朝倉「あなたに毎日お弁当を作って涼宮ハルヒの出方を見るわ」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 20:04:27.81 ID:muETfULG0

朝倉「というわけで好きな食べ物を教えてもらえるかしら?」

キョン「鳥の唐揚だが……いやいや、そうじゃなくて!」

キョン「俺に弁当を作るってどういうことだよ!?」

朝倉「どういうことってそのままの意味よ。あなたにお弁当を作って涼宮ハルヒを観察するの」

朝倉「まっ、それは口実でほんとはキョンくんと仲良しになりたんだけどね…ボソッ」

キョン「えっ?なんだって?」

朝倉「ううん、なんでもないわ。そ、それよりも迷惑かしら?」

キョン「いや、べつに迷惑ってわけじゃないが…」

朝倉「なら決まりね。明日、唐揚が入ったお弁当を作ってくるから楽しみにしててね」

キョン「おっおい!朝倉!」

キョン「……帰っちまった。本当に弁当なんて作ってくるのか?」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 20:10:41.34 ID:muETfULG0

―次の日―

谷口「ふぅ〜ようやく昼飯の時間だぜ!」

国木田「谷口はこの時間になると俄然元気が出るよね」

谷口「当然だ!なんたって弁当タイムが俺の一番の楽しみだからな!」

キョン「それもどうかと思うがな」

谷口「そんなことより早く昼飯を食おうぜ!」

国木田「そうだね。…あれっ?キョン、お弁当は?」

キョン「ん、ああ、俺は購買で買ってく…」

朝倉「はい、キョンくん、これ」

キョン「朝倉?」

朝倉「昨日、約束したとおり唐揚入りのお弁当よ」

キョン「マジで作ってきたのか?」

朝倉「そうよ、昨日ちゃんと言ったじゃない。キョンくんのためにお弁当を作るって」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 20:22:14.45 ID:muETfULG0

朝倉「あれっなに、もしかして忘れてたの?」

キョン「いや、まさか本当に作ってくるとは思ってもみなかったから」

朝倉「もう、失礼しちゃうわね。はい、ちゃんと作ってきたから残さず食べてね!」

キョン「す、すまん…」

朝倉「それとね、もしよかったら…後で感想を聞かせてね」

キョン「ああ、分かったよ…」

谷口「おいっ!キョン!これはどういうことだよ!」

国木田「ほんとビックリしたよ。キョン、君と朝倉さんはそういう関係なのかい?」

キョン「そういう関係とは?」

国木田「だからお弁当を作ってもらう仲だってことだよ」

キョン「弁当を作ってもらう仲ってどんな関係だ?」

谷口「だから付き合ってるのかってことだよ!こんちくしょー!」

キョン「なっ!?」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 20:35:45.03 ID:muETfULG0

国木田「やっぱり朝倉さんと付き合ってるのかい?」

キョン「違う!断じて違うぞ!」

谷口「じゃあなんでお前は朝倉涼子に弁当を作ってもらってんだよ!」

キョン「そ、それは…(さてなんと説明したものか)」

谷口「あ〜ん?いつからだ?いつから付き合ってんだ?この薄情者!」

国木田「もうその辺にしてあげなよ谷口。それよりもキョン、朝倉さんのお弁当を早く食べてあげなよ」

国木田「きっとキョンに早くお弁当の感想を言ってもらいたいはずだよ」

キョン「そ、そうだな…食べてみるか」パカッ

キョン「こ、これは!?」

谷口「おいおい、なんだよ、これ!すげー美味そうじゃねーか!」

国木田「ほんとだ、すごい美味しそうだね」





27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 20:47:47.24 ID:muETfULG0

キョン「俺の大好物の唐揚はもちろん。他にも卵焼きにポテトサラダ…」

国木田「へぇ〜それにきんぴらごぼうまで入ってるじゃないか」

谷口「ちくしょー!俺もうさぎの形したリンゴ食いてぇぇぇ!!」

キョン「こんな手の込んだ物を作ってくるなんて…なんだか悪いな」

国木田「ふふっ、そう思うんだったら早く食べてあげなよ」

キョン「そうだな。じゃあまずは俺の大好物の唐揚から……パクッ」

キョン「……モグモゴ……」

国木田「どうなのさ?」

谷口「けっ、どうせ美味いんだろ!」

キョン「唐揚にレモン汁がかかってた…」


国木田・谷口「………」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 21:00:00.32 ID:muETfULG0

