キョン「うんこがしたい」


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トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:キョン「何で誰も俺の事覚えてないんだ・・・」

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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:07:55.22 ID:5Y7zgUDkO

あと、三秒――…

二秒―――……

時計の短針と長針が重なった

キョン「…来た」

体が小さく、小刻みに震えた

体の奥底からはち切れんばかりの衝動が沸き上がった

ついに、休み時間になったんだ

これで、トイレに行ける。トイレに行けるんだ……

キョン「ついに、来たんだ…!!」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:08:52.47 ID:5Y7zgUDkO

素晴らしい、まるで世界が俺に微笑んでいるようだ

誰も止められない、加速したスピードは変えられない

気付かぬ内に、右手で拳を作っていた

勢いよく立ち上がりながら拳を突き上げ、俺は叫んだ―――…

キョン「STAND UP TO THE VICTORY!!!!!!!!!」

そして、俺は殴られた

授業終わっても叫んだら駄目だねコリャ

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:09:43.13 ID:5Y7zgUDkO

男子トイレの、個室

俺はその前で立ち尽くしていた

キョン「ぐぅ……迂闊に近寄れない……」

臆病者なら、失禁してしまうかもしれない

うんこをしている事がバレるのは死刑宣告と同じだ

キョン「ここまでとは、思ってなかった……」

正直、俺は男子トイレの個室を甘く見ていた

トイレに入る前に崩れ落ちるなど、誰が予想できただろうか

キョン「くそっ、このままじゃ漏らしちまう……ッ!」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:11:43.54 ID:5Y7zgUDkO

キョン「仕方ない、諦めて保健室のトイレへ……」

――待て…今、俺は何を考えた?

諦める?諦めるだって?

さっきの感動を、もう忘れてしまったのか!?

否ッ!俺は忘れてなどいないッ!

俺の心はッ!まだッ!折れてなどいないッ!

俺はッ!!まだ倒れる訳にはいかないんだッッ!!!


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:12:39.44 ID:5Y7zgUDkO




キョン「STAND UP TO THE VICTORY!!!!!!!!!」





7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:13:58.39 ID:5Y7zgUDkO

キーンコーンカーンコーン

不覚ッ!あまりにも不覚……ッッ!!

チャイムが鳴ってしまった――…

それ、すなわち休み時間の終了

休み時間が、終わったのだ――…

キョン「そんな…バカな……ッ!!」

今にも漏れそうなうんこを堪えながら、その場を去った

戦場を去った戦士を責める者は、いない――…

キズ付いた足を休ませるくらいなら、たった一歩でも ここから進め……!!

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:16:23.77 ID:5Y7zgUDkO

休み時間、再び俺はトイレに訪れた

当然うんこをするのが目的だ

キョン「何もせずに帰ったらさっきの二の舞だ…」

自我を失っての絶叫

さっきは誰もいなかったから良かったものの、

あれを繰り返せば今度は見つかってしまうかもしれない

そんな事になったら「うんこマン」という不名誉なアダ名が付けられてしまう

ああ、なんて恐ろしい

そんな事になったら俺の人生は破滅だ

ならば、どうすれば……

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:17:23.79 ID:5Y7zgUDkO

キョン「…ん?」

古泉「…ぐぅっ」

足を止めた俺の視線の先には、トイレの個室の前で立ち尽くす男

――古泉だ

古泉の体は小さく震え、その両拳は固く握られている

間違いない、古泉はうんこを我慢しているんだ――…

早く助けないと、古泉がトイレに入ろうとしているのがバレてしまうッ!

古泉「くっ…早く……いかないと………ッ!」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:18:56.43 ID:5Y7zgUDkO

キョン「古泉、このままだと無駄死にするぞ」

古泉「!?な、なんであなたがここに…?」

キョン「それより、一度引くんだ」

古泉「っ…ですが……ッ!」

キョン「ここは俺達みたいな素人が簡単に入れる場所じゃないんだッ!!」

古泉「……分かりました…ッ」

〜〜〜

辛うじて退却した俺達は、精神的疲労の余りその場にへたり込んでしまった

キョン「危ないところだったな…」

古泉「……礼を言います」

本当に危なかった、まさに紙一重

あと数秒遅かったら古泉は精神崩壊を起こしていた事だろう

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:21:37.03 ID:5Y7zgUDkO

古泉「そういえば、なんでアナタがトイレに?」

キョン「多分…いや、間違いなく古泉と同じ理由だ」

古泉「…なるほど」

俺の言葉に古泉はニヤリと笑い、その手を差し出す

そうだ、俺達なら危機を、困難を越えられる

そして今回も、俺達なら……そう、俺達ならきっとやれるッ!!

