古畑「……え〜〜っと?」古泉「古泉です。紛らわしくてすいません」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/13(日) 22:50:51.67 ID:bp4ZQXTbO

スレタイそのまま
とりあえず今朝の所まで


古畑「い〜んですよ。似た名前、あなたには共感が持てますね」

古泉「?」

古畑「ところで、事件のお話というのは……」

鶴屋「わ、私です。みくる……友達がいなくなっちゃったのさ」

古畑「んん〜〜、詳しくお話願えますか」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/13(日) 22:54:36.47 ID:bp4ZQXTbO

古畑「なるほど。放課後彼女と一緒に帰っていたら、いきなり消えてしまった……と」

鶴屋「ほんの5〜6分の間に、彼女が消えてしまったっさ……」

古泉「拐かしでしょうか?」

古畑「んん〜、現場を見なければ何とも」

鶴屋「あ、案内するっさ」

古畑「では、貴女方が放課後歩いた道のりを教えて下さい。正確な足取りで……細かい事まで再現しながら〜〜」

鶴屋「わかったにょろ」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/13(日) 22:57:13.01 ID:bp4ZQXTbO

古泉「すいませんね。僕も彼女に声をかけられ、途方にくれていたんですが……声をかけたあなたが、まさか警察関係の方だったとは」

古畑「いいんですよ、困ったときはお互い様です。私もそう……なんだか今日は導かれるように、あの場所を歩いていましたよ」

古泉「……不思議な事もあるんですね」

古畑「んっふっふ……」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/13(日) 23:00:24.33 ID:bp4ZQXTbO

古畑「放課後、学校から解放された至福の一時」

古畑「私も、学生時代の夕暮れ時はワクワクした記憶ばかりがよみがえります」

古畑「さて〜! そんな天国とも言える時間に起きた、ある彼女の失踪……」

古畑「一緒にいた……『今』よりも『古』の彼の方が助手として頭はきれそうですが……」

古畑「頭がきれそうな分、敵にまわすと恐ろしいんですよねえ……んっふ」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/13(日) 23:05:47.28 ID:bp4ZQXTbO

……

古泉「とりあえず、学校までは戻ってきましたが……」

古畑「いやあ、立派な校舎ですね。素敵な学校生活を送って……」

鶴屋「みくるぅ……」

古畑「いえ、失礼しました。一刻も早くお友達を探しましょう」

古泉「そうですね。日が延びたとはいえ、もう6時過ぎです。急ぎましょう」

古畑「では〜、お話しながら歩きましょう。できるだけ、その時の様子を説明しながら……お願いします」

鶴屋「はい。みくるとは下駄箱の所で会って……そのまま雑談しながら歩いていったさ」

古泉「よくある光景ですね」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/13(日) 23:09:49.45 ID:bp4ZQXTbO

古畑「よくある? 彼女たちが一緒に帰る所をよくご覧になるのですか?」

古泉「直接見たことはあまりないですけどね。朝比奈さんと鶴屋さんの仲の良さは知っています。よって、想像は容易です」

古畑「ん〜、なるほど。その時彼女に変わった様子は?」

鶴屋「特に……何もなかったと思うさ」

古畑「わかりました。では次の場所へ向かいましょう」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/13(日) 23:15:41.83 ID:bp4ZQXTbO

古畑「おや〜、歩いて早々に繁華街の辺りまで着いてしまいましたね」

古泉「学校からこの辺りまではすぐですからね。先ほどの道だけでなく、色んな場所からこの繁華街に来る事ができます」

鶴屋「帰りはいつもここを通るのさ。今日だってみくるとお茶でも飲もうかと思ったのに……」

古畑「誘う前に彼女が消えてしまった、と」

鶴屋「……賑やかな通りに入ってすぐだったさ。みくるが……」

みくる『あ……ちょっと待ってて下さいね!』

鶴屋「そこの通りを右に曲がって……でも待ってても帰って来なくて……」

古泉「そこに、僕が偶然通りかかったのですよ」

古畑「ほぅ……」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/13(日) 23:21:03.98 ID:bp4ZQXTbO

古畑「他に彼女は何か言ってませんでしたか?」

鶴屋「いえ……本当にその一言だけだったさ」

古畑「そうですか、んん〜〜……」

古畑「ちなみに、ここを右に曲がるとどんな場所に出るんですか?」

古泉「その道の先は、大きな公園に続いているんですよ。少し歩けば視界が開けて、入り口まで着くはずです」

古畑「ん〜、どれどれ……」

古畑「確かに、道は公園に続いてますね。この路地の先を、探したりはしましたか?」

鶴屋「迷ってたら古泉君に会って……成り行きに任せた感じっさ」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/13(日) 23:26:25.08 ID:bp4ZQXTbO

古畑「そこに、成り行きで私が来て、成り行きで声をかけた……こんな所ですか?」

古泉「……いえ、あなたに声をかけたのは成り行きではありませんよ」

古畑「んん〜? その理由をお聞かせ願えますか?」

古泉「あなたは先ほどの『公園に通じている路地から現れた』……それが理由です」

鶴屋「そう言えば、おじさんはそっち方面から歩いて来たにょろ……」

古畑「おや、この道でしたか。如何せん、この辺りは土地勘が無くてですね……」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/13(日) 23:30:42.91 ID:bp4ZQXTbO

古泉「もしかしたら、朝比奈みくるを見たのかもしれない。そう思いあなたに声をかけたのです」

古泉『あの……女の子を見ませんでしたか?』

古畑「貴方はとても簡素に私に訪ねてきましたね。簡素すぎて、最初は全く理解できませんでしたよ」

古泉『あ、すいません。僕は古泉一樹といい……彼女の友達がいなくなってしまったのですよ』

鶴屋『みくるがぁ……』

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/13(日) 23:34:10.52 ID:bp4ZQXTbO

古畑「そして彼女から事情を聞き……学校に向かったのでしたね。その時私は『彼女を探さずにその場を去った』間違いありませんね?」

古泉「彼女が消えてから、すでに15分は経っていました。その間に、周辺はあらかた探した後でしたからね」

古畑「ふ〜む、ここで少し、物事の順序と大まかな時間の流れを整理しておきましょう」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/13(日) 23:39:55.21 ID:bp4ZQXTbO

5時30分頃
朝比奈みくると鶴屋さんが学校で合流

5時40分頃
繁華街に到着
みくるが『ちょっと待っててほしい』と言い残し消える

5時45分頃
路頭に迷っていた鶴屋さんを古泉が見つけて声をかける
ここから15分ほど、周辺を探す(公園に続く路地はあまり探していない様子)

6時頃
その公園に続く路地から、古畑任三郎が現れ、古泉達に合流
捜査開始

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/13(日) 23:54:04.56 ID:bp4ZQXTbO



古畑「今までの話でわかるのは、この辺りまででしょうか〜〜……」

古畑「実は〜、この30分の間の出来事で……どうしても『一ヶ所だけ』解せない点があるんですよ」

古畑「私はその一ヶ所に強〜烈な違和感を覚えました……」

古畑「昨日の夜は、ここまででした……さて! ここからが続きです」

古畑「これからその一ヶ所に着目しながら、話をすすめて行きたいと思います……」

古畑「もしかしたら『色んなボロがあるかも』しれませんが……んっふ、お話させて頂きます」



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 00:07:59.64 ID:Nu7mmquwO

古畑「……」

古泉「古畑さん?」

古畑「古泉君。私たちがお会いした時……この辺りを探していたと言ってましたね」

古泉「15分ほどですが、探しましたね」

古畑「今まさに私たちが立っているこの辺り……ですね?」

古泉「ええ」

古畑「それはなぜですか?」

古泉「ここに、鶴屋さんが立っていたからですよ」

古畑「鶴屋さん、貴女はなぜここに?」

鶴屋「だって、ここでみくると離れていなくなったから……」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 00:15:14.00 ID:Nu7mmquwO

古畑「そして、私が頼み込むままに学校に向かった……今思えば、これは私のミスでした」

古泉「ミス?」

古畑「彼女の話を聞いて……私は消えた過程を調べる前に、まず消えたこの周辺を探すべきでした」

古泉「それがなぜミスだと?」
古畑「もうしばらくはこの辺り……そう、公園の周辺までは探してみるべきでした」

古泉「公園にいるとは限りませんよね?」

鶴屋「そ、そうにょろ……だからこの辺りを探して……」

古畑「いいですか〜、もう一度聞きます! なぜ……この周辺のみを探していたのですか?」


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 00:22:39.35 ID:Nu7mmquwO

古畑「鶴屋さんの理由は『ここでみくるさんと離れたから』 古泉君は……なぜですか? 同じ理由で?」

古泉「いえ……確か僕は……彼女の言葉を聞いて……」

鶴屋「!」

古畑「ん〜」

古泉「……話を聞いて、僕はみくるさんが戻ってくると思いました『ここから離れない方がいい』 ……そういう判断を下しました」

古畑「そう、貴方は鶴屋さんの言葉で、ここから離れる事ができなくなってしまった……。公園を探す判断まで、頭が回らないのもわかります」

鶴屋「そ、そうにょろ……だから……」

古畑「では、鶴屋さん自身はどうでしょうか?」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 00:28:05.79 ID:Nu7mmquwO

古畑「鶴屋さんは唯一、みくるさんがこの路地を曲がっている所を見ています。帰り道なので、公園がある事も知っているはずです」

鶴屋「にょろ……だってミイラ取りがミイラになったら……すれ違っちゃうかも、にょろ」

古畑「一人ならその心配もあったでしょう……しかし古泉君が合流してから、15分。どちらかが公園に探しに行く事もできたはずです」

古泉「……」

鶴屋「そ、それも考えたさ! でも、そしたら丁度おじさんが来て……古泉君が声をかけたにょろっ」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 00:34:28.36 ID:Nu7mmquwO

古畑「そして……?」

鶴屋「帰り道を調べるからって……学校へ……」

古畑「……そこです。私が後で感じた違和感は」

古泉「何がですか?」

古畑「なぜ、もう一度学校へ戻ったのでしょうか?」

鶴屋「お、おじさんが帰り道を案内してって言ったからさ!」

古泉「そうですよ、どこかで拐われたかもしれない、と僕が話したら……」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 00:42:49.64 ID:Nu7mmquwO

古畑「あの時の私の頭の中は『ここが離れた現場だと知らなかった』 これが前提です」

古畑「てっきり、二人がこの通りを探し探してここで私と会った……そう思いました……が〜?」

古畑「古泉君も鶴屋さんもここが現場である事を話してくれなかった……いいですか?」

古畑「私の言葉を聞いて、まるで『現場から離れるように』……すぐに学校に案内してくれましたね」


古畑「公園を探すという選択肢もあったはずなのに、なぜ貴方たちは学校に逆戻りする事を選んだのでしょうか……」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 00:51:03.64 ID:Nu7mmquwO

鶴屋「だ、だってみくるを探さなきゃって必死になって……! 少しでもヒントがあるなら、って思ったさ……」

古泉「……おや?」

古畑「んっふ……気付きましたか古泉君。やはり君は『今』より頭がいいようですね」

古泉「……その、『今』さんの事は知りませんが、今の鶴屋さんの発言は変です」

鶴屋「えっ……にょろ?」

古泉「鶴屋さんは頻りに『彼女が戻ってくるかもしれないから』 そう言ってました」

古畑「んっふ……」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 00:56:37.69 ID:Nu7mmquwO

古泉「しかし、先ほどの鶴屋さんの発言では『彼女はこの辺りにはもういない』 そのようにも聞こえてしまいますね」

古畑「戻ってくると感じていたのなら、どうして……私と学校に行き、現場を離れたのでしょうか?」

鶴屋「それは……それは……」

古畑「みくるさんの居場所について、心当たりはありませんか?」

鶴屋「みくる……」

古泉「……彼女を、疑っているんですか?」

古畑「いえ、そういうわけではありません。ただちょっと……違和感を無くしたいだけです」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 01:07:55.48 ID:Nu7mmquwO

古泉「あなたの質問の仕方は、まるで……自白を迫る取り調べですね」

古畑「そう聞こえてしまったのなら、大変失礼しました。なにせ職業柄といいますか……どうしても熱が入ると、こうなってしまうんですよね〜〜」

古泉「先ほどから、彼女から何かを聞き出そうとしてるようですが……彼女は自分から現場を離れたわけではないでしょう?」

古畑「と、言いますと〜?」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 01:09:43.87 ID:Nu7mmquwO

古泉「僕たちはあなたの言葉で、学校を案内する事になりました。今は『ここに留まらない理由は考えない事』として下さいね」

古畑「確かに、結果だけを言ってしまえば私のお願いで、学校まで連れていってもらいましたね」

古泉「鶴屋さん。もう一度学校から足取りを見直す考えなど、ありましたか?」

鶴屋「そんなの……無いにょろ」

古泉「もちろん、僕もそんな考えは浮かびません。つまり『あなたと会わなければ、僕たちは学校へ戻らなかった』事になります」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 01:19:36.61 ID:Nu7mmquwO

古畑「んん〜……」

古泉「古畑さんが鶴屋さんに理由を求めるのは、彼女を疑いたいから、なんじゃないですか?」

古畑「少々、粗探しみたいになってしまいましたね。わかりました、ここはシンプルに聞きましょう」

古畑(さて……何を聞きましょうかね〜〜。『本当の事』を答えてくれそうなのは……)

なぜ、現場を離れたのか?

なぜ、公園の周辺を探さなかったか? (現場の場所を話してくれなかった理由も含)

古畑(それとも思いきって……『古』の方に聞いてみますかねえ〜……)

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 01:31:21.68 ID:Nu7mmquwO

古畑「鶴屋さん。今まで不快な思いをしていたのなら、本当に申し訳ありません。ですが彼女を探すため、最後に一つだけ……『正直に』答えて下さい」

鶴屋「なんでも……話すっさ」

古畑「私が聞きたいのは『現場を離れた理由』それだけです」

鶴屋「本当にみくるを探したかったから。嘘じゃないのさ……だって警察さんが探してくれるって言うんだもん。言われるままに、案内しちゃっただけさ……」

古畑「ふむ〜、確かにそこは私のミスでしたね。焦っている貴女の気持ちも、察するべきでした」

古畑(この様子……嘘をついている感じではありませんね〜)

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 01:34:20.12 ID:Nu7mmquwO

鶴屋「あ、あと……」

古畑「あと?」

鶴屋「いえ……これはあまり関係無い事だから、気にしないで大丈夫っさ」

古畑「あまり関係無くても、心の琴線に引っ掛かったのなら、大事な事です。話してくれませんかね〜〜?」

鶴屋「私が不安になって学校からしっかり探そうって考えた理由……きっかけを思い返してみたのさ……」

鶴屋「古泉君の、『拐かし』って言葉が耳に入ったから……」

古泉「!」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 01:39:52.90 ID:Nu7mmquwO

古畑「高校生が耳にする機会はあまり無いでしょうね〜〜」

鶴屋「それで、ちょっと不安になっちゃって……これが、今まで聞かれた事の正直な答え……さ」

古畑「ありがとうございました。では……次に古泉君。お話を聞かせてくれませんか?」

古泉「……僕もですか?」

古畑「ええ、どうしても気になっている点がありまして〜……お願いできますか?」

古泉「いいですよ、答えましょう」

古畑「んふふっ、『正直に』ですからね」

古泉「んふふっ、それはもちろんですよ」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 01:54:25.80 ID:Nu7mmquwO

古畑「ではズバリお聞きします。貴方はなぜ鶴屋さんにお会いしたんですかね〜?」

古泉「可笑しな事をお聞きになる。僕も鶴屋さんも同じ帰り道を通っているんですから、立ち止まっていた彼女に会うのは当然です」

古畑「帰り道……つまり貴方も学校から帰る途中だった、そうですね?」

古泉「ええ、そうですよ。当たり前じゃないですか」

古畑「当たり前……その当たり前が貴方に……いえ、古泉君と鶴屋さんに当てはまるのでしょうか?」

古泉「……説明を求めます」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 02:09:26.10 ID:Nu7mmquwO

古畑「ん〜〜失礼。やはりシンプルに聞きましょう」

古畑「話では……鶴屋さんと朝比奈さんの後ろから、古泉君が追いかける形になった。学校から先に帰ったのは鶴屋さん達となります」

古畑「この繁華街の人混みの中で、よく鶴屋さんを探せましたね?」

古泉「制服も髪型も印象的ですからね、ちょっと注意すればわかります。立ち止まっていれば、なおさら……」

古畑「なるほど。では……貴方が彼女たちの後ろを歩いていたと証明はできますか?」

古泉「証明……ですか?」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 02:18:53.14 ID:Nu7mmquwO

古泉「なぜですか?」

古畑「貴方が学校から現場に来た……その証明をして頂きたいのですよ」

古泉「次は、僕を疑っていると?」

古畑「形式的な事ですよ、気にしないで下さい。何より今回は情報が足りなさすぎるのですよ……」

古畑「こういう時、まず私は『全ての人を疑う』事から入ります。信じるという事は思考する事を止めてしまう可能性もあります……」

古泉「そういう事ならば……まあ」

古畑「お願いできすか?」

古泉「僕は学校を終えて、普通に帰った。それだけですよ? 朝比奈さんも、鶴屋さんもそれは同じでしょう」

古泉「それをわざわざ隠す理由は、ありません」

古畑「ん〜〜、ありがとうございます」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 02:25:54.59 ID:Nu7mmquwO

古泉「……では、僕からも質問をいいですか?」

古畑「おや〜、私にですか?」

古泉「ええ。僕たちには聞く権利もあると思いますが?」

古畑「それは当然です。なんでもお答えしましょう」

古泉「では、『正直に』お願いしますよ。んふっ」

古畑「もちろんですとも、んっふっふ」

古泉「ズバリ、あなたの推理を聞かせて下さい」

古畑「ほう、それはなぜ?」

古泉「僕たちが話せる情報は全て話しました。現場も……この周辺から広がる事はないでしょう」

古泉「この段階で、あなたの考えを聞きたいのです」

古畑「……いいでしょう」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 02:37:09.79 ID:Nu7mmquwO

古畑「まず最初に古泉君の話を聞いて……考えた事は二つ。彼女の身に起こった『事故』と『事件』です」

古畑「事故ならば、私の通ってきた道で何か騒ぎがあったはずです……まず、これはあり得ません」

古泉「では『事件』とは?」

古畑「彼女が本当に拐かし、あるいは何かに巻き込まれた……しかし、これを疑う事は早とちりと言うものでしょう」

鶴屋「なんでっさ?」

古畑「時間が……短かったからですよ」

鶴屋「時間?」

古泉「……彼女がいなくなって、今の時間で一時間程です。古畑さんと会った時では……20分程度でしたからね」

古畑「さっきまではそうでした、しかし時間が経つに連れて……この可能性は大きくなります」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 02:50:47.07 ID:Nu7mmquwO

古畑「次に疑ったのは、友人同士の悪戯……可能性を言ってしまえば、キリがありません」

古泉「……その可能性の中に、僕たちへの疑いもあったのですね」

古畑「ですが、二人は何も知らなかった。これで可能性も却下です」

鶴屋「……結局、みくるはどこに行っちゃったんだい……?」

古畑「そして……みくるさんの言葉です。彼女の言葉は、友人の場所に戻ってくる……それが全てです」

古泉「……戻って来ないと言うことは、やはり事件ですか?」

古畑「それはわかりません……が、この3人だけでこの周辺すべてを探すのは不可能でしょう」

鶴屋「たしかに、空ももう暗いにょろ……」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 02:57:01.25 ID:Nu7mmquwO

古泉「僕たちは……あまり夜まで出歩けませんからね」

古畑「警察も、組織として動く事はできません」

鶴屋「じ、じゃあみくるはどうするのさっ……!」

古畑「帰ったら、彼女の自宅に連絡をしてみてください。それで帰っていればいいですが……」

鶴屋「……」

古畑「何かあったら、ご連絡を。名刺を渡しておきます、古泉君にも」

古泉「はい……」

古畑「私もしばらくこの辺りを探してみます」

鶴屋「よろしくお願いするにょろ」

古泉「では……僕たちは帰りましょうか、鶴屋さん」

鶴屋「わかったさ」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 03:02:06.48 ID:Nu7mmquwO

古畑「……さて」

古畑「公園には、もう人も全くいませんね。一応探してみるものの〜……」

……

古畑「今日はもう、戻りますかね……」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 03:11:25.93 ID:Nu7mmquwO



古畑「慌ただしい一日を終えて、私はすぐ布団に潜りました」

古畑「彼女たちの事は非常に気にかかりますが……何も連絡がないので、私にはどうする事もできませんでした」

古畑「意外と、何も起こらないんじゃないか。また、あまり変わらない明日が来るんじゃないか……」

古畑「しかし……そんな平穏な始まりは待っていませんでした」


古畑「『高校生の死体が見つかった』 ……この一本の電話でから、私の今日は始まりました」



60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 03:49:51.83 ID:Nu7mmquwO

古畑(現場は、昨日話に出ていた公園……嫌なものだ)

今泉「あ……古畑さん、おはようございます」

古畑「……」

今泉「あれっ寝不足ですか? なんか顔色悪いじゃないすか」

古畑「……ガイシャは?」

今泉「は、はいっ。ええっと……名前は『朝比奈みくる』 この公園近くの高校に通う生徒ですね。女子トイレの中で首を絞められて……」

古畑(……やはり、昨日の)

今泉「……凶器は、制服に付いていたリボンです。首に残った跡とも完全に一致。疑う余地はないでしょう」

古畑(……)

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 03:58:39.48 ID:Nu7mmquwO

古畑「第一発見者は?」

今泉「通報も発見者も、公園の清掃係です。毎日、朝6時から公園をしているそうです」

古畑「……他には?」

今泉「詳しくはまだ鑑識が調べていますが……死後『12時間』は経っているようですね」

古畑「12時間……(昨日の夕方6時頃には彼女はもう……?)」

今泉「はい」

古畑「……身内への連絡は?」

今泉「両親とは連絡がとれないので、学校側へだけです……はい」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 04:07:06.42 ID:Nu7mmquwO

古畑「……遺体を調べる」

今泉「どうぞ。証拠品は回収しましたから、後でそちらも……」

古畑「……」

古畑「お綺麗な方だ……」

今泉(僕も、一緒に合掌……)

古畑「ふーむ……衣服が乱れていない……胸元のリボンだけが、外されている」

今泉「トイレには中から鍵がかかっていました。最初は自殺も疑ったのですが……結局は他殺でした」

古畑「少し考えたらわかる事だよそれは」

今泉「えっ、わかってたんですか?」

古畑「……わかってないの?」

今泉「は、はい……鑑識が言ってた事をそのまま……」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 04:11:53.80 ID:Nu7mmquwO

古畑「……このっ」

今泉「ひいっ、ごめ……って、殴らないんですか……」

古畑「今日は……少し」

今泉「なんか変ですよ、今日の古畑さん」

古畑「それより……他殺が自殺かだよ。首の絞め跡と、このトイレの作りを考えれば簡単にわかる」

今泉「跡はわかりますけど……」

古畑「このトイレの鍵はスライド式の簡単な作りだ。彼女を閉じ込めて、上の隙間からモップ等を使えば簡単にロックはできる」

今泉「……あ、鑑識もそう言ってましたよ」

古畑(やれやれ……)

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 04:16:45.24 ID:Nu7mmquwO

今泉「あ、それで犯人の目処なんですけどね……今の所、変質者の可能性が高いかと……」

古畑「しかし、争った様子も無いじゃないか」

今泉「んん〜……でも財布の中身だって手付かずですからね。強盗でも無いし……凶器も計画的な物では無いので、正直何とも……」

古畑「だから変質者? そんな考え方をしてたら、犯人を捕まえるなんて一生できませんよ」

今泉「す、すいません……」

今泉(やっぱ俺……ダメなのかなぁ……ハァ……)

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 04:22:15.61 ID:Nu7mmquwO

古畑「そういえば、目撃者は?」

今泉「……」

古畑「こらっ」

今泉「は、はひっ。目撃者はですね……朝方なんで誰も。夕方や夜もあまり人はいなかったんで……」

今泉「お昼過ぎから、公園を中心に聞き込みを開始する予定ですっ」

古畑「彼女の持ち物は?」

今泉「え、あ、はいっ。学生カバンの中には、教科書にサイフ……手鏡にハンドクリーム、リップ……」

古畑「女の子らしい」

今泉「何か、気になる物がありましたか?」

古畑「やはり……サイフかな?」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 04:29:31.14 ID:Nu7mmquwO

古畑「このサイフに指紋は?」

今泉「彼女の指紋以外は付いていませんでした」

古畑「強盗は、やはり無し……か」

古畑「中身は……6000円と、薬局のポイントカード、近くの繁華街での福引き券に、アイスクリーム店の無料カードが2枚……」

今泉「その福引き、今度チャレンジするつもりですよ。金賞は確かインド旅行なんです」

古畑(……それと、大量のコンビニレシート。これは事件に関係ありそうに無いですね〜……)

