ドラえもん「話があるんだ」


メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:朝倉涼子「彼の下駄箱に手紙を入れたわ」

ツイート

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 11:31:05.84 ID:4Ze9gQWX0

そう言ってドラえもんは2階に上がっていった。いつものドラえもんだった

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 11:32:04.87 ID:4Ze9gQWX0

どうやら長い話になりそうなので、おやつでも食べながら話そうと思い、ぼくは台所の戸棚を漁ることにした

お説教だった場合の対策としてドラ焼きを持って行こうと思ったが、戸棚を探しても見つからない

今から買いに行くのも面倒くさい。仕方が無いのでチョコレートとアイスで妥協し、ぼくは自分の部屋へ向かった

「ドラえもん?」

部屋にドラえもんは居なかった

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 11:33:20.13 ID:4Ze9gQWX0

「22世紀で待ってる」

机の上に書き置きを発見した

ぼくはすぐにタイムマシンで追いかけようと思ったが、机の引き出しにあるはずのタイムマシンはなかった

ドラえもんが乗って行ったんだ。そりゃ当たり前だ

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 11:35:09.23 ID:4Ze9gQWX0

でも、このままじゃ未来で待ってるドラえもんと話ができない。どうやってドラえもんを追いかけたらいいだろう

もしかすると家族に何か伝言でもしたのかもしれないと思い聞いてみたけど、みんな困ったような顔をするだけだった

考えて見れば、書き置きをしてあったんだから、伝言なんてするはずがない。あの書き置きの内容が全部だろう

ドラえもんがぼく相手にわざわざ周りくどいことするとも考えられないしな

きっとぼくも後からタイムマシンで追いかけてくると思ってるんだ。ドラえもんが乗って行っちゃったらぼくには使えないじゃないか

あれで抜けてるところがあるからな…でもドラえもんは馬鹿じゃない。すぐに気付いて戻ってくるだろう…

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 11:37:29.85 ID:4Ze9gQWX0

それから、しばらく経った。ドラえもんはまだ戻って来ない

ぼくは、外に出ているときはドラえもんの姿を探すようになった。あいつと一緒に遊んだ場所によく行くんだ

そうすると、大体は何も無いまま一日が終わるけど、たまにドラえもんが居るのを見つけることがある

やっぱり戻ってきてくれていたんだ。どうして家に顔を見せないんだ。話があるんじゃなかったのか

そんな事を考えながらぼくは必死にドラえもんのいる場所まで走るんだけど、そこに着く頃には幻みたいにいなくなってしまう

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 11:39:37.16 ID:4Ze9gQWX0

家に居る時だって何もしないわけじゃない。押入れにドラえもんが何か置いて行ってるんじゃないか探しているんだ

でも、あるのは畳んだ布団だけ。スペアポケットは絶対に置いてあると思ったんだけどな

ウソ800もいくら探しても見つかる気配は無いし…今の状況がウソだったらいいのにと何回思ったかわからない

ぼくは一日をこんな風にして過ごしている。昨日も、今日も、明日もきっとこんな一日だろう

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 11:42:10.13 ID:4Ze9gQWX0

ドラえもんが居なくなってから変わったことがいくつかある

家ではドラ焼きを買い置きしておいてもネズミに齧られなくなり、そのうち天井裏からネズミはいなくなった

パパは父さんに、ママは母さんになり、家族もいつの間にか増えていた

学校では仲の良かった友達が何人も転校した。その穴埋めをするように転校生も入ってきたけど…

新しい同級生は前の友達よりも無個性で、つまらない人たちだった

ぼくは毎日遅刻したり居眠りしたりすることはなくなり、成績も以前とは比べものにならないほど上がった

ドラえもんは相変わらず帰ってこない

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 11:44:44.86 ID:4Ze9gQWX0

そしてまた時間が立ち、ぼくは中学生になってしまった

中学生になると、ぼくの成績はだんだんと落ちていった。

問題が小学校の頃とは段違いに難しくなっている。部活も入ったけどキツくてつらい。オマケにやめることもできない

最近は何をするにも面倒くさくて仕方がない

こんな時、ドラえもんが居てくれたらいいのに

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 11:47:52.06 ID:4Ze9gQWX0

ある日の下校途中のことだ

ぼくはついにドラえもんを見つけた。今度は追いかけても消えない。幻じゃないドラえもんだ

知らない子供と遊んでいる。ぼくは走る。一瞬でも早くドラえもんを捕まえたかった

「ドラえもん!」

ぼくは叫んだ。会いたかった。話したかった。ぼくを放っておくなんてひどいじゃないか!



「きみ、誰?」

返ってきたのは、ぼくの知らない言葉だった

ぼくはドラえもんが何を言ったのかが理解出来ない。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 11:50:08.57 ID:4Ze9gQWX0

頭の中で色々な言葉が渦巻く。あれから、ぼくがどれだけドラえもんを心配したか。どれだけ心細かったか。どれだけ寂しかったか…

そんな子どもなんて放っておけばいいんだ。ぼくはドラえもんが居なくなってから頑張ったんだ。

運動も勉強も人並みには出来るようになった。友達は少ないけど、いじめられることだってなくなった。

もうドラえもんを困らせたりだってしない。だから、前みたいにぼくと一緒にくらそうよ。ドラえもん…

「帰ろう。のび太くん」

ドラえもんが言った。今度はぼくの知っている言葉だ。でも、ぼくにじゃない。ぼくの知らない子どもにだ

そして、ぼくは気付いた。さっきのドラえもんの言葉は、ぼくがよく知っている言葉だけどぼくの知らない声だった

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 11:59:54.63 ID:4Ze9gQWX0

のび太と呼ばれた子どもは、小学生の頃のぼくに似ていた。運動も勉強も駄目だけど、ドラえもんが居たあの頃のぼく

ドラえもんとのび太くんは、ぼくの前から去っていった

二人の間に、ぼくは入り込むことができない。ドラえもんとのび太くんは親友だ。二人の間に他人が入り込む余地が無いのは当たり前だった

ぼくはのび太じゃない。だからドラえもんはぼくのところには来ない。当然のことだ

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 12:01:46.79 ID:4Ze9gQWX0

それからまたしばらくの時間が経った

気がつけば俺はもう子供じゃなくなっていた

俺はあの日から、俺は町中で頻繁にドラえもんを見るようになった

ただし、俺がよく知っている笑い方をする、あのドラえもんじゃない。あの日出会った、知らない声のドラえもんだ

俺が知っているドラえもんには、もう幻でさえ出会うことは無い

ジャイアンも、スネ夫も、しずかちゃんにも、誰にも会えない

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 12:03:48.47 ID:4Ze9gQWX0

そして俺は金曜19時にテレ朝にチャンネルをを合わせるのをやめた。今は大山ドラのDVDを見ている



                                            おわり

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/17(金) 12:07:29.88 ID:4Ze9gQWX0

こういう夢を見て涙目になったのでやってやった。反省はしている



ツイート

メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:朝倉「ちょっと長門さん!キョンくんから離れてよ!!」