キョン「んっ?どうしたんだ?」

国木田「どう思う、谷口?」

谷口「ないな」

国木田「ないね」

キョン「やっぱりお前らもそう思うか。唐揚にレモン汁はないよな」

国木田「違うよキョン。僕たちがありえないって言ってるのは君に対してだよ」

キョン「えっ?おれっ?」

谷口「当たり前だ!おまえ、どこの世界に彼女に弁当作ってもらってそんな言い草ができるんだよ!」

キョン「だから朝倉は彼女じゃないと――」

国木田「それはこの際どうでもいいんだよ、キョン」

国木田「僕たちが怒ってるのは、君のために一生懸命作ってくれた朝倉さんの料理をけなしたことなんだ」

国木田「キョン、君は自分でお弁当を作ったことあるかい?」

キョン「いや、一度もない」



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 21:11:17.39 ID:muETfULG0

谷口「ふっ、やっぱりな」

キョン「なんだよ、そういう谷口は自分で弁当作ったことあるのか?」

谷口「いや、俺もない」

国木田「…悪いけど谷口、君は少し黙っててもらえないかな?」

谷口「すいませんでした…」

国木田「えっと、話を戻すけども…お弁当を作るってことは大変なことなんだよ、キョン」

国木田「分かるだろ?前日のうちに買物をして、次の朝には早起きして学校に行くまでに作らなきゃいけないんだ」

キョン「そうだな…」

国木田「それに朝倉さんは君の分も作ってるわけだから、いつもよりも手間がかかることになるね」

キョン「!!」

国木田「しかも女の子は僕たち男子と違って朝の身支度にもたくさん時間を割くんだよ」

国木田「朝倉さんはそういう時間を削ってまで君のためにお弁当を作ってるわけだ」

国木田「キョン、これがどういうことか分かるかい?」

キョン「………」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 21:24:45.41 ID:muETfULG0

谷口「つまり朝倉はこのバカの喜ぶ顔を見たいから苦労を厭わず作るってわけか」

国木田「うん、そういうことだね」

キョン「そうか、俺はじゃあ無神経なことを言っちまったんだな…」

国木田「やれやれ、君は谷口でも分かる事をようやく理解したようだね」

谷口「国木田、お前さらっと俺をバカにしただろ?」

国木田「と、兎も角、朝倉さんにちゃんとお弁当を作ってくれたことを感謝するんだよ」

キョン「ああ、俺が間違ってたよ……こんなに美味いのにな」

国木田「ふふっ、それをぜひ朝倉さんに言ってあげるべきだね」

谷口「けっ、なんだって朝倉はこんな鈍感バカがいいんだが…」

キョン「悪かったな!鈍感バカで!」

谷口「悪いと思うならその唐揚一つ寄こせよ」

キョン「だが断わる」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 21:37:21.35 ID:muETfULG0

キョン「ふぅ…ごちそうさま」

朝倉「あらっ?どうやら残さずきれいに食べてくれたみたいね」ヒョイッ

キョン「わっ!あ、朝倉か…いきなり後ろから覗き込むなよ」

朝倉「ごめんね。私が作ったお弁当美味しかったかどうか気になっちゃって」

キョン「そ、そのことなんだがな…朝倉、お前の作った弁当とてもお――」

国木田「ニヤニヤ」

谷口「ニヤニヤ」

キョン「おっ……」

朝倉「どうしたの?キョンくん?」

キョン「すまん、ちょっと来てくれ」

朝倉「キョンくん!?どこに連れて行くのよ!」


谷口「キョンの奴、顔が真っ赤だったな」ニヤニヤ

国木田「僕たちのことは気にしなくてもいいのね」ニヤニヤ

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 21:54:15.88 ID:muETfULG0

―屋上―

朝倉「ねぇキョンくん、どうして屋上なんかに連れてきたの?」

キョン「いや、なんとなく人に聞かれたくなかったというか…」

朝倉「えっ!?(そ、それってもしかしてこここっ告白!?)」

キョン「(ってか俺はなんで屋上なんかに…別に人がいなきゃどこだって良かったのに)」

キョン「(この状況だとまるで俺が朝倉に告白するみたいじゃないか…告白!?)」

キョン「(な、なんだって俺はこんなに動揺してんだよ!)」ドキドキ

朝倉「(まさか告白のわけないわよね。そんなのいきなりすぎるもん…で、でも)」ドキドキ

キョン「……チラッ」

朝倉「……(ど、どうしよう!キョンくんと目が合っちゃった…恥かしいよ…)」

キョン「(あぁぁっ!なんだってこいつこんな可愛い顔してやがんだよ)」

キョン「(これじゃあマジで告白する雰囲気じゃないか。お、落ち着け…落ち着くんだ)」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 22:11:05.06 ID:muETfULG0