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 04:38:04.47 ID:Nu7mmquwO

古畑「そしてこれが……」

今泉「あ、アイス屋さんの引換券ですね。ここの公園の入り口で……ほら、小さな屋台があったでしょう?」

古畑「ああ……」

今泉「結構有名な屋台でしてね。週末には女の子に行列ですよ」

今泉「でも確かその引換券、結構珍しい物ですよ。アイスを買ったらくじ引きができるんですけど……滅多に出ないとか」

古畑「詳しいんだね?」

今泉「地元の情報誌で特集されてましてね。なんとなく、覚えてたんですよ」

古畑「ふ〜む……『珍しい引換券』ね……」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 04:41:34.51 ID:Nu7mmquwO

古畑「……現場は、これくらいで。今何時?」

今泉「もう……9時になりますね。これからどうしますか?」

古畑「彼女の高校に、聞き込みを」

今泉「えっ、聞き込みですか?」

古畑「……」

今泉「わ、わかりましたよ。僕もついていきますから……」

古畑「あ、アイス屋の人が公園に来たら連絡を」

警官「はっ」

今泉「じゃあ……行きましょうか」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 04:46:27.25 ID:Nu7mmquwO

今泉「えっ、昨日彼女が失踪していた?」

古畑「そこの生徒さん達と知り合って……探しましたよ」

今泉「だから……浮かない顔をしてたんですね」

古畑(昨日の出来事は『事件』になってしまった……)

今泉「犯人……絶対に見つけましょうね」

古畑「……」

今泉「あ、もう着きましたね。ここが彼女の通っていた高校で、北……」

古畑「知ってる」

今泉「は、はいぃ……」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 04:51:29.13 ID:Nu7mmquwO

古畑(学校では朝から臨時集会が行われていた……今日は午前中の集会だけで学校が終わると言う)

古畑(集会には参加できなかったが、中の様子は手に取るようにわかる……多分、あの鶴屋という子は……泣き崩れているんだろう)

古畑(しかしもう一度だけ……彼女に話を聞かなければいけない)
古畑(そしてあの、古泉という子にも……)


75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 04:58:06.39 ID:Nu7mmquwO

古畑(集会の合間、教員に話を聞いた。しかし事件に関する事は出てきません)

古畑(許可を貰い、古泉一樹と鶴屋さん両名をお借りする事ができました)

古畑(時間は正午過ぎ……すでに周りの生徒さん達はみな帰った後でした)

古畑(案内された場所は……『SOS団』と記された一室……)

古畑(扉の向こうには……古泉一樹が立っていました)

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 05:05:50.87 ID:Nu7mmquwO

古泉「……」

古畑「心中、お察し致します……」

今泉「……」

古泉「いえ……僕はまだ大丈夫ですが……」

古畑「鶴屋さんは……?」

古泉「一言も喋らず、帰ってしまいましたよ。話せる状態ではないでしょうね。なぜ立ててるかが不思議なくらいです」

古畑「やはり……予想はしてました。古泉君も辛いとは思いますが……もう一度だけ話してくれませんか?」

古泉「はい。そのために、僕はここにいますから」

古畑「ありがとう。では、まず〜……」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 05:12:57.99 ID:Nu7mmquwO

古泉「……朝比奈さんについては、以上ですね」

古畑「話をまとめると……学校でのみくるさんはこの文芸部……通称『SOS団』のメンバーだった」

古泉「はい」

古畑「このSOS団、部員は古泉君とみくるさんだけですか?」

古泉「いえ……あと一人、女の子がいます」

今泉「3人て、団のわりに規模ちっちゃくないですか?」

古畑「今泉くん……」

今泉「あ、ご、ごめんなさいっ……」

古泉「今泉? なんだか、僕と似た名前ですね……ああ、なるほどそれで……」

今泉「え? え?」


78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 05:20:36.25 ID:Nu7mmquwO

古泉「昨日古畑さんと会ったとき言われました。『似た名前』と……」

古泉「最初は、僕と古畑さんに共通した『古』の部分の事かと思ったのですが……なるほど、そういう事でしたか」

今泉「???」

古畑「まあ、ちょっとした挨拶みたいなものでした」

今泉「???」

古畑「見ての通り、決して頭がキレる『今』では無いんですが……たまに私に、重大なヒントをくれる時があります」

古泉「重大なヒント、ですか?」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 05:26:26.03 ID:Nu7mmquwO

古畑「天使の涙、神様の落とし物……『今』君のそんな偶然ともいえるヒントが私を助けてくれた事もありました」

古泉「少し、興味はありますね」

古畑「もちろん、事件の解決だけではありません……彼の一言で私には考え付かなかった、物の見方など……ヒントの形は様々でした」

今泉(ほ、誉められてる……なんだか特した気分だ……)

古畑「今回も一つだけ、ちょっと違った角度の質問をさせていただきます。よろしいですか?」

古泉「……どうぞ」

古畑「それはズバリ〜……『SOS団』の意味を教えていただきたい」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 05:38:03.71 ID:Nu7mmquwO

古泉「それも、疑いからですか?」

古畑「いえいえ、本当に興味本位ですよ。文芸部というからには、ただの救難信号ではなく……何か言葉遊びが隠れているんじゃないかと、思いまして」

古泉「ふむ、なるほど」

古畑「今泉君の、団という呼び方がちょっと気になってですね。本当に、ただそれだけです……」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 05:48:03.94 ID:Nu7mmquwO

古泉「深い意味などありませんよ。3人の部活なので、3文字の言葉をあてた……だけです」

古畑「それなら、例えばABC団とか、XYZ団の可能性もあったりしたんですか?」

古泉「可能性はあったかもしれませんが……実はちょっとだけ意味もあるんですよ。英語のSが女性、Oを男性に置き換えると……今泉さん?」

今泉「え……あ……女の子が2人いる?」

古泉「はい、SOSは今の部員の人数を表しているんですよ」

古畑「ではここから、部員が男女一人づつ増えたら『SOSOS団』になるんですか?」

古泉「ええ、OS……パソコンで言う脳ミソが増えるんです。すると、この文芸部はもっと知的に進化していくわけです」

今泉「はぁ、なるほどお……」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 05:57:37.86 ID:Nu7mmquwO

古泉「ま、本当に色んな意味に派生できるんですよ。SOSの3文字は。それが一番の理由ですかね」

古畑「そうですか。説明ありがとうございました。しかしこの部室を見るとどうも……部員が3人では無い気がするんですよ」

古泉「それは、何を根拠に?」

古畑「この部室に用意されている椅子……今泉君、いくつですか?」

今泉「えっと……奥の高級感溢れるイスもあわせて、全部で5つです」

古泉「ああ、結構人が遊びに来るんですよ。イスの余りなら、ほら……このロッカーにも」

今泉「あ、本当だ。たくさん入ってますよ古畑さん」

古畑「ふ〜む……」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 06:09:34.44 ID:Nu7mmquwO

古畑「いやあ、今日は本当にありがとうございました」

古泉「いえいえ。古畑さんとの会話は刺激になるので、僕も……少しは気分が晴れた気がします」

今泉「朝比奈さんの事は……」

古泉「一刻も早く、犯人逮捕を願ってますよ。では学校から出ましょうか。僕も帰らなくては……」

古畑「ああ、最後に古泉君、もう一つだけ……」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 06:11:26.08 ID:Nu7mmquwO

古泉「なんですか?」

古畑「3人目の部員の名前だけ、教えていただけませんか? どうしてもちょっと……気になる事があるので」

古泉「ええ、彼女の名前は『長門有希』 です。職員室に行けば名簿もあるでしょうから、とりあえず名前だけ」

古畑「ありがとうございます」

古泉「では、失礼します。あ、明日は臨時休校になるので、学校には誰も来ませんよ。では」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 06:18:25.71 ID:Nu7mmquwO

古畑「じゃあ、私たちも外に……」

今泉「ま、待ってください古畑さん!」

古畑「ん〜、何をそんなに興奮して……」

今泉「この部室を今から調べてみませんか? 朝比奈さんの事や、その長門っていう人の事だって何かわかるかもしれませんよ」

古畑「……」

今泉「ほら、パソコンもありますし……」

古畑「行くぞ」

今泉「え、ふ……古畑さん?」

古畑「……」

今泉「お、置いていっちゃいやっすぅぅ〜!」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 06:29:43.66 ID:Nu7mmquwO

今泉「結局、元の公園じゃないですか……」

古畑「いいんだ」

今泉「あ、やっと話してくれた。学校からここまで無視なんてひどいですよ。そんなに僕が嫌いですか? いい考えだったと思いますけど?」

古畑「文芸部の実態を知る事が事件解決になると?」

今泉「う……いやあ、なんかあの古泉君の事が気になっちゃって……へ、変な意味じゃないですよ! あの笑顔がなんだか、そう……」

古畑「違和感……それは私も感じています。彼は全てを話してくれているようで、何かを隠している」

今泉「で、でしょでしょ! だからそれを暴くために部室をちょっと探したって……」

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 06:40:56.21 ID:Nu7mmquwO

古畑「なぜ、部室に私たちは通されたのか?」

今泉「さあ……古泉君のいつもいる場所だからですかね?」

古畑「先ほど私は言いました。全てを話しているようで……何かを隠している、と。部室に入った事で確かに見えたモノはありました、でも〜……!」

古畑「それと同時に、何かを隠されたような気もする……彼が教えてくれる情報に、何か違和感を感じるんです」

今泉「じ、じゃあ僕たちが部室で聞いた話は、嘘ですか?」

古畑「嘘の中に巧みに事実をまぜている、と考えられますね〜……」

今泉「ぼ、僕たちが部屋を調べるかもしれないって事も……?」

古畑「予想の範囲内でしょうね〜……先に部屋を出たのも、おそらく……」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 06:49:30.44 ID:Nu7mmquwO

今泉「……」

古畑「彼は非常に頭が良い……これは厄介ですよ〜〜」

古畑「ニッコリ笑って人を斬れるような、そんな錯覚まで起こります」

今泉「古畑さん、もしかして彼を疑っているんですか?」

古畑「疑う……どうなんでしょう。発言に違和感はありますが……それが犯行に繋がるとは、思わない」

今泉「昨日だって……犯行時間の辺りには古畑さんと一緒に行動していましたもんね」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 06:58:24.27 ID:Nu7mmquwO

古畑「彼が私に声をかけて行動したのも……偶然です」

今泉「本当ですかぁ? 知らないうちにアリバイ作りに付き合わされちゃったとか……」

古畑「……」

今泉「ご、ごめんなさい。グーだけはやめて下さい、グーだけは……」

古畑「その辺も全く考えなかったわけじゃあない。しかし……それでは疑問が出てくる。それも、かなり大量に〜……ね」

今泉「ど、どういう事です?」

古畑「一旦この辺りで、整理しながら話していきましょうか?」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 07:11:59.55 ID:Nu7mmquwO

古畑「朝比奈みくるが死亡した日を『1日目』と表します。基本は>>15の表をベースに……これまでに解った事を書き足します」


1日目 5時30分頃
朝比奈みくると鶴屋さんが学校で合流し下校
古泉も朝比奈みくるたちの後に下校

1日目 5時40分頃
繁華街に到着
みくるが『ちょっと待っててほしい』と言い残し消える

1日目 5時45分頃
路頭に迷っていた鶴屋さんを古泉が見つけて声をかける
ここから15分ほど、周辺を探す(公園に続く路地は探していない)
早くて、この時間に朝比奈みくるが殺害されている可能性


1日目 6時頃
その公園に続く路地から、古畑任三郎が現れ、古泉達に合流
捜査開始

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 07:22:57.74 ID:Nu7mmquwO

古畑「古泉君の行動に着目しながら、考えます」

古畑「死亡推定時刻の発覚と、彼らの証言により、朝比奈みくるは5時45分までは生きていた事になります」

古畑「古泉君が合流したのもこの時間……そこから15分は探索、そして学校へ……」

今泉「あ……古泉君には公園に行く時間が無い!」

古畑「普通に考えればそうですが、あの辺りには路地がたくさんあります。回り道をすれば公園まですぐに着けるかもしれませんね〜……」

今泉「こ、殺す機会もあったって事ですか?」

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 07:34:58.34 ID:Nu7mmquwO

古畑「シンプルに、疑問だけをあげた方が早そうですね」


古泉一樹が犯人だとした場合

・なぜ、犯行場所に人が通るような夕方の公園を選んだか

・なぜ、女子トイレで殺害したのか。男、しかも制服では確実に目立つ

・外から鍵をかけるにしても、この時間帯では不向き

・鶴屋さんとの下校は予想できていたのか?

・帰りの途中、朝比奈みくるが、一人でどこかに向かうを知っていたのか?

・数分で殺害をすませたとして、なぜ鶴屋さんに声をかけに戻ったのか

・凶器はなぜ被害者の制服のリボンなのか?

・そもそも動機は? なぜ同じ部活の人間を殺した?


97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 07:39:19.05 ID:Nu7mmquwO

今泉「な、なんだか話を聞いてると古泉君らしくない犯行方法ですね……」

古畑「すべて仮定ですからね。無理矢理な部分もありますが……しかし、それにしても計画性が無さすぎると思いませんか?」

今泉「……欠片もありませんね」

古畑「不自然すぎて、言葉がありません」

今泉「じゃあ、彼が犯人というのは……」

古畑「今までの話では、何かトリックでも使わない限りは……」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 07:45:04.04 ID:Nu7mmquwO

今泉「トリック? ……そうだ、トリックですよ!」

古畑「ん、何かわかったんですか?」

今泉「いえ、まだ全然……ですが、絶対何かトリックがあるはずです! それを解明してみます!」

古畑「……立派な意気込みだこと」

今泉「やりますよ僕は! ええ『今』の方がデキる男だって証明してやりますよ!」

古畑「じゃあ次に何を調べたらいいか……教えてくれますか?」

今泉「え……う……」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2010/06/14(月) 07:50:35.76 ID:Nu7mmquwO

古畑「ふう……いいですか、まだ情報の空白部分が多すぎます。それを少しでも埋めなければいけません」

今泉「そ、そうですね……」

古畑「今泉君なら、誰の空白を埋めていきますか?」

古泉一樹の行動

朝比奈みくるの行動

鶴屋さんの行動

長門有希の行動

古畑「人で考えると、これだけの人がいますが、さて……んふふふっ〜……」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 08:15:06.81 ID:Nu7mmquwO

寝落ちしそうだからアゲアゲ


今泉「ぼ、僕にだってこれくらいは……わかります」

古畑「ほう?」

今泉「……消去法で考えていいですか?」

古畑「どうぞご自由に」

今泉「まず、一番新しい人物『長門有希』を追う必要はありません……よね?」

古畑「その理由は?」

今泉「は、犯行に全く絡んでないからです。足取りも、行動も不明すぎるので……消去です」

古畑「そうですね、それは私も思いますね〜」

今泉「次は……鶴屋さんを消去です」

古畑「理由を」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 08:25:08.03 ID:Nu7mmquwO

今泉「彼女から聞ける事はもう何も無いと思います……一緒に帰ってすぐに別れたから……犯行だって不可能でしょうし」

古畑「はい残念〜。私の考えとは違いますね」

今泉「ええっ! なんでですかぁぁ……」

古畑「いいですか、鶴屋さんは事件当日、殺害される前の朝比奈みくると一緒にいます。細かい話は、もう一度聞いてみたいのですよ」

今泉「で、でも今日聞いた様子だと……話を聞くのは難しいんじゃないですか?」

古畑「問題はそれです。事件も心配ですが……彼女の心も心配してますから、ね」

今泉「ううむ……」

古畑「優先順位は低いですが、聞きたい事があるのは事実です」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/14(月) 08:32:25.60 ID:Nu7mmquwO

今泉「結局、古畑さんは誰の話を一番聞きたいんですか?」

古畑「他でもない、朝比奈みくるの話ですよ」

今泉「ええっ? 死んだ人と話をするって、イタコさんとか……」

古畑「彼女の行動を追いたい……それだけですよ。鶴屋さんを置いてどこに行っていたのか、何をしに行ったのか」

今泉「公園での聞き込みは、まだ目撃に繋がる情報は無いみたいですね」

古畑「アイス屋の店員は?」

今泉「まだ1時過ぎですからね。あそこは昼の2時からオープンなんですよ」

古畑「……ゆっくりと仕事ができる、うらやましい」

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 08:38:24.25 ID:Nu7mmquwO

今泉「あ、あの人じゃないですか。屋台の前で何か警官と話している……」

古畑「よし、いってみますか」

店員「こ、公園に立ち入り禁止ってどういう事ですか? ちゃんと許可だって貰ってるのに……」

古畑「いやあ、すいません。実は今朝ここで事件が起きましてね……少々お話を聞きたいのですが……」

店員「事件、ですか?」

古畑「ええ、実は女子高生がですね〜……」

店員「……」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 08:45:39.40 ID:Nu7mmquwO

店員「そんな事が……」

古畑「少しお話を聞かせていただけませんか?」

店員「はい、なんでも……」

古畑「え〜、いつもこの時間からお仕事を?」

店員「はい。以前はお昼には店を開けてたんですが、3時頃にならないと人が増えなくて……」

古畑「雑誌にも紹介されたのに、人が来ないと?」

店員「平日は基本、女子高生がターゲットですからね。放課後……夕方4時を過ぎた辺りから忙しくなりますよ」

古畑「夕方4時……ですか」



107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 08:51:28.16 ID:Nu7mmquwO

古畑「あの〜昨日の夕方……5時40分くらいですかね。この女の子、この辺りで見ませんでしたか?」

今泉「あれっ、いつの間に朝比奈さんの顔写真なんて?」

古畑「さっき学校で借りてきたんだよ」

店員「あ、可愛い子ですね。んー……あ! 来ました、この子お店に来ましたよ」

古畑「ほ、本当ですか?」

店員「ええ、間違いありません。時間もきっとそれくらいですよ、確か」

今泉「記憶違いという事はありませんか?」

店員「ありませんね。今思い出したんですけど、彼女……ちょっと印象に残る事をしてたんですよね」

古畑「残る事、ですか?」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 09:04:17.45 ID:Nu7mmquwO

今泉「あ、わかった! この無料引換券を当てたんですね?」

店員「いえ、違いますよ。それはアイスを買った後で引けるくじ引きの景品ですからね」

古畑「ん〜……?」

店員「彼女……朝比奈さんでしたっけ。一度オーダーをして、お金を払おうとしたら……」

朝比奈『あ……やっぱりお会計待って下さい。ちょっと……すいません』

店員「そう言って……公園の奥に入っていきましたね」

古畑「そこから朝比奈さんの姿は……?」

店員「彼女は戻ってきませんでしたね。ちょっと公園の中も覗いたんですが、彼女らしい人は見つからなくて……」

古畑「なるほど、ありがとうございました」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 09:13:15.86 ID:Nu7mmquwO

古畑「しかしおかしいですね……」

今泉「え、何がですか?」

古畑「なぜ朝比奈さんは……その無料引換券を持っていたんでしょうか?」

今泉「アイスを買ってくじを引いて……あれ?」

古畑「そうです、彼女はくじを引いていませんよね。何より……彼女はサイフからお札を出そうとしている。券を使うつもりは無かった……あるいは」

古畑「そもそも彼女は、アイスの引換券を『持っていなかった』事になります」

今泉「えっ! じゃあこの引換券は……?」

古畑「店員さん、この引換券……滅多に出ないレアな品物らしいですね〜?」

店員「ええ……サービスでトッピング自由。アイス10段重ねも可能と、かなり贅沢な一枚ですからね。数は少なくしてるんですよ」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 09:22:01.60 ID:Nu7mmquwO

店員「一日に一枚……たまに二枚出すくらいですね」

今泉「それは確かにレアだなあ」

古畑「この引換券を当てた人〜…覚えてなんていませんかね? 思い出して頂けると非常に助かるのですが〜……」

店員「ちょっと、この券を見せて下さい。ずいぶんクシャクシャな券ですね……あ、でもこの日付なら……」

今泉「日付?」

店員「ええ、このスタンプで当てた日付を押すんです。不正防止のためですね」


古畑「この引換券の日付は……2枚とも同じ日付になってますね」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 09:33:37.72 ID:Nu7mmquwO

店員「覚えてますよ。制服を着た女の子が2人……朝比奈さんと同じ制服の子ですね。2つアイスを買って、2枚くじを引いたら……それが2枚とも当たりでした」

今泉「その言い方だと、当てたのは朝比奈さんでは無いんですよね……」

店員「朝比奈さんとは違いますね。どんな子だったかな……確か……」

店員「『ゆき』って、名前を呼ばれていたような……」

古畑「ん〜ふ?」

今泉「?」

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 09:38:57.16 ID:Nu7mmquwO

古畑「その『ゆき』という女性の外見的な特徴は覚えてますか?」

店員「えっとですね……細身な女性で、おとなしい寡黙な感じで……髪の毛はセミロング……くらいかな?」

古畑「なるほど、わかりました。では、今日はこの辺で失礼いたします。明日には、お店を再開できるくらいになると思いますので……」

店員「ええ、よろしくお願いします。また何かあったら、僕はここにいますから」

……

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 09:53:34.85 ID:Nu7mmquwO

古畑「ん〜……」

今泉「さっきの話、古泉君の話に出てきた『長門有希』と同一人物でしょうか?」

古畑「どうですかね〜……しかし全く無関係な名前では無いでしょうね〜」

今泉「朝比奈さんと長門有希は同じ部活の部員ですからね。きっと何かありますよ」

古畑「わからないのは……この引換券」

今泉「書かれていれ日付は……およそ1週間前ですね」

古畑「それを当てた『ゆき』がSOS団の『長門有希』だとしたら……『なぜ朝比奈みくるがあのタイミングで引換券を持っていた』のでしょうか」

今泉「前の日に、長門有希から朝比奈みくるに譲渡された可能性はありませんかね?」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 10:04:55.94 ID:Nu7mmquwO

古畑「可能性はあると思いますが……そもそも、朝比奈みくるが引換券を持っている理由がわかりません」

古畑「店員の言葉から、『ゆき』と『誰か』がアイスを買った……話に出ていない朝比奈みくるに引換券を譲渡する理由は?」

今泉「まだ、情報が足りなさすぎる気がしますね」

古畑「……今泉君。すぐに学校に行って長門有希の名簿をコピーしてきて下さい」

今泉「え、ええっ。もう夕方近くですよ? もう先生も事件の影響で帰っちゃって……」

古畑「『古』に負けない宣言しただろうに」

今泉「わ、わかりました……行くだけ行ってきますよっ……!」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2010/06/14(月) 10:12:21.06 ID:Nu7mmquwO

古畑「ではここでもう一度整理しましょう〜。今回は朝比奈さんの動きです」

朝比奈みくるの行動

1日目 5時40分頃
繁華街に到着
みくるが『ちょっと待っててほしい』と言い残し消える
公園のアイス屋に向かっていた


1日目 5時45分頃
アイスを買おうとしていたが、中断。お札で払おうとしていた様子
この後公園の中へ消えていく

1日目 6時頃
以後、行方不明

2日目 朝6時過ぎ
公園の女子トイレで発見
死亡はおよそ12時間前

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2010/06/14(月) 10:22:20.60 ID:Nu7mmquwO



