朝倉「禁則事項なの」


メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:長門「レスアンカーの指示で行動」

ツイート

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/17(土) 15:53:36.53 ID:m0CVeBeD0

古泉 「お二人共早いですね」

長門 「……」

みくる「そんな事無いですよ。いつも通りです」

古泉 「それでも十分早いですよ。僕も家を一時間前には出たんですが」

みくる「私もそれくらいに出ましたよ。きっと私の家の方が近い所為です」

古泉 「そうですかね?…っと、どうやら涼宮さんも来たみたいですね」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 15:57:14.16 ID:m0CVeBeD0

ハルヒ「おまたせ〜。ってあれ、キョンは?」

長門 「……まだ」

ハルヒ「またぁ?あいつ、SOS団としての自覚がまるで足りてないわね!」

みくる「きっともうすぐ来ますよ」

ハルヒ「むーーーー」

古泉 「おや噂をすれば」



キョン「よう。相変わらずお前ら早いな」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 16:01:21.49 ID:m0CVeBeD0

ハルヒ「なーにが『よう』よ!遅い!罰金!!!」

キョン「なっ?さすがにそれはあんまりだ。集合の三十分前に着いてるってのに」

ハルヒ「駄目よ!これはルールなんだからね!」

キョン「やれやれ…なぁ古泉。お前からも…」

古泉 「(……無理です)」フルフル

キョン「はぁ」

ハルヒ「何項垂れてんの?さっ、行くわよ」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 16:06:00.10 ID:m0CVeBeD0

………
…………
………


キョン「……で、現在虫捕りに来ている訳だが…」

みくる「……」

古泉 「大丈夫ですか?朝比奈さん」

みくる「………虫は苦手です」

キョン「だと思います」

古泉 「まぁ、笑顔で虫を捕まえている朝比奈さんもあまり想像できませんしね」

キョン「ハルヒは笑顔でバシバシ捕ってるけどな」

古泉 「長門さんは……無表情で的確に捕らえていますね」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 16:11:44.29 ID:m0CVeBeD0

キョン「あいつ……凄い手慣れてるな」

古泉 「いつぞやの夏休みでとった杵柄なのでしょう」

キョン「そういえばそんな事もあったな」

古泉 「僕はあの夏を体験してからというもの、夏が怖くて仕方ありませんよ」

キョン「安心しろ古泉、俺もだ」


ハルヒ「ちょっとあんた達!何くつろいでんの?」

キョン「っと。見つかったか。それじゃあ、まぁ再開するか」

古泉 「そうですね」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 16:17:23.61 ID:m0CVeBeD0

………
…………
………

〜数時間後〜

ハルヒ「ふぅ…結構捕まえたわね!」

キョン「団員全員で捕まえたの合わせたら15超えてんじゃないか?」

古泉 「僕とあなたが3匹と5匹で、朝比奈さんが1涼宮さんと長門さんが
    それぞれ8匹ですから余裕ですね」

キョン「まさかこんなに捕まるとはクワガタ達も思わなかっただろうな」

古泉 「そうだと思います。実際こんなにいっぺんに捕まるとは僕も予想外ですよ」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 16:23:24.98 ID:m0CVeBeD0

キョン「そうなのか?ハルヒが願ったんならこんなもんかなと俺は思ったんだが…」

古泉 「いくら涼宮さんが願ったからといって、そんなに簡単に実現されませんよ。
    彼女はまだコントロールがそこまで出来ていない筈ですから。……まぁ、
    もしかしたら他の誰かさんが上手くお膳立てしてくれた可能性も無きにしも非ず
    ですが、ね」

みくる「そうなんですか、長門さん?」

長門 「………さぁ」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 16:29:30.85 ID:m0CVeBeD0

古泉 「そうですか。……ならば、これは僕の独り言ですので、聞き流しておいて
    ください」

古泉 「有難うございました」

長門 「…………特別な情報操作は行っていない。そんな事をするとこの山の生態系
    が乱れてしまう。単に私が何処に一番クワガタが居るのかを知っていただけ
    で涼宮ハルヒにその情報を提供しただけ」

長門 「褒められるものではない」

古泉 「いえいえ、……それで充分ですよ」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 16:34:33.60 ID:m0CVeBeD0

ハルヒ「ちょっと古泉君に有希!二人して何語ってんのよ」

キョン「ま、たまには良いじゃないか。それよりハルヒ、そろそろ逃がしてやろうぜ」

ハルヒ「うー、分かったわよ」カパッ

ハルヒ「さ、何処へなりとも行っちゃいなさい!」


               ブーン

キョン「………全部、山に戻って行ったみたいだな」

ハルヒ「うん!クワガタも逃がした事だし今日の活動はこれにて終了!現地解散って
    事で良いかしら?」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 16:37:52.73 ID:m0CVeBeD0

キョン「良いんじゃないか?」

古泉 「構いませんよ」

みくる「私も大丈夫です」

長門 「……異論は無い」

ハルヒ「うんっ!じゃ、そういう事で。明日の活動は無いから、各自英気を養っておくように!
    明後日は駅前集合だからね!キョン、今度こそ遅れずに来るのよ?」

キョン「へいへい…」

ハルヒ「返事は一回!」

キョン「はいよ」

ハルヒ「よろしい!では、解散!!!」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 16:40:51.30 ID:m0CVeBeD0

………
…………
………

〜帰宅路〜


鶴屋 「おや?キョン君、キョン君じゃないか!」

キョン「あれ、もしかして鶴屋さん?」

鶴屋 「こんな所で会うなんて奇遇っさ」

キョン「そうですね。学校の外じゃあんまり会わないですし」

鶴屋 「!そーだ、キョン君。これから時間あるかな?」

キョン「大丈夫ですよ。用事も終わって帰るとこですし」

鶴屋 「じゃあこれから一緒にお祭に行かないかい?」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 16:45:17.80 ID:m0CVeBeD0

キョン「えっ?近くで祭りなんてありましたっけ?」

鶴屋 「ちょーっち離れてるけど、やってるんだなぁ」

キョン「へぇ、知らなかった。……よし!行きますか」

鶴屋 「ふふっ、流石男の子!良い返事にょろ」

キョン「ま、これでも祭りは結構好きですし」

鶴屋 「うんうん。それじゃ、しゅっぱーつ」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 16:50:28.30 ID:m0CVeBeD0

………
…………
………

キョン「そんな訳で、電車に乗って祭りの会場に現在向かってる訳ですが…」

鶴屋 「うん」

キョン「何で行き先が京都なんですか!!!」

鶴屋 「ちっちっ、甘いなぁキョン君」

キョン「?」

鶴屋 「祭りといえば京都だと決まってるじゃないか!!!」

キョン「……そうなんですか?」

鶴屋 「……多分」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 16:55:26.45 ID:m0CVeBeD0

キョン「そんな若干首をかしげながら答えないで下さいよ」

鶴屋 「…ゴメンさ」

キョン「それで、本当の所はなんで京都なんですか?」

鶴屋 「………」

キョン「『よし!京都に行こう』みたいな軽いノリで出掛けてるんじゃないですよね?」

鶴屋 「………………」

キョン「本当に祭りやってるんですよね?」

鶴屋 「…………………………てへっ」

キョン「あなたって人は……」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 17:02:12.86 ID:m0CVeBeD0

鶴屋 「まぁまぁ良いじゃないか。過ぎたるは及ばざるが如しってね」

キョン「…鶴屋さん。それ、使い方間違ってます」

鶴屋 「にょろ?そうだっけ?」

キョン「はい。……あの、ずっとそのとぼけた感じで行くつもりですか?
    そろそろ疲れたんですが」

鶴屋 「ま、そんなの気にせず気楽に行こう。ほい、八つ橋あげるから」

キョン「……どうも」

鶴屋 「おいしーねー」

キョン「って、何故京都に着いていないのに八つ橋が?」

鶴屋 「さぁ?」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 17:07:29.17 ID:m0CVeBeD0

キョン「(いかん。何かペースに嵌められて、京都に行く事への疑念が鎮静化されていく)」

鶴屋 「どうしたのー?八つ橋まだ食べるー?」

キョン「あっ、どうも」モグモグ

鶴屋 「おいしーね」

キョン「はい」モグモグ

鶴屋 「…」モグモグ

キョン「(…………………ま、たまには良いか)」モグモグ

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 17:13:30.92 ID:m0CVeBeD0

〜京都〜

鶴屋 「着いたー」

キョン「意外に近かったですね」

鶴屋 「そうだね。おや?キョン君キョン君!」

キョン「どうしたんですか、鶴屋さん」

鶴屋 「これ見て!」

キョン「……これって、祭りのイベント案内」

鶴屋 「しかも、これって丁度今からだよ!どうだい?ちゃんと祭り
    あったじゃないか」

キョン「……行き当りばったり感満載ですが、折角京都まで来た事ですし
    満喫して帰りますか」

鶴屋 「うんうん!それが良いっさ」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 17:19:41.25 ID:m0CVeBeD0

