ハルヒ「キョン!!絵を描くわよ!!」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 18:33:30.01 ID:H/atEGk50

キョン「また、唐突だな」
ハルヒ「この間、知り合いに誘われてとある高校の文化祭に行ったのよ」
キョン(聞いてねえ、と突っ込むのも飽きてきたな……)
ハルヒ「ああ、安心して。SOS団の発展のために行ったのであって、あなたたちを仲間外れにしたわけじゃないから」
キョン「で、その文化祭は楽しかったのか?」
ハルヒ「ええ、それはもう。北高と違って、生徒全員がやる気に満ち満ちていたわ!」
ハルヒ「うちのクラスに全校生徒の爪の垢を飲ませてやりたい気分よ!」
キョン「量的に言えば、丁度腹がいっぱいになるかもな」


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 18:37:42.82 ID:H/atEGk50

朝比奈「涼宮さん、どんな絵があったんですか〜?」
ハルヒ「いいわね、みくるちゃん。期待通りの質問をありがとう。えっと……」

ハルヒ「じゃじゃじゃーん!」

キョン「……お」

古泉「これは……」

朝比奈「わあ……」

長門「……」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 18:41:25.66 ID:H/atEGk50

ハルヒ「この絵のタイトルは『文化祭の準備』よ!」
朝比奈「素敵ですね〜」
古泉「ええ。特に一部分を敢えて書きかけで残している辺りが、作者の素晴らしい才覚を感じさせますね」
長門「……(作者は途中で睡眠を始めたと推測する)」
キョン「確かに良い絵ではあるな」
ハルヒ「でしょ?でしょ?」

キョン「で、その絵はどっから拉致してきたんだ?」
ハルヒ「やーね。そんなことするわけないでしょ。この絵の作者に許可は貰ったわよ」
キョン(恐らく、向こうは奪われたと思っていることだろう。完成した力作を見知らぬ女に強奪されて、
    毎晩枕を濡らしているに違いない)

キョン「ところで、長門。今何か言ったか?」
長門「別に」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 18:47:51.47 ID:H/atEGk50

ゆの「ひっく……ひっく……」
宮子「ゆのっち〜、元気だしなってば」
沙英「それにしても、ゆのの絵を誘拐するなんてね」
ヒロ「酷い話ね」
沙英「それも他校の生徒なんでしょ?こりゃ、戻ってくるのは絶望的かもね」
ゆの「……!!」
ヒロ「沙英!」
沙英「あ、ああ。ごめん」
宮子「なんか嵐のような人だったみたいで、あっという間だったみたい。ギュルギュルって渦が出来ていたとの噂ですぜ」
沙英「それは言い過ぎでしょ」
ヒロ「ゆのさん、相手の名前とか学校名とか聞いてないの?」

ゆの「ひっく……ひっく……。……あ、それは聞いてます」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 18:55:22.23 ID:H/atEGk50

沙英「き、聞いてるの?! じゃあ、早くその学校に問い合わせしないと!」
ゆの「あ、いえ。あの人、「必ず、冬休みには返すから!」って言ってましたから、それは別に」
宮子「へー、律義な人だなー」
沙英「なんで、突然絵を掻っ攫う奴が律義なのよ!?」
宮子「あ、それもそうか。悪い奴だなー」

ヒロ「もう宮ちゃんはこれでも食べて黙っていて」
宮子「ふわーい。いただきまーふ」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 19:06:15.62 ID:H/atEGk50

沙英「で、その子はなんていう名前で、どこの高校なの?」
ゆの「はい。このメモ用紙をもらいました」
沙英「どれどれ……。『SOS団団長 涼宮ハルヒ』?」
ヒロ「涼宮……?」
沙英「これだけなの、ゆの?」
ゆの「あ、はい。裏に電話番号もありますよ」
沙英「裏って……。確かに、県立北高等学校ってある」

ヒロ「……沙英、ちょっと私部屋に戻る」
沙英「え? どうかした?」
宮子「モグモグ……。ヒロさん、もう稽古の時間はとっくに過ぎてぶへぇ!」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 19:16:18.78 ID:H/atEGk50

ハルヒ「私は、この絵を見てこれだって!思ったのよ」
キョン「また、ロクでもないことだろ」

ハルヒ「キョン! あなたはSOS団をどう思っているの!?」

キョン「はあ? 頼むから、文脈を繋げてくれないか?」
ハルヒ「はあ……。古泉くん、あなたはどう思っているの?」
古泉「そうですね。我々の絆が強く結ばれていることを『SOS団』と比喩してもいいぐらいですね」
キョン(分かりにくいぞ)
ハルヒ「うんうん。なるほど。……みくるちゃんは?」

朝比奈「ふえ!?」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 19:20:33.23 ID:H/atEGk50

朝比奈「そ、そうですね……。とってもいいところだな〜って思います」
キョン(うんうん。流石は朝比奈さん。答えが分かりやすく、可愛い)
ハルヒ「ふーん。……有希は?」
長門「部室の広さは、五人が行動を共にするには適した広さ。
   しかし、建物の築年数による耐久度の劣化を鑑みれば、早急な補強を提案する」
キョン(長門よ、部室の感想を言ってどうする……)
ハルヒ「なるほどね」
キョン(絶対、分かってないだろ!)

