キョン「今屁をこいたのは誰だ」


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4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 01:55:21.78 ID:qTLCGdcLO


「じゃあ、また来るっさ! みくるをよろしく頼むよ!」

「はい、いつでも待ってますよ鶴屋さん」

そう言って扉の方に手を振る。その瞬間……

「ぷすーう」

誰かが屁をこいた。間違いない。今、誰かが屁をこいたのだ。


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 01:58:41.38 ID:qTLCGdcLO


俺は瞬時に全員の顔を見回す。
長門はいつものように本を読み、朝比奈さんは眠そうにうとうとしている。
ハルヒはパソコンの画面とにらめっこしていて、古泉は俺とオセロの最中だ。
おかしい。絶対におかしい。
屁をこいたというのに、一体なんだこの落ち着きようは。

「わーお! めんごめんごー!」

くらい明るく言ってもいいんじゃないか? 何を隠そうとしている。
何故現実から逃避するんだ。
さあ、名乗り出ろ。屁をこいたやつは誰だ? 誰なんだ! おい!


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:01:03.55 ID:qTLCGdcLO


「古泉!」

俺は念のため小声で古泉に話しかけた。

「はい、なんでしょう?」

「お前にも聞こえたか?」

まるで俺が何を言っているのか分からないというような顔をしている。

「屁だよ! 屁!」

「……さ、さあ、僕は何も」


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:04:41.51 ID:qTLCGdcLO


うっすらと顔面に汗をかきながら否定する。
お前ではない。俺は古泉を一番信じていた。こいつは屁をこいていない。

根拠は、音がした方向だ。あの音はどうがんばっても俺の目の前から聞こえてきたものじゃない。
俺の右側から聞こえてきた……つまりハルヒ、長門、朝比奈さんの中の誰かの可能性が高いのだ。

じゃあ一体3人の中の誰なんだ?
長門か? いや、ハルヒか!? ……それとも朝比奈さんか?

「長門、お前芋食っただろ」

ものすごくデリカシーのない質問をしてみた。
ここで食ったと言えばまず間違いなく犯人は長門だ。放屁ウーマンだ。


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:08:46.34 ID:qTLCGdcLO


「質問の意図が分からない。わたしにそのような事実はない」

あっさりと否定された。長門は芋を食っていない。つまり、白……?
いや待て。その考えはあまりにも安易すぎる。
芋を食っていないから屁をこいていない? 俺はアホか。

「ハルヒ! ガスって……恐ろしいよな」

プルプルと震えながら言ってみた。
ここでいう「ガス」とはつまり毒ガスとかそういう類のガスだ。決しておならのことではない。
だがどうだ? 先程屁をこいて、厚かましくもそれを隠蔽しようとしている人物にとっては恐怖の言葉だ。
つまりここでどこか挙動不審な行動をとればそいつが犯人。つまり放屁ウーマンだ。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:11:49.76 ID:qTLCGdcLO


「はあ? 何よ急に。なんか近所でそんな事件とかあったっけ?」

いつものハルヒ。そうだ。全く同じ。いつものハルヒだった。
しかも、「調べる必要があるわね」などと言いながら目の前のパソコンをいじりだした。
検索か!? 検索なのか!?

「何よ……そんな事件ないじゃない。アホキョン」

ジトッとした目で見られた。だが俺が言いたかったのはそんな事件じゃない。
今ここで発生した放屁事件だ。別のガス事件なんだよハルヒ。


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:16:10.87 ID:qTLCGdcLO


「朝比奈さん! ブザーです! ブザーが鳴りました!!」

そう叫びながらうとうとしていた朝比奈さんの肩を揺らす。

「え!? ふえぇ!? な、なんですか!?」

驚きふためく朝比奈さん。
もちろんブザーなど鳴っていない。しかしどうだ?
つい、つい先程だ。ここで放屁し、羞恥心からかそれを隠蔽している卑怯な人間は、
現在その事実が公になる恐怖の中に身を置いているはずだ。つまり頭の中はおならのことで一杯だ。
自然とブザー=放屁音という思考に繋がるはずなのである。
つまりここで、朝比奈さんが「おならのことですかぁ?」などと発言すれば、犯人は朝比奈さんである。
したがって朝比奈さん=放屁ウーマンだ。


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:20:43.09 ID:qTLCGdcLO


「ブザーが鳴ったんですよ! ブザーが!」

「な、何のことですか? え? 何でですか?」

「放屁音が聞こえてきたんですよ!」

うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
しまったあああああ!!!!!!!!

