キョン「犯人は・・・お前だ!」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 01:10:23.69 ID:VFMnyw0s0

メイド「ようこそお待ちしておりました、SOS団の皆様。私はこの館で奉仕をさせていただいてるメイドと申します。以後お見知りおきを」

ハルヒ「SOS団の団長、涼宮ハルヒです。今日はよろしくお願いします」

俺達SOS団はいま、とある無人島にあるえらくでかい館の前に立っている
メイドさんのセリフを聞けば分かるように俺達は呼ばれてこの館に来た
なぜ呼ばれたのかというと……説明するの面倒だな、とりあえず回想を見てくれ


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 01:13:16.95 ID:VFMnyw0s0

ハルヒ『というわけで、次の連休を使って、我がSOS団は遠征に行こうと思います!!』

キョン『なにがというわけで、だ?』

ハルヒ『あら、あんた話聞いてなかったの?古泉くんがこのチラシをもってきてくれたのよ』バサッ

キョン『『推理小説愛好会による披露会のご案内』だろ?それならもう聞いたさ』

ハルヒ『なによ、わかってるじゃない』

キョン『そうじゃなくてだな。いったいいつからこの部活は推理小説愛好会になったんだ?』

ハルヒ『なってないわよ?』

キョン『じゃあその披露会に参加する資格はないんじゃないか?』

ハルヒ『別に紙には参加資格なんて書いてないわよ?』

キョン『いや、書かなくたって普通は分かるだろ』


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 01:16:23.18 ID:VFMnyw0s0

ハルヒ『細かいことはいいの!それに、うちの部員ならそんじょそこらの推理小説マニアより数倍は推理力を持ってるわ!だから問題ないでしょ?』

キョン『そうは簡単にいくか。むこうだって認めてくれないだろうさ』

古泉『既に予約済みです。電話をしたら、快く承諾していただけましたよ』

キョン『………』

ハルヒ『というわけで、明日から出発するから、今日はこれで解散!!明日6時にいつもの駅集合だからね!』バタン

キョン『………やれやれ、こっちの身にもなってほしいぜ』

古泉『いいじゃないですか、久しぶりのお出かけなわけですし』

キョン『あいつと出かけると大抵ロクなことがない。それとだな、古泉』

古泉『貴方の言わんとすることは分かりますよ。残念ですが、今回僕たち機関とはまったく関係ありません』

キョン『本当だろうな?前の無人島といい、雪山といい……やっぱりロクなことがなかったぞ?』


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 01:20:04.77 ID:VFMnyw0s0

古泉『大丈夫ですよ。今度のは本当に無関係です』

キョン『……ならいいが…』チラ

長門『……なに?』

キョン『いや、なんでもないさ』

キョン(不甲斐ないが、また何かあったら長門に頼むか)

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 01:23:30.96 ID:VFMnyw0s0

キョン「というわけだ」

ハルヒ「なに独り言言ってるのよ?」

キョン「いーや、なんでもない」

みくる「うわぁ…おっきいロビーですねぇ……」

?「以前はホテルとして利用していたんだよ」

古泉「貴方が主催者の?」

主人「いかにも。いやぁ…こんな孤島まで来てくれてすまないねぇ」

ハルヒ「こちらこそ、招待しただいてありがとうございます」

主人「約7つのグループが申し込んでいるんだが、君たちが最初のグループだよ。適当にくつろいで待っていてくれ」

メイド「お揃いになりましたら、親睦会を兼ねての食事とさせていただきますので、荷物を置いたらまたロビーに降りてきてください」


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 01:27:31.27 ID:VFMnyw0s0

―――

月「あれが会場なのか?」

L「はい、だいたい歩いて10分くらいですね。ところで、ライトくん」

月「ん、なんだ竜崎?」

L「歩くのが面倒なのでおぶっていってもらえませんか?」

月「……さっさと行くぞ、竜崎」スタスタ

L「冗談ですよ」スタスタ

月「だいたい参加するって言い出したのは竜崎だろ?」

L「『少しは休憩を挟んだらどうだ?』って言ってきたのはライトくんです」

月「だからって僕はこれに参加しろなんて言ってないぞ?」

L「はい、そうですね。でも休憩に代わりはありません」


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 01:31:50.43 ID:VFMnyw0s0

―――

月「僕は夜神月、よろしく」

ハルヒ「私は涼宮ハルヒよ、3日間よろしく!」

L「ハルヒさん………」ゴクリ

ハルヒ「えっと……なに?竜崎さん」

L「『ミサミサでーす』って言ってみてくれませんか?」

キョン(なにを言ってるんだこいつは?)

ハルヒ「は…はい?」

L「一度でいいのでお願いします」

ハルヒ「み、ミサミサでーす…これでいいの?」

L「はい、ありがとうございました」

キョン「竜崎って変わってるな」ヒソヒソ

月「こういうやつなんだ。あまり気にしないでくれ」ヒソヒソ


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 01:36:43.92 ID:VFMnyw0s0

―――

みくる「他の人たちはまだなんですかー?」

主人「まだ連絡が来てないんだが……嫌に遅いな」

ガチャ

メイド「ご主人様、いま連絡が入ったのですが!」

主人「どうしたのだ、そんなに慌てて」

メイド「フェリーが本島の港付近で事故にあったそうです」

主人「なんだと!?」

メイド「どうやらエンジンから出火したことが原因のようです。幸い誰も乗っていなかったのですが……」

主人「……港に連絡して船を手配してもらえ!」

メイド「それもしようとしたのですが…風雨が強まりつつあってどこにも拒否されてしまい…」

主人「むぅ……雰囲気を出そうとクローズドサークルになるタイミングを狙いすぎたか…人数は少ないが、これでパーティーを始めるとしよう」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 01:40:48.45 ID:VFMnyw0s0

キョン「おい、なんだかヤバイことになってきたぞ?」ヒソヒソ

古泉「僕に言われましても…」ヒソヒソ

キョン「本当に機関は絡んでないんだろうな?」ヒソヒソ

古泉「えぇ……。もしもこれが偶然でないとしたら…涼宮さんの力によるものでしょう」ヒソヒソ

キョン「シャレにならんぞ、これで本当に誰かが死に出したらそれこそ推理小説の世界だ」ヒソヒソ

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[人少ないから寝ようと思ってたのに] 投稿日:2009/11/15(日) 01:45:15.87 ID:VFMnyw0s0