ハルヒ「で、キョンはどうなの? 考える時間はいっぱいあったでしょ?」
キョン「うぐ……」
ハルヒ「まさか、これだけ時間を挙げても、文章化できないわけ?! あなたどれだけ日本語不自由なのよ?」
キョン「うう……」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 19:24:08.47 ID:H/atEGk50

キョン「……楽しい場所ではあると思うぞ」
ハルヒ「はあ? 時間を挙げたのにたったそれだけなの?」
キョン「仕方無いだろうが! そういうお前はどうなんだ!?」

ハルヒ「ま、何が言いたいかと言うとね」
キョン(こいつ……)
ハルヒ「今から冬休みの間までに、SOS団をテーマに絵を描こうと思うのよ!」
キョン「なんでだ?」
ハルヒ「あなたね、何でもかんでも答えだけを訊いていたら、探究心や好奇心を失くしてしまうわよ!
    人間にだけ与えられた欲求を放棄して楽しい人生なんて送れないんだから」

キョン(人間、憎悪だけでも生きていけるから大丈夫だろう)

ハルヒ「頭の退化が著しいキョンのために言うけど、私としては年が明ける前にみんなの素直な感想が観たいのよ!」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 19:33:17.07 ID:H/atEGk50

古泉「つまり、絵でそれを表現しろ、というわけですね?」
ハルヒ「そういうことよ。流石ね、古泉くん」
古泉「お褒め頂き、光栄です」
キョン「なんで、絵なんだ? 作文でも良いんじゃないか?」

ハルヒ「甘いわよ、キョン。絵というのは、描き手の心情を愚直なまでに表現してくれるインターフェースなのよ」
長門「……」
ハルヒ「文章ではまだ嘘がつけてしまうけど、絵だと逃げ場がないの」
ハルヒ「絵のタッチ、色、線、全てにおいて誤魔化しなど効かないわけ。
    もし、政治家が絵で外交なんかしたらこの世は世紀末になるわね」
キョン「(おい、古泉。大丈夫なのか?)」
古泉「(問題はないと思いますが?)」
キョン「(コンピ研部長氏の一件があるのにか?)」
古泉「(確かに懸念する余地はありますが、ここで意義を唱えたところで涼宮さんは止まりませんし、絵を描くだけですから)」
キョン「(いいのか……?)」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 19:42:25.31 ID:H/atEGk50

ゆの「駄目です!!」
沙英「でも、立派な泥棒なんだよ? 犯罪だよ?」
ゆの「それでも……。警察だけは……! お願いします!」
宮子「モゴモグ……」
沙英「……どうして?」
ゆの「あの、その……。実は絵を貸してほしいって言われたとき……」
宮子「もぐもぐもぐい……」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 19:49:14.99 ID:H/atEGk50

〜やまぶき高校 文化祭当日〜

ゆの「え? え?!」
ハルヒ「だから、この絵、貸してほしいのよ」
ゆの「ど、どうしてですか?!(まだ、未完成品だから見られたくもないのに!)」
ハルヒ「どうしてって、そうね……」

ハルヒ「この絵を見ていると、素直な自分が出てきそうだから、かしら」

ゆの「え?」
ハルヒ「なんかさ、この絵からは「私はこんな絵を描きたかった!」って想いがすごく伝わってくるの」
ゆの「そ、そんなこと……」
ハルヒ「きっと、あなたがすごく真っ直ぐなんでしょうね」

ハルヒ「この絵を見て、私も絵を描いてみたくなったの!」


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 20:03:23.46 ID:H/atEGk50

ゆの「絵を、ですか?」
ハルヒ「うん! だから、この絵を貸してほしいのよ。私の団員にも見せてやりたいし、何より手本にさせてもらうから!」
ゆの「え? えぇぇぇぇ〜!!」
ハルヒ「あなた、さっきから感嘆が多いわよ」
ゆの「だって、だって、私の絵をお手本なんか……。へ、下手糞だし、その、絵はまだ……」
ハルヒ「何を言ってるのよ! この私が手本にしてあげるっていってるんだから自信持ちなさい」
ゆの「で、でも……」
ハルヒ「でもも、へちまもないの! とにかく、この絵は借りていくわよ。冬休みには返すから、いいわね?」
ゆの「え、あの……」