………
…………
………

〜祭・イベント会場〜

キョン「……へぇ」

鶴屋 「うわぁ、人がいっぱいだね」

キョン「そうですね」

鶴屋 「出店もいっぱい」

キョン「そうですね」

鶴屋 「キョン君?」

キョン「…………」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 17:28:29.01 ID:m0CVeBeD0

鶴屋 「おーい」

キョン「…………」

鶴屋 「もしもーし」

キョン「…………」

鶴屋 「頭が留守ですかー?」

キョン「…………んな訳無いって」

鶴屋 「おおう!?」

キョン「そんなに慌てなくっても…」

鶴屋 「いや、驚いただけであって、別に慌てた訳じゃ」

キョン「どっちも大差ありませんよ、それ」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 17:35:28.63 ID:m0CVeBeD0

鶴屋 「むぅ」

キョン「そんな、むくれられても」

鶴屋 「だって、折角お祭りに来たのに、キョン君つまんなさそうに見てたから」

キョン「そんな事無いですって。人が多くて素直に感心してただけです」

鶴屋 「本当?」

キョン「ええ」

鶴屋 「そっか。わたしの勘違いなら良いんだ!さっ、行こ?」

キョン「はい!」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 17:41:03.09 ID:m0CVeBeD0

鶴屋 「フランクフルト二本お願い〜」

おっちゃん「へい!フランクフルト二本」

鶴屋 「トウモロコシ二本〜」

おっちゃん「へい!もろこし二本ね」

鶴屋 「あっ、焼き鳥も二本ね」

おっちゃん「へい!」

キョン「……鶴屋さん?何もそんなにいっぺんに買わなくても」


鶴屋 「ふも?ふぁんか言っは?」

キョン「いえ、何も。一本貰いますよ?」

鶴屋 「ひいほー」ムシャムシャ

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 17:47:46.96 ID:m0CVeBeD0

………
…………
………

鶴屋 「けふぅ、流石に食べ過ぎたねぇ」

キョン「げふっ、最早自棄食いの勢いじゃないですか」

鶴屋 「ははっ、そこまでかい?」

キョン「まったく…」

鶴屋 「おろ?あそこでやってるのは…」

キョン「?青いビニールテント?」

鶴屋 「きっとお化け屋敷さ!いざ、出陣〜」

キョン「ちょ、ちょっと。引っ張らないで」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 17:53:56.93 ID:m0CVeBeD0

〜お化け屋敷?〜

鶴屋 「ふむふむ。中々、楽しい造りになっているね。怖い怖い」

キョン「……そうですか。俺には手作り感MAXの仮装大賞用に作ったけど予選に
    通らなくて祭りに使っちゃいました感が否めないんですが」

鶴屋 「……キョン君、それは言っちゃ駄目さ。例え、『恐怖!旋律のお化け屋敷』
   の立て札の裏に『目指せ、満点!』の手書きを見つけたとしても」

キョン「……はい、すみません」


鶴屋 「……ま、良いさ」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 17:59:28.29 ID:m0CVeBeD0

キョン「で?入ってみたものの、これは一体どうすればいいんだ?」

鶴屋 「うん。中には、井戸、しかないし。ここで一体何をすれば…」

キョン「というより、鶴屋さん。もしかしてこの井戸って…」

鶴屋 「……うん。本物さね」

キョン「ビニールシートとか立て札とかは手作りっぽいのに、どうして井戸だけ…」

鶴屋 「流石京都…」

キョン「多分、京都関係無いですよ」

鶴屋 「やっぱり?」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 18:04:44.39 ID:m0CVeBeD0

キョン「ちょろっとだけ、不気味ですね」

鶴屋 「怖い?キョン君」

キョン「まさか。鶴屋さんこそ怖がってませんか?」

鶴屋 「何言ってるんだい、キョン君?そんな訳無いじゃないか」

キョン「声裏返ってますよ」

鶴屋 「きょ、キョン君こそ」


キョン「……」

鶴屋 「……」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 18:09:56.30 ID:m0CVeBeD0

鶴屋 「でもまぁもし、これが手作りなら見事な作りっさね」

キョン「本物で間違いないと思いますけどね」

鶴屋 「ふむ」

キョン「それよか、早く出ません?井戸しかないですし」

鶴屋 「そうだね。ここに居ても仕方ないし」



             ドーン


キョン・鶴屋「!!!」ビクッ

キョン「………何だ、花火か」

鶴屋 「そうみたいさね」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 18:15:49.01 ID:m0CVeBeD0

キョン「行きますか?」

鶴屋 「勿論!っとその前に…」スッ

キョン「?」

鶴屋 「鈍いね、君は。女の子が手を出してるんだから、男の子は何も言わず
   ギュッと手をとるもんさ」

キョン「す、すみません」キュ

鶴屋 「よーし、いざ花火観賞へ!!!」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 18:20:16.70 ID:m0CVeBeD0

………
…………
………

           ドーン

鶴屋 「はわー。凄いねぇ」

キョン「でっかいすねぇ」

           ドーン

鶴屋 「かーぎやー」

キョン「鍵屋?玉屋じゃなくて?」

鶴屋 「うん。今日は鍵屋な気分さ」

キョン「ふぅん、そうすか」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 18:26:02.08 ID:m0CVeBeD0

           ドーン


鶴屋 「ねぇキョン君」

キョン「はい」

鶴屋 「キョン君はどうしてそんなに面白くなさそうな顔をしてるんだい?」

キョン「………俺、そんな顔してます?」

鶴屋 「うん」

キョン「……本当に?」

鶴屋 「うん」

キョン「……そうですか」

鶴屋 「うん」

           ドーン

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 18:32:48.95 ID:m0CVeBeD0

キョン「別に鶴屋さんと居るのが楽しくないって訳じゃないんです」

鶴屋 「うん」

キョン「ただ、京都に来て、祭りに来て、凄い沢山の人を見て、少し、
    ほんの少しだけ思い出しちゃったんです」

鶴屋 「………」

キョン「ハルヒの事…」

鶴屋 「………そか」

キョン「はい。………あいつ、前に俺に話してくれたんですけど、家族で
    野球見に行った事があるって。それで、その時、凄い人数が観戦し
    に来てて、自分がどんなにちっぽけな存在だったかって、世界から
    見たら、地球から見たら、宇宙から見たら、どんなに小さな存在なのか
    思い知ったって」

鶴屋 「………」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 18:40:25.55 ID:m0CVeBeD0

キョン「さっき、祭りに来た時、俺、それを思い出してました。あぁ、あいつ、
    こんな感じを味わったのかなって。自分だけが特別だと思っていた世界が、
    急に色あせて見える感覚ってこんなのかなって」

鶴屋 「………」

キョン「ねぇ鶴屋さん?俺、SOS団に入っていろんな事してきたつもりです。いろんな
    出来事を体験してきたつもりです。でも、もしかしたらこれも…世界中の皆
    とは言わないまでも他の誰かも既に経験してしまっている、体験してしまっている、
    そんな出来事だったんじゃないかと思えてならないんです」

鶴屋 「…そんな事無いよ」

キョン「……本当にそうでしょうか?」

鶴屋 「うん。……君は忘れてるだけさ。君は世界中の人間が一生を生きたって体験できない
    事を沢山体験してきてる筈だよ」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 18:48:40.66 ID:m0CVeBeD0

キョン「そんなの、無いですよ」

鶴屋 「ううん。君は覚えていないだけで、忘れているだけで、確かにあったよ。体験してる。
    宇宙人も未来人も超能力者も、果てにはこの世界の神様にだって君は会ってる。一緒
    に行動を共にしてたし、君は彼女達の仲間で、彼女達は君の仲間だった」

キョン「まさか。そんなのある訳無いじゃないですか」

鶴屋 「君は覚えていなくても、私が覚えてる。君が忘れていても、私が忘れない」

キョン「………」

鶴屋 「だから君は、キョン君が死んだ事に責任を感じなくても良いんだよ?」

キョン「?????」

鶴屋 「あれは事故だった。誰のせいでもない。だから君が無理して忘れようとしなくたって、
    無理に全部無かった事にしようとしなくたって良いの」

鶴屋 「私も、一緒に覚えてるから、だから。そろそろ思い出したって良いんだよ」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 18:56:05.55 ID:m0CVeBeD0