―――

L「すごく……おいしいです…」モグモグ

月「よくこんな状況の中で食べてられるな」

L「こういう状況だからこそ、です。食べられるときに食べておきましょう。それに…」

月「それに?」

L「すごくおいしいですから」モグモグ

月「………」

キョン「なんか竜崎とハルヒって似てるよな?」

ハルヒ「そうかしら?」モグモグ

キョン「あぁ、なんというか、マイペースだよな」


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 01:49:39.30 ID:VFMnyw0s0

ハルヒ「いいことじゃない、こういう危機的状況の中で冷静でいられるのはすごく大事なことじゃない?」モグモグ

キョン「…やれやれだ」

ハルヒ「それに、前もこんなことあったでしょ?前のは確かに古泉くんのイタズラだったから当たり前だけど、今回のも特に何も起こらずに済みそうな気がするのよね」モグモグ

キョン「まったく……どこからそんな自信がくるのやら」

長門「………」モグモグモグ

キョン(こいつもマイペースだな)


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 01:54:01.65 ID:VFMnyw0s0

―――

みくる「なんだかんだでご飯、食べれちゃいましたね」

ハルヒ「以外と空腹なら状況なんて関係ないわよ」

主人「はっは、満足してもらえてるようだね。次はデザートがくるぞ。メイドの作るデザートは天下一品でな」

L「ライトくん、結局少ししか食べませんでしたね」

月「これでも無理やり詰め込んだ方だよ」

L「デザートは、食べますか?」

月「回りくどいな。欲しいなら言えばいいだろ?」

L「別に欲しいとは言ってません。ただ、捨てるのはもったいないですから」

月「デザートは食べるよ」

L「…ご飯は食べなかったのにデザートは食べるんですか?」

月「あぁ、糖分は頭の回転に必要な栄養分だからね」


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 02:00:38.41 ID:VFMnyw0s0

L「………」シュン

長門「………」ジト

L「………」シュン

長門「……これ」

L「…なんですか?」

長門「食べて」

L「いいんですか?」

長門「いい」

L「返しませんよ?」サッ

長門「いらない」

L「あとでやっぱりいるって言ってもあげませんよ?」

長門「いい」

L「それではいただきます」


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 02:05:20.13 ID:VFMnyw0s0

―――

メイド「食後のコーヒーをどうぞ」カタン

古泉「これはありがとうございます」

メイド「みくる様は紅茶を」カタン

みくる「ありがとうございますぅ」

古泉「とてもいい香りですね、よほど高級な豆を使われているのでは?」

メイド「いろいろな豆をブレンドして作っております」

L「すみません、角砂糖をもらえますか?」

メイド「いくつお持ちしましょうか?」

L「……また後ほど頼むことになるかもしれませんが、まずは10個ほどお願いします」

キョン(やっぱりこいつ変だ)


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 02:09:39.98 ID:VFMnyw0s0

―――

L「……」ボチャボチャボチャ

みくる「ふぇぇ…そんなにお砂糖入れちゃうんですか?」

L「まだまだ少ない方です」ボチャボチャボチャ

みくる「糖尿病になっちゃいますぅぅ…」

L「頭を使って消費してるので問題ありません」ボチャボチャボチャ

みくる「お砂糖には致死量ないんでしょうか?」

L「いまのところ死んでません」ボチャ ズズッ

みくる「はぅぅ……」


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 02:14:37.69 ID:VFMnyw0s0

L「……っ!?」ズッ

みくる「ふぇっ!?」

L「………」グラッ ドタァン

主人「なんだ!?」

月「っ!? 竜崎!!」タッタッタ

キョン「何が起こった!?」

古泉「………脈がありません」

月(死因はなんだ?…心臓麻痺……いや、僕はデスノートに書いてない……他にデスノートの所有者が!?いや、違う、なら残る可能性は!)

キョン(くそ、まじで起こりやがったぞ!ハルヒがやったのか?)

月「いますぐコップから手を放してください!!」

月「もしかしたら毒物が付着している可能性があります!」


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 02:19:12.70 ID:VFMnyw0s0

みくる「ふぁ、ふぁいっ!」パリーン

キョン「長門、すまないが、死因を確認してきてもらえるか?」ヒソヒソ

長門「構わない」ヒソヒソ

主人「そんな……バカな!?」

ハルヒ「なに…なんなの? ねぇ、キョン!竜崎さん……」

キョン「……あぁ」

キョン(もしもこれが古泉の…機関の演技なら長門は見破ってきてくれるはずだ)

メイド「そん……な」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 02:24:02.39 ID:VFMnyw0s0

長門「分かった」ヒソヒソ

キョン「どうだったんだ!?死んでなんか!」ヒソヒソ

長門「薬物性の心臓発作」ヒソヒソ

キョン「っ!!」

キョン(おい、これはシャレにならないぞ!?)


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 02:26:16.76 ID:VFMnyw0s0

―――

とりあえずこのあと、各人は部屋に戻った
竜崎の遺体は俺と夜神と古泉で食堂の隅にもって行き、ビニールシートを被せておいた
まだ、運んでく途中にどんどん消えていく竜崎の体の温かみがやたら生々しかった
しかし、この先にまだ悪い出来事が待ち構えてるなんて俺達は知る由もなかった
いや、どこかでは気がついていたんだろうが、気づきたくなかったんだ
今更ながらにこのとき認識しておけばよかったと思う

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 02:31:30.95 ID:VFMnyw0s0

―――

キョン「大丈夫か?」

ハルヒ「大丈夫なわけないでしょ。みくるちゃんはあれからずっとうなされてるし」

キョン「そう……だよな、すまん」

古泉「ここでじめじめとしていても仕方ありません、とりあえず食堂にいきましょう」

ハルヒ「みくるちゃんは寝かせておくわ、まだ唸ってるし」

長門「………」


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 02:36:51.88 ID:VFMnyw0s0

―――

月「おはよう」

キョン「お、おう。早いな」

月「いつまでも悲しんでるわけにもいかないからね」

キョン「そうだよな、お前は強いな」

月「そうでもないさ、結構ぎりぎりのところで保ててるだけだよ。キョンがうろたえてくれてるから冷静でいられるのかもしれない」

キョン「………」

メイド「みなさま、ご食事の用意ができました」


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 02:40:21.44 ID:VFMnyw0s0

―――

ハルヒ「………」

キョン(流石のハルヒも食欲わかないか、なんせここで事件が起きたんだもんな)

メイド「あのあと冷蔵庫の食品を全て調べましたが、毒は検出されませんでした」

メイド「一応不安なので、今朝の食事は市販のものを使用させていただいております」

月「………」

キョン「………」

古泉「……いただきます」パクパク

古泉「どうやら食べられるようです。お腹になにか入れなくてはみなさんが倒れてしまいます」

長門「………」パクパク


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 02:44:32.08 ID:VFMnyw0s0

―――

キョン「ごちそうさま…何事もなく食べ切れたな」

ハルヒ「そうね」

月「そういえば主人のはどこにいるんだ?」

メイド「今朝、起こしにお部屋まで行ったのですが、まだ寝ていらっしゃるのか、返事がなく…」

キョン(嫌な予感がする…)

