キョン「なあハルヒ、校庭に空からライトが降ってきたぞ」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 19:12:47.85 ID:XPBMSUMy0

ハルヒ「え? 今、何て言った?」

キョン「校庭に、ライトが降ってきたんだ」

ハルヒ「ライトって、懐中電灯とかそういうの?」

キョン「いや、そういうのじゃなくて、体育館の天井にあるような、
     大きいライト」

ハルヒ「どこに落ちてきたの?」

キョン「ほら、あそこ」

ハルヒ「あれのこと? あんなの、ただのゴミじゃないの」

キョン「でも、空から降ってくるのはおかしくないか?」

ハルヒ「確かにおかしいかもしれないわね。でも、本当に空から
     降ってきたという証拠があるの?」

キョン「俺が見ていた」

ハルヒ「それがあんたの妄想や嘘じゃないという証拠は、
     どこにもないわ。空から降ってきたんじゃなくて、
     最初から校庭に落ちていたのかもしれないわ」

キョン「でも、校庭に落ちた瞬間、音がした」

ハルヒ「音? そんなの、私には聞こえなかったわよ」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 19:16:25.25 ID:XPBMSUMy0

キョン「本当に、聞こえなかったのか? あんなに大きな音が
     したじゃないか」

ハルヒ「先生」

教師「どうした、涼宮?」

ハルヒ「さっき、何か音がしましたか?」

教師「いや、俺には聞こえなかったけど?」

ハルヒ「そうですか。授業を中断して、すみませんでした。
     (小声で)これで分かったでしょ?」

キョン「……何か、お前らしくないよな」

ハルヒ「そう?」

キョン「ああ。だって、いつものお前なら、それは不思議ね!
     とか言ってテンション上がるのに」

ハルヒ「だって、あまりにも嘘くさいんだもの。空からライトが
     降ってくるなんて。それならまだ、デスノーとが降ってきた
     とか言われる方が、まだ納得できるわ」

キョン「休み時間になったら、あのライトを見に行かないか?」

ハルヒ「それなら無駄よ。ほら、清掃業者が片付けてるわ」

キョン「……やっぱり、変だな」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 19:20:30.84 ID:XPBMSUMy0

ハルヒ「何が?」

キョン「今って、何時間目だっけ?」

ハルヒ「二時間目ね」

キョン「どうしてこんな時間に、清掃業者が掃除を始めるんだ?」

ハルヒ「そういうスケジュールになってるんじゃないの?」

キョン「この高校は、公立だ。つまり貧乏だ。できる限り、掃除は
     生徒にやらせることになっている。わざわざ授業中に
     清掃業者に仕事を依頼するなんて、金の無駄遣いだ」

ハルヒ「校庭にライトが落ちていたら、誰かが怪我をすると
     思ったんじゃないの?」

キョン「どうしてそう思ったんだ?」

ハルヒ「え?」

キョン「どうして校庭にライトが落ちていたら、誰かが怪我を
     するんだ?」

ハルヒ「だって、ガラスの破片が――」

キョン「ほら、やっぱりな。お前は知っていたんだよ。ライトの
     ガラスが割れていることを。ガラスはいつ割れたのか?
     それは、空から落ちてきて、地面に激突したときだ」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 19:27:21.79 ID:XPBMSUMy0

ハルヒ「それは、論理の飛躍という奴ね。私はただ、何となく、
     ガラスが割れているんじゃないかな、と思っただけよ。
     だって、わざわざ業者が片付けるくらいなんだから、
     何か危険な状態にあると判断するのが普通でしょ?
     つまりあんたの論理は、前提と結果が逆転しているのよ」

キョン「お前が何を言っているのか、よく分からない」

ハルヒ「じゃあ、気にしなくてもいいじゃない」

キョン「……そうかな? 俺は、本当に、ライトが空から降って
     くるのを見たんだけど」

ハルヒ「それは錯覚よ。ライトは最初から校庭にあったのに、
     あんたが気付かなかっただけだわ。そして、何気なく
     校庭に目をやったらライトに気付いて、あれは空から
     落ちてきたんだ、と思い込んでしまっただけよ」

キョン「あのライトは、いつからあったんだろう?」

ハルヒ「え?」

キョン「お前は最初から校庭にあった、と言っていたけど、
     一時間目の体育のときには、気付かなかった。
     今日の体育は、校庭でサッカーをしたのに」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 19:31:39.81 ID:XPBMSUMy0

ハルヒ「誰かが捨てたんじゃないかしら」

キョン「いつ、何のために」

ハルヒ「体育の授業が終わって、教室に戻るときに、
     誰かが不法投棄をしたのよ。そうに決まっているわ」

キョン「本当にそうなのかな……」

教師「今日の授業は、ここまで」



キョン「――おい、谷口」

谷口「何だ?」

キョン「お前、二時間目の授業のとき、何も聞こえなかったか?」

谷口「何もって、何を?」

キョン「何かが落ちてきて、地面に当たるような音を」

谷口「何も聞こえなかったぞ。お前、疲れてるんじゃないのか?」

キョン「そうかな……」

国木田「ねえキョン、聞いてよ。さっき携帯でネットを調べていたら、
      この辺を飛んでいたヘリコプターが、撮影用のライトを
      落としちゃった、っていうニュースを見つけたんだ」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 19:34:41.74 ID:XPBMSUMy0

キョン「ニュース?」

国木田「うん」

キョン「何か、おかしくないか?」

ハルヒ「何がおかしいの?」

キョン「おい、ハルヒ。聞いてたのか」

ハルヒ「ええ、聞いていたわよ。これであんたの方が
     正しかったって証明されたわね。あのライトは、
     ヘリコプターから落ちてきたものだった、と」

キョン「……やっぱり、おかしい」

ハルヒ「何が?」

キョン「だって、お前らはライトが地面に衝突した音を
     聞いていないんだろう?」

谷口「授業に集中していたから、気付かなかったんだよ」

キョン「谷口に限って、それはない。それから、ヘリコプターが
     飛んでいたのなら、どうしてその音が聞こえなかったんだ?
     ヘリの音っていうのは、物凄くでかいじゃないか」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 19:38:41.86 ID:XPBMSUMy0

国木田「遥か上空を飛んでいたのなら、そういうことも
      あるんじゃないかな」

キョン「本当にそうなのか……? それから、そのニュース、
     妙に早くないか」

国木田「そう?」

キョン「だって、俺が、空からライトが降ってくるのを見たのは、
     ついさっきだぞ。あれからまだ十分も経ってない。
     それなのに、どうしてこんなに早くニュースになってるんだ?」

国木田「危険だからじゃないかな。もし民家や人に当たっていたら、
     負傷者が出ていてもおかしくない。だから、緊急ニュースとして
     急いで報道したんだよ」

キョン「そうかな……」

ハルヒ「キョン、どこに行くの?」

キョン「ちょっと外に出てくる」

ハルヒ「もうすぐ三時間目が始まるわよ」

キョン「適当に言い訳を考えておいてくれ」

ハルヒ「待って、私も行くわ。谷口と国木田は、私の分の言い訳もお願い」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 19:43:15.74 ID:XPBMSUMy0


