キョン「電撃文庫か……」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 00:05:06.17 ID:M7LFJlIVO

キョン「買ってみたが、なかなか面白いな」

キョン「…………」

キョン「………」

キョン「…ぐぅ」


バシーン

キョン「あいたっ!」

大河「起きなさいバカキョン。当たってるわよ」

キョン「あ、あぁ……」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 00:09:18.30 ID:M7LFJlIVO

キョン「いきなり頭を叩くな。それだから手乗りタイガーと言われるんだぞ」

大河「うるさいわね。起こしてやったんだから感謝しなさいよ」

キョン「へいへい……ふーっ、やっと昼休みか。大河は弁当か?」

大河「……?」

キョン「どうした?」

大河「な、なんでもない。いくらお腹が減ってても、お弁当はあげないわよ」

キョン「分かってるさ。……パンでも買ってくるかな」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 00:14:13.50 ID:M7LFJlIVO

キョン「……とは言ったものの、あまり金はないな。」

俺は財布を確認しながら階段を降りていく。

???「やっぱり微妙。パン屋さんで買いだめしとくべきだった」

その横を、小さい女生徒が通り過ぎていった。

キョン「えらく買ってたな、あいつ……」

キョン「ともあれ、一つぐらいは買えるな。今日はパンとジュースで済ますとしよう。すいませーん」

ホライゾン「いらっしゃいませ」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 00:18:49.44 ID:M7LFJlIVO

キョン「……誰だ、あんた?」

ホライゾン「Jud.新しいパンの売り子です。どうぞ、ごひいきに」

キョン「…………」

ホライゾン「いかがなさいましたか?」

キョン「あ、いや。何でもない。メロンパンをひとつ下さい」

ホライゾン「それでしたら先ほど、長髪で小柄の女生徒が全て買っていかれましたが」

キョン「……物好きがいるもんだな」

ホライゾン「パンメロンならございますが」

キョン「ならそれ下さい」


大河「……何よ、その変なメロン」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 00:21:42.20 ID:M7LFJlIVO

キョン「なんでも中にパンが入ってるらしい」

大河「物好きがいたもんね……」


キョン「ふーっ、やっと放課後か」

キョン「…………あれ?」

キョン「なぁ大河」

大河「何よ」

キョン「俺は放課後、何をしていたか知ってるか?」

大河「あんたの放課後の素行なんて知らないわよ、そんな事より北村くんを知らない?」

キョン「……北村?」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 00:24:30.62 ID:M7LFJlIVO

キョン「…………」

大河「ち、ちょっとキョン?」

キョン「あ、あぁ。北村な。生徒会室にでもいるんじゃないか?」

大河「いきなり黙ったりして、びっくりするじゃない。バカキョン」

キョン「すまんすまん」

大河「……ねぇ、キョン」

キョン「なんだ?」

大河「……なんであたし、お弁当なんて持ってるんだろ?」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 00:28:06.16 ID:M7LFJlIVO

キョン「それはまぁ弁当を作ったんなら、持ってるだろうさ」

大河「誰が作ったのよ?」

キョン「そんな事まで知るわけないだろ?お前のお母さん、もしくはお父さんかもな」

大河「…………」

キョン「大河?」

大河「うるさいバカキョン、疲れたからもう帰る」

そう言って、大河は不機嫌そうに教室を出て行った。

キョン「何なんだ……あいつ」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 00:33:57.36 ID:M7LFJlIVO

放課後、俺は何をするでもなく旧館に足をのばさていた。
何のことはない、ただの気まぐれだ。……ただ。

キョン「……北村?」

なぜか北村という男の事が頭から離れない。生徒会室にいそうな男、という認識はあるのだが、顔も思い出せない。ただボヤーっとその男のイメージだけが浮かぶ。

キョン「……なんでこんなに引っかかるんだ?」

キョン「顔も知らない男のことが」

キョン(……ひょっとして俺はホモだったのか?)

キョン「まさかな、古泉じゃあるまいし」


キョン「…………古泉って誰だ?」

その時、目の前の教室が爆発した。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 00:40:41.84 ID:M7LFJlIVO

キョン「なんだ!?」

目の前の教室は、確か理科室だったはず。

キョン(薬品か何かが間違って混ざったりしたのか!?)