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:22:30.88 ID:5Y7zgUDkO

キョン「我が名はキョン!」

古泉「我が名は古泉!」

キョン「我等ッ、一心同体阿吽の呼吸!」

古泉「今こそ叫ばん誓いの言葉ッ!!」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:23:13.61 ID:5Y7zgUDkO




キョン&古泉「「STAND UP TO THE VICTORY!!!!!!!!!」」



今ここに最強のコンビが結成した

ちなみに休み時間は終わった

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:24:41.77 ID:5Y7zgUDkO

休み時間、俺達は再び男子トイレに向かった

キョン「この調子ならもうすぐ行けるんじゃないか?」

古泉「ですね」

だが…その根拠のない自信はある男の登場により打ち砕かれた

谷口「〜♪」

ガチャ

ブババババババ

カラカラカラッ、ジャー……

ガチャリ

谷口「ふぅ…」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:25:45.79 ID:5Y7zgUDkO

キョン「なっ……」

古泉「なん…だと…?」

俺達は戦慄した

あらゆる動作が、自然すぎる

キョン「ある筈がない……」

古泉「ありえない…」

思わず腰が抜けそうになるが、そんな事は許されない

俺達は、あの化け物に弟子入りを決意した

――うんこが漏れそうってレベルじゃないが、それしかなかった

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:28:50.71 ID:5Y7zgUDkO

古泉は人目に憚らず涙を流していた

古泉「…人って、あの領域まで辿り着けるんですね」

キョン「あァ、そうだな…」

俺は増長していたのではないだろうか

努力し、高みを目指す事を忘れてはいなかっただろうか

キョン「古泉、谷口に弟子入りするぞ!!」

古泉「はい!」

心は折れてなどいなかった

俺達ならもっと上を目指せる

二人なら、二人だから越えていける……

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:29:59.70 ID:5Y7zgUDkO

キョン「谷口ッ!!」

谷口「おう、何だキョン」

古泉「弟子にしてくださいッ!!」

――恥などない、今の俺達にあるのは、覚悟

それだけだ

谷口「……お前らに、覚悟はあるのか?」

キョン「ある……ッ!いくぞ、古泉!!」

古泉「はい!!」

キョン&古泉「「STAND UP TO THE VICTORY!!!!!!!!!!」」

谷口「…覚悟は本物か、いいぜ、弟子にしてやるよ」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:31:04.54 ID:5Y7zgUDkO

師曰く、トイレの個室に入るのは非常に恥ずかしいものだ

クラスメイトに見られたら失禁してしまうだろう

だが、それらは全て心の問題なのだ

谷口「恥は捨てろ、それが一番手っ取り早い」

キョン「…」

古泉「……」

言葉一つでない、まさに絶句。そうとしか言いようが無い

恥を捨てるなんて……

谷口「まぁ、無理だろうな。だから最初に教えるのは恥の軽減方法だ」

キョン「それを先に言ってくれよ…」

古泉「心臓が止まるかと思いましたよ……」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:32:20.16 ID:5Y7zgUDkO

谷口「まずはいかに自然にトイレに行くか、だな」

――唐突な沈黙

その沈黙は重く、たった何秒間かの時間が、

まるで数時間のように長く感じられる

…そして、師匠が小さく溜息を吐いた後、ようやく次の句が紡がれた

谷口「授業中に、『ションベン行ってくる』と言え」

……静寂、混乱、恐怖

師匠の言葉に、危うく失禁するところだった――…

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:33:09.49 ID:5Y7zgUDkO

何を言っているんだ、正気かこの人は

授業中に『ションベン行ってきます』だと?

そんなのピュアボーイの俺には不可能だ

冗談は止してくれ、そんなふざけた事を言わないでくれ

キョン「そんな事……」

出来る訳が無い、怒りに任せてそう言おうとした時………

谷口「出来るんだよッ!!」

――俺は鋭い眼光に射抜かれた

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:37:43.96 ID:5Y7zgUDkO

何たる威圧感、何たるプレッシャー

何たる本気を出したっぽい雰囲気

思わず失禁してしまいそうだ

これが、師匠の本気状態なのか……

谷口「確かに小便に行きますなんて言うのは恥ずかしいッ!だがなッッ!!」

キョン「ゴクッ……」

古泉「ペロッ……」

谷口「人にうんこに行く事を意識させない事が大切なんだよオォォォオ!!!!!」

キョン「なんとおぉぉぉぉぉぉお!!!!!!!!」

古泉「ヌァンダットゥエー!!!!!!!!!」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:39:17.40 ID:5Y7zgUDkO

師匠は、人の意識…そんなものまでも操作しろと言っているのだ

確かに一流のマジシャンは、人の意識を誘導し、観客を魅了する

けど、ただの高校生である俺達に出来るのか?

出来る、出来るのだ!