キョン「はぁ、はぁ……」

ハルヒ「キョン、急ぎすぎよ。どうせライトは撤去されちゃったのに、
     何を見に行くの?」

キョン「空を見たかったんだ」

ハルヒ「空?」

キョン「ほら、あそこを見てみろ! あそこだ!」

ハルヒ「どうかした?」

キョン「あの空、おかしくないか? 一ヶ所だけ、暗くなってる。
     まるで、液晶のドットが欠けたみたいだ」

ハルヒ「……鳥か何かよ」

キョン「でも、動かないぞ」

ハルヒ「じゃあきっと、スモッグのせいよ」

キョン「スモッグ?」

ハルヒ「ええ。あそこにスモッグができて、あんなふうに暗く
     見えているだけよ」

キョン「そうかな……。俺にはまるで、空のライトが欠けた
     みたいに見えるんだけど」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 19:49:05.62 ID:XPBMSUMy0

ハルヒ「やめてよ。それじゃあまるで、この空が作り物
     みたいじゃないの」

キョン「俺はそう言ってるんだ」

ハルヒ「馬鹿みたい……。ほら、もう一度よく見て。
     空は欠けてなんかいないわ」

キョン「……本当だ」

ハルヒ「納得した? 見間違いか何かだったのよ」

キョン「いや、納得はしていない。さっきまで欠けていた場所に、
     雲がかかって見えなくなっているだけだ。そして――
     さっきまで、あの場所に雲なんかなかった」

ハルヒ「あんた馬鹿? 曇っていうのは、動くものなのよ?」

キョン「そういうことを言ってるんじゃない。さっきまで、
     あの近くには、あんなに大きい雲はなかった。
     まるで、目を離したほんの数秒間に、雲が突然
     発生したみたいだ」

ハルヒ「あ、チャイム鳴ったわよ。早く教室に戻らないと!」

キョン「お前は、何も気にならないのか?」

ハルヒ「そんなことより、早く教室に戻りましょ?」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 19:54:37.81 ID:XPBMSUMy0

キョン「……授業なんか、どうでもいい。サボる」

ハルヒ「馬鹿なこと言わないで! ただえさえあんたは成績
     悪いんだから、授業にはちゃんと出なきゃ駄目よ!」

キョン「おい、引っ張るなよ。……分かった、分かった。
     教室に戻るから、手を離せ」




国木田「キョンのお弁当、美味しそうだね」

キョン「そうか? こんなの、ただ昨日の夕食の残り物を
     詰めただけなんだが……。ん? 谷口」

谷口「どうかしたか?」

キョン「お前の弁当、やけに量が少なくないか?」

谷口「……ダイエットしてるんだよ」

キョン「お前は、ダイエットなんて必要ないと思うんだが」

谷口「気にするな」

キョン「そう言えば、国木田も。そんなパン一欠けらで、
     足りるのか?」

国木田「ほら、僕は元々少食だから」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 20:00:14.54 ID:XPBMSUMy0

キョン「……国木田。俺のエビフライ、やろうか?」

国木田「本当!?」

谷口「国木田!」

国木田「あ……。ごめん。やっぱり要らない」

キョン「そう言うな。俺、実はエビフライってあまり好きじゃ
     ないんだ。だから、食べてくれよ。俺を助けると思って」

国木田「じゃあ……もらってもいいかな?」

キョン「どうして谷口の方を見るんだ?」

国木田「何でもないよ。ありがとう、キョン」

キョン「やっぱり、本当はお腹が空いていたみたいだな」

国木田「……そんなこと、ないよ」





谷口「キョン、早くしろよ」

キョン「え? ……ああ、五時間目は音楽か。移動しなきゃな」

国木田「今日のキョンは、何だかぼーっとしてるね」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 20:04:13.72 ID:XPBMSUMy0

キョン「別にそんなことないと思うが」

国木田「きっと、疲れているんだよ。今日は帰ったら、
     ゆっくり休むといいよ」

キョン「ああ、そうする。――しまった」

谷口「どうかしたのか?」

キョン「教室に教科書を忘れてきた」

国木田「じゃあ、取りに戻らないとね」

キョン「いや、谷口と国木田はついてこなくていい。
     俺一人で教室に戻るから、先に音楽室に
     行っててくれ」

谷口「……分かった」



ハルヒ「キョン!」

キョン「……何でハルヒが追いかけてきたんだ?」

ハルヒ「別に、あんたを追いかけてきたわけじゃないわ。
     ただ、忘れ物をしたから、教室に取りに戻るだけ。
     あんたも忘れ物? じゃあ、一緒に戻りましょ」

キョン「まるで、俺を監視しているみたいだな」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 20:09:24.31 ID:XPBMSUMy0

ハルヒ「そんなことないわよ。ただの偶然よ」

キョン「じゃあ聞くけど、何を忘れたんだ?」

ハルヒ「えーと……ノートよ」

キョン「ノート? 音楽の授業に、ノート?」

ハルヒ「ええ。先生の話を、メモしなきゃいけないから」

キョン「そんなの、教科書の隅にでも書いておけばいいだろ」

ハルヒ「何よ。やけに突っかかるわね。そういうあんたは、
     何を忘れたの?」

キョン「……お前に話す義務はない」

ハルヒ「本当は、忘れ物をしたなんて、嘘なんでしょ?」

キョン「どうしてそう思うんだ?」

ハルヒ「質問に質問で答えるのは卑怯だと思うけど、あえて
     答えてあげるわ。あんたは教科書も筆記用具も
     手に持っている。今日の音楽は合唱練習だから
     楽器も使わないし、忘れ物をしたなんて、嘘よ」

キョン「俺が、何のために嘘をついたと言うんだ?」

ハルヒ「一人になって、教室を荒らすためよ」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 20:16:00.93 ID:XPBMSUMy0

キョン「……そんなことをするつもりは、ない」

ハルヒ「じゃあ、私がついていっても、何も問題ないでしょ?」

キョン「忘れ物をしたというのは、気のせいだった」

ハルヒ「……そう。なら、音楽室に行きましょう」



キョン「ハルヒや朝比奈さんや長門は、まだか」

古泉「僕しかいなくて、すみませんね。オセロでもしますか?」

キョン「いや、いい。そんな気分じゃないんだ」

古泉「何だか、今日のあなたは、やけに元気がないみたいですね」

キョン「……ちょっと、疲れてるんだ。ところで、最近、
     ハルヒの調子はどうだ?」

古泉「どう、と言われましても」

キョン「神人はまだ暴れまわっているか?」

古泉「最近はずっと平和ですね。あなたのおかげです」

キョン「……本当に、そうなのか? 本当に、これは平和なのか?」

古泉「何をそんなに悩んでいるんですか?」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 20:22:41.89 ID:XPBMSUMy0