「ちょ、ちょっとキョンくん!? どうしたんですか!?」

ガンガンと拳を地面に打ち付ける俺の姿を見て、朝比奈さんは困惑している。
あろうことか、俺が「おならのことですよ」という発言をしてしまったのだ。
……待てよ? となると俺が放屁ウーマンなのか!?
いや違う。俺はManだ!


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:23:58.37 ID:qTLCGdcLO


「キョンくん、おならしちゃったんですか?」

控えめな表情でそう聞いてくる。

「そんな訳ないじゃないですか!」

必死に否定する。もちろんだ、俺は屁なんかこいていない。

「随分必死ね。屁をこいたやつほど必死に否定するのよ」

ニヤニヤと俺を見下すハルヒ。
待て待て。ははっ! 中々面白いことを言う。
俺が放屁? ノー、ありえない。
むしろ俺は放屁をした犯人を探していた刑事の立場なんだよ。


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:28:44.84 ID:qTLCGdcLO


「放屁をした本人ほど人に罪をなすりつけたがるとも言うがな、ハルヒ」

「な、なんですってぇ!?」

「ははっ! ついに化けの皮がはがれたな! お前だ! 放屁ウーマンはお前だなハルヒ!」

「なっ、放屁ウーマンって何よ!!」

そうだ。決まりだ。

「放屁音は俺の右側から聞こえてきた。つまり長門かハルヒか朝比奈さんの中の誰かということになる。
 そしてその中でも俺に罪をなすりつけようとするその態度……言い逃れはできんぞ」

「勝手に決め付けないでほしいわ! それならあたしも言わせてもらうけど
 あたしの耳にはあんたの方からおならの俺が聞こえてきましたけど?」

「そういう怒り口調のときだけ敬語になるやつは何か怪しいんだよ」

「はあ? 根拠もないこと言い出さないでよ」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:29:45.29 ID:qTLCGdcLO


訂正

「放屁をした本人ほど人に罪をなすりつけたがるとも言うがな、ハルヒ」

「な、なんですってぇ!?」

「ははっ! ついに化けの皮がはがれたな! お前だ! 放屁ウーマンはお前だなハルヒ!」

「なっ、放屁ウーマンって何よ!!」

そうだ。決まりだ。

「放屁音は俺の右側から聞こえてきた。つまり長門かハルヒか朝比奈さんの中の誰かということになる。
 そしてその中でも俺に罪をなすりつけようとするその態度……言い逃れはできんぞ」

「勝手に決め付けないでほしいわ! それならあたしも言わせてもらうけど
 あたしの耳にはあんたの方からおならの音が聞こえてきましたけど?」

「そういう怒り口調のときだけ敬語になるやつは何か怪しいんだよ」

「はあ? 根拠もないこと言い出さないでよ」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:34:06.79 ID:qTLCGdcLO


「じゃあ問うが、お前昨日の夜は何を食った!?」

「おでんよ! 悪い!?」

「ふふふ……はははっ! 馬鹿だなお前は! あの屁は物凄く臭かった! まるで硫化水素のような臭いだった!」

「だ、だからなんだっていうのよ!」

「硫化水素の臭いをどのように表現するか知っているか?」

「どのようにって……腐った卵のような……っは!!」

「そうだ。お前が昨夜食べた料理はおでん。その代表的な具は卵だ。つまりお前は自白したも当然。
 放屁ウーマンはお前で決まりだよ。涼宮ヘルヒ! 涼宮ヘルヒ! あそっれ涼宮ヘルヒ!」

「う、うっさい!!!!!」


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:37:52.82 ID:qTLCGdcLO


その時、パイプ椅子の上に立ち両手を叩き鳴らす俺の横で、ガタンッ! という大きな衝撃音が鳴り響いた。
それと同時に、俺の視界の隅をとてつもないスピードの「何か」が横切る。
あまりの速さに影としてしか認識できなかった「それ」は、バタン! という音を残し、
文芸部室から飛び出していった。

「こ、古泉くん……?」

ハルヒがきょとんとした顔でそう呟く。
古泉……?

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:40:46.96 ID:qTLCGdcLO


ということはあの影の正体は古泉なのだろうか。
しかし、一体何故……?

そこで俺はハッとした。ハッとしたくなかったのだが、ハッとしてしまった。
「ぷすーう」という放屁音が聞こえたとき、俺はどこを向いていた?

「じゃあ、また来るっさ! みくるをよろしく頼むよ!」

「はい、いつでも待ってますよ鶴屋さん」

そう言いながら俺は扉に向かって手を振った……扉に……。


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:45:07.38 ID:qTLCGdcLO

俺は扉の方向を向いていた。そして放屁音は俺の右側から聞こえてきた。
では俺の右側にいるのは一体誰だ?