古畑「事件だけを追うと〜……引換券のことなど無関係に思えますが……私はそうは思いません」

古畑「あのアイス屋さんは、鶴屋さんよりも更に後の……生きている朝比奈さんを目撃しています」

古畑「そして同じ文芸部……いえ、SOS団の『長門有希』そして〜『ゆき』という存在の彼女……」

古畑「この2人はどういう関係があるのでしょうか」

古畑「その『ゆき』という名前を部下が持ち帰って来るまで、私は仮眠をとらせてもらいます……」

古畑「まだ情報が足りない部分もありますが、皆さんもぜひ推理をしてみてください……」

古畑「では、また少ししたらお会いしましょう」

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 19:41:41.10 ID:jqQzMNZJO

今泉「はぁっはぁっ……ふ、古畑さん……」

古畑「遅い。もう夕方だよ」

今泉「す…みま……はぁ……こ……れ……」

古畑「深呼吸、深呼吸。これが資料……どれ」

古畑「ふうむ、長門有希……1年6組……」

今泉「はあっ……ふう。いやあ残っている先生に無理言ってもらって来たんですからね」

古畑「住所は?」

今泉「あ、こっちの紙に……まさか、彼女の家に?」

古畑「もちろん」

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 19:52:31.76 ID:jqQzMNZJO

古畑「このマンション……」

今泉「立派なマンションですね……すごいなあ」

古畑「オートロック」

今泉「……あ、誰か出てきましたよ。この隙に入っちゃいましょうよ」

古畑「……」

今泉「あ、あまり先にいかないで下さいよ!」

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 19:56:40.68 ID:jqQzMNZJO

古畑「や、こんにちは」

管理人「こんにちは」

……

今泉「いいんですか、挨拶だけで。警察だって話しておいた方が……」

古畑「いいんだよ。飛び火して騒ぎが大きくなっても困る」

今泉「それもそうですね。あ、708号……ここですね」

ピンポーン

長門「……誰?」

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 20:05:46.00 ID:jqQzMNZJO

古畑「どうも。私古畑任三郎といいまして……警察の者です。あの、朝比奈さんの件をご存知ですか? よければお話を伺いたいと……」

長門「……」

ガチャリ

長門「……」

古畑「どうも」

長門「本物?」

古畑「あ、これ手帳です」

長門「……」

バタン

今泉「え、あ、ちょっと?」

長門「偽物……」

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 20:09:25.32 ID:jqQzMNZJO

古畑「……すいません、この手帳は偽物ですが、身分は本物です。今泉君」

今泉「は、はい。僕の手帳は本物ですから、ほら、ほら!」

ガチャリ

長門「……」

長門「……あがって」

古畑「いやあ、すいませんね」

今泉「うわあ、中も綺麗で……って、なんだかガランとしてますね」

長門「……」

古畑「このっ」

今泉「いたっ! す、すいません……」

古畑「いやあ、とんだ失礼を。それで……」

長門「話は何?」

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 20:19:37.33 ID:jqQzMNZJO

古畑「この度は大変お気の毒な……」

長門「……」

古畑「貴女は、朝比奈みくると一緒の部活をしていると……古泉一樹君から聞きましてね。こうしてお話を」

長門「古泉一樹から……」

古畑「文芸部……いえ、通称SOS団でしたか。今は少しでも情報が欲しいのですよ。ご協力願えませんかね〜……」

長門「把握」

古畑「ありがとうございます。では……」

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 20:26:31.03 ID:jqQzMNZJO

古畑「事件が会った日の前日の事をお聞きしたいのですが……その日は朝比奈さんが5時30分頃、学校を帰ったと確認していますが、何かご存知ですか?」

長門「その日は活動をしていた。朝比奈みくるが帰路についたのは、確かにその時間」

古畑「ふむ〜、では古泉君は?」

長門「……その15分前には、すでに部室から姿を消していた」

今泉「え?」

古畑「ほぅ〜……?」

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 20:32:44.28 ID:jqQzMNZJO

古畑「それは例えば、お手洗いに行ったとか……そういう事ですか?」

長門「鞄を抱え、慌てた様子で退室していたと記憶している。彼はもう戻って来なかった」

古畑「長門さんはその後、部室に残ったのですかね〜?」

長門「私は……朝比奈みくるが帰宅しら2分前に既に退出。下校」

古畑「最終的に、部室に残っていたのは朝比奈さんだと?」

長門「……」コク

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 20:43:31.41 ID:jqQzMNZJO

長門「先程話に出ていた、鶴屋、古泉とは接触していない」

古畑「そうですか〜……その日は真っ直ぐ帰宅しましたか?」

長門「途中、夕食を買いにこのマンション近くのコンビニへ。夕方6時には家に到着していた。証人はいない」

古畑「質問しているだけですから、お気にせず〜。あの、朝比奈さん、何かに悩んでいた様子とかありませんでしたか?」

長門「……」

古畑「人間関係とか……それに、お美しい方でしたからね。例えばストーカー被害とか、何か些細な事でも」

長門「……」

今泉「特にありませんかねえ……?」

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 20:50:29.11 ID:jqQzMNZJO

長門「恋愛……」

古畑「恋愛?」

長門「好きな人ができたと……相談を受けた事がある」

古畑「最近ですか?」

長門「数日前……」

古畑「よければ内容を聞かせて頂けませんか?」

長門「……把握」

長門「数日前の放課後、2人だけで部室にいると彼女が突然話しかけてきた」

長門「好きな人ができた、と……」

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 21:00:53.07 ID:jqQzMNZJO

今泉「あ、もしかして! その人って同じ部活の古泉君ですか?」

長門「……同じ学校の人間ではない」

今泉「そ、そうなんですか……」

長門「……」

古畑「こういう男なんです」

長門「問題無い。続き、私には朝比奈みくるの話を聞く事しかできなかった……」

長門「普段会えないから、どう近付こうか悩んでいると……でも姿を思い出すだけで嬉しいのだ、と」

古畑「乙女の純情ですね〜」

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 21:06:42.38 ID:jqQzMNZJO

長門「話を聞いて、その日は終わった」

古畑「その後は?」

長門「……動き無し」

古畑「そうですか、わかりました。ところでこの券に見覚えはありませんか?」

今泉「あっ、アイスの……」

長門「……? あ」

古畑「んふっ、その様子では知っているようですね。お聞かせ下さい」

長門「確かにそれは……以前私が当てた引換券。それを何処で?」

159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 21:22:59.38 ID:jqQzMNZJO

古畑「朝比奈さんの財布から発見しました」

長門「……そう。それが何か?」

古畑「なぜこの券を朝比奈さんが持っていたか……わかりますか?」

長門「朝比奈みくるに譲渡した記憶は無い」

古畑「ん〜む……長門さんがこの券を最後に見た記憶は?」

長門「事件が起こった前日までは、確実に私が所有していた」

今泉「根拠は?」

長門「前日の夕食をコンビニで買った時に……確認している」

古畑(この子もレシート溜めてるのかな〜……)

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 21:30:04.83 ID:jqQzMNZJO

古畑「では〜……事件当日のコンビニでは?」

長門「……持っていなかった」

古畑「ん〜……?」

長門「その券が事件に関係あるの?」

古畑「証拠品の一つですからね。できるだけ情報がほしくてですね」

長門「そう……」

今泉「古畑さん、時間も時間ですからそろそろ……」

古畑「では、最後に一つだけ……ズバリ聞きます。『SOS団の意味』を教えて頂けませんか?」

今泉「ええ〜、またそれですか?」

長門「……」ピクッ

古畑「ちょっとだけ、名称の意味が気になりましてね。個人的な興味からですよ」

161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 21:43:52.55 ID:jqQzMNZJO

長門「『SOS』自体に深い意味は無い……と記憶している」

今泉「意味がない? 古泉君は確か……」

長門「……」ピクッ

古畑「黙って、今泉君。話の途中失礼しました。どうぞ続けて下さい〜」

今泉(そ、そんなに怒らなくても……)

長門「……」

古畑「どうしました?」

長門「実は私は、古泉一樹からその話を聞いていない」

古畑「聞いていない?」

長門「私がSOS団に入ったのは、部が発足してからかなり後の時期……名前の由来は未確認」

163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 21:51:08.72 ID:jqQzMNZJO

古畑「なるほど、その口調の感じですと『古泉一樹が団長』とやらなんですかね?」

長門「団長……?」

古畑「ええ、今日部室にお邪魔する機会がありましてね……奥の机の上に『団長』というプレートがありましてね〜……気になってたんですよ」

古畑「最初は、朝比奈さんが団長かと思ってたんですよ。唯一の2年生……年上ですからね」

今泉「そうですね」

古畑「しかし〜……長門さんの話を聞いている限りは……長門さんは部室へ途中参加。団長の可能性は低い……」

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 22:01:25.09 ID:jqQzMNZJO

古畑「そして、話の感じからして、どうも朝比奈さんが中心で部活を引っ張っていた様子は無い……残るは、古泉君です」

今泉「なるほど、言われてみれば確かにそうですね」

長門「……そんな理由から、私はSOS団の意味まではしらない」

古畑「そうですか……わかりました、貴重なお話ありがとうございました」

今泉「お邪魔しました」

長門「……構わない」

古畑「では、お邪魔しました。これ、私の連絡先です、何かあったらぜひ……」

長門「把握」

……

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/14(月) 22:15:26.81 ID:jqQzMNZJO

今泉「あまり、たいした事はわかりませんでしたね。本当に部活の事くらいしか……」

古畑「今泉君。さっきの長門さんの資料ある?」

今泉「あ、はい……」

古畑「んん〜……」

1枚目
長門 有希
1年6組
文芸部所属

今泉「こっちは学校内での情報ですね」

2枚目
住所
氏名
年齢
血液型

今泉「こっちは個人情報など……踏み込んだ事が書かれてましたね」

古畑「今泉君、これから学校に行ってくれませんか?」

今泉「ええっ! なんでですか?」

古畑「この資料を集めてきて欲しいんですよ。朝比奈さんと、古泉君の資料をね」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 21:44:35.99 ID:4+fTRMlkO

前スレ消えたから、つづきから


古畑「放課後に消えた少女……最初はただの、小さな事件でした」

古畑「しかし〜、次の日にその女性は遺体となって発見されてしまいました……」

古畑「現場は、ある高校の近くの公園のトイレでした。警察の捜査では、通り魔の犯行との見方を強めていますが……」

古畑「古泉君、長門さんに話を聞けましたが……」

古畑「私にはどうも、この事件にはまだ知らない情報があるのではないかと思っているんですが……おや」

古畑「あの足音、今泉君が戻ってきたみたいですね。果たして彼は朝比奈さんと古泉君の資料を手に入れられたでしょうか……」



2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 21:47:17.83 ID:4+fTRMlkO

今泉「すいません、やっぱり学校には誰もいませんでした!」

古畑「……」

今泉「だ、だって仕方ないじゃないですか!」

古畑「ふぅ……じゃあ、宿題追加ね」

今泉「え、何がですか?」

古畑「先ほど私は、朝比奈さんと古泉君の資料を頼んだ……だが、君は手ぶらで帰って来た。明日は学校が?」

今泉「じ、事件の影響で臨時休校です……」

古畑「明日もう一度学校に行って資料を探してなさい。用務員の人とか、校長でも誰でもいいから学校に入れてもらう事」

今泉「わ、わかりましたよ……」

古畑「それともうひとつ! 探して来て欲しい資料の追加」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 21:54:24.30 ID:4+fTRMlkO

今泉「追加って、誰の資料を追加するんですか?」

古畑「文芸部……SOS団の方の資料を全員分」

今泉「……ええ、ですから朝比奈さんと古泉君の資料を集めて来ようと……」

古畑「違う違う、長門さんのこの資料……ここに記してあるでしょう?」

長門有希
1年6組
文芸部所属

古畑「なにか気付いた事は?」

今泉「……綺麗な字です」

古畑「そう、手書きされた整った字だね。他は?」

今泉「え……えっと、やっぱり『文芸部所属』……という事ですか?」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 22:00:42.54 ID:4+fTRMlkO

古畑「そう。この一番下に……何でもいいから、SOS団に関係ありそうな人物を探して来ること」

今泉「関係ありそうなって……」

古畑「元部員でも何でもいいから。とにかく資料と新しい情報が欲しい」

今泉「な、なるほど。文芸部関係者を探して話を聞くんですね!」

古畑「そう。資料は全部持ってきてね」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 22:07:16.75 ID:4+fTRMlkO

今泉「……あれ? SOS団って3人ですよね

古畑「判明してる人はね」

今泉「辞めちゃった人とか、まだ判明していない関係ありそうな人を探すんですよね?」

古畑「そう」

今泉「資料調べる作業になりますよね?」

古畑「さっきとは違ってね」

今泉「……もしかして、全校生徒分ですか?」

古畑「宿題だよ」

今泉「そ、そんな! 古畑さんも、ちょっと手伝ってくれますよね……?」

古畑「明日は、公園で、通り魔の線を調べないといけないんだ。だからよろしく、今泉君」

今泉「うう〜……」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 22:14:59.45 ID:4+fTRMlkO

事件発生から3日目

今泉「はあ……全くもう……」ペラッ

今泉「多いなあ……紙ばっかだなあ……」ペラッ

今泉「無理やり学校は開けてもらえたからまだいいものの……面倒だなあ」ペラッ

今泉「あ、とりあえず名前のわかっている人だけでも……えっと、朝比奈さんと古泉君と……一応長門さんのもっと」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 22:18:45.19 ID:4+fTRMlkO

今泉「ああ、あったあった」


朝比奈みくる
2年2組
SOS団(文芸部)所属


古泉一樹
1年9組


長門有希
1年6組
文芸部所属

今泉「はあ……こんな風に名前がわかってすぐに見つかれば楽なんだけどなあ」

用務員「大変ですね、コーヒー入れましたよ」

今泉「あ、ありがとうございます」ズズーッ

今泉「……よし、頑張るか」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 22:21:11.54 ID:4+fTRMlkO

今泉「……」

今泉「3年生は全部調べ終わったけど……誰もいなかったな。部長を古泉君がやってくらいだからなあ」

今泉「えっと次に2年生の分をと……」ペラッ

今泉「んん〜……」ペラッ

今泉「あ、鶴屋さん。確か名前は聞いてたけど……部活のところ何も書いてないしなあ……」

今泉「殴られるの嫌だから、一応持ってこ」

今泉「さて……」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 22:28:22.14 ID:4+fTRMlkO

今泉「最後は1年生か。もうお昼過ぎか〜、でも意外と早く終わりそうだなあ」ペラッ

今泉「でも、他にはいなさそうだなー……」ペラッ

今泉「大体、文芸部なんてそんなにたくさんは……あ? 見つけた!」ガタッ

今泉「SOS団、見つけた! えっと……1人、2人も!」ガチャン

今泉「え……」ボタボタ

今泉「うわあ、コーヒーが資料に!」

……

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 22:39:06.00 ID:4+fTRMlkO

今泉「ふ、ふう……ちょっとグシャグシャになっちゃった……」

今泉「でも読めるから、大丈夫……かな? 名前欄が滲んじゃってるけど……」

〜〜〜 (キョン)
1年5組
SOS団所属

今泉「キ、キョン? 言いにくいなあ……括弧って、あだ名みたいなものかな?」

今泉「もう一枚は、女の子かな?」

涼宮ハルヒ
1年5組
SOS団所属

……

今泉「これで、全員分調べた……かな。よしっ……」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 22:43:40.01 ID:4+fTRMlkO

公園入り口

アイス屋「あれ、どうしたんですか?」

古畑「いやあ〜、今日はこの公園を中心に捜査する事になりましてね。改めてお話を、と思いまして」

アイス屋「そうなんですか。でも昨日今日で変わった事もないですよ?」

古畑「んふふ、ところでお店、再開できたんですね」

アイス屋「ええ、昨日から。でも今日は学校が休みみたいですから、多分お客さんは少ないでしょうね」

古畑「やはり学生さんが多いのですかね?」

アイス屋「そうですね。逆に休みの日には、お昼頃から一般のお客さんがよく来てくれますね」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 22:52:04.97 ID:4+fTRMlkO

古畑「なるほど。事件当日は平日の夕方……学生さんばかりだったんでしょうね」

アイス屋「確かに夕方は混んでましたが、5時を過ぎた辺りには人は疎らになってましたよ」

古畑「疎ら?」

アイス屋「放課後と言っても、5時を過ぎれば大抵の学生さんは帰ってしまいますから。来るのは部活帰りの子とか、ですかね」

古畑(事件当日も、SOS団の活動があったから、あれくらいの時間と?)

古畑「朝比奈さん以外に印象に残ったお客さんなどいませんかね?」

アイス屋「……いませんね。ちなみに、朝比奈さんを最後に、その日の売り上げはストップでした」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 22:57:36.44 ID:4+fTRMlkO

古畑「ふむ〜……最後のお客が朝比奈さん……」

古畑「それだけ学生さんが来れば〜……この公園にいた『一般の方』については何かお話ありませんかね?」

アイス屋「一般……私服の人とかですか?」

古畑「ええ〜、事件当日やここ数日の事でも何かあれば〜」

アイス屋「当日……。朝比奈さんが来て、他の生徒さんがいて……一般のお客さんもいましたけど、怪しい人間となると……特には」

古畑「そうですか。他に何か気付いた事は?」

アイス屋「んー……」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 23:01:57.34 ID:4+fTRMlkO

古畑「5時45分頃、誰が通ったとか〜、覚えてませんかね?」

アイス屋「んー……その時間だと『制服を着た男の子』が一人通ったような?」

古畑「……男?」

アイス屋「公園から出ていきましたね。顔は見えませんでしたけど」

古畑「特徴とかわかりますか?」

アイス屋「……そこそこの身長で、そこそこの髪型だっような?」

古畑「要するに、あまり覚えて無いんですね」

アイス屋「すいません。あ、でも何だか『慌てて公園から出ていった』感じがしましたね」

古畑「慌てて? ……正確な時間、わかりますか?」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 23:09:37.56 ID:4+fTRMlkO

アイス屋「細かい時間は覚えて無いです……すいません。それに、その男の子が『公園に入った所』も見ていないんですよ」

古畑「……と言うのは?」

アイス屋「ほら、この公園って入り口が3ヶ所あるじゃないですか」

アイス屋「このお店の前と……『北高に続く道』から繋がっている……ほら、向こう側に。『どちらかと言えば』トイレが近い位置にありますね」

古畑「そういえば、そうですね」

アイス屋「ですからその子は、北高側から公園に入り、この屋台の前の出入口から出た……かもしれない、と」

古畑「ふむ〜、どちらにしろ、その男の子を見たのは事件当日に『1回だけ』なんですね」

アイス屋「覚えている限りですけど」

古畑「なるほど、ありがとうございました。大変参考になりましたよ」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 23:19:21.98 ID:4+fTRMlkO

今泉「古畑さ〜ん」

古畑「どうだった?」

今泉「資料、見つかりましたよ! 前の3人に加えて、新しい人が2人も」

古畑「ほう……見せて」

朝比奈みくる
2年2組
SOS団(文芸部)所属

長門有希
1年6組
文芸部所属

古泉一樹
1年9組

古畑「おや〜……?」

〜〜〜(キョン)
1年5組
SOS団所属

涼宮ハルヒ
1年5組
SOS団所属

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 23:26:12.04 ID:4+fTRMlkO

古畑「コーヒーが……」

今泉「す、すいません。見つけた時に僕も興奮しちゃって」

古畑「これだけ?」

今泉「あ、あと鶴屋さんのも一応。部活入ってないみたいで、何も書いてなかったですけど」

古畑「……確かに、一番下は空白」

古畑「これはおかしい」

今泉「何がです?」

古畑「鶴屋さんが空白なのはまだわかる。でも……古泉君が空白なのは……」

今泉「本当は所属してないとか?」

古畑「あの様子で、それは無いと思うけど……それに、まだおかしい場所もある」

今泉「え? でも他のみんなちゃんと部活の欄も埋まってますよ?」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 23:31:21.79 ID:4+fTRMlkO

古畑「みんな確かに埋まってますが……」

今泉「書き方が、微妙に違いますね」

古畑「そう。全く意味はないのか……それとも」

鶴屋「あ……」

古畑「おや? 鶴屋さん、どうしたんですか?」

鶴屋「……みくるに会いに来たのさ。昨日はまだ警察の人がいたから……」

古畑「……みくるさんの事は非常に残念でした……」

鶴屋「古畑さんは悪くないさ……悪いのは犯人さ」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 23:36:21.32 ID:4+fTRMlkO

鶴屋「じゃあ、ちょっと行ってくるさ」

古畑「……」

今泉「元気なかったですね」

古畑「そりゃあ、ね」

今泉「戻ってきたら、話を聞いてみますか?」

古畑「少しだけね」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 23:41:41.65 ID:4+fTRMlkO

……

鶴屋「にょろ」

今泉「お帰りなさい。あの……つらいのはわかりますけど、少しお話いいですかね?」

鶴屋「平気……さ」

古畑「ありがとうございます。鶴屋さんはSOS団に参加しているわけでは無いんですよね。この資料に……」

鶴屋「たまにお手伝いはしたけど……帰宅部さ。空白なのは当然さ」

古畑「……」

鶴屋「やっぱり、思い出しちゃってつらいね……」

古畑「すいませんね。他には……」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 23:45:16.04 ID:4+fTRMlkO

……

鶴屋「私が話せるのは、こんなところさ」

古畑「ありがとうございました」

鶴屋「いえ……じゃあ、さよなら」

今泉「あ、待って下さい鶴屋さん!」

鶴屋「はい?」

今泉「よかったら、アイスおごりますよ。話をしてくれたお礼です」

鶴屋「そんな、悪いにょろ」

今泉「いえ、おごらせて下さい! ぜひ!」

鶴屋「ちょ、ちょっと引っ張らなくても……にょろ〜〜」

古畑「やれやれ」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 23:51:21.84 ID:4+fTRMlkO

アイス屋「ありがとうございます」

今泉「なんで古畑さんの分まで買わなきゃいけないんですか……」

古畑「ついでだよ、ついで」

鶴屋「おいしい……にょろ」

今泉「よ、喜んでもらえたならよかった!」

古畑「んふふ〜」

アイス屋「あ、このくじ引きをどうぞ。3個買って頂いたから、3枚引いて下さい」

鶴屋「じゃあ……えいっ」ピラッ

アイス屋「あ……当たりです! おめでとうございます!」

古畑「私も……と」ピラッ

アイス屋「2枚目! いやあ、お二人ともラッキーですね」

今泉「よおし、じゃあ僕も……!」

アイス屋「……すいません、今日の当たり券は2枚しか入ってないんですよ。だからあとは全部外れですよ」

今泉「そ、そんなぁ……」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/15(火) 23:57:42.99 ID:4+fTRMlkO

古畑「今泉君、これあげますよ」

今泉「え……いいんですか?」

古畑「どうぞ〜? 私は使う機会も無さそうですし」

鶴屋「私も、あげるさ。この券持ってると、なんだかちょっとつらくて……」

今泉「鶴屋さん……」

鶴屋「今日ありがとうにょろ。話せたから、少しだけ元気が出たっさ」

古畑「元気出して下さいね」

鶴屋「はい。明日の学校も……頑張れそうな気がするにょろ。さよなら」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 00:06:12.60 ID:eYZh/lX0O

今泉「大丈夫ですかね」

古畑「目が真っ赤だったからね。でも、あの様子ならなんとか」

今泉「……引換券、僕らも手にいれちゃいましたね」

古畑「当てたのは、私と鶴屋さんだよ」

今泉「で、でももう僕のですからね! こんな珍しい券が2枚なんて嬉しいなあ……」

古畑「2枚……?」

今泉「な、なんですか。今さら返してほしいなんて言わないで下さいよ」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 00:20:00.90 ID:eYZh/lX0O

古畑「この券を当てた『ゆき』という子も、一緒にお友達がいたはず」

今泉「そんな事は言ってましたね」

古畑「2枚当たったのなら、そのお友達と1枚ずつ持つのが普通じゃないか?」

今泉「んん〜……鶴屋さんみたいに譲渡したとか?」

古畑「……」

今泉「考えてもわかりそうにないですね……」

古畑「明日また、学校行くよ」
今泉「長門さんに話を聞きに?」


古畑「それだけじゃない。このキョンという子と……涼宮ハルヒが誰なのかも探しに……ね」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 00:27:53.70 ID:eYZh/lX0O

古畑「今日の事を少しまとめましょうか」

古畑「アイス屋さんに話を聞いた結果……朝比奈みくるが最後の客。そして『慌てた姿の男子生徒』を見た、という事がわかりました」

古畑「これがもしかしたら古泉君なのか、関係ない誰かなのかはわかりませんが……」

古畑「そして今泉君が持ってきてくれた資料に書かれていた……新しい人物」

古畑「彼らは果たしてこの事件に関係あるのでしょうか……」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 00:31:25.21 ID:eYZh/lX0O

4日目 北校

放課後

キョン「はぁ……」

国木田「キョン?」

谷口「そっとしといてやれ。朝比奈さんがいなくなったんだ……つらいのはよくわかる」

国木田「そうだね……」

キョン「……じゃあな」

……

谷口「重症だな」

国木田「そうだね……」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 00:38:37.87 ID:eYZh/lX0O

古泉「おや? 今帰りですか?」

キョン「古泉か、事件のせいで、なんだか部室に行く気もしなくてな……」

古泉「それは……確かに。あの、つかぬことをお聞きしますが、長門さんから何かお話ありませんでしたか?」

キョン「長門? 今日は会ってないな」

古泉「では、身の回りで何か変わった事は?」

キョン「変な事を聞くな……探偵気取りか?」

古泉「いえいえ、今日のお昼休みに長門さんとちょっとお話をしたのですよ」

キョン「長門と? 何を?」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 00:45:18.79 ID:eYZh/lX0O

お昼休み SOS団部室

ガチャリ

古泉「長門さん、お呼びですか?」

長門「……説明を要求する」

古泉「説明?」

長門「一昨日警察の人間が私の自宅に来た」

古泉「……」

長門「古畑任三郎と名乗っていた。会話の様子から判断して……虚偽と思われる内容が確認された」

古泉「……」

長門「古泉一樹と接触していた可能性が浮上。だから今こうして説明を求めている」

古泉「そうですか、古畑さんが……」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 00:50:50.08 ID:eYZh/lX0O



キョン「警察? もしかして、事件の話を?」

古泉「ええ。事件前日、ちょっとした偶然で知り合ったんですよ」

キョン「何を話したんだ? 長門に一体何を説明したんだ?」

古泉「落ち着いて下さい。あなたは何も話を聞いてないから焦る気持ちはわかりますが……」

キョン「……」

古泉「いざ長門さんに話そうとしたら、職員室から呼び出しがありましてね……その警察……古畑さんからの電話がありましてね」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 00:57:36.62 ID:eYZh/lX0O

古泉「呼び出し……みたいですね、すいませんちょっと行ってきます」

長門「多分、古畑任三郎からの電話……」

古泉「かもしれませんね。では失礼します」

長門「放課後、待っている」

古泉「わかりました、では……」



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 01:00:09.07 ID:eYZh/lX0O

長門「……」

―ガチャリ

長門「……?」

長門「どうかした?」

……

長門「え……」

長門「……」

長門「……」

長門「あ……」

グッ……グッ……

……

長門「…………」

ドサッ……

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 01:03:51.76 ID:eYZh/lX0O

……

キョン「その何とかって人からの電話だったのか」

古泉「ええ。放課後、時間ができたら公園で会いたいと」

キョン「何か話す事があるのか?」

古泉「向こうは、聞きたい事があるみたいですね。僕はあまり話したくはないですけど……ね」

キョン「お前が苦手な人間なのか?」

古泉「苦手というか何というか……いい人なんですが、何を考えているかわかりにくい人ですね」

キョン「……古泉も大変だな」

古泉「ですがその前に、長門さんと話をしておこうと思いましてね。よかったら一緒にどうです?」

キョン「秘密の会話なんだろ? 気になるけど、俺は遠慮を……」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 01:09:32.33 ID:eYZh/lX0O

―カサリ

キョン「ん、靴箱に手紙が」

古泉「恋文ですか?」

キョン「A4用紙一枚だけのな。ええーっと……」

『放課後、部室に来て欲しい 長門有希』

キョン「……」

古泉「どうしました?」

キョン「長門は俺に会いたいらしい」

古泉「はい?」

キョン「俺も行くよ。お許しは出てたみたいだ」

古泉「そうですか、わかりました。ふふっ」

キョン「まあ、面倒に巻き込まれるのはごめんだが、ちょっと気になるから…な」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 01:17:01.01 ID:eYZh/lX0O

キョン(パソコンで打ち込まれた、A4用紙のラブレターか……)

古泉「さて、もう部室ですよ……」

ハルヒ「あれ、何してるのよあんた達」

キョン「うおっ! いきなり後ろから声をかけるなよ」

ハルヒ「姿が見えたんだから、声をかけるに決まってるじゃない」

古泉「部室でちょっと長門さんとお話がありましてね」

ハルヒ「あ、あんた達も呼び出されたの?」

キョン「ハルヒもか?」

ハルヒ「下駄箱に手紙が入っていてね。今から行くところよ」

キョン「みんなを集めて一体何の話を?」

ハルヒ「行ってみればわかるわ。さ、行くわよ!」

キョン「ま、待てハルヒ。先に行くなよ」

ハルヒ「あんたがトロトロしてるからでしょ!」

古泉「んっふ」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 01:25:22.04 ID:eYZh/lX0O

―ガチャリ

ハルヒ「来たわよ有希ー、って……あら?」

キョン「どうしたハルヒ」

古泉「んん……?」

ハルヒ「……」

……

ハルヒ「何よ、誰もいないじゃないの?」

古泉「変ですね……確かに放課後話をすると……」

キョン「ちょっと待つか?」

ハルヒ「そうね。ここにいれば来るわよね……暇潰しに、パソコンでも触ってるわ」ドサッ

キョン(ハルヒが団長椅子に座るのも、久しぶりか?)