キョン「はっきり言って、ハルヒの様子がおかしい」

古泉「僕は何も気付きませんでしたが」

キョン「ハルヒは、宇宙人や超能力者や未来人など、
     不思議なものが好きだった。そうだよな?」

古泉「ええ。そういう初期設定でしたね」

キョン「初期設定、か。まさにそうだな。今のハルヒは、
     そういった不思議なものに、まったく興味を
     示さなくなっている」

古泉「いいことですよ。おかげで、涼宮さんに
    振り回されずに済みますから」

キョン「それどころじゃない。不思議なものに興味を示さない
     どころか、無理矢理現実的な解釈をこじつけて、
     納得しようとしている。まるで、自分を騙そうとしている
     みたいに、俺には見えるんだ」

古泉「それは、涼宮さんが大人になったということですよ」

キョン「もういい。お前じゃ話にならん。早く、朝比奈さんか
     長門が来ないかな」

みくる「こんにちは〜」

キョン「おお。噂をすれば」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 20:28:49.27 ID:XPBMSUMy0

みくる「噂?」

キョン「いえ、何でもないんです。朝比奈さんは、ハルヒが
     変わったと思いませんか?」

みくる「私は何も気付きませんでしたけど」

キョン「そうですか……。あれ? 朝比奈さん、痩せましたか?」

みくる「え? そんなことないですよ」

キョン「でも、前よりも胸が小さくなったような……」

みくる「キョン君のエッチ!」

キョン「いや、エッチとかそういう問題じゃなくて。そう言えば、
     古泉も、何か顔色が悪いな。栄養が足りてないんじゃ
     ないのか?」

古泉「そうですか? 僕はただ、ちょっと風邪気味なだけです。
    顔色が悪いのだとしたら、そのせいでしょうね」

キョン「そうか……。ところで、朝比奈さん。今日の二時間目に、
     空からライトが降ってきたのをご存知ですか?」

みくる「知ってますけど」

キョン「その音を、聞きましたか?」

みくる「聞きましたよ。凄い音がして、大騒ぎになりましたから」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 20:34:25.53 ID:XPBMSUMy0

キョン「大騒ぎ」

みくる「ええ。それがどうかしたんですか?」

キョン「本当に、大騒ぎになったんですね?」

みくる「はい……」

キョン「でも、俺のクラスでは、誰一人として騒ぎませんでした。
     それどころか、ハルヒも教師も谷口も、そんな音は
     聞いていないと言っていたんです」

みくる「あ……すみません」

キョン「どうして謝るんですか?」

みくる「勘違いをしていました。ライトが落ちてきた音で教室の中が
    大騒ぎになったというのは、私の勘違いでした」

キョン「そんなわけないでしょう! どうやったらそんな勘違いを
     するんですか!」

みくる「きゃあっ!」

古泉「落ち着いてください。朝比奈さん、何と勘違いをしていたのか、
    説明してもらえますか?」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 20:42:10.51 ID:XPBMSUMy0

みくる「はい……。ええと……まず、音は聞こえませんでした」

キョン「それで?」

みくる「でも、私を含めて何人かのクラスメートが、空から
     ライトが落ちてくるところを目撃したんです。
     だから、大騒ぎになったんです」

キョン「どうして音が聞こえなかったんでしょうね?」

みくる「校庭の土は柔らかいから、音を殆ど消してしまったんじゃ
     ないでしょうか? もしくは、ヘリコプターの音にかき消されて
     しまったのかもしれません」

キョン「ヘリコプター」

みくる「私、何か変なことを言いましたか?」

キョン「ヘリコプターの音なんて、聞こえませんでしたよ」

古泉「僕が説明します。あなたはドップラー効果というものを
    ご存知ですか?」

キョン「いや、知らないが」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 20:46:48.47 ID:XPBMSUMy0

古泉「例えば、消防車がサイレンを鳴らしながら通り過ぎる場合、
    近づくときには音が高く聞こえ、遠ざかるときには低く聞こえる
    ような現象のことです。音というのは、大きさ、高さ、音色の
    三要素によって成り立っていますが、ドップラー効果はこの中の
    高さが変化して感じられるものです。実際には変化して
    いないんですけど、観測者の耳には変化しているように
    聞こえてしまうのです」

キョン「それで?」

古泉「超音波というものは知っていますよね?」

キョン「あれだろ? 犬笛の音とか、蝙蝠が飛ばしている、
     人間の耳には聞こえない音のことだろ?」

古泉「そうです。あなたは、盲点も知っていますよね?」

キョン「目の構造上、どうしても見えない場所のことだろ?」

古泉「その通りです。ドップラー効果によって音の周波数が変化し、
    あたかも盲点に入ってしまったかのごとく、観測者がいる
    位置によって音が聞こえなくなってしまうことがあるのです」

キョン「そんな話は、初めて聞いたんだが」

古泉「朝比奈さんはどうですか?」

みくる「私は聞いたことあります。そういうのって、意外とよくある
     ことなんですよね」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 20:55:30.31 ID:XPBMSUMy0

キョン「……ところで、今日って、天気が悪いですね」

みくる「そうですね」

キョン「朝まで、あんなに晴れていたのに」

みくる「気象庁の観測によると、夕方から雨になる
     らしいですよ」

キョン「今朝の天気予報では、一日中快晴だと言って
     いたんですが」

みくる「天気予報って、ころころ言うことが変わりますよね」

キョン「雨雲で隠しておいて、その間に新しいライトを
     つけるんですか?」

みくる「え? どういう意味ですか?」

キョン「……引っかからなかったか。今のは、忘れてください」

ハルヒ「みんな聞いて! ビッグニュースよ!」

キョン「いきなりドアを開けるな」

ハルヒ「そんなことより、大事件なのよ大事件!」

キョン「分かったから、落ち着いて話せ」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 21:00:57.21 ID:XPBMSUMy0

ハルヒ「この学校には、七不思議があったんですって!
     私、ちっとも知らなかったわ。今からみんなで、
     その七不思議が本当なのか調べましょう!」

キョン「……何か、わざとらしいな」

ハルヒ「え? 何が?」

キョン「さっき俺は古泉と、最近ハルヒは不思議なことに
     興味を示さなくなったという話をしていたんだ」

ハルヒ「それがどうかしたの?」

キョン「その話をした途端に、お前は七不思議を調べる
     と言い出した」

ハルヒ「よくある偶然よ」

キョン「なあ、古泉。俺は七不思議なんて初めて
     聞いたんだが、お前は知っていたか?」

古泉「七不思議があること自体は知っていますが、
    詳しい内容は知りません」

キョン「優等生の答えだな。朝比奈さんは知っていましたか?」

みくる「古泉君と同じです」

キョン「そうですか……」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 21:06:47.36 ID:XPBMSUMy0

