみればとんでもない事が起こっていたようですね!」

ハルヒ「相手は化け物と幽霊よ! 逃げるが勝ちよ!」

古泉「大丈夫! ぼくはこう見えて寺生まれなんですよ……こんな奴ら!
    ……破ぁっ!!」

 ズズンッ!

キョン「グアアッ!」

長門「……!」

古泉「しまった! 一撃で倒せなかった!? まだ父さんには及ばないというのですか……!」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/05/08(日) 01:39:27.73 ID:7C9vt0Pe0

ハルヒ「でも弱ってきてる! もう一度今のをやれば!」

古泉「……すみません。もう生命エネルギーをほとんど使い果たしてしまいました……。
    ここはぼくが死んでも食い止めます。あなただけでも、逃げてください……!」

ハルヒ「なに言ってるの! 見捨てては行けないわ!」

古泉「……ああっ、ぼくの力が足りないせいで!」

みくる「あの〜、なにかあったんですか〜?」

古泉「! あなたの生命エネルギーを全部、ぼくにください!」

 ガシッ!

みくる「あ〜れ〜……力が抜けていきますぅ〜……」

ハルヒ「あっというまにミイラになっちゃった!」

古泉「これで……破ぁっ!!」

 ズズズズズァッ!

 化け物と幽霊はその一撃で消え去った。
 残ったのは真の平和と見知らぬ女生徒のミイラだけだった。

おわり

もう寝る。というか寝てた。化け物シリーズに乗っかろうとしたのが間違いだった。おやすみなさい(おやすみなサイ)ぽぽぽぽ〜ん



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