キョン(朝比奈さんの事件以来、ここにみんなが集まる事は無かったからな……)

古泉「僕たちも座って待ってますか」

キョン「だな」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 01:32:16.83 ID:eYZh/lX0O

ハルヒ「……」カチッカチッ

古泉「王手です」

キョン「そこを動かすと負けだがいいのか?」

古泉「え……あ……」

ハルヒ「……」カチッカチッ

……

古泉「負けました」

キョン「まあ、いい攻めだった」

ハルヒ「……来ないじゃないのよ!」

キョン「そうだな結構時間は経つが……」

古泉「待ちくたびれて帰ってしまったとか?」

ハルヒ「もう、呼び出しておいてすっぽかすなんて……」

キョン「長門にしては珍しいよな」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 01:39:39.55 ID:eYZh/lX0O

古泉「また明日……聞いてみます。今日は帰りましょう」

ハルヒ「そうね……何かあったらちゃんと報告しなさいよ」

古泉「ええ、では行きますか」

キョン「……」



ハルヒ「これからどうするの?」

古泉「僕は寄る所があるので……これで。帰りはお二人だけでどうぞ」

キョン「なんだそりゃ。別に一緒に帰る理由なんて……」

ハルヒ「さっさと帰るわよキョン」

キョン「やれやれ……」

古泉「では、僕はこっちなんで失礼しますね」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 01:50:46.29 ID:eYZh/lX0O

古泉「すいません、お待たせしてしまいましたか」

古畑「いえいえ、お気にせず。わざわざすいませんね、お呼びだししてしまって」

古泉「何かお話でも?」

古畑「実は文芸部……SOS団について少し」

古泉「……聞かれた事には全て答えたつもりですが」

古畑「まだ聞いてない部分がありましてね……『キョン』と『涼宮ハルヒ』このお二方についてなんですが」

古泉(やはり、調べあげてきましたか……)

古畑「この資料には、SOS団所属としっかりと書かれています」

古泉「おっしゃる通り。その資料には書かれているみたいですね」

古畑「部員は全部で5人という事で……よろしいですか?」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 01:57:08.65 ID:eYZh/lX0O

古泉「その資料は、少々鮮度が古いみたいですね」

古畑「鮮度〜、ですか?」

古泉「ええ、その2人は『元』部員なのですよ。入ってすぐ辞めてしまいましてね。だからそこにSOS団と……」

古畑「んふふふ〜……最初は私もそれを考えました。ですが……これを」

朝比奈みくる
2年2組
SOS団

古泉一樹
1年9組


長門有希
1年5組
文芸部所属

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 02:06:47.66 ID:eYZh/lX0O

古泉「これは僕たちの……」

古畑「私が最初にSOS団だと聞いた人物の資料です。注目すべきはこの……一番下の欄です」

古畑「キョン君や『涼宮ハルヒさんの資料にも書いてありますが……SOS団所属と書かれています。しかし……」

古泉「僕の所属欄が空白だと?」

古畑「それもありますが、私がまず注目したのは名称の書き方です」

古畑「長門さんは『文芸部』……そして他の方は『SOS団』という名称が書き込まれています」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 02:15:30.14 ID:eYZh/lX0O

古畑「先ほど古泉君が言ったような、この資料の鮮度……そう、このデータが『いつ更新されているか』はわかりません」

古畑「しかし一つだけわかる事があります。なぜ長門さんだけが『SOS団』という名称を書き込んでいないのでしょうか」

古泉「それは……」

古畑「私が考えるに、この長門さんは『本当の文芸部』だった……だから資料にはしっかり文芸部とだけ残っている、と。そう考えました」

古泉「しょせん、手書きですからね。通称はSOS団ですが、記録上は文芸部です。大きな問題は無いかと思いますが?」

古畑「なるほど。そして次に私が考えたのが……この、古泉君の空白です」

古泉「んっふ」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 02:24:28.66 ID:eYZh/lX0O

古畑「空白……なぜ古泉君の所属が空白なのでしょう?」

古泉「書き忘れですよ。手書き故の、ね」

古畑「んふ〜……SOS団の中心のように振る舞っていた貴方が、書き忘れるなんてよっぽどなんですね〜?」

古泉「たまには、そんな事もありますよ」

古畑「私は考えました。この空白は……もしかしたら、書きたくとも書けなかった、そうではないでしょうか?」

古泉「聞かせてもらえますか?」

古畑「貴方は〜……そう、例えば転校です。途中からこの学校に来て、文芸部に参加しだした」

古泉「ふむ……」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 02:30:53.55 ID:eYZh/lX0O

古畑「順番に説明しましょう。まず最初に文芸部に所属していたのは長門さんです」

古畑「彼女だけ『SOS団』の名称が入っていなかったと思われるのはそのためです……」

古畑「その後何らかの事情で文芸部が『SOS団』に名前を変えた……『キョン』『涼宮ハルヒ』『朝比奈みくる』の3名が資料を書いたのもこの時期でしょう」

古畑「そして最後……古泉君です。4月が終われば部活に所属するか、帰宅部になるか……」

古泉「『空白』と『所属欄が埋まる』人が別れてきますね」

古畑「古泉君の所属欄が空白なのは……最初から文芸部にも、SOS団にもいなかった、私はそう考えました」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 02:50:40.48 ID:eYZh/lX0O

古畑「……なぜ、3人などという嘘を?」

古泉「すいませんね。決して悪意があって3人と答えたわけではないんですよ」

古畑「……」

古泉「確かに、SOS団にはその2人を加えて5人で活動していました。しかし、事件をよく知っているのは、僕と長門さんだけです」

古泉「長門さんが、朝比奈さんから恋愛相談を受けていた話は?」

古畑「ええ、知っています。私も長門さんからお聞きしました」

古泉「その話がありましたから、まだ長門さんの名前は挙げましたが……残り2人は『本当に無関係なのですよ』」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 03:00:43.75 ID:eYZh/lX0O

古畑「それはなぜ?」

古泉「それは、他ならぬ『長門さんから聞いている』んじゃないですか?」

古畑「長門さんから?」

古泉「その様子だと、事件当日の事聞いたのでしょう?」

古畑「確か彼女からは〜〜……」

長門『5時15分、古泉一樹が慌てて部屋を出ていった』

長門『私は朝比奈みくるが退出する2分前……5時28分に帰宅』

長門『最後まで朝比奈みくるは部室にいた』

長門『朝比奈みくるから恋愛相談を受けていた』

古畑「この辺りですかね?」

古泉「その話の通り、僕は部室には既にいませんでした」

古畑「帰宅したのですか?」

古泉「いえ、野暮用で学校に残ってましたよ」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 03:08:59.21 ID:eYZh/lX0O

古畑「学校にいた証拠や証人などは〜?」

古泉「……疑われるかもしれませんが、朝比奈さん達の後ろから追い付いた。それだけしかありませんね」

古畑「ふむ……しかし、今の問題は残り2人についてです」

古泉「ええ。長門さんの話に出てきた人物は?」

古畑「朝比奈さん、長門さん、古泉君……」

古泉「そうです、その話には残り2人は出てきません。なので、僕は無関係だと判断しお話しなかったのですよ」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 03:20:00.67 ID:eYZh/lX0O

古畑「2人はその日部活に参加してなかったんですか?」

古泉「参加はしていましたよ?」

古畑「それじゃあ無関係とは言えませんね〜。部室にいたのなら当然……」

古泉「ですが、僕が部室を出た時間より15分程前……『5時には2人とも帰宅をしました』」

古畑「つまり、5時を過ぎてからは部室には3人しか残っていなかった……と?」

古泉「事件をあまり知らない分……あの2人には無駄な心配をさせたくないんですよ」

古畑「しかし我々には捜査をする義務があります。それを妨害される形となってしまうと……」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 03:24:41.22 ID:eYZh/lX0O

古泉「邪魔をする気はありません。長門さんのように話を聞くのもいいでしょう。その2人は何も知らないでしょうけどね……」

古畑「ん〜、なるほど……長門さんと言えば、なぜ彼女も3人だと嘘をついたんでしょうかね?」

古泉「細かい話は聞いてないので、何とも……案外『聞かれた事に答えただけ』なのかもしれませんね」

古畑「なるほど、わかりましたよ」

古泉「では、今日はこの辺で……」

古畑「ええ、ありがとうございます。私はこれから、長門さんのマンションに行ってみますよ」

古泉「では、失礼します」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 03:30:32.91 ID:eYZh/lX0O

ピンポーン

ピンポーン

古畑「留守かな?」

古畑(コンビニにいるとか……?)

……

古畑「いない……」

古畑「んん〜……」

……

古畑(結局、その日は長門さんに会う事はできず……)

古畑(私も家に帰ってしまいました)

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 03:34:33.80 ID:eYZh/lX0O



古畑「今日わかった事……なんと言っても、新しい部員の存在でしょう」

古畑「涼宮ハルヒさんとキョン君……古泉君は事件には関係無いと言っていましたが……」

古畑「話を聞ける機会があればわかるんですけどね〜……」

古畑「結局、長門さんに話は聞けませんでしたが……古泉君と長門さんの嘘の理由……」

古畑「明日からは、それを追っていきたいと思います」



72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 03:54:36.92 ID:eYZh/lX0O

5日目 北高

昼休み

谷口「さあて、飯だ飯!」

国木田「お昼になると一気に元気になるよね」

谷口「当たり前だろ……ってキョン。どこ行くんだよ?」

キョン「食欲があまり無くてな。図書室で時間潰しだ、じゃあな」

国木田「……行っちゃった」

谷口「やっぱ元気……まだ無いみたいだな」

国木田「ね。それに合わせてか、涼宮さんもなんか静かになっちゃったし……」

谷口「涼宮が静かなんて、ちょっと不気味だけどな……」

ハルヒ「……」ガタッ

国木田「……教室行っちゃった」

谷口「聞こえてたか……迂闊」

国木田「全くもう」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 04:03:02.16 ID:eYZh/lX0O

放課後

古泉「や、こんにちわ」

キョン「ん、どうした古泉。俺たちのクラスにわざわざと」

古泉「長門さんの事で少し……調べた所、今日は欠席しているようですね」

ハルヒ「有希が?」

古泉「ええ。どうします? 今日の部活……」

ハルヒ「いつも通り、自由参加よ。集まりたいなら部室に集まればいいのよ!」

キョン「帰ってもやる事無いしな……よし、行くか」

古泉「そうですね」

ハルヒ「あ、じゃあ先行ってて。私もすぐに追いかけるから」

キョン「了解だ、行くぞ古泉」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 04:09:20.92 ID:eYZh/lX0O

キョン「で、昨日何を話したんだ? その……」

古泉「古畑さんですか。相変わらず、事件の事ですよ」

キョン「へえ、何か重大な情報を持っているとか?」

古泉「まさか。事件を何も見ていないんですから……事件の日に朝比奈さんと関わっていた、それだけで聞かれているだけです」

キョン「俺も同じ部員なのに、話は来ないもんだな」

古泉「通り魔の可能性が大きいですからね……古畑さんも、ただ情報を集めるために僕に聞いてるんですよ」

キョン「その割には、ずいぶん熱心に追いかけられてるじゃないか?」

古泉「よして下さいよ、全く」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 04:15:27.20 ID:eYZh/lX0O

キョン「はははっ、すまん。冗談でも言わないと元気も出なくてな」

古泉「そうです……か」

キョン「まあ、気にしないでくれ」

古泉「はい。何かあったら話して下さいね」

―ガチャリ

キョン「あ、ちょっと待て。部室の鍵は俺が持ってるんだ……」

古泉「え……でもこのドア、あいてますよ?」

―ギイィィィィ

キョン「閉め忘れかな?」

古泉「……?」

キョン「あ……」

長門『……』

古泉「長門……さん? 休みではなかったんですか?」

キョン「どうした長門、珍しくハルヒの席になんて座って。ささやかな反抗か?」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 04:21:25.59 ID:eYZh/lX0O

長門『……』

キョン「それにしても、昨日は一体どうしたんだ? 待ってたのに、結局来なくて……」

古泉「……!」

キョン「長門?」

古泉「触ってはいけませんっ!!」

キョン「えっ……」スッ

長門『……』ドサッ

……ゴロン


キョン「う……」

キョン「うわああぁぁぁぁぁ!!」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 04:23:04.26 ID:eYZh/lX0O

ハルヒ「さっきの声は何よ? 一体何騒いで……」

古泉「涼宮さん!!」

ハルヒ「な、なに……? 通せんぼなんかしちゃって……部室、入っちゃダメなの?」

古泉「ええ、いけません。このまま……外に」

キョン「長門……長門が……」

長門『……』

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 04:28:46.67 ID:eYZh/lX0O

古畑「ふ〜む……」

今泉「長門さん……」

古畑「報告」

今泉「は、はい。被害者は長門有希……この高校に通う生徒さんです。凶器は……制服のリボンです」

古畑「またか」

今泉「部室内は荒らされた様子がありません。抵抗した様子も……」

古畑「死亡した時間は?」

今泉「死後24時間はたってるかと」

古畑「昨日の夕方にはすでに……」

今泉「おそらくは」

古畑「他は?」

今泉「長門さんが座っていた椅子の下に、学生カバンがありました。中身も確認しましたが、長門さんの物ですね」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 04:35:02.06 ID:eYZh/lX0O

古畑「中身は教科書、文庫本と……コンビニ弁当?」

今泉「中身が半分残ってますね。少食で残したんでしょうか」

古畑「このお弁当……今泉君、彼女の財布は?」

今泉「あ、ここに」

古畑「……」ペラッペラッ

今泉「レシートなんか調べて、どうしたんです?」

古畑「……ありました。これを」

今泉「お弁当を買ったレシートですね」

古畑「日付はいつになってる?」

今泉「これは……昨日の朝……ですかね?」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 04:45:16.63 ID:eYZh/lX0O

古畑「今泉君」

今泉「は、はい?」

古畑「第一発見者の皆さんをここに。話を聞きたい」

今泉「わ、わかりました。呼んできます」

……

古泉「……どうも」

ハルヒ「警察、ね……」

キョン「……」

古畑「はじめまして、私古畑と言います。さっそくですがお話を……」

ハルヒ「私たちを疑ってるの?」

古畑「いえ、形式的なものですから。発見した時の様子を聞かせて頂きたいだけですよ」

キョン「……」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 04:55:38.96 ID:eYZh/lX0O

古泉「僕がお話しましょう。まず僕と彼……キョン君と一緒にこの部室に向かいました。4時過ぎだったと記憶しています」

今泉「4時過ぎ……と」

古泉「部室の鍵が開いていて……中を見ると長門さんが椅子に……」

古畑「普段、戸締まりはしていないんですか? パソコンやらプリンターやら、貴重品もあるようですが〜……」

古泉「今回はなぜか開いていましたね。鍵は、団長である涼宮さんと……交代でもう一人が持っている事になります」

古畑「鍵は2つあると?」

涼宮「これが私の鍵。団長だから、当然ね」

今泉「もう一つは?」

キョン「今回は、俺が持っています。ほら」

古畑「しかし、鍵はかかっていなかった、と……」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 05:03:50.01 ID:eYZh/lX0O

古畑「一つ、いいですか? キョン君」

キョン「は、はい?」

古畑「その鍵を貴方が手にしたのは……いつの事ですか?」

キョン「この鍵……最近休みや半日が多かったから、詳しくは……」

古畑「では、質問の仕方を変えましょう。『5日前』にその鍵を持っていましたか?」

キョン「5日前……」

古泉「2人が早めに帰った、あの日ですね」

キョン「ああ、思えばあの時から鍵を動かした記憶は無いなあ……」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 05:09:49.25 ID:eYZh/lX0O

古畑「涼宮さんも、鍵を渡したりは?」

古泉「涼宮さんのはマスターキーなんですよ。ですからこちらは基本的に受け渡しはありません」

古畑「それは変ですね〜。5日前……最後に部屋を出たのは朝比奈さんだと聞きました」

古畑「鍵を持っている2人が帰ってしまったら……戸締まりは一体どうしていたんですかね?」

キョン「……」

涼宮「あ」

古泉「確かに……それは変ですね」

古畑「この鍵がここに2つある……つまりこの部室の扉は……」

今泉「あ、ちょっと待って下さい古畑さん! 僕の推理聞いてくれませんか?」

古畑「え」

古泉「え」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 05:19:58.00 ID:eYZh/lX0O

古畑「推理って、一体何を?」

今泉「話を聞いていて、ピンと来たんです。ズバリ、この部室の扉は5日前からずっと開いていた! ここまではいいですね?」

古畑「半分私が言ってたからね」

今泉「そしてですね、外から侵入した犯人はこの部室に身を隠していたんですよ!」

古泉「……」

古畑「……いつ?」

今泉「昨日の夕方ですよ。そしてこの部室に入ってきた長門さんを……」

古畑「……はぁ」

キョン「……」

ハルヒ「バッカじゃないの! 昨日の夕方には、私たちがこの部室にいたのよ!」

今泉「え……」

古泉「怪しい人間など来ませんでしたよ。長門さんも来なかったんですが……」

古畑「長門さんが来なかった?」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 05:27:34.67 ID:eYZh/lX0O

古畑「何がですか?」

古泉「……」

古畑「?」

キョン「俺たちは、長門に呼び出されていたんですよ。長門は結局部室にいなかったがな……」

ハルヒ「部室でずいぶん待ったけど、来なかったの。あ、時間は30分くらいよ」

キョン「もちろんその時には……椅子に長門の姿は無かった」

ハルヒ「私が座ったから、確かよ」

今泉「う、ううん……」

古畑「なるほど、昨日の話を聞く手間が省けました。ありがとう今泉君」

今泉「そ、そんな嫌みっぽく言わないでくださいよぉ……」

古畑「さて、話を戻しますよ皆さん」

古泉「……」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 05:35:37.86 ID:eYZh/lX0O

古畑「鍵がずっと開いていた事を考えると……誰でもこの部室に入る事ができた可能性があります」

古畑「他の生徒さんや教師……」

古泉「それこそ、不審者もですね」

古畑「そうですね〜……しかし、部室の様子を見ても争った様子が無い……」

今泉「顔見知りの犯行ですか?」

古畑「不審者の線はないでしょう。かと言って、皆さんにはアリバイがあります。疑う事もできません」

キョン「八方塞がりか」

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 05:45:17.54 ID:eYZh/lX0O

古畑「ちなみに、今日の放課後以外で部室に近付いた方はいますか?」

古泉「……」

ハルヒ「……」

キョン「……」

古畑「例えば早朝とかお昼休みとか……ありませんかね〜?」
古泉「お昼はいつも通り教室にいましたね」

キョン「俺は、図書室にいたぞ」

ハルヒ「私も、適当にブラブラしてたけど……部室には行ってないわ」

古畑「そうですか。何か変化があったら、と思ったんですが……」

キョン「俺たちは、事件の事をあまり知らないから……特に意識もしてなかったですし」

古畑「そうですよね〜。最初はキョン君と涼宮さんがSOS団だと知らなかったんですよ」

ハルヒ「私たち? どうしてかしら?」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 05:52:10.02 ID:eYZh/lX0O

古畑「古泉君から話を聞きましてね。事件には無関係という事で……私たちもあまり話を伝えてませんでした」

キョン「……古泉が?」

古畑「ええ。最初は部員数は3人と……朝比奈さんと長門さん、そして古泉君と」

ハルヒ「それは確かに不思議な話ね」

古泉「今でこそ、こうして話をしてますが……最初の事件ではお二方は無関係だと言ったはずです。そのせいですよ」

キョン「……なあ古泉、お前は警察の人とよく話してるんだよな?」

古泉「まあ……多少は」

キョン「朝比奈さんの事件は、通り魔による犯行って言われてるんだよな?」

ハルヒ「私もテレビで見たわ」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 05:57:39.03 ID:eYZh/lX0O

キョン「それは……本当テレビや新聞の言う通りなのか古泉?」

古泉「僕も、詳しくはわかりませんよ。本当に、古畑さんとちょっと話をしたくらいで……」

キョン「おかしいよな。警察は通り魔を追ってるのに……よくお前に話を聞きに来る」

今泉「……」

古泉「何が……ですか?」

キョン「この古畑って人は、お前を疑ってるんじゃないのか?」

古畑「ん〜……」

古泉「また冗談ですか。よして下さいと……」

キョン「結構、本気だぞ?」

ハルヒ「キョン……?」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 06:04:10.80 ID:eYZh/lX0O

キョン「お前が殺したのか? 古泉」

古泉「……」

今泉「お、落ち着いてキョン君……」

ハルヒ「そうよキョン。だいたい、私たちは疑われてここにいるわけじゃ無いじゃない……」
キョン「それはあくまで、朝比奈さんの事件……通り魔の可能性があるからだろ。でも長門の場合はどうだ」

ハルヒ「それは……」

キョン「長門は部室で殺され、発見者は俺たちだ。疑われても仕方が無い」

古泉「それはそうかもしれませんが……」

キョン「だが、古泉は違う」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 06:10:46.39 ID:eYZh/lX0O

キョン「朝比奈さんの事件の後、古畑さんと話している。それも2回も」

古泉「それは人間関係などを古畑さんに聞かれたから……」

キョン「建前じゃないのか? お前が怪しいから、何度も話を聞いてるんじゃないのか?」

ハルヒ「……」

今泉「そ、そんな事は無いですよ! ね、古畑さん?」

古畑「……」

今泉「古畑さん……?」

キョン「なあ古泉。俺はお前を友人だと思っている」

古泉「……僕もですよ」

キョン「警察が話を聞きにくるんだ。お前にその気は無くても……『疑われる何か』を持っている可能性だってあるんだ」

ハルヒ「キョン……」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 06:18:16.33 ID:eYZh/lX0O