古泉「行きましょう」ダッ


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 02:50:08.25 ID:VFMnyw0s0

―――

ゴンゴン ゴンゴン

古泉「主人さーん!主人さーん!!いらっしゃるなら返事をしてくださーい!!」

シーン

古泉「主人さーん!主人さーん!!」ゴンゴン ゴンゴン

キョン「返事がないな」

古泉「主人さーん!主人さーん!!」ゴンゴン ゴンゴン

月「もとはホテルだったのならマスターキーがあるはずだと思いますが?」

メイド「あ、はい、こちらに」チャラ

キョン(頼む、頼むから無事でいてくれ)

ガチャ

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 02:56:27.08 ID:VFMnyw0s0

古泉「主人さん?」

俺達に背を向けた形でソファーに座っている主人さん。
座ったまま寝てしまっているのか、返事がない。
きっとそれだけだろう。
そう、寝てるだけだ。寝てるだけ、寝てるだけ。
古泉が主人さんの前に回る。
主人さんの手元には1つのコーヒーカップ……。

古泉「主人……さん?」ピタ

キョン「古泉…?」

古泉「……」フルフル

メイド「そん…な」ガタン

キョン「冗談だろ?」

古泉「死んでます」

月(2人連続で死んでる…偶然じゃない……ん…待て、可能性は低いが…)


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 03:01:23.07 ID:VFMnyw0s0

月「………」スタスタ

キョン「どうした?」

月「…これは密室で起きた事件だ」スタスタ

キョン「あぁ」

月「事件、ということは必ず犯人が存在するということだ、そうだろ?」スタスタ

キョン「?」

月「密室には大きく分けて3パターンある」

月「1つ、意図せずに事故が起きてしまったパターン」

月「2つ、犯人が手を下さず、被害者を自殺に追い込むパターン」

月「3つ、部屋の中で直接被害者を殺してしまうパターン」


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 03:05:20.78 ID:VFMnyw0s0

キョン「それがどうかしたのか?」

月「前の2つでは犯人は確実に部屋の中にいない。しかし、もしこの事件が3つめの方法で行われていたとしたら」

古泉「犯人がまだ…いる可能性がある!!」

月「状況を見れば分かるように、被害者は死の間際、誰かと話をしていた痕跡がある」

月「普通、1人でいるときに1人用のソファがあるにもかかわらず、対面して座れるソファには座らないだろ?」

月「可能性としては低いが、ゼロとはいえない」

月「そして、この部屋において…人が一人入れるスペースがある場所は」

キョン「このクローゼットしかない」

月「鬼が出るか蛇が出るか………」

ガラッ

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 03:09:38.35 ID:VFMnyw0s0

………

キョン「少し、残念だな」

古泉「見事に本だらけ、ですね。ドアギリギリのところまで本が詰まってます」

月(……なんだこの違和感?)

キョン「主人さんの遺体、どうする?」

月「そうだな……」

メイド「あの、お取り込み中のところすみません」

古泉「はい?」

メイド「少し、ご主人様と2人きりにさせてもらえませんか?」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 03:17:57.66 ID:VFMnyw0s0

―――

キョン「というわけでメイドさんを置いてきたわけだが…」

月「もう、僕の言いたいことは分かってるんだろ?4人とも」

古泉「……あまり考えたくはありませんが」

ハルヒ「状況的には…一番当てはまるもの」

キョン「……実は、長門に竜崎の死因を調べてもらったんだ」

長門「彼の死因は薬物によるもの。角砂糖に微量の白色粉末が付着していた」

………

月「そこまで分かっているならきっとそうだろうな」

古泉「そしておそらく主人さんの死因も同じ」

ハルヒ「あの、手に持っていたコーヒーカップよね?」

月「そして、マスターキーを持っていたのは彼女だ。他に入れる人はいない」

古泉「彼女でしたら竜崎の角砂糖に細工をすることも容易かったでしょう」


すまない、一旦寝る。
10時00分には再開できるはず。
もしも読みたいと思う人がいるなら保守を頼みます。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:02:08.32 ID:VFMnyw0s0

おはようございます。
いまから再開です。

ハルヒ「けど、あんな優しそうな人が殺人を犯すなんて…」

月「あくまで僕の憶測にすぎない、決まったわけじゃないさ」

ハルヒ「もちろん、外部犯によるものってこともありえるのよね?」

月「……可能性は極めて低い」

キョン「おい夜神!」ヒソヒソ

月「なんだ?」ヒソヒソ

キョン「そこは肯定して少しでも安心感を与えるもんだろ!?」ヒソヒソ

月「身構える対象は少ない方が楽だろ?」ヒソヒソ

キョン「だからって身内に犯人がいるなんて教唆しなくても!!」ヒソヒソ

月「こういうときはとりあえず誰か1人に猜疑心を向けさせることで安心できる。『あの人に近付かなければ大丈夫』って」ヒソヒソ


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:07:57.75 ID:VFMnyw0s0

キョン「お前それじゃ!!」ヒソヒソ

月「あぁ、メイドさんの人権が少し蹂躙される。けど、疑われるようなものをもつ人が悪いんだろ?」

キョン「いい加減にしろよ!!」ヒソヒソ

月「捜査は遊びじゃないんだ。疑ってかかって、間違ってたらごめんなさい、それでいい」

キョン「……っ」

キョン(こいつが犯人じゃないよな?)

古泉「万が一、メイドさんが犯人じゃないという可能性もありますので、少し様子を見てきます」

キョン「気をつけろよ?」

古泉「おや、貴方が僕を心配するなんて珍しいですね」

キョン「他意はない、さっさといけ」


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:13:30.69 ID:VFMnyw0s0

古泉「えぇ。まぁ僕も一応男ですので、女性には腕力じゃ負けませんから大丈夫です」スタスタスタ

ハルヒ「古泉くん、大丈夫かしら?」

キョン「……大丈夫さ」

―――

もしも、メイドが犯人だとしたら、Lの砂糖に細工をする隙はそれこそいくらでもあった。
しかもメイドは頼まれてから、調理室まで角砂糖を取りにいっている。
ということはメイドはLが無類の甘いもの好きということを知っていたのか?
いや、Lの個人情報が広まることはほとんど不可能に近い。
こんな辺境の館に住む一介のメイドが簡単に知ることができるようなものじゃない。
ならばこれは計画的ではなく突発的犯行なのか?