鶴屋さんはそう言うと、俺の腰に手を回し、唇をそっと合わせてきた。

俺は何が何だか分からなくなって、鶴屋さんが唇を離した後もそのままの体勢で、
しばらく固まっていた。

遠くの方でドーン、という花火が打ちあがる音だけがやけに、はっきりと聞こえる。

しかし、そんな一人身の男なら誰もが羨みそうな状況に身を置きながら、鶴屋さん
は何故、こうも俺の事を心配してくれているのかと思いつつ、ハルヒの事を考えて
しまう俺は最低だなとか、そんな考察ばかりが頭を駆け巡り、いつしか僕の思考は
あやふやなまま意味消失していった。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 19:03:14.13 ID:m0CVeBeD0

………………
…………
……

           「痛っ」

……どうやらベッドから落ちてしまったらしい。頭を強打した。

          「うい、うい」

二、三回頭を振りながら、呼吸を整える。……うん、正常正常。

        「さてと、……って夜中か」

そんな独り言をつぶやいて、先程まで見ていた夢を思い出す。
変な夢だった。最近疲れが溜まっているのだろうか?まさか鶴屋さん
とキスする夢なんて。

         ……しかも、友人の目線で。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 19:08:30.06 ID:m0CVeBeD0

そもそも、夢の始まりからして意味不明だった。しかも何で突然京都なんだよ?
別に大阪や奈良でも良かった筈だ。

それに何故彼の目線で夢を見てるんだ、僕は?彼になりたいとでも言うのか?
最終的に、更に意味の分かんない結末になってるし。

後、涼宮さんと共に虫捕りに言った筈なのに、彼の言い方ではまるで祭りの最中に
いつの間にか死んでる事になっていた。

      まぁ、それは鶴屋さんに違うと諭された訳だが……


 ……なんて、夢にあらかたの突っ込みを入れて、鏡で自分の顔を確認する。

        うん。自分だ。彼じゃない。古泉一樹だ。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 19:15:46.94 ID:m0CVeBeD0

けど、まったく脈絡の無かったように見受けられた夢だったけど、
それでも所々で現実と関連していた点を拾っていくと、確かに僕の夢
であることは間違いなかった。

      僕はきっと、何処か遠くに逃げたかった。

         そして、忘れたかったんだ。

      これまでの事、これからの事を全部…。

花火みたいに。お祭りみたいに。楽しい思い出は直に消えてしまうように。

           忘れたかった。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 19:21:01.73 ID:m0CVeBeD0

でも、夢の中でさえ、僕は逃げ切れなかった。あの『井戸』を見た瞬間に一瞬僕は
夢の中では彼である筈なのに、自分と錯覚してしまっていた。


「あぁ、逃げられないのだ」と分かってしまった。


だとしたら、鶴屋さんのあの言葉は、『忘れないで』という言葉は僕に対しての戒め
の言葉なのだろう。

自分の罪を忘れるな!という警告なのだろう。

きっと、この手で、彼を殺したという……

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 19:26:27.66 ID:m0CVeBeD0

ちょっと色々やってきます。保守はいいよ

落ちたら落ちたで、それもまた良し

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 20:37:52.89 ID:m0CVeBeD0

そんな今となっては、既に何日も経過している事象に耽りながら、自分の足が
自分の意志とはまるで関係の無い方向に歩きだす事に気付いた。

やれやれ、夜中だってのに、元気な事だ。

こんな時間に徘徊しようなんて、よほど急ぎの用でもあるのか。

玄関を出ると、待ってましたとばかりに足は走り出す。

もう、下半身は自分の意志とは全く無関係に彷徨い、何かを求めているみたいだ。


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 20:49:14.89 ID:m0CVeBeD0

走っている内にだんだんと上半身の感覚も遠のいていく。
あぁまたこの感覚か。もう慣れた。

彼を殺した時もこうだった。自分が自分じゃなくなる感覚。

自分の中に、もう一人、別の人間が居て、自分の体を操られる感覚。

足から股、股から腰、腰から腹筋、腹筋から胸、胸から二の腕、二の腕から腕を伝い指先に。

そして、もう、自分の意志で動かせるのは眼球のみ。

呼吸すら自分の思い通りにならなくて、酷く息苦しい。

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 20:59:59.48 ID:m0CVeBeD0

十分少々走った所で、足を止めた。
視線の先には何処かで見た事のある後姿。誰だったっけ?

まぁ良い。どちらにせよ、殺すんだろうし。

……今日の標的は彼女か、程度にしか、もう思えないし思わない。
身体の主導権は僕ではない、別のナニかが握っているのだ。

と、僕は彼女に声をかける。

「おや?あなたは……」

もっともらしい台詞だ。笑える。

「誰?」

そして、僕のそんなもっともらしい台詞に振り返ったのは、佐々木
と呼ばれる、機関の敵だった。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 21:09:59.94 ID:m0CVeBeD0

「どうも。SOS団副団長の古泉です。あなたには『機関』の人間である、
とこう表現した方が良いのかもしれませんが」

僕は尚も、もっともらしく自己紹介を続けた。

「あなたが……」

そんな自己紹介を受けて、彼女も俯いていた顔を上げる。

……涙?

「それよりもどうしたんですか?そんなに目を真っ赤にして。いくら機関が
敵対している別の神候補であっても、女性のそんな顔は見ていて嬉しいもの
ではありません。どうでしょう?僕でよければ相談に乗りますが?」

いつもの僕と大差ない台詞が口から零れる。

どうしたんだろう?会話したりなんかして。
彼女を殺すために来たのではないのか?

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 21:22:05.65 ID:m0CVeBeD0

「…………それは、その」

彼女は何か言いかけて、黙ってしまう。

「……ふむ。言いたくなさそうですね。それとも言いたいけれど言いにくい
類の話でしょうか?」

「いえ、その……」

彼女はまたもや俯く。

「そうですね。立話もなんですからベンチにでも移動しませんか?」

おや、本当にどうしたというのだ。人の悩みを聞いてやるような心がこの殺人鬼
にもあるのか?……それとも人気のない所へ誘導してから殺すのか?

そんな風に考えながら、僕は佐々木さんを公園へ誘導する。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 21:33:50.49 ID:m0CVeBeD0

「………………」

「先程から押し黙ったままですが、まだ何があったのか話して貰えませんか」

「………………」

公園のベンチに佇んで、既に二十分は経過しているだろうに、彼女は相変わらず
押し黙ったままだ。

流石の殺人鬼も業を煮やしたのか、

「やれやれ、仕方ありませんね。では、こちらの勝手な憶測ですが、今から僕は独り言
を言います。聞きたくなければ、どうぞ、耳を閉じるなどの意思表示をしてください。
直に話を止めますので」

そう言って、殺人鬼は独り、話し始めた。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 21:44:36.72 ID:m0CVeBeD0

殺人鬼の独り言は以下の通り。途中から佐々木さんも聞き役から会話に参加したが、
特にこれと言って支障はない。


・”彼”友人からは”キョン”の愛称で知られる彼が死亡したとの報道がなされた。

・しかし、これは機関による嘘の報道で”彼”は生きている。

・機関は”敵”と闘っており、彼の身の安全を考えて、嘘の報道を流した。

・また”彼”だけでなく、”彼”の家族についても嘘の報道がなされている。

・”彼”と”彼”の家族、そして一部の友人は機関が匿っている。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 21:56:00.47 ID:m0CVeBeD0

……まったく。出鱈目もここまで来たら大したものだ。
しかし、こんな嘘がよほど嬉しかったのか

「…良かった。本当に」

彼女は屈託のない笑顔を見せる。

「んっふ。漸くあなたの顔に覇気が戻りましたね」

そんな彼女の顔を見てかどうかは分からないが、殺人鬼も頬を釣り上げる。

「あの……ちょっと良いですか?もう一つお聞きしたい事があるんですが」

「どうぞ。僕に答えられる範囲であれば、お答えしましょう」

「有難う」

そして、次の瞬間

「いえいえ。それで?僕に聞きたい事というのは?」

僕は眼球も自分の意志では動かせなくなったのに気が付いた。

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 22:09:33.28 ID:m0CVeBeD0

「キョンの事なんですが」

「ふむ」

やはり”彼”の事か。

「わた……僕はキョンが殺されたという報道があってから、ずっとキョンが
殺されたとされる直前に何があったのかを調べてきました」

「ほぅ」

殺人鬼はわざとらしく、にやけた表情を造る。

「その、僕が調べた結果では、キョンは死ぬ五日ほど前に、あなたの部屋で
『リング』を見たという事になっているんです」


              『リング』

久し振りに自分以外の人間から聞いたこのフレーズが、僕の記憶を揺さぶる。

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 22:35:11.42 ID:m0CVeBeD0

〜約三週間前〜


古泉 「(ふぅ。今日も疲れた)」

古泉 「(学校での授業、SOS団の活動、閉鎖空間での戦闘。涼宮さんへの配慮。
     他勢力との牽制……どれも疲れる)」

古泉 「愚痴っても仕方ないんですけど……ね」

古泉 「たまには、羽伸ばしても何処か一人でのんびり旅行に行っても罰はあたら
    ……いや、止めよう」

古泉 「(精々借りてきたDVDで映画鑑賞でもして、気を紛らわせよう)」

              カチッ

TV 「ザー」

古泉 「あれ?」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 22:57:46.68 ID:m0CVeBeD0

古泉 「(なんで何も映らないんだ?)」

TV 「ザー」

古泉 「再生ボタン押したよな?」

              カチッ

古泉 「DVDプレーヤーにはセットしてあるし……って、TVに接続されてない」

古泉 「あれ?じゃあこの線どこから……ビデオデッキ?ビデオデッキなんて
    随分前に処分した筈じゃ」

古泉 「中身は……入ってる」

古泉 「……」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 23:05:39.42 ID:m0CVeBeD0

………
…………
………

古泉 「さて、見ないという選択肢もありますが……一応、確認しておきますか」

             ザザザザーーー

古泉 「ふむ。あれは……井戸」

古泉 「もしや、これは!駄目だ。見ては」

古泉 「……」(身体が…動かない?)