キョン「なあ……何か覚えは無いのか? まだ話してない事とか……」

古泉「……」

キョン「古泉!」

古泉「ありませんよ、何も……ね」

古泉「確かに僕の行動は疑われる部分も多かったかもしれません。ですが……それが殺人に結び付く事は無いと自負しています」

古泉「それは、古畑さんの方がご存知だと思いますが……」

キョン「そうなんですか?」

古畑「……ええ。古泉君を全く疑っていなかったわけではありません。しかし何を調べても……証拠も動機も、ありません」

キョン「そう……ですか」

キョン「すまん、古泉……」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 06:25:13.75 ID:eYZh/lX0O

古泉「いいんですよ、人が周りで死んで落ち着いている事など……できませんからね」

ハルヒ「そう……ね」

キョン「本当に悪かったな」

古泉「気にしてませんよ」

古畑「とりあえず、丸くおさまったみたいですね〜」

今泉「いやあ、よかったよかった……!」

古畑「今日は、ありがとうございました。これ、私の連絡先です。何かあったらまた……」

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 06:33:39.67 ID:eYZh/lX0O

今泉「あ、一応皆さんの連絡先もお願いします。お話がまたあるかもしれないので……」

ハルヒ「わかりました……何か書く物無いかしら……」

キョン「……お、ちょうど良い紙が。俺の住所を……はい、これ」

ハルヒ「私も、はい」

今泉「ありがとうございます」

キョン「……また明日から休校かな」

古泉「来ても、午前中だけでしょうかね」

ハルヒ「それも、少し寂しいわね」

キョン「まあ……帰るか」

古泉「では、失礼します。古畑さん」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 06:43:16.80 ID:eYZh/lX0O

今泉「みんな、帰っちゃいましたね」

古畑「……」

今泉「古畑さん?」

古畑「長門さん……」

今泉「……話を、聞けなかったですね」

古畑「そうだな」

今泉「誰が2人を殺したんでしょうね」

古畑「……今泉君は、どう考えてるの?」

今泉「朝比奈さんは通り魔に、長門さんは……学校内の誰かに、かと」

古畑「長門さんの理由は?」

今泉「鍵が開いていたなら、誰でも部室に入れた事になります。ですから、学校内の人間なら犯行は可能かと……思います」

古畑「なるほどね〜……」



107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 06:48:02.83 ID:eYZh/lX0O

今泉「あ、あの古畑さん!」

古畑「ん〜?」

今泉「僕の推理……全く役にたちませんかね……」

古畑「どしたのいきなり?」

今泉「だってさっきだって……笑われちゃいましたし……自信無くなっちゃいますよ」

古畑「さっきの推理、誉めたよね?」

今泉「い、嫌みで言ったんでしょう!」

古畑「嫌みじゃないよ。今泉君の切り込みの角度……わかる?」

今泉「角度ですか……?」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 06:59:35.80 ID:eYZh/lX0O

古畑「今泉君は、長門さんを殺害した犯人を……最初から『通り魔』あるいは『不審者』を犯人として推理していたね」

今泉「は、はい」

古畑「その推理を先に披露する事により……彼らを『疑っていない』というアピールになりました」

古畑「事件の核心は、あまり話せませんから……結果的に助かったんだよ」

今泉「で、でもキョン君は最終的に古泉君を疑ってましたよ?」

古畑「彼は事件の事をあまり知らないからね。断片的な情報でああなる事も十分考えられる」

今泉「……」

古畑「少しは安心した?」

今泉「は、はい! これからも頑張りますっ!」

古畑「じゃあ、とりあえず整理しておこうか」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 07:23:06.26 ID:eYZh/lX0O

古畑「2人目の犠牲者……長門有希さんが殺害されました」

今泉「死因は絞殺。凶器は朝比奈さんの時と同じ『制服のリボン』でした」

古畑「死亡推定時刻は……4日目の昼から夕方……この日SOS団の皆さんは長門さんから部室に呼び出されたみたいですが……」

今泉「長門さんは現れず。その日はみんな解散したみたいですね」

古畑「そして次の日……放課後に部室を開けてみるとそこに……」

今泉「長門さんの遺体がありました……」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 07:30:26.73 ID:eYZh/lX0O

古畑「遺体の様子からして……彼女が部屋の外から運ばれた事実はありません」

今泉「最初僕は部外者の犯行かと思いましたが……」

古畑「私はそうは思わない。長門さんの件はやはり学校内の誰かが……」

今泉「この2つの事件は、関係あるんですかね?」

古畑「同じSOS団の方が連続で死んでいる……無関係では無いでしょう。しかし……まだ情報が足りない」

今泉「そうみたい……ですね」

古畑「それは、また明日からの捜査で……」

今泉「はい」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[age] 投稿日:2010/06/16(水) 07:36:51.17 ID:eYZh/lX0O

6日目

今泉「古畑さん、今日はどうするんですか?」

古畑「話を聞きに行く」

今泉「また古泉君ですか?」

古畑「今回は、キョン君と……涼宮さんにね」

今泉「あの2人に?」

古畑「昨日は長門さんの事件で手一杯だったからね。やっぱり、情報を……」

今泉「でも、素直に話してくれますかね? 古泉君みたいにまた色々嘘をつかれたら……そろそろ整理もできませんよ?」

古畑「それは、何となく大丈夫な気がするよ」

今泉「何でですか〜?」

古畑「ん〜……何て言うか……うまく説明が……」

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 07:41:51.82 ID:eYZh/lX0O

古畑「言うなれば、1対4でババ抜きをしていた感じかな」

今泉「え? どういう意味です?」

古畑「まず『1』が私。『4』は、朝比奈さん以外のSOS団メンバーです」

今泉「それは何となくわかりますが……ババ抜きって?」

古畑「SOS団から情報というカードを全部集められれば私の勝ち。おわかり?」

今泉「んん……?」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 07:53:24.09 ID:eYZh/lX0O

古畑「最初にカードを引いたのは……誰からかわかる?」

今泉「古泉君……ですか?」

古畑「当たり。この古泉君がいきなりくせ者だった。カードを何枚か公開してくれていたんだからね」

今泉「カード……情報ですよね。情報を見せてくれてるなら、ラッキーじゃないですか?」

古畑「その見えている情報は虚偽……結果的にカードを『引かされた』形となったんだよ」

今泉「それは確かに……」

古畑「しかも、彼は2枚のカード……キョン君と涼宮さんの事を明らかに隠していた」

今泉「全部、計算っていう事ですか?」

古畑「彼は、色々と考えてあの証言をしていたんでしょうね。その深い部分までは、全部わからないけどね」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 07:59:56.57 ID:eYZh/lX0O

今泉「SOS団員については、長門さんも嘘をついていた事になりますよね?」

古畑「長門さんは、古泉君の『作戦』に合わせた印象かな」

今泉「合わせた?」

古畑「彼女はこっちのカードを探りながら、話をしている様子だった。古泉君がカードを見せる様子を横目で見て……それに合わせた感じがしたよ」

今泉「あの場で合わせてたんですか?」

古畑「彼女も頭がいいみたいだからね。ただ、SOS団の意味など……手札が見えない部分はどうしても消極的な発言をしていた印象が残る」

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 08:07:04.14 ID:eYZh/lX0O

今泉「では、残りの2人は……?」

古畑「キョン君は、ルールを守って普通に勝負をしている感じかな。作戦や思惑など、何も考えず……ね」

今泉「涼宮さんは?」

古畑「彼女も、今は同じ。でもこの2人は手札が全く見えないから……不安なんだ」

今泉「不安って、どうしてです?」

古畑「今泉君、ババ抜きはどうなったら負け?」

今泉「最後までババ……ジョーカーを持っている人が負けになりますよね」

古畑「そう。残り3人の中で……誰がジョーカーを持っているかわからない」

今泉「ジョーカーな情報も、持っている分には有利なんじゃないですか? 情報なんですし……」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 08:11:18.63 ID:eYZh/lX0O

古畑「殺された理由もわからない……その中でそんな危ない情報をもっていたら、こっちが教われそうで……」

今泉「弱気に……なってるんですか?」

古畑「情報がまだ足りないから……ね」

今泉「じゃあ、カード集めればいいんですよ! さあ、誰に話を聞きにいきますか!」

古畑「ふふっ、その様子じゃあ、意外と今泉君がジョーカーを引いてくれるかもね」

今泉「ええっ! 死にたくはありませんよ……」

古畑「さ、行こう。まずは……」

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 08:22:00.86 ID:eYZh/lX0O

頭働かないから、少し休憩です


今泉「で、でもこの何日かで結構情報が増えちゃいましたよね」

古畑「ずっと捜査しているからね」

今泉「キョン君にしろ、涼宮さんにしろ……聞きたい事をちゃんと整理してから向かった方がいいと思うんですよ」

古畑「それは確かに、ね」

今泉「ですよね。事件に関係ある事と……聞き忘れがないようにちゃんとしないと……」

古畑「自分はちゃんと頭に入ってるよ」

今泉「……置いてきぼりは嫌ですからね。僕も頑張ります」

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 13:56:56.34 ID:eYZh/lX0O

見直したら、誤字脱字多すぎワロタ。反省


ハルヒ「お待たせしちゃったかしら?」

古畑「いえ、すいませんね。午前中から呼び出したりして」

ハルヒ「今日は土曜日で学校も無いですから……気にしないで下さい」

今泉「じゃあ……落ち着ける場所にいきましょう。それから話を聞かせて下さい」

ハルヒ「わかったた」

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 14:05:32.89 ID:eYZh/lX0O

保守ありがとうございました


ファミレス

古畑「何か食べますか?」

ハルヒ「大丈夫よ。それより話を……」

古畑「そうですね。では早速ですが……長門についてお話を」

ハルヒ「有希の何を話せばいいのかしら?」

古畑「誰かに恨まれていたとか……悩みがあったとか、何でもいいのですが」

ハルヒ「あまり感情を表に出さない子だから……悩みはともかく、恨まれるような子じゃないわ」

今泉「れ、恋愛関係で悩んでいたりとか?」

ハルヒ「……さあ。相談も受けた事ないもの。込み入った事情は知らないわ」

古畑「そうですか。では事件のあった日の事を少し……」

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 14:13:29.07 ID:eYZh/lX0O

ハルヒ「……何を話せばいいの?」

古畑「何でも。何かお気付きになった事があれば」

ハルヒ「何度も言うけど、部室で待ってたけど……有希は現れなかった。それだけよ」

古畑「他に何か変わった事は?」

ハルヒ「さあ? だって本人に会ってないんですもの」

古畑「では、長門さんに呼び出されたというのは〜?」

ハルヒ「有希が話したい事があるからって……私の下駄箱に手紙が入ってたわ」

今泉「手紙ですか?」

ハルヒ「というより、印刷用紙ね。プリンターから印刷された、A4用紙。それで呼び出されたの」

古畑「キョン君と古泉君も?」

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 14:19:47.16 ID:eYZh/lX0O

ハルヒ「そうみたいね。3人で合流して、部室で待機。でも有希は来なかったわ」

今泉「……」

古畑「わかりました。そして、次の日に部室に行ったら……長門さんがいたと……」

ハルヒ「……」

今泉「それ以外も、何か変わった事は……無いですかね?」

ハルヒ「ないわよ。アンタが言った、外部の人間だって見たかったわ」

今泉「あ、あれか……捜査してる立場上故の先入観と言いますか……」

ハルヒ「まあ、推理するのは勝手だけど。私たちは情報を話すしかできないんだから、警察にしっかりして貰わないとね」

古畑「これは手厳しい……」

今泉「は、はあ……」

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 14:29:29.24 ID:eYZh/lX0O

ハルヒ「……で、他には何を?」

古畑「では次に、朝比奈さんの事について少し……」

ハルヒ「そっちの話もするの? 私、よく知らないのが現状なのよね……」

古畑「質問に答えて頂くだけで結構ですよ。確かその日……涼宮さんとキョン君は夕方5時にはすでに部室にいなかったと聞きました」

ハルヒ「ええ、早めに帰ったわね。部室の鍵については私もわからないけど」

古畑「いえ、そちらはお気にせず。やはり彼と2人で帰ったのですか?」

ハルヒ「……一応、ね」

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 14:36:21.50 ID:eYZh/lX0O

今泉「いやあ、青春ですね! いいなあ。僕も学生時代はね、よく寄り道して怒られましたよ、ははっ」

ハルヒ「キョンとは……そんなんじゃないです」

古畑「今は無駄口をすると怒られるけどね、今泉君」

今泉「す、すいませんつい……」

古畑「どこかに寄り道などは?」

ハルヒ「ちょっとブラブラしたかしら。『あの公園にも行ってたわよ』」

今泉「公園にいたんですか?」

ハルヒ「ええ。休憩するにはいい場所ですもの」

古畑「その時、誰か怪しい人などはいませんでしたか?」

ハルヒ「んー……キョンと話していたから、あまり気にしなかったわ」

古畑「その公園で朝比奈さんを見かけましたか?」

ハルヒ「私は『見ていない』わよ。適当に話して、すぐ帰っちゃったから……時間も覚えてないしね」

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 14:44:13.24 ID:eYZh/lX0O

古畑「公園から出たのは、キョン君と一緒にですかね?」

ハルヒ「キョンとはそこでお別れ。後の事は知らないわ。私も真っ直ぐ帰宅したから……」

古畑「ん〜……なるほど、わかりました。今泉君」

今泉「なんです?」

古畑「他に何か聞きたい事ある?」

今泉「そうですね……あ、引換券の事を」

ハルヒ「引換券?」

今泉「この、アイスの引換券に見覚えは? あの公園に出ているお店のなんですけど……」

ハルヒ「あら、どうしてアンタが持ってるのよ。それ……『私がキョンにあげたのよ。2枚ともね』」

今泉「涼宮さんが?」

ハルヒ「有希と一緒にアイスを買ったら……なんか当たっちゃったから」

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 14:49:35.19 ID:eYZh/lX0O

古畑「その時も確か……2枚当てたとお聞きしました。普通そういう時はお友達と……1枚づつ分けるんじゃないですかね〜?」

ハルヒ「その時はそうしてたわよ。でも事件のあった日に、有希が私にくれたのよ」

今泉「ほ、本当ですかそれ!」

ハルヒ「嘘言ってどうするのよ。私が財布から奪ったっていうの?」

今泉「だ、だって長門さんは譲渡した記憶は無いっ……」

ハルヒ「その券が2枚揃っているのが証拠よ。私は有希から券をもらって、キョンに渡している。『これは事実よ』」

今泉「ええ〜……」

ハルヒ「なによ、いちいち突っかかるわね?」

今泉「だ、だって……」

古畑「んふふ、なるほど……そういう事ですか」

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 15:13:36.24 ID:eYZh/lX0O

今泉「何かわかったんですか?」

古畑「長門さんの嘘……偽証をしていた可能性ですよ。長門さんが言っている事は、涼宮さんの言葉と矛盾する」

ハルヒ「私は嘘は言ってないわよ」

古畑「そうみたいですね」

今泉「ま、まあ古畑さんがそういうなら……」

ハルヒ「それで、他には何かあるかしら?」

古畑「そうですね……特にこれと言っては。本日はありがとうございました」

ハルヒ「じゃあ、私は帰るわ」

今泉「な、何かあったら連絡下さいね」

ハルヒ「ええ、そちらこそ。では……失礼しますね」

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 15:22:01.40 ID:eYZh/lX0O

今泉「ふぅ……」

古畑「……」

今泉「はぁ……」

古畑「……」

今泉「アクノチシラバス……」

古畑「うるさいな。それに名前間、違ってるよ」

今泉「独りため息もしたくなりますよ……」

古畑「ため息は独りでするもの。原因はさっきの話?」

今泉「だって、古畑さんに言われて納得はしましたけど……何かモヤモヤするんですよ」

古畑「……それは納得したって言わないの。長門さんと涼宮さん、どちらかが嘘をついてると?」

今泉「多分……」

古畑「ふぅ、あの場はああ言ったけどね……『両方とも嘘は言ってない』と思うよ」

今泉「え、ええっ? だって長門さんの言葉は……」

古畑「言葉が噛み合わないのは、歯車が抜けているからだよ」

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 15:30:05.50 ID:eYZh/lX0O

今泉「よくわかりませんよ……」

古畑「長門さんの言葉と涼宮さんの言葉……古泉君の言葉を思い出せば……」

今泉「古泉君の?」

古畑「以前、証言内容について問い詰めた事があったでしょう。あの時、古泉君に長門さんの事を聞いたのは覚えてる?」

今泉「えっと……」

古畑「どうして、彼女も部員が3人と答えたかを、古泉君に問い詰めた時だよ」

古畑「彼は……」

古泉『案外、聞かれた事に答えただけなのかもしれませんね』

今泉「言ってた……ような」

古畑「あの時の私たちの頭の中は、SOS団には3人しか部員がいないと思っていた……質問の前提がおかしかった状態だよ」

今泉「長門さんには、キョン君と涼宮さんの事何も聞きませんでしたね……」

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 15:37:14.13 ID:eYZh/lX0O

古畑「長門さんは、古泉君の思惑を汲み取って……話を合わせたんだろう。なるべく新しい単語を出さないようにね」

今泉「なぜ、聞かれた事に答えただけ、ってなるんですか?」

古畑「質問の仕方だろうね。3人しかいないと思い込んでいれば、あまり話は広げられない。彼女の答え方にしても」

長門「『朝比奈みくるに』引換券を譲渡した記憶は無い」

古畑「これは本当。涼宮さんに渡していたんだからね」

今泉「確かにそう言われれば……」

古畑「長門さんの証言は……結果的に曖昧な物として残ってしまった。嘘があったとしても、古泉君の話に合わせた嘘だろうね」

今泉「SOS団の意味、とかもですか?」

古畑「おそらくはね」

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 15:40:40.28 ID:eYZh/lX0O

古畑「長門さんの証言は『嘘で足りない部分も補って』推理するしかないね」

今泉「そう……みたいですね」

古畑「じゃあ、次はキョン君の家へ……」

今泉「わかりました」

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 15:58:02.17 ID:eYZh/lX0O

ピンポーン

キョン「あ、いらっしゃい。時間ぴったりですね」

古畑「どうも。お邪魔しますよ」

今泉「お邪魔します」

キョン妹「あれー、大人のおきゃくさんだ。キョンくんおっとなー」

キョン「ほら、挨拶して」

キョン妹「こんにちはー」

古畑「はい、こんにちは」

今泉「可愛らしい妹さんですね」

キョン妹「わー、タコさんだタコさんだ」

キョン「こ、こら……すいませんね、全く……」

今泉「い、いいんですよ……ははっ。子供の言う事ですから……」

キョン妹「ぴかぴか〜」

今泉「は、ははっ……はぁ……」

キョン、古畑「やれやれ……」

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 16:13:04.04 ID:eYZh/lX0O

キョン「どうぞ。ここが俺の部屋です。で……何を話せばいいんです?」

古畑「まずは長門さんの事件があった日についてなんですが……思い出すのはつらいでしょうけど、何とかお話できませんか?」

キョン「長門……」

今泉「……」

キョン「わかってます。何でも聞いて下さい」

古畑「ありがとうございます。では……長門さんを発見した時の事をお願いします」

キョン「はい。放課後、古泉と一緒に部室へ……」

古畑「それは部活のためですか?」

キョン「はい。長門がその日休みとは聞いてましたけど、なんだか気になったのもあって……」

古畑「そして、部室に入ったら長門さんがいたと……様子はどうでした?」

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 16:19:45.08 ID:eYZh/lX0O

キョン「昨日言ったように、鍵はかかってなくて……でも部屋の中に変化は無かった……と思います」

古畑「長門さんの様子は何か?」

キョン「本当に……うつむいて座っているだけでした。ちょっと肩を叩いたら、崩れ落ちて……変化に気付いて……」

今泉「昨日も鑑識に、同じ証言をしていますね」

古畑「なるほど……昨日いなかったはずの彼女が部室にいた……と」

キョン「俺が見たのはそれだけです。他は何もわかりません」

古畑「わかりました、では次の質問なんですが……呼び出した日に、長門さんが何を話そうとしていたか、心当たりがありますか?」


150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 16:29:23.51 ID:eYZh/lX0O

キョン「全く無いですね。事件の事かもしれないですけど……俺は朝比奈さんの事件については何も知らないので……」

古畑「全く、何も知らないんですか?」

キョン「ええ。部活では少しお話してましたけど……早い時間に帰ったんで」

古畑「朝比奈さんと、部活の時以外で会いませんでした?」

キョン「……会ってないです」

古畑「そう……ですか。実はここに、こんな物があるんですがね〜……」

キョン「あ……」

古畑「見覚えありますか。あの公園にあるアイス屋の……」

キョン「引換券……」

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 16:37:47.40 ID:eYZh/lX0O

古畑「涼宮さんにお話を伺った時、彼女はこう話していました」

ハルヒ『有希から引換券をもらって、事件のあった日に、キョンに2枚ともあげた』

古畑「こんな内容でしたね。朝比奈さんと会ったのが部活の時間だけなら……当然引換券をその時に渡した事になります」

古畑「しかし、そんな話は誰からも聞けませんでした。皆さんが嘘を言って口車を合わせたんでしょうか?」

キョン「……そんな券、よくあるオマケじゃないですか。ハルヒや朝比奈さんも女の子ですから、何枚か集めていたり……」

古畑「この券がよく出回っていると?」

キョン「ええ、そういうクーポン増えましたからね。今さら不思議な物というわけじゃあ……」

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 16:50:52.29 ID:eYZh/lX0O

古畑「この引換券に関していえば、不思議なんですよ」

キョン「?」

古畑「実はこの引換券……1日に1枚出るか出ないかぐらい珍しい物なんですよ」

キョン「え……」

古畑「ここに2枚あるのは、長門さんと涼宮さんがアイスを購入した時に……くじ引きで当てた2枚です」

今泉「僕も2枚当てましたよ!」

古畑「……」

キョン「……」

古畑「あ、えっと……アイス屋さんに確認したら、最近の当たりはこの『4枚だけ』だそうです、はい……」

古畑「ありがとう今泉君」

キョン「そんな……」

古畑「時期的に、長門さんが券を動かす事はできません」


今泉「この券を……朝比奈さんに渡したんですか?」

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 16:57:51.66 ID:eYZh/lX0O

キョン「俺は……渡していません」

今泉「!」

古畑「本当ですか?」

キョン「はい……俺は……」

古畑「わかりました。では次ですが……」

キョン「……」

古畑「そんなに気にしないで下さい。情報をまとめるのは私たちの仕事ですから……ここにいる今泉が頑張ってくれるはずです」

今泉「え? 僕がですか?」

古畑「君の推理、期待しているよ」

今泉「か、勘弁して下さいよ……」

キョン「は、ははっ」

古畑「そう、リラックスです……落ち着きましたか?」

キョン「はい、少しは」

古畑「続けても大丈夫ですか?」

キョン「ええ、大丈夫です」

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 17:12:53.87 ID:eYZh/lX0O

古畑「次は……朝比奈さんの事件についてなんですが……」

キョン「朝比奈さん、ですか……」

キョン「……」

古畑「何か、差し支えがありますか?」

キョン「自分は、その事件については何もしりませんから……それに、話をするのが少しつらくて……」

古畑「ふむ〜……」

今泉「なんとか、お願いできませんかね?」

キョン「すいません……」

古畑「よっぽどなんでしょうね〜……」

キョン「ええ、事件の起こった日には……魂が抜けちまったみたいで。何も考える気になれなくて……」

古畑「……つらいですよね」

キョン「すいません」

古畑「では朝比奈さん自身の事について……ちょっとだけいいですか?」

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 17:23:13.29 ID:eYZh/lX0O

古畑「朝比奈さん、恋愛で悩んでいたようでしたが……何か聞いてませんかね?」

キョン「えっと……何か悩んでいたのは朝比奈さんから少し聞きました。相手とか……細かい事は俺にはわかりません」

古畑「他に、悩んでいた事などは?」

キョン「さあ、特に……」

古畑「んん〜〜……」

今泉「やはり、朝比奈さんに関しては似たような証言ばかりですね」

古畑「今泉君から、何か聞きたい事は?」

今泉「僕ですか? えっと、じゃあ…SOS団の本当の意味を……」

キョン「はい? どうしてそんな事を?」

今泉「いやあ、古泉君がですね……」

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 17:36:25.86 ID:eYZh/lX0O

……

キョン「なるほど、そんな事を。どうしてそんな嘘を?」

古畑「古泉君にも、何か理由があったのでしょう。人はみんな嘘つきです……」

キョン「……」

古畑「しかし、私はそこを非難するつもりはありません」

キョン「あいつは、何も考えず嘘をつく人間じゃないですからね」

古畑「そうですね……貴方と古泉君は、非常に信頼しあってるようですね」

キョン「そんなんじゃないですよ。あいつは俺と違って……『戦ってますから』ね……」

今泉「え、何がですか?」

キョン「……いえ、気にしないで下さい。それより、SOS団の意味でしたっけ?」

今泉「はい、ぜひ!」

キョン「SOS団の意味、それはですね……」


160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 17:44:57.51 ID:eYZh/lX0O