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:19:34.49 ID:VFMnyw0s0

それに主人さんの持っていたコップ…あれに本当に薬物がついていたのだろうか?
さきほどキョンは長門にLの方は調べさせたといっていた。
主人の方も調べてもらう必要があるな。

―――

古泉「みなさん大変です!!」ダッダッダ

キョン「また何かあったのか!?」

ハルヒ「もう嫌!」

古泉「えぇ……メイドさんが」

月「!?」

古泉「いなくなりました」

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:25:47.47 ID:VFMnyw0s0

―――

月「それじゃ僕と古泉、キョンと長門さんで手分けして探そう。片方のグループが捜索している間はもう片方のグループはここで待機」

古泉「外へ出る玄関へ続く廊下はこのロビーにしか繋がっていません。もしも外へ逃走するつもりならここを必ず通るはずです。見張っていてください」

キョン「あ、あぁ」

古泉「それでは行きましょう」

―――

古泉「なぜ、涼宮さんを捜査隊から外したのです?」

月「どうやら僕が予想以上においつめてしまったらしくてね、キョンに怒られたよ」

古泉「ははは、きっと彼もこの状況にイライラなさっているのでしょう、許してあげてください」

月「あぁ、大丈夫さ。あの程度で怒る僕じゃない」


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:30:26.05 ID:VFMnyw0s0

古泉「さて、ここがメイドさんが消失したお部屋です」ガチャ

月「死体のある部屋にはできれば入りたくないな」スタスタ

古泉「全くです。ここで、メイドさんは主人さんに抱きつくようにして泣いておられました」

古泉「声をかけようとしたのですが、どうもそういう雰囲気ではなかったのでそっとしておくことにしました」

古泉「そして僕は少し用を足しに席を外すと」

月「戻った頃にはいなくなっていた、と」

古泉「はい」

月「…違う部屋にいったか、はたまたこのクローゼットに隠れるしかなかった……」

ガラッ

月「相変わらず本だらけで隠れられる場所もない」



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:38:41.95 ID:VFMnyw0s0

月(なんだ、前きたときもそうだが、なにか違和感を感じる…)

古泉「ここに隠れるのは不可能でしょう」

月「あぁ、そうだな」ピシャリ

古泉「他の部屋を探して見ましょう」

―――

キョン「どうだった?」

月「結局どこにもいない。もぬけの殻だ」

古泉「(状況説明)」

キョン「だいたい分かった……よし、行くぞ」

長門「………」スク


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:40:40.19 ID:VFMnyw0s0

月「あ、そうだキョン」

キョン「…ん?」

月「ついでに主人さんの死因を調べてきてもらえないか?」

キョン「さっき調べてこなかったのか?」

月「僕はその辺りには詳しくなくてね。長門さんは詳しいんだろ?頼むよ」

キョン「……あぁ、分かった」

―――

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:50:54.16 ID:VFMnyw0s0

キョン「ここがメイドさんが消えたご主人の部屋か」

長門「そう」

キョン「入るぞ」ガチャ

キョン「………そういや相変わらず主人さんは座らせたままだったな…ほんとに死んでるんだよな」

長門「死んでる」

キョン「ちなみに死因はどうなんだ?」

長門「……竜崎と同じ、薬物性の心臓発作」

キョン「そうか…」

キョン「この部屋で隠れられる場所はやっぱりこのクローゼットしかない、よな」

長門「ない」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 10:57:25.87 ID:VFMnyw0s0

キョン「古泉が一応探したとは言ってたが……」

ガラッ

キョン「本しかない…か」

キョン「それにしてもよくもまぁこんなに本を溜め込めるもんだな」

有名なアガサなんちゃらやらなんちゃらドイルから知らない作家の本まで置いてあるな
他にも小説を書くときに使いそうな参考資料的なもんがおいてある

キョン「ん?」

六法全書…広辞苑…漢字源…六法全書…

キョン(なんで同じ本が2冊もあるんだ?)

キョン(しかも改定版というわけでもなく同じ年の……)

キョン(保存版とかか?それとも買い間違えたのか?)

長門「次」

キョン「あ、あぁそうだな。次行くか」

キョン(金持ちインテリの考えることは分からん)

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 11:06:22.54 ID:VFMnyw0s0

―――

キョン「ふぅ…ただいま」

ハルヒ「どう新事実は見つかった?」

キョン「いや、全く」

ハルヒ「そう……」

キョン「かく言うお前らはどうなんだ?」

古泉「残念ながら誰も通りませんでしたよ」

キョン「うむ………」

月「とりあえずこれではっきりしたことが1つある」

古泉「えぇ」

月「メイドさんはもうこの館にはいない」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 11:10:39.87 ID:VFMnyw0s0

キョン「いや待て、もしかしたら俺たちにはわからない秘密の抜け穴とかがあるやもしれないぞ?」

古泉「そのことでしたら」パラ

キョン「地図?」

古泉「えぇ、メイドさんの部屋で少し失敬させていただきました」

月「窃盗は気がすまないが、緊急時だからやむをえないだろう」

古泉「そしてこの地図を見るかぎり、外への脱出経路はこのロビーを出たところにある玄関しかないのです」

キョン「いや、出ようと思えば窓からだって出られるぞ?」

月「僕たちは各部屋を回りながら全ての窓を調べた」

古泉「そして、その全てにはちゃんと鍵がかかっていました」

ハルヒ「窓から脱走したことはありえないのね…」


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 11:15:46.93 ID:VFMnyw0s0

………

キョン「だけど、これでもしも一連の事件がメイドさんによるものだったなら、俺達が死ぬようなことはなくなったんだよな?」

古泉「そう…なりますね…」

ハルヒ「ねぇ、だけど」

キョン「?」

ハルヒ「私たちいつ帰れるの?」

ハルヒ「だっていま外は台風なんでしょ?誰も迎えになんて来れないじゃない」

キョン「………」

古泉「テレビを点けてみましょう」ピッ

『昨日日本列島の南部に上陸した台風184号は現在、ゆっくりとしたスピードで北上を続けています
気象庁によりますと、台風があけるのは早いところであと1日はかかるでしょう』

月「となると、帰れるのは早くても明日の夜ということか」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 11:25:21.46 ID:VFMnyw0s0

ハルヒ「そんな!こんなところにあと1日もいるなんて」

キョン「いやでも、メイドさんがいなくなった以上、もう誰も死なないって」

古泉「少しでも気分を晴らすためにいいともでも見ませんか?」ピッ

『ザー』

古泉「あれ?」ピッ

『ザー』

キョン「どうした!?」

古泉「どのチャンネルに回しても砂嵐しか…」

ピッピッピッピッピッ…

キョン「そんな!」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 11:32:46.69 ID:VFMnyw0s0

月「静かにしてくれ、何か声が聞こえる!」

『ザー…わ……ザー…ふぁ……ザー…す』

古泉「音量を上げます…」

『初めまして、みなさん』

『私の予想によると、いま、そこにいるのはキョンくん、イツキくん、ライトくん、ハルヒさん、ユキさん、ですね』

『それに部屋にいるミクルさんも合わせて6人でしょうか』

『大方想像はついていると思いますが、私が今回の事件の犯人です……そうですね、名前はαということにしましょう』

キョン「ふざけるな!!なにが『αということにしましょう』だ!」

『あまり激情なさらないでください』

『これは人の命を使ったゲームです』


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/15(日) 11:37:20.35 ID:VFMnyw0s0

キョン「ゲーム…だと!?」

『はい、ゲームです。いえ、駆け引きといった方が正しいかもしれません』

月(キョンの応答に応えている…ということはこの場にいる、もしくはマイクで音を拾っているのか?)

