ハルヒ「もう生きててもいい事ない……」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:21:08.03 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「勤めてた会社が倒産するなんて……」

ハルヒ「どうしよう、……無職なんて」

ハルヒ「両親が死んでもう二年……あたしひとりぼっちなのに」

ハルヒ「26歳独身無職……もういや……」

ハルヒ「……」

ハルヒ「阪急宝塚線がいいかな……」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:22:20.58 ID:J3Ebqg2N0

〜駅・ホーム〜

『電車が通過します、白線の内側までお下がりください』

ハルヒ「……」

フラフラ

ハルヒ「惨めな人生だったなあ」

ハルヒ「……さよなら」

よろよろ

???「お、おい、ちょっとあんた!」

がしっ

ハルヒ「!?」

???「危ないだろ!死ぬ気かよ!」

ハルヒ「は、離してっ」

プァーン

ハルヒ「あ……電車行っちゃった……」

???「はー、まったく何考えてんだ……命を粗末にするなよ!」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:23:45.18 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「何よ、人の気も知らないで!あたしの勝手でしょ!?」

???「何があったか知らんが、早まっていい事なんか……あれ?」

ハルヒ「あ……」

???「お、お前まさか……!」

ハルヒ「あんた……キョンなの?」

キョン「ハルヒ、お前こんな所で何を……」

ハルヒ「あんたこそ……あの、ええと」

キョン「……」

ハルヒ「はは、何か恥ずかしい所見られちゃったわね……」

キョン「何があったんだよ、いったい……?」

ハルヒ「……」

キョン「まあ、立ち話で済むようなことでもないか。そうだな、お前どうせこの後予定なんかないんだろ?ちょっと付き合え」

ハルヒ「何であんたが勝手に決めるのよ」

キョン「今から死のうって人間に後の予定なんかあるのか?」

ハルヒ「……ないけど」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:25:08.20 ID:J3Ebqg2N0

〜キョンのマンション〜

ハルヒ「何であんたの家なんかに……」

キョン「別にそこらの喫茶店でもよかったんだが、人前じゃ話しづらいこともあるかと思ってな」

ハルヒ「……」

キョン「それに、さっきまで線路に飛び込もうとしてた人間だからな。急に逃げ出して車道に飛び出されても困る」

ハルヒ「しないわよ、そんなこと」

キョン「説得力のかけらもないぞ、それ」

ハルヒ「ははは」

キョン「笑えないっての……」

ハルヒ「……」

キョン「ほら、とりあえず入れ。あんまりきれいな所じゃないがな」

ハルヒ「……おじゃまします」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:26:20.54 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「何よ……意外と広い部屋住んでるのね」

キョン「ああ、駅から少し遠いからな、家賃もそんなに高くないんだ」

ハルヒ「……あっそ」

キョン「はー、今日も一日お疲れ様っと。ああ、今着替えてくるからその辺座っててくれ」

ハルヒ「あんた、まだ6時よ?こんな時間に帰れる会社なんかある?」

キョン「市役所づとめでね、まったりとさせてもらってるよ」

ハルヒ「ふーん……あんたらしいわね。面白みがなくて」

キョン「悪かったな!別に悪くないぞ、公務員も」

ハルヒ「……」

キョン「冷蔵庫の中にあるもん、適当に飲んでてくれて構わんからな」

ハルヒ「……いいわよ、別に」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:27:45.40 ID:J3Ebqg2N0

キョン「はー、じゃあ悪いが俺はビールでも飲ませてもらおう。よっこらせっと」

ハルヒ「おっさんくさいわね」

キョン「お互い若者ってこともないだろ、もう」

ハルヒ「まだ26でしょ!あと四年は20代よ!」

キョン「ああ、やだやだ。これだから女は……」

ハルヒ「……」

キョン「なあ」

ハルヒ「……何よ」

キョン「お前は今日、まだ4年も華の20代を残したまま死ぬ所だったんだぞ」

ハルヒ「……うるさい」

キョン「おかしいだろ、そんなの。お前が自殺なんかするようなタマか?」

ハルヒ「……」

キョン「話せる事だけでいい、理由を教えてくれないか?」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:29:04.21 ID:J3Ebqg2N0

・・・・・・・・・・・

キョン「そうか……親御さんが……」

ハルヒ「夫婦で休日に買い物に出かけてたみたいでね、居眠り運転のトラックと衝突して」

キョン「なんで言ってくれなかったんだよ、その時……」

ハルヒ「それどころじゃなかったのよ、急なことだったし……それに」

キョン「……?」

ハルヒ「もう長い間連絡取ってなかったし、あまりあんたに関係のあることでもないから……」

キョン「あのなあ」

ハルヒ「ひどかったのよ、事故。ニュースでも当時チラッとやってたんじゃないかな」

キョン「(昔のこいつだったら、あの力があったら……こんな事故起こらなかっただろうに……)」

ハルヒ「身元確認のために、って亡骸見せられたけど、拷問でしかなかったわね」

キョン「……」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:30:41.97 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「別にそれだけが理由じゃないけど……どれくらいかな、多分大学を卒業した頃から」

キョン「?」

ハルヒ「なんかツイてないというか、身の回りで碌な事がなくてね」

キョン「……」

キョン「(こいつの力がなくなった頃からだな……反動みたいなものなんだろうか)」

ハルヒ「挙句の果てに、あたしの勤め先潰れちゃってね、不況のあおりを受けて」

ハルヒ「まあ、割と裏で汚いこともやってたみたいだし、遅かれ早かれ潰れてはいたんでしょうけど」

キョン「そうか……」

ハルヒ「いいことなんかひとつもないのよ、私の人生」

ハルヒ「現に今、楽になろうと思ってもあんたに止められちゃったわけだしね、ふふ」

キョン「そんな考えはよせ……辛いことばっかりじゃないだろ、生きてれば」

ハルヒ「収入もない、身寄りもない。ひとりぼっちで寂しく生きていく人生のどこが楽しいのよ」

キョン「……」

ハルヒ「あたしが何したって言うのよ……うう……ひっく」

キョン「ハルヒ……」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:31:54.82 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「ぐす……ごめん」

キョン「なんでお前が謝るんだよ、らしくないな」

ハルヒ「ひぐ……ぐすん」

キョン「でも大変だったんだな……いや、おれがこんなこと言うと失礼かもしれんが」

ハルヒ「……」

キョン「俺にはお前がどんな気持ちであのホームに立ってたのか、到底理解できないかもしれない」

ハルヒ「……そんな大層なもんじゃないわよ。ただ、もう楽になりたかったの」

キョン「でもな、俺は悲しいぞ」

ハルヒ「何よ、別にあたしが死んだって、あんたがあの場に居なきゃ一生知らないことでしょ」

キョン「そんな話じゃない。その、なんだ……辛いことがあったらその都度相談してくれればよかったんだ」

ハルヒ「……できるわけないでしょ、そんなの。あんたには関係ないんだから」

キョン「関係あるだろ……友達じゃないのか?もっと頼ればいいんだよ!」

ハルヒ「……で、でも」

キョン「いつからお前は他人に気を使うようになったんだ?もっとわがままだっただろう、昔は」

ハルヒ「……」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:33:17.11 ID:J3Ebqg2N0

キョン「仮にも高校で3年同じ部活で過ごしたわけだし、な」

ハルヒ「SOS団……か、懐かしいわね」

キョン「俺だけじゃない、古泉だって、長門だって、朝比奈さんだって、心配してたんだぞ?」

キョン「お前、メールも電話もあんまり返さないんだし」

ハルヒ「……悪かったわね。でも、嫌だったのよ」

キョン「な、なんで」

ハルヒ「自分のしょぼくれた姿をあんた達に見せたくなかったの。いつも元気でなんでもできる団長でいたかったのよ」

キョン「そんなつまらん意地を張って……」

ハルヒ「それに、みんなが立派に生きてるのを見るのが辛かったのかもね。自分だけ取り残されていくみたいで……」

キョン「そんなことないに決まってるだろ」

ハルヒ「……自分でも馬鹿だったと思うけど、本当にそういう気分になるものなのよ」

キョン「……」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:34:29.53 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「……」

キョン「……お前もそんな顔をすることがあるんだな」

ハルヒ「だから言ったでしょ。昔のあたしじゃないの……こう不幸が続けば、誰だって参るわ」

キョン「……」

ハルヒ「もうそれも終わると思ってたのに……」

キョン「ハルヒ!」

ハルヒ「よりによってあんたに……こんな情けない姿見せて……」

キョン「でも、俺はよかったよ」

ハルヒ「なにがよ!」

キョン「あの場に出くわして、お前が死ぬのを止められて、本当によかった。またこうしてお前と喋ることができたんだから」

キョン「俺たちの知らない所で勝手に自殺なんかされたら、これから先とてつもない後悔をすることになってただろう」

キョン「俺に何かできることはなかったのか、ってな」

ハルヒ「何よ、勝手な正義感持ち出して……」

キョン「なんでもいいさ、お前が助かったんだ。友達だから何かしてやりたい、それはそんなにおかしなことか?」

ハルヒ「……うう……ひっく……ばかきょん」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:35:58.85 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「ぐすっ……うっ……ううっ……」

キョン「なあ、ハルヒ。お前はさっきひとりぼっちって言ったが、俺たちが居ちゃ、だめか?」

ハルヒ「うぇ……ひっぐ……」

キョン「誰かに八つあたればいい、愚痴をこぼせばいい。一人で溜め込むより、その方がよっぽどましだ」

ハルヒ「う……ひっく……うわぁぁぁん」

キョン「辛かったな、ハルヒ」

ぎゅう

ハルヒ「あたっ……あたしっ……ふあ……んで……こわく……てぇっ」

キョン「大丈夫だ。大丈夫、なあ?」

ハルヒ「これから……ひっく……どうし……よって……わからなくって……うぇ」

キョン「ゆっくり考えればいいさ、そんなに急がなくていい」

ハルヒ「う……ん……ぐずっ……うん……」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:37:14.48 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「……わ、悪かったわね、取り乱して」

キョン「いいさ、少しは楽になったか?」

ハルヒ「……まだ、わかんないけど」

キョン「……そっか」

ハルヒ「で、でも……その、辛いときはまた相談するから」

キョン「何にもわかってないな、お前は」

ハルヒ「?」

キョン「辛くなくたっていつでも相談すればいいんだ、それこそくだらない事でもなんでもいい」

ハルヒ「あ……」

キョン「そういうのが友達ってもんだろ」

ハルヒ「……きょ、キョンのくせにえらそうなこと言うじゃない」

キョン「悪かったな!」

ハルヒ「……ありがと」ぼそっ

キョン「ん?なんか言ったか?」


ハルヒ「……なんでもないわよ」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:45:18.04 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「き、今日はもう帰るわ」

キョン「おお、そうか。なんなら飯でも食ってけばいいのに」

ハルヒ「いいの。もう時間も遅いし」

キョン「そうか、なら、駅まで送ってってやるよ」

ハルヒ「いいわよ、別に!」

キョン「まあそう言うなって」

ハルヒ「あ……もう、いいって言うのに……」

キョン「ほら、鍵閉めるから早く出ろ」

ハルヒ「ま、待ちなさいよ!バカキョン!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ハルヒ「……ねぇ、ちょっと」

キョン「あー?なんか言ったかー?」

ハルヒ「いいの!?原付二人乗りなんかして!」

キョン「この時間は警察も張ってないからいいんだ、この辺りは」

ハルヒ「そういう問題じゃないでしょうが!」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:51:05.67 ID:J3Ebqg2N0

キョン「バスももう終わったからな!こんな長い距離歩いたら足が棒になっちまうよ!」

ハルヒ「だから見送りなんかいいって言ったのに!」

キョン「いてっ!?あ、危ないだろバカ!……いいからちゃんと掴まっとけ!」

ハルヒ「何よ……もう」

ぎゅっ

〜駅・ホーム〜

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「……ちょっと」

キョン「なんだよ」

ハルヒ「なんでわざわざホームまでついてくんのよ」

キョン「また飛び込まれても困るからな」

ハルヒ「だから!そんなことしないって言ってんでしょ!」

キョン「はは、どうだか」

ハルヒ「〜〜っ!」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:56:25.80 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「あんたストーカー?」

キョン「バカ言え」

ハルヒ「フン」

キョン「落ち込んでるときに、一人で考える時間を作りすぎないほうがいいんだ」

ハルヒ「……え?」

キョン「電車に乗ってる間は、することがないだろ?」

キョン「……それこそ、景色をとか、中吊り広告を眺めるくらいで」

ハルヒ「はあ」

キョン「人間、そう言う時ほどいらない事ばっかり考えちまうもんなんだ」

キョン「落ち込んでる時は特に、な」

ハルヒ「……そうかもね」

ハルヒ「……あれ?」

キョン「どうした」

ハルヒ「あんた、今の口ぶりからだと、まさかこのまま電車乗る、とか言い出すつもりじゃないでしょうね」

キョン「なんだ、よくわかってるじゃないか」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:01:55.78 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「バカ!変態!ストーカー!」

キョン「お、おい!あんまり大きな声を出すんじゃない!」

ハルヒ「あんたどこまでついてくる気よ!」

キョン「お前が電車降りたらそのまま折り返して帰るさ。入場券しか買ってないからな」

ハルヒ「相変わらずドケチね」

キョン「お前に変な気を起させないためにここまで来たんだ、それで充分だろう」

ハルヒ「……フン」

キョン「それともなんだ、家までついてきて欲しかったのか?」

ハルヒ「ち、違うわよ!」

キョン「だから声が大きい!周りの人がこっち見てるじゃないか!」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:10:56.50 ID:J3Ebqg2N0

〜電車内〜

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「……なんか喋んなさいよ」

キョン「ん、そうだな」

ハルヒ「あんたそのためについてきたんでしょ、バカみたいに」

キョン「さっきから何回バカと言うとるんだお前は。語彙が少ないぞ」

ハルヒ「……うるさいわね」

キョン「喋れと言ったり、うるさいと言ったり。全くお前は……」

ハルヒ「なによ!」

キョン「いや、やっぱりハルヒなんだ、と思ってな」

ハルヒ「……」

キョン「すまん、なんだかちょっとホッとしてしまった」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:23:00.43 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「……」

ハルヒ「勝手に一人で懐かしんでんじゃないわよ、まったく」

キョン「ああ、そうだ。今度またSOS団で集まらないか?」

ハルヒ「え……?」

キョン「みんなお前のこと、心配してる」

ハルヒ「みんなはどうしてるの?」

キョン「長門は今大阪でプログラマーやってるはずだ。古泉は東京で銀行員」

ハルヒ「へえ……みんな立派になってるのね」

キョン「朝比奈さんは海外にいるから、簡単には会えないかも知れないが……とりあえずみんなに連絡してみよう」

ハルヒ「……いい」

キョン「……?」

ハルヒ「やっぱり、みんなに今のあたしのこんな情けない姿、見せられないもの」

キョン「ハルヒ……」

ハルヒ「ごめん……」

キョン「……そっか」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:30:49.23 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「……あ、あたしここで降りないと」

キョン「なら俺も降りないとな」

ハルヒ「……ねえ、キョン」

キョン「ん?」

ハルヒ「……」

キョン「どうかしたのか?」

ハルヒ「……」

キョン「おい、ハルヒ。とりあえず降りないと」

ハルヒ「……」

キョン「扉閉まっちまうぞ、……ってああ!」

プシュー

ハルヒ「……」

キョン「は、ハルヒ?」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:37:50.84 ID:J3Ebqg2N0