――扉――
  鶴

 ↑
 俺□古

朝 涼 長

衝 撃 の 事 実 ! ! !
古 泉 あ の 野 郎 ! ! !

そうだ。今考えるとおかしい。俺が最初に古泉に小声で話しかけたとき、何故古泉はうっすら汗をかいていたんだ?
間違いない。うんこを我慢していたからだ。ちくしょう、ちくしょう……!!


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:47:08.09 ID:qTLCGdcLO










「ちょっとキョン! どこ行くのよ!」

「決まってるだろうが! トイレだ!!!」















32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:51:40.42 ID:qTLCGdcLO


この時の俺は怒りにうち震えていた。
放屁をしたことに対して怒っているのではない。
現実と向き合わずに逃げたことから俺は怒っているのだ。

お前は屁をこいた。それでいいじゃないか。 何故逃げる必要がある?
逃げずに正直に打ち明けていたら、ただの笑い話ですんでいたはずだ。

それとも何だ? 俺達がそんなことくらいでお前を見捨てるような人間に見えるのか?
SOS団の絆はお前のお腹ほど緩くない。強固なものなんだよ古泉。

それを信じられず、「隠す」という道を走ったんだお前は。
しかも隠蔽するだけではなく、あいつはこの部屋からも逃げ出しやがった。
俺は絶対に許さない。待ってろ、今すぐにでも追いついてやる!



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 02:57:07.13 ID:qTLCGdcLO

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廊下に規則正しく並ぶ窓からは、それはそれは綺麗な夕陽が差し込んでいた。
その一つ一つの正確なシルエットは、床の木材を黄金に照らし、喜ぶように輝いていた。
……反射する光が眩しい。

俺の横には、うっすらと泣き笑いを浮かべている古泉がいた。
右肩に古泉の腕をまわし、支えるように歩きはじめる。

「古泉……今日という日を、忘れるんじゃないぞ」

「……はい」

「失敗は、いつかの成功に繋がるんだ。必ずな」

「……はい」

「漏らしたからなんだっていうんだ。俺はお前を笑ってやるよ」

「……ありがとう、ございます」

並んで歩く二つの背中。
外の景色からは、ソフトボール部の小さな掛け声が響いていた。


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:02:46.56 ID:qTLCGdcLO


「そろそろ戻らないとな。洗った下着とかは、その……バレないように捨てておいたがよかったか?」

「はい……すいません」

「いいんだ。気にするな。……古泉、俺はお前と、いつまでも友達をやめるつもりはない」

「……うぐっ……」

「しばらくはうん古泉と呼ぶだろうが、それは俺なりのユーモアだ。許せ」

「ぐすっ……ひっけ……はい゙……ありがとうございます」

「閉鎖空間の処理も、いつもすまんな」

「いえ……。今も、発生しているみたいです……」

「なんだって? 行かなくても大丈夫なのか?」

「行きたいのは山々なのですが……生憎、また出ちゃいまして……」

そう言う古泉の顔は、涙の跡を残しながらも、すっきりとした笑顔だった。
ビチビチと折り重なるそれは、まるで「ありがとう」と、そう伝えているようだった。

古泉、お前は今、最高にかっこいいんだぜ?

終わり


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:04:27.81 ID:qTLCGdcLO

訂正

「そろそろ戻らないとな。洗った下着とかは、その……バレないように捨てておいたがよかったか?」

「はい……すいません」

「いいんだ。気にするな。……古泉、俺はお前と、いつまでも友達をやめるつもりはない」

「……うぐっ……」

「しばらくはうん古泉と呼ぶだろうが、それは俺なりのユーモアだ。許せ」

「ぐすっ……ひっく……はい゙……ありがとうございます」

「閉鎖空間の処理も、いつもすまんな」

「いえ……。今も、発生しているみたいです……」

「なんだって? 行かなくても大丈夫なのか?」

「行きたいのは山々なのですが……生憎、また出ちゃいまして……」

そう言う古泉の顔は、涙の跡を残しながらも、すっきりとした笑顔だった。
ビチビチと折り重なるそれは、まるで「ありがとう」と、そう伝えているようだった。

古泉、お前は今、最高にかっこいいんだぜ?

終わり


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:06:25.26 ID:qTLCGdcLO


うんこを通して団員に「隠すこと」をやめた古泉の成長を書いてみました
一人で楽しかったです
ありがとうございました


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/28(日) 03:08:31.67 ID:qTLCGdcLO


南部じゃないです
これと似ている

キョン「事件は完全に……迷宮入りだな」

ってのを書いた者です
その時も南部?って聞かれましたが南部じゃないです



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