ハルヒ「はいこれ、連絡先ね。あと、あなたはどこに住んでるの?」
ゆの「え、と、学校の前にある『ひだまり荘』ですけど……」
ハルヒ「なるほど。分かりやすいわね。それじゃ」


ゆの「あ、あの〜……。いっちゃった……」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 20:10:35.45 ID:H/atEGk50

〜ひだまり荘〜

沙英「つまり、嬉しかったんだね?」
ゆの「……」
沙英「自分の絵をお手本にして、絵を描くと決心した人を見て、嬉しくなったんだ?」
ゆの「……はい」
沙英「お人よしというか、なんというか。まあ、ゆのらしいけどさ」

宮子「モグモグ……。そふぉが、ゆおっひのひひとほろ」
沙英「宮子、食べながら話さない」
宮子「ふぁーい」
ゆの「あはは……。あの沙英さん……」
沙英「うん。ゆのが良いなら、もう何も言わない。向こうの連絡先も分かってるし、いざとなれば乗り込めばいいしね」
ゆの「……ありがとうございます!」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 20:20:47.23 ID:H/atEGk50

〜数日後 SOS団部室〜

キョン「とりあえず、これだけ画材道具があればキュビスムだろうがダダイスムだろうが怖くないだろ」
ハルヒ「そうね。ルネサンスの出鼻を挫くこともできるわね」
キョン(もう無理だろ、出鼻を挫くのは)

ハルヒ「さて、諸君。これから『SOS団』を絵にしてもらうわけだけど、何か不安や要望はあるかしら?」
キョン(俺は、お前の未来が不安だね)
朝比奈「あの〜、涼宮さん」
ハルヒ「なに、みくるちゃん?」
朝比奈「何を使ってもいいんですか?」
ハルヒ「それは勿論よ。クレヨンでも色鉛筆でもクレパスでも良いわよ」
朝比奈「そうなんですか〜。どれが良いのか迷いますね〜」

古泉「涼宮さん。完成した絵はどうするのですか?」
ハルヒ「ああ、それは秘密。ま、悪いようにはしないから」
キョン(とりあえず悪いことにはなりそうだな……)

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 20:26:41.12 ID:H/atEGk50

古泉「……」
長門「……」
朝比奈「……」
ハルヒ「……」
キョン(みんな黙々と描き始めたな……。俺はなにを描こうか……)
キョン(SOS団かぁ……)

ハルヒ「……(チラッ」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 20:33:31.96 ID:H/atEGk50

〜海が見える坂〜

キョン「結局、なーにも描けなかったなあ」
古泉「恥ずかしながら、僕もです」
キョン「大体、いきなり『SOS団について絵にしろ』なんてなぁ」
古泉「……気になっているのでしょう」
キョン「何がだ?」
古泉「勿論、我々のことです。彼女もああ見えて、人の気持ちが気になっているのですよ」
キョン「バカな。アイツは男の目の前でいきなり服を脱ぎだすような奴だぞ?」
古泉「んふ。最近、そんなことがありましたか?」
キョン「……そういえば」
古泉「彼女は、変わっているのです。そして、今回はあの絵を見て、また変わろうとしています」

ハルヒ「そしたらさ、ツチノコっていう奴で……」
朝比奈「……?」

キョン「そうなのか……?」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 20:38:28.84 ID:H/atEGk50

〜ひだまり荘101号室〜

ヒロ「やっと見つけた。やっぱり……。涼宮って、あの涼宮さんなのね……」

ヒロ「でも、どうして今更……」
ヒロ「……!」





ちょっと休憩

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 20:54:20.61 ID:H/atEGk50

再開 稚拙遅筆でごめん


〜数日後 ひだまり荘〜

ゆの「沙英さん、最近ヒロさんの様子がおかしくないですか?」
沙英「うん……。なんか暗いんだよね……」
ゆの「どうしたんでしょうか?」
沙英「さあ、涼宮ハルヒって人の名前を聞いたときから変な感じではあったけど……」
ゆの「涼宮さんのことを知っているんでしょうか?」
沙英「まさか。でも、ありえるのかな?」
ゆの「聞いてみましょう」

宮子「ぐがー」
沙英「宮子は……置いておこう」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/22(月) 21:55:45.41 ID:5Ba0xxcfP

巻き添え規制をくらってしまいました。
SSはここで終了します。
本当に申し訳ありません。



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