『ルールは至極簡単です』

『貴方方全員が死ぬまでに私を捕まえることが出来れば貴方方の勝ち』

『全滅してしまったら貴方方の負け』

『すごく簡単でしょう?』

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/15(日) 11:45:44.58 ID:VFMnyw0s0

キョン「ふざけるな!!俺達の命を何だと思ってるんだ!」

『いいでしょう別に、人間なんて腐るほどいるんですから。6人くらいなくなったって誰も気にも留めませんよ』

『既に3人亡くなっているわけですし』

ハルヒ「っ…メイドさんはもう」

『はい、今頃魚達の餌と化しているのではないでしょうか?』

キョン「コイツ!!」

『ははは』

月(どこだ?どこにマイクが? いや、それよりも…)

月「古泉、僕にさっきの地図を貸してもらえないか?」ヒソヒソ

古泉「え あ、はい、どうぞ」


70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 11:52:33.11 ID:VFMnyw0s0

月(僕の予想が正しければ、あるはずだ!)

『まぁもし貴方達が私からの挑戦を受けないというのなら、仕方ありませんけど』

キョン「そんなイカれたゲーム!受けるわけがないだろ!」

『あれ、いいんですか? 受けないというなら仕方なくこの館をいますぐ爆破させてもらいますが』

キョン「なんだと!!」

月(あった!! 機関室!!)ダッ

古泉「どこに行かれるんです?」ダッ

月「この放送を流している場所に行けば犯人がいるはずだ、そこに向かう」タッタッタッタ

キョン「待て、俺も!」ダッ

月「キョンは待機して長門さんと涼宮さんのそばにいてあげてくれ」タッタッタ


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 12:00:09.72 ID:VFMnyw0s0

―――

『ねらい?そんなものはありませんよ』

月「キョンがαと話して時間を稼いでくれてるみたいだな」

古泉「えぇ」

『あなたはゲームをするのに理由がいりますか?』

『そうですね、強いて言うなら退屈だったから、です』

月「この角を曲がれば!」タッタッタ

『それじゃあそろそろ時間のようなので、終わりにしましょう』

『ゲームの開始は明日の朝、誰かが死んでからです』

月「くそっ!開かない!!」ガンガン


72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 12:06:44.33 ID:VFMnyw0s0

『それを合図に、ゲームを始めましょう』

古泉「月くん!ここは2人で壁に体当たりをしましょう」

『できるだけ早く私を捕まえないと、それだけ死者が出ますよ』

古泉「せーのっ!!」ガン

『それでは楽しみに待っています』

古泉「せーのっ!!」ガン

『あ、そうそう1つだけヒントを差し上げましょう』

古泉「せーのっ!!!」ガン ガシャン

月「そん……なっ」

『私は貴方達6人の中にいますよ』カタカタカタカタ

月「テープレコーダー…だと?」

お昼ごはんということで席を外します。
だいたい14時くらいには戻れると思います。
読み手がいるかどうかは定かではありませんが、もしもいるのならば保守をお願いします。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:00:50.32 ID:VFMnyw0s0

古泉「事情をみんなに説明しましょう、夜神くんはみんなを連れてきてください!僕は犯人の痕跡がないかどうか探しておきます」

月「あぁ」タッタッタッタ

月(くそ、どうなってる!? 確かにキョンとαはきちん会話をしていた!)

月(どこかから盗聴して機関室から返事をしていたんじゃないのか?)

月(それ以外考えられる方法はないはずだ…)


遅くなりました再開します。

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:06:35.61 ID:VFMnyw0s0

―――

ハルヒ「さっきの放送がテープを再生しただけだったって聞いたけど!?」バタバタ

古泉「えぇ、その通りです」

キョン「そんなのありえないだろ!ちゃんと会話できてたはずだ!」

月「それはテープを再生すればわかるはず…古泉、やってくれ」

月(僕の中である大まかな仮説ができた。どこからテープが再生されるか、それが今回の事件のキモだ)

古泉「それが……」カチ

シーン

キョン「何も流れないぞ…?」

古泉「えぇ……この通り、巻き戻しボタンが見事に壊されています」


87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:11:15.59 ID:VFMnyw0s0

ハルヒ「…でも、それなら一回カセットを取り出して手動で巻きなおせばいいじゃない」

月「やっていないところをみると……なるほど…接着剤ということか」ガチャガチャ

古泉「はい、剥がすには壊さなければいけないようで」

キョン「壊したら今度はふたが閉まらなくなって再生できなくなるわけか」

月(これじゃどこからがテープなのかがわからない!)

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:18:31.40 ID:VFMnyw0s0

―――

古泉「とりあえず明日に備えて今日はもう寝たほうがいいと思いませんか?」

キョン「そう…だな。今日はもうしかけてこないっていうし、早く捕まえられるように頭を使うことになるだろうしな」

古泉「みなさん、くれぐれも戸締りには気をつけてください」

ハルヒ「それじゃ…おやすみ」バタン

月(今日の事件、あの6人の中で犯行が可能だったのは2人)

月(1人はテープとなんの齟齬も交えずに会話をしていたキョン…)

月(テープの内容を知っていたのなら簡単にできる芸当だ)

月(それに、Lと館の主人の死因をあれだけ断定できるっていうのもおかしい)


90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:21:26.96 ID:VFMnyw0s0

月(あとは古泉一樹……可能性としては限りなく低いが…ゼロじゃない)

月(あの場所で古泉一樹だけを残して涼宮ハルヒたちを呼びにいったのはうかつだった)

月(もし、協力者がいて、そいつに喋らせているのなら、キョンの場合より明らかに手軽に完遂することができる)

月(誰かが入ってくるギリギリになって機関室内の物陰に隠れ、古泉一樹以外がいなくなったときに逃がせばいい…)

月(となると……協力者の線が一番強いのは朝比奈みくるか?)

月(キョン、涼宮ハルヒ、長門有希は僕が呼びに行く前後、1人残らずロビーにいた)

月(ということはやはり…)


92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:26:16.34 ID:VFMnyw0s0

―――

キョン「おはよう。今日も早いな」

月「おはよう。そういうキョンも早いじゃないか」

月(キョン……いまのところ犯人である可能性が一番高い男……次は誰を殺すつもりだ?)