キョン「……」

ハルヒ「……ご、ごめん。その、ぼーっとしてて」

キョン「……?」

キョン「ま、まあ次の駅で引き返せばいいが」

ハルヒ「……あ、そ、その」

キョン「?」

ハルヒ「なんかお腹空かない?」

キョン「まあ、そうだな」

ハルヒ「次の駅で一回降りて、ご飯食べましょうよ」

キョン「なんだよ、俺入場券で来たってのに……大体飯食ってけってさっき俺が言ったじゃないか」

ハルヒ「こ、細かいことはいいのよ!ほら、降りるわよ!」

キョン「いてて、引っ張るな!なんなんださっきから、まったく!」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:43:58.77 ID:J3Ebqg2N0

キョン「んー、どこがいいかねえ。何か食いたいもの、あるか?」

ハルヒ「(なんであたし、自分の駅で降りられなかったのかしら)」

ハルヒ「(本当は別に大してお腹も空いてないのに)」

ハルヒ「(……怖かったの?また一人になるのが……置いていかれるみたいで……)」

キョン「……おい、無視すんなよ」

ハルヒ「え?あ、ああ……どこでもいいわよ」

キョン「安い所がいいな、なるべく」

ハルヒ「……あんた、今でもモテないでしょ」

キョン「余計なお世話だよ!」

ハルヒ「やあねぇ、みみっちい男って」

キョン「金を使わずに済むなら、それにこしたことはないじゃないか」

キョン「大体な、俺がこんな性格になったのも、元はと言えばお前が高校の時にさんざっぱら俺に奢らせたせいなんだぞ!」

ハルヒ「はあ?」

キョン「少ない金をやりくりする術を、俺は血反吐にまみれながら体得したんだ……そうせざるをえなかった」

ハルヒ「な、何も泣かなくてもいいでしょ……」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 02:49:52.65 ID:J3Ebqg2N0

キョン「あ、ここでいいだろ」

ハルヒ「ファミレス?……まあ、いいけど」

キョン「ここは安いからな!」

ハルヒ「あっそ」

〜店内〜

キョン「ミラノ風ドリアひとつ」

ハルヒ「はやっ!あたしまだ決めてないわよ!」

キョン「ここに来て他に頼むものがあるのか?」

ハルヒ「あのねえ……あ、じゃあたらこスパゲッティのシシリー風で」

店員「かしこまりました。ご一緒にドリンクバーなどは……」

キョン「結構です」

ハルヒ「(はやっ!)」

キョン「俺は水が大好きなんだ」

ハルヒ「……誰も聞いてないわよ」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:00:06.21 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「……」

キョン「どうした、全然食ってないじゃないか」

ハルヒ「え?……ああ」

キョン「ハルヒ……?」

ハルヒ「べ、別になんでもないのよ」

キョン「なんでもないってことがあるか」

ハルヒ「ただ、その……これからどうしようかなって」

キョン「……ふむ」

ハルヒ「とりあえず失業保険の申請に行かないと……」

ハルヒ「あんまり貯金もないし……もっと家賃の安い所に引っ越しとかも考えなきゃ」

ハルヒ「当然次の職だって探さなきゃいけないし」

キョン「忙しくなるなあ」

ハルヒ「そういうのも色々わずらわしくなって、今日は線路に飛び込もうとしたわけだけど」

キョン「……おい」

ハルヒ「ご、ごめん……もうこんなこと言わないわよ」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:06:09.23 ID:J3Ebqg2N0

キョン「し、しかしまあ、失業保険だってそんなにたくさんはもらえないんだろう?」

ハルヒ「詳しくはわからないけど、そうでしょうね」

キョン「引っ越したって、この辺だとどうしても家賃はそこそこになるだろうに」

ハルヒ「がんばって五万……くらいかしらね」

キョン「敷金・礼金も考えなきゃならんし、引越し代だって少しはかかる」

ハルヒ「ちょっと!頭が痛くなるようなこと言わないでよね!」

キョン「ああ、すまんすまん」

ハルヒ「はー……まったく」

キョン「……」

ハルヒ「……何よ」

キョン「なあ、お前さ」

ハルヒ「?」

キョン「次の職が決まるまで、ウチに来るか?」

ハルヒ「!?」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:23:25.81 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「あ、あんた何言ってんのよ!」

キョン「いや、まあ……何か手助けできればなと思ってのことなんだが」

ハルヒ「だ、だだ、だからって」

キョン「まあ幸い俺の家はそんなに狭くもないし、物も少ない」

キョン「へんな所に住んで何万も家賃払うよりはいいかと思ってな」

ハルヒ「ぐぐ……」

キョン「嫌ならいいけどさ、利点ばかりじゃないわけだし」

ハルヒ「……」

キョン「ただ、なんとなくほっとけなくてな。なんだか、今のお前を見てると」

ハルヒ「何よ、安い同情なんかしてほしくなんか……」

キョン「俺の勝手だろ」

キョン「安い同情だと思ってくれたっていい。結果的にお前が助かればそれでいいんだ」

ハルヒ「なによ……かっこつけちゃって……なによ……うっ……ばかきょん」

キョン「お前はそうやってすぐ強がって、一人の殻に篭るからな。無理やりにでも助けてやる奴がいたって、罰は当たらないさ」

ハルヒ「ぐすっ……ううっ……うぇっ……」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:32:30.03 ID:J3Ebqg2N0

〜電車内〜

キョン「おい、もう泣き止んでくれよ」

ハルヒ「もう泣いてないわよ……ぐす」

キョン「とりあえず顔拭け、ほら」

キョン「なんか俺が悪者に見えるだろ、隣で女の子が泣いてたら!」

ハルヒ「ん……」

『次は○○〜○○〜お出口は右側です』

キョン「ほら、もうお前は降りる駅だぞ」

ハルヒ「……うん」

キョン「まあ、さっきの件なら、俺は一向に構わないからな。変な遠慮はするなよ」

ハルヒ「……うん」

キョン「困ったときはお互い様だ。また、連絡するよ、近いうちにな」

ハルヒ「……」

『○○、○○です。足元にお気をつけください』

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:36:09.01 ID:J3Ebqg2N0

キョン「……おい、ハルヒ?」

ハルヒ「……」

キョン「ほら、降りないと」

ハルヒ「……」

プシュー

キョン「あ……」

ハルヒ「……あ、あの」

ハルヒ「忘れ物、した」

キョン「はあ?」

ハルヒ「アンタの家に、その……携帯」

キョン「(……じゃあ、お前のポケットに入ってるそれは、なんなんだ?)」

キョン「……そうか」

ハルヒ「……ごめん」

キョン「何も謝るこたないだろ。仕方ないさ、無いと困るしな」

ハルヒ「う、うん」

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:43:32.59 ID:J3Ebqg2N0

〜キョン宅〜

キョン「あったか、携帯」

ハルヒ「え!?……あ、うん、あった」

キョン「そうか、よかった」

ハルヒ「……」

キョン「今から駅戻って、ギリギリ終電間に合うくらいだな」

ハルヒ「……あ、あの」

キョン「……」

ハルヒ「あ、あたし……ほんとは」

キョン「知ってる」

ハルヒ「!?」

キョン「携帯はずっとお前のポケットに入ってたしな」

ハルヒ「……その……うん」

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:49:38.52 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「あの……その、あたし」

キョン「そうだな、今夜一晩くらい、寝ずに話に付き合ってやるよ」

ハルヒ「あ……」

キョン「久しぶりに会ったんだ。尽きない話だってあるさ」

ハルヒ「……悔しいけどあんたの言った通りかもしれないわね」

ハルヒ「駅に着いたとき、一人で放り出されるのが……ちょっと怖かった」

キョン「いくらお前が強くたって、人間一人じゃ生きられないようにできてるからな」

キョン「んー、何かツマミあったかな……ちょっとコンビニでも行くか」

ハルヒ「……うん」

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 03:51:23.28 ID:J3Ebqg2N0

ちょっとお腹が空いたので、僕も買出しに行って来ます
ごめんなさい、すぐ戻ってきます

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 04:24:32.84 ID:J3Ebqg2N0

帰ってきました!食べつつ書きます!

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 04:32:38.78 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「そんでね、それから……」

キョン「ははあ、お前らしくもない」

ハルヒ「あたしだってトサカに来たわよ!でも、結局怒られるのあたしだし……」

キョン「まあ、社会ってのは理不尽にできてるからなあ」

ハルヒ「今思い出しただけでも腹が立つわ!」

キョン「まあいいじゃないか、もう会うこともないだろうし」

ハルヒ「会社潰れちゃったものね……」

キョン「い、いや、その、なんだ」

ハルヒ「でも、ほんとにそうね!もう二度とあいつの顔見ないで済むかと思えば、潰れてせいせいするわ!」

キョン「はあ」

ハルヒ「あー……あれ、もうビールなかったかしら」

キョン「なんだお前もう全部飲んだのか!?」

ハルヒ「うるはいわね……勝手でしょ、あたしの……」

キョン「俺の金で買ったんだが……」

168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 04:42:03.40 ID:J3Ebqg2N0

キョン「ったく、俺の分まで飲み干しやがって」

ハルヒ「あんた水が大好きなんでしょ、蛇口でもひねってなさいよ」

キョン「この……言わせておけば!」

ハルヒ「きゃ!ちょっと、あたしのチーかま返しなさいよ!」

キョン「問答無用!」

むしゃむしゃ

ハルヒ「あー!」

キョン「またつまらぬ物を食ってしまった……」

ハルヒ「何よ!なら食べなきゃいいでしょ!」

キョン「ぐわっ!首を掴むな!息ができん……」

ハルヒ「新しいの買ってきなさいよ!早く!」

キョン「わかった!わかったから手を離せっ!ぐぇ……そっちの川の向こうにコンビニなんかない……!」

ハルヒ「フン!」

キョン「やれやれ……」

171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 04:47:48.76 ID:J3Ebqg2N0

キョン「じゃあ行ってくる、他に欲しいもんないか」

ハルヒ「なんか甘いもの!二分で帰って来なさいよ!」

キョン「無茶言うなよ……」

バタン

キョン「はー、まったく」

キョン「まあでも、あの方があいつらしいわな」

キョン「辛気臭いよりかは、いくらかマシだろう」

キョン「……夜はまだ冷えるなあ」

・・・・・・・・・・・・・・・

キョン「ただいま」

キョン「おい、買って来たぞ……って」

ハルヒ「すー……すー……」

キョン「なんじゃそりゃ」

ハルヒ「くぅ……くぅ……」

キョン「俺は一体何しに行ってきたんだ、ちくしょう」

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 04:55:14.76 ID:J3Ebqg2N0

キョン「あーあー、テーブルに涎たらして……」

キョン「おい、ハルヒ、起きろ」

ハルヒ「むにゃ……んん……」

キョン「起ーきーろ、ってのに」

ハルヒ「んん……うるさい……」

キョン「こんなとこで寝たら後が大変だぞ!ほら!」

キョン「風邪は引くだろうし、起きたときに背中やら腰やら痛くなるぞ!もう若くないんだから……」

ハルヒ「……すぴー」

キョン「……はあ」

キョン「仕方ないな……よっこらせっと」

ひょい

ハルヒ「んー……むにゃ」

キョン「とりあえず片付けの邪魔だからベッドで寝ててもらおうか」

184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 05:03:34.86 ID:J3Ebqg2N0

〜朝〜

ジリリリリリリリ

ハルヒ「んん……」

ジリリリリリリリリ

ハルヒ「うるさい!」

メキッ

ハルヒ「んもぉ……何よこんな朝早くから……」

ハルヒ「……朝?」

ハルヒ「!?」

ハルヒ「こ、ここは……ああ、キョンの家か」

ハルヒ「あたしいつの間に寝ちゃってたんだろ……ていうか、ここキョンのベッドよね……?」

ハルヒ「……キョンは?」

187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 05:07:45.32 ID:J3Ebqg2N0

キョン「うーん……」

ハルヒ「あ、向こうの部屋のソファで……」

ハルヒ「運んでくれたのかな……なんか悪いことしちゃったわね」

ハルヒ「……ま、いいか。キョンだし」

キョン「うーん……うーん……」

ハルヒ「今は……まだ六時じゃない」

ハルヒ「キョンの奴、土曜日だってのに目覚ましセットしっぱなしだったわね」

ハルヒ「……せっかくだし、もうひと眠りしようかな」

ハルヒ「どうせ予定もないし……むにゃ」

ハルヒ「それにしても寝心地のいいベッドね……キョンの癖に、生意気よ!」

ハルヒ「……」

くんくん

ハルヒ「……はっ」

ハルヒ「あたしは何を……」

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 05:14:27.31 ID:J3Ebqg2N0

キョン「……おい、ハルヒ」

ハルヒ「むにゃ……」

キョン「ハルヒさーん」

ハルヒ「んー」

キョン「起きんかい!」

ばさっ

ハルヒ「何よ、もう!ちょっと、布団返して!」

キョン「もうすぐ昼間になっちまうぞ!」

ハルヒ「休みの日くらい昼まで寝かせなさいよ……!」

キョン「これから毎日休みの癖に……」

ハルヒ「う」

キョン「あ、すまん」

ハルヒ「一気に現実に引き戻されたわ……」

キョン「目が覚めただろ、結果オーライだ」

ハルヒ「寝覚めは最悪だけどね……」

193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 05:21:08.79 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「はー……とりあえず化粧落とさなきゃ」

キョン「え?」

ハルヒ「って……ああ、あたし昨日化粧してなかったわね」

ハルヒ「どうせ電車に飛び込むんだし、いっか、てな感じで……」

キョン「……」

ハルヒ「大丈夫よ、もうそんなことしないから」

キョン「頼むぜ、ほんとに」

ハルヒ「でもとりあえず顔ぐらい洗いたいわね」

キョン「ああ、さっき歯ブラシ買ってきたからそれ使ってくれ」

ハルヒ「ん、ありがと」

〜洗面所〜

ハルヒ「あー……頭痛い」

シャコシャコシャコシャコ

ハルヒ「昨日のあたしは、まさかこんなことになってるなんて思ってもなかったでしょうね」

ハルヒ「……死ななくて……よかった」

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 05:32:52.54 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「はー、さっぱりした」

キョン「おお、朝飯できてるぞ」

ハルヒ「!」

キョン「ま、と言っても食パン焼いてベーコンエッグ作ってレタスをちぎっただけだが」

ハルヒ「なんか悪いわね、何から何まで」

キョン「なに、いつもやってることだからな。朝飯作るくらい」

ハルヒ「じゃ、いただきます」

キョン「いただきます」

ぱくっ

ハルヒ「……」

キョン「?」

ハルヒ「……おいしいなあ」

キョン「そうか?ならよかった」

ハルヒ「あたし、誰かの手料理食べたのなんて……すごく久しぶりだから」

キョン「……」

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 05:41:18.10 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「いっつも一人で、自分でつくったご飯食べて」

キョン「……」

ハルヒ「ここ二年、ご飯がおいしかったことなんてなかった」

キョン「ハルヒ……」

ハルヒ「誰かと向かい合って食べる食事って、こんなにおいしかったのね」

キョン「大げさだな、昨日も一緒に飯食ったじゃないか。ファミレスで」

ハルヒ「う、うるさいわね」

キョン「……まあ、でも」

ハルヒ「?」

キョン「お前がそう思えたなら、昨日ホームでお前の腕を掴んだ甲斐があったってもんだ」

ハルヒ「……」

キョン「あ、ジャム出すの忘れてたな」

ハルヒ「……ありがとね」

キョン「……なに、団長様のサポートをするのが団員の務めだからな」

ハルヒ「……ばか」

214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 05:59:34.68 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「ごちそうさま」