キョン「あ、あのさ…朝倉」

朝倉「は、はい…」

キョン「お前の作った弁当、すごい美味かったぞ」

朝倉「キョンくん、ありがとう…」

キョン「信じてもらないかもしれないが、あんな美味い弁当を食べたのは初めてだ」

朝倉「そう言ってもらえるとすごいうれしいわ。…キョンくんの大好物の唐揚はどうだった?」

キョン「ああ、それなんだがな、じつは俺、唐揚にレモン汁って苦手なんだ」

朝倉「そうだったの!?ご、ごめんなさい。私、レモンをかけるとアクセントになると思って…」

キョン「いや、朝倉の作る料理が美味いから、俺レモンがかかってる唐揚が好きになったよ」

キョン「これも朝倉のおかげだ。サンキューな」

朝倉「キョンくん…」







99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 22:25:20.77 ID:muETfULG0

朝倉「えへへ、なんだか褒められてやる気が湧いてきたわ」

朝倉「よーし!明日もはりきって美味しいお弁当を作ってきてあげるわね!」

キョン「そのことなんだがな、朝倉。…もう俺のために弁当を作ってこなくてもいいぞ」

朝倉「えっ…?ど、どうして…やっぱり迷惑だった!?それとも本当は美味しくなかったの!?」

キョン「いや、俺は全然迷惑じゃないし、お前の弁当は美味しかったさ」

朝倉「じゃあどうして作ってこなくていいとか言うの?」

キョン「弁当を作るのって大変なんだろ?毎朝、二人分の弁当を準備させるなんてお前にとって苦痛だろ」

朝倉「大変でも苦痛でもないわ。私はキョンくんの分を勝手に作ってるだけだし…全然そんな」

キョン「でも毎日はさすがにな…」

朝倉「そんなことないわ。私はね、キョンくんが私の作るお弁当を食べて喜んでくれたらそれで満足なの」

朝倉「あなたに美味しいって言ってもらえたら、私はそれでもう十分なの」

キョン「朝倉…」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 22:35:17.59 ID:muETfULG0

朝倉「でもキョンくんが私のことを気にかけて美味しく食べてもらえないなら…もう作らないことにするね」

キョン「朝倉…?」

朝倉「えへへ…だってせっかく食べてもらうなら心から喜んで食べてもらいたいし」

朝倉「だから…ごめんね…グスン…もう、お弁当作らないわ…」

キョン「………」

朝倉「今日だけでもあなたに喜んでもらえて良かったわ。ありがとう、キョンくん」

キョン「ハンバーグ!」

朝倉「えっ?」

キョン「ハンバーグも大好物だ……あ、明日はそれで頼む」

朝倉「いいの…?明日もまたキョンくんにお弁当を作ってきてもいいの?」

キョン「ああ、朝倉の作るハンバーグを是非とも食べたいんだ。お願いできるか?」

朝倉「うん!」

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 22:50:11.46 ID:muETfULG0

キョン「そうか、じゃあ明日まで朝倉のハンバーグを心待ちにしてるか」

朝倉「あっ」

キョン「どうしたんだ?」

朝倉「ううん、ひき肉を切らしてたから帰りにお買物しなきゃと思って」

キョン「俺が無理な注文をしたばかりに余計な面倒をかけることになってしまったな…」

朝倉「面倒だなんてそんな…ちょうど近所のスーパーで安売りをしているから逆に良かったわ」

キョン「……なんだったら買物に付き合ってやるぞ」

朝倉「えっ?」

キョン「いや、弁当を作ってもらうわけだし…せめて荷物持ちくらいはやらせてくれよ」

朝倉「(まさかのキョンくんと一緒にお買物〜!どうしよう!)」

朝倉「……でもキョンくんSOS団があるんじゃないの?」

キョン「しまった!そうだった…うっかり失念してたぜ」

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 23:02:03.19 ID:muETfULG0

キョン「くそっ…結局、俺は朝倉のために何もしてやれないわけか…」

朝倉「いいのよ。その気持ちだけでももらっておくわ」

キョン「すまん」

朝倉「それともSOS団が終わるまで待っててあげようか?」

キョン「えっ?それこそ面倒じゃないか?その間、お前はどう時間を潰すつもりだよ」

朝倉「あらっ私なら図書室で有意義に勉強でもしてるわよ。せっかくだから一緒にお買物しましょう?」

キョン「ほんとにそれでいいのか?」

朝倉「ええ、SOS団が終わったらすぐに向かいに来てね」

キョン「分かった。なるべく早く終わらせるようにする。そして一緒に買物しよう。約束だ」

朝倉「うん、約束よ、キョンくん」

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 23:11:28.81 ID:muETfULG0

―放課後―

ハルヒ「ちょっとキョン!あんた何さっきからキョロキョロしてるのよ!」

キョン「あっいや、すまん。(くそっ…もうこんな時間か)」

キョン「なぁハルヒ、まだ今日の活動を続ける気なのか?」

ハルヒ「当然でしょ!SOS団の今後の方針活動について会議をしているんだから!」

キョン「そうだったな…(くそっ、なんだってこんな日に会議なんぞやるんだよ、こいつは)」

ハルヒ「それともなに?キョン!あんた会議をすっぽかして早く帰りたい理由でもあるの!」

キョン「いや、ないです。(あるんだよ!こんちくしょー!)」

ハルヒ「そう。じゃあ、今日は下校時間ぎりぎりまで会議を続けるわよ!」

キョン「なんだと…」

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 23:28:37.00 ID:muETfULG0

ハルヒ「――てな感じで今後は活動していくわよ!」

キョン「(やれやれ、ようやく結論に達したか…)」

ハルヒ「あらっ?もうすっかり外が真っ暗ね。皆!さっさと帰るわよ!」

キョン「そんじゃ、俺は先に帰らせてもらうぞ」

ハルヒ「ちょっと待ちなさい!キョン!」

キョン「今度はなんだ?会議はもう終わったんだろ?」

ハルヒ「外は真っ暗なんだから、キョン、私を送っていきなさい」

キョン「すまんがそれは…」

ハルヒ「なによ!あんたか弱い女の子を一人で帰らせるつもりなの!」

キョン「本当にすまん!送ってやりたいんだが急いでるんだ!本当にすまん!」

ハルヒ「ちょっと待ちなさい!こらっ!」


ハルヒ「キョンの奴、なにか怪しいわね…」



170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/22(月) 23:43:14.38 ID:muETfULG0