古泉 「……」(火山、海、病院、老婆、井戸、やっぱり)

古泉 「……」(動け動け動け。動いてくれ)

古泉 「…………」


古泉 「……終わった」

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 23:10:52.91 ID:m0CVeBeD0

PrrrrrrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrrr

古泉 「……携帯」

PrrrrrrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrrr

古泉 「テープを見た以上、逃げられないのか」

PrrrrrrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrrr
PrrrrrrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrrr
PrrrrrrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrPrrrrrrrrrrrrr

古泉 「着信は……彼」

古泉 「……」

         ガチャ

キョン?『………ア……ハ…シ……二…ヌ』

古泉 「……」

キョン?『………カ……ホ…ハ……ダ…』

    プツッ。ツーツーツー

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 23:17:55.60 ID:m0CVeBeD0

………
…………
………

〜翌日〜

古泉 「……という事が昨日ありまして」

森  「この馬鹿!そういう得体のしれない物を発見したら、先ず報告が
    先でしょう?」

古泉 「……すみません。このような事になるとは」

森  「…まぁ良いでしょう。既に起こってしまった事は仕方ありません」

古泉 「はい」

新川 「しかし困りましたね。もし、呪いが本当だとするとどういった対処を…」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 23:29:05.53 ID:m0CVeBeD0

森  「そうね。悔しいけれど、現状、この手の問題は私達に解決は無理。本当ならば
    手を借りたくないけれど、情報統合思念体の彼女にでも力を借りなければ
    無理かしらね」

古泉 「そうですね。しかし……」

森  「彼女は今、力が使えない…使わないんでしたっけ?まぁ、どちらにせよ、長門さん
    には頼めないわね」

新川 「では、朝比奈みくるに未来の情報を教えて頂くというのは?彼女達未来人ならば
    一週間後の呪いが本物かどうか直に分かる筈です」

古泉 「……新川さん」

森  「彼女に聞いたって無駄よ。そんなのどうせ”禁則事項です”で分からないわ」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 23:37:48.18 ID:m0CVeBeD0

古泉 「!!!」

森  「どうしたの、古泉」

古泉 「あの……長門さんでは無いのですが、もう一人統合思念体の人物に心当たりが」

新川 「朝倉…涼子ですか?しかし彼女は既に消されてしまったと報告が」

古泉 「いえ、朝倉さんではなく、喜緑さんです。彼女ならこのビデオの解析が…」

森  「…………駄目よ」

古泉 「森さん?」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/17(土) 23:51:13.05 ID:m0CVeBeD0

新川 「ふむ。駄目だと言うからには、理由があるんですね」

森  「ええ、その通り。ねぇ古泉、あなた今週の涼宮ハルヒの観察記録、目を
    通してるわよね?」

古泉 「それは勿論」

森  「それにあなたはSOS団の活動時には、機関の誰よりも彼女の近くに居る」

古泉 「はい」

森  「だったら、ここ最近彼女がこんなホラーを代表するような作品に興味を示す
    きっかけが無かったのも承知の筈」

新川 「それは…」

森  「そう。私が思ってるのはね古泉。これは私達が”神”だとしている涼宮ハルヒ
    が今回の発端じゃないって事よ。普段ならこんなトンでも現象は彼女と疑って
    かかるけど、今回は違う。彼女じゃないわ」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 00:03:34.76 ID:q9OpS2Vj0

古泉 「だとしたら」

森  「だとしたら、考えられる候補は二つ。一つは只の悪戯。もう一つは敵対勢力
    による攻撃」

森  「敵対勢力も色々あるけど、今の現状、大雑把に言えば自称神候補に仕える超能力者達。
    未来人。宇宙人の三つ。で、もしこれらの内の勢力が攻撃してきたのだとしたら、
    最も危険なのが宇宙人の勢力」

森  「理由は分かるわよね?」

古泉 「同じ超能力者や未来人が動こうとしたら、必ず現場に痕跡、又は”痕跡を消した”
    という痕跡が残るけれど……情報を操作されたとしたら、機関では対処しきれない」

森  「正解」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 00:16:32.91 ID:q9OpS2Vj0

古泉 「でも統合思念体ならこんな回りくどいやり方なんてせずに」

森  「向こうにも事情があったのかもしれないし、それは私にも解らない。ただ、あなたの
    御友達の長門さんなら、私も百歩譲ってこのビデオに関して相談するのも許可するわ」

森  「けど、彼女以外の統合思念体にアプローチするのは認められないわ」

新川 「ふむ。このビデオを送って来た敵かもしれないという可能性がある以上、こちらが既に
    その罠に掛かったという事実を教えてしまうのは危険だと」

森  「ええ」

新川 「しかし、それではこちらも身動きが取れないのでは?」

古泉 「……」

森  「そうね。だから……」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 00:29:18.08 ID:q9OpS2Vj0

森  「だから、これからあなたが死ぬであろう時間まで、機関は涼宮ハルヒの監視よりも
    敵対勢力に探りを全力で入れます」

古泉 「なっ?」

森  「その代わり、あなたには涼宮ハルヒの監視と閉鎖空間を絶対に発生させないように
    努めて貰います。良い?間違っても機嫌を取り損ねて閉鎖空間を発生させるなんて
    へましちゃ駄目よ。死にたいのなら話は別だけどね」

新川 「そうですね。それしかありませんか」

古泉 「……解りました」

森  「そして、それまでに解明できなければ私がダビングしたビデオを見ます」

古泉 「えっ!?」

新川 「それは…」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 00:50:15.70 ID:q9OpS2Vj0

………………
…………
……

それからというもの、僕は必死に涼宮さんの機嫌を取り続けたんだっけ。
間違っても閉鎖空間が発生しないように。


そういえば、新川さんから後で聞いた話だけど、森さんはあの後直に僕が
一応ダビングして持っていったテープを見たと、言っていた。

何故かと尋ねたら、

「『本当に呪いのビデオテープかどうかの確認。もしそうだとしたら、
テープ自身にヒントが隠されていないか調べる必要があるわ。あの子は
見落とすかもしれないけど、私なら見つけられるかもしれない』
との事です」

そして新川さんは、僕でも見抜ける位の造られた笑顔で

「彼女は、優しい人ですから」

と、短く後に続けたんだった。

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 01:12:47.03 ID:q9OpS2Vj0

僕の考えが甘かったというか、頭が回っていなかったというか、事態は想像していた
以上に深刻な物だった。

僕はもっと時間を引き延ばしてからでも。そう、僕の死が宣告された時間の少し前に
ビデオを見た方が良いと思った。何故直にビデオを見る必要があるんだ?と、新川さん
に話を聞いた当時、そんな気持ちで一杯だった。

しかし、それも当然、僕の事を思っての行動。


よく漫画なんかで時限爆弾が登場するけれど、あの時限爆弾についているタイマーなんて
これみよがしの存在であって、実際問題、タイマー通りに爆破する必要なんてない。
最も人が殺せるその瞬間を見計らって起動させてこその兵器だ。

……だとしたら、僕が見たビデオだって、丁度一週間後に死ぬ物でもないかもしれない。


まぁ、だったら死の解除自体ついていなさそうだが、それでも森さんは、僕の生存率を
少しでも上げる為に、テープを見てくれていた。……僕の為に。

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 02:38:00.52 ID:q9OpS2Vj0

そして、もう一つ。新川さんが教えてくれた通り、森さんはテープからヒントを
得ようと考えたのだ。

一週間後の目前まで、在るかもしれないヒントを無視するよりも、多少のリスク
を背負ってでも前に進むしかない。情報の鮮度は、その情報が真実だとするならば、
新しければ新しい程良い。

行き遅れた情報には尾ひれがついている可能性が高いし、何よりも価値がない。

今直にビデオから敵に関する情報が得られれば、策を講じられる。しかし、時間を
かければ掛けるほど、敵もそれに気付き、対策を練る可能性が高まって行く。


そこまで聞いて、漸く僕は、如何に自分の行動が軽率だったか思い知った。

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 02:51:45.88 ID:q9OpS2Vj0

と、ここまで頭の中で思想を巡らした所で、身体が不意に立ちあがった。

!?