古畑「あ〜、あ〜、あ〜……」

今泉「ど、どうしたんですか古畑さん、そんな声出して?」

古畑「いやあ、なんかここで答えを聞いてしまうと……勿体ないような気がして」

今泉「も、勿体ないってなんですか?」

古畑「あれから古泉君に言われて……自分なりに色々考えてね。それがなかなか、楽しくて……」

今泉「じゃあ、答え合わせって事でいいじゃないですか?」

古畑「私は、聞くのを遠慮してえきますよ。ではキョン君……本日はありがとうございました」

キョン「え、あ、はい」

今泉「え……え……」

キョン「じゃあ、話しますよ、今泉さん」

今泉「お、お……」

161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 17:52:26.06 ID:eYZh/lX0O

古畑「……」

今泉「お、お邪魔しました〜……」

キョン妹「ばいばいタコさん〜。ウインナーさんまたね〜」

古畑「新しい、あだ名が増えたね」

今泉「ウインナーってなんですか、ウインナーって……」

古畑「どうでした、SOS団の意味は」

今泉「ああ……結局僕も聞きませんでしたよ。なんか自分も古畑さんの言う事がわかる気がして……飛び出してきちゃいましたよ」

古畑「そう」

今泉「それで……これからどうするんですか。もう関係ありそうな人は全員……」

古畑「ん〜……」

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 18:01:38.53 ID:eYZh/lX0O

古畑「ここまでの話を聞いて……大体の流れはわかったよ」

今泉「流れ、ですか?」

古畑「犯行や……行動。思いあたる所はある」

今泉「え……それじゃあ、朝比奈さんを殺害した犯人は?」

古畑「んん〜……」

今泉「長門さんを殺した犯人もわかったんですか?」

古畑「……今泉君」

今泉「な、なんですか?」

古畑「鑑識から、何か新しい情報は?」

今泉「あ、ありません。長門さんの事件についてだって……怪しい部分に指紋も付いてなかったですし……」

今泉「何か物的証拠が見つかったわけでもありません……」

古畑「そう、証拠だよ。証拠……これが足りない」

今泉「じゃ、じゃあどうするんですか……」

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 18:27:37.17 ID:eYZh/lX0O

古畑「証拠が0……つまり、私の『憶測の域』を出ないという事……」

今泉「そ、そんなんじゃダメじゃないですか……」

古畑「……」

今泉「……」

古畑「本人から、直接証拠を手に入れるしかないでしょう」

今泉「本人って……まさか犯人ですか……?」

古畑「ええ」

今泉「い、いや……どうやって?」

古畑「明日までにですね……」

……

今泉「え、これを作ってくればいいんですか?」

古畑「頼んだよ」

今泉「ま、まあ命令ならば……」

古畑「では、その前に今日の情報を……」

今泉「……整理ですね、わかりました」

166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 18:38:03.55 ID:eYZh/lX0O

古畑「今日は……最後のSOS団。キョン君と涼宮さん、この2人に話を聞けました」

今泉「確かに情報は多少埋まりましたけど……」

古畑「まずは、アイスの引換券……これは涼宮さんが長門さんから受け取り……キョン君に2枚渡したと言っています」

今泉「自信たっぷりでしたね」

古畑「逆にキョン君は……この券は朝比奈さんに渡していない、と言いました……」

今泉「あ、あれ? キョン君に『この引換券を、涼宮さんから受け取ったか』聞きましたっけ?」

古畑「質問したのは今泉君だよ。朝比奈さんに券を渡したか、だけ聞いてたね」

今泉「あ……」

古畑「でも、これはあまり大きな問題では無い」

167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 18:45:56.21 ID:eYZh/lX0O

古畑「朝比奈さんの財布の中に券が2枚あれば……とりあえずそれでいいんです」

今泉「……涼宮さんが、公園にいたと言うのは?」

古畑「いた可能性はあるが……証拠は無い。他の入り口もあるし、店員さんの目撃証言も無いからね」

今泉「あの、こう聞いていると『公園の事件はまだ解決できない』ような気もするんですけど」

古畑「なぜ?」

今泉「証拠も、証言も……確証が何も無いじゃないですか」

古畑「確かに、公園の事件は……それこそ私の憶測みたいなものだよ」

今泉「えっ? じゃあなんで……」

古畑「問題は……学校で起こった、長門さんの事件……」


169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 18:55:40.64 ID:eYZh/lX0O

古畑「外部の犯行ではなく……遺体が動かされた後も無い。これだけならシンプルな事件なのはわかるね」

今泉「まあ、なんとなくは」

古畑「前日に部室に集まり、長門さんを待っていた……そして次の日の放課後に、部室で座っている長門さんを発見した。この犯行のミソは時間」

今泉「死亡推定時刻が丸1日ありますからね……」

古畑「はっきり言って、情報はこの程度です。しかし私にはわかります……証拠はありませんけどね」

今泉「もう……」

古畑「頼むよ、明日は。全ては今泉君次第だからね」

今泉「は、はい……」

174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 19:13:06.04 ID:eYZh/lX0O

古畑「あ、それと……この6日間で『一度も部室の鍵を閉めていない』という表現を出してましたが……一ヶ所だけ、鍵を閉めるタイミングがありましたね」

古畑「その後に部室の鍵が閉まったかでしょうか? それとも開いていたのか……どっちでしたかね」

古畑「そしてそれが事件に関係あるのかは……まだわかりません」

古畑「こういう事項を考えてみれば……少しは情報も埋まるんではないでしょうか」

古畑「さて、私のお話はとりあえずここまでです……明日はどうなるのでしょうね」


179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 19:20:17.80 ID:eYZh/lX0O

古畑編はここまで。

この後は解決編書き溜めしながら……

本文の中で分かりにくい部分とか、気になる箇所ががあったら答えていこうとか、考えてたんですが。

SOS団編を書くか、ちょっと考え中

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 19:31:49.00 ID:eYZh/lX0O

やっぱりそっちですかね

終わってから独白も書くつもりもあったので……予定通りに

とりあえず、解決編書いてきます

読んでほしい半分、推理してほしい半分なので、どこか解説必要な部分があればどうぞ

正直、おかしな箇所が無いかの突っ込み待ちの意味もあったりと

186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 19:47:53.19 ID:eYZh/lX0O

7日目 早朝

SOS団部室

古泉「みなさん、呼ばれたみたいですね」

ハルヒ「全く、昨日の今日じゃないの」

キョン「何かわかったのかな?」

鶴屋「きっと犯人だよっ」

古泉「鶴屋さん……体の具合は大丈夫ですか?」

鶴屋「うん、元気にょろ。今はもう……大分マシになったさ」

キョン「そいつは、何よりです」

ハルヒ「……着いたわよ」

187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 19:53:07.58 ID:eYZh/lX0O

―ガチャッ

古畑「おはようございます、みなさん」

古泉「おはようございます」

キョン「どうも」

鶴屋「おはようさ」

ハルヒ「……って、何勝手に団長椅子に座ってるのよ! そこは私の席よ!」

古畑「いやあ、すいません。この椅子がなかなか気持ちよくて……ささ、みなさん、とにかく座って下さい」

鶴屋「はいっさ」ガタッ

ハルヒ「全く……なんで私がパイプ椅子なんかに……」ガタッ

キョン「文句が多いぞハルヒ」

古泉「……おや?」ガタッ

ハルヒ「何よ、この紙?」

古畑「おっと、まだその用紙には触らないで下さい。みなさん席に座りましたね……」

古泉「……説明してもらえませんか?」

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/16(水) 20:05:24.63 ID:eYZh/lX0O

古畑「わかりました。今日集まってもらったのは他でもありません……」

古泉「もしかして、犯人がわかったんですか?」

鶴屋「そ、そうにょろ。ドラマとかでよく見たパターンにょろ」

キョン「犯人はこの中にー、ってやつですか?」

鶴屋「まさにそうだよ! 謎は全て解けたってやつさ」

ハルヒ「いい事じゃないの」

古畑「いえ……期待させてすいませんが、まだ謎は解けていないのですよ」

キョン「えっ……」

鶴屋「そ、そうなのかい……」

ハルヒ「じゃあ、何で私たちがここに呼ばれたのよ?」

古畑「もちろん……少しでも情報を集めたいためですよ」

古泉「その答えが、この紙にあると?」

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 20:15:02.71 ID:eYZh/lX0O

古畑「そのプリントには……質問事項がいくつか書かれています。それを全て埋めていただきたいのですよ」

キョン「それは、やはり事件に関係のある?」

古畑「あるのかもしれない……という程度のものです。警察も必死なんですよ」

ハルヒ「このプリント用紙がねえ……」

古畑「んふふっ、今泉君が徹夜で作ってくれたんですよ」

古泉「……その今泉さんがいませんね?」

古畑「今ごろは布団の中でしょうね。さて……回答する前に幾つか注意事項があります」

キョン「本当に、試験みたいだな」

鶴屋「にょろ……」

ハルヒ「アンタはきっと赤点ね」

キョン「うるさいっての」

古泉「……古畑さん、お願いします」

古畑「んっふふふ。楽しそうな活動風景が目に浮かんできますよ」

195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 20:25:54.78 ID:eYZh/lX0O

古畑「質問の中で……意味がわからない問題もあるかもしれませんが、全てを埋めるようにして下さい」

古畑「なお、質問は一切受け付けません。全て書き終わったら、手をあげて下さい。回収に向かいます」

古泉「当然、カンニングや私語なども?」

古畑「もちろん無しです。まあ、そんなに気負わず……気軽に答えて下さい」

キョン「なんだか、緊張するな……」

ハルヒ「赤点取るのに緊張も何もないでしょう」

鶴屋「ささっと終わらせて街に繰り出すにょろ」

古泉「……すいません、初めて下さい」

古畑「わかりました……では、お願いします。開始です」

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 20:29:19.90 ID:eYZh/lX0O

ごめん、書き溜め諦めてたから順書きで
なるべく早めに、正確に書くつもり


キョン「……」

ハルヒ「……」

古泉「……」

鶴屋「……」

古畑「んふふ〜……昔を思い出しますね」

古畑「……おっと、私語は禁止でしたね。失礼しました」

……

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 20:36:37.09 ID:eYZh/lX0O

鶴屋「……はい」

古畑「はい、ありがとうございます」

キョン「……終わった」

古畑「回収に行きます」

ハルヒ「……こんなものね」

古泉「僕も、終わりました」

古畑「はい、では……みなさん終わりましたね」

古畑「ふ〜む……」

古畑「ん〜……」

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 20:39:25.25 ID:eYZh/lX0O

キョン「もう、帰っていいのかな?」

鶴屋「終わりかい?」

古泉「では、そろそろ……」

ハルヒ「そうね。それじゃあ私たちは……」

古畑「みなさん、ご協力ありがとうございました。しかし……まだお話があるんですよ」

鶴屋「にょろ?」

古畑「このプリントについて……お話があります。そのままご着席下さい」

キョン「……まだ終わってはくれないみたいだな」

ハルヒ「そうね」

古泉「ふぅ……」

200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 20:49:40.16 ID:eYZh/lX0O

キョン「だったら、説明してくれてもいいんじゃないか。そのプリントの問題に、どういう意味があるのか?」

鶴屋「とんちきな質問ばっかだったさ」

古泉「関係あるようで無さそうな……そんな質問ばかりでしたね」

ハルヒ「私は結構楽しかったわよ」

古畑「まあまあ、皆さん。一変に喋らないで……」

鶴屋「あ、そう言えば漫画でこういうの読んだ事あるにょろ! 一人だけ違うテストを受けさせて犯人をあぶり出して……」

キョン「日程をズラしたりするアレですか?」

鶴屋「そうにょろそうにょろ!」

古畑「え〜、それは心配ありません。皆さん同じ問題を受けて頂きました。変なトラップは仕掛けていません」

鶴屋「残念にょろ……」


202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 21:08:24.25 ID:eYZh/lX0O

古畑「ちなみに、これが元の問題用紙です」


1『名前をお願いします』

2『古畑さんと初めて会った日はいつですか?』

3『所属の部活をお願いします』
4『朝比奈みくるが殺害された日、誰かに持ち物を譲渡しましたか?』

5『朝比奈みくるが殺害された日の放課後、何をしていましたか?』

6『公園のアイスクリーム屋を知っているか』

7『アイスクリーム屋のサービスとは?』

古畑「これが1枚目です」

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 21:10:30.93 ID:eYZh/lX0O

古畑「2枚目です」

8『今、SOS団の部室の鍵を持っている?』

9『長門有希が消えた日の放課後、どこにいた?』

10『長門有希の遺体が発見された日、昼食は何を食べた?』

11『10の日、SOS団の部室に最初に入ったのは誰?』

12『この部室には今何人の人がいるでしょうか』

13『この7日間で、部室の鍵は一度も閉められなかった?』

14『朝比奈みくるを殺害した犯人は?』

15『長門有希を殺害した犯人は?』

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 21:17:09.59 ID:eYZh/lX0O

古泉「確かに、僕のプリントも変わりありません」

鶴屋「同じさ」

ハルヒ「同じね」

キョン「楽しんでやれるテストではないがな……」

古畑「すいませんね。しかし皆さん……ちゃんと埋めて下さいましたね」

ハルヒ「そういう決まりでしょうが!」

鶴屋「鶴屋さんはあんまり自信無いよ!」

キョン「自信の問題じゃありませんよ、鶴屋さん」

古泉「……皆さん」

古畑「んふふっ、答え合わせのため、しばらくゆっくりで構いませんよ」


207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 21:29:13.74 ID:eYZh/lX0O

古畑「さて、ちょっと解説ですが……」

2『古畑さんと初めて会った日はいつですか?』

古畑「これは、例えば古泉君の場合ですが……1日目に会った事となります。その基準から2日目、3日目と……表します」

古畑「さらに、涼宮さんとお会いした日……覚えてますかね」

ハルヒ「ファミレスで会った日ね?」

古畑「はい。その日は土曜日……そして本日は日曜日となります。つまり」

1日目 月曜日
2日目 火曜日
3日目 水曜日
4日目 木曜日
5日目 金曜日
6日目 土曜日
7日目 日曜日

古畑「……と書かせて頂きます」

古泉「それで結局……『これから何をしようとしているのか』」

ハルヒ「聞かせてほしいわね」

208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 21:36:07.60 ID:eYZh/lX0O

古畑「ただの……情報集めですよ。そのために、質問させて頂きます。それだけですよ」

古泉「『それだけ』の割には随分な設問でしたね?」

古畑「皆さんに何度かお聞きした質問ですから……事件の事が中心になるのは、ご了承下さい」

キョン「さて、聞かせてもらおうか。何がどうなるのか……赤点な俺にはさっぱりだ」

古畑「わかりました。まずはこの質問から……」

1『名前をお願いします』

3『所属の部活をお願いします』

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 21:41:24.64 ID:eYZh/lX0O

古畑「この2つは言わずもがな……」

1『名前をお願いします』
キョン(あだ名)
涼宮ハルヒ
古泉一樹
鶴屋さん


3『所属の部活をお願いします』SOS団(キョン)
SOS団(ハルヒ)
SOS団(古泉)
無所属にょろ

古泉「文芸部の件ですか? 意外と根に持つタイプですか?」

古畑「んふふ〜、そういうわけではありませんよ。ただの個人情報です」

古畑「さて、次です」

210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 21:50:36.53 ID:eYZh/lX0O

6『公園のアイスクリーム屋を知っているか』
名前は知らない(キョン)

お馴染みのお店(ハルヒ)

風の噂で(古泉)

みくるが好きだったさ(鶴屋)


8『今、SOS団の部室の鍵を持っている?』
ある(キョン)

当然よ(ハルヒ)

持っていません(古泉)

無いさ(鶴屋)


ハルヒ「鍵とアイスクリーム屋さんが、そんなに重要なのかしら?」

古畑「この辺りまでは短い行で全員分収まりますが……次は個人の回答を見ていきます」

キョン「これは、あまり関係無いみたいだな」

古泉「……わかりませんよ。何があるのか……」

鶴屋「にょ……にょろ」

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 22:05:57.75 ID:eYZh/lX0O

7『アイスクリーム屋のサービスとは?』

古畑「キョン君。この問題……わかりますか」

キョン「……古畑さんに聞きましたからね。レアな引換券が貰えるそうじゃないですか」

古畑「そうですね。キョン君は最初、この引換券について詳しくは知らなかった……」

キョン「その券、そんなに重要なんですか?」

古畑「今はまだ、わかりませんね。これから一つ一つ紐解いて行くんですよ」

古泉「……」

古畑「当然、他の人はこのシステムを知っていた……同じような事がしっかり書かれています」

鶴屋「なんだか、じわりじわりだね」

ハルヒ「ふん……」

212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 22:12:43.35 ID:eYZh/lX0O

8『今、SOS団の部室の鍵を持っている?』


古畑「さて、2枚目に飛びます」

ハルヒ「順番じゃないの?」

古畑「んふふっ、これが順番なんですよ。あ、文句なら問題を作った今泉君にお願いしますね」

古畑「皆さんの話では、SOS団の鍵は2つ……部員が交代で持っている鍵と、涼宮さんが持っているマスターキー……。今鍵を持っているのは?」

キョン「俺です」

ハルヒ「私も、ちゃんとあるわ」

古畑「当然、鶴屋さんと古泉君は鍵を持っていません……回答通りです」

古畑「そして『1日目』の話を聞いた所……鍵の譲渡はされていない。この7日間、鍵はずっと『涼宮さんとキョン君が持っていた』事になりますね」

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 22:20:22.28 ID:eYZh/lX0O

古畑「そして、この設問です」

13『この7日間で、部室の鍵は一度も閉められなかった?』

古畑「鍵はずっと2人が持っていた……つまり、涼宮さんとキョン君が扉を閉めた記憶が無いと書いてあれば……当然この扉はずっと開いていた事となります」

ハルヒ「扉……」

古泉「不審者関係ですかね?」

鶴屋「学校に不審者は怖いにょろ……」

キョン「……」

古畑「二人の回答はこうでした」

13『この7日間で、部室の鍵は一度も閉められなかった?』
多分(キョン)

私は閉めてないわ(ハルヒ)


古泉「……随分、彼は曖昧な表現ですね?」

215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 22:29:27.79 ID:eYZh/lX0O

古畑「書き方は人それぞれですからね〜。さて、先ほどの問題から……当然『設問に対する答えが違ってくる』可能性が出てきますね?」

古泉「確かに、鍵の問いに関しては……僕と鶴屋さんは『持っていない』と答えるしかありません」

鶴屋「もし、誰かが嘘をついていたら混乱しちゃわないかい? 矛盾しちゃわないかい?」

古畑「んふふ〜〜、大丈夫です。皆さんは本当の事をお書きになったと信じていますから……」

古畑「それに〜、嘘も見破ってしまうのが、このプリントのすごい所なんですよ」

ハルヒ「それは、興味あるわね」

古畑「話を続けますよ」

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 22:41:04.51 ID:eYZh/lX0O

13『この7日間で、部室の鍵は一度も閉められなかった?』
古泉(閉められた事は無かったと思います)

鶴屋(知らないにょろ)


古畑「当然、この回答になります」

鶴屋「じゃあ、結局さっきのみんなの回答から『この部室は開きっぱなし』だったのかい?」

古畑「ん〜……皆さんの話をまとめるとそうみたいですが、この7日間『実は一度だけ鍵が閉まらなければいけない時』があったのですよ」

キョン「……俺とハルヒの鍵で?」

古畑「ええ。これはキョン君でも涼宮さんでも……どちらにもありました」

鶴屋「鍵……鍵……」

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 22:48:11.76 ID:eYZh/lX0O

古畑「普段、鍵はどのタイミングで閉めますかね? 涼宮さん」

ハルヒ「……部活の後。最後に部屋を出た人かしら」

古畑「そうです。1日目……鍵を持っていた涼宮さんとキョン君は帰宅。最後に部屋を出たと言われる朝比奈さんは、鍵を持っていません」

古泉「1日目は、開きっぱなしのようですね」

古畑「2日目……学校は半日で終わってしまいました。その日にSOS団の部活はありましたか?」

ハルヒ「……学校がうるさくて、さっさと帰ったわね」

古泉「僕と古畑さん達がSOS団の部室で話をしましたね。僕は先に部屋を出たと記憶してます」

古畑「私も覚えています。随分不用心だと……少し警戒しましたよ」

224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 23:00:04.83 ID:eYZh/lX0O

古畑「3日目は学校が休みのため……扉に変化は無いでしょう」

古畑「さて4日目、古泉君達が長門さんに呼ばれて、放課後に集まった日ですね」

キョン「てっきり、長門がいて鍵が開いてたと俺は思っていたな」

古泉「長門さん? ……あ」

古畑「え〜、古泉君。何か気付いた事がありますか?」

古泉「放課後にも集まりましたが、お昼休みに僕は長門さんから呼ばれたんですよ」

ハルヒ「そう言えば、そんな事言ってたわね」

古畑「ちなみに、長門さんの死亡推定時刻は『4日目の昼過ぎから夕方にかけて』でした」

古泉「は……」

キョン「……」

ハルヒ「……」

鶴屋「古泉君、お昼に部室に行ったのかい?」

227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 23:12:21.63 ID:eYZh/lX0O

古泉「い、行きましたよ。でも長門さんはちゃんと部室にいましたよ……会話もしましたし」

ハルヒ「結局、何の話をしていたの?」

古泉「……古畑さんと接触をした事などを少々。でも、すぐに職員室から呼び出しがあってですね……」

キョン「ああ、あの呼び出しの時か。何をやらかしたのか、ワクワクしながら聞いてたんだかな」

古畑「え〜……続けます。古泉君が長門さんの姿を確認してから……『5日目の放課後』まで長門さんは姿を消してしまいました」

古泉「……僕の事は、問い詰めないのですか?」

古畑「ご安心を。5日目もセットになっていますからね」

鶴屋「消えたって、どういう意味さ?」

228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 23:23:17.25 ID:eYZh/lX0O

古畑「長門さんがどのような姿でいたか……当然みなさん知っていますね?」

キョン「……」

古泉「……」

ハルヒ「……」

古畑「鑑識の調べでは、長門さんはどこか他の場所から……」

鶴屋「ま、待ったストップ! ……鶴屋さん知らないんだけど?」

古畑「……ああ、そうでしたか、これは失礼しました。長門さんはですね、この私が座っている椅子にですね……」

……

鶴屋「にょ……そんな椅子に座って……大丈夫にょろ?」


古畑「私はあまり気にしないタイプですので。状況はわかりましたか、鶴屋さん?」

鶴屋「りょ、了解っさ」


230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 23:37:48.66 ID:eYZh/lX0O

古畑「簡単に説明しますと…… 」

4日目
お昼過ぎ、長門有希と古泉一樹が接触
長門有希、殺害(外の部屋や、他の場所から運ばれた形跡無し)

5日目
長門有希、行方不明
放課後、SOS団部室で長門有希を遺体で発見


鶴屋「消えたっていうのは……この『運ばれた形跡無し』の部分かな?」

キョン「放課後、俺たちは確かに部室にいた……」

ハルヒ「でも、有希の姿は影も形も見当たらなくて……」

古泉「4日目は、30分ほど待機した後全員帰宅しましたね」

231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 23:46:31.09 ID:eYZh/lX0O

古畑「5日目に、私たち警察が呼ばれました。部室の鍵が開きっぱなしという事で……外部の人間も多少捜査しましたが……」

古泉「その様子では、成果は無かったみたいですね」

古畑「ええ〜。そして鍵を持っている方と……この部室の方を中心に調べる事となりました」

ハルヒ「いつの間にか、容疑者だったわけね」

古畑「形式的に、そうしなければならないのですよ。4、5日目の行動については……こちらの設問ですね」

9『長門有希が消えた日の放課後、どこにいた?』

10『長門有希の遺体が発見された日、昼食は何を食べた?』

11『10の日、SOS団の部室に最初に入ったのは誰?』

232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/16(水) 23:59:59.34 ID:eYZh/lX0O

ハルヒ「あまり、関係無さそうな質問があるわね」

古泉「今に始まったことじゃないですけどね」

キョン「長門の日か……」

古畑「さて、部活の事を中心に考えますと……皆さんは容疑者となってしまいます」

古泉「そうかも、しれませんね」

古畑「ですので……『ここからは皆さんを疑いながら』考えを展開していきますよ? いいですね?」

鶴屋「う、疑われるのかい?」

古畑「今までは、解らない周りの事を埋めてきましたが……これからは……」

古泉「容疑者の、仲間入りというわけですか……」

ハルヒ「いい気はしないわね」

キョン「……やれやれだ」

233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 00:04:36.10 ID:VlS7N2BZO

9『長門有希が消えた日の放課後、どこにいた?』

キョン(部室で長門を待っていた)

ハルヒ(有希を部室で待ちぼうけ)

古泉(部室で彼と将棋を。負けました)

鶴屋(消えた日? 知らないにょろ)


古畑「お話通り……SOS団の皆さんは、部室で長門さんに会おうとしていた」

古畑「鶴屋さんは、この事に関しては知らないと」

鶴屋「あ、あ、当たり前さ……」

古畑「ん〜、では次にいきましょうか」

キョン「ここはあっさりなんだな……」

234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 00:10:33.16 ID:VlS7N2BZO

11『10の日、SOS団の部室に最初に入ったのは誰?』
キョン(多分、自分)

古泉(キョン君ですかね)

ハルヒ(キョンか古泉君。見ていない)

鶴屋(見ていないにょろ)


キョン「っと……10は飛ばすのか?」

古畑「皆さんの昼食が気になりますか?」

キョン「い、いえ……そういうわけじゃあ……」

ハルヒ「関係無いから、聞かないんでしょうね?」

古畑「いや〜、後でまた聞く時があるかもしれません。今は、この設問です」

鶴屋「あれ? 『10の日』ってどんなっだっけ?」

235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 00:19:25.92 ID:VlS7N2BZO

古畑「長門さんの遺体が発見された日ですね」

古泉「なんだか、ややこしい感じになってしまいますね」

鶴屋「……よくわからない設問ばっかで困ったにょろ」

ハルヒ「部室に入った順番が関係あるのかしら? 第一発見者?」

古畑「11の設問は……第一発見者を知りたかった、という理由ではありません」

古畑「?」

古畑「5日目に部室に入った……それの確認だけです。鶴屋さん以外は部室に入りましたね」

鶴屋「にょろ」

キョン「今のところ、嘘らしい記述も無いな」

古泉「みなさん、自分の見たままが書けるような質問ばかりですからね」

ハルヒ「……チマチマと全く! 一番の問題は、最後よ最後よ!」

237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 00:28:03.46 ID:VlS7N2BZO

キョン「ハルヒ、勝手に順番を飛ばすなよ……」

古畑「いえ、手間が省けましたよ。次は……最後の2つです」

ハルヒ「ほら見なさい!」

古泉「しかし、僕たちに犯人などわかるわけが……」

古畑「とりあえず、みなさんに回答は頂きました。こちらです」

14『朝比奈みくるを殺害した犯人は?』
ジョン・スミス

通り魔?