黒煙の中から転がってきたのは学生の男だった。ツンツンした頭から焦げ臭いニオイがただよう。

キョン「おい、大丈夫か!?」

体を揺らすも、反応はない。

キョン「おい!おいって!」

キョン(どうすりゃいい!?っていうか何で爆発した!?ひょっとしてまたあの馬鹿や――)

キョン「…………ぁ?」

モゾモゾと、そのツンツン頭は動き出した。

上条「うぅ……不幸だ」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 00:47:22.70 ID:M7LFJlIVO

キョン「あ……」

上条「ん?」

キョン「……」

上条「……」

キョン「あ、いや。大丈夫か上条?」

上条「いや見ての通り黒こげなんだが」

キョン「あ、あぁ。何ていうか、大変だな」

上条「くそ……先生もこうなると分かって俺に担当回しやがったな」

キョン「どうするんだ?これ」

上条「……はぁ、片づけるしかないよなぁ。やっぱ」

キョン「俺も手伝うから、さっさと終わらせて帰ろうぜ、上条」

上条「そうだな、キョン」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 00:58:16.05 ID:M7LFJlIVO

また上条の不幸が何かするかもとヒヤヒヤしつつ、俺たちは掃除を終わらせた。
帰路の最中、

キョン「なんで理科室にいたんだ?」

上条「大した用事じゃねーんだけどよ、何か授業の片付けを誰がするか、くじ引きになってさ」

キョン「あぁ、なるほどな」

そこまでくれば理解できる。こいつはそういう奴(らしい)だ。

キョン「……ん?」

上条「どした?……あー、アレか。テストで憂鬱なんか。キョンも」

キョン「あぁ、そういやテストが近かったな」

上条「普通科はまだ良いだろー。俺達なんか筆記に実技まであるんだぜ?」

キョン「大変だな、特殊科は。レベルテストとかあるんだろ?」

キョン(特殊科?)

上条「筆記は必ず、なぜか名前が無かったり答えが全部ズレてたりするし、実技なんかは考えたくもねー」

キョン「レベルいくつだっけ、お前」

上条「……知ってて聞いてるだろ?」

キョン「ははははは」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 01:03:40.55 ID:M7LFJlIVO

キョン「何でお前は特殊科にいるんだろうな?」

上条「さーな。っていうか、俺はこれでも立派な能力者なんだぜ?」

キョン「レベル0なのに?」

上条「う……」

キョン「ちなみに、どんな能力なんだ?」

上条「あー何ていうか、消しゴムみたいな感じだな」

キョン「ほう」

上条「それも上等な消しゴムだ。ボールペンはもちろんペンキや墨汁、何でもござれな消しゴムなんだぜ」

キョン「……消しゴムについて力説する男を見るのはお前が初めてだ」

上条「ま、待て!例えが悪かった!」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 01:09:40.25 ID:M7LFJlIVO

キョン「ははははは」

上条「あー、今日は厄日だ」

キョン「毎日だろ?」

上条「うるせーなー」

キョン「……なんで特殊科なんてものがあるんだろうな?」


上条「『末世』が来るからだろ?」

キョン「……末世?」

上条「いずれやって来るとかいう、世界の終わりだ。特殊科はそれを何とかするのを、子供のレベルから考えましょうっていう学科だ。」

キョン「はぁん」

上条「ま、用はヘンタイの集まりだけどな。末世なんて、俺はてんで信じちゃいねーし」

キョン「世界の終わりより明日のテストか」

上条「正確には来週な」 ぐちゃ

キョン「見事に踏んだな」

上条「うぅ……不幸だ」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 01:28:18.70 ID:M7LFJlIVO

翌日
キョン「よう、大河」

大河「おはようキョン、今日も相変わらずのバカ面ね」

キョン「お前の口からは毒以外でんのか」

俺たちは普段通りに授業をこなし、昼休みとなった。

キョン「俺は今日もパンだな」

大河「あたしはいつも通りお弁当よ……いつも通り?あれ?」

妙な大河はさておき、俺はパン売り場へと急いだ。

……なぜだろう、いつもは沢山の客がいるのに今日はスッカラカンだ。

キョン「すいませーん、メロンパンまだありますか?」

ホライゾン「…………」

売り子の女性の大きな瞳は俺のことをじっと見つめている。が、その視線は俺には向いていないようで、とてもうつろだ。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 01:34:13.70 ID:M7LFJlIVO