突然の事に驚いていると、自分の口から

「どちらかのグループが恐らく短期決戦へと勝負を持ちこむ事になるでしょう」

という台詞が出て来て、今の自分の置かれている状態を思い出す。
そうだった。今、僕は佐々木さんと話をしていたんだ。

「……そう」

「まぁしかし心配しないでください。最後に勝つのは我々ですから。彼も間もなく
帰ってきますよ」

どうやら殺人鬼の戯言が完了したらしい。彼女を見送る為なのか、立ち上がったようだ。

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 03:04:05.49 ID:q9OpS2Vj0

結局、彼女は殺さないらしい。ベルトに挟んであるナイフを取り出す気配も無い。
そんな、彼女を殺さない事に、常識では考えられないような狂った思考なのに、
少し安堵する。

良かった。

例え、彼女が機関の敵だとしても、もうこれ以上彼の友人を殺さなくて済むのなら。

「本当にもう大丈夫ですか?なんなら家まで送っていきますが」

殺人鬼は微笑む。

「いえ、もう大丈夫です。あなたの話を聞いて安心しました」

「そうですか。それは何よりです」

多分、微笑んでいる。

「本当にどうも有難う。今日、会う事が出来て良かった」

「いえいえ、お気になさらず」

微笑んでいると、思いたい。

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 03:11:08.87 ID:q9OpS2Vj0

「じゃあ、さよなら」

「ええ、さようなら。彼が返ってくる日が決まったら、また連絡します」

嘘を吐くなよ、殺人鬼。彼は死んでる。もう居ない。

「うん。宜しく」

だから、そんな笑顔を僕に向けないでくれ。止めてくれ。
彼は居ないんだ。君の目の前に居る殺人鬼が、この僕が、殺してしまったのだから。

けれど、そんな願い虚しく彼女は笑顔のまま、意気揚々と歩きだす。……もう夜も遅い。
恐らく家路に足を向けているのだろう。

僕は、殺人鬼は、その場に立ち尽くしたまま、そんな彼女を眼で追いかける。
殺人鬼の戯言が余程嬉しかったのか、彼女は半分スキップのような形で歩いていた。


僕は、心の底に何かもやもやしたような言い知れない気持ちを携えて、彼女の後姿を見送った。

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 10:25:29.76 ID:q9OpS2Vj0

………………
…………
……

佐々木さんと別れてから、殺人鬼はその足をひらりと別の方向に向けた。
……僕の家とは違う方向だ。

どうやら、まだ身体の主導権を返してくれる気はないみたい。
やり残したことでもある……もしくは、今までのは只の前座のようなもの
で、これからがメイン行事なのかもしれないが。

テクテクと。テクテクテクと。軽い足取りで。

疲弊しきっているであろう重い身体を、さも「まだまだ元気さ」と、僕に
見せつける様に。


殺人鬼は歩く。

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 10:33:01.00 ID:q9OpS2Vj0

そして、しばらく歩いた処で、もう一つ、自分が奏でている足音とは別の
足音が聞こえてきた。

カツカツと。カツカツカツと。小気味良い一定のリズムで。

やがて僕の足音とそれは重なり、殺人鬼が音の方に顔を上げる。

視線の先には、蒼い、長いロングヘアー。

かつて、その手で彼を殺そうとした、そして僕がこの手で殺した、情報統合思念体
によって作られた存在。

対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース……朝倉涼子の姿
がそこには在った。

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 10:39:58.37 ID:q9OpS2Vj0

……戯言SS書いてた所為か、文章が中2の極みっぽくなってる

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 14:02:17.15 ID:q9OpS2Vj0

「朝倉さん」

そう声を掛けようと思ったが、身体の主導権はやはり殺人鬼が持っていて、
僕には声を発する事も出来ない。

しかし、眼球は拘束が解かれたのか動くようになっていた。

眼を動かして、彼女を見る。

……死体のように蒼い肌が見える。いや、死体のようにでは無く、真実、死体
故に、肌が蒼いのだ。

当然だ。彼女は死んでいる。死んでいる、筈。僕が殺したのだから。


しかし、だとしたら何故、彼女は動いているんだ?

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 14:15:43.80 ID:q9OpS2Vj0

………………
…………
……

……今回の事件の発端。それは僕の不注意から招いた一本のビデオテープを
見た事から始まった。

僕が見たテープは、『リング』と呼ばれる作品に非常に酷似した内容で、見た
者は一週間後に死ぬというもの。

そして、機関が総勢でテープに関する情報を探そうとしたが、期限内にそれが
見つかる兆しはなかった。

更なる捜査を展開するため、新川さんが森さんの見たテープをダビングし、
期限を更に一週間延ばす事に。

そして、さらに数日が過ぎ、僕が死ぬであろう日を過ぎても、僕は生存しており、
少なくとも、『ビデオをダビングして第三者に見せる』という呪いの解除方法は
正しいと証明された。

150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 14:27:57.15 ID:q9OpS2Vj0

ここまでは普通だ。けれど、それから更に数日後、僕は身体に違和感を覚えた。
上手く身体が動かせない。時間が経つに従って、身体は動かせなくなって行き、
最終的に、僕の意志とは関係なく動き始めたのだ。


そう、丁度あの日も、僕の意志とは関係なく身体は勝手に動いて、彼と一緒に
帰宅したんだった。

今でもよく覚えている。その日まで僕はずっと涼宮さんの御機嫌を取っていた
のに、その日、SOS団の活動に僕と彼が参加しなかった所為で、彼女は特大の
閉鎖空間を発生させたのだから。


閉鎖空間での闘いが完了した後、森さんにこっ酷く叱られたっけ。
「何考えてるの、あんたは!?」って。でも、それも叱られて当然だったけど。

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 14:38:30.70 ID:q9OpS2Vj0

その翌日、彼からテープの話を聞かされた時は、本当に驚いた。まさか彼が見る
とは思ってもいなかった。しかも、また僕の部屋のデッキにそのテープはあった
らしい。

おかしかった。オカシカッタ。可笑しかった。

テープは機関に、森さんに預けた筈なのに、何故また僕の部屋に存在しているのか、
訳が分からない。

直に機関に”彼”がテープを見てしまったと連絡を入れたが、既に機関の内部は
滅茶苦茶で、僕が引き金を引いてしまったであろう度重なる閉鎖空間の発生で、
最早テープに関する捜査は打ち切られる事となった。

そして、森さんから「あなたと彼で、事件を解決しなさい」と、命じられたんだ。

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 14:53:17.91 ID:q9OpS2Vj0

時々動きが止まる身体、勝手に動き出す身体。そんな不自由で危険極まりない僕
と、今一現状が把握しきれていない彼が、助けてくれない宇宙人、役に立たない
未来人、そして最も厄介な神様を尻目に、捜査を開始する事となった。

正直、このメンツでどう捜査を開始したらいいのか迷った。


けれど、それでも幸先は良かった。いや、悪かったと表現した方が人としては良い
のかもしれないが、まぁこの際関係無い。

幸先は良かった。

何故なら、犯人の目星がついたからだ。

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 15:02:13.48 ID:q9OpS2Vj0

犯人を特定するのに一役買ってくれたのは、彼の妹。何でも録画したDVDを
見ようとしたら、例の『リング』を見てしまったのだそうだ。

そして、その後DVDは何者かに持ち去られており、行方が分からないまま。
ダビングしたディスクを回収する時間帯には、彼の家には、常に最低限、
誰かが居て、誰にも見つからずに回収するのは通常では無理。いや、未来人
だって、超能力者だって何の痕跡も残さずにそこまでは出来ない。


森さんが初めに危惧したとおり、宇宙人の勢力が最も黒幕に近いと思われた。


157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 15:34:28.97 ID:q9OpS2Vj0