キョン「どうも眠れなくてな」

月「それが普通の反応だろうね」

キョン「お前は平気なのか?夜神」

月「僕の父親は警察の人だからこういうことには慣れっこでね…悲しいけど」

キョン「そうだったのか…道理で」

月「?」


93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:31:56.54 ID:VFMnyw0s0

キョン「いや、やけにお前が事件現場で冷静に指揮をとれるなぁって思っててさ」

月「そうでもないさ。それに、それならキョンのところの古泉もそうだろ?」

キョン「あいつは特別だよ。そういうやつだからな」

月「?」

キョン「いまだから言うが、俺はお前がαなんじゃないかって疑ってた」

月(キョン…お前がαなんじゃないのか?)

月「……」

キョン「妙な冷静さが不気味で仕方なくてな。だけど、そういう理由があるなら納得だ。疑ってすまない」

月「いや、全然構わないよ。こんな状況下じゃ疑うのも仕方がない」

月「それに君にとっては他の人は仲間だからね」


94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:37:03.21 ID:VFMnyw0s0

キョン「あぁ、やっぱりあいつらを疑うことはできないな。犯人はあいつらじゃないって信じてるさ」

月「そしたら結局犯人は僕ってことになるじゃないか」

キョン「いや、夜神も犯人じゃない、そうだろ?」

月「……なら、キョンは誰が犯人だと思うんだ?」

キョン「俺たち6人以外の部外者、じゃないか?」

月「………」

月(ここまできて部外者、だと? 僕を霍乱するつもりか?)

キョン「だってそれ以外考えられないだろ?」

キョン「俺は仲間を疑いたくないし、お前も疑いたくないし」

月「……キョン、実は」

きゃー!!

月「いまの声は!?」

キョン「朝比奈さんだ!!」バッ


95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:41:24.38 ID:VFMnyw0s0

―――

叫び声の聞こえたところにつくと、朝比奈さんが床にしゃがみこんで気を失っていた。
側には長門とハルヒもいる。
ハルヒの視線が慌ててやってきた俺とあう。

ハルヒ「ねぇ……キョン…これって……」

ハルヒの指差す方向の先にあったのは
不自然な高さで宙に浮いている、いや吊るされている古泉の姿だった。

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:45:57.33 ID:VFMnyw0s0

―――

キョン「古泉…」

月(これで容疑者候補は絞られた…やはりαは……)

キョン「ハルヒ。お前は朝比奈さんと長門をつれて部屋に戻っていてくれ。いいか、俺たちが来るまで絶対にドアを開けるなよ!?」

ハルヒ「うん、分かったわ。行きましょ、有希」

長門「待って」

キョン「?」

長門「あそこ」ツイ

月「あれは……?」

長門「光ってる」


98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:51:06.82 ID:VFMnyw0s0

ハルヒ「留守番電話の光、よね?」

キョン「……もしかして!」

ポチ

『ただいま電話に出ることができません、ピーッという発信音の後に、お名前とご用件をどうぞ ピーッ』

『どうも、昨日ぶりですね。αです』

キョン「このやろう!!」

『貴方……いえ、おそらく貴方方でしょうか?』

『貴方方がこれを聞いている、ということはおそらく、古泉一樹は死んだ、ということですね。まことに残念です』

『貴方達が私を見つけられなかった罪です』

ハルヒ「そんな……」


99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 15:55:51.37 ID:VFMnyw0s0

『さて、本題に入りましょうか』

『私が昨日言ったことを覚えてますね?』

『今朝、人が死ぬのを合図に楽しい楽しい殺人ゲームの始まりになります』

『そう、言ったはずです』

『約束通り、これから始めようと思います』

『早く私を見つけてくださいね。それでは』ガチャ

『11月13日金曜日 午前4時44分です』ピーッ

ハルヒ「古泉くん……」

現在時刻は7時57分。
αが電話をかけてきた時刻、おそらく古泉が死んだ時刻から3時間が経過している。

月「とりあえず、降ろそう」

キョン「あぁ」


100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/15(日) 16:00:57.25 ID:VFMnyw0s0

―――

月「………」

キョン「………」

月「涼宮さんたちを行かせてよかったのか?」

キョン「こんな場所にいつまでもいさせるわけにもいかないだろ?」

月「もし部屋に行く途中に襲われたりでもしたら」

キョン「それは大丈夫だ。長門がついてる」

月「?」

キョン「詳しい事情は説明できないが、あいつはそんじょそこらの人間にはやられないさ」

月「…そうなのか?」

キョン「あぁ」


102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 16:05:27.24 ID:VFMnyw0s0

―――

月「やっと降ろし終わったな」

キョン「あぁ……」

月「………」

キョン「そういや、さっき言いかけたことはなんだったんだ?」

月「……いや、なんでもない。忘れちゃったよ」

月(もしもキョンがαならば、ここで口にしてはまずい……さっきも危うく口を滑らせるところだった。気をつけないといけないな)

キョン「ところで夜神、これは他殺、でいいんだよな?」

月「あぁ」

キョン「一見古泉が首吊り自殺を図ったように見えるんだが」


104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 16:11:24.16 ID:VFMnyw0s0

月「よく考えれば分かる。ここは部屋の真ん中だ」

月「足場なんてどこにもない、仮に離れたベットから飛び乗ろうとしたとしても、そう都合よく首に縄がかかるわけがない」

月「そして、古泉はわざわざ用意された鉄パイプに縄をかけられて死亡していた」

月「誰かが古泉をこの縄にかけた、ということだ」

月「古泉の腕から鉄パイプにのびている2本のロープがあるだろう?」

月「これで古泉を殺害し、その後縄に首をかけ、自殺に見せかけようとしたんだ」

キョン「でもそれっておかしくないか?」

キョン「犯人はわざわざ報告してくるほどのやつだ」

キョン「それなのになんでそんな手の込んだ殺害方法を選んだんだ?」

キョン「それに、夜神の言う方法で殺害したのならその2本のロープを隠さないこともおかしい」


105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 16:15:43.51 ID:VFMnyw0s0

キョン「自殺として終わらせたいならそのロープは逆に不都合のはずだろ?」

月「それはおそらく……捜査を撹乱するためだ」

キョン「?」

月「いまのキョンみたいに頭に複数の疑問を浮かばせ、一番大事なことを見えなくさせる…よく使われる手段だよ」

月(そして、キョンは気づいてない……いや、あえて言及しない最大の疑問も、僕なら解決できる)

月(僕たちが古泉一樹を下ろしたとき、まだ彼には体温が残っていた。普通ならαから電話が入った時刻が死亡時刻だと考える)

月(しかし、そうじゃない。古泉一樹はついさっき死んだばかりだ。その疑問を僕なら!)