ハルヒ「知らなくても、私が今から説明するからいいわよ。
     まず、一つ目の不思議は、深夜十三時に屋上への
     階段の十三番目を――」

キョン「悪い」

ハルヒ「何よ。話の途中なのに」

キョン「俺、帰る」

ハルヒ「え? どうして? 一緒に七不思議を調べましょ?」

キョン「夕方から雨になるらしいから。傘持ってきてないし、
     自転車だし、早く帰らないと」

ハルヒ「そう……。じゃあ、今日はこれで解散。続きは明日に
     しましょ」



キョン「あ、本当に雨が降ってきた。どこかで雨宿りでも
     するか……」

佐々木「あれ? キョンじゃないか」

キョン「よお、佐々木。コンビニで何をしてるんだ?」

佐々木「見て分からないかい? 僕も君と同じなんだよ。
     ちょっと雨宿りさ」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 21:14:03.16 ID:XPBMSUMy0

キョン「ふうん。元気にしてたか?」

佐々木「まあまあかな」

キョン「……確かに、お前は、元気そうだな」

佐々木「どういう意味だい?」

キョン「いや、俺の周りにいる連中は、みんな顔色が
     悪かったり、食欲がなかったり、急に痩せたり
     していたんだけど、お前は変わってなくてよかった」

佐々木「不思議なこともあるものだね。ところで、キョン。
     君は、この世界が本物だと思うかい?」

キョン「……本物じゃなかったら、何だと言うんだ」

佐々木「例えば、あの店員」

キョン「全国どこのコンビニにでもいる、学生アルバイトか
     フリーターに見えるが」

佐々木「彼が本物の人間だという証明をするには、
     どうすればいいと思う?」

キョン「簡単だ。話しかけてみればいい」

佐々木「それじゃ駄目だね。ちょっとした基本的な会話くらい、
     人工知能にだってできることだ。たとえ彼がどんな
     受け答えをしようと、人間だと証明できたことにはならない」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 21:22:22.37 ID:XPBMSUMy0

キョン「じゃあ、握手してみるとか」

佐々木「皮膚や体温の再現なんて、簡単なことだ。
     それに、本物の人間ではない、というカテゴリには、
     クローン人間やサイボーグなども含まれるよ」

キョン「お前が何を言いたいのか、さっぱり分からない」

佐々木「マトリックスという映画があったね」

キョン「あったな。もう随分前の映画だから内容はうろ覚えだが、
     今こうやって俺達がいる世界は、仮想空間だった、
     っていう話だろ?」

佐々木「うん。それで大体合ってるよ。じゃあ、トゥルーマンショー
     という映画は知っているかい?」

キョン「いや、知らないな」

佐々木「まあ、マトリックスに比べると、日本での知名度は
     低いから仕方がないかな」

キョン「それって、どんな映画なんだ?」

佐々木「まだ観ていない人にとってはネタバレになるから、
     もしそういうのが嫌だったら聞き流して欲しいんだけど」

キョン「もったいぶらずに、言えよ」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 21:29:12.02 ID:XPBMSUMy0

佐々木「じゃあ、ネタバレするけど、トゥルーマンショーという映画では、
     主人公は生まれたときから人生の全てを二十四時間、
     世界中に監視され続けているんだ。街も海も空も、
     すべてが作り物で、主人公の周りにいる人たちも、
     みんな役者なんだ」

キョン「……どうしてそんなことになってるんだ?」

佐々木「それは、映画を観てのお楽しみだね。じゃあ、僕はこの傘を
     買って帰るとするよ」

キョン「もう行っちゃうのか」

佐々木「ヒントは与えたからね。ただし、言っておく。この世界は、
     決してマトリックスでもなければ、トゥルーマンショーでもないよ」

キョン「マトリックスでも、トゥルーマンショーでもない……?
     おい、佐々木。待てよ」

店員「五百二十五円になります」

佐々木「キョン、僕はもう行かないと」バリバリ

店員「五百円のお釣りになります」

キョン「待てよ。俺も傘を買うから、一緒に帰ろう。お前に教えて
     もらいたいことが、たくさんあるんだ」

佐々木「キョン、また会おう」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 21:38:26.72 ID:XPBMSUMy0

キョン「佐々木!」

俺は佐々木を追って、コンビニの外に飛び出した。

しかし、佐々木の姿が、消えていた。

そんな馬鹿な。
さっきまで、確かに佐々木はここにいたのに。
この自動ドアはガラスだから、佐々木を見失うはずがないのに。

佐々木は、どこに行ってしまったんだろう?

――あれ、キョン?

キョン「おお、国木田」

――こんなところで、何をやってるの? 濡れちゃうよ?

キョン「さっきまで佐々木と話していたんだが、急に
     いなくなっちゃったんだ」

――佐々木?

キョン「ほら、中学時代の同級生の、佐々木だよ」

――ちょっと待ってよ。

キョン「どうした?」

――僕達の通ってた中学の同級生には、佐々木なんて人はいなかったよ。

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 21:46:17.99 ID:XPBMSUMy0

キョン「はあ? まあ、いなかったことにしたい気持ちは
     分かるがな。佐々木は国木田よりずっと成績が
     よかったから」

――僕より成績がいい? それなら、ますます憶えて
   いないわけがないと思うんだけど。

キョン「まさか、本当に知らないのか? ほら、一人称が
     僕で、一時期は俺と付き合っていたんじゃないか、
     って誤解されていた、あの佐々木だよ。

――ごめん。キョンが何を言ってるのか分からないや。
   僕は塾に行くから、またね。早く着替えないと、
   風邪引くよ。

キョン「ああ、またな……」

これはどう考えればいいのだろう。

1.国木田は本当に佐々木のことを憶えていなかった。
2.国木田は佐々木のことを憶えていたが、憶えていない
  ふりをした。
3.国木田が言っていたように、佐々木という女は本当に
  いなかった。

どれが正解なのだろう。分からない。
分からないが、とにかく、帰ろう。
早く帰って、熱いシャワーを浴びて着替えないと、
風邪を引いてしまう。

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 21:51:05.15 ID:XPBMSUMy0


――キョン君、お帰り〜。

キョン「ただいま」

――キョン君が傘を持っていってないだろうと思って、
   お風呂を沸かしておいたよ。

キョン「ああ、ありがとう。……ちょっと待て」

――何?

キョン「その猫は、何だ」

――え? シャミセンだよ?

キョン「ああ、そうだよな。シャミセンだった」

俺は何を勘違いしていたのだろう。
シャミセンはシャミセンじゃないか。

文化祭の映画を撮るときに、見つけたオスの三毛猫だ。
ハルヒのせいで一時は喋れるようになっていたが、
今はもう普通の三毛猫に戻っている。

俺は妹が沸かしてくれた熱い風呂に浸かった。
ああ、いい気持ちだ。特に今日は、何だか疲れたからな。

俺は肩まで湯に浸かり、思い出した。
シャミセンが、この家にいるはずがないということに。

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 22:00:00.06 ID:XPBMSUMy0

文化祭。
文化祭って、何だ。今は、高校一年生の初夏だぞ。
そんなもの、俺は体験していない。

俺は急いで浴室を出た。

――キョン君! 何で裸で歩いてるの?