………………
…………
……

ちらりと横目で朝倉涼子を窺う。彼女は相も変わらず押し黙ったまま、
僕の歩調に合わせてカツカツと着いてきている。

「…………」

僕は再び彼女に声を掛けようとするが、やはり殺人鬼に行動を止められる。
今日の殺人鬼はえらく気合が入っている。

今までなら、もう少し位、ほんの身じろぎ程度なら反抗出来たのに、今日は
自分の意志で歩みを遅らせようとする事も不可能だ。

多分、急ぎの用事なんだな、と僕は勝手に推測する。

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 15:52:57.98 ID:q9OpS2Vj0

しばらく歩いた所で、殺人鬼と死体は見慣れた住宅街の一角に入る。

……ここは。あぁ、成程。

この光景を目の前にして、漸く殺人鬼の目的地に気が付く。”彼”の家に
用があるのか。


このような既に事件が終わった所で、終わりきった処で、何をする気なのか
分からないが、僕の身体の全ての主導権を奪ってまで、僕に殺されて死体で
ある存在の朝倉涼子を出歩かせてまで、ここに来たんだ。

きっと大事な用があるんだろう。


殺人鬼と死体は仲良く門の前で足を止める。

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 16:29:05.62 ID:q9OpS2Vj0

……………………
………………
…………
……


直に彼の家に忍び込むものとばかり思っていたが、殺人鬼と死体は何かを
待つように、家のすぐ傍でじっとしている。

朝倉涼子は正門の前の電信柱の影、殺人鬼は庭の植え込みの影からひっそり
と。まるで泥棒みたいに。

ふむ。僕は今日は誰も殺さないものだと思っていたが、もしかしたら殺人鬼は
これから、ここで誰かを襲うつもりかもしれない。

結局、人を殺すのか。憂鬱だ。それにしても、今回は朝倉涼子まで連れて来る
とは、かなりのやり手の可能性がある、な。

そんな幾分ずれた思考の元、小一時間ほど待っていると、僕が侵入してきたルート
から人陰が近づいてきた。


……標的はこいつか。

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 16:42:24.62 ID:q9OpS2Vj0

だが、僕の予想は全くといって良いくらい、外れた。
庭先からやって来たのは、先程、殺人鬼と別れた佐々木さん。

僕は面喰いつつも、やはり身体の主導権が殺人鬼に握られているため
表情には出さず、ひっそりと一部始終を見届ける。

佐々木さんは用意してきているガムテープを窓に何重にも重ねて貼り、
なるべく音が出ないように窓ガラスを割る。

            ゴリゴリゴリ

            ガリガリガリ

最初の方こそ慎重に、だが途中から居直ったのか、それとも覚悟を決めたのか

            ガツガツガツ

            と力を込める。

163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 16:48:56.72 ID:q9OpS2Vj0

            ゴツゴツゴツ

            ゴツゴツゴツ

佐々木さんが窓ガラスと格闘し始め、およそ二分少々で、

            ゴツゴツゴツ

と、規則正しい音を数回繰り返した後、ジャリンという鈍い音と共にガラス
が割れる。中々の手際。流石自称とはいえ、神候補といっただけの事はある。

佐々木さんはそのまま、手首を入れ、窓の鍵を開ける。

カチリと、窓のロックが外れると、躊躇なく彼女は彼の家に侵入する。
そして一目散にリビングから、通路へ。恐らく彼の部屋を目指しているに違いない。

170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 19:15:26.91 ID:q9OpS2Vj0

そう彼女の犯行の一部始終を見届けると、身体が勝手に動き出す。
彼女が切り開いてくれたルートで僕も家の中に入るのか。

正門前から朝倉涼子と、そして何時の間に合流したのか、朝比奈みくるが僕の方へ
駆け寄る。

死んだ筈の人間。消えた筈の人間。そして、人間の振りをしているモノ。

騒ぎの現況である当事者である側から見たら、何とも滑稽に映るが、こんな連中に
殺された人たちには、さぞ不気味に見えた事だろう。


実際、正常に、呼吸して、食べて、考えて、生命活動を全うしている人達からすれば、
殺人鬼で無い方の僕にした処で、既に狂っている領域だとカテゴライズしても、何ら
不思議じゃないんだ。

少し寂しいけれど。少し悲しいけれど。少し悔しいけれど。

僕も、もう……立派な化け物だ。


172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 19:29:09.57 ID:q9OpS2Vj0

そして、僕たち三人は、仲良く彼の部屋を目指す。先程入って行った佐々木さん
と同じく、脇目も振らずに。彼の部屋だけを目指す。

真っ暗な部屋で、一か所だけ明りが点滅している部屋に辿り着く。
成程。懐中電灯も持参してきていたのか。流石は佐々木さん。


僕たち三人は、ひっそりと、また中の様子をドアの死角であろう場所から窺う。



彼女は、彼の部屋に入って、おびただしい程の血痕を見つけた処だった。

彼女が何を考えているのかは知りようがないが、酷く冷めた、涼しげな表情で血痕を
見ている。だが特に何も感想を持たなかったのか、そのまま視線を彼の机に向ける。

無駄だ。証拠となりそうな物はすべて殺人鬼が隠滅した。見つかる筈ない。


でも、それでも懸命に彼女は探している。まるで忘れ物がここにあるかのように。

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 19:41:47.06 ID:q9OpS2Vj0

数分間、僕たち三人は相変わらず探し物を続ける彼女を眺めていただけだったが、
意外にも早く彼女の行動に変化が現れた。

小さな箱を大事そうに抱えて喜んでいる。……あれは、ルービックキューブ?


彼女はすぐさま、何やら呟きながら、キューブを回転させていく。

一体あれが何だっていうんだ?

しかし僕のそんな考えを余所に、彼女は正確に、規則正しくキューブを回転させ、
見る見るうちに色を揃えていく。


数分もしないうちに、全ての面の色が揃い、ビックリ箱のように展開された。
中には小さく折りたたまれた紙らしきものが入っている。

174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 19:52:21.91 ID:q9OpS2Vj0

そして彼女はその紙を拾い上げて食い入るように見ている。いや、読んでいるのか。

一分も経たずに、彼女は真剣に紙との睨めっこを止めた。少し憔悴して
いるようにも映る。

だが、佐々木さんが漸く顔を上げたそのタイミングで、朝比奈みくるは
待ってましたと言わんばかりに笑顔で言い放った。


 「成程ー。そんな所に隠してたんですか。見つからない筈です」


僕も勢いよくドアを開け、佐々木さんに向かって微笑む。きっと朝倉涼子も
微笑んでいるのだろう。

176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 20:05:30.77 ID:q9OpS2Vj0

やばいなこれ、初見の人でも分かる様に書こうとしたのに、全くもって意味不明だ




「…………」

突然の訪問に佐々木さんは口をパクパク動かすだけで、言葉が出せていない。
そんな佐々木さんを見て、朝比奈みくるは

「大丈夫です。心配いりません。ただ、私の話を聞いてくれるだけで良いんです」

と、いつもの調子で、続けた。

「うー。そうですね。何から、説明しましょうか。……あ!そうだ。今回の事件
が何故起こったかについてからご説明しますね」


それから暫く、朝比奈みくるによる今回の事件の概要が語られる。

177 名前:ほぼそのままでゴメン[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 20:09:08.72 ID:q9OpS2Vj0

掻い摘んで述べるとこうだ。


宇宙人達はかねてより、自分たち以外の涼宮ハルヒを監視する者達を疎ましく
思っていた。当然だ。折角監視対象が何かアクションを起こそうとしている
というのに、宇宙人達意外の勢力は、それを鎮静化させようとばかりする。

これでは、観察する意味がない。

一方、未来人のグループは自分たちの未来に近づけさせる為、どうしても強大な
力を持つ涼宮ハルヒを始末したかった。

そこで、この二つのグループはお互いに牽制し合っても意味がない、ここは一つ
協力しないか?という事になったらしい。

宇宙人と未来人が選択した、互いにとって最も都合の良いシチュエーション。

   『涼宮ハルヒをこの世界から隔離し、別の世界に連れていく』

こうすれば、宇宙人は、他のどの勢力にも邪魔されずに涼宮ハルヒの監視を行え、
未来人は自分達の未来を手に入れられる。

178 名前:ここそのままでスマン[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 20:11:00.42 ID:q9OpS2Vj0

……しかし、この計画には邪魔な組織が一つあった。そう、超能力者(僕達)だ。

機関という超能力者のグループは涼宮ハルヒを神扱いしており、別世界に隔離する
など、以ての他となるのは容易に想像ができる。

ここで、超能力者達を一掃するために作られたのが、僕や彼が見てしまったビデオ
テープだ。あのビデオは、やはり『リング』の山村貞子の呪いをモチーフに作られた
もので、山村貞子の怨念が宿っているとの事。

ちなみに、山村貞子は元々、超能力者という設定で作られた存在だったので、
同じく異なる能力とはいえ超能力を有する機関の面々には、効果絶大で、機関
の超能力者達は、たちまち山村貞子の支配下になった。