キョン「はい、おそまつさま。ああ、食器は置いといてくれ」

ハルヒ「皿洗いくらいさせなさいよ」

キョン「そうか?じゃあ頼むよ」

ガチャガチャ

ハルヒ「〜♪」

キョン「そろそろいいとも増刊号の時間だな……テレビ付けるか」

ハルヒ「……」

キュッキュッ

ハルヒ「はー」

ハルヒ「……」

ハルヒ「(……やけに落ち着くわね)」

ハルヒ「(誰かが傍にいるって、こんなに安心するものなのかしら)」

ハルヒ「(昔は一人ぼっちなんて、なんてことなかったのにな、はは)」

218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 06:15:18.44 ID:J3Ebqg2N0

キョン「おー、こいつ復帰したのか……早かったなあ」

ハルヒ「……ねえ、キョン?」

キョン「ああ、皿洗ってくれたか、ありがとう」

ハルヒ「あのね」

キョン「?」

ハルヒ「その、昨日の話なんだけど」

キョン「昨日……ああ、引越しの話か」

ハルヒ「……少しだけ、お世話になるわ」

キョン「……」

ハルヒ「すぐに新しい仕事見つけて出て行くから!」

キョン「そうか……まあ、なんだ。たいしたお構いはできないと思うが、遠慮なく使ってくれ」

ハルヒ「うん、お言葉に甘えるわ」

222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 06:24:09.52 ID:J3Ebqg2N0

〜一週間後〜

ハルヒ「荷物はこれで全部だから!」

キョン「なんというか、その……」

ハルヒ「?」

キョン「いや、随分小さくまとめてきたなと思ってな」

ハルヒ「いらないもんは全部捨ててきたから」

キョン「ふむ」

ハルヒ「それに、どんな劣悪な環境でもとりあえず寝る所さえあればどうとでもなるわ!」

キョン「人の家を難民キャンプ扱いするなよ……」

ハルヒ「……とにかく」

キョン「?」

ハルヒ「おじゃまします!」

キョン「……ああ、いらっしゃい」

228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 06:36:48.71 ID:J3Ebqg2N0

キョン「とりあえず、着替えとか、荷物置くのはこの部屋使ってくれ」

ハルヒ「わかったわ」

キョン「狭くて悪いが、もともと物置スペース用に設計されてる部屋だから勘弁してくれ」

ハルヒ「上等よ、これだけあれば」

キョン「ただ、寝る場所に関してはここじゃ厳しいだろうから、リビングを使ってくれ」

ハルヒ「別にここでも寝れるわよ」

キョン「まあそう言うな、わざわざソファベッドに買い換えたんだから」

ハルヒ「え……?」

キョン「大体おまえ、その寝袋でずっと過ごすつもりだったのか?無茶だよ、そりゃ」

ハルヒ「あ、あんた……あたしのためにソファ買ったの……?」

キョン「まさか。丁度ソファを買い換えようと思ってたから、いい機会だったもんでな」

ハルヒ「でも……」

キョン「あー、いいから、ほら。とりあえずダンボール運ぶぞ!」

ハルヒ「あ、うん……」

236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 06:50:54.78 ID:J3Ebqg2N0

キョン「ほら、これだ。さっき言ってたソファ」

ハルヒ「あ、ほんとだ。前のと違うわ……」

キョン「足の付いた奴を買うと高いんでな、直接床に置くタイプのやつだ」

キョン「まあ言ってみれば、少し厚めのマットレスを二つ折りにして背もたれをつけたような……」

ハルヒ「きゃー!何これ!ふかふかよ、ふかふか!」

キョン「人の話を聞け!」

ハルヒ「これで勝つる!」

キョン「どこで覚えてきたんだそんな言葉……」

ハルヒ「悪いわね、色々と気を使わせちゃって」

キョン「なに、気にするなよ」

ハルヒ「あ、あと。ちゃんと家賃は払うからね!そんないっぱいは出せないけど」

キョン「いらんぞ、そんなの。それじゃ本末転倒じゃないか!」

ハルヒ「で、でも」

キョン「いいから人の厚意には素直に甘えとくもんだ。お前そういうの得意だろ?」

ハルヒ「……どういう意味よ、それ」

241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 07:01:15.45 ID:J3Ebqg2N0

キョン「あと、大事な話をしておく」

ハルヒ「?」

キョン「確かに家賃はタダで構わない。だが」

ハルヒ「な、なに?」

キョン「お前にもやってもらわなくちゃならないことがある」

ハルヒ「……」

キョン「この家に住む上での従わなきゃいけないルールみたいなものだ」

ハルヒ「な、何よ……まさかあんた……」

キョン「ゴミ捨てと掃除、炊事は交代で当番だからな」

ハルヒ「え」

キョン「洗濯はそれぞれ別にやったほうが都合もいいだろう」

ハルヒ「……あー」

キョン「ちゃんと聞いてるのか?大事なことだぞ」

ハルヒ「聞いてるわよ、何かと思ったじゃない……ったく」

キョン「?」

349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:11:57.10 ID:J3Ebqg2N0

すみません、まったりしすぎますた!



〜その夜〜

キョン「はー、大体荷物の片付けも終わったな」

ハルヒ「おかげさまでね」

キョン「さて、明日は仕事だから俺はもう寝るよ」

ハルヒ「あら、そう?」

キョン「別に俺はお前の生活リズムにまで口出ししようとは思わないが、寝る時は部屋の電気だけ消しといてくれ」

ハルヒ「わかってるわよ、子供じゃないんだから」

キョン「うん、じゃあおやすみ」

ハルヒ「はいはい」

バタン

ハルヒ「はー、あたしも別に今日はもうすることないわね」

ハルヒ「……」

ハルヒ「急に静かになったな」

358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:18:05.41 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「……」

ハルヒ「あたしも寝るか」

ハルヒ「よいしょっと」

ハルヒ「……これからどうなるのかしら、あたし」

ハルヒ「ちゃんと仕事見つかるといいな」

ハルヒ「……」

ハルヒ「……」

ハルヒ「ね、寝れない……」

ハルヒ「どうにも、こう、目が冴えちゃって」

ハルヒ「無理もないわね、環境が変わったんだから」

ハルヒ「……もっかいお風呂はいろっと」

363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:27:58.47 ID:J3Ebqg2N0

ちゃぽん

ハルヒ「はー」

ハルヒ「冷静に考えてみれば、随分ととんでもないことになってるわね」

ハルヒ「でも、家賃要らないのは助かるな……」

ハルヒ「それに、誰か話し相手がいるって言うのも精神的にかなり楽になったし」

ハルヒ「……持つべきものは友達、って言葉の意味をこの歳になって痛感するとはね」

ハルヒ「……」

ハルヒ「友達、か……」

ブクブク

ハルヒ「……うーん」

367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:33:50.74 ID:J3Ebqg2N0

〜深夜三時過ぎ〜

キョン「う〜〜〜〜トイレトイレ」

今 トイレを求めて全力疾走している俺は
市役所に勤めるごく一般的な男の子

強いて違うところをあげるとすれば
夢がないってとこかナ――
あだ名はキョン

そんなわけで自分の家にある
トイレの前にやって来たのだ

キョン「ん、なんだ……ハルヒの奴、こんな時間に風呂入ってるのか」

キョン「おっといかん、そんなことより用を足そう」

ハルヒ「zzz……」

370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:40:04.57 ID:J3Ebqg2N0

キョン「はー、すっきりした」

キョン「さてと」

キョン「おい、ハルヒ」

キョン「手を洗いたいから、洗面所まで入るぞー!」

ハルヒ「むにゃ……zzz……」

キョン「なんだ、聞こえてないのか?」

キョン「おーい!」

ハルヒ「zzz……」

キョン「あんまり深夜に大声だしたくないんだよなあ……」

キョン「仕方あるまい」

ガチャ

キョン「……ん?なんだ、電気はついてるけど水の音がしないな」

キョン「……」

キョン「し、下着はあるから中にはいるんだろうが……」

374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:51:38.35 ID:J3Ebqg2N0

キョン「は、ハルヒー?」

ハルヒ「zzz……」

キョン「寝てるのだろうか」

キョン「……」

キョン「さて、どうしたもんかね」

キョン「ほっといて寝ると言うのが一番無難な気はするが……」

キョン「絶対このままじゃ風邪引くよなあ、こいつ」

キョン「というか風呂場で寝ると溺れる可能性だってあるわけで」

キョン「……待て、まさかハルヒのやつ」

キョン「いや、さすがにわざわざ人の家で自殺するような人間はいないか」

キョン「でも、まずいよなあ、このままじゃ」

キョン「ええい!どうしろってんだ!」

キョン「……し、仕方あるまい」

378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 14:57:01.54 ID:J3Ebqg2N0

キョン「おっほん」

キョン「これは決してやましい心からではなく、彼女の健康を気遣う上での致し方ない処置として……」

キョン「……」

キョン「俺は誰に言ってるんだ」

キョン「はあ、まったく……入居早々頭抱えさせやがって」

キョン「一応最後通告だけしとくか」

ドンドン

キョン「ノックしてもしもーし?」

ハルヒ「むにゃ……」

キョン「ちゃんとノックしたんだからねっ!」

キョン「お、俺は何も見てないぞ……」

ガチャ

ハルヒ「うーん……はっ!あたし、ついうとうとして……ん?」

キョン「……」

ハルヒ「……」

385 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 15:03:09.26 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「ぎにゃああああああああああああああああああああああ」

キョン「!?」

ハルヒ「へ、変態!変態!早く出て行きなさいよ!殺すわよ!」

キョン「うぉっ!?お前っ!起きてるなら返事くらい……いて!洗面器を投げるなっ!」

ハルヒ「なんなのよもおおおおおおおおおお」

キョン「す、すまん!でも何も見てないからな!目瞑ってるから!」

ハルヒ「なにわけわかんない言い訳してんのよ!痴漢!性欲の塊!」

バタン

キョン「はー……ひ、ひどい目にあった……」

ハルヒ「(見られた見られた見られた……キョンに裸見られた……)」

キョン「すまん!ハルヒ!」

キョン「こんな夜中に風呂場の電気がついてて、返事がなかったもんだから……」

ハルヒ「何しようとしてたのよ……あんた!」

キョン「何って起こそうとしてたんだろ!」

ハルヒ「嘘付け!」

387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 15:07:34.56 ID:J3Ebqg2N0

キョン「俺は純粋に風邪を引くといけないと思ってだな!」

ハルヒ「それであたしの風呂覗く理由にはならないでしょうが!」

キョン「だから!目を瞑ってたと言っとるだろうが!」

ハルヒ「よくそんな白々しいこと言えるわ!大体目を瞑っててどうやって起こすつもりだったのよ!」

キョン「そ、それはだな……」

ハルヒ「あんた……入居早々やってくれたわね」

キョン「こっちの台詞だよまったく……」

ハルヒ「あんた親切にしてたのも、こういう下心があったからなのね……?」

キョン「違う!断じてそれはない!」

ハルヒ「(全力で否定されてもそれはそれで傷つく所なんだけど……)」

412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 15:47:28.57 ID:J3Ebqg2N0

〜翌朝〜

キョン「……おはよう」

ハルヒ「……おはよ」

キョン「はあ」

ハルヒ「はあ」

キョン「(昨日はあんなことがあったせいであんまり寝れなかった……)」

キョン「(ハルヒの奴あの後も延々と愚痴を並べ立ててたからな)」

ハルヒ「(一日目からやってくれたわね、キョンの奴……)」

ハルヒ「(こんなんでちゃんと生活できるのかしら……先が思いやられるわね)」

キョン「ねむたい……」

ハルヒ「……やっぱあたしはもうちょっと寝てようかな」

キョン「おい」

ハルヒ「何よ、無職だから早起きする必要なんかないんだから」

キョン「威張ることじゃないだろ……」

ハルヒ「フン」

416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 15:56:29.06 ID:J3Ebqg2N0

〜午後〜

ハルヒ「……さて、ハロワまでやってきたのはいいけれど」

ハルヒ「どうせまた混んでるんだろうなあ」

ハルヒ「失業保険の手続きに来た時もひどかったし……」

ハルヒ「……とりあえず入ろ」

がやがや

ざわざわ

ハルヒ「!?」

ハルヒ「何よこの人の数……こないだなんかと比べ物にならないじゃないの……」

ハルヒ「列の最後尾はどこなのよ、まったく……」

ハルヒ「……え?さ、三時間待ち?」

ハルヒ「……」

ハルヒ「帰ろう……」

450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 16:41:59.97 ID:J3Ebqg2N0

とぼとぼ

ハルヒ「やっぱり世間は甘くないのね……」

キキーッ

ハルヒ「え!?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キョン「こんなことってあるかよ……」

古泉「……信じられませんね」

長門「……」

キョン「なんとかならんのか、長門!」

長門「……ならない。……涼宮ハルヒが力を失ってからの私は待機モード」

長門「……能力の大半は凍結されている」

キョン「ちくしょう……」

古泉「僕らにできるのは、ただ手を合わせることだけですね……」

キョン「ごめんな、ハルヒ……」

END

481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 16:46:10.06 ID:J3Ebqg2N0

嫁ルートを予定していたんですが、
どうも新鮮味のない話になってしまいそうだったので
もう少し手の込んだ筋道を考えられればよかったんですが……
ごめんなさい

520 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 16:55:46.78 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「いや、そんなのいや……はっ!」

ハルヒ「昨日あんまり寝れなかったもんだから、ついうたた寝しちゃったわ」

ハルヒ「でも、あんだけこんでると何か別の方法考えないとね……」

ずちゅー

ハルヒ「この抹茶フラペチーノってやつおいしいわね」

ずちゅー

ハルヒ「はー、涼しい喫茶店ってなんてすばらしいのかしら」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お前ら何の変哲のない話になっても知らないんだからねっ!