月「キョン…」

キョン「?」

月「少し、主人さんの部屋に行ってもいいかな?」

キョン「?」


106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 16:21:10.47 ID:VFMnyw0s0

―――

ガチャ

キョン「……早く、主人さんの遺体もなんとかしないとな」

月「あぁ…」

月(あとはメイドさんが消失した謎さえ解ければ解決する)

月「…僕はこのクローゼットを開けたとき、違和感を感じたんだ」ガラッ

月「いまでもこの違和感がなぜなのか分からない」

月「おそらくこれさえわかれば事件は解決するはずなんだ。キョン、君はなにか感じないか?」

キョン「うーん…いや、特には……」

月「絶対に何かがあるはずだ」


107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 16:25:37.52 ID:VFMnyw0s0

キョン「……そういや、同じ本が2冊以上あるよな」

月「! なるほど、ははは。あーっはっはっはっは」

キョン「?」

月「キョン、知っているか? 本にはカバーがついている本とそうでない本がある」

キョン「あぁ」

月「一般的に分厚い本には殆どカバーがついているだろう。六法全書とかがその代表例だ」

キョン「そうか!」

月「あぁ、こっちの六法全書はダミー。カバーだけの六法全書だよ」


108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 16:30:12.73 ID:VFMnyw0s0

―――

キョン「まさかこんなことになってるなんてな」

月「この程度大きさがあればメイドさんくらいの女性なら入れる!」

キョン「これが消失のトリックか!」

月(これで…全ての謎が解けた!!)

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 16:35:30.11 ID:VFMnyw0s0

―――

キョン「朝比奈さんと長門はどうした?」

ハルヒ「みくるちゃんがまだ気絶してるから、有希は看病してるって」

キョン「大丈夫だろうか…」

ハルヒ「そんなことより、本当に全部わかったの!?夜神くん?」

月「はい。これですべての謎が解けます」

ハルヒ「αの正体は誰なのよ!」

月「まずは焦らないで僕の推理を聞いてほしい」

月「さて、1つ。真実を耳にする前に肝に銘じてほしいことがある」

月「これはある人物の勘違いの物語であって、決して悪意はない…つまり、偶然と偶然が重なり合って、不幸な事件を呼んでしまっただけなんだ」

月「決して犯人を責めないで欲しい」


112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 16:40:26.63 ID:VFMnyw0s0

月「とある推理小説好きの富豪が、ある日、面白いことを思いついた」

月「それは実際に事件を起こして、それを名探偵に解いてもらおう、というものだった。悲劇はすべてここから始まる」

月「探偵役となりうる客がすべて揃ったころ、富豪は参加者の1人にその話を持ちかけた」

月「彼はすぐに承諾し、仮死薬を飲んで死んだフリをすることを了承してくれた」

月「そう、彼とは言わずもがな、竜崎のことだ」

ハルヒ「じゃあ竜崎さんはまだ死んでないの!?」

月「死んでない。ブルーシートの下で横になっているだけだ」

月「話を続けよう」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 16:45:11.38 ID:VFMnyw0s0

月「もちろん、事実を知らない参加者はみな驚き、恐怖し、おそらく誰もがメイドのことを疑っただろう」

月「ここまでは富豪の計画通りだ」

月「こここまでは、ね」

月「その晩、ある人物(α)が富豪の所を訪れた」

月「そして、メイドの失態を理由に富豪を非難した」

月「もちろん全てを知っている富豪はうろたえない。そして、こう口にしてしまったんだ」

月「『全て計画的にやっていることだ』『古泉も分かっている』と中途半端にね」

月「勘違いした彼は逆上した。しかしその場で報復として殺害してしまっては、足が付く」

月「だから、彼は帰り際、富豪のコーヒーの中に竜崎の使っていた角砂糖を混ぜて帰った」

ハルヒ「じゃ、主人さんもまだ?」

月「おそらく眠っているだけだろう」

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 17:02:08.40 ID:VFMnyw0s0

月「そして、メイドさんもそれに気づいた」

月「『何者かが勘違いをしている』『下手したら自分も殺害されてしまうのでは?』そう思い、クローゼットに隠れた」

月「おそらく、推理小説好きな富豪は、隠し扉などに憧れていたのだろう」

月「それが、今回メイドが隠れるのに相応しい隠れ場所を作った」

月「事実、僕もキョンが気づくまで全く気がつかなかった」

月「αは焦ったはずだ。次の標的のメイドが消えてしまった」

キョン「待て。けど、さっき見たときはメイドはいなくなってたじゃないか?」

月「そう、そこを普通は不審に思う。その理由はカセットだ」

ハルヒ「カセット?」

月「そう、あの機関室で見つけたカセットテープだ」

月「なぜαが焦るのか。簡単だ、消えてしまっては前夜に作ったカセットの意味がなくなってしまうかもしれない」

月「しかも、みんなと集団行動中のため、取りに行くわけにも行かない」

月「最大のピンチだ。しかし、これは天がαを助けた」

月「みんながメイドの行方を気にしているお陰で、逆にカセットの内容がメイドの死を強く暗示させることになったからだ」

月「もちろん、カセットを作ったのは自分の犯行を、そう、次の犠牲者の死を隠すためだ」

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 17:08:51.25 ID:VFMnyw0s0

ハルヒ「次の犠牲者……」

月「そう、古泉…」

月「富豪から聞いた関係性から探るに、残る関係者は古泉だけだ」

月「だからαは彼を消そうとした」

月「ここで、彼はある過ちを犯してしまうことになる」

月「自分≠αであることを成り立たせるために、アリバイを作ろうとした」

月「そのためにあの留守番電話を利用した」

月「あの留守番電話を聞くと、いかにも古泉が死亡したのが4時44分以前のように思われる」

月「しかし、古泉をあのタイミングで床に降ろしたのは間違いだった」

月「僕ははっきりと認識できたよ。古泉の体温をね」


120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 17:15:43.04 ID:VFMnyw0s0

ハルヒ「それじゃ!」

月「そう、あのときまだ古泉は死んだばかりだった」

月「なぜ、αはそのタイミングになるまで古泉を殺さなかったのか」

月「それは先ほど言った通りアリバイが作りたかったから」

月「更に突き詰めていえば、自分以外の誰かに古泉の死体を発見してもらう必要があったからだ」

ハルヒ「確かに死体を発見したのは私とみくるちゃんと有希だけど…それじゃ」

月「僕は古泉が見つかるすこし前に、実は仕事を終えたαと話をしているんです」

月「そろそろいいだろう?キョン……いや、α?」

ハルヒ「!」

キョン「!」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 17:21:09.94 ID:VFMnyw0s0

