涼宮ハルヒの環境問題


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 15:14:45.20 ID:tKc0Of5/0

過去に何度か作品を作らさせてもらってますが、
今回、内容がいまいちでお蔵入りしていたものがありました。
ハルヒ2期決定と言うことで投下させていただきます。

本作品は、他の漫画とクロスしていますが、キャラクターは少ししか出てきません。
設定を利用したかっただけです。
その漫画はややマイナーで、知らない人も多いと思うので、知らなくても読めるように書いたつもりです。

もし、読んで頂ければ幸いです。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/05/24(日) 15:16:34.78 ID:tKc0Of5/0

「私達SOS団も環境問題に積極的に力を入れていくわよ!」
団長席にふんぞりかえってパソコンをパチパチいじっていたハルヒが、突然席を立ちそう言った。
環境問題に力を?ついに俺たちだけじゃなく、
地球環境に対してまでハルヒの魔の手がふりかかったか。

「馬鹿なこと言わないで。逆よ逆。今はエコロジーの時代なのよ!
私達人間は地球を汚しすぎてしまったの。
今世界がどれくらい環境汚染が進んでるのか知ってるの!?」

あぁ、テレビで言われていることくらいはな。温暖化とか異常気象とかだろ。

「私わかったの!1年間も不思議探検をしても
ちっとも宇宙人や未来人や超能力者が見つからないのは地球環境が悪いからよ!
もし私が宇宙人だったらこんな腐りかけの地球には近づきもしないわ。
こんな世の中だから不思議が逃げていくのよ!」


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/05/24(日) 15:19:04.88 ID:tKc0Of5/0

また、わけのわからないことを言い出したな。
しばらくパソコンで触っていたと思ったらそんなことを調べていたのか。
いやいや、環境問題について真剣に考えることはいいことだぞ。
しかしその動機が不純すぎる。環境悪化のせいで不思議が逃げる?
不思議ならほらそこに3人ほどSOS団という劣悪な環境の中にいるじゃないか。

「それでこれからは何をしようとお考えで?」

その不思議の1人である超能力者が口を開く。

「救うのよ!」

何を救うのか大体の検討はつくが、反射的に俺が尋ねる。

「何を?」

「地球をよ!」

やれやれ、来週からせっかくの春休みだと言うのにまた休まらない生活が続きそうだ。

こうして高校生活初めての春休みが始まった。



そして、結果的にただの慈善活動だけで終わってしまった。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 15:21:31.60 ID:tKc0Of5/0

「なによ・・・ったく・・・春休み全部使って地球の「ち」の字もきれいになってないじゃないの?
所詮私達のすることなんてちっぽけなものよね」

そうなのである。
ただ単純に地球を救うと言っても、
地球ははてしなく大きいので高校生5人が集まってちまちまやったところで街が若干きれいになったり、
お金が節約できるだけで地球にとってはほとんど変化はない。
でも、人類全てがやれば別だと思うぞ。
いかに人類にそのモチベーションを上げる事ができるかが問題なのだ。

「たまにはこういうのもいいじゃないですか。
もしかすると、我々の姿を見た宇宙人が挨拶にきてくるかもしれませんよ?」

古泉が相変わらずさわやかな笑顔で言う。

「そうだといいんだけど。
調べれば調べるほど、私達の行動が無駄に思えてくるわ。
一体何なのよ。過去の大人たちは何をやっていたの?
地球がこんなになるまでほかっておいて!」

春休みを無駄にしたこか、それとも過去の大人達に対してなのか
はたまた、自分の力のなさに怒っているのか、ハルヒの機嫌が悪くなっているのが分かる。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 15:24:17.86 ID:tKc0Of5/0

「で、でも、私・・・地球がこんな風になっているなんて知りませんでした。
春休み中に勉強になってよかったです。
それに樹を植えたりして楽しかったです」

朝比奈さんのその笑顔をTVCMで流そうものなら、
全国の男子の間で植林ボランティアが流行しそうなくらいである。

「まぁそれなりに楽しかったわよ。
でも本当、人間って不思議よね。
動物が異常に減ったら保護して増やす。
異常に増えたら殺して減らす。
でも、人が異常に増えてもさらに増やし続けるんだから、
一体人間って何様なのかしら?
ぶっちゃけ人間が半分になれば地球も救われるんじゃないの?」

おいおい、難しいこと考えるなよ。
まぁハルヒの気持ちもわからんでもないが。
環境問題か・・・俺の頭ではなんだかピンとこないしよくわからないな。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 15:25:05.63 ID:tKc0Of5/0