キョン「あ、あの……」

ホライゾン「…………」

キョン「えーと」

ホライゾン「繋がった」

キョン「え?」

ホライゾン「あなたに話がある」

キョン「は、はぁ」

ホライゾン「一つ目は違和感に気付くこと」

キョン「違和感?」

ホライゾン「二つ目はそれを他人に悟られないこと」

キョン「………はい?」

ホライゾン「……『見えてる?』」

キョン「――――!」

その時、俺の中で何かが繋がった。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 01:41:07.17 ID:M7LFJlIVO

キョン(いや、まだだ!まだ繋がっちゃいない!)

キョン「おい!それは一体どういう意味なんだ、なが」

ホライゾン「……あ」

キョン「と……。おい、長門!長門!?」

ホライゾン「Jud.率直に申しまして、ナガトというパンはございません。……何やら不具合があったようなので、緊急用のメンテナンス機能にうつります。その間パンの販売は出来ませんので、あしからず」

キョン「そんな……」

キョン(長門……俺はどうすりゃいい?)

上条「すんませーん。パン下さい」

ホライゾン「…………」

上条「不幸だ……」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 01:49:30.29 ID:M7LFJlIVO

上条「困ったな……今日の昼飯。あれ?キョンどうしたんだ、うずくまって」

キョン(長門……)

キョン(長門が誰だかまでは思い出せない。でも俺は長門を知ってる)

キョン「長門は、俺が知る中で一番頼りになる奴だ」

キョン「知ってるけど思い出せない、これが違和感、か……?」

上条「おい、キョン。大丈夫か?」

上条が俺の肩に手をかけた瞬間、大地が大きく、俺が今まで体験したことのないぐらいの、とても強い揺れを起こした。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 01:56:31.24 ID:M7LFJlIVO

キョン「なんだ……!?」

上条「お、俺じゃないぞ!?たぶん違う!きっと!」

キョン「くそっ!」

俺はとりあえずボーっとしたままの動かず、体制を崩しそうになったパン屋の売り子を抱えて、揺れが収まるのを待った。

上条「……おさまったか」

キョン「あぁ、しかし一体何が」

校内放送『せーの、生徒会だぎゃぁぁぁあ!!!……って俺しか言わねえのかよ!』

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 02:03:46.28 ID:M7LFJlIVO

キョン「なんだこの声は?」

上条「あー、こりゃウチの生徒会長さまだな」

キョン&上条「……生徒会長?」

校内放送『おいおい、みんな照れすぎだろ!あぁ!?ほん、だいに入れ……ああ!ほん、だinに入れ!おいおい、みんなしてセージュンをひゃうぅん!』

キョン「……なんなんだ?」

上条「生徒会長……?こいつが……?」

とても小さい余震がまだ感じられるなか、俺が抱えていた売り子が目を覚ました。

ホライゾン「危険」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 02:10:00.46 ID:M7LFJlIVO

校内放送『姉ちゃん姉ちゃん、俺思ったんだけど校内放送じゃ俺が裸だってことみんなに分かんなくねが!』

上条「ちょっとまて……そもそも、ここはどこだ?」

キョン「おい、目が覚めたのかアンタ!」

ホライゾン「もう手遅れ。強攻策にうつるしかない」

キョン「――っ!長門か!」

ホライゾン「もうこの体では通信できない。あなたが生き残るにはただ一つ」

校内放送『みんなに見せるっつうかさぁ、そもそも――――』

上条「なぁ、キョン」

長門「涼宮ハルヒを見つけて」

上条「お前、誰だ?」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 02:14:00.91 ID:M7LFJlIVO

キョン「……かみ、じょう?」

上条「誰だその女。いや、そもそもどこだここ」

キョン「落ち着け上条!」

大河「キョン!」

キョン「大河!どうした!?」

大河「どこにもいないの!北村くんも!ばかちーも!みのりんもっ……りゅう、じが―――竜児がいないの!!!」

キョン「落ち着け大河!」

長門「始まる」

キョン「何がだ!?」



長門「末世」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 02:20:06.72 ID:M7LFJlIVO