キョン「くそっ誰かさんのせいですっかり遅くなっちまったじゃないか」

キョン「朝倉…もうさすがに帰ってるだろうな」ガラッ

朝倉「zzz」

キョン「朝倉!?」

キョン「こいつ、ずっと図書室で待っていてくれたのか…みんな下校したというのに」

朝倉「スヤスヤ…」

キョン「何から何までお前には迷惑をかけっぱなしだな…すまんな、朝倉」ナデナデ

朝倉「う〜ん……あれっ?キョンくん?」

キョン「おはよう」

朝倉「やだっ!私、もしかして寝てた!?」

キョン「気持ちよさそうに寝てたぞ」

朝倉「どうしよう、キョンくんに寝顔見られちゃった…」

265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 07:55:25.25 ID:BNTR4gX00

起床。再開。>>170から。

キョン「ほぉ〜そいつはけっこうなものを見ちまったな」

朝倉「ううっ…一生の不覚だわ」

キョン「そう落ち込むなって。お前の寝顔、可愛かったぞ(思わず頭をなでたのは秘密な)」

朝倉「えっ?ほんと?」

キョン「ああ、ほんとだ。口からよだれが出てて可愛かったぞ」

朝倉「もう!キョンくんのいじわる!」

キョン「ハハッ、すまんすまん。そんなに怒るな」

朝倉「だってキョンくんがいじわるするんだもん。酷い話だわ!」

キョン「………」

朝倉「キョンくん?」

キョン「朝倉、こんな遅い時間まで待っていてくれてありがとう」

270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 08:09:00.95 ID:BNTR4gX00

朝倉「どうしたのよ、改まっちゃって…なんだか照れくさいわ」

キョン「いや、なんというかすごい感謝してるんだよ。本当ならもっと早い時間に買物にいけるはずだったのに」

朝倉「しょうがないわよ。SOS団の活動が長引いたんでしょ?」

キョン「ああ」

朝倉「ならキョンくんが責任を感じる必要はないわ。それにこの時間って安売りになってるからかえって好都合なのよ」

キョン「そっか、そう言ってもらえると助かる」

朝倉「それよりも早く買物を済ませましょう、キョンくん」

キョン「そうだな、そろそろ学校が閉まるし行くか」

朝倉「うん。荷物持ち期待してるわね」

キョン「ま、まかせておけ」





271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 08:24:09.24 ID:BNTR4gX00

―スーパー―

キョン「スーパーに久しぶりに来たな…」

朝倉「あらっキョンくんは普段お買物とかしないの?」

キョン「まあな。ウチはもっぱら母親が買物を済ませるしな」

朝倉「へぇ〜そうなんだ。……はっ!」

キョン「どうした?」

朝倉「見てキョンくん!この卵、お一人様ワンパックで110円よ!」

キョン「はぁ、それで?」

朝倉「それでって…安いから買うのよ!お一人様限りだけどキョンくんもいるから二つ買えるわ」

キョン「えっと…それってありなのか?」

朝倉「細かいことはいいのよ。あっ、お豆腐も安いわ!キャー!お魚もタイムセールでこんなに安くなってる!」

キョン「おいっハンバーグの材料を買うじゃなかったのかよ…」

275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 08:39:39.84 ID:BNTR4gX00

朝倉「も、もちろん分かってるわよ。ハンバーグの材料ね」

朝倉「え〜と、ひき肉ひき肉…うそっ!豚ロースがこんなに安いわ!」

朝倉「ねぇキョンくん……明日のお弁当、トンカツなんてどうかしら?」

キョン「いや、いいけどね。べつになんだっていいけどね」

朝倉「じょ、冗談よ。ちゃんとキョンくんの好きなハンバーグを作ってあげるから心配しないで」

キョン「へいへい(…朝倉の奴、完全に主婦だな)」

朝倉「きゃー!トイレットペーバーも大安売りをやってるわ!キョンくん!二つ持ってきて!」

キョン「くそっ、これじゃあ母親の買物に付き合わされる子供じゃないか…」

朝倉「ちょっと!早く持ってきてよ!急がないとなくなっちゃうわよ!」

キョン「やれやれだ…」



281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 08:59:27.04 ID:BNTR4gX00

朝倉「ふぅ、あなたのおかげで安い物をたくさん買うことができたわ」

キョン「まさかこんな大量に買い込むとはな…正直、腕が辛いです」

朝倉「ごめんね。でもその分、明日のお弁当を期待しててね」

朝倉「キョンくんのために頑張ってうんと美味しいお弁当を作ってあげるから」

キョン「あっあ…」

朝倉「キョンくん、ちゃんと聞いてる?」

キョン「もちろん聞いてたぞ。明日も楽しみにしてるよ(やばい、今の朝倉、すごい可愛かったぞ…)」

朝倉「うん、期待しててね。あらっ家に着いたわ」

キョン「(まじ重かったぜ…)」

朝倉「……ねぇ、良かったら少し上がっていかない?」ドキドキ

キョン「えっ?」



284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 09:12:45.62 ID:BNTR4gX00