こういう時は長門はどんなことを考えるのかなふと気になって、視線を向ける。

「・・・」

相変わらずの沈黙で突っ立っている。

「何か考えているのか?」

「何も」

「そうか」

そんなかんだで俺たちの2年生が始まった。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 15:33:00.28 ID:tKc0Of5/0

新学年の行事と言えばクラス替えである。
これでハルヒに俺の行動を逐一観察される生活にはおさらばか、と思う俺ではなかった。
結果的に予想通りまたもや同じクラスでピンポイントで俺の席に座るハルヒ。
さすがだよ。

「また1年あんたと一緒なの?まったく、私がいないとダメってことね」

いや、誰も頼んでなどいないが。
まぁいい、

「よろしくなハルヒ」

「・・・」

ふん、と横を向くハルヒ。

その後、始業式が行われ、
校長先生の大変ありがたいお話と、
新しく入った新任の先生や転勤して来た先生の紹介が行われた。
新任1名と転入3名の計4人が新しく北高に入ってきた。
その中でも、うちのクラスの授業を受け持つ先生が印象的だ。
美人ではあるのだがどこかそっけない感じ女性だ。

始業式の間ずっとある生徒の方を見ていたが、誰を見ていたのだろうか。
まぁどうでもいいことなんだがな。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 15:34:19.54 ID:tKc0Of5/0

その後いつも通りの団活が行われた。
新入生の勧誘とやらにはハルヒは興味がないらしい。

なんでも、
「SOS団には実力のあるものしか入る資格はないわ!
こっちからお願いして入ってもらうなんてもってのほか!
どうしても入りたいんだったら、厳しい試験を潜り抜けたら考えてやってもいいわ!」

だそうだ。

その後、しばらく普通の日々が続いていた。
しかし、何かひっかかる。
大事なことを見過ごしてないか?
しかしどうしても思い出そうとしても何も思い当たらない。
俺のいつもの悪いパターンだ。
そうやって今まで散々ひどい目にあってきたじゃないか。
だが、いくら考えてもわからないものはわからない。あきらめよう。


あっと言う間に2週間が経過し、4月の半ばを過ぎていた。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 15:45:14.59 ID:tKc0Of5/0

昼休み、俺は2年になってもコンビを組む谷口及び国木田と机を囲んで弁当をつつきあっていた。

「おい、田宮先生転勤するらしいぞ、
せっかく美人教師が来てくれたと思ったらこれだからなぁ」

谷口は相変わらず女のことばっかりだ

「物凄く授業が上手だったよね。でも入ったばっかりなのに何でだろう?」

国木田の疑問ももっともだが、
田宮先生のことをどうしても好きになれない俺にはどうでもよかった。

どうも彼女は無理して表情を作っているように見えた。
何ていうか感情がないような気すら思わせられた。
同じクールという言葉を使っても長門とはえらい違いだ。

「さぁな」

俺はあからさまに興味のないような口調で適当に答え、話を終わらせた。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 15:47:58.53 ID:tKc0Of5/0

「それより、昨日のニュースみた?」

国木田が新しいネタを振ってきて、谷口がそれに応じる。

「あぁ全国連続殺人事件だろ?まじで怖いよな。この近くにもいるんだろ?」

「そうみたいだねぇ、ニュースでは何かの宗教団体か何かだと言われているけど本当はどうなのかな?」

「しらねぇよ、まぁ気にしてもしょうがねぇだろ、
そんなことより1年の女子のランク付けをがまだ終わってないから行ってくるぜ!」

実は昨夜の晩のニュースでここ2〜3日で80人以上も殺害されているとニュースが流れていた。
死因は何か馬鹿でかい機械のようなもので挟まれたり、切られたりするなどである。
まぁ平たく言えば、ミンチにされて殺されているってことだ。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 15:48:41.06 ID:tKc0Of5/0

宇宙人や未来人や超能力者の話しには随分慣れたと思うのだがこういう話は苦手だ。
日本の警察にはがんばってもらいたい。

谷口はそんなことはまさか自分には降りかからないだろうと思ってなのか、
弁当の残りを口に詰め込み、足早に教室を出て行った。

「それにしても、2年生になっても谷口は相変わらずだねぇ」

「お前もな、国木田」

「そういうキョンだって」

ははは、と何気なく笑えるんだからな、なんだかんだ言っていい親友だよこいつらは。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 16:01:36.17 ID:tKc0Of5/0