妹は両手で顔を覆ったが、実は指の隙間から見ていた。

キョン「シャミセンはどこだ!」

――シャミセン?

キョン「三毛猫のシャミセンだよ。お前、さっきまでシャミを
    抱いていたじゃないか」

――三毛猫?

キョン「まさか、知らないというんじゃないだろうな」

――この家では、猫なんて飼ってないよ。

キョン「……ああ、そうなのか」

――とにかく、早くお風呂に入ってね。

キョン「分かった……」

俺は再び浴室に戻り、湯船に浸かった。

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 22:04:46.17 ID:XPBMSUMy0

風呂を出た俺は、自分の部屋に戻り、中学の
卒業アルバムを探した。

もちろん、佐々木を捜すためだ。

アルバムを捲る。

いなかった。
佐々木は、卒業アルバムに載っていなかった。

俺はベッドに横になった。
髪を乾かしていないので寝癖がついてしまうだろうが、
今はどうでもいい気分だった。

おかしい。
今日はおかしなことがありすぎた。

いや、本当にそうなのだろうか?

実は、何も起こっていないんじゃないのか?

おかしいのは、俺の方なんじゃないだろうか。
そうだ。
俺だ。
おかしいのは、この世界じゃなくて、俺なんだ。

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 22:09:05.77 ID:XPBMSUMy0

ハルヒ「おはよう!」

キョン「おはよう。何だか、やけに元気がいいな」

ハルヒ「ええ、もちろんよ。だって、今日はSOS団の
     みんなで七不思議を探すんだから」

キョン「そうだったな。楽しみだ」

朝倉「うふふ。二人とも、仲がいいわね」

キョン「別にそんなことはない」

朝倉「キョン君ったら、照れちゃって、可愛いわね。
    涼宮さん、今日の日直、お願いね」

ハルヒ「任せといて」

キョン「……あれ?」

ハルヒ「変な顔して、どうしたの?」

キョン「朝倉って、カナダに転校したんじゃなかったっけ?」

ハルヒ「ええ、そうよ。朝倉はカナダに転校したわよ」

キョン「でも、さっき、お前に日直を頼んで、学級日誌を
     渡していたじゃないか」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 22:13:13.88 ID:XPBMSUMy0

ハルヒ「あんた、何言ってるの?」

キョン「え?」

ハルヒ「私に日直を頼んだのは、朝倉じゃなくて国木田よ」

キョン「おい、国木田」

国木田「何だいキョン」

キョン「さっき、ハルヒに日直を頼んだか?」

国木田「頼んだよ」

キョン「そうか……。それならいいんだ」

もういい。深く考えるな。
早く、放課後にならないかな。




ハルヒ「うん、全員揃ってるわね。有希、古泉君。頼んで
     おいたものは用意してくれた?」

古泉「はい」

古泉が返事をし、長門は無言で頷いた。

キョン「頼んでおいたものって、何だ?」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 22:20:43.62 ID:XPBMSUMy0

長門「人数分の懐中電灯と校内の地図」

キョン「懐中電灯はともかく、よく学校の地図なんてものが
     手に入ったな」

長門「私が作った」

キョン「……なるほど」

ハルヒ「七不思議って、殆どが夜にならないと発生しないから、
     順番は前後するけど、三番目の七不思議から調べに
     行くわよ」

キョン「三番目の七不思議って、どんな内容なんだ?」

ハルヒ「体育館の地下に、仮面を被った男が住んでるんですって」

キョン「滅茶苦茶嘘くさいんだが……」

ハルヒ「とにかく、行ってみましょう」

ハルヒは先に立って、体育館へ向かう。
俺は、長門に相談したいことがあったので、少し遅れて
ついていった。

キョン「なあ、長門」

長門「何」

キョン「実は、昨日から変なことが起こり始めているんだが」

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 22:32:34.76 ID:XPBMSUMy0

俺は長門に詳しく説明した。
会話で説明しようとすると大変な内容も、地の文なら
一行で済んでしまう。

長門「そう」

キョン「お前は何か感じなかったか?」

長門「極めて小規模な時空震が断続的に発生している」

キョン「新しいテーマ」

長門「それは新機軸」

キョン「ランカ」

長門「それは超時空シンデレラ」

キョン「食べすぎ」

長門「それは食いしん坊」

キョン「九条教徒」

長門「それは空自」

キョン「じゃあ結局、時空震って何なんだよ」

長門「時空震に似た言葉が予想以上にないことに途中で
    気付いたので、今回はお約束が短めになっている」

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 22:37:29.31 ID:XPBMSUMy0

キョン「いや、解説する場所を間違えてるから、それ」

長門「時空震とは、時空に乱れが生じること」

キョン「相変わらず分かったような分からんような説明だな。
     それはハルヒが引き起こしているものなのか?」

長門「違う」

キョン「じゃあ、長門か?」

長門「違う」

キョン「長門じゃない……だと? 世間では『長門エンド』と
     呼ばれるくらい、途中でカオスになって収拾がつかなく
     なってきたら、全部長門のせいにしてしまうという
     便利なオチがあるんだが……本当に、お前じゃないのか?」

長門「時空震を発生させているのは私ではない」

キョン「自分で自分の首を絞めるのはやめた方がいいぞ。
    本当は長門の仕業なんだろ?」

長門「違う」

キョン「そうか……。ハルヒでも長門でもないなら、誰なんだ?」

長門「現時点では不明」

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 22:51:52.81 ID:XPBMSUMy0

ハルヒ「みんな! 地下への入り口を発見したわよ!」

キョン「大はしゃぎしているところに水を差すようで申し訳ないが、
     それは地下ではなく床下だ」

ハルヒ「細かいことはいいじゃない。じゃあキョン、早速、
     床下に潜り込んでちょうだい」

キョン「何で俺が」

ハルヒ「汚れ仕事は男子の役目よ」

キョン「普段は男女平等とか言ってる女に限って、こういうことを
     ぬけぬけと言うんだよなあ……」

ハルヒ「いいから、さっさと行きなさい! 古泉君も」

古泉「分かりました」

キョン「だったら古泉一人で行けよ」

古泉「(小声で)お話があります」

キョン「ったく、しょうがねえなあ」

俺は床下に潜り込んだ。
しかしもちろん、仮面を被った男などいない。
ただの黴臭いだけの空間だった。

古泉「これは新発見です。床の隙間から覗き放題ですよ」

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 22:59:59.92 ID:XPBMSUMy0

キョン「いや、覗くなよ」

古泉「とか言いつつ、近寄ってきてますが」

キョン「俺にも見せろ。……おお、これは! ハルヒや
     朝比奈さんや長門のパンツが丸見えじゃないか!」

古泉「それはともかく、お話というのは――」

キョン「うん、やっぱり長門は白だよな。分かってやがる」

古泉「実は――」

キョン「今いいところだから、ちょっと黙っててくれ」

それにしても、こんなに覗きにちょうどいいスペースが
あったなんて、知らなかった。

もしかすると、体育館の地下に仮面の男がいるという噂は、
この絶好の覗きポイントのことを仄めかしていたのかもしれない。

古泉「ちょっといいですか」

キョン「何だよ。邪魔するな」

古泉「あっちにも覗き穴がありますよ。更衣室の方ですね」

キョン「もっと早く言え!」

俺はそっちの方向に急いだ。

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 23:13:14.11 ID:XPBMSUMy0

こ、これは……。

男子更衣室の真下という、お約束のオチだった。

しかし、岡部はいい身体をしているな。
あの逞しい身体には純粋に興味がある。

……何だ? どうして俺はこんなにも岡部に
惹かれるんだ。

これも、長門が言っていた時空震のせいなのか?