通り魔とか、考えたくない……
通り魔だと思いますよ


15『長門有希を殺害した犯人は?』
ジョン・スミス

学校外の人間かしら?

学校で殺人とか……嫌にょろ

外部の人間の可能性もあるかと

239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 00:34:26.45 ID:VlS7N2BZO

古畑「あえて、名前は言いません。見て頂くわかると思いますが……殆どの方が外部の人間と予想をしています」

古泉「……」

キョン「……」

ハルヒ「……」

鶴屋「ジョンって、誰にょろ? 犯人にょろ?」

古畑「海外の方がこの辺りにいらっしゃるのですか?」

鶴屋「し、知らないにょろ……」

キョン「名前を書いたのは……俺だ」

古泉「……」

ハルヒ「……」

古畑「ん〜、なぜ、キョン君はその名前を? 本当に犯人なのですかね?」

241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 00:46:20.27 ID:VlS7N2BZO

キョン「なぜって……『俺は設問の文章を見た時、名前で答えないといけないと』思ったから……」

古畑「名前は適当だと?」

キョン「……そいつは偽名というか仮名というか……まあ、適当です」

古泉「一応、答えが離れた形になりますが……?」

ハルヒ「結局、何もわからなかったじゃない」

鶴屋「でも、まだ問題残ってるにょろ?」

キョン「でも……この様子じゃあ、な?」

古畑「ん〜、もう少しだけお付き合い下さい」

古泉「しかし……これで何がわかると言うのですか? さっきから、不思議でなりませんよ」

242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 00:56:09.12 ID:VlS7N2BZO

古畑「すいません皆さん、正直にお話しします」

古畑「これまで皆さんに質問した内容は……そこまで事件に関係があるわけでは、ありません」

古泉「……何か意図があっての事でしょう?」

ハルヒ「もう、慣れたわよ」

鶴屋「意地悪な人っさ」

古畑「ふふっ……では、ここからもう少し話を広げます」

キョン「広げるって言っても……な」

古畑「今までの質問は……犯人を探すためでは無く、回答に込められた意味を紐解くための……方程式みたいな物です」

古泉「……さて、説明をお願いします」

古畑「例えば、鶴屋さんを例に見てみます」

243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 00:59:59.29 ID:VlS7N2BZO

1『名前をお願いします』
鶴屋さん

2『古畑さんと初めて会った日はいつですか?』
1日目 月曜日

3『所属の部活をお願いします』無所属にょろ

4『朝比奈みくるが殺害された日、誰かに持ち物を譲渡しましたか?』
みくる……

5『朝比奈みくるが殺害された日の放課後、何をしていましたか?』
みくるを……探してた……

6『公園のアイスクリーム屋を知っているか』
みくるが好きだったさ

7『アイスクリーム屋のサービスとは?』
すごいくじ引きですごい引換券が貰える
みくるが欲しがってたさ

8『今、SOS団の部室の鍵を持っている?』
無いにょろ

244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 01:02:22.80 ID:VlS7N2BZO

9『長門有希が消えた日の放課後、どこにいた?』
消えた日? 知らないにょろ

10『長門有希の遺体が発見された日、昼食は何を食べた?』
めがっさ甘い卵焼き

11『10の日、SOS団の部室に最初に入ったのは誰?』
知らないにょろ

12『この部室には今何人の人がいるでしょうか』
5人っさ

13『この7日間で、部室の鍵は一度も閉められなかった?』
知らないにょろ

14『朝比奈みくるを殺害した犯人は?』
通り魔とか、考えたくない……

15『長門有希を殺害した犯人は?』
学校で殺人とか……嫌にょろ


古畑「鶴屋さんの回答です」

古畑「鶴屋さんの特徴は……『2日目以降の関わりが全く無い』という事がわかりますね?」

245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 01:11:28.16 ID:VlS7N2BZO

ハルヒ「何となく、わかるわね」

鶴屋「長門さんの事件は殆ど知らないにょろ……」

古泉「僕たちの場合は、どう分けられるんですか?」

古畑「それはですね……まず『無関係だけれど、関わってしまっている方』」

古畑「そして『怪しい行動はしているが、犯行には関わっていない方』」

ハルヒ「さっきより、結構色々くっついてくるのね」

古泉「そうみたいですね」

キョン「最後、3人目はどうなるんだ?」

古畑「そして最後は……『長門さんを殺害した方』となります」

……!

キョン「長門……」

古畑「ええ……この中に、いるんです。『確実に』ね」

250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 01:25:18.22 ID:VlS7N2BZO

キョン「聞かせて貰いたいもんだ。長門が死んだ理由をな」

古畑「4日目の事です……長門さんは古泉君を部室に呼び出した。古泉君はすぐに部室を出ていき……」

古畑「誰かが部室に侵入します。……いや、侵入は変でしょうか。長門さんや部屋に、抵抗した跡はありませんでした」

ハルヒ「……顔見知りの犯行?」

古畑「……部室の様子が変わったり等は無かったと思います。一番に気付くのは、SOS団の方だと思いますが……」

キョン「部室には、変化はなかったはずだ」

古泉「そうですね。それより、長門さんが消えた理由が気になる所です……」

鶴屋「どうやって、一度消えて現れたのかなっ?」

253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 01:43:05.77 ID:VlS7N2BZO

古畑「そもそも、なぜ犯人は長門さんの遺体を消したのでしょうか?」

キョン「……?」

古畑「5日目には、長門さんの遺体が……この椅子に座っている姿が発見されています」

古畑「これは犯人がやった事なんですかね〜?」

ハルヒ「犯人に聞いてみればいいじゃない」

古畑「まあ、あせらず……私はこう考えました。もしかしたら……隠すつもりは無く、結果として『隠れてしまっていた』と……」

キョン「……」

古泉「……」

ハルヒ「……」

鶴屋「……」

古畑「ふふっ、実は今日も『その偶然』が生まれているんですよ?」

古畑「ほらっ、もういいよ今泉君……ほらっ」

今泉「……zzz」

256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 01:53:09.03 ID:VlS7N2BZO

―ガガガガ

古畑「ほら、少し団長机を動かせば……」

古泉「今泉さんが……」

ハルヒ「な、なんで床に突っ伏して寝てるのよ……」

キョン「……」

古畑「んふふ〜、皆さん設問『12』不正解です。正解は6人でした」

鶴屋「お、おかしいよこんなの! ただ机の下で寝てるだけっさ……」

ハルヒ「そうよ! ちょっと机の下を見たらすぐ見つかるじゃないの?」

キョン「……」

古畑「いや〜、皆さんそんな入り口の方に固まって座ってるんですもの。いいですか、この机の配置……」

古泉「机……長机の奥に、涼宮さんの机があるだけですよ」

258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 02:01:22.53 ID:VlS7N2BZO

古畑「入り口の近くの方に今泉君が寝転んでいれば……すぐに見つかってしまったでしょう」

古畑「しかし〜……ちょっと頭を奥の方に動かしてあげれば……」

キョン「奥に寄っているその位置なら……入り口付近からは『立っている状態では確認できない』みたいだな」

鶴屋「座っても……『意識しないとちょっとわかり辛い』にょろ……」

古泉「でも……『机の下を覗かれたらすぐに見つかる』と思いますが……」

古畑「いや〜、でも意外と気付かれないものですね。そこそこ体の大きな今泉君でもこれなんです」

古畑「体の小さな長門さんなら、もう少し見つかりにくくなるでしょうね?」

259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 02:06:47.78 ID:VlS7N2BZO

キョン「信じられないな……ちょっと角度が違うだけで、こんなに気付かないのか?」

ハルヒ「人間なんて、意外と視界が狭いのよ」

鶴屋「あ、足元にいたらビックリだね〜……」

古泉「……なんとなくは話がわかりましたけど……続きは?」

古畑「続き? ああ、失礼しました。さっき……設問『12』この部屋にいる人数を当てた人がいたんですよ。訂正させて下さい」

キョン「ま、まさかそいつが犯人?」

古泉「人数の把握をしていたとなれば……そうでしょうね?」

ハルヒ「誰が、正解を書いていたって言うのよ?」

鶴屋「鶴屋さんは……さっき5人て答案晒されたにょろ……」

古畑「え〜、正解したのはですね……」

263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 02:16:03.13 ID:VlS7N2BZO

古畑「ふふっ、他でもない……私ですよ〜」

ハルヒ「え……」

古泉「古畑さん?」

鶴屋「にょろ?」

キョン「なんだ……そりゃあ、アンタが問題を作ったんだからな……当たり前ってオチか」

古畑「いえ? 私もちゃんと回答を書きましたよ。問題を作ったのは、ここにいる『今泉君ですから』ね」

今泉「……Zzz」

古泉「……そう、言ってましたね」

鶴屋「あ……回答がびっしり色々書いてあるにょろ……」

古畑「あれ、言ってませんでしたか? まあ、隠し事はお互い様です」

古泉「……」

古畑「そして……私が考えて導きだした犯人は……」

古畑「ちゃんとここに書いてありますよ、ほら……」



15『長門有希を殺害した犯人は?』
涼宮ハルヒ

267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 02:26:21.96 ID:VlS7N2BZO

キョン「え……」

古泉「……」

鶴屋「……」

ハルヒ「……」

古畑「長門さんを殺した犯人は……貴女ですよね?」

ハルヒ「どうしてよ。何で私が有希を……」

キョン「ハルヒ……」

古畑「理由は……これですよ」ペラッ

ハルヒ「そ、そのプリントがどうしたのよ。私はちゃんと答えたし……さっきの質問だって、ちゃんと5人て書いたはずよ!」

古畑「確かに、ここにある涼宮さんの回答には『5人』と回答が書いてあります」

ハルヒ「ほ、ほら! 机の下の事なんて……私知らないんだからね」

古畑「問題は、涼宮さんの回答用紙にあるのでは無く……私の回答に書いてある事が問題なんですよ」

古泉「……」

キョン「……」

270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 02:38:04.96 ID:VlS7N2BZO

古畑「え〜、先ほど……机の下の死角の話をしました。入り口付近に座った、皆さん……今泉君の姿は確認できなかったですね? なぜでしょうか」

キョン「……死角が『多い』からか?」

古畑「そうです。ですが私は、この団長さんが座る……この位置。ここからでは……」

鶴屋「机の下は……『こっちよりは確実に見える』にょろ……」

古畑「4日目……机の下の長門さんを発見する事ができた可能性が大きいのは、ここに座っていた涼宮さん……となります」

ハルヒ「……それが、私が犯人な理由かしら?」

272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 02:46:18.16 ID:VlS7N2BZO

ハルヒ「さっきから聞いてると何よ……『可能性』だとか『見つけられただろう』みたいな事ばっかり……」

ハルヒ「そんな理由で疑われたら、たまんないわ! バカみたい」

古畑「ん〜、わかりました。この話題はここで一旦休憩としましょうか」

ハルヒ「……」

古泉「あくまでも……可能性があるという話だけですか?」

古畑「まあ、そんな所です」

ハルヒ「じ、自信満々で突きつけた回答用紙はなんなんよ!」

277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 03:09:04.58 ID:VlS7N2BZO

古畑「私も……皆さんと同じ回答者ですから。涼宮さん、不快に思ったのなら申し訳ありません」

古泉「しかしあなたは言いました。長門さんを殺害した犯人は『確実に』いると」

古畑「ええ……それはいますよ」

ハルヒ「根拠は何よ?」

鶴屋「ちょ、ちょっと怒ってるにょろ?」

キョン「そりゃあそうですよ……」

古畑「ん〜、私のポケットの中にですね……これが、ほら」ペラッ

ハルヒ「プリントの束……? また何か変なクイズでも出すのかしら?」

鶴屋「あれ……どっかで見た?」

古畑「はい、これは回答用紙とは違います。皆さんからもらった……連絡先が書いてある紙の束です」

327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 22:15:53.78 ID:VlS7N2BZO

ハルヒ「私たちの住所がどうしたって言うのよ?」

古畑「住所ではありません。この……書いてある紙に注目して下さい」

古泉「?」

鶴屋「ただの紙にょろ?」

古畑「これをご覧ください」

『放課後、部室に来てほしい 長門 有希』

古泉「長門さんの名前……?」

キョン「それは……」

古畑「ん〜、この手紙をもらった覚えのある人はいませんか?」

330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 22:24:22.87 ID:VlS7N2BZO

キョン「俺が長門からもらった書き置きに似ているな」

ハルヒ「似ているも何も、同じものじゃないの」

古泉「ですが、古畑さんがなぜ?」

鶴屋「私たち紙って事は、住所が書いてあるにょろ?」

古畑「え〜、そうです。この紙の裏にはある方の住所が書かれています」

ハルヒ「今度は、その住所を書いた人間が犯人だって言うの?」

古畑「だとしたら?」

ハルヒ「……」

古泉「んっふ、それが証拠になるほど、重要な紙だとは思いませんが?」

332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 22:33:03.53 ID:VlS7N2BZO

古畑「え〜、キョン君。長門さんからの書き置きとは? 説明してもらえますか?」

キョン「長門が消えた……いや、隠れていた日か。帰ろうとしたら、下駄箱に」

古畑「なぜ長門さんはこんな形で貴方に伝えたのでしょうね?」

キョン「ん……」

古畑「昼休みや放課後……部活の等、会う機会は多いと思いますがねぇ〜?」

古泉「呼び出す理由なんて簡単ですよ。2人きりで話したかった……そういうものだと思いますが?」

333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 22:43:47.41 ID:VlS7N2BZO

古畑「2人だけですか、なるほど」

古畑「それならば……4日目になぜ皆さん部室へ行ったんですかね〜?」

古泉「……!」

古畑「キョン君は長門さんの手紙を見て……古泉君は長門さんに呼び出されて、と。もう2人きりになる機会はありませんね?」

キョン「確かに、古泉も呼び出されていた……とは言ってたな」

古畑「長門さんは、本当は誰と何を話したかったんでしょうね〜?」

ハルヒ「……待ちなさいよ。2人きりで話したいって言うのは『古泉君が話した仮説』でしょ?」

ハルヒ「放課後の部室なんだから、誰が集まっても変じゃないじゃない?」

335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 22:59:21.49 ID:VlS7N2BZO

古畑「ん〜、古泉君が『その仮説を話す』のは変なんですよ」

古畑「古泉君は、4日目の昼休みに長門さんに会い『放課後にもう一度話す』つもりだったと」

古泉「……ふぅ」

古畑「そして、涼宮さん? どうして貴女も部室へ行ったのですか?」

ハルヒ「そ、そんなの部活があるからに決まって……」

古泉「古畑さん、よろしいですか?」

ハルヒ「……!」

古畑「……なんでしょうか、古泉君」

古泉「先ほどの話……確かに僕の発言と矛盾になってしまいましたね。少々焦っていたようです」

キョン「……」

338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 23:12:38.53 ID:VlS7N2BZO

古泉「しかし、こうは考えられないでしょうか。長門さんはSOS団全員に話があった……内容まではわかりませんが、ね」

キョン「それなら、全員が部室に呼ばれた理由がわかるな」

古畑「ん〜、確かに長門さんが呼び出したのならまだ納得はできますが……そもそもこの手紙、長門さんが残したものでしょうかね〜?」

鶴屋「の、残ってるにょろ?」

古畑「これが手書きならわかります……しかし〜、プリンターで印刷された、ただのA4用紙です。『誰にでも印刷はできます』よね?」

古畑「そして、部活があるのに、結果的に『全員を呼び出している』……少し変じゃありませんかね?」

340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 23:24:12.16 ID:VlS7N2BZO

キョン「それじゃあなんで、わざわざ俺に手紙なんて?」

古畑「長門さんは……『全員に話をするつもりは無かった』のではないですかね?」

鶴屋「みんなに……?」

古畑「まず古泉君……そもそも長門さんに呼ばれたのは事実なんですか?」

古泉「僕を疑いますか?」

古畑「そして、キョン君に涼宮さん。この手紙の事を知っていたみたいですが……涼宮さん?」

ハルヒ「な、何よ……」

古畑「先ほど部室に行った理由をお聞きしましたが……この手紙の事を言わなかったのはなぜですかね?」

ハルヒ「な、なによ……?」

古畑「え〜、確かこう言いかけましたね。『部活があるからに決まって』と……」

341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 23:35:06.24 ID:VlS7N2BZO

古畑「古泉君の場合もそうでしたが……『涼宮さんからその言葉が出る』のも、少し違和感がありましてね……」

ハルヒ「わ、わたしは……わたし……」

古泉「……その手紙、涼宮さんも貰っていましたよ」

古畑「ん〜、なぜ古泉君が?」

古泉「部室に向かう途中、話を聞きましたからね。『間違いなく』涼宮さんはその手紙を貰っていたはずです」

古泉「さっきも、涼宮さんは言っていたじゃないですか。彼が手紙について発言した後に……」

ハルヒ『似ているも何も、同じものじゃないの』

古泉「涼宮さんが、その手紙を持っていた、何よりの証拠です!」

345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/17(木) 23:50:06.16 ID:VlS7N2BZO

エラー起こるから機関


古畑「ん〜……」

古泉「これで涼宮さんと手紙にに対する疑いは晴れたと思いますが?」

古畑「……古泉君。貴方はもっと冷静で……そう、そこに寝ている今泉君と違い頭もキレると思っています」

古泉「何をいきなり……」

古畑「そんな貴方が何をそんなに『焦っている』んでしょうかね〜……?」

古泉「相変わらず、おかしな事ばかり言う人ですね」

349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 00:21:39.13 ID:idEnTdebO

古畑「先ほどから話を聞いていると……どうもわかりません」

古畑「古泉君の言葉を聞いていると……『手紙を貰った』そして『手紙を持っていた』……」

古泉「事実だと思いますが?」

古畑「涼宮さんは手紙の事を知っている……なぜ古泉君がそんなに彼女をかばうよう発言をしているのですかね〜?」

古畑「キョン君、その手紙……涼宮さんが持っている所を直接見たんですか?」

キョン「俺も話には聞いたが……見たかどうかと言われたら……」

鶴屋「で、でも古泉君は持ってるって……」

古畑「んふっ……考えてみれば、そもそもこの手紙自体がおかしな物でした」

354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 00:36:45.47 ID:idEnTdebO

古畑「全員を呼びたい、誰かを呼びたい、誰も呼びたくない……どういう風に考えても、この手紙はどこかで引っ掛かる扱いになってしまっている」

古畑「この手紙は、本当に長門さんが残した手紙なんでしょうかね〜?」

古畑「先ほども言いましたが、これはプリンターを使えば、誰でも作成する事ができます」

古畑「……何かありますか、古泉君?」

古泉「いえ……今はありません」

古畑「もしこれが……長門さんでは無い他の誰かが作成したとしたら……都合のいい部分が出てくるのではないでしょうか?」

ハルヒ「都合のいい部分……」

357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 00:48:37.67 ID:idEnTdebO

古畑「お話をするその前に……涼宮さん。この手紙を……本当に知っていましたか?」

ハルヒ「知っていたわよ。内容も、有希が作ったっていうのも……」

キョン「ん、ハル……」

古泉「そんな話はさっきから何度もしているじゃないですか、古畑さん。早く本題に入ってくれませんか?」

古畑「ん〜、会話を流そうとしてもダメですよ古泉君。私は今、涼宮さんから新しい証言を聞きました……」

古畑「この手紙……『長門さんが作ったのを知っている』と」

古泉「……っ」

ハルヒ「……」

古畑「え〜、それについて……詳しく聞かせてもらえませんかね? 涼宮さん?」

376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 05:00:22.96 ID:idEnTdebO

ハルヒ「だって有希は……キョンを呼び出して……」

古畑「呼び出して……?」

ハルヒ「こ……告白……」

キョン「……は?」

ハルヒ「……その、キョンに話がしたいって有希は言ってた……」

古畑「え〜、詳しく聞かせて下さい」

ハルヒ「有希から『相談』を受けたのよ。みくるちゃんがいなくなってから……」

ハルヒ「元気の無いキョンを見たくないから……って、有希は……少しでも支えになりたいって」

古畑「それなら、同じ日に古泉君と涼宮さんが呼び出されたのは、どうしてですかね?」

377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 05:03:57.74 ID:idEnTdebO

ハルヒ「……古泉君の話は『知らなかった』のよ。私の手紙の話も……『嘘』よ」

キョン「待て待て、それじゃあ……ハルヒが……」

ハルヒ「でも、有希を殺してはいないわよ! 確かに嘘は言ったけど……」

古畑「……その嘘の理由はなんですか?」

ハルヒ「……」

古畑「……」

キョン「ハルヒ……落ち着いて、一つずつ話してくれ。ゆっくりでいいから……」

ハルヒ「……わかった。昼休みに有希を探しに、教室に行ったの。でも見当たらなくて……部室に行ったのよ」

378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 05:08:54.93 ID:idEnTdebO

ハルヒ「……無いわ。部室には有希がいた……もちろん生きてたわよ」

ハルヒ「さっきの相談を聞いて……放課後呼び出す事になったのよ」

ハルヒ「放課後、有希が気になって部室に向かったら……キョンだけじゃなくて古泉君も部室に向かっていたの」

古泉「彼とは、下駄箱の所で合流しましたよ……僕もそんな理由があったのは知りませんでした」

ハルヒ「来た理由を聞かれて……思わず、『私が置いた手紙』の事を思い出して……」

キョン「ハルヒも手紙を見て来た、と……」

古畑「長門さんの遺体は……発見しなかったのですか?」

ハルヒ「してないわ。机の下に死体があったかは知らないけれど『可能性』がたまたまハズレの方に傾いたみたいね」

379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 05:14:42.32 ID:idEnTdebO

古畑「5日目の事は?」

ハルヒ「……夕方まで部室には近付かなかったわ。放課後、キョンたちの後から遅れる形で、部室に向かって……」

キョン「その時は、俺たちがすでに長門を発見していた。椅子に座らされていた長門をな」

古畑「そして警察の私たちが来た……5日目は聞いた通りですね」

ハルヒ「これが、私の行動。有希のお節介のために部室に向かった……こんな感じかしらね」

古畑「ん〜、わかりました。では次は……キョン君。君の行動を教えて下さい」

キョン「4日目か?」

古畑「ええ。4日目の昼休みから……お願いします」

キョン「4日目は確か……食欲もわかず、図書室にいた。その質問用紙にも答えたはずだ」

380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 05:18:17.01 ID:idEnTdebO

古畑「確かに、図書室で本のムシ、と書いてありますね〜。証人の方はいますか?」

キョン「いない……途中、古泉が呼び出された放送を聞いたくらいしか覚えが無い」

古畑「ふむ……涼宮さん? 涼宮さんはこの放送……いつ聞きましたか?」

ハルヒ「放送……ゆ、有希と話した後に……確か……」

古畑「……後? ん〜、それは少し変ですね。放送の後という事は……長門さんは『古泉君とすでに約束を交わしていた』事になります」

古畑「そんな話の後で……わざわざ告白の相談などするでしょうか?」

381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 05:29:30.28 ID:idEnTdebO