長門「もう一度だけ言う。涼宮ハルヒを探して」

キョン「あぁ分かってる!ハルヒを見つけて、こんな馬鹿なことすぐにやめさせる!長門、ハルヒはどこにいるんだ!?」

「…………」

キョン「おい、長門!?」

ホライゾン「…………あ」

キョン「ウソだろ……?」

キョン「上条!ここで一番見晴らしがいいのはどこだ!?」

上条「屋上……あれ?なんでだ、俺はこんな所知らないのに」

キョン「屋上だな!」

大河「竜児……りゅうじぃ……!」

キョン「大河……くそっ!」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 02:25:42.17 ID:M7LFJlIVO

屋上へ上がる、俺がそこで見たものは今までに見たことがない規模の、

キョン「神人、か……!」

神人たちの攻撃は体育館など学校施設だけでなく、山や市街にまで広がっている。ただそれがいつもと違うのは、

キョン「ここは閉鎖空間じゃないぞ、馬鹿ハルヒ!!!」

叫び、見つけた。校庭に1人うずくまっているその姿を。見知った、どこか懐かしいその背中に、

キョン「いま行くからな、馬鹿野郎……!」

そう言って、俺は屋上を飛び出した。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 02:33:12.59 ID:M7LFJlIVO

俺は走りながら考える。

キョン(くそっ、みんなは無事か?大河や上条、パンの売り子は?)

そこまで考えて一つ目の回答を得た。

キョン(……思えば、なんて希薄な人間関係だ。顔見知りなんて、この数人しかいやしなかった。おかしいだろ、こんなの)

キョン(なんで思い出さなかった、谷口や国木田、朝比奈さんや古泉、長門)

キョン「それから、恐らくはこの元凶!なんで気付かなかったんだ!」

階段を飛び越しながら校庭急ぐ、が。

キョン「……道が、無い」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 02:41:16.26 ID:M7LFJlIVO

神人の攻撃によって本来階段へと至る道がガレキで埋まっていた。
どうやら階段真横の教室が、何やら良い感じにぶっ壊れたらしい。カベや窓ガラスも吹き飛び、外からも丸見えの状態だ。

キョン(廊下も広い範囲でえぐられてる、階段も使えない……どうする?)

と、その時俺に大きな影が落とされる。

キョン「な、おい待て!今行くからのそのでっかい腕を引っ込めろ馬鹿ハルヒ――――!」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 02:48:07.80 ID:M7LFJlIVO

???「ハルヒ、ね。それがあそこにいる女の名前?」

神人の腕は振り下ろされなかった。いや、正しくは振り下ろした直後、ひとつの軌跡と爆炎によって切断されたのだ。

灼い少女の、大太刀によって。


シャナ「あんたがあの女の所に行けば、今起こっているコレも何とかなる……その解釈で合ってる?」

キョン「……恐らくな」

そう、と言って少女は大太刀を振るい、階段に積もっていたガレキを爆散させた。

シャナ「早く行って、デカいのは私が何とかする」

キョン「誰だか知らんが、ありがとうな!」

シャナ「メロンパンの恨み……!」

そう言って、彼女は飛翔した。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 02:55:13.75 ID:M7LFJlIVO

げた箱を通り過ぎる、神人たちの攻撃は全くやまない。

キョン「こういう時にいないんだよな古泉!」

爆音が響く、少女が神人たちを足止めしているのだ。

キョン「今回は大人バージョンも出ませんでしたね、朝比奈さん!」

うずくまったハルヒの背中まで、あと約100メートル。

キョン(戻ったら礼を言うからな、長門!)

そうして俺は、見えない壁に阻まれ、神人の攻撃によって叩きつけられた。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 03:01:53.24 ID:M7LFJlIVO

キョン「いっ、てぇ……!」

見ると、ハルヒの背中が遠い。どうやらまたゲタ箱付近まで吹き飛ばされたようだ。

キョン「畜生……!」

体が動かない。はって少しでも前を目指そうとするも、それは本当に微々たる前進だった。そして、

キョン「勘弁してくれ……」

神人の大きな影が、迫っていた。

ふと空を見上げる。炎の翼を持つ少女は沢山の神人に取り囲まれている。

キョン「くそ……!」

俺が動けないと分かった神人は、その大きな腕を振り下ろす――――!