最後に、超能力者達を壊滅させたら、宇宙人達の情報操作によって、山村貞子
という存在も消滅させれば事件は一件落着。


……つまり、今回の事件は、蓋を開けてみれば宇宙人と未来人が手を組み、超能力者
を一掃し、涼宮ハルヒを別世界に隔離するという事件だったらしい。

180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 20:22:20.63 ID:q9OpS2Vj0

一通り説明し終わり、最後に朝比奈みくるは

「それで佐々木さんにお願いがあるんですけど、いいですか?」

と付け加える。

佐々木さんはというと、観念したのか、悟ってしまったのか、コクンと、
ただ静かに頷くだけだった。

「そんな顔しなくても大丈夫ですよ。難しい事じゃないんです。それにちゃんと
手伝ってくれたお礼も用意してますから」

「お礼?」

「はい。未来の技術で、キョン君を生き返らせてあげます」

そんな、とんでもない事を朝比奈みくるはあっさりと言った。

181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 20:37:14.38 ID:q9OpS2Vj0

……………………
………………
…………
……


帰宅路。僕達が彼の家を出た時には既に、夜が明け掛かっており、
今はもう、完璧に朝日が拝める位置まで太陽が昇っていた。


僕の身体はというと、相変わらず殺人鬼、いやあの話を聞いた以上、
最早山村貞子と呼ぶべきかもしれないが……まぁとにかく、主導権
は返してもらえていない。

僕の傍らには、蒼い顔をした、蒼いロングヘアーの死体と、狂った
未来から来た、狂った少女が、いる。

     テクテクと。カツカツと。コツコツと。

特に足音を揃える必要も無いのに仲良く、一緒に道を歩いている。

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 21:04:06.93 ID:q9OpS2Vj0

傍から見たら美少女二人に連れそられている僕は幸せ者に映るのかも
しれないが、僕はあまり良い気分じゃない。

何故なら死体と狂った女がくっ付いているだけなのだから。

まぁ、朝比奈みくるの説明が本当ならば、これで事件も終焉に向かう筈
だから、少しは喜んでも良いかもとは思うけれど。

何故なら涼宮ハルヒは既に統合思念体によって隔離された世界にいざな
われているのだから。


       ――――― ズキン ―――――

           ???????

          あれ?何だ、どうした?

       ――――― ズキン ―――――

   まただ。頭の奥でズキンと痛みが走る。どうしたってんだ。

186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 21:08:55.86 ID:q9OpS2Vj0

      ――――― ズキン ズキン ―――――

          おい。何だ、この痛みは?

     ――――― ズキンズキンズキン ―――――

          ????????????

   ――――― ズキンズキンズキンズキンズキン ―――――

          くそっ、何だよ、これは?

     そう口に出そうとしても身体の主導権は貞子なもの。
     僕はただ、前を向いて歩く事以外の行動は出来ない。

187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 21:12:40.57 ID:q9OpS2Vj0

             貞子貞子貞子貞子。

      そんな感じに痛みに耐えながら僕は貞子に訴える。

      自分の意志で動く眼球だけをギョロギョロとさせて。

         瞬間、朝倉涼子の姿を見て、ハッとした。

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


         決して声にはならない声で、僕は叫んだ。

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 21:19:54.63 ID:q9OpS2Vj0

おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい
おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい
おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい
オカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイ
オカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイ
オカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイ
オカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイオカシイ
可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい
可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい
可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい
可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい
可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい


                ヲかシ過ぎル

    そうだそうだそうだ。間違えてる。何がって?朝比奈みくるの説明だ。
だってそうだろ?今回の事件の黒幕が情報統合思念体と未来人なら、何故朝倉涼子が死んで
いるんだ?何故僕に殺されなくちゃいけなかったんだ?

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 21:29:30.21 ID:q9OpS2Vj0

ちょっと待て。ちょっと待ってくれ。

先ず初めに僕がビデオテープを見た。そして機関の森さん、新川さんが見ている。
そして僕の身体の主導権は殺人鬼に奪われたんだ。

ここまでは朝比奈みくるの説明でも通る。

次に彼、彼の家族がビデオを見た。

これも佐々木さんを”彼”という餌で釣る為の犠牲だったと考えたら、大筋からは
ずれていない。


それから、それから先は?何があった?僕はどうしたんだった?

頭が上手く働かない。落ち着け。落ち着け。落ち着け!

良く思い出せ。僕は何故彼女を殺した?

191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 21:43:16.97 ID:q9OpS2Vj0

長門さんに連絡を入れたら、朝倉涼子が何故か派遣されてきて。
確か理由は……長門さんの代わりに今回の事件の手伝いをするとか何とか。

ああっあああああ。違う。そんなのは後でどうとでも説明が付く。
重要なのはその後。


問題は何故彼女を殺すに至ったかという………………あああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああ!?

       分からない。想い出せない。
何かそこら辺で大きな音がした所為か?記憶にノイズが掛かってる。


 音。大きな音。ノイズ。……違う、声だ。悲鳴が聞こえてきたんだ。


     …………そうだ!思い出した。悲鳴だ!!!


あの時、彼と僕と朝倉涼子の三人が顔合わせをして、今回の事件
に対する考えを僕が喋っていた最中に、コンピュータ研の部長の
悲鳴が聞こえてきたんだった!!!

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/18(日) 22:47:48.08 ID:q9OpS2Vj0

……うん、確か、コンピュータ研の部長氏が、部室棟で悲鳴を上げている
のを聞きつけた僕たちは、ビデオやDVD、もしくはそれに準ずるリングの
媒体品がないかを探した。

けれど、その時には特に目新しいものは無く、そのまま部室を後に。

その後、警察に潜り込んでいる機関の関係者の方に、部長氏が最後に見たと
されるページや、ログが残されているのを知ったんだ。


そして僕は朝倉涼子に、ログデータは警察庁のデータベースに保管されて
あるから、ファイアーウォールを破って解析を頼んだ。


……でも。

……でも朝倉涼子に解析を頼んだその日に、僕は彼女を殺した?

           ???????

長門さんの代わりに統合思念体から派遣されてきた存在である彼女が、僕の身体
を操っている山村貞子と『仲間』で在る筈の彼女が、何故、僕に、殺人鬼に、
山村貞子に殺されている?

200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 23:07:56.36 ID:q9OpS2Vj0

何処かヲカシイ。

狂っているとまでは、言わないけれど、何と表現すれば適切なのか不明だが、
ずれている。

そう、何かズレテル、ヅレテル。

上手く論点をはぐらかされたというか、敢えて答えていないような、そんな感覚。
綺麗に歯車が噛み合っていない、そんな感覚。

重大なモノを見落としている気がする。

こう、もっと単純な。もっとすぐに気が付きそうな事を。何でそんなもの見落とし
ているんだという、本当に根本的な問題。

答えは既に発言してしまった気がするのに……。分からない。

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/10/18(日) 23:25:39.87 ID:q9OpS2Vj0

と、不意に身体が宙に浮く感覚に襲われる。

あぁ、殺人鬼に身体を任せて、思考していたらいつの間にか僕の住んでいる
アパートまで到着していたのか。

ぎりぎり動かせる眼球で左右を見やる。……二人ともちゃんと着いてきている。
エレベーターの中にまで乗り合わせたという事は、恐らく僕の部屋まで入って
来る気なのか。

『涼宮ハルヒ隔離計画』の祝賀会でも開いて、僕を解放してくれるのならば、
願ったり叶ったりだが、どうなる事やら。


ゴウンゴウンと、普段あまり意識しないエレベーターの音が、今日はやけに
はっきりと聞こえた。

204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 23:43:57.14 ID:q9OpS2Vj0

………………
…………
……

吐き気のする様な腐臭の漂うエレベーターを出て、僕は自分の部屋に入る。
けれど、部屋に入って驚いた。

そこには、夥しい数の死体があった。

……中には、僕が殺した。……中には、良く見知った顔の、死体が。

森さん。新川さん。田丸兄弟。……機関の皆。

彼のクラスメートの国木田君。コンピュータ研の部長氏。

彼の妹、両親。

自称神候補である佐々木さんについて回る、未来人、宇宙人、超能力者。

彼、長門さん。

そして、一通り死体を見まわした所で、糸がプツンと切れたかのように
崩れ落ちる朝比奈みくると朝倉涼子。


……なんだ。朝比奈みくるも、死体だったのか。喋っていたから気が付かなかった。
成程、これで涼宮ハルヒ以外のSOS団メンバーも揃った訳だ。

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 23:54:03.56 ID:q9OpS2Vj0

死体が死体に積み重なって、全員の顔をきちんと確認は出来ていないけれど、
多分、今言った……今考えた人達であっている筈だ。

そんな感傷とも何とも言えない気持ちのまま、僕もその場に倒れこんでしまう。
僕の身体は、朝倉涼子の前に倒れこみ、顔と顔を見つめあわせる様な格好となった。


おいおい、まさか僕まで死体だって訳じゃないだろうな。

目の前で濁った瞳で見つめる彼女に、心の中で質問を投げかける。

……当然、彼女は答えてはくれないが。

208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 00:03:55.45 ID:gLkB/uW60

結局、今回の事件は何だったのだろう?