古泉「待って下さい……証言の間違いという可能性もあります。記憶が混乱している事も……」

古畑「ふ〜む、では古泉君が代わりに説明して下さいますか?」

古泉「いいですよ。涼宮さんは、僕が長門さんと話す前に……『すでに話を終わらせていた』これなら問題ありません」

古畑「え〜、そうなると、次に疑われるのは古泉君になりますよ? 」

ハルヒ「な、なんでそれだけで古泉君が疑われるのよ!」

古畑「考えても見てください。涼宮さんと告白の相談をし、放課後にキョン君を呼び出す話をする……」

古畑「そしてその後に、放課後古泉君と話す約束をする……」

古畑「恋愛事の後……古泉君と約束をするような状況とは、とても思えません」

383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 05:35:23.01 ID:idEnTdebO

古畑「つまり、生きている長門さんに会っていた『涼宮さんの疑いは晴れる』事になりますね」

キョン「……両方が疑いから外れる可能性は?」

古畑「皆さんの証言が……全て本当だと考えると、残念ながらありません。誰かが嘘を言っているので……食い違う部分が出てきてしまいます」

古泉「……残念ながら、そうみたいですね。全く、僕とした事が迂闊でしたよ」

キョン「え……」

鶴屋「ん……」

ハルヒ「えっ……」

古畑「ん〜……いかがいたしましたか?」

古泉「もう少し、周りの証言に合わせて、立ち回りを変えるべきでしたかね」

キョン「古泉、お前……」


384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 05:43:21.69 ID:idEnTdebO

古泉「先ほどから、古畑さんの疑われている通り……嘘をついていたのは『僕』です」


古泉「んふっ、実は僕も……長門さんに想いを寄せていましてね。4日目の昼休みに、長門さんにお話したのですよ」

古畑「涼宮さんと長門さんが話した後ですか?」

古泉「はい。彼女が放送の事について言及した通りです」

ハルヒ「……」

古泉「まあ、断られてしまいましてね……その話を聞いて、頭に血がのぼりまして……ね」

古畑「……犯行方法は?」

古泉「『長門さんが首に巻いてあった制服のリボン』を使いましたよ。最初は告白に行ったんですから、凶器なんて持ってませんよ」

古畑「そうですか……」

古泉「ええ、証拠が無かったので安心していましたが……ここまで証言されてしまってはね」

385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 05:46:47.20 ID:idEnTdebO

古泉「……僕の負けですよ、古畑さん」

古畑「ん〜……」

キョン「古泉……」

古泉「もう、皆さんとは口を聞く事はできませんよ……古畑さん、お願いします」

古畑「……本当にいいの、それで?」

古泉「意味がわかりません。さ……連れていって下さい」

古畑「わかりました……今泉君、起きて、ほら」

今泉「ん〜……はいぃ……」

古畑「じゃあ11時37分……犯人……」

古泉「……」

キョン「……」

鶴屋「……」

ハルヒ「……め……」

古泉「……!」

386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 05:49:42.22 ID:idEnTdebO

ハルヒ「……ダメ……」

ハルヒ「ダメよ……古泉君、何もしていない……私が……有希…を……」

古泉「涼宮さん……もう、終わったんですよ。あなたが何かを言う事は……」

ハルヒ「ダメよ……古泉君がさっきから私を庇うために嘘ばっかり言って……もう、無理よ……」

キョン「ハルヒ……」

ハルヒ「私が……有希を…………」

388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 05:54:27.76 ID:idEnTdebO

……

今泉「……」

古畑「……ふう」

今泉「ねえ、古畑さん。どうしてあの後……彼女を問い詰めなかったんですか?」

古畑「ん〜……」

今泉「何も言わないで……涼宮さんに手錠して……」

古畑「なんでかな」

今泉「なんでかなって……まだどっちかが嘘をついていた可能性も……それに、朝比奈さんの事件だって……」

古畑「朝比奈さんの事件は……回答用紙を見た瞬間から犯人はわかったよ」

今泉「えっ?」

古畑「まあ、嘘を書いてたら問い詰めるだけだったけどね」

今泉「……?」

古畑「いや、嘘というより……勘違いしたらかな」

今泉「わかりませんよ……」

390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 06:01:50.13 ID:idEnTdebO

古畑「回答用紙に、書いてあるよ。ほら……」


5『朝比奈みくるが殺害された日の放課後、何をしていましたか?』
半日だったので直帰(キョン)
古畑さんと捜査を(古泉)
キョンとフラフラしてた(ハルヒ)
みくるを探していた……(鶴屋)

今泉「ん〜……? みくるさんを探していた2人と……あれ、キョン君と涼宮さんの回答が違う?」

391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 06:05:02.78 ID:idEnTdebO

今泉「キョン君は、朝比奈さんが『発見された2日目』の事を……涼宮さんは……『ちゃんと1日目の事』を書いている?」

古畑「古泉君と鶴屋さんには、朝比奈さんの事件の事は話していたし……一緒に探していたから印象にもある」

古畑「キョン君と涼宮さんには、朝比奈さんの事件を殆ど話さなかった……それこそ、メディアの情報しか知らないはずだよ」

今泉「キョン君も少し言ってましたね」

古畑「そして涼宮さんは……そりゃあ、覚えているだろうね」

今泉「……」

今泉「あ、あの……いいですか?」

古畑「ん〜?」

今泉「もしこの設問……涼宮さんが嘘をついたり、キョン君が問題の日を勘違いして違う事を書いたら……犯人はわからなかったんですか?」

393 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 06:13:03.22 ID:idEnTdebO

古畑「そのプリントは、何でも教えてくれる魔法の回答用紙だよ。そこが違っても、他の設問を見ていけば私にはわかる」

今泉「あ、じゃあ質問いいですか? ここの設問で気になっている回答がありまして、ぜひ解説を……」

古畑『……全部説明するには、時間が足りないよ』

古畑『もう、私は疲れたよ』

394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 06:17:18.57 ID:idEnTdebO

1日目 5時

ハルヒ「じゃあ、私たちは先に帰るから! 行くわよキョン」

キョン「ふう……じゃあ、またなみんな」

古泉「お気をつけて」

長門「……」

朝比奈「はい、さよなら」

5時15分

古泉(……?)

古泉(携帯が震えている……緊急用の連絡!)

―ガタッ

長門「?」

朝比奈「……どっかいっちゃいましたぁ……」

396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 06:24:06.56 ID:idEnTdebO

古泉「……殺人の願望?」

古泉「ええ……」

古泉「僕の任務は……」

古泉「……彼女を……

5時30分

……ガチャ

古泉「誰もいない……」

……

5時45分

古泉「鶴屋さん?」

鶴屋「みくるが……どっかに行ったまま……」

古泉「……」

397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 06:25:59.92 ID:idEnTdebO

―公園

朝比奈「すいません、アイス下さい。2つ」

アイス屋「あ、はい」

朝比奈「味は〜……苺とチーズクリームで……」

アイス「800円だね」

朝比奈(鶴屋さん何がいいかなあ……へへっ、ちょっと奮発して……って、あれ? キョン君と涼宮さん?)

朝比奈「……あ、ちょっと待ってて下さい!」

アイス屋「?」

398 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 06:30:05.33 ID:idEnTdebO

ハルヒ(キョンと2人きり……公園、えへへっ……)

キョン「……」

ハルヒ「あ、あのキョン……」

キョン「ハルヒ、ちょっと相談があるんだ」

ハルヒ「え、あ……何かしら?」

キョン「実はな……俺、朝比奈さんが好きなんだ」

ハルヒ「……」ズキッ

キョン「それで、ちょっと『相談』をな。ハルヒだと何でも話せる……そんな感じだ」

ハルヒ「……そうなの」

キョン「それでな、何を……」

朝比奈「キョン君〜、涼宮さ〜ん。何してるんですかぁ?」

キョン「あっ! 朝比奈さん……なんでここに?」

399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 06:33:23.58 ID:idEnTdebO

朝比奈「ふふっ、『禁則事項』ですよ」

キョン「そ、そうですかあははっ……」

ハルヒ「……」

朝比奈「あ、今から一緒にアイス食べません? ちょっと奮発して、私が……」

ハルヒ「あらキョン。渡す手間が省けたじゃない?」

キョン「?」

ハルヒ「恥ずかしいから、みくるちゃんに渡してくれだなんて……全く」

キョン「な、何がだよ?」

ハルヒ「ほら……さっきキョンから貰った『アイスの無料引換券』よ。返すわよ」

朝比奈「そ、それ……そこのアイス屋さんの……」

ハルヒ「ちゃんと2枚渡したからね。あ、それに男なら『思い切りぶつかる』しかないわよ? じゃあね」

―タタタッ

400 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 06:41:17.39 ID:idEnTdebO

朝比奈「……」

キョン「……(ハルヒがくれたチャンス?)」

キョン「あ、あの朝比奈さん……」

朝比奈「はい?」

キョン「あの……俺と付き合って下さい!」

朝比奈「……!」

キョン「い、いきなりですいませんが……」

朝比奈「……ごめんなさい」

キョン「……」

朝比奈「私、他に好きな人がいるんです……違う学校の……」

キョン「そう……ですか」

401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 06:44:15.98 ID:idEnTdebO

朝比奈「すいません、何だか……」

キョン「……気にしないで下さい。あ、この券あげますよ。適当に使って下さい」

朝比奈「え、いえそんな……」

キョン「じゃあ失礼しますね」

―タタタッ

朝比奈「キョン君……」

朝比奈「……あ、おトイレ」


ハルヒ「…………」


402 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 06:49:26.83 ID:idEnTdebO

―タタタッ

キョン(……今日の事は、記憶から抹消しとこう。抹消されてくれ、俺の記憶)

―タタタッ

アイス屋「?」

403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 06:51:45.12 ID:idEnTdebO

―ジャアー

―ガチャリ

朝比奈「ふぅ……」

ハルヒ「みくるちゃん」

朝比奈「ひっ! あ、涼宮さん……どうしたんですか?」

ハルヒ「……」

朝比奈「あ、あの……ドアの前に立たれると出られないんですけど……」

ハルヒ「……」

朝比奈「涼宮さん……? 怖いですよ……?」

ハルヒ「……ふったのね?」



404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 06:55:45.33 ID:idEnTdebO

朝比奈「は、はい?」

ハルヒ「じゃあ、もう必要無いわよね?」

朝比奈「な、何の話ですか……?」

ハルヒ「『みくるちゃんの話』よ?」

朝比奈「え」

……シュルッ

……ググッ

……ドサッ

ハルヒ「……ちゃんと、『鍵』しないとね」

……ガチャリ

405 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 07:00:51.72 ID:idEnTdebO

4日目

―ピンポンパンポーン

『ええ、1年9組の古泉一樹君……職員室まで……』

……ガチャリ

長門「?」

長門「どうしたの?」

ハルヒ「話をしたいって言ったのは有希じゃない。どうしたのよ?」

長門「……少々忘却していた模様」

ハルヒ「別にいいわよ、それで?」

長門「……彼の元気が最近無い」

ハルヒ「彼って、キョン?」

長門「……コク」

ハルヒ「……」ズキッ

ハルヒ「……で?」

406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 07:06:07.45 ID:idEnTdebO

長門「彼の一番になって……支えになりたい」

ハルヒ「……」

長門「あなたになら、何でも話せる気がした……相談にのってほしい」

ハルヒ「……告白しちゃえば?」

長門「告白……」

ハルヒ「悩んでても仕方ないわよ。元気になって欲しいなら、それを伝えるのが一番よ」

長門「……わかった」

ハルヒ「……そう」

長門「どうすればいい?」

ハルヒ「放課後……部室に呼び出して告白すればいいのよ。キョンに有希の『ありのまま』を見てもらえばいいのよ……」

長門「うん……あ……」

407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 07:10:16.69 ID:idEnTdebO

ハルヒ「……どうしたのかしら?」

長門「放課後は……不可能。彼に言う事は出来ない……」

ハルヒ「……あら、よくわかってるじゃない?」

長門「……え?」

ハルヒ「だって有希、放課後まで生きてないんですもの」

……グッ

……

……

ハルヒ「……せっかくだから、私の椅子あげる」

長門『……』

409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 07:15:25.78 ID:idEnTdebO

ハルヒ「じゃあ、殺した後は『鍵』を……あ、でも鍵は犯人がバレやすくなるかしら?」

ハルヒ「ごめんね有希、やっぱり机の下で我慢して」

ハルヒ「運がよかったら……扉を開けた誰かが、見つけてくれるかもね?」

ハルヒ「可能性の話だけどね?」

ハルヒ「ふふっ……」

ハルヒ「……ううん、私そんなに意地悪じゃないわ。キョンを呼んであげる」

『…………長門有希』カタカタ

カチッ

ハルヒ「印刷……と」

ハルヒ「ふふっ、ちゃんと届けておくわね」

長門『……』ガタッ

ハルヒ「お礼なんて、いいのよ」

411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 07:21:30.51 ID:idEnTdebO

放課後

ハルヒ(……?)

古泉「さて、もう部室ですよ……」

ハルヒ「あれ、何してるのよあんた達」

キョン「うおっ! いきなり後ろから声をかけるなよ」

ハルヒ「姿が見えたんだから、声をかけるに決まってるじゃない」

古泉「部室でちょっと長門さんとお話がありましてね」

ハルヒ「あ、あんた達も呼び出されたの?」

キョン「ハルヒもか?」

ハルヒ(も? 古泉君も? 呼んでないわよ?)

ハルヒ「下駄箱に手紙が入っていてね。今から行くところよ」

412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 07:25:57.18 ID:idEnTdebO

キョン「長門は、みんなを集めて一体何の話を?」

ハルヒ「行ってみればわかるわ。さ、行くわよ!」

キョン「ま、待てハルヒ。先に行くなよ」

ハルヒ「あんたがトロトロしてるからでしょ!」

古泉「んっふ」

ハルヒ(……ま、いっか)

414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 07:30:31.03 ID:idEnTdebO

―ガチャリ

ハルヒ「来たわよ有希ー、って……あら?」

キョン「どうしたハルヒ」

古泉「んん……?」

ハルヒ「……」

ハルヒ(ごめんね、私も来ちゃった)

ハルヒ「何よ、誰もいないじゃないの?」

古泉「変ですね……確かに放課後話をすると……」

キョン「ちょっと待つか?」

ハルヒ「そうね。ここにいれば来るわよね……暇潰しに、パソコンでも触ってるわ」ドサッ

長門『……』

ハルヒ(……うん、いる)

ハルヒ(やっぱ椅子に座らせてあげた方がよかったかしら?)

ハルヒ(キョンだけじゃなかったのは……許してね)

415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 07:39:25.03 ID:idEnTdebO

ハルヒ「……」カチッカチッ

長門『……』

ハルヒ(悪かったわよ……古泉君が来るなんて知らなかったんだもの)

古泉「王手です」

キョン「そこを動かすと負けだがいいのか?」

古泉「え……あ……」

ハルヒ「……」カチッカチッ

ハルヒ(……だから、謝ってるじゃない。そんなにさっきから……私を見ないでよ)

長門『……』

416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 07:46:26.02 ID:idEnTdebO

ハルヒ(古泉君と私がいるから、そんなに怒ってるの? ずっと睨んじゃって……あ、また目が合った……)


古泉「負けました」

キョン「まあ、いい攻めだった」

長門『……』

ハルヒ(わかったわよ、お詫びはちゃんとするから……今日はごめんね)

ハルヒ「……来ないじゃないのよ!」

キョン「そうだな結構時間は経つが……」

古泉「待ちくたびれて帰ってしまったとか?」

長門『……』

ハルヒ「もう、呼び出しておいてすっぽかすなんて……」

長門『……』

417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/06/18(金) 07:54:24.18 ID:idEnTdebO

ハルヒ(だからごめんてば……私の事、そんな目で見ないでよ……)

キョン「長門にしては珍しいよな」

古泉「また明日……聞いてみます。今日は帰りましょう」

ハルヒ「そうね……何かあったらちゃんと報告しなさいよ」

古泉「ええ、では行きますか」

ハルヒ(……結局、キョンと2人で帰っちゃったけど……まあ、明日お詫びすれば平気よね?)

418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 07:58:44.66 ID:idEnTdebO

5日目 昼休み

……

キョン「食欲があまり無くてな。図書室で時間潰しだ、じゃあな」

国木田「……行っちゃった」

谷口「やっぱ元気……まだ無いみたいだな」

ハルヒ(あ……キョンどっか行っちゃう。有希に会いに?)

国木田「ね。それに合わせてか、涼宮さんもなんか静かになっちゃったし……」

谷口「涼宮が静かなんて、ちょっと不気味だけどな……」

ハルヒ(私まだ……お詫びしてないや)

ハルヒ「……」ガタッ

国木田「……教室行っちゃった」

谷口「聞こえてたか……迂闊」

国木田「全くもう」

ハルヒ(キョンが向かってたら、ごめんね有希)

419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 08:02:53.70 ID:idEnTdebO

……ガチャリ

長門『……』

ハルヒ(よかった、キョンは来てないみたいね)

ハルヒ(昨日のお詫び。はい……)

長門『……』

ハルヒ(うん、やっぱり団長椅子あげるわ。これでキョンも見つけてくれるでしょう)

長門『……』

ハルヒ(じゃあ、頑張ってね有希。応援してるわよ)

長門『……』

420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 08:05:10.05 ID:idEnTdebO

放課後

古泉「や、こんにちわ」

キョン「ん、どうした古泉。俺たちのクラスにわざわざと」

古泉「長門さんの事で少し……調べた所、今日は欠席しているようですね」

ハルヒ「有希が?」

ハルヒ(……ずっと部室でキョンの事待ってたのかしら?)

古泉「ええ。どうします? 今日の部活……」

ハルヒ(……有希に任せるわ)

ハルヒ「いつも通り、自由参加よ。集まりたいなら部室に集まればいいのよ!」

キョン「帰ってもやる事無いしな……よし、行くか」

古泉「そうですね」

ハルヒ「あ、じゃあ先行ってて。私もすぐに追いかけるから」
ハルヒ(ふふっ……頑張ってね有希)

422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 08:13:36.59 ID:idEnTdebO

……

キョン「う……」

キョン「うわああぁぁぁぁぁ!!」

ハルヒ「さっきの声は何よ? 一体何騒いで……」

古泉「涼宮さん!!」

ハルヒ「な、なに……? 通せんぼなんかしちゃって……部室、入っちゃダメなの?」

古泉「ええ、いけません。このまま……外に」

キョン「長門……長門が……」

長門『……』


ハルヒ(あ〜あ……有希、嫌われちゃったんだ……)

423 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 08:19:42.73 ID:idEnTdebO

7日目

ハルヒ(……なんで?)

古泉「それは変ですね……彼女の証言では……」

古泉「先ほど僕はこう言いました……」

ハルヒ(変なのは古泉君よ……そんな事、嘘ってわかるじゃない……)

古畑「……ですが……以前聞いたこの……」

ハルヒ(……)

古泉「それは違います。いいですか、その話は……」

ハルヒ(……)

古泉「……残念ながら、そうみたいですね。全く、僕とした事が迂闊でしたよ」

古泉「もう少し、周りの証言に合わせて、立ち回りを変えるべきでしたね」

古泉「先ほどから、古畑さんの疑われている通り……嘘をついていたのは『僕』です」

ハルヒ(違うよ……)

424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 08:23:18.75 ID:idEnTdebO

古泉「……僕の負けですよ、古畑さん」

ハルヒ(負けって何よ……)

ハルヒ「ダメよ……古泉君、何もしていない……私が……有希…を……」

古泉「涼宮さん……もう、終わったんですよ。あなたが何かを言う事は……」

ハルヒ「ダメよ……古泉君がさっきから私を庇うために嘘ばっかり言って……もう、無理よ……」

ハルヒ「私が……有希を…………」

426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 08:28:28.62 ID:idEnTdebO

古畑「この事件は〜……まず少女の失踪に始まり……ある殺人事件へと発展していきました」

古畑「見つからない証拠と、噛み合わない証言……誰かを疑い、問い詰めなければいけませんでした」

古畑「古泉君の嘘と涼宮さんの嘘……何が彼らの嘘を生んだのか私は知りません」

古畑「……事件の後、フッと私の頭に……浮かんだ事がありました。SOS団の意味……」

古畑「いえ、意味とはいいませんかね。今回の事件を表す言葉……」

S『涼宮ハルヒを』
O『覆い隠した』
S『様々な嘘』

古畑「以上、古畑任三郎でした」



427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 08:30:09.60 ID:idEnTdebO

途中、色々あってごめんね

とりあえず終わり

保守と呼んでくれた人ありがとう

433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 08:51:38.74 ID:idEnTdebO

おまけっさ。みんなの回答


1『名前をお願いします』
キョン(あだ名)


2『古畑さんと初めて会った日はいつですか?』
5日目 金曜日

3『所属の部活をお願いします』SOS団

4『朝比奈みくるが殺害された日、誰かに持ち物を譲渡しましたか?』
記憶に無い

5『朝比奈みくるが殺害された日の放課後、何をしていましたか?』
半日だったので直帰

6『公園のアイスクリーム屋を知っているか』
名前は知らない。存在は知っている


7『アイスクリーム屋のサービスとは?』
とても珍しい物がもらえる、と古畑さんに聞いた

8『今、SOS団の部室の鍵を持っている?』
ある

434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 08:53:22.81 ID:idEnTdebO

9『長門有希が消えた日の放課後、どこにいた?』
部室で古泉と将棋

10『長門有希の遺体が発見された日、昼食は何を食べた?』
図書室で本のムシ


11『10の日、SOS団の部室に最初に入ったのは誰?』
多分自分

12『この部室には今何人の人がいるでしょうか』
5人


13『この7日間で、部室の鍵は一度も閉められなかった?』
俺は閉めた記憶は無い

14『朝比奈みくるを殺害した犯人は?』
ジョン・スミス

15『長門有希を殺害した犯人は?』
ジョン・スミス

435 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 08:56:07.74 ID:idEnTdebO

1『名前をお願いします』
古泉一樹

2『古畑さんと初めて会った日はいつですか?』
1日目。みくるさんを探している途中に

3『所属の部活をお願いします』SOS団


4『朝比奈みくるが殺害された日、誰かに持ち物を譲渡しましたか?』
無いはずです

5『朝比奈みくるが殺害された日の放課後、何をしていましたか?』
古畑さん、鶴屋さんと一緒に捜査を

6『公園のアイスクリーム屋を知っているか』
お店があるのは知っています

7『アイスクリーム屋のサービスとは?』
引換券が貰えるというもの

8『今、SOS団の部室の鍵を持っている?』
ありません

436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 09:04:33.66 ID:idEnTdebO

9『長門有希が消えた日の放課後、どこにいた?』
部室にいて、彼と将棋……負けました

10『長門有希の遺体が発見された日、昼食は何を食べた?』
教室で、お弁当を

11『10の日、SOS団の部室に最初に入ったのは誰?』
キョン君だと記憶していますが

12『この部室には今何人の人がいるでしょうか』
5人ですかね

13『この7日間で、部室の鍵は一度も閉められなかった?』
閉められた様子はありませんでした

14『朝比奈みくるを殺害した犯人は?』
通り魔だと思いますよ

15『長門有希を殺害した犯人は?』
外部の人間の可能性もあるかと

437 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 09:06:32.55 ID:idEnTdebO

1『名前をお願いします』
涼宮ハルヒ

2『古畑さんと初めて会った日はいつですか?』
5日目 金曜日

3『所属の部活をお願いします』SOS団

4『朝比奈みくるが殺害された日、誰かに持ち物を譲渡しましたか?』
キョンに引換券を渡したわ

5『朝比奈みくるが殺害された日の放課後、何をしていましたか?』
キョンとフラフラしてた

6『公園のアイスクリーム屋を知っているか』
お馴染みのお店

7『アイスクリーム屋のサービスとは?』
くじ引きで当たったら、引換券が貰える

8『今、SOS団の部室の鍵を持っている?』
団長だから、当然よ

438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/06/18(金) 09:13:15.42 ID:idEnTdebO

9『長門有希が消えた日の放課後、どこにいた?』
部室で有希を待ちぼうけ

10『長門有希の遺体が発見された日、昼食は何を食べた?』
クラスメイトにからかわれて、校内を散歩

11『10の日、SOS団の部室に最初に入ったのは誰?』
見てないからわからない。キョンか古泉君

12『この部室には今何人の人がいるでしょうか』
5人

13『この7日間で、部室の鍵は一度も閉められなかった?』
私は閉めてないわ。家や他の鍵は閉めたけどね

14『朝比奈みくるを殺害した犯人は?』
通り魔?

15『長門有希を殺害した犯人は?』
学校外の人間かしら?



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