ハルヒ「いや…そんな…嘘よ」

月「嘘じゃない。キョンは電話を入れる前に古泉を呼び出したんだ」

月「『今回の事件について話がある』とでも言えば、このタイミングなら誰だってついてくるだろう?」

月「その間に留守番電話をいれ、与太話をすることで時間を費やし…みんなが起きだすすこし前に古泉を殺した、そうだろ?」

キョン「ちょっと待ってくれ!!なんでそうなる!」

月「なぜって……話したばかりだろう?」

キョン「確かにお前の論理は一見筋道が通ってるように思える。けど、違う!俺は犯人じゃない!」

月「いい加減認めたらどうなんだ?もしも違うというなら証拠を見せてくれ。キョンを犯人にすれば全ての辻褄があうんだ」

キョン「違う!俺は犯人じゃない!!なぁ、ハルヒ!」

ハルヒ「本当にキョンがやったの…?」

キョン「俺じゃない!!俺はαなんかじゃない!信じてくれよ!!」

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 17:24:24.27 ID:VFMnyw0s0

月「僕も君がαだなんて思いたくない。けど、それしか考えられないんだ」

キョン「違う…そんな…!」

きゃー

キョン「!?」バッ

ハルヒ「!! 有希っ!!」ダッ

月「そんな!事件は終わったはずじゃ」

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 17:29:54.12 ID:VFMnyw0s0

キョン「これは…っ」

ハルヒ「いや!嘘!!嘘よ!!」

眼前に広がる光景は朱。
前も右も左も上も下も赤く染まっている。
どこを見ても赤しかない。
さきほどまでそこにいたハズの2人はもはや原型を留めていない。

月「そんな! なぜ」

なにかが振り下ろされる音がする。
そして、なにかにぶつかる音。

「残念でした、ゲームオーバーです」

遠のいていく意識の中、
そんな声が聞こえた気がした。

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 17:35:00.56 ID:VFMnyw0s0

―――

揺れている。
地面が揺れている。
なんだか心地よい揺れを感じる。
空が眩しい。
背中になにかがぶつかっている感覚がある。
どうやら俺は寝かされているようだ。

キョン「ここは…?」

L「やっと目覚めましたか。どうぞ甘いもので目を覚ましてください」

目の前に竜崎が飛び込んできた。
そういえば、俺はαによて殺されたんだった。
それじゃここは天国だろうか。


125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 17:38:15.76 ID:VFMnyw0s0

L「いらないんですか?」

キョン「なんで、竜崎が?」

しかし、月の説明によると竜崎は死んでないはず…。
なのになぜこの天国にいるのだろう。

L「なにか勘違いをしているようなのでいいますが、ここはフェリーの上ですよ?」

キョン「?」

L「いま、みんなで本島に向かっている最中です」

体を起こして、辺りを見回す。
夜神、竜崎、古泉、長門、朝比奈さん、ハルヒ。
みんないる。

キョン「どういうことだ」


127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 17:43:24.88 ID:VFMnyw0s0

古泉「全てはドッキリだったということですよ」

キョン「お前……今回は機関は絡んでないんじゃなかったのか?」

古泉「えぇ、絡んでいませんよ。今回の首謀者は主人さんです」

キョン「いや、だが、主人さんだけでこんな大事出来るわけが」

古泉「なにせ協力者が多かったものですから」

L「私、古泉さん、メイドさん、長門さんが主人さんに協力して今回の企画を遂行していました」

キョン「それじゃ?」

古泉「えぇ、αも存在しませんし、誰一人として死んでませんよ。少し楽しめたようで、良かったです」

どこか腑に落ちない気もするが、まぁいい。
確かに古泉の言うとおりある程度は楽しめた。
夜神に犯人呼ばわりされたときは心臓が破裂するかと思ったけどな。
1つ心配事があるとすれば、我がSOS団唯一の天使、朝比奈さんのトラウマにならなければいいが…。

Fin(もう少し続きます)

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 17:52:39.69 ID:VFMnyw0s0

L「どうも、Lです」

L「いまからライトくんが解けなかった残された謎を解いていきます」

L「私が死んだところはだいたい合っています」

L「強いて言うならその場で尋ねられたのではなく、前もって話し合っていたことぐらいでしょうか」

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 18:03:29.36 ID:PssLHAetO

L「まず2つ目の事件から」

L「キョンさんは主人さんのところを訪れてません」

L「だいたい、夜神くんの論理では主人さんの証言に無茶があります」

L「主人さんは前もって計画されていた通りに死んだふりをしているだけです」

L「別に一定時間鼓動を緩やかにし、体温を下げる仮死薬は使ってません」

L「生死の判断をしたのが古泉さんなのでどうとでもできます」

L「しかもそのあと、メイドさんにより追いやられるので、詳しく調べる時間も与えさせませんでしたし」

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 18:11:16.84 ID:PssLHAetO

L「次に3つ目のメイド消失の事件です」

L「これもメイドさんが予定通り消えただけです」

L「付き添っていた人も古泉さんだけなので、これまた簡単に隠蔽できます」

L「ちなみにクローゼットの中に隠れたその晩に、メイドさんには隠していたフェリーで本島に帰ってもらいました」

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 18:18:46.73 ID:wb0Y/PBN0

L「また、カセットテープの件も、前もって作られていたものということで解決しますね」

L「どうして会話が噛み合っていたのかは、文中でライトくんが触れている通り、古泉くんに協力者がいたからです」

L「ようするにロビーにマイクを設置して、音を拾い、機関室から返答していたんです」

L「そして機関室にライトくんと古泉くんが向かってきたら物陰に隠れる」

L「古泉くんがライトくんをハルヒさんたちのところに向かわせている間にもといた場所に戻る」

L「主人さんがこの役を買って出てくれました」

L「つまりテープの内容は『それじゃあそろそろ時間のようなので』からです」

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 18:21:11.90 ID:wb0Y/PBN0

L「実は台風なんて大嘘です」

L「参加者は主人さんの発言に無意識に操られていたんですね」

L「誰一人として窓の外を確かめようとしないなんて…」

L「ちなみにカセットテープの件で分かるように、このテレビは機関室からジャックすることができます」

L「もちろん、電気予報は嘘っぱちです」

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 18:24:49.61 ID:wb0Y/PBN0

L「次に4つ目の古泉事件です」

L「小泉チルドレンみたいですね」

L「これは私と主人さんで一生懸命準備しました」

L「発見されたときも余裕で生きてますよ」

L「これを言葉で説明するのはすごく難しいのですが…」

L「まず縄を3つ用意します」

L「1つを首、残りを腕(わきの下)に巻きます」

L「首にかかるものが一番長くなるようにセットしてください」

L「するとどうでしょう」

L「首をつって死んでいるように見えて、腕がつられているだけなので死にません。その代わり腕が痺れてしまいますが」

L「夜神くんはまんまとこれに引っかかってましたね」

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/15(日) 18:27:48.58 ID:wb0Y/PBN0

L「そして最後に朝比奈さんと長門さんの殺害トリック」

L「これをどうするか最後まで悩んだのですが」

L「結局長門さんの情報改変を使わせてもらいました」

L「すみません、チートです」

L「あぁ、もちろん背後から気絶させたのは私と主人さんと古泉さんですよ?」

L「こんなものじゃないでしょうか?」

L「なにかまだ解決していない部分があったら申し出てください」

L「それでは一応」

fin



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