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 03:09:59.56 ID:M7LFJlIVO

……ほとんど意識はもうろうとしていた。

「俺さ、あんまり頭よくねーから分からないんだけど」

ただ、ソイツの姿だけはハッキリと見える。

「とりあえず、友達が困ってたら助けるべきだと思うんだよ、俺」

神人と俺のあいだ、ヤツはそこに位置する形で、

「例えそれが知らないダチでも。だからよ」

右腕を振りかざし、

「お前が俺のダチの道を邪魔するって言うんなら――――」

そいつは、


「――――まずは、その幻想をぶち殺す!」



上条当麻が、そこにいた。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 03:16:55.17 ID:M7LFJlIVO

上条「行け、キョン!!!」

キョン「おう!」

例の『消しゴム』効果なのだろうか、上条の右腕と触れ合った神人は、一瞬にしてその姿を消していた。

キョン「上条、あの赤い子の所に行ってやってくれ!」

上条「でもお前!」

キョン「俺は大丈夫だ!」

上条「……分かった!」

全力で走った。体の痛みなど二の次だ。一刻も速く、

上条「キョン!」

キョン「なんだ!早く、」

上条「またな!」

キョン「…………あぁ!」

キョン(ハルヒ、今すぐ)
キョン「そこに行くからな!」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 03:32:42.73 ID:M7LFJlIVO

バシーン

キョン「あいたっ!」

ハルヒ「起きなさいキョン、あたってるわよ」

キョン「あ、あぁ……」

キョン(あれ……?)

その授業終了後、俺は部室へと向かった。

キョン「……全員いるな」

古泉「涼宮さん以外はいますね」

みくる「キョン君……大丈夫でしたか?」

キョン「説明をお願いしたいのたが、長門」

長門「座って」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 03:37:41.73 ID:M7LFJlIVO

キョン「まず、あの世界は何だ?」

長門「涼宮ハルヒが小説から作り出した世界」

キョン「小説?」

古泉「あなたが読んでいた本ですよ。文庫サイズの。涼宮さんにお貸ししたでしょう?」

キョン「……そういや貸した気がするが、つまりハルヒは小説に感化されてあの世界を作っちまったのか?」

古泉「若者は誰もが通る道ですよ」

キョン「…………。なんで俺はあの世界にいたんだ?」

古泉「それは僕の口からは、何とも」

キョン「なぜだ?」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 03:44:56.25 ID:M7LFJlIVO

古泉「長門さん」

長門「涼宮ハルヒは、あなたに小説の登場人物になるように希望した」

キョン「……つまり?」

古泉「まぁ、端的に言いますと」

みくる「悪者をやっつけて、お姫さまを救う。みたいな感じです」

古泉「涼宮さんがそう願ったのは良いんですが、また貴方がこちら側から消えてしまいまして」

キョン「そういう訳か……」

長門「やがて自身も自らが作った世界に閉じこもり始めた。しかしどちらの世界にいても貴方が見つからない。やがて彼女の世界は崩壊を始めた。涼宮ハルヒを中に残して」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 03:50:23.72 ID:M7LFJlIVO

古泉「それだけは避けねばなりませんでした」

キョン「おおむね分かったよ。要はハルヒのストレスであの世界は崩壊しちまって、俺もヤツと心中する所だったと」

長門「それだけではない。世界には許容量が存在する。違う世界の人々を、例えそれが創作であっても、同じ場所に存在させる場合、許容量に収まるようにしなければならない。許容量超過だと、まず世界が成り立たない」

キョン(登場人物が何人かいなかったのはそのためか……)

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 03:54:51.50 ID:M7LFJlIVO

キョン「長門、最後に聞きたい」

長門「何」

キョン「あの世界は無事か?」

長門「分からない」

キョン「……そうか」

長門「ただ」

キョン「ただ?」

長門「希望はある」

キョン「……そうだな」

みくる「ごめんなさい、キョン君。今回は私、なにも出来なくて」

キョン「大丈夫ですよ、朝比奈さん。っと、おい古泉」

古泉「何でしょう」

キョン「俺はどうやってハルヒを説得したんだ?」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/24(水) 03:59:26.07 ID:M7LFJlIVO

古泉「それは恐らく、前回と同じでしょう」

キョン「はぁ〜……」

キョン「よりによって、また」

ハルヒ「みんなお待たせー!」 ガチャ

キョン「ハルヒとキスしちまったのか……」




バシーン

キョン「あいたっ!」

大河「起きなさいバカキョン、あたってるわよ」

終わり



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