師匠は、俺達にも出来るからそう言っている

そう、不可能ではないッ!!

マジシャンのように、観客全てを騙す必要はない!

騙すべきは、クラスメイトただ一つ!!

ならばやれないことはないッ!!

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:40:31.43 ID:5Y7zgUDkO




キョン&古泉&谷口「「「STAND UP TO THE VICTORY!!!!!!!!!」」」





32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:42:50.21 ID:5Y7zgUDkO

〜〜〜

そして、三十分後、

谷口「ツマリ、オトヲタテズニ、ドアヲヒラクコトガ…」

そこには窶れた師匠がいた

きっと本気状態で体力を使い果たしたのだろう

まぁ、そんな事を考えている俺も…

キョン「ナル…ホド……」

塩かけたられたらロストしそうなカンジになっていたのだが



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:44:38.68 ID:5Y7zgUDkO

谷口「それじゃあ最後に、俺の過去を語ろう」

―――――……

アレは、つい最近の事だったかな…

谷口「う〜もれるもれる」

あの瞬間の俺は、無知な子供だった

だから、気付かなかったんだ

足音を。

床の軋む音を。

トイレのドアを誰かに開かれた事を

隙間から俺を見つめる誰かの視線を。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:47:42.82 ID:5Y7zgUDkO

カチャカチャ

谷口「ふんっ!」ブリブリブリブリ

俺が盛大に、うんこをしていた時だ――…

――ジャーン!ジャーン!

唐突にドラの音が、トイレに響き渡った

谷口「え…ちょ……まさか…」

視線の先には、アイツがいた

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:48:30.13 ID:5Y7zgUDkO




国木田「でwwwwらwwwwべっwwwwぴwwwwwwwんwwwwwwww」



谷口「げえっ!国木田!!」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:49:31.65 ID:5Y7zgUDkO

〜〜〜

谷口「とまぁ、こんな事があった訳だ」

キョン「うわぁ…」

古泉「それはそれは……」

谷口「まぁ、うんこをする時は周囲に気を配れ。じゃないと死ぬぞ」

キョン「把握」

師匠はやはり、修羅場を潜った人だった

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:51:18.85 ID:5Y7zgUDkO

谷口「それじゃ、そろそろ行くか」

キョン「行くって…何処にだ?」

谷口「トイレだよトイレ、そろそろ実戦しないとな」

古泉「ついに、あそこへ……」

あそこへと再び向かう時が遂に来たのか

栄光を夢見、挫折を体験した場所

そんな場所に再び行くのだ。何らかの感情が沸かない訳が無い

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:53:43.68 ID:5Y7zgUDkO

キョン「やべっ、ちょっと震えてきた」

古泉「僕もです」

谷口「……恐いか?」

その言葉は否定できない

この胸の内に、確かに恐怖は存在する

だが、この震えは恐怖によるものと何かが違う

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:55:10.42 ID:5Y7zgUDkO

俺の魂が、否と叫ぶ

心が、精神が、体が…全身全霊が燃えるように熱い

もう、自分という存在を制御出来そうになかった

キョン「めっちゃテンション上がってきたwwwwwwwwwwww」

古泉「ぼwwwwくwwwwもwwwwwww」

キョン「じゃあいつものやるかwwwwwwwwww」

古泉「おkwwwwwwwwwwwwwwwwww」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:56:03.09 ID:5Y7zgUDkO

キョン「STAND UPwwwwwww」

古泉「STAND UPwwwwwwwwwwwwww」

キョン「STAND UP!」

古泉「STAND UP!!」

キョン&古泉「「STAND UP!!」」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 19:57:35.31 ID:5Y7zgUDkO

キョン「STAND UP」

古泉「TO THE」



キョン&古泉「「VICTORY!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」





46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:01:32.56 ID:5Y7zgUDkO

古泉「……」

トイレという空間自体の状況を探り、隙を見出す

五感――そして第六感とよばれる感覚すらフル移動させての知覚

古泉「ぐぅ……!」

限界以上に思考速度を向上させる

脳の神経が焼き切れかねない速度での情報処理、統合

古泉「――今だ」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:02:56.44 ID:5Y7zgUDkO