宇宙人と未来人による『涼宮ハルヒ隔離計画』?黒幕がこんなにバタバタ死んで
いっているのに、そんなのが果たして真実と、導き出された答えだと自信を持って
言えるのか?

……僕には無理だな。筋が通っている所もあるが、可笑しな点も多い。
テストで解答したら、60点が関の山ってとこ。

それで充分だと言う人も居るかもしれないが、僕はまだ納得できない。
何処かに完璧な解答は用意されていないのか。


あなたは、どう思う?朝倉さん。

僕は、また沈黙を守りぬく彼女に質問を投げかける。

210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 00:12:16.71 ID:gLkB/uW60

返ってこない返事に満足して、僕はマジマジと朝倉さんの顔を見る。
進化の可能性、その目で見れませんでしたねと心の中で嘯きながら。


              ん?

     あれ?今、僕は何を思った?何を考えた?

      …………あぁ、成程、そういう事か。
そういう考え方も、良いものだ。解答用紙にこういう解答を書けば
もっと良い点数が貰えるかも。

   独り、自分の導いた解答でちっぽけな自己満足感を満たす。

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 00:19:35.40 ID:gLkB/uW60

何も宇宙人と未来人による『涼宮ハルヒ隔離計画』の全てを否定
しなくとも、使えそうな部分だけ使って、後はそれを補えば良い。


宇宙人と未来人による『涼宮ハルヒ隔離計画』。これがあったと
認めよう。先ずは在ったと認めよう。

そして、『呪いのテープ』、これもその計画に従って造られたと考える。
問題はその後。

このテープは超能力者殲滅の為に宇宙人によって改良された僕達の
知っているモノと少し違うテープになっている。


……だとしたら。
……だとしたら、宇宙人も予想だにしない”進化”をこいつ自身が
勝手にしたとするならば。

212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 00:27:06.37 ID:gLkB/uW60

『涼宮ハルヒ隔離計画』の後に、”進化”した自分が処分されないように
反旗を翻したのだとしたら?


      どうですか、朝倉さん?この解答?


      僕は得意になった気分で彼女を見る。



          彼女は何も答えない。

   けれど、もし彼女が僕の解答に答えてくれるのなら

       「ごめんね古泉君。禁則事項なの」

と言う気がする。彼女ならきっとこう言うだろう。何故かは分からないけど

          そんな気がして、ならない。

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 00:29:15.69 ID:gLkB/uW60



             朝倉「禁則事項なの」

                 完

215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 00:35:44.28 ID:gLkB/uW60

終わりです。保守、支援有難うございました。

実はエンディングもう一つ用意してたんですが、スレタイが出てこないので
こっちにしました。

物足りないという方すみません

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 01:31:45.85 ID:gLkB/uW60

今回の話は禁則事項シリーズ(?)の元々番外編で書き始めたものでしたが、
いつの間にか本編と大差ないボリュームになっちゃいました

そして気が付いたのが、話が長すぎると過去の作品を知らないと今一意味が分からない。
作者も何処でどう書いたのか思い出せないという結果に。

初見で最後まで読んでくれた人は一体何人いるやら…


やっぱり長さは程々が一番
後、長編、パートスレ、シリーズ物はパー速でやるのが最適だな

222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 01:38:26.56 ID:gLkB/uW60

なんか今イチ分からなかった人は

古泉「禁則事項です」
佐々木「禁則事項だけどね?」

でググって貰うと、分かると思います。……多分

253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 20:29:07.52 ID:gLkB/uW60

折角なので別エンディングも載せとく


………………
…………
……

吐き気のする様な腐臭の漂うエレベーターを出て、僕は自分の部屋に入る。
けれど、部屋に入って驚いた。

そこには、夥しい数の死体があった。

……中には、僕が殺した。……中には、良く見知った顔の、死体が。

森さん。新川さん。田丸兄弟。……機関の皆。

彼のクラスメートの国木田君。コンピュータ研の部長氏。

彼の妹、両親。

自称神候補である佐々木さんについて回る、未来人、宇宙人、超能力者。

彼、長門さん。

そして、一通り死体を見まわした所で、糸がプツンと切れたかのように
崩れ落ちる朝比奈みくると朝倉涼子。


……なんだ。朝比奈みくるも、死体だったのか。喋っていたから気が付かなかった。
成程、これで涼宮ハルヒ以外のSOS団メンバーも揃った訳だ。

254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 20:30:13.26 ID:gLkB/uW60

死体が死体に積み重なって、全員の顔をきちんと確認は出来ていないけれど、
多分、今言った……今考えた人達であっている筈だ。

そんな感傷とも何とも言えない気持ちのまま、僕もその場に倒れこんでしまう。
僕の身体は、朝倉涼子の前に倒れこみ、顔と顔を見つめあわせる様な格好となった。


おいおい、まさか僕まで死体だって訳じゃないだろうな。

目の前で濁った瞳で見つめる彼女に、心の中で質問を投げかける。

……当然、彼女は答えてはくれないが。

255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 20:31:15.81 ID:gLkB/uW60

僕と彼女はしばらく見つめ合う。
死体で満たされたこの部屋で。腐臭が漂うこの部屋で。
ただ見つめあった。


………………
…………
……


そうしている間に、どの位の時間が経ったのだろう?
気が付けば、意識はまどろんで、今にも眠ってしまいそうだ。

……もう、良いか。もう、楽になろう。

多分、ここで眼を閉じると、恐らく二度と目を開ける事は無い
と分かっている。そんな気がする。

でも、それも、それでも良いかなとは思う。

僕は、殺人鬼は、山村貞子は、人を殺し過ぎた。
僕だけ生き延びようなんて、虫の好過ぎる話だ。

だったら、ここで、この死体達に埋もれて死んで行くのも悪くない。
殺人鬼、山村貞子も、僕と一緒にあの世に連れていくのも、悪くない。

256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 20:32:34.88 ID:gLkB/uW60

そう決心して、意識を閉じようとしたのだが、背中に、ピシリと痛みが走る。

おいおい、ここまで来て僕の決心を鈍らせるなよ。それとも、まだ僕に何か
仕事でも用意してあるのかよ。

僕の思考を読み取ったのか、もう一度、大きくピシリと背中が痛む。


―――――そして、
               ズルリ

と、ナニかが、背中から、僕の中から出ていく。

              ??????

         何だ?僕の身体からナニが出てる?

257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 20:34:08.36 ID:gLkB/uW60

しかし、身動きの取れない身体では、どうにも確認する事が出来ない。
僕はただただじっと、眼の前の朝倉涼子を見るだけ。


        ヌルリ。ズニュリ。ズリュリ。ズルリ。

           ブリュブリュブリュブリュ
           ジュルジュルジュルジュル

        膨らんだ風船がしぼんでいくように感じた。

   やがて、皮だけになった僕を見降ろすかのように、影が出来る。

       あぁ、そうか。そうだった。そうだったな。

お前は、超能力者殲滅の為に宇宙人によって改良された、僕達の知っている”モノ”
と少し違う存在だった。

だったら、だったら。だとしたら。『涼宮ハルヒ隔離計画』の後に、”進化”した
自分が処分されないように反旗を翻したと言う事か。

258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 20:36:24.48 ID:gLkB/uW60

    もう山村貞子と呼ぶのも些か違うであろう”モノ”に僕は問う。

     お前はこれから、何をするんだろう?何処へ行くんだろう?


               「…………」

              影は返事をしない。

        ……まぁ良いさ。何処へなりとも行ってくれ。
        最早僕にはお前を止めれないし、何も出来ない。

       身体も動かなければ、身体があるのかすら分からない。

          そして、僕は今度こそ意識を落とす。
         声にならない声で精一杯の皮肉を込めて。


            ハッピーバースデイ、殺人鬼。

           影が笑ったような、そんな気がした。



                  了

259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 20:38:53.84 ID:gLkB/uW60

こちらも大して長くはないんだ。EDだけだから。

一日保守して貰った割にこれだけですまん

261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/10/19(月) 20:42:48.34 ID:gLkB/uW60

古泉「禁則事項です」 ←リング

佐々木「禁則事項だけどね?」 ←螺旋

朝倉「禁則事項なの」 ←バースデイ

みたいな感じです



ツイート

メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:青葉「俺、アイドルになろうと思う」マヤ「は?」