まあいい。
深く考えずに、ハルヒ達のところに戻ることにするか。

そう思ったとき、頭上から岡部の声が降ってきた。

岡部「しかし、キョンもそろそろ限界かもしれないな」

俺の名前が飛び出した。
限界?
限界とは、どういう意味だ。

国木田「そうですね。昨日も今日も、露骨に僕達の
     ことを疑っていましたから」

岡部と国木田が、俺のことについて話し合っている?
男子更衣室に、二人っきりで。
これはいったいどういう状況なんだ。

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 23:21:45.31 ID:XPBMSUMy0

岡部「俺はむしろ、
    キョンに真実を話して受け入れてもらった
    方がいいと思うんだが」

国木田「でも、キョンはまだ、気付いていません。
     できることなら自分で気付いた方が
     ショックが少ないと思うんです」

古泉「そこまでです!」

突然、古泉が叫んだ。

岡部と国木田が、あたりを見回している。

キョン「こら古泉、いいところだったのに、何で
    邪魔をするんだ!」

俺も古泉に負けないくらい大声を出してしまった。

岡部「……キョン? 聞こえてたのか?」

岡部がしゃがんだので、白いブリーフの隙間から、
中のものが見えてしまった。

キョン「ええ、聞いていました」

岡部「そうか、分かった。こうなった以上、もう全部
    話した方がいいだろう。こっちに来い」

168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 23:30:25.29 ID:XPBMSUMy0

キョン「上がるって、どこから?」

岡部「その近くに、外への出入り口があるだろ?」

キョン「ああ、確かに」

ここで、俺は気付いてしまった。
岡部は妙に床下の構造に詳しくないか?
体育館の地下に出没するという仮面の男の正体は――。

いや、考えないようにしよう。

俺と古泉は、岡部に教えてもらった出口から外に出ると、
男子更衣室の中に入った。

岡部「もう気付いているかもしれないが、この世界は偽物だ」

岡部はそう断言した。

キョン「偽物……。じゃあやっぱり、校庭に落ちてきたあのライトは、
     本当に空から落ちてきたんですね? あの空は偽物
     なんですか?」

古泉「そういう意味の偽物ではありません」

キョン「じゃあ、どういう……?」

古泉「まだ分かりませんか? この世界は、佐々木さんが作り出した
    閉鎖空間の中なのです」

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 23:39:40.07 ID:XPBMSUMy0

キョン「閉鎖空間? 佐々木? お前は何を言ってるんだ。
     閉鎖空間というのは、ハルヒが作り出したものだろう?」

古泉「それは」

古泉の言葉は、途中で途切れた。
いや、言葉だけではない。

古泉の肉体も、一瞬にして消滅した。

いや、古泉だけではない。
岡部も、国木田も。
そして俺達がいた男子更衣室も。

すべてが消えた。

気がつくと、俺は一糸纏わぬ姿で荒野に立っていた。

キョン「ここは……?」

佐々木「待ってたよ」

佐々木は全裸でにっこりと笑った。
しかし俺の股間のセンサーはぴくりとも反応しなかった。
現実感があまりにも乏しすぎるせいだろう。

キョン「ここはどこなんだ。俺とお前は、どうして裸なんだ」

佐々木「キョンと僕は、これからアダムとイブになるんだよ。
     ああ、楽しみだ」

186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 23:48:41.36 ID:XPBMSUMy0

キョン「アダムとイブ? 世界はどうなってしまったんだ」

佐々木「この世界に生き残っているのは、もうキョンと僕だけだ。
     だから、僕達がセックスをして子孫を作らないと、
     人類は滅びてしまうんだよ」

キョン「ハルヒは? 長門は? 朝比奈さんは? 古泉は? 谷口は?
     国木田は? 岡部は? みんなは、いったいどうなったんだ」

佐々木「みんな死んだよ」

キョン「死んだ……。だけど、さっきまで、俺と話をしていた
     じゃないか」

佐々木「あれはキョンの脳内にある、彼らの人格を再構築して
      作り出した人形のようなものだよ。だから、ところどころ
      言動がおかしかっただろう?」

キョン「空からライトが降ってきたのは?」

佐々木「あれは、きみが閉鎖空間の中にいるときに、僕があの
      映画を見ていたせいで、閉鎖空間にも同じシーンが
      発生しちゃったみたいだね。誤魔化すのに苦労したよ。
      何しろ、人形達は独立した人格を持っているから、
      意思の疎通ができなくて、矛盾したことを平気で口に
      しちゃうんだから」

キョン「最初はトゥルーマンと同じオチにしようと思ってたけど、
     予想以上に反応が大きかったから慌てて方向性を変えたのが
     見え見えだな」

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/05(木) 23:57:58.02 ID:XPBMSUMy0

佐々木「まあ、そう言うなよ。ただで読めるSSに、そこまで凄い
     オチを期待されても困るんだ。ただえさえ、この書き手は
     いつもオチなんて考えずに、見切り発車で書いてるんだから」

キョン「そうなのか……。しかしあれだな、ハルヒのSSで超常現象が
     起こる奴って、最終的にはハルヒか長門か佐々木のせいに
     なってしまうんだなあ。何というか、ワンパターンすぎる」

佐々木「そうかい? 僕はワンパターンの中にもワンパターンなりの
      独創性が認められれば、別にいいと思うんだけど」

キョン「いや、今回のSSは独創性なんて皆無だっただろ」

佐々木「ふむ。言われてみるとそうかもしれないね。
     でも、安心するのはまだ早いんじゃないかな?」

キョン「え?」

佐々木「これが閉鎖空間オチだなんて、誰が言った?」

キョン「誰がって、古泉が――」

佐々木「その古泉君は、僕の説明によると、きみの脳内に
     ある記憶を再構築して作り出した人格なんだろう?
     何かおかしいと思わないのかい?」

キョン「言われてみると、確かに。古泉の言葉を信じても
     いいのか? 俺は騙されているんじゃないのか?
     本当にあの世界は閉鎖空間だったのか?」

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/06(金) 00:06:04.55 ID:1h61oTVu0