552 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 17:05:31.69 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「ただいま……って誰もいないか」

ハルヒ「まだお昼過ぎだし」

ハルヒ「とりあえずお昼ごはんつくろ」

ハルヒ「冷蔵庫になんかないかな……あ、うどん玉」

ハルヒ「これでいっか」

・・・・・・・・・・・・・・・・

ズルズル

ハルヒ「やっぱり今の世の中あるもんは活用しないとね」

ハルヒ「転職用のポータルサイトも最近普及していることだし」

ハルヒ「なにもあたしが悪くて首になったんじゃないんだから、こういうところでいい会社探せばいいのよ」

カチカチ

ハルヒ「……」

ハルヒ「キョンもインターネットでエロい動画とか見たりすんのかしら」

ハルヒ「ちょっと履歴調べてみよっと♪」

561 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 17:08:50.02 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「……」

ハルヒ「あたしは今、猛烈に後悔している」

ハルヒ「……興味本位でプライベートに踏み込むものじゃないわね」

ハルヒ「なんか生々しくて引いちゃった……これから毎日顔合わせるってのに」

ハルヒ「……」

ハルヒ「ま、まあ!変な性癖とかはないみたいだからよしとするわ!」

ハルヒ「……あれ」

ハルヒ「何をよしとしたのよ、あたしは」

ハルヒ「ああ!違う違う!就職よ!就職!」

583 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 17:18:50.16 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「個人情報を登録して……」

ハルヒ「希望の職種やら業界を設定っと」

ハルヒ「あとは勝手に機械がよさそうな会社探してくれるってわけね」

カチカチ

ハルヒ「お、この会社よさそうね……」

カチカチ

ハルヒ「……あ、そろそろ買い物行かなくちゃ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〜その夜〜

キョン「ただいまー」

ハルヒ「あら、あんた相変わらず早いのね」

キョン「そのために公務員になったんだからな」

ハルヒ「あ、あんた暇ならちょっと手伝いなさいよ!今ご飯作ってるから」

キョン「やだよ、お前が当番だろ?」

ハルヒ「することないんでしょ!グズグズ言わないの!」

599 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 17:26:25.71 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「あんたはそっちで野菜切ってなさい」

キョン「それくらい自分でやればいいだろ……」

ハルヒ「うるさいわね!あたしは他にやることがあるの!」

キョン「大体こんな狭いキッチンで二人も作業してると……」

ハルヒ「ちょっと!痛いじゃない、肘ぶつかったわよ」

キョン「さっきからお前は俺の脚を踏んでるんだが」

ハルヒ「もっとそっち行きなさいよ!」

キョン「だからお前がやれというのに!」

ハルヒ「……」

キョン「……」

606 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 17:32:30.25 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「……よし、っと」

キョン「ん……カレーか、今日は」

ハルヒ「ま、あたしが作る最初の晩御飯だからね」

ハルヒ「基本的な料理であたしの実力を際立たせてやるわ!」

キョン「……レパートリーがないんじゃ」

ハルヒ「なんか言ったか」

キョン「いえ、別に」

ハルヒ「そう?ならいいけど」

ハルヒ「さて、いい感じに煮えてきたわね」

キョン「……なあ、ここに並べてあるのはなんなんだ?」

ハルヒ「何って、これから入れる調味料よ」

キョン「なに……?」

611 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 17:40:02.88 ID:J3Ebqg2N0

キョン「ちょっと待て、こいつを全部鍋の中に放り込むのか?」

ハルヒ「そうだけど」

キョン「……」

キョン「お前カレー作ったことあるのか」

ハルヒ「何よ、馬鹿にしてんの?」

キョン「よく見たら、ルーも入ってないのに鍋の中がおかしな色になってるじゃないか」

キョン「何故肉と野菜を水で煮ただけでこんな色に……」

ハルヒ「水なんか使ってないわよ!野菜ジュースで煮てるから」

キョン「!?」

ハルヒ「まあいいから見てなさいよね」

キョン「……」

622 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 17:46:39.18 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「出来たわよ!」

キョン「完成してみると意外とまともそうな色をしている……」

ハルヒ「さっきから何なの?いらないならあげないわよ」

キョン「誰もそんなことは言ってないだろ」

ハルヒ「じゃあいいから黙って食べてみなさいよ!」

キョン「うーむ、いただきます」

ハルヒ「いただきます」

ぱく

キョン「……おお」

ハルヒ「どうなのよ」

キョン「……」

ぱくぱく

キョン「う、うまいじゃないか、これ」

ハルヒ「当然よ!」

キョン「一体何がどうなってこの味に……」

632 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 17:54:53.84 ID:J3Ebqg2N0

キョン「なあ、お前さっき何入れたっけ?」

ハルヒ「?」

キョン「隠し味の種類とか分量、俺にも教えてくれよ」

ハルヒ「分量なんか覚えてないわよ」

キョン「ん?」

ハルヒ「いっつも適当にスーパーで、これ入れたらおいしそうだなってのを買ってきて適当に放り込んでるだけだから」

キョン「なん……だと……?」

ハルヒ「なんかでもいっつも大体同じ味になるのよね」

キョン「……」

ハルヒ「今日は何入れたかしら、ヨーグルトとか、コーヒーとか……あとは忘れた」

キョン「俺はもしかして一歩間違えば危険なことになっていたんじゃないか……?」

638 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 18:06:28.90 ID:J3Ebqg2N0

キョン「まあでもうまいからいいか……」

もぐもぐ

キョン「おい、おかわりくれよ」

ハルヒ「何よ、自分でよそってくればいいでしょ」

キョン「お前の方が近いだろ、台所」

ハルヒ「ったく、仕方ないわね……」

ハルヒ「♪」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キョン「はー、食った食った」

ハルヒ「あんたちょっと食べすぎよ!」

キョン「だってお前あんなにいっぱい作るから」

ハルヒ「いっぱい作っとけばあたしの当番が楽になるでしょ」

キョン「……なあ、ハルヒ。まさかとは思うが」

ハルヒ「明日の朝もカレーです。夜もカレーです。そして……」

キョン「やめろおおおおおおおおおお」

664 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 18:25:44.65 ID:J3Ebqg2N0

〜数日後〜

人事「じゃ、結果の方はおってこちらからご連絡いたしますので……」

ハルヒ「あ、はい!よろしくおねがいします!」

ハルヒ「はー……緊張した」

ハルヒ「これで10社め、か……受かるといいな」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ハルヒ「ただいまー……」

キョン「おう、おかえり」

ハルヒ「ちょっと待ってなさい、今晩御飯の支度するから……」

キョン「いや、俺の方で作っといたよ。なんか今日は忙しそうだったからな。ほら、冷めないうちに食おうぜ」

ハルヒ「あ……ありがと」

キョン「その代わり俺の当番も一回代われよ」

ハルヒ「うん……」

キョン「どうだ、意外といけるだろ?」

ハルヒ「うん……おいしい」

675 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 18:32:39.73 ID:J3Ebqg2N0

〜一週間後〜

ハルヒ「またダメか……」

ハルヒ「やっぱり不況なのね……どこも雇ってくれないじゃないの!」

ハルヒ「あ、そろそろ洗濯機回さないと今日中に乾かないわね」

ハルヒ「よっと、これで全部かしら」

ハルヒ「……」

ハルヒ「キョンのも一緒に洗ってやるか」

ハルヒ「どうせ今日は暇だし……」

ハルヒ「あれ、洗剤ももう無いわね……掃除終わったら買いにいこっと」

ハルヒ「……」

ハルヒ「なに普通に主婦してるのよ、あたしは……」

686 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 18:39:02.43 ID:J3Ebqg2N0

〜その晩〜

キョン「ただいまー」

ハルヒ「ああ、おかえり」

キョン「お、いいにおいだな」

ハルヒ「今日は新メニューよ!」

キョン「ほー、楽しみに待ってるとしよう」

ハルヒ「まだかかるし、先にお風呂でも入ってなさいよ、沸いてるから」

キョン「なんだ、やけに準備がいいな」

ハルヒ「今日はすることなかったからね。面接もないし」

キョン「そっか……」

ハルヒ「ほら、料理の邪魔よ!あっちいってて!」

キョン「……」

696 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 18:46:39.19 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「……どうなのよ」

キョン「うん、いいなこれ。うまいぞ」

ハルヒ「へっへっへ……そりゃそうよね、あたしが時間かけて作ったんだもの!」

キョン「日増しに料理のスキルが上がっていくな」

ハルヒ「……なんかね、誰かに食べてもらえるって、ちょっと嬉しいものなのよ」

キョン「ふむ、わからんでもないな」

ハルヒ「自分ひとりで食べるなら、もうそれこそコンビニでもいいやってなっちゃうんだけどね」

キョン「一人暮らしってみんなそんなもんだよなあ」

ハルヒ「だから、その……助かってるわ、いろいろと」

キョン「なに、お互い様だろ。俺だって随分楽させてもらってる」

ハルヒ「……キョン」

キョン「生活が随分賑やかになったしな、退屈する暇も無いさ」

ハルヒ「何よそれ!あたしが騒がしいっていうの!」

キョン「はは、現に騒がしいじゃないか」

ハルヒ「ぐぐ……生意気よ!」

705 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 18:53:34.90 ID:J3Ebqg2N0

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ハルヒ「面白いテレビやってないわね」

キョン「おい、お前も飲むか」

ハルヒ「いいわよ、別に。あしたは朝からジョブカフェ行くつもりだし」

キョン「まあそう言うなよ、明日は世間的にも休みなんだからさ、お前もたまには休めばいい」

ハルヒ「今日はなにもしてないわよ」

キョン「何言ってんだ、家事全部やってくれたじゃないか」

ハルヒ「それは、そうだけど……」

キョン「焦る気持ちもわからんでもないが、あんまり根を詰めすぎるなよ?体を壊しちゃ意味無いからな」

ハルヒ「……ありがと」

キョン「まあ、今日は飲もうや」

ハルヒ「……そうね」

707 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 19:00:47.28 ID:J3Ebqg2N0

キョン「で、どうなんだ?状況の方は」

ハルヒ「正直言って全然手応え無いわね……なんかもう、面接してても採る気がないのがひしひしと伝わってくるわ」

キョン「まあそういう時代か」

ハルヒ「まあ、あたしが使えないからってことなんでしょうけど」

キョン「そんなネガティブに考えるなよ……」

ハルヒ「だってそういうことでしょ?必要としてないってことなのよ、社会があたしを」

キョン「極論すぎだって」

ハルヒ「自分でもそう思うけど……でも実際に雇ってもらえないんだし」

ハルヒ「そりゃあたしも全く選り好みしてないかと言えば嘘になるわよ」

ハルヒ「だからってこんなの……」

キョン「お、おい!泣くなよ……」

ハルヒ「泣いてないわよ!」

キョン「ハルヒ……」

718 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 19:11:01.55 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「……あんたにあたっていいことじゃないわね、悪かったわ」

キョン「自分で溜め込むよりよっぽどマシだ」

ハルヒ「……」

キョン「俺には、それくらいしか協力できないからな」

ハルヒ「……ごめん、迷惑かけてばっかりで」

キョン「おいおい、気持ち悪いからやめてくれよ」

ハルヒ「なによ……あたしだって気にするわよ」

キョン「俺だって助かってるって言ってるだろ?居候してることに引け目を感じてるなら、大きな間違いだぞ」

キョン「……なあ、ハルヒ」

ハルヒ「な、なによ」

キョン「大丈夫だよ。心配するな、絶対お前なら新しい仕事見つかるから」

キョン「お前がどんなに飛びぬけた人間か、俺は間近で見てきたんだ。それくらいわかるさ」

キョン「だから、もっと気を楽に持てよな。前も言ったろ?一人ぼっちじゃないんだ」

キョン「辛いときは、助けてもらえばいい。そのために俺は、こうしてるんだ」

ハルヒ「……」

732 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 19:21:59.91 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「……ぐす」

キョン「ああ、なんで泣くかねえ……」

ハルヒ「あんたが変なこと言うからでしょ……ひっく」

キョン「それは悪かったな」

ハルヒ「ねえ、キョン……あたしどうなっちゃうの……うう……」

キョン「大丈夫、どうにかなるさ」

ハルヒ「でも、でも……このままうまくいかなかったら」

キョン「そんなことないから」

ハルヒ「ひっく……うぇ……ううっ」

キョン「ほんとに泣き虫になったなお前は……」

ハルヒ「どうしよう……あたし……ひっく」

キョン「よしよし」

なでなで

ハルヒ「ひっく……きょん……」

753 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 19:35:49.07 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「ううっ……ばか……」

キョン「もうこの際泣きたいだけ泣いちまえよ」

ハルヒ「ぐす……うん」

キョン「そのほうがまた、明日からがんばっていけるだろ」

ハルヒ「うん……うん……」

キョン「ほら、愚痴でも何でも聞いてやるから」

ぎゅっ

ハルヒ「あ……」

キョン「腹立ったことでも、不安なことでも、吐き出せばいい」

ハルヒ「……」

キョン「……ハルヒ?」

ハルヒ「……あったかいわね」

ハルヒ「人って、こんなにあったかかったんだ」

761 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 19:40:56.44 ID:J3Ebqg2N0

キョン「は、恥ずかしいこと言うなよ」

ハルヒ「ねえ、キョン」

キョン「……ん?」

ハルヒ「なんか、もういいや」

キョン「何が」

ハルヒ「文句言ったり、泣かなくても、なんか大丈夫な気がする」

キョン「はあ」

ハルヒ「今、あたしすごく落ち着いてるの。なんか、穏やかっていうか、安心っていうか」

キョン「そいつはよかった」

ハルヒ「だから、その……もう少しこのままでいて」

キョン「……お、おう」

ハルヒ「ん、ありがと」

キョン「……な、なんだよその顔」

ハルヒ「ん?何、かわいかった?」

キョン「だ、誰もそんなこと言ってないだろ!」

773 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 19:53:11.71 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「(んん……キョンの匂い)」

ぎゅー

キョン「お、おい、ハルヒ」

ハルヒ「んー……?」

キョン「ぐぐ……」

ハルヒ「大丈夫よね、あたし」

キョン「……ああ」

ハルヒ「うん、大丈夫」

キョン「……そうだな」

ハルヒ「このままじゃあたしSOS団のみんなに顔合わせられないもの」

キョン「ははは」

ハルヒ「がんばらないとね」

キョン「……ああ」

786 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:04:37.42 ID:J3Ebqg2N0

〜二週間後〜

ハルヒ「さて、掃除掃除!」

ハルヒ「洗濯洗濯!」

ハルヒ「あ、今日はスーパーで特売やってるわね!タイムセール狙いに行かなきゃ!」

ハルヒ「求職も家事も、楽しくやらないとね」

ハルヒ「ま、仕事に関してはまだいい結果が出そうに無いけど、焦らない焦らない」

ハルヒ「ああ、そうだ。キョンに晩御飯何がいいかメールしとかなきゃ」

ハルヒ「〜♪」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キョン「ん、メールだ」

キョン「あいつあれ以来随分張り切ってるなあ」

キョン「最近じゃ駅で会った時とは別人みたいな顔つきだし」

キョン「うん、いい兆候だ」

793 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:08:54.57 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「ふー、大体やることは終わったわね……後は夕方に洗濯物取り込むだけっと」

ハルヒ「……」

ハルヒ「休憩がてら、ちょっと昼寝しようかな」

ハルヒ「……」

ハルヒ「そ、ソファベッド片付けるのも面倒だし、キョンのベッド使わせてもらおうかしら」

ハルヒ「……」

もぞもぞ

ハルヒ「はふー……」

くんくん

ハルヒ「……」

ぎゅー

ハルヒ「何してるのよ、あたしは……」

ハルヒ「でも、なんか落ち着くのよね……」

ぎゅー

ハルヒ「むー」

804 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:17:48.35 ID:J3Ebqg2N0

〜休日〜

キョン「なんか映画でも見るか」

ハルヒ「嫌よ、人ごみなんか!インフルエンザ感染ったら嫌だもの」

キョン「それもそうだなあ、じゃあDVDでも借りてくるか」

ハルヒ「それならいいわね!」

〜TATSUYA〜

キョン「なんかこう、心温まるハートフルストーリーがいいな」

ハルヒ「はあ?そんなのつまんないわよ、ねえ、これにしましょう!」

キョン「……」

ハルヒ「ね、おもしろそうでしょ?『恐怖!吸血鬼VS宇宙カバ』!」

キョン「……よしよし、それも借りような」

ハルヒ「宇宙のカバってどんなのかしら?」

キョン「さあな。口からビームでも出すんじゃないか?」

ハルヒ「早く帰って見ましょ!」

キョン「まったく……」

810 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:27:57.54 ID:J3Ebqg2N0

〜キョン宅〜

ハルヒ「さ!早く!」

キョン「まあ待てって。先に俺が借りた映画見ようぜ」

ハルヒ「は?そんなのあんたで勝手に見なさいよ」

キョン「おいおい、忘れたのか?ここは俺の家だぞ」

ハルヒ「ぐ……こんな時だけ……卑怯者!」

キョン「何とでも言え、ふはは」

キョン「さて、ゆったり見たいから寝転べるようにソファ展開するか」

ハルヒ「それはいい案ね」

〜二時間後〜

ハルヒ「……」

キョン「んー……なかなか感動的な話だったなあ」

ハルヒ「お、思ったよりおもしろかったじゃない……ぐす」

キョン「くくく、ハルヒ……お前ない」

ハルヒ「泣いてないわよ!」

814 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:34:03.86 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「つ、次はあたしの借りたやつよ!」

キョン「さて、風呂でも入ってこようかな」

ハルヒ「おい」

キョン「見るからにC級の香りが漂ってるじゃないか」

ハルヒ「そんなことないわよ!これはきっと映画史上に残る隠れた大作よ!」

キョン「どこからその自信が沸いて来るんだか……」

ハルヒ「とにかく見るの!いい?途中で寝たりしたら許さないわよ!」

〜三十分後〜

ハルヒ「ひっ……!?」

キョン「……な、なんというか思ったよりホラー色が強いな」

ハルヒ「な、なかなか憎い演出ね……怖がらせようと必死なのかしら」

キョン「……なあ、ハルヒ」

ハルヒ「な、何よ!」

キョン「狭いからあんまりこっちに寄るなよ」

ハルヒ「……し、知らないわよ!」

816 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:37:04.96 ID:J3Ebqg2N0

〜一時間後〜

ギャー!