朝倉「ほらっ荷物持ちをしてくれたし、お礼にお茶くらい出してあげるわ」

キョン「でももう時間的に遅いしな…」

朝倉「だったらご飯を食べてい――」

ブーブー

キョン「おっ悪い携帯が鳴った。……ハルヒから着信?」

朝倉「えっ?涼宮さん?」

キョン「もしもし、ハルヒか?どうしたんだ?」

ハルヒ「ちょっとキョン!あんた今どこにいるのよ!あんたまだ家に帰ってないの!?」

キョン「別にどこだっていいだろ…それよりも何で俺が家にいないって分かるんだ」

ハルヒ「だって私いまあんたの家にお邪魔してるのよ」

キョン「はぁ?なんでお前が俺の家にいるんだよ?」

ハルヒ「なによ!あんたが学校で忘れ物をしたから親切に届けに来てやったんじゃない!このバカ!」

キョン「(俺、何か忘れ物したか…?)」

294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 09:37:41.11 ID:BNTR4gX00

キョン「え〜と、すまん。忘れ物をした覚えがないんだが…」

ハルヒ「今日使った会議の資料よ!私が作成した資料を置いて帰るなんていい度胸してるじゃない!」

キョン「わざわざ、そんなものを届けるために家におしかけたのかよ…」

ハルヒ「そんなものってどういう意味よ!いいからさっさと帰ってきなさい!妹ちゃんも心配してるわよ」

キョン「分かった、分かった。だからそうカッカするな」

キョン「そういうことだから朝倉、俺はもう帰るな」

朝倉「ううん、家族の人も心配してると思うから早く帰ってあげて」

キョン「朝倉の煎れるお茶を飲めないのが残念だよ。そんじゃまた明日な」

朝倉「うん、お弁当期待しててね。バイバイ」


朝倉「もう、キョンくんったらおせじなんか言っちゃってさ…ふふっ」

朝倉「よーし!頑張って明日の下ごしらえをするわよ」

302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 09:55:53.61 ID:BNTR4gX00

キョン「ただいま」

妹「キョンくんおかえり〜」

ハルヒ「ちょっと!遅かったじゃない!キョン!」

キョン「おわっ!お前まだ居たのかよ?」

ハルヒ「そうよ。資料を忘れてほっつき歩いてたあんたに説教するために待ってたのよ」

キョン「やれやれ…」

ハルヒ「それで、キョン。あんたこんな時間までどこに行ってたのよ」

キョン「お前に答える義務はないはずだが?」

ハルヒ「キョン、あんた何か隠してるでしょ?」

キョン「な、なんでそう思うんだよ」

ハルヒ「やましいことがないなら、どこに行ってたか言えるはずよ」

キョン「やましいことはないが…別にどうだっていいだろ」

ハルヒ「はぁ!?なによそれ!」





314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 10:07:36.18 ID:BNTR4gX00

妹「けんかはだめだよ……」

キョン「べつにケンカしてるわけじゃないぞ」

ハルヒ「そ、そうよ。安心して、妹ちゃん」

妹「そうなの?」

キョン「ああ、ほんとだ」

妹「良かった〜。ねぇキョンくん、早くご飯にしようよ。私おなかすいたよ〜」

キョン「あれっ?そういえば親父たちは?」

ハルヒ「あんたの両親なら親戚に不幸があったって言ってでかけたわよ」

キョン「マジか。……んっ?じゃあ今日の晩飯はどうなるんだよ」

妹「キョンくん、ハルにゃんがお母さんの代わりにご飯作ってくれたんだよ」

キョン「えっ?」

ハルヒ「べ、べつにあんたのためじゃないわ。妹ちゃんが可哀相だったからよ」

367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 13:38:51.98 ID:BNTR4gX00

キョン「そうか、なんだかすまないな」

ハルヒ「そう思うんだったら残さず食べることね!まっ、大したものは作れなかったけどね」

キョン「いやいや、こいつはなかなか美味そうじゃないか。エビフライまであるぞ」

ハルヒ「それは妹ちゃんの大好物なのよ」

妹「えへへ、エビフライ大好き〜!ハルにゃんも好き!」

ハルヒ「どうもありがとう。…なにやってるのよ、さっさと食べなさいよバカキョン」

キョン「あっおう、そうだな。いただくよ……」

キョン「……モグモゴ…」

ハルヒ「ど、どうなのよ?」

キョン「美味いよ」

ハルヒ「ほんと!?」

キョン「ああ、マジで美味いよ。なっ?」

妹「うん、ハルにゃんお料理上手〜」

369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 13:49:34.62 ID:BNTR4gX00

ハルヒ「そ、そう、ありがとう」

妹「本当に美味しいよ。私毎日食べたいくらいだもん」

ハルヒ「あんまりおだてないでよ、妹ちゃん」

妹「だって本当のことだもん〜。キョンくんもそう思うよね?」

キョン「んっ?ああ、まぁ…悪くはないかな」

ハルヒ「!!」

キョン「どうしたんだハルヒ?急に黙り込んでしまって。腹でも痛いのか?」

ハルヒ「う、うっさい!バカキョン!」

ハルヒ「妹ちゃんが可哀想だったから作ってあげただけよ。あんたは別に餓死してもいいの!」

ハルヒ「(まったく、なんで私がこいつのために毎日ご飯を作らなきゃいけないのよ…キョンのために毎日…)」

キョン「こいつは何をそう怒ってるんだ?」

妹「にひひ、キョンくんの鈍感〜」



375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 14:00:20.08 ID:BNTR4gX00