キョン「なあハルヒ、校庭に空からライトが降ってきたぞ」

ハルヒ「え? 今、何て言った?」

私は聞き返した。
キョンが突然おかしなことを言い始めたからだ。

キョン「校庭に、ライトが降ってきたんだ」

キョンは意味不明なことを繰り返した。

ハルヒ「どこに落ちてきたの?」

キョン「ほら、あそこ」

キョンは校庭を指差したが、私には何も見えなかった。
校庭には、何も落ちていなかった。
しかし、それを指摘してはいけないということは、今までの
経験からよく分かっていた。
だから私は「校庭には何も落ちていない」と本当のことを言って、
キョンの言葉を否定するような真似はしなかった。

適度にキョンに話を合わせつつ、適度に誤魔化して会話を続けた。

やがて授業が終わると、キョンは谷口と国木田に話しかけた。
この二人も、適当にキョンに話を合わせる。

やがてキョンは、校庭に行くと言い出した。
そして空を見上げ、一ヶ所だけ暗くなっていると言い出した。
もちろん私には、ごく普通の青空にしか見えなかった。

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/06(金) 00:11:24.96 ID:1h61oTVu0

その日の夕方、私の携帯に電話がかかってきた。

国木田「涼宮さん、今、ちょっといい?」

ハルヒ「いいわよ」

国木田「さっき、キョンとコンビニの前で会ったんだけど、
      佐々木さんと会った、って言っていたんだ」

ハルヒ「佐々木と――。それ、本当なの?」

国木田「うん。佐々木なんて同級生はいなかった、
     って否定しておいたんだけど、それでよかった?」

ハルヒ「ええ。上出来よ。ありがとう」

私は通話を切った。

また――なのか。

またしても、キョンはおかしくなってしまったのか。

これで何回目だろう。
このままではもう、キョンが日常生活を送ることは難しい
かもしれない。
岡部も以前、「キョンもそろそろ限界かもしれないな」
と言っていた。

嫌だ。そんなの嫌だ。
私はキョンと、普通の高校生活を続けたい。

211 名前: ◆.wujh7XySo [] 投稿日:2009/11/06(金) 00:20:35.19 ID:1h61oTVu0

キョンの妄想には、いくつかのパターンがある。
しかし最終的にはいつも、私か有希か、
佐々木という少女が黒幕ということになるのだ。

私か有希か佐々木の三人の誰かが、特殊能力を
使って、世界を滅茶苦茶にしている。

キョンは、そんな妄想にとらわれ続けている。

そしてそのことを必要以上に否定してはいけない。
否定し過ぎると、キョンはさらに不可解な妄想を展開し、
手に負えなくなってしまうのだ。

それにしても、佐々木というのは、誰なのだろう。
キョンは何度か、佐々木というのは中学時代の同級生
なのだと言っていたが、調べてもそんな女子生徒はいなかった。

私と有希は、同じSOS団のメンバーだから、まだ分かる。

しかし、存在しない少女に、すべての責任をなすりつける
というのは、どういうことなのだろう。

私はキョンのことが心配だった。
だから、不思議なことなんてどうでもよくなっていたのだが、
今度はそれが裏目に出てしまい、キョンが疑り始めているらしい。

古泉君からのメールでキョンが私を疑っていることを知った私は、
急遽、七不思議を調べることにした。

……明日が来るのが、怖い。

216 名前: ◆.wujh7XySo [] 投稿日:2009/11/06(金) 00:26:50.77 ID:1h61oTVu0

ハルヒ「おはよう!」

私は必死に笑顔を作った。明るくて元気のいい演技をした。

キョン「おはよう。何だか、やけに元気がいいな」

ハルヒ「ええ、もちろんよ。だって、今日はSOS団の
     みんなで七不思議を探すんだから」

キョン「そうだったな。楽しみだ」

国木田「あはは。二人とも、仲がいいね」

キョン「別にそんなことはない」

国木田「涼宮さん、今日の日直、お願いね」

ハルヒ「任せといて」

キョン「……あれ?」

ハルヒ「変な顔して、どうしたの?」

キョン「朝倉って、カナダに転校したんじゃなかったっけ?」

ハルヒ「ええ、そうよ。朝倉はカナダに転校したわよ」

キョンがなぜ、そんな周知の事実を言ったのか、
一瞬分からなかった。
どうやらキョンには、国木田が朝倉に見えていたらしかった。

222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/06(金) 00:36:15.55 ID:1h61oTVu0

大丈夫。
私は、必死に自分にそう言い聞かせる。

国木田が朝倉に見えてしまうことなんて、よくあることだ。
二人ともキャラ被ってるし、間違えることだってあるよね。

私はそう思い込もうとした。

それからも、キョンは変な言動を繰り返した。

授業中に突然歌いだしたり、壁に向かって話しかけたり、
まだ三時間目なのに早弁したり、昼休みには空っぽの
弁当箱に向かってせっせと箸を動かし、谷口や国木田と
話をしたりしていた。

ハルヒ「うん、全員揃ってるわね。有希、古泉君。頼んで
     おいたものは用意してくれた?」

やっとキョンが部室に来てくれた。
本当は一時間以上も待っていたのだが、あえて私は、
「全員揃ってるわね」という言葉を使った。
キョンに安心してもらうためだ。

三番目の七不思議を調べるために、体育館に向かう途中、
キョンは有希に向かってわけの分からないことを話していた。
有希は何も喋っていないのに、キョンは一人で驚いたり
突っ込んだりしていた。

どうやら今回も、キョンは私と有希を疑っているらしい。
キョンの独り言から、私はそのことを知った。

227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/06(金) 00:41:41.91 ID:1h61oTVu0

体育館に着くと、キョンの奇行はさらにエスカレート
していった。

突然キョンは、私や有希やみくるちゃんのスカートの中を
覗き始めたのだ。

キョン「うん、やっぱり長門は白だよな。分かってやがる」

その台詞に、有希は顔を真っ赤にして走り去っていった。
寡黙で内気な有希には、ショックな出来事だったらしい。

やがてキョンは、ふらふらと男子更衣室の方へ歩いていった。

私と古泉君とみくるちゃんも、キョンを追いかけた。

ドアの隙間から、キョンは男子更衣室の中を覗いている。
更衣室の中には、岡部と国木田がいた。

岡部「しかし、キョンもそろそろ限界かもしれないな」

国木田「そうですね。昨日も今日も、露骨に僕達の
     ことを疑っていましたから」

岡部「俺はむしろ、キョンに真実を話して受け入れて
    もらった方がいいと思うんだが」

国木田「でも、キョンはまだ、気付いていません。
     できることなら自分で気付いた方が
     ショックが少ないと思うんです」

237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/06(金) 00:50:23.88 ID:1h61oTVu0