ハルヒ「ひぃぃっ!?」

キョン「(今のちょっと俺も怖かったな……)」

ハルヒ「……」

キョン「おい、ハルヒ。隠れた大作なんだろ、ちゃんと見ろよ」

ハルヒ「……見てるわよ」

キョン「俺の背中に隠れてちゃ、見えないだろう」

ハルヒ「ちゃんと見てるって言ってるでしょ!」

ギャース!

ハルヒ「ひぃぃぃっ!?」

キョン「まったく……」

823 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:44:50.25 ID:J3Ebqg2N0

キョン「ようやく終わったな……」

ハルヒ「……ふ、ふん、子供だましだったわね」

キョン「……」

ハルヒ「何よその目は」

キョン「いや、なんでも」

ハルヒ「ぐぐ……」

キョン「んー、しかし二本も続けて映画見たら、なんだか目が疲れちまったな」

ハルヒ「確かに、ちょっと頭が重たいわね」

キョン「……ちょっと寝よ」

ハルヒ「ちょっと、今日はあんたが晩御飯作る日でしょ」

キョン「そうだったっけ……zzz」

ハルヒ「あ、ちょっと!……絶対あたしは当番代わらないわよ!」

ハルヒ「……ほんとに寝ちゃうんだし……もういい、あたしも寝る!」

ハルヒ「……zzz」

830 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 20:54:32.31 ID:J3Ebqg2N0

〜二時間後〜

ハルヒ「むにゃ……んん、本格的に寝ちゃってたわね……」

キョン「すぴー……すぴー……」

ハルヒ「ご飯も作らないでこのバカキョンは……ったく」

キョン「zzz……」

ハルヒ「ほっぺたつねってやろ」

ぐいっ

キョン「うーん……んん……」

ごろん

ハルヒ「きゃ!?」

ハルヒ「(急に寝返りうつから下敷きになっちゃったじゃないの……!)」

ハルヒ「ど、どきなさいよ……このアホキョン……」

キョン「すぴー……すぴー……」

ハルヒ「やだ、なんかこれ……」

ハルヒ「(ちょっと……どきどきしちゃうじゃない……)」

837 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 21:03:39.78 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「……」

キョン「zzz……」

ハルヒ「……」

ぎゅー

ハルヒ「(……キョンの顔、近いな)」

ハルヒ「……」

ちゅ

ハルヒ「(あ…あれ……あたし、何して)」

ちゅ、ちゅ

ハルヒ「(ちょっとだけ……ちょっとだけだから)」

ちゅ、ちゅ、ちゅ

ハルヒ「(やだ……きゅーってなる)」

ハルヒ「んちゅ……んちゅぅ……んん」

ハルヒ「(とまんないよぉ……)」

847 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 21:12:54.58 ID:J3Ebqg2N0

キョン「んんっ……んっ……う……ん!」

ハルヒ「!」

キョン「え、あ……」

ハルヒ「あ、あの」

キョン「いや、その……なんだ」

ハルヒ「……」

キョン「じ、実を言うと、ちょっと前から起きてはいたんだが」

ハルヒ「!?」

キョン「ど、どう対応していいのかわからなくてだな」

ハルヒ「ね、寝たフリしてたの!?」

キョン「そのままタヌキ寝入りを決め込もうと思ったんだが……その…・・・ 思いのほか長かったから」

ハルヒ「あ、あう……」

キョン「……あー」

ハルヒ「……うう」

858 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 21:21:57.41 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「きょ、興味本位だからねっ!」

キョン「そ、そうか」

ハルヒ「別に、なんかその、特別な感情とか、そういうのは!」

キョン「お、おう」

ハルヒ「な、ないと……思う、から……多分だけど」

キョン「……あ、ああ」

ハルヒ「あー!もう!さっさとご飯つくりなさいよ!」

キョン「いって!殴るこた無いだろ!」

ハルヒ「うるさいわね、さっさと買い物行け!」

キョン「やれやれ……まったく」

ハルヒ「はー……」

ハルヒ「(くちびる……やわらかかったな……)」

ハルヒ「(まだあたまふわふわしてる……)」

ハルヒ「ふにゃ……」

874 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 21:40:41.69 ID:J3Ebqg2N0

〜数日後〜

ハルヒ「はー、なんでホコリってのは何もしなくても次から次へとたまるのかしら」

ハルヒ「まったく、うっとおしいったらないわね!」

ハルヒ「今日は天気もいいし、お布団干そうかな」

ハルヒ「んー……さわやかな午前中ね」

ハルヒ「……」

ハルヒ「なんかすっかり慣れちゃったな、こういう生活」

ハルヒ「ふと考えてみると、ここ数年間で今が一番楽しいかもしれないわ」

ハルヒ「ふふ、人生ってわからないものなのね」

ハルヒ「……」

ハルヒ「ずっと今のままでもいいかな……」

ピリリリリリリ、ピリリリリリリ

ハルヒ「!」

ハルヒ「電話だ……なんだろう、知らない番号ね」

882 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 21:49:56.79 ID:J3Ebqg2N0

ハルヒ「はい、もしもし……涼宮ですけど」

ハルヒ「あ、ああ!はい!先日はどうも」

ハルヒ「ええ、あ、はい。……ええ」

ハルヒ「じゃあ……はい、よろしくお願いします!」

ハルヒ「はい、じゃあ、失礼いたします」

プツッ

ハルヒ「……」

ハルヒ「き、決まった……」

ハルヒ「しゅーしょくきまった……」

ハルヒ「あはは……はは」

ハルヒ「はあ……」

ハルヒ「よかった……本当によかった……」

893 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 21:52:34.56 ID:J3Ebqg2N0

あの、俺頑張って書くからまじでgnskお願い
今の感じだとパー即行ってもすぐ終わりそうだから……

907 名前:1 ◆/B7jgigWKk [] 投稿日:2009/05/31(日) 22:00:51.15 ID:J3Ebqg2N0

……なんかもうあれなのでパー即うつりますね
さっき立ててもらったスレで続き書きます

18 名前:1 ◆/B7jgigWKk[] 投稿日:2009/05/31(日) 22:08:35.42 ID:Wfl.JWQo

前スレまでのあらすじ

ハルヒは無職になってひとりぼっち。ガーン!
でも自殺しようとしたらキョンと再会。びっくり!
話の流れでキョンの家で居候させてもらうことに。ワァーイ!
なかなか仕事が決まらない決まらない。ガーン!
でもキョンに慰めてもらえたハルヒ。ワァーイ!
なんだかんだで急接近する二人。びっくり!
そんなときにハルヒに内定の電話が。ワァーイ!

21 名前:1 ◆/B7jgigWKk[] 投稿日:2009/05/31(日) 22:10:46.13 ID:Wfl.JWQo

ハルヒ「と、とりあえずキョンに電話しなきゃ!」

ハルヒ「んふふ……あいつどんな反応するかな」

ハルヒ「……」

ハルヒ「あれ……」

ハルヒ「でも、これってあたし、ここを出て行かなきゃいけないってことよね」

ハルヒ「……何馬鹿なこと考えてるのかしらあたし。いつまでキョンに迷惑かける気なのよ」

ハルヒ「心機一転、あたしも新しい生活のスタートね」

ハルヒ「……」

ハルヒ「なんだろう……あんまり嬉しくないな……」

ハルヒ「そんなのおかしいのに」

ハルヒ「……と、とりあえず電話しなきゃ」

29 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 22:18:23.39 ID:Wfl.JWQo

〜その晩〜

キョン「ただいま!」

ハルヒ「あ、おかえり……」

キョン「やったじゃないか、ハルヒ!」

ハルヒ「う、うん……なんか、あとは書類出すだけみたい」

キョン「いや、よかった……」

ハルヒ「そ、そうね……ま、まああたしが本気出せばざっとこんなところよ、はは」

キョン「……本当によかった」

ハルヒ「な、なによ。大げさなんじゃないのちょっと」

キョン「そんなことあるか、むしろお前が冷静すぎるんじゃないか?」

ハルヒ「そうかな……」

42 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 22:33:00.58 ID:Wfl.JWQo

キョン「変な奴だな、まったく」

ハルヒ「……あたし、今日はもう休むわ」

キョン「?」

ハルヒ「なんか疲れちゃって」

キョン「具合悪いのか?」

ハルヒ「違うわよ、そういうのじゃないけど」

キョン「ああ、そうか……まあ、無理もない。張り詰めてたもんが途切れたわけだからな」

キョン「ゆっくり休めよ、ハルヒ」

ハルヒ「うん……ねえ、キョン」

キョン「ん?どうかしたか?」

ハルヒ「……」

ぎゅー

キョン「!?」

ハルヒ「……なんでもない、お休み」

58 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 22:44:33.08 ID:Wfl.JWQo

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「……ちょっと」

キョン「ん?」

ハルヒ「あたし寝るって言ってんでしょ」

キョン「おう、寝ろよ」

ハルヒ「眩しいんだけど」

キョン「しょうがないだろ、お前はいっつもリビングで寝てるんだから」

ハルヒ「電気消しなさいよ」

キョン「なにが楽しくて電気消して晩飯食わなきゃならんのだ」

ハルヒ「……ぐぐ」

キョン「ほら、俺のベッド使っていいから。奥行け、奥」

ハルヒ「むー」

63 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 22:51:47.47 ID:Wfl.JWQo

〜数時間後〜

キョン「さて、俺も寝るか……」

ガラッ

キョン「……そういやハルヒが使ってるんだったな、おれのベッド」

ハルヒ「……んん、きょん?」

キョン「ああ、悪い、起こしちまったか。いいよ、そのまま寝ててくれて」

ハルヒ「んー」

キョン「今日は俺がソファで寝るよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ハルヒ「……ねえ、キョン。聞こえる?」

キョン「おー、どうした」

ハルヒ「なんかさ、初めてあんたの家泊まった時のこと思い出さない?」

キョン「……あー、懐かしいなあ、なんか。まだ一ヶ月も経ってないってのに」

ハルヒ「変な感じよね」

キョン「なんだか随分前から一緒に住んでたような気がするなあ」

ハルヒ「……」

74 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 22:58:57.64 ID:Wfl.JWQo

ガラッ

ハルヒ「……」

キョン「ん?どうした、トイレか?」

ハルヒ「……」

もぞもぞ

キョン「は、ハルヒ!?」

ハルヒ「……や、やっぱりこっちで寝る」

キョン「そ、そうか……じゃあ俺は」

ハルヒ「……その、あの」

キョン「?」

ハルヒ「ここにいなさい」

キョン「え」

ハルヒ「団長命令よ、ここで寝なさい!」

キョン「なんだそりゃ……」

92 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 23:14:25.23 ID:Wfl.JWQo

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「(なんなんだこの異様な空気はっ……!)」

ハルヒ「ねぇ、キョン」

キョン「は、はい」

ハルヒ「いままでありがとね、いろいろ」

キョン「……なんだよ急に改まって」

ハルヒ「……」

キョン「ハルヒ?」

ハルヒ「……その、もうゆっくり話す機会もあんまりないかと思って」

キョン「ああ、そうか。言われてみればそうかもな」

ハルヒ「あんたには、ちゃんとお礼言わなきゃって、思ってて、その」

キョン「よせよ、気持ち悪いな」

ハルヒ「何よ……ばか」

102 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 23:23:40.95 ID:Wfl.JWQo

キョン「いろいろあったよなあ、思い返せば」

ハルヒ「あたしなんか初日からお風呂覗かれたしね」

キョン「だから、誤解だと言っとろうが!」

ハルヒ「どうだか」

キョン「お前だって、今はこんなに偉そうにしてるが、ちょっと前までは俺にわんわん泣きついてたじゃないか」

ハルヒ「う……」

キョン「いっつも下向いて、ネガティブなことばかり言って」

ハルヒ「うう……」

キョン「……でも、また元気になってくれてよかった」

ハルヒ「あ……」

キョン「やっぱりお前はふてぶてしいくらいで丁度いいんだよ」

ハルヒ「……」

109 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 23:32:28.01 ID:Wfl.JWQo

キョン「変わったといえばお前、料理上手くなったよな」

ハルヒ「失礼ね!最初から得意よ!」

キョン「いや、まあそうなんだが……」

ハルヒ「ふん」

キョン「それでも更に上手くなったって事だよ」

キョン「最近、晩飯が生活の楽しみの一つになってたからな、俺」

ハルヒ「……なによ」

キョン「?」

ハルヒ「……ちょ、ちょっとうれしいじゃない」

キョン「あとなんというか、家に帰ったときに誰かがいてくれるってのが、すごくホッとするんだよな」

ハルヒ「あ、それあたしも思ったわ」

キョン「だから、前にもいったかも知らんが、俺もお前に大分助けられてたんだよ」

ハルヒ「……」

キョン「……ありがとう、ハルヒ」

116 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 23:39:13.90 ID:Wfl.JWQo

ハルヒ「……感謝しなさ……いよね……ひっく」

キョン「お、おい、何泣いてんだ」

ハルヒ「……嬉しいのよ!悪い!?」

キョン「は、はあ」

ハルヒ「なんでか知らないけど、あたし今すごく嬉しくなってるの!何なのよこれ……もう」

ぎゅー

キョン「わわっ!?」

ハルヒ「こんなあたしでも……ひっく……誰かの役に立ってたんだって」

ハルヒ「必要とされてたんだって思ったら、なんか、もう……ううっ」

キョン「ハルヒ……」

キョン「だからって泣くことないじゃないか、ほら」

ハルヒ「あ……」

キョン「よしよし」

なでなで

ハルヒ「ん……」

145 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/01(月) 00:16:58.50 ID:8WCAMmUo

キョン「しかし、少し寂しくなるな」

キョン「お前がいなくなると、部屋が静かになりそうだ」

ハルヒ「……」

キョン「どうした?」

ハルヒ「あ、あのさ……あんたには悪いけど、あたしもうちょっと就職活動しようかなと思って」

キョン「え?」

ハルヒ「その……探せばもうちょっといいとこあるかなって」

キョン「お前本気で言ってるのか?」

ハルヒ「で、でも、その」

キョン「大体結構条件もよさそうじゃないか、これ以上一体何を……」

ハルヒ「……あ、あたしの勝手でしょ!」

キョン「……あのなあ」

ハルヒ「いいじゃないの!その分あんたは美味しいご飯食べられるんだから!」

ハルヒ「文句あるなら家賃だって払うわよ!」

キョン「そういう問題じゃないだろ!何言ってんだよ!」

ハルヒ「……っ!」

163 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/01(月) 00:32:15.04 ID:8WCAMmUo

キョン「どうしたんだよハルヒ……」

ハルヒ「……」

キョン「せっかく頑張ってきたんじゃないか」

ハルヒ「……違う」

キョン「違うってなんだ」

ハルヒ「……」

キョン「……ハルヒ?」

ハルヒ「……なの」

キョン「え?」

ハルヒ「嫌なの……まだここにいたいの!」

キョン「!」

ぎゅっ

ハルヒ「キョンと一緒で、毎日がすごく楽しくて」

ハルヒ「一緒にご飯食べたり、映画見たり、だらだら喋ったりり……全部、すごく楽しかった」

ハルヒ「辛いよ……キョン……もうそんなのがなくなるって思ったら……すごく胸が苦しいの」

ハルヒ「やだよ……ひっく……ううっ」

183 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/01(月) 00:47:47.19 ID:8WCAMmUo