口内での呟きと共に、その眼が鋭く輝き……

古泉が、動いた

古泉「………」スッ

――刹那、瞬きをする間も無く、トイレのドアが開かれた

音も無く、気配も無い、古泉は、己の存在を完全に消したのだ

キョン「――ッ!」

そして、古泉は―――…

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:05:43.31 ID:5Y7zgUDkO

ジャー-----…

ガチャ

ギィ……バタン

――トイレから、出て来た

その歩み、無人の荒野を行くかの如く

カツカツ

古泉「さぁ、次はアナタの番です」

これは伝説の幕開け

トイレを歩む者の伝説が、今この瞬間始まったのだ

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:07:01.28 ID:5Y7zgUDkO

古泉「見せてもらいます アナタのクオリティ」

キョン「……ああ」

次は、俺の番だ

〜〜〜

キョン「…ぐぅ」

足が、動かない

重い、そして灼熱を感じる

それは拒絶

体ではない、心がトイレを拒絶しているのだ

心がそれの危険さを知っているが故に、拒絶し、重さと熱を感じさせている

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:08:08.95 ID:5Y7zgUDkO

キョン「この……程度ッ!」

それでも耐え、歩く

全身全霊を以って、己の限りを尽くして

道を切り開かねばならないのだ

しかし、現実は非情な物だった―…

ハルヒ「あら、キョン」

俺の視線が捕らえたのは、涼宮ハルヒ

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:11:45.82 ID:5Y7zgUDkO

それは人鬼

それは悪夢

それは最強

キョン「あ……ぐ……」

嫌だ、恐い、怖い、やめてくれ

このままへたり込みたい。逃げ出したい

本当に、勘弁してくれ

ハルヒ「……?」

頭で分かっていても、体は動こうとはしていない

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:14:01.21 ID:5Y7zgUDkO

キョン「ハァッ……ハァッ……」

痛いくらいに鼓動を早める心臓

自然と荒くなる呼吸

ハルヒ「ちょっと、どうしたのよ?」

この状況を切り抜ける方法は、一つしかない

だが、今の俺が出せる速度では到底足りない、もっと速く

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:15:56.77 ID:5Y7zgUDkO

人類史上最速の人間よりも速く

草原を駆ける四足獣よりも速く

天駆ける鳥よりも疾く

肉を持つ存在の限界を超えなければ到底届きはしない

ならば、アレをやるしかない

かのヒーローが巨悪との死闘の中で閃いた最終奥義

己の身を火の鳥と化し、回避不能な速度で突貫するあの技

それしかない

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:18:13.32 ID:5Y7zgUDkO

だが、ヒーローですらアレを繰り出す為には変身し、

身体能力を向上させなければならなかった

それを、生身で出来るのか?

それを、生身で耐え切れるのか?

――やれるッ!

――何も問題は無いッ!

―――片手、片目、!それさえ残っていればッ!!

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:19:17.30 ID:5Y7zgUDkO

そっと瞼を閉じる

全身の筋肉を限界まで引き絞る

もっとだ、もっと引き絞り、張り詰めろ我が肉体よ

人の限界を越えなければ神速の極みに到達する事など出来はしない

キョン「……おおおぉ……」

心よ尖れ、釖の如く

刃の切っ先の如く

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:22:04.84 ID:5Y7zgUDkO

万物を打ち貫く螺旋の如く

そうでなければ耐えられなどしない

俺は全てに耐え、全てを乗り越えなければならない

キョン「お…おおお……」

必要なのは自分という存在を知覚する事の出来ない速度

百という距離を十に

その十を壱に

壱を限りなく零に近い存在に縮める、速度

キョン「おおおおおぉ―――――」

それは刹那の領域に近づく行為

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:23:16.63 ID:5Y7zgUDkO

キョン「おおおおおおおおおおぉ――――――――ッ!!」

俺が纏うは真紅の炎ではなく、蒼色の輝き

今この瞬間から、トイレという暗黒を切り裂く閃光となろう

――ひゅん

音がした瞬間、俺の姿はそこには無かった

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:24:40.08 ID:5Y7zgUDkO




キョン「 光 の 翼 ァ ――――――!!!!!!!!!」





59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:26:00.14 ID:5Y7zgUDkO




誰も、その姿を捉らえる事など出来なかった



誰も、その存在に気付く事など出来なかった



彼はその瞬間、光と一体になっていたのだ





60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:27:47.41 ID:5Y7zgUDkO

トイレにて、窓から差し入る光を浴びながらの正座

この状況に置いて尚、俺の心は驚く程冷静だった

途端、衝撃と共に放たれるは便

早すぎるのう

悔しいのう

キョン「……ふむ」

俺は尻を拭き、ズボンを上げ、トイレから出た

――トイレに入ってから排便を終えるまでに要した時間、

僅か0.2秒

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:28:58.33 ID:5Y7zgUDkO

戦うしかないじゃないか

平穏も安泰も何もかもを捨てて、前へ

――前へ

キョン「……STAND UP TO THE VICTORY!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

拳を上げながら勝利の絶叫

勝ったのだ、俺は

己に、全てに、世界に――!

ちなみに叫んだから周りに人が集まってしまった

次の日から俺は不登校になってしまった

〜fin〜

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/11(土) 20:30:57.32 ID:5Y7zgUDkO

終わりです



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