ハルヒ「じゃあ私はこれで帰るね」

キョン「ああ、わざわざすまなかったな」

ハルヒ「そう思うんだったら明日からもっと積極的にSOS団に打ち込んでほしいものね!」

キョン「へいへい、分かったよ」

ハルヒ「まったく、あんたはほんとにぐうたらなんだから……」

キョン「?」

ハルヒ「あ、あのさ…キョンっていつもお弁当持ってきてるじゃない」

キョン「無駄な金を使いたくないからな。親に作ってもらってるよ」

ハルヒ「でも今日はもう家族の人帰ってこないんでしょ。どうするのよ?」

キョン「どうするって明日はあさk――」

ハルヒ「代わりに私が作ってあげるわ!」

キョン「へっ?」

ハルヒ「だからあんたのお母さんの代わりに私が作ってあげるって言ってるのよ!」

382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 14:10:38.55 ID:BNTR4gX00

ハルヒ「じゃあそういうことだから首を長くして待ってることね!」

キョン「おいっ!待てハルヒ!俺には先約が――」

―バタン―

キョン「くそっ、人の話も聞かずに行っちまった」

キョン「まずいな…明日は朝倉と約束してるって言うのに」

妹「キョンくんどうしたの〜?」

キョン「………」

妹「キョンくん〜?」

キョン「やっぱハルヒに電話して断わるべきだよな。うん、そうしよう」

妹「変なキョンくん」

398 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 14:23:12.87 ID:BNTR4gX00

キョン「とはいったものの、どう断わったものか…」ウロウロ

妹「私も一緒にキョンくんとグルグルする〜」

キョン「こ、こらっ、遊んでるわけじゃないんだぞ!」

妹「アハハッ〜、キョンくんと一緒にグ〜ルグ〜ル」

キョン「ったく…こっちは必死だというのに」

ブーブー

キョン「おっ!ハルヒから着信だ。これは断わるチャンスだ!」

キョン「もしもし、ハルヒか。じつは明日のことでお前に――」

ハルヒ「キョン!さっき妹ちゃんから聞いたんだけどあんたハンバーグ好きでしょ?」

キョン「ああ、好きだが…それよりも明日は――」

ハルヒ「あっそ。じゃあ、明日はハンバーグを作ってくるわ。楽しみにしてなさいよ!」

―ガチャッ―

キョン「くそっー!なんだってあいつは人の話を聞かないんだよ!」

キョン「もういいっ!俺は知らん!どうにでもなれ!」



408 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 14:33:41.86 ID:BNTR4gX00

―次の日―

朝倉「うふふ、キョンくんのために今朝ははりきっちゃった」

国木田「おはよう、朝倉さん。おやっ?それはお弁当だね」

朝倉「うん、またキョンくんに渡そうと思って」

国木田「へぇ〜キョンは幸せ者だね。毎日、美味しいお弁当を食べれて」

朝倉「や、やめてよ国木田くん。恥かしいわ」

国木田「ううん、そんなことないよ。昨日だってキョンすごい美味しそうに食べてたよ」

朝倉「そうなの?」

国木田「うん。あんなキョンの喜んだ顔久しぶりに見たよ。朝倉のおかげだね」

朝倉「そ、そうなんだ。キョンくん喜んで食べてくれたんだ。えへへ」

国木田「ほらっ、キョンが来たみたいだよ。渡してきなよ」

朝倉「うん、ありがとう、国木田君」

416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 14:51:08.53 ID:BNTR4gX00

朝倉「キョンくん、お弁当――」

ハルヒ「キョン!昨日、約束したお弁当よ!」

キョン「ああ…」

朝倉「えっ…?」

ハルヒ「わざわざあんたの好きなハンバーグを入れてあげたんだからね。感謝しなさいよ!」

朝倉「!!」

キョン「じつはハルヒ…そのことなんだが――」

朝倉「へぇ〜涼宮さん、キョンくんにお弁当作ってきたんだ」

キョン「朝倉!?」

ハルヒ「別にこいつのためなんかじゃないのよ。成り行き上作るはめになったのよ」

朝倉「いいわね、手作りのお弁当。私なんか今日寝坊しちゃったから学食なのよ」

朝倉「だからごめんね、キョンくん…ボソッ」

キョン「そ、そうか…(正直、助かった…)」

434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 15:01:18.41 ID:BNTR4gX00

国木田「どうだった、朝倉さん?キョンの奴喜んでた?」

朝倉「国木田くん…良かったらこのお弁当食べてもらえないかしら」

国木田「えっ?だ、だってこれはキョンのために作ったんだろ?」

朝倉「もういいのよ…」

国木田「もういいって、どういうことなのさ?これはキョンに渡すものだろ?」

朝倉「もういいのよ!私が浅はかだったのよ…彼には涼宮さんがいるのに」

国木田「朝倉さん…?」

国木田「……良かったら僕に話してもらえないかな。自惚れかもしないけど朝倉さんの力になれると思うよ」

朝倉「国木田くん…」

451 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 15:14:14.95 ID:BNTR4gX00