キョン「は、ハルヒ……」

ハルヒ「すきよ……ばかぁ……あんたのこと……すきになっちゃったんだからぁ……ひっく」

キョン「え、や……」

ハルヒ「もう一人にしないで……おねがい……」

キョン「うーん、その、なんだ……」

ハルヒ「……ううっ」

キョン「……はあ」

ぎゅう

ハルヒ「ひゃ!?」

キョン「何もお前を追い出そうってんじゃないんだ、居たかったらそういってくれりゃよかったんだよ」

ハルヒ「あ……きょ……んんっ!?」

ハルヒ「ちゅ……んちゅぅ……んむ……ぷぁっ」

キョン「……あー」

ハルヒ「ふぇ……」

203 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/01(月) 00:59:58.89 ID:8WCAMmUo

キョン「何だよ変な顔して……こないだのお返しだ、って……ん!?」

ハルヒ「もっと……」

ちゅ、ちゅ、ちゅ

ハルヒ「んちゅぅ……んちゅ……」

キョン「ぷぁっ」

ハルヒ「ふにゃ……もっと……」

キョン「!?」

ハルヒ「んんっ……んむ……ちゅ」

ハルヒ「……」

キョン「……好きなだけここにいればいいさ」

キョン「俺も、その方が嬉しい」

ハルヒ「うん……」

キョン「一人じゃないだろ」

ハルヒ「うん……うん……ひっく」

216 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/01(月) 01:33:09.91 ID:8WCAMmUo

〜一年後・駅のホーム〜

キョン「なあ、覚えてるか、ここ」

ハルヒ「忘れるわけないでしょ」

キョン「ここでお前と再会したんだよなあ」

ハルヒ「消したい過去ってやつだけどね」

キョン「あの時はびっくりしたよ」

ハルヒ「こっちの台詞よ、いきなり腕掴んできて」

ハルヒ「……でも、あの時あんたが止めてくれてよかった」

キョン「そうか」

ハルヒ「世の中って、ほんとに不思議なこともあるもんね」

キョン「……なあ、いいことあっただろ、生きてて」

ハルヒ「……ええ」

キョン「それが聞ければ充分だ」

キョン「さあて、乗り換え乗り換え。急がないとみんなを待たせちまう」

ハルヒ「……ねえ、キョン」

キョン「ん?」

ハルヒ「ありがとう、あたし今、すごくしあわせよ」

キョン「そういう泣ける台詞は、来月の式までとっといた方がよかったんじゃないか?」



おしまい

251 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/01(月) 01:45:36.45 ID:8WCAMmUo

読んでくれた人、保守してくれた人みなさんありがとうございました
まさかパー速まで来るとは思ってなかった。ハルヒが死んだ?何その黒歴史

さて、スレも余っているので埋めがてら何かおまけでも書こうかと思うんだけど、どうだろう

283 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/01(月) 02:15:25.78 ID:8WCAMmUo

<とある日常>

キョン「んー……」

カリカリ

ハルヒ「毎日耳掃除してたら耳傷めるわよ?」

キョン「そうは言ってもかゆいんだからしかたないだろう、風呂上がった後なんか掃除せずにはいられん」

ハルヒ「そんなもんかしらね」

キョン「しかし、もう20年以上耳掃除をし続けてるわけだが、未だに自分の耳の構造がわからんなあ」

ハルヒ「まあ、見えないものね」

キョン「……そうだ、いいこと思いついた」

ハルヒ「?」

キョン「ハルヒ、ちょっとやってみてくれよ」

ハルヒ「はあ?嫌よ!めんどくさいわね」

キョン「そんなこと言わずに、ほれ、頼むよ」

ハルヒ「いやだっつってんでしょ!あたしは忙しいの!」

キョン「頼むよハルハル」

ハルヒ「その呼び方気持ち悪いからやめろっつってんでしょ!くっつくなうっとおしい!」

287 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/01(月) 02:25:04.77 ID:8WCAMmUo

キョン「そんな嫌がることないだろ、ほれほれ」

ハルヒ「や、ちょっと……洗濯物たたんでるんだから邪魔しないで……んんっ」

ハルヒ「……もー」

キョン「膝枕で頼むぞ」

ハルヒ「あんた果てしない馬鹿ね……ほら、早く寝転びなさいよ」

カリカリ

キョン「おー……そこそこ、あ、それは痛い……あふ」

ハルヒ「気持ち悪い声上げないでよ、まったく……」

ハルヒ「……はい、終わったわよ」

キョン「おー、すっきりしたわ。ありがとな」

ハルヒ「……」

ハルヒ「ちょっとキョン、あたしにもしなさいよ」

キョン「ん?ああ、別に構わんぞ」

294 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/01(月) 02:40:25.87 ID:8WCAMmUo

ハルヒ「……」

キョン「他人の耳の中なんか見るの初めてだな」

ハルヒ「ちょっと、あんまりジロジロ覗かないでよね」

キョン「おお、悪い悪い」

カリカリ

ハルヒ「ん……」

ハルヒ「(思ったより心地いいわね……)」

キョン「よし、こんなもんだろ。あとは綿毛の方で……」

ぽんぽん

ハルヒ「ひぁう!?」

キョン「な、何だよ……急に大きい声出したらびっくりするだろ……」

ハルヒ「だ、だって」

ぽんぽん

ハルヒ「んっ……んふっ……」

キョン「うん、これでよし、と。……ふーっ」

ハルヒ「ふにゃ!?」

ぞくぞくっ

ハルヒ「ふぁ……」

キョン「……おい、もう終わったぞ」

ハルヒ「え……あ、うん……悪くないわね」

キョン「ようやく耳かきの素晴らしさを理解したか」

ハルヒ「あ、明日もしてもらおうかな……」

キョン「さっそく掃除癖がついたな……ん、お前なんか顔赤くないか?」

ハルヒ「……そ、そうかしら」


おしまい

333 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/01(月) 19:48:23.97 ID:8WCAMmUo

<春色エイプリルフール>

〜4月1日〜

ハルヒ「フフフ……どれだけこの日を待ちわびたことか……」

ハルヒ「嘘をつきまくって、キョンを恐怖のどん底に突き落としてやるわ!」

ハルヒ「へっへっへっへっへ」

ハルヒ「さて、もうすぐキョンが帰ってくる頃ね」

ハルヒ「まずは、見に覚えのない疑いをかけてあたふたさせてやろっと」

キョン「ただいまー」

ハルヒ「!」

ハルヒ「(作戦決行よ!)」

ハルヒ「……」

キョン「……ど、どうしたんだよ。おかえりくらい言ってくれたっていいだろ」

ハルヒ「(怒ってるフリ……怒ってるフリ……)」

ハルヒ「ねえ、あんた今日……どこ行ってたの?」

キョン「どこってお前、仕事に決まってるじゃないか……」

ハルヒ「へえ」

キョン「……?」

337 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/01(月) 19:54:13.61 ID:8WCAMmUo

キョン「変な奴だな……」

ハルヒ「あたしはてっきり、またあの女と一緒に居たのかと思ったわ」

キョン「……はい?」

ハルヒ「あたし、見ちゃったのよ、先週……あんたが知らない女と街を歩いてるところ」

キョン「……!」

ハルヒ「どういうことなのよ!答えなさいよね!」

ハルヒ「(うろたえてる、うろたえてる……ふふ)」

キョン「はあ……そうか、見ちまったか」

ハルヒ「!?」

キョン「いや、いつかはこういう日が来るんだとは……思ってたんだが……」

ハルヒ「え……?ちょっと、キョン……?」

キョン「すまん、ハルヒ……お前には申し訳ないことをしたと思ってる」

ハルヒ「え……え……」

キョン「全部俺が悪いんだ、だから、いくら責められたって仕方がない」

ハルヒ「そんな、あの」

キョン「……大事な話をしよう、ハルヒ」

ハルヒ「い、いや……なに、どういうことなのよ……」

339 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/01(月) 19:59:42.96 ID:8WCAMmUo

キョン「彼女のこと、本気で愛してるんだ……だから」

ハルヒ「いや……そんなの……聞きたくない」

キョン「別れよう、ハルヒ」

ハルヒ「やだ……やだあ……」

キョン「……」

ハルヒ「なんとか言いなさいよ……そんなのあたし……」

ピリリリリ、ピリリリリ

キョン「電話、なってるぞ」

ハルヒ「いまそれどころじゃないでしょ!」

キョン「いいから見ろよ、待っててやるから」

ハルヒ「そんな……」

ピッ

From:キョン
内容:
  *     +  うそです
     n ∧_∧ n
 + (ヨ(* ´∀`)E)
      Y     Y    *

ハルヒ「!?」

キョン「4月バカというやつだ」

ハルヒ「!!」

342 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/01(月) 20:10:11.69 ID:8WCAMmUo

ハルヒ「な、な、な……」

キョン「ふはは」

ハルヒ「何考えてんのよ!バカキョン!アホキョン!」

キョン「何を言う、元はといえばお前が蒔いた種じゃないか」

ハルヒ「……」

キョン「大体先週の休みはずっとお前と居たわけだが」

ハルヒ「……」

キョン「つくならもうちょっとマシな嘘をつけ、まったく……おい、聞いてるのか?」

ハルヒ「あ……あ……」

キョン「……ハルヒ?」

ハルヒ「よかったぁ……ううっ……よかった……」

キョン「な、泣くことないだろ……」

ハルヒ「だって……だって……あたし、ほんとに……ひっく」

キョン「あー、わ、悪かったよ……不謹慎だったな、俺が悪かった」

ハルヒ「うぇ……ううっ……ばかぁ」

キョン「ほらほら、もう泣くな……よしよし」

なでなで

ハルヒ「あんたなんか……だいっきらいなんだからぁ……」

ぎゅー

キョン「ああ」

ハルヒ「傍にいてほしくなんかないんだから……」

ぎゅー

キョン「そうだな」

ハルヒ「ずっと一緒に暮らさないんだからね……」

キョン「……わかってるよ」

おしまい

365 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 20:16:50.08 ID:FqtXZygo

<長門有希のお泊り>

ハルヒ「……」

そわそわ

ハルヒ「……」

そわそわ

ピンポーン♪

ハルヒ「!」

ハルヒ「キタキター!」

ガチャ

ハルヒ「いらっしゃ……ん?」

配達員「あ、宅急便ですー」

ハルヒ「……」

配達員「あのー、はんこ……」

ハルヒ「紛らわしいじゃないの!何よこんなときに!」

配達員「ひぃ!?」

キョン「おい、何もめてるんだ……」

ハルヒ「有希が来たのかと思ったら悪質なイタズラだったのよ!」

キョン「……ややこしくなるからすっこんでなさい」

ひょい

ハルヒ「わわっ」

キョン「どうもすいませんねえ、あ、サインでいいですか?」

配達員「……は、はあ」

キョン「はい、っと」

配達員「ありがとうございましたー」

369 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 20:27:48.59 ID:FqtXZygo

キョン「はー、まったく」

ハルヒ「むー」

キョン「長門は夕方にしか来ないって言ってただろう?」

ハルヒ「もしかしたらってことがあるでしょ」

キョン「お前のもしかしたらが外れるたびに来客者が怒鳴られたんじゃ、警察呼ばれたって文句言えないぞ……」

ハルヒ「……フン」

キョン「もういい大人なんだから、嬉しいのはわかるがはしゃぎ過ぎるなよ」

ハルヒ「あーあー聞こえなーい」

キョン「……イラッ」

キョン「聞き分けのない奴にはおしおきだ!」

びにょーん

ハルヒ「ひ!いふぁい、いふぁいって……ひょん!ほっふぇたひっふぁんらいれ!」

キョン「ごめんなさい、は」

ハルヒ「ご……ごめんなふぁい……」

キョン「やれやれ……」

ハルヒ「ってて……顔が伸びたらどうしてくれんのよ!バカキョン!」

キョン「さて、ところで」

ハルヒ「うー!人の話聞きなさいよ!」

キョン「一体この荷物は誰からかな、っと」

ハルヒ「あ!」

キョン「?」

ハルヒ「もしかして中に有希が隠れてたりして!サプライズね!」

キョン「こ、怖いこというんじゃない!」

キョン「……」

キョン「(まさかほんとに入ってないだろうな……)」

370 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 20:39:56.76 ID:FqtXZygo

キョン「……ああ、なんだ。うちの実家からだ」

ハルヒ「あら」

キョン「どうせまた処理に困ったお中元をそのまま送りつけてきたんだろうな……」

ハルヒ「ま、ありがたいじゃない。開けてみましょ!まだ有希が入ってる可能性も捨てきれないわ!」

キョン「それは捨てなさい!」

ハルヒ「あんた、シュレディンガーの猫って知らないの?」

キョン「……なんだ、急に」

ハルヒ「猫は狭い所が好きだから、箱があったら開けてみなさいっていうことの例えよ」

キョン「何から何まで間違っとる!」

ハルヒ「えい♪」

びりびり

キョン「ああ、包装紙は綺麗に剥がせよ……後で使うかもしれないのに」

ハルヒ「うわあ!」

キョン「な、なんだ?まさか長門が……!?」

ハルヒ「ハムよ、ハム!こんなおっきい塊の!」

キョン「おお、今回は当たりだな」

ハルヒ「肉よ!お肉!」

キョン「さっそく今日はこいつを焼くとするかね」

長門「……厚さは二センチが適切」

キョン「はは、ちょっとそれは分厚すぎないか、長門」

キョン「……」

キョン「え!?」

ハルヒ「!!」

長門「……久しぶり」

ハルヒ「きゃー!有希!有希!」

キョン「い、いつの間に……」

371 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 20:52:31.18 ID:FqtXZygo

長門「……呼び鈴を押しても反応がなかった」

キョン「ああ、すまん……こいつがぎゃあぎゃあと騒いでたから……」

長門「……話し声が聞こえたので、中に入った」

キョン「うん、いらっしゃい」

長門「……コクリ」

ハルヒ「久しぶりぃ!有希ー♪」

がばっ

長門「!?」

ハルヒ「んー……」

すりすり

長門「……お邪魔します」

キョン「ほら、ハルヒ。長門も疲れてるだろうから、離れなさい」

ハルヒ「やーよ!バカキョン!」

長門「……問題ない」

ハルヒ「ほら見なさい!有希がこう言ってるのよ!」

ぎゅー

長門「……♪」

キョン「やれやれ」

376 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 21:03:20.11 ID:FqtXZygo

〜その晩〜

長門「……もぐもぐ」

キョン「しかし、まあ」

長門「……ぱくぱく」

キョン「相変わらずよく食べるなあ」

長門「……そうでもない」

キョン「そこまでいくと感心するな」

ハルヒ「どう、有希?あたしの特製料理の数々は」

長門「……とても、おいしい」

ハルヒ「きゃー!有希大好き!」

ぎゅー

キョン「お、おい、食事中だぞ……」

ハルヒ「うるさいわね、外野は黙ってなさいよ……」

キョン「が、外野……」

長門「……もぐもぐ」

387 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/03(水) 00:17:39.51 ID:tAUnU2Uo

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ハルヒ「じゃ、あたしお風呂入ってくるわね」

キョン「おい、洗い物終わってからにしてくれよ、お湯使えないだろ」

ハルヒ「うるさいわね、水で洗いなさいよ軟弱物!」

キョン「やれやれ……」

ハルヒ「有希も一緒に入る?」

長門「……いい、私は後で」

ハルヒ「あら、そう……残念ね」

キョン「子供か、お前は」

ハルヒ「何よ、あんたがおっさんになっただけでしょ」

キョン「まあ、否定はできないな」

ハルヒ「さーてお風呂お風呂」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
キョン「はー……ほら長門、お茶入ったぞ」