駄目だ。この会話は、危険すぎる。

ハルヒ「そこまでよ! キョンが聞いてるわ!」

キョン「こら古泉、いいところだったのに、何で
    邪魔をするんだ!」

岡部「……キョン? 聞こえてたのか?」

キョン「ええ、聞いていました」

岡部「そうか、分かった。こうなった以上、もう全部
    話した方がいいだろう。こっちに来い」

キョン「上がるって、どこから?」

岡部「その近くに、外への出入り口があるだろ?」

岡部は、噛んで含めるような言い方をした。
キョンはドアの隙間から更衣室の中を覗いていたのに、
どこに出入り口があるのか分からなかったのだ。

岡部「もう気付いているかもしれないが、お前に
    見えている世界は、偽物だ」

キョン「偽物……。じゃあやっぱり、校庭に落ちてきた
     あのライトは、本当に空から落ちてきたんですね?
     あの空は偽物なんですか?」

古泉「そういう意味の偽物ではありません」

243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/06(金) 00:58:31.82 ID:1h61oTVu0

キョン「じゃあ、どういう……?」

もう、限界かもしれない。
本当のことを知った方が、キョンは幸せなのかもしれない。

私は、古泉君に向かって、小さく頷いた。
古泉君も頷き返して、こう言った。

古泉「まだ分かりませんか? あなたは、――ではないのです」

古泉君は、キョンの本名を口にした。

キョンの血走った目が大きく見開かれる。
何やらわけの分からないことを叫びだした。
腕を滅茶苦茶に振り回し、暴れる。

それを、岡部と古泉君が必死に取り押さえた。

可哀想だった。
いま目の前で暴れているキョンも、そして本物のキョンも、可哀想だった。

ハルヒ「キョン……」

私は涙が止まらなくなった。
みくるちゃんが、私を優しく抱き締めてくれた。

252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/06(金) 01:09:07.01 ID:1h61oTVu0

俺は、ハルヒが書いたという手記を読み終えた。

みくる「えーと……分かってもらえましたか?」

俺「正直に言うと、わけが分かりません」

みくる「ううん……。どこから説明すればいいんだろう」

俺「っていうか、何で朝比奈さんが説明するんですか?」

みくる「だって、私だけ台詞が少なくてバランスが悪いから」

俺「まあ、そうですね。国木田とかお前どんだけ出番多いんだよ、
  って感じでしたし」

みくる「納得してもらえて嬉しいです」

俺「いや、手記の内容に納得したわけじゃないですけどね。
  ハルヒはこれを本当にあったことだと思っているんですか?」

みくる「そうです」

俺「手記の中での俺の奇行はともかく、俺がキョンじゃないというのは
  どういう意味なのか分かりますか?」

みくる「それはそのままの意味だと思います」

俺「というと?」

みくる「あなたはキョン君じゃないんです」

258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/06(金) 01:18:16.82 ID:1h61oTVu0

俺「俺がキョンじゃない……。これはまた、ますます
   意味不明な展開になってきましたね。もう素直に
   トゥルーマンオチにしておけばよかったんじゃないですか?」

みくる「トゥルーマンオチって、どういう意味ですか?」

俺「だから、トゥルーマンショーという映画と同じオチという意味です」

みくる「そんな映画は存在しません」

俺「……え?」

みくる「そのようなタイトルの映画はありません」

俺「でも……>>28とか>>38とか、その他大勢がみんなトゥルーマンの
  話をしていましたけど」

みくる「それは釣りです。そんな映画は存在しないのに、情弱を釣る
     ためにみんなでグルになっているだけです。そんな映画があると
     信じている人は、みんなに笑われているんだと自覚してください」

俺「そんな馬鹿な……」

みくる「つまり、そのトゥルーマンショーという映画は、あなたの頭の
     中にだけ存在する映画なんです。あなたは、自分が平凡で
     つまらない人間であるという事実に耐えられなかった。
     だから、空想の中にあるトゥルーマンショーという映画の
     主人公になりきって生活をしていた。その結果、現実と妄想の
     区別がつかない人間になってしまったんです」

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/06(金) 01:26:55.84 ID:1h61oTVu0

俺「そんな……そんなのは嘘だ。俺は信じないぞ!」

みくる「あはははは。冗談だよ、ちょっとからかってみただけ
    だったんだけど、怒っちゃった?」

俺「〜してみただけだったんだけど、って早口言葉みたいだな。
  いや、それはさておき、お前は誰だ。朝比奈さんじゃないな?」

みくる「僕だよ、僕」

俺「お前は――佐々木か?」

佐々木「やっと気付いてくれたか」

朝比奈さんの姿が粘土のように歪み、中から佐々木が現れた。

ちなみに、当然のように佐々木は全裸だった。

俺「お前は何がしたかったんだ? どうして朝比奈さんの姿を
  借りていた」

佐々木「君の深層心理を読んだら、どうやら朝比奈みくるという
     女に好意を抱いているみたいだったから、姿を借りたんだよ」

俺「お前は本当に佐々木なのか?」

佐々木「うんうん。だんだん疑り深くなってきたね。これも僕の
     教育の賜物かな?」

287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/06(金) 01:36:58.75 ID:1h61oTVu0

俺「もう意味不明なんだけど……。正直、オチとかどうでも
  よくなってるだろ」

佐々木「いやいや、ここからが本番だよ。暗黒館の殺人に
      例えるなら、まだ暗黒館にも着いてない感じだから」

俺「分かりづらっ!」

ハルヒ「そこまでよ!」

突然、ハルヒが現れた。
佐々木に向かって水を投げる。
すると、水が当たった場所から煙が噴き出した。

ハルヒ「うん、聖水の効き目は抜群ね」

俺「ということは、佐々木はメタルスライムだったのか」

ハルヒ「次は、このお札を喰らいなさい!」

俺「無視かよ。ところで、おふだとおれいって漢字にすると
  同じだから分かりづらいよな。ほうとかたくらい分かりづらい」

佐々木「平仮名が多くなったときは読点で区切ったり、
      二重鍵括弧を使った方が分かりやすいと思うよ」

ハルヒ「せっかくのいいシーンなのに、何であんた達は真面目に
     やらないのよ!」

293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/06(金) 01:48:11.43 ID:1h61oTVu0

ハルヒはそう叫びながら佐々木に御札を投げつけた。

御札は佐々木の身体に巻きついていく。
追い討ちをかけるように、ハルヒはお経のようなものを唱えた。

すると、佐々木の身体は光になって蒸発していった。

ハルヒ「助かったわね、キョン」

キョン「超展開すぎて、何が何だかさっぱりなんだが」

ハルヒ「つまり、こういうことよ。六番目の七不思議は、
     『空からライトが降ってくる』という内容なの」

キョン「七不思議だと!? あれはこのオチのために張った
     伏線だったのか!」

ハルヒ「それから、佐々木の正体も。佐々木というのは、
     屋上から飛び降りて自殺した生徒の苗字よ。
     深夜十三時に、屋上に続く十三番目の階段を踏むと、
     その佐々木という生徒の霊にとり憑かれてしまうの」

キョン「そういうことだったのか……。ハルヒ、助けてくれて
     ありがとう」

七不思議、ありがとう。
俺はそう思いながらハルヒの身体を抱き締め、キスをした。

            −完−

303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/06(金) 01:56:04.05 ID:1h61oTVu0

今までに書いたSSの中で一番ひどい終わり方だった。
無理ありすぎだろ。



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