放課後、団活にて

「いい、私達で殺人集団を捕まえるわよ!」

またもや突然とんでもないことを言い出したハルヒ。

「そんなもんは警察にまかせときゃいいんだよ。
逆に俺たちが犯人とばったり会ったら危ないだろ。
こっちには女の子が多いんだし。それに環境問題はどうなったんだ?」

「環境問題はお手上げ!
だって私達だけじゃなんにもできないもの。
うーん、そうだわ!
そのために、私達が犯人をとっ捕まえて、SOS団の全国デビューをするの!
そうすれば全国にSOS団の影響力が広まってから環境問題に取り組みましょう!
こういことは世界的規模でやらないと意味がいないのよ!」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 16:03:01.54 ID:tKc0Of5/0

「ですが涼宮さん、犯人に目星はついているのですか?
やみくもに探しても見つかるとは思えないのですが」

そうだ古泉言ってやれ。

「犯人はあんなに残酷な殺し方をしているのよ!
そんなの決まってるじゃない」
「何がだ?」

「怪しくて凶暴な奴が犯人よ!」

アホだこいつ

「とにかく!明日からの土日は不思議探検は犯人探しに全力を注ぐわよ!」


やれやれ。本当にやるつもりなのか。
しかしハルヒのことだから本当に犯人に出会いかねんな。
不安だ・・・

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 16:20:14.16 ID:tKc0Of5/0

翌日、いつもの喫茶店でいつも通り俺のおごりの飲み物を飲みながらくじで班分けをする。

「さぁ今日はガンガン犯人を見つけるわよ!」

何だよガンガンってのは。

「ぶつぶつ言ってないでさっさと引きなさい!」

はい分かったよ・・・色なしか。

くじの結果、
俺、長門、朝比奈さん
ハルヒ、古泉
のグループに分かれた


「言っとくけど、どっかでさぼっちゃだめだからね!怪しい奴がいなくても聞き込みするのよ!」

「はいはい」

適当な返事をして、ハルヒと古泉に背を向けて歩き出す。


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 16:24:33.31 ID:tKc0Of5/0

「さて、どこに行きましょうか?」

「え?・・・あ、はい。なんでした?」

何か考え事でもしていたのか、
心ここにあらずと言った感じで朝比奈さんが答えた。

「どこか体調でも悪いんですか?」

「え、えと、別に何でもないです。ちょっとなんか変な感じがして。
ちょっと最近ポーとしちゃって、春だからかな?。大丈夫です。
え、えと犯人を見つけるんですよね、
やっぱり犯人を探すには事件のあった場所に行くのが・・・」

「いえ、そんなハルヒの言うことなんて真に受けなくてもいいんですよ。
適当にどこかぶらつきましょう。朝比奈さんも少し具合悪そうですし」

「あ、そうですね・・・」

恥ずかしそうにうつむく朝比奈さんも可愛らしい。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 16:32:45.36 ID:tKc0Of5/0

「長門、図書館に行くか?朝比奈さんも静かなところがいいだろう。

・・・?長門?」

長門は歩きながら何かを見ているようだ。

「何かあったのか?」

「何もない」

長門の1ミクロンしか変わらない顔の表情は少し戸惑っているように見えた。
恐らく何かあったのだろう。
他の奴ならこの長門のはわからないが俺にはなんとなくわかる。

「頼む教えてくれ。」

長門はきっと俺に気を使ってくれたんだろうが、気になって仕方ない。

「犯人。でも近づかない方がいい」

長門と同じ方に目を向けると、
やや慎重の高めの男が女性と並んで歩いて細い道に入っていったのが目に付いた。
長門が言うのだから、まさか本当に犯人か?
でも長門が近づかない方がいいって言ってるし、やめといた方がいいのだろう。

しかし、もし本当に殺人犯だったら顔くらいみてあとで警察に人相だけでも伝えた方がいいのではないか?
我が身の保身と正義感が葛藤する。



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 16:34:37.85 ID:tKc0Of5/0

「顔だけでも見てくる。長門、朝比奈さんとここで待っててくれ」

今まで散々な目にあったせいもあったせいか、
殺人犯とはいえただの人間だしどうってこともないかとい自惚れがあった。

それを数分後に後悔することになる。



ばれないように少し距離をおいて尾行する。
一見普通のカップルのようにも見えるな。
しかし女性は黙ったままでほとんど喋っていない。
男が必死に会話を考え盛り上げようとしている。
女性はずっと前を向いて歩いているので顔を確認できないが、男性の顔は横顔だけ見えた。
あの男が犯人か?