長門「……コクリ」

キョン「……なあ、前から気になってることが一つあるんだ」

長門「……なに」

キョン「中学一年生の夏……いや、俺は高校一年生だったんだが、ええい何と言えばいいか、つまり」

キョン「要するに、俺とお前が時間軸的に初めて出会ったときのことだ」

キョン「当時の俺から数えて三年前だというのに、お前はまったく変わらない姿だった気がするんだが」

長門「……コクリ」

キョン「だが、今のお前はどうだ?俺にはどう考えても、お前が歳を取ってるように思えてならない。俺達と同じようにな」

長門「……涼宮ハルヒの力の消滅を確認してからも、私には動向の観察のため待機命令が出ている」

長門「……私は対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース。……自然に社会に溶け込む必要があった」

キョン「……なるほど」

キョン「たしかに、俺達と関わっていく以上、いつまでも同じ姿のままじゃ誰だって不審がるものな」

長門「……コクリ」

390 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/03(水) 01:45:42.99 ID:tAUnU2Uo

キョン「わざわざ仕事に就いているのもそのためか?」

長門「……そう。……でも、私という個体にとって、この星での一般的な社会生活をこなすことが非常に興味深いというのもある」

キョン「どこぞの缶コーヒーのCMみたいだな」

長門「……彼は親戚」

キョン「!?」

長門「……嘘」

キョン「そ、そうか」

長門「……コミュニケーションを円滑にするのに、ジョークは必要」

キョン「そ、そうだな……」

長門「……」

キョン「(あながち冗談とも言いがたい気がするんだが……あまり深く触れないでおこう)」

ハルヒ「ふぃー!気持ちよかったー!」

キョン「……うるさいやつが帰ってきたようだ」

ハルヒ「ビール!冷たいビール!」

キョン「バスタオル一枚でふらふらしちゃいけません、みっともない!」

392 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/03(水) 02:03:29.20 ID:tAUnU2Uo

〜深夜〜

ハルヒ「んー……」

キョン「おお、もうこんな時間か」

ハルヒ「そろそろ寝ましょうか……ふぁ」

キョン「そうだな」

長門「……コクリ」

ハルヒ「んふふ、今日はあたしと有希はソファで寝るからね!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キョン「……」

キョン「当然のことなんだが……わかっていてもなんだか寂しいものがあるな」



ハルヒ「んふふー」

ぎゅー

長門「……」

なでなで

ハルヒ「んー……えへへ、もっと撫でてー」



キョン「俺も長門に頭撫でられたい……ちくしょう、二人でキャッキャウフフしやがって」

キョン「こう、両手でそれぞれ腕枕なんかして……なんて」

キョン「……もう寝よう」

393 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/03(水) 02:31:41.92 ID:tAUnU2Uo

〜翌朝〜

キョン「おーいお前ら、起きろ……って」

ハルヒ「くー……くー……」

長門「すぅ……すぅ……」

キョン「なんだか微笑ましいなあ」

キョン「……もうちょっと寝かしといてやるかね」

〜後日〜

ハルヒ「また有希が泊まりに来るわよ!」

キョン「誰に説明しとるんだ、お前は」

ピンポーン♪

ハルヒ「有希ー!……って」

配達員「……あ、あのですね」

ハルヒ「あんたいい加減にしなさいよ!……きゃ!?」

ひょい

キョン「はいはい、すいませんね毎度毎度。サインでいいですか?」

配達員「(もうこの家いや……)」

キョン「しかしやたら大きい荷物だな……」

ハルヒ「なんだろ……あれ、なんかこの箱震えてない?」

キョン「え」

バリバリバリッ

長門「……お邪魔します」

キョン「!?」

長門「……サプライズ」

ハルヒ「きゃー!有希、やるじゃないの!」

キョン「えっなにそれこわい」

おしまい

416 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/04(木) 21:33:24.80 ID:pw0qGHAo

まだスレがある限り、終わらんよ

421 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/04(木) 23:17:24.54 ID:pw0qGHAo

今回の話はちょっと趣向を変えます
ふつうにセクロスする予定なので(というかそれがメインなので)
嫌な人はこのIDのNG登録を推奨

424 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/04(木) 23:24:02.80 ID:pw0qGHAo

<LOVERS法>

ハルヒ「はー、いいお湯だった」

ハルヒ「って、もう始まっちゃうじゃないの!」

ドタバタ

キョン「なんだ、騒々しいな」

ハルヒ「リモコン、リモコン……あった!」

キョン「おい、ハルヒ。髪ぐらいちゃんと乾かしてから……」

ハルヒ「ちょっと、うるさい。テレビの音聴こえないでしょ」

キョン「……な」

ハルヒ「あたしがこのドラマ毎週欠かさず見てるの知ってるでしょ、邪魔しないでよね」

キョン「こっちを向きすらしない……」

ハルヒ「……」

キョン「おーい」

ハルヒ「……」

キョン「……無視かい」

ハルヒ「……」

キョン「やれやれ」

425 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/04(木) 23:25:12.81 ID:pw0qGHAo

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キョン「さて、皿洗いも終わったし、俺もテレビでも見るか」

キョン「よっこらせ」

ハルヒ「……ちょっと、背中暑いからくっつかないで」

キョン「まあ、そう言うなよ」

ハルヒ「大体なんであんたそうやっていっつも後ろから抱きかかえるわけ?」

キョン「いつもはお前が膝の上に乗っかってくるんじゃないか」

ハルヒ「あ、もうCM終わるから黙ってなさいよ」

キョン「あのな」

ハルヒ「あんたに構ってる暇なんかないの!」

キョン「……はあ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キョン「(まったく、髪もちゃんと乾かさずに……傷んだって知らんぞ)」

キョン「(なんか癪に障るからイタズラでもしてやるかな)」

キョン「♪」

ふにゅ

ハルヒ「ひぁ!?」

ハルヒ「ちょっと、どこ触ってんのよ!」

キョン「なんのことだ?ほら、ちゃんとテレビ見てないと」

ふにゅふにゅ

ハルヒ「やっ……!」

ハルヒ「あんたいい加減に……」

キョン「俺に構ってる暇なんかないんじゃなかったのか?」

ハルヒ「……ふ、フン」

426 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/04(木) 23:46:39.63 ID:pw0qGHAo

ハルヒ「(このアホキョン……構って欲しくて必[ピーーー]。そんなやつ無視よ、無視)」

キョン「……」

なでなで

ハルヒ「んっ……」

キョン「(あくまで無視を決め込むかい……ま、いいさ)」

くりくり

ハルヒ「ひっ!?や、やめ……」

キョン「おいおい……Tシャツの下、何もつけてないじゃないか」

ハルヒ「……ね、寝るときは苦しいからよ!」

キョン「ふーん」

くりくり、くにくに

ハルヒ「んんっ……はぅん……」

ハルヒ「(この変態め……)」

キョン「ほら、テレビ見てなくていいのか」

ハルヒ「あ、あんたが……」

キョン「んー?」

ぺろぺろ

ハルヒ「んんっ……んふっ……」

ハルヒ「(やぁ……耳は、だめ……♥)」

429 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/05(金) 00:09:01.46 ID:vaPe7EQo

キョン「フフ……」

すーっ

ハルヒ「(あ……Tシャツの中に、手が……)」

なでなで

キョン「んー、どうして女の子の肌ってのはこんなに柔らかいんだろうな」

なでなで

ハルヒ「んっ……んふっ……」

きゅっ

ハルヒ「ひぃん!?」

キョン「ん?なんか硬くなってるぞ」

こりこり

ハルヒ「だ……だめ……やめなさ……ひっ♥」

キョン「んー、なんだって?」

ハルヒ「だ、だから……んっ……」

ハルヒ「(さきっぽいじっちゃだめ……変な気分になっちゃう……)」

キョン「ほら、ハルヒ。下向いてないで、テレビ見てろよ」

ハルヒ「い、いいかげんに……」

キョン「ふーっ」

ハルヒ「ひぁう!?」

ぞくぞくぞくっ

ハルヒ「(耳ふーってしたら……ぞくぞくくるよぉ……♥)」

435 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/05(金) 01:50:23.37 ID:vaPe7EQo

ハルヒ「あ……あ……」

キョン「どうしたんだよ」

ハルヒ「も、やめ……んんっ♥」

キョン「ハルヒ……」

ぼそぼそ

ハルヒ「(こんなに近くで囁かないで……きゅんきゅんしちゃう……)」

キョン「俺は無視されてひどく傷ついたぞ」

ちゅ、ちゅ

ハルヒ「も、もう……そんなことしないからっ……んああ♥」

ハルヒ「耳はだめ……だめだって……はう♥」

キョン「ちゃんと謝ったら許してやるよ」

ハルヒ「ご……ごめんなさい……許してぇ」

キョン「ちゃんと俺の言うこと聞くか?」

ハルヒ「聞く……言うこと聞きます……ふぅん♥」

キョン「よし、じゃ、ご褒美やろうな」

ちゅ、ちゅ、ちゅ

ハルヒ「んんっ……んちゅ……んちゅぅ……」

ハルヒ「(こんな優しいキスされたら……あたまトロけちゃうよぉ……)」

キョン「くっくっく」

437 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/05(金) 02:57:26.24 ID:vaPe7EQo

ハルヒ「んちゅぅ……んちゅぅ……」

ハルヒ「(体に……力が入んない……)」

キョン「お、やっと大人しくなったじゃないか」

ハルヒ「んー……」

キョン「さて、飽きたしもう寝るかな」

ハルヒ「え……?」

キョン「ふぁーあ」

ハルヒ「あ……そんな……まっ……んむっ!?」

ちゅ、ちゅ、ちゅ

ハルヒ「んちゅ……んん……」

キョン「今の淋しそうな顔、なかなかよかったぞ、ハルヒ」

ハルヒ「ばかぁ……んちゅぅ……」

こりこり

ハルヒ「んんっ♥やぁん♥」

キョン「気持ちいいか?」

ハルヒ「変なことっ……言わせない……で」

キョン「ちゃんと質問に答えないと、ほら」

きゅっ

ハルヒ「ひぃ!?そんな引っ張っちゃ……はぁん♥」

キョン「どうなんだ?」

ハルヒ「き、きもち……いいです……んんっ♥」

キョン「よしよし」

438 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/05(金) 03:24:10.08 ID:vaPe7EQo

ハルヒ「……」

むずむず

キョン「腰がもぞもぞしてるぞ?」

ハルヒ「だって……だって……」

キョン「さて、じゃあどんな感じになってるかな……と、おお」

くちゅくちゅ

ハルヒ「ひっ!?」

キョン「すごいな、ほら。見てみろよ、この指」

ぬちゃあ

ハルヒ「やぁ……見せないで!」

キョン「はは、かわいいなあお前」

ハルヒ「ばか……ばかぁ……」

キョン「お、そんな口利いていいのかね」

くちゅくちゅくちゅくちゅ

ハルヒ「ひぅ!?だめだめだめ……んんんんっ♥」

キョン「ほら、口が留守だぞ」

ハルヒ「んんっ♥んちゅぅ……んちゅぅ……」

ハルヒ「(だめ……こんなのだめ……)」

439 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/05(金) 03:40:04.86 ID:vaPe7EQo

くちゅくちゅ

ハルヒ「ふぁぁん……ああっ……んっ♥んっ♥」

ハルヒ「いっ……あたひ……イっちゃ……ひぐ」

キョン「!」

ハルヒ「あっ♥あっ♥」

キョン「イく時はちゃんと顔見せろって、いつも言ってるだろ」

ぐいっ

ハルヒ「はひ……あっ♥だめ♥んんんんんっ♥♥♥♥」

ぞくぞくぞくぞくっ

ハルヒ「はー……はー……」

キョン「ん、よくできました」

なでなで

ハルヒ「きょん……んん……」

すりすり

キョン「(……素直にしてりゃ、かわいいんだよな、こいつも)」

ハルヒ「ね、ねぇ……キョン」

キョン「?」

ハルヒ「あたしならもう大丈夫だから、つ、続き……」

キョン「……ほう」

ハルヒ「その……お尻にこんな固いの押し付けられたら……気が変になりそう……」

441 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/05(金) 04:36:11.08 ID:vaPe7EQo

キョン「欲しいのか?」

ハルヒ「……ちがっ……その」

キョン「正直に言わないと、してやらないぞ?」

ハルヒ「……あ」

キョン「してほしいんだろ?」

ハルヒ「は……い……」

かぁぁっ

キョン「……そんな顔されたら、嫌とは言えないな」

ハルヒ「んちゅ……んちゅぅ……」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ハルヒ「ああああっ♥♥♥」

キョン「くっ……きっついな、今日は」

ハルヒ「あっ♥らめ♥深いのぉ♥♥♥」

キョン「いいぞ、ハルヒ……」

ハルヒ「はへ!?そこっ……擦っちゃらめぇ……♥」

キョン「そんなエロい顔してたら、説得力ないぞ?」

ハルヒ「こ、腰が勝手に……うごいちゃうよぉ♥♥♥」

キョン「愛してるぞ、ハルヒ」

ハルヒ「ああ……きょぉん……しゅき……だいすき……♥」

キョン「これからもずっと愛してやるからな、覚悟しとけよ」

ハルヒ「ごひゅじんさまぁ♥」

キョン「……なんだそりゃ」

ハルヒ「キョンはあたしのごしゅじんさまなのぉ……♥♥♥」

キョン「はは、悪くないな」

ハルヒ「んちゅぅ……んちゅぅ……何でも言うこと聞くからぁ」

ハルヒ「(もうキョンから離れられないよぉ……)」

442 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/06/05(金) 05:04:21.81 ID:vaPe7EQo

〜事後〜

ハルヒ「んー……」

すりすり

キョン「ん」

なでなで

ハルヒ「ふにゃ……」

キョン「しかし、これじゃもう一回風呂に入りなおさないとな」

ハルヒ「……まったく、あんたのせいよ。バカキョン」

キョン「全部俺のせいってことはないだろ」

ハルヒ「おまけに結局テレビ最後まで見れなかったわ……話がわかんなくなったらどうすんのよ!」

キョン「さっきまでごしゅじんさま、とか言ってたのに、つれないやつだな」

ハルヒ「あ、あんなの戯言よ!さっさと忘れなさい!ぶっ飛ばすわよ!」

キョン「はーあ……先、風呂使うぞ」

ハルヒ「あ!ちょ、ちょっと待ってよ!」

ぎゅー

ハルヒ「……だっこ」

キョン「はい?」

ハルヒ「……あ、あたしも一緒に入るって言ってんの!」

ハルヒ「だから、だっこ」

キョン「……やれやれ、とんだお姫様だな」

ぎゅー

ハルヒ「えへへ」

ハルヒ「(優しいご主人様……♥)」

すりすり

キョン「?」

おしまい

492 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/27(月) 16:13:39.47 ID:KM.Do/6o

<>

ハルヒ「この辺でいいかしら……んー、もうちょっと高めの位置でもいいわね」

キョン「おーい、昼飯できたぞ」

ハルヒ「あ、今行くわ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キョン「……で、だ」

ハルヒ「?」

キョン「何だ、その髪型は」

ハルヒ「何って、ポニーテールじゃない、あんたの好きな」

キョン「……ということは」

ハルヒ「あのね、キョン?」

キョン「上目遣いをやめろ、アヒル口をつくるな、首を傾げるな」

ハルヒ「買って欲しいものがあるんだけど……」

キョン「……また始まった」

ハルヒ「だめ?」

キョン「却下」

ハルヒ「何よ!せっかくポニーテールにしたのに!」

キョン「どうしてポニーテールにしたらなんでもまかりとおると思ってるんだよ!」

ハルヒ「……けち」

キョン「何とでも言え」

494 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/27(月) 16:23:17.30 ID:KM.Do/6o