国木田「そうか…お弁当を渡そうと思ったら涼宮さんが」

朝倉「そうなの。だから私、思わず彼に嘘ついちゃって…」

朝倉「でもそれで良かったのよ。彼女でもないのにお弁当なんか渡されて迷惑なだけよね」

国木田「そんなことないよ。朝倉さんのお弁当を食べてる時のキョンはすごいうれしそうだったよ」

朝倉「そう…でもこれからは違うわ。キョンくんに喜んでもらえるのは涼宮さんよ」

朝倉「だから…もう私はいいわ。これ以上キョンくんを困らせたくないし…」

国木田「ちょっと待ってよ!そんなのダメだよ!」

朝倉「ううん、もう決めたの。だからごめんね」

国木田「そんな…」

朝倉「国木田くん、これ、私の話を聞いてくれたお礼よ。彼に渡そうとしたお弁当だけど良かったら食べて」

朝倉「とっても美味しいんですから。…どうもありがとうね」

国木田「待ってよ!朝倉さん!」


国木田「まったく…女の子を悲しませるなんて最低だよ、キョン」

456 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 15:23:55.83 ID:BNTR4gX00

―昼食タイム―

谷口「ひゃっはー!昼飯の時間だぜ!」

キョン「お前はどんだけ生きがいにしてるんだよ…」

国木田「ねぇ、キョン、お弁当を食べたら話したいことがあるんだけどいいかな?」

キョン「えっ?俺に?」

国木田「うん、悪いけど屋上に来てもらえないかい。どうして君に大切な話があるんだよ」

キョン「ああ、別に構わんが…」

国木田「そう、どうもありがとう。じゃあ僕は屋上で待ってるから」

キョン「……国木田の奴、一体話って何なんだ?」

谷口「お前、国木田に掘られるな」

キョン「や、やめろ、バカ!」

谷口「ウッホ」

464 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 15:32:56.19 ID:BNTR4gX00

キョン「お前に言われたとおり屋上に来たけど…なんだよ、俺に話って?」

国木田「これ、なんだか分かるかい?」

キョン「んっ?その包みは…弁当箱か?」

国木田「そうだよ。朝倉さんが君に渡そうとしたお弁当だよ」

キョン「おっおい、冗談はよせよ。朝倉は今日寝坊して弁当は持ってきてないはずだぞ」

国木田「キョンはそれを本心から言ってるのかい?だとしたら寛容な僕でも怒るよ」

キョン「…??」

国木田「ふぅ…あのね、どこの世界にお弁当の二股をかけるバカがいるのさ?」

国木田「君は朝倉さんにお弁当を頼んだばかりか涼宮さんにまでお願いしてたのかい?」

キョン「いや、それはハルヒが勝手に…」

国木田「言い訳はやめなよ。男の言い訳は見苦しいよ、キョン」

キョン「………」

479 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 15:49:07.75 ID:BNTR4gX00

国木田「まぁ君にどういう事情があったかは僕には分からないよ…でもね」

国木田「君は結果的に涼宮さんまで傷つけてしまったんだよ」

キョン「………」

国木田「でも一番可哀想なのは朝倉さんだよ。このお弁当ね、キョンの代わりに僕がもらったんだ」

キョン「そうか…」

国木田「でも僕には食べることができなかったよ。だってこんなのが添えられてたんだよ?」スッ

キョン「これは…」



キョンくんへ

ごめんね、ハンバーグの表面がちょっと焦げちゃったの(T T)
でもちゃんと食べれるから安心してね♪
良かったらまた後で感想聞かせてね。喜んでもらえるといいな〜

484 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 15:58:13.75 ID:BNTR4gX00

キョン「朝倉…」

国木田「兎に角、このお弁当はキョンに渡すよ。これは本来君が貰うべきものだからね」

キョン「なぁ国木田、俺、どうしたらいいと思う。朝倉になんて謝ればいいんだ…」

国木田「……悪いけどそこまで僕はお人よしじゃないんだ。」

国木田「親友が困っているのは見過ごせないけど、これは君が招いたことだからね」

キョン「そうだったな」

国木田「いっぱい悩んで自分なりの解決を見つけるんだ。僕にはそれしか言えないよ、ごめんね」

キョン「いや、俺の方こそ色々とすまん。迷惑かけたな」

国木田「そう思うんだったら早く朝倉さんに謝るべきだね。僕じゃなくてさ」

キョン「ああ、分かったよ」



493 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 16:13:36.58 ID:BNTR4gX00

―放課後―

キョン「おいっ朝倉!話があるんだがちょっといいか?」

朝倉「なに…」

キョン「その、国木田からお前の作った弁当を貰ったぞ」

朝倉「そうなんだ。それで?」

キョン「えっと、だからそのとても美味かった。ちゃんと全部食べたぞ」

朝倉「話はそれだけ?ならもう帰ってもいいかしら?」

キョン「それとすまん!お前と約束していたのにハルヒにまで作らせてすまんなかった!」

朝倉「酷いよ、キョンくん酷すぎるわよ!…私がどんな気持ちで作ったかあなたには分からないんでしょ!」

キョン「……」

朝倉「ごめんなさい、これ以上、あなたと話したくないわ」

キョン「おっおい!朝倉!待ってくれ――」


キョン「ははっ、当然の報いってやつか…」

506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 16:22:19.15 ID:BNTR4gX00