できれば正面から見たい。もう少しだけ続けよう。



ところが、「今までみたこともないくらいの異常な事態」はすぐに起こった。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 16:53:45.71 ID:tKc0Of5/0

人気のない空き地につくなり、男が女性にせまろうとしている。
まさかここで殺すのか?どうする?止めるか?
怖いもんには慣れたと思ったが足が震えてやがる。



そんなことを考えているうちに殺されてしまった。

男性が。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 16:57:59.27 ID:tKc0Of5/0

女性を押し倒そうとした瞬間、
女性の頭が耳たぶあたりから薄皮一枚つながった状態で斜めに裂け、
紐がほどける様に伸びていく。
伸びた頭部は刃物の様に鋭くなり、
女性を中心に勢いよく円を描くように一周する。
男性の「ぎゃあ」という悲鳴が聞こえたと思ったらすぐにその声は聞こえなくなり、
その恐怖に怯える顔は胴体から切り離され地面に落ちた。

その異様な光景は普通の人間ならば夢だと錯覚するくらい、現実とかけ離れていた。
その後、胴体だけ女性の体をもつ「それ」の頭部は
先ほどの刃物状になっている頭部の一部と融合し、また形を変化させる。
その頭部はゴムのように伸び、男性の体に向かっていった。
それは大きな口の様な形を成し、男性に近づき食べ始めた。

そう、文字通り「食べていた」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 17:03:51.20 ID:tKc0Of5/0

俺は恐怖で脚がすくむ。なんだこの化け物は?
人間じゃないよな?宇宙人?
どういうことだ?まずいぞ。ここにいたらまずい。

その場から逃げようとした瞬間、
化け物の後頭部だと思っていた場所から、
別の目と口が出てきた。

「人間にみられたとは。うかつ」

もうだめだと思った。
殺されかけるのはこれで3回目だが2回はあの朝倉涼子だ。
あいつも問答無用で殺そうとしてきたが、
こいつよりはまだ話して解決する余地はあっただろう。

こいつから感情が微塵も感じられない。

必ず食われる------


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 17:14:24.66 ID:tKc0Of5/0

「仲間がいるのか?」

化け物はわけのわかないことを言う。
・・・仲間?

「微弱の反応だが近づいてくる。」

化け物の表情なんて読み取れる自身はないが、どうも困惑しているようだ。

何を・・・言っているんだ?




「下がって」

突然、背中を引っ張られ、俺はその場にしりもちをついた。

「痛ってぇ」

そこには他でも、こういう時一番頼りになる長門有希の姿があった。
また助けられちまうのか。
もう長門には迷惑をかけたくないと思っていたのにな。ドジばっかりだ。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 17:17:02.45 ID:tKc0Of5/0

少し後ろのほうから

「はぁはぁ、待って下さーい、長門さーん」

朝比奈さんまで・・・
しかし朝比奈さんがこの光景を見たらなんと思うか・・・

朝比奈さんの目線の先には、
胴体以外もうとっくに人間の原型をとどめていない化け物の姿と、
赤く染まった食べかけの足が落ちていた。


「ひ、あ、あ、あ、あ、あれって・・・」

急に目を閉じて座り込んでしまった。
この状況なら朝比奈さんでなくたってそうするだろう。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 17:24:59.80 ID:tKc0Of5/0

口の位置がさっきと変わっている化け物が喋りだす。
よく見ると目や口はどこにでも動かせるようだ。

「お前も俺の仲間だろう?少しだが反応でわかる」

お前の仲間?誰が?
SOS団にはお前みたいな、ピカソでも書きたがらないような顔のやつの仲間なんかいないね。
さきほどまでの恐怖はすっかりなくなり、激しい怒りがこみ上げる。

「まぁいい人間の見方をするなら殺すだけだ」

その瞬間化け物の頭部から触手のようなものが生え出し、
一瞬で先が鋭くなり、硬くなっているようだ。


まばたきもしないうちにその触手は俺の頭めがけて物凄い速さで飛んでくる。
一瞬のできごとで反射的に目を瞑る。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 17:43:35.38 ID:tKc0Of5/0

ガシッ
目を開けると、長門が左腕を伸ばし、その触手をつかんでいる姿があった。
長門は呪文のようなものを口ずさみ

「情報連結の解除を申請する」

「解除不可」

「戦闘する。離れて」

何がなんだかわからぬまま、
俺は長門にいつぞやの回し蹴りを食らわされていた。

・・・痛ぇ。

化け物の触手が二つになり長門に襲い掛かる。
それは文字通り「目にも留まらぬ速さ」であったが、
突いてくる触手を長門の腕がことごとくさえぎっているようだ。
その触手は突いてるだけでなく、時には刃となって切りかかったりもしたのだろう。
しかし、その攻撃はそこから一歩も動かない長門に全て受け流されている。