ハルヒ「じゃあ、もうポニーテールやーめた」

キョン「はあ……」

ハルヒ「何ため息ついてんのよ」

キョン「いや、やっぱり時間が経つと本性ってのが出て来るのかね」

ハルヒ「え」

キョン「いつからこんなずうずうしい子に……ああ、昔からだった」

ハルヒ「な、何よ!」

キョン「このままだんだん家事もおろそかになって、ブクブク太って、俺を家来のようにこき使いだすんだろうなあ……」

ハルヒ「そ、そそ、そんなことないわよ!」

キョン「ああ、頭が痛い」

ハルヒ「ええい、辛気臭いわね!テレビでも付けるわよ!」

ポチッ

『特集!夫の居ぬ間に贅沢三昧!セレブランチ隠れスポットを探れ!』

キョン「……」

ハルヒ「……ちゃ、チャンネル変えるわよ」

キョン「……」

ハルヒ「あ、あたしはそんなことしてないわよ」

キョン「……」

ハルヒ「視線が痛い!」

496 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/27(月) 16:30:33.46 ID:KM.Do/6o

ハルヒ「大体なんでこんな番組を日曜の昼にやるのよ!旦那も見てることくらい考えなさいよ!」

キョン「平日ならメモの用意をして釘付けになるんだな」

ハルヒ「ち、違うって言ってるでしょ!」

キョン「……はー、まあなんでもいいさ。ほら、飯が冷めるぞ」

ハルヒ「あ、うん……」

キョン「……」

もぐもぐ

ハルヒ「……」

もぐもぐ

キョン「……」

ハルヒ「……」

ハルヒ「(なんなのよ……この嫌な沈黙は)」

ハルヒ「な、なんか喋りなさいよ」

キョン「なんかって……特に何も……お前こそ喋れよ」

ハルヒ「いや、あたしもこれといって別に……」

キョン「……」

ハルヒ「……」

497 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/27(月) 16:37:54.04 ID:KM.Do/6o

ハルヒ「ご、ごちそうさま……」

キョン「食器、流しにつけといてくれ」

ハルヒ「あ、あたしが洗うわよ」

ハルヒ「(結局あれから一言も喋らなかった……)」

キョン「ふぁーあ」

ハルヒ「(空気悪いわね……明るく、明るく……)」

ハルヒ「ね、ねえキョン?せっかく休みなんだし……」

キョン「ああ、ゆっくり休ませてもらうよ」

ハルヒ「え?あ、いや、そうじゃなくて……どっか行きたいなって」

キョン「どっかってどこだよ?」

ハルヒ「何でもいいじゃない、その……映画とか」

キョン「こないだ行っただろ」

ハルヒ「じゃ、じゃあ……買い物とか」

キョン「金がもったいない」

ハルヒ「(何よ……買わなくたって見て歩いてるだけでも楽しいのに)」

キョン「……寝よ」

ハルヒ「あ、ちょっと!……もう」

498 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/27(月) 16:51:34.18 ID:KM.Do/6o

ハルヒ「はあ」

ハルヒ「……」

ハルヒ「することない……」

ハルヒ「部屋の片付けでもしようかな」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ハルヒ「はーあ、なんか最近ギクシャクしてるわね」

ハルヒ「もしかしてあたし、飽きられてるのかしら」

ハルヒ「ポニーテールにしてもあんまり反応してくれなかったし……」

ごそごそ

ハルヒ「なんだろ、このダンボール……」

ハルヒ「あ、あたしがここに来た時に持ってきたやつね」

ハルヒ「まだ一度も開けてないみたいだけど……何が入ってたかしら?」

ごそごそ

ハルヒ「あ!」

ハルヒ「懐かしいなあ……」

ハルヒ「……」

ハルヒ「……いいこと考えた」

506 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/27(月) 21:27:50.10 ID:KM.Do/6o

ハルヒ「ねー、キョン?」

キョン「んー……なんだよ、映画なら行かないって……」

ハルヒ「いいから起きなさいよ、ほら!」

キョン「んん……」

ハルヒ「起ーきーろ!」

キョン「……!!」

ハルヒ「えへへ……どうかな」

キョン「は、ハルヒ……?」

キョン「いや、待てこれは……え?」

ハルヒ「部屋の掃除してたら出てきたのよ、昔の制服!」

キョン「ああ……一瞬高校の頃に戻されたのかと思ったじゃないか、心臓に悪いな」

ハルヒ「え?そんなに若く見える?」

キョン「断じてそういう意味ではない」

ハルヒ「うう、はっきりと言うわね」

キョン「(危うく青春時代を無限ループするところだった……)」

ハルヒ「?」

キョン「(そんな考えが真っ先に浮かんでくる人生経験があるというのも、考え物だが……)」

キョン「……フフ」

ハルヒ「何よ、思い出し笑い?気持ち悪いわね……」

キョン「……」

507 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/27(月) 21:44:12.13 ID:KM.Do/6o

ハルヒ「でも、確かに歳取ったかも……」

キョン「むしろ着れるだけでも充分驚きだ」

ハルヒ「丈も短いし、全体的に窮屈だし……あ、胸おっきくなったせいね、きっと!」

キョン「……果たして胸だけだろうか」

ハルヒ「……」

キョン「俺が悪かったから、その恐ろしい顔をやめてくれ。夢に出てくる」

ハルヒ「うう……太ったかな……」

ぷにぷに

キョン「……」

ハルヒ「な、何ニヤニヤしてんのよ!」

キョン「いや、なんかかわいいなあと思って」

ハルヒ「!」

かぁぁぁっ

ハルヒ「ば、バカにしてんの!?」

キョン「よしよし、似合ってるぞハルヒ」

なでなで

ハルヒ「ふにゃ……」

511 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/27(月) 23:49:11.01 ID:KM.Do/6o

ハルヒ「ねえ、キョン」

キョン「んー」

ハルヒ「あたしのこと好き?」

キョン「なんか悪いものでも食べたのか」

ハルヒ「お昼ごはん作ったのあんたでしょ!」

キョン「はて、賞味期限には気を配ったつもりなんだが……」

ハルヒ「もう、茶化すな!」

キョン「文脈にそぐわない事をいきなり聞いてくるからだろ!」

ハルヒ「……ちょっと、昔のこと思い出したのよ。これ着てたらね」

キョン「……ふむ」

ハルヒ「あたしがこの制服を着てた頃、あんたはあたしのことどう思ってたのかなって」

キョン「ちなみに、お前はどうなんだ?」

ハルヒ「……ええと」

ハルヒ「あの時は、全然そんなつもりなかったんだけど、今にして思えば……好きだった……かも」

キョン「なんだよ、その甘酸っぱい青春の模範解答は」

ハルヒ「だって仕方ないでしょ!まさにそんな年頃だったんだから!」

キョン「やめやめ、もうこっちまで恥ずかしくなってくるだろ」

ハルヒ「ちょっと!人に言わせておいて、自分だけ逃げようなんて、そうはいかないわよ!」

キョン「面倒くさいやつだな、もう!」

ハルヒ「うっさい!」

キョン「ぐぇ……息できねえ……や、やめろハルヒ!締まってるから!」

512 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/28(火) 00:00:57.81 ID:KAOwM1Qo

キョン「あー、なんだ、その」

ハルヒ「う、うん」

キョン「お前の言葉を借りるなら、今にして思えば、ってところだろうな」

ハルヒ「今にして思えば……何なのよ」

キョン「わかるだろ、そこまで言えば」

ハルヒ「わかんないわよ」

キョン「はあ……す、好きだったんじゃないか?」

ハルヒ「……」

キョン「もう忘れた!昔のことだろ!なんだよ今になって!」

ハルヒ「そっか……うん……」

キョン「何一人で納得してるんだよ!」

ハルヒ「んふふ……えへへ……」

キョン「ニヤニヤすんな!」

ハルヒ「キョンのくせにかわいいとこあるじゃないの……もー」

ぎゅー

キョン「ええい!暑苦しいから離れろ!」

ハルヒ「また照れちゃってー……んふふ」

キョン「なんなんだよ、まったく!」

ハルヒ「だって好きとか言われたの久しぶりだし……たとえそれがあんたからでも、多少嬉しいじゃない?」

キョン「多少なのかよ!」

513 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/28(火) 00:05:50.42 ID:KAOwM1Qo

ハルヒ「あ、そうだ!」

キョン「……今度はなんだよ」

ハルヒ「あんたも探せば制服出てくるんじゃない?」

キョン「な……」

ハルヒ「そしたら制服デートよ!」

キョン「どんな羞恥プレイだ、それは!」

ハルヒ「いいからあんたも探しなさい!あんたの部屋のクローゼットの奥のほうに眠ってるんじゃないの!?」

ドタバタ

キョン「!」

キョン「ま、待てハルヒ!そこは開けるな!」

ハルヒ「何よ、いかがわしいものでも隠してるの?」

キョン「い、いや……決してそういうわけでは」

ハルヒ「……なんか臭うわね」

キョン「何のことだか」

ハルヒ「ま、いいわ!どっちにしろ中を調べればわかることよ!」

キョン「だ、だからやめろというのに!」

ハルヒ「問答無用!」

ガチャッ

キョン「ああ……もう!」

516 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/28(火) 00:12:34.59 ID:KAOwM1Qo

ハルヒ「あら、意外とちゃんと整理されてるじゃないの……制服はなさそうね」

キョン「人の話も聞かずに……」

ハルヒ「聞いてたわよ。聞いてた上で無視したの」

キョン「余計とタチが悪いんだよ、それは」

ハルヒ「ふん」

キョン「大体、制服なんか実家に置いてきたに決まってるだろう?」

ハルヒ「……それもそうね」

キョン「まったく俺にはプライバシーってものがないのか」

ハルヒ「あのね、プライバシーはコソコソと人に隠すようないかがわしい趣味を守るためのものじゃないの」

キョン「だからそんなんじゃないって言うのに!」

ハルヒ「は、どうだかねえ……なんかそういうDVDとか本とか、隠してるんじゃないの?」

ゴソゴソ

キョン「やめんか!」

ハルヒ「……あら?何、この紙袋」

キョン「!!」

ハルヒ「随分慌ててらっしゃるようねえ……」

キョン「ハルヒ、悪いことはいわん。それはそのまま置いとけ……」

ハルヒ「なに、どんなマニアックな趣味をお持ちなのかしら……?」

キョン「ぐぐ……」

519 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/28(火) 00:25:01.16 ID:KAOwM1Qo

ハルヒ「さーて、早速確かめるわよ!」

ガサッ

キョン「(あーあ……)」

ハルヒ「……あ、あれ」

キョン「……」

ハルヒ「あ、あの、これって」

キョン「はあ……だから開けるなって言ったのに」

ハルヒ「あたしが欲しかった靴……」

キョン「もうすぐあの日だっただろ、ほら……駅でまた会った日」

ハルヒ「あ……」

キョン「色々渡し方とか考えてたんだぞ……まったく」

ハルヒ「……ごめん」

ハルヒ「で、でもなんで……あたしの欲しいもの知ってるのよ」

キョン「なんでも何も、こないだ映画の帰りに街ブラブラしてた時に欲しそうにしてただろ」

ハルヒ「あう……」

キョン「ま、もうバレたらしょうがない。やるよ、それ」

ハルヒ「……あ、あの……ありがと」

キョン「大事にしろよな」

ハルヒ「はい……」

521 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/28(火) 00:42:52.12 ID:KAOwM1Qo

キョン「あー、そろそろ晩飯の買い出し行かないとな。遅くなるとあそこのスーパー混むんだ」

ハルヒ「……」

ぎゅー

キョン「わ!?なんだよ!」

ハルヒ「だって……だって……」

ぎゅー

キョン「そんなに驚くこと無いだろ、むちゃくちゃ高いもんでもあるまいし……」

ハルヒ「そういうことじゃないの!」

キョン「はあ」

ハルヒ「やだもう……今すごいドキドキしてるじゃない……ばかぁ」

キョン「は、恥ずかしいこと言うなよ」

ハルヒ「最近あんまりちゃんと構ってくれないから、あたしのこと飽きたのかと思ってたのに……」

キョン「隠し事苦手なんだよ……話をしてるとどうもボロが出そうでな」

ハルヒ「嬉しいよぉ……」

ぎゅー

キョン「うわ、泣くこたないだろ!」

ハルヒ「うるさいわね……ひっく……あんたのせいよ!」

キョン「……やれやれ」

なでなで

ハルヒ「ん……」

523 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/28(火) 00:54:51.10 ID:KAOwM1Qo

キョン「……そうそう、なんか違和感があると思ったんだ」

ハルヒ「え……?」

キョン「高校の頃より、今の方がちょっと髪長いからだな」

ハルヒ「……み、短いほうが好き?」

キョン「いーや、今のままがいいな」

ハルヒ「そ、そう?」

キョン「ほら、俺ポニーテール萌えなんだ」

ハルヒ「あ……」

キョン「それには丁度いい長さだからな」

ハルヒ「なんか、昔見た夢のこと思い出しちゃった……」

キョン「……う」

ハルヒ「あのね、誰もいない学校で、キョンが今と同じこといって、あたしのこと抱きしめるの」

キョン「へ、へえ」

ハルヒ「それでね、えっと……ちゅっ、て」

キョン「(ちくしょう……フロイト先生も思い出し笑いだっぜ!)」

ハルヒ「そこで夢は終わっちゃったんだけど、あの頃からかしら……あんたのこと気になりだしたの」

キョン「(何故そこで目を瞑る!)」

ハルヒ「……」

キョン「(……俺の負けだな)」

ハルヒ「んん……ちゅ……」

524 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/28(火) 01:12:22.91 ID:KAOwM1Qo

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ハルヒ「あー、もう」

キョン「……」

ハルヒ「すっかり夜じゃないの!冷蔵庫の中なんにもないわよ……」

キョン「今から買い物行っても食べる頃には寝る時間だな」

ハルヒ「ったく……ちょっと制服着たぐらいで盛っちゃって」

キョン「あのな」

ハルヒ「あんた女子高生萌えだったのね!」

キョン「何の話だ!」

ハルヒ「どうしてカップ麺ひとつないのよこの家は!」

キョン「お前がいつも食ってるからだろ!……まあいいじゃないか、たまには外で食うのも」

ハルヒ「……それもそうね」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キョン「外、暑すぎだろ……」

ハルヒ「夏だもの、こうでなくちゃ」

キョン「一年中元気だなあ、お前は」

ハルヒ「でも、汗かくとかぶれるし……髪の毛上げとこうかな」

きゅっ

キョン「……んへへ」

ハルヒ「な、何よ!暑いからだって言ってんでしょ!」

525 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/28(火) 01:14:50.28 ID:KAOwM1Qo

キョン「暑いなあ、ほんとに」

ハルヒ「……じゃあなんでくっつくのよ!うっとおしいわね!」

キョン「似合ってるな、靴」

ハルヒ「……」

キョン「暑いのに、なんでくっつくんだ?」

ハルヒ「……うるさい」



おしまい

526 名前:1 ◆/B7jgigWKk[sage] 投稿日:2009/07/28(火) 01:19:00.75 ID:KAOwM1Qo

タイトルを付け忘れたがご愛嬌。ちょっと暇だったので久しぶりに。
何で暇になったかって?ハハハ、哀しいこというなよ!ハハハ!
また気が向いたら来ます。お疲れ様でした。



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