キョン「ただいま…」

妹「おかえりなさい〜…あれっ?キョンくんなんだか元気ないよ〜」

キョン「ああ、ちょっとな…」

キョン「(はぁ、どうしたら朝倉に許してもらえるんだろうか…)」

―「いっぱい悩んで自分なりの解決を見つけるしかないね」―

キョン「(やっぱり自分で考えるしかないか…)」

キョン「(それにしても俺は、朝倉に最低なことをしてしまったんだな)」

―「私がどんな気持ちで作ったかあなたには分からないんでしょ!」―

キョン「どんな気持ちで作ったか…」

妹「キョンくん?」

キョン「朝倉の気持ち…か…」

517 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 16:30:31.94 ID:BNTR4gX00

―次の日―

谷口「ひゃっはー!俺様のお楽しみタイム、昼飯の時間だぜ!」

国木田「分かったからもう少し静かにしたらどうなんだい?」

キョン「すまんが、俺はちょっと外すぞ」

谷口「あっ?どこ行くんだよキョン?」

キョン「ちょっとな…」

国木田「僕たちは気にせず行ってきなよ。今日は谷口と二人で食べるからさ」

キョン「悪いな…」

国木田「いいって。それよりも答えは見つかったのかい?」

キョン「正解かどうかは分からないがな…」

国木田「そうか、うまくいくといいね」

キョン「ああ…それじゃあ席を外すよ」

谷口「なぁ国木田、一体何の話をしてるんだ?」

国木田「ある朴念仁が漢をみせようとする話かな…」

526 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 16:38:51.97 ID:BNTR4gX00

朝倉「屋上なんかに呼び出して何のよう?あなたとは話したくないんだけど」

キョン「突然呼び出してすまん…けどどうしても渡したい物があるんだ」

朝倉「渡したい物?…私に?」

キョン「ああ、昨日、朝倉が俺に言っただろ。自分がどんな気持ちで弁当を作ったか分かっているのかって」

朝倉「ええ、言ったわね…」

キョン「だから、お前がどんな気持ちで俺に弁当を作ってくれたのか…それを知りたくて…その」

キョン「お、俺も自分で朝倉のために弁当を作ってみたんだ」

朝倉「ええっ!?キョンくんが私のために?」

キョン「ああ、正直料理なんて生まれて初めてやったよ。でも頼む、食べてみてくれ」スッ

朝倉「キョンくん…」



540 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 16:47:10.29 ID:BNTR4gX00

朝倉「バ、バカね…そんなことにためにわざわざ作ってくるなんて…」

キョン「頼む、一口だけでもいいから食べてみてくれ」

朝倉「……分かったわ」

キョン「ど、どうだ?」

朝倉「……モグモグ…なによ、このお弁当、全然なってないじゃない」

朝倉「卵焼きは真っ黒だし…ウィンナーはちゃんと火が通ってないし」

朝倉「おまけに彩りが最悪だわ。それになにより美味しくない」

キョン「そ、そうか…そうだよな、無理させてすまなかった」

朝倉「でも…作った人の温かさが感じられるわ」

キョン「えっ?」

朝倉「一生懸命、作ったんだろうなってことがこのお弁当には感じられるの」





548 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 16:54:33.40 ID:BNTR4gX00

朝倉「料理もろくにしたことがないのに、手に絆創膏なんて付けちゃって…」

朝倉「きっとそれほどお弁当を渡す相手に許してもらいたかったのね」

キョン「朝倉!俺、自分で初めて弁当を作ってみて分かったんだ。お前の言ってた意味が」

キョン「俺、この弁当を作ってる時、お前のことばかり考えてた!」

キョン「少しでもお前に喜んでもらえたらいいなって、ずっと朝倉のことを考えた」

キョン「お前もそうだったんだろ?俺に弁当を作ってた時、ずっと渡す相手―俺のことを考えてたんだろ」

朝倉「………」

キョン「それなのに俺、あんな酷い無神経なことをしちまって…」

キョン「ほんとうにごめん!朝倉、ごめんなさい!」



564 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/23(火) 17:06:38.43 ID:BNTR4gX00

朝倉「……あなたの作るお弁当、壊滅的に美味しくなかったわ」

キョン「すまん…」

朝倉「だからこれからは私が毎日お弁当を作ってあなたに料理を教えてあげるわ」

キョン「朝倉…?」

朝倉「私に許してもらいたいなら、これからも毎日私のお弁当を食べること!いいわね?」

キョン「ああ、分かったよ!お前の作る弁当を毎日食べるよ!朝倉、ありがとう!」

朝倉「そ、それとね…もう一つだけ条件があるんだけど、いいかな?」

キョン「なんだ、なんでも言ってくれ。俺にできることならなんでもするぞ!」

朝倉「た、たまにはキョンくんの作ったお弁当も食べたいかな…」

キョン「それはちょっと……いや、頑張ってみるか」

朝倉「えへへ、ありがとう、キョンくん♪」



一方、その頃、>>1は今日も大学で便所飯を食っていたとさ。

めでたしめでたし



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