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 17:51:59.67 ID:tKc0Of5/0

次の瞬間、
長門は触手の一本を握り、下半身はまったく動かさない状態で、
手首のスナップを利かせるくらいの動きで、その化け物を投げ飛ばした。

化け物は物凄い速さで10メートル程先にある塀にぶつかった。

「ごほっ」

苦しそうにしている怪物。
何をしても倒せなさそうなイメージを持っていたが、今のはダメージがあったようだ。

「なぜ人間にそんな動きができ・・・」

何か不思議なものを見つめるように長門を見ながら、動きが弱くなる怪物。
やがてそいつは動かなくなった。


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 17:59:25.03 ID:tKc0Of5/0

「終わった」

今まで激しい戦闘をしていたとは思わせない平坦な口調で長門が言った。

「死んだのか」

「そう」

「こいつが犯人だったのか」

「複数存在する」

「何人くらいだ?」

「わからない」

長門、お前はあいつの仲間なのか?
ふとそんなことを思った自分が恥ずかしい。
長門はこんな感情もなく人を食える化け物じゃないのは俺が一番よく知っているはずだ。
一瞬でもそんなことを考えてしまう自分が嫌で死にたくなった。


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 18:09:27.07 ID:tKc0Of5/0

「遅いじゃないのよ!どこに行ってたの!?
またどこかでサボってたんじゃないでしょうね!?」

ハルヒのお叱りの声を半分聞き流しつつ、今後どうしようかを考えていた。

実はあの後、近くの住民が通報したらしく警察やらが集まってきた。
俺たちは逃げるようにその場を離れてきたわけなのだ。

このことをハルヒに話すわけにはいかないよな。
俺達がわけのわからない化け物に襲われてまた長門が助けてくれましたとはさすがに言えない。

しかし、今日の夜恐らくニュースで流れるだろうからハルヒは化け物の存在を知ることにはなるわけだ。
ややこしいことになってきたな。


それに、まだ他にも化け物がいると長門は言っていた。

そんなことばかり考えてその後のハルヒのありがたいお言葉なんてちっとも耳に入ってこなかった。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 18:25:38.23 ID:tKc0Of5/0

予想に反してその晩のニュースに化け物の話はなく、
相変わらず宗教団体か何かの仕業と報道されていた。



次の日の日曜日、古泉から電話がありいつもの喫茶店で落ち合うことになった。
いつもながら混乱する俺の頭を整理するのはこいつの仕事である。

「実はあなたに話しておかなくてはならないことがあります」

「あぁ俺もだ」

こいつには聞きたいことが山ほどある。
機関の連中はどれだけ現状を理解しているのだろうか。

「単刀直入に言いましょう。
昨日の不思議探索で彼らに会いましたね?
そして、そこで彼を殺したのは長門さん」

「あぁ、俺もその話をしようと思っていた。
「彼ら」って言い方をするくらいなんだから、奴らが何なのか知っているみたいだな」

「えぇ少しだけなら。知っていることは全て話すつもりです。どこから話しましょうか・・・」


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 18:37:11.73 ID:tKc0Of5/0

「彼らの正体ですが、昨日までは全くわかりませんでした。
機関による監視等によって外観は分かっても触ることができませんでしたから。
しかし初めて死体を入手することができ、少しだけ生態がわかりました。
これも長門さんのおかげです。」


「彼らは人間の脳に寄生する生物のようです。
しかし寄生された人間は殺されたも同義で、体を乗っ取られたと言ってもいいでしょう。
元の人間の人格は全て失われます。
また、彼らの特徴は有機生命体でありながら自由に体の形、硬度を変化できます。
そして知能も高い。頭全体が脳細胞であり筋肉でもあるわけです」

元は人間・・・考えるだけでも恐ろしい。
俺は今まで散々SF体験をしてきたが
まさか未知の生物に体を乗っ取られることが起こっているとはな。

「そして彼らの目的ですが、これがどうもはっきりしません。
最初は人間の死体は全て食物としていることから、
生命活動に必要なエネルギーの摂取のために食人をしているのかと思っていましたが、
どうやら無理に人間を食べなくても生きているような構造にもなっているのです。
もしかすると本能だけで動いているのかもしれません」

なるほど、古泉にしては珍しくわかりやすいな。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 18:49:26.01 ID:tKc0Of5/0

「次に彼らの弱点です。彼らの本体は無形であり、
おそらくほとんどの物理的な攻撃は効かないでしょう。
しかし彼らはどうあがいても寄生しているだけであって、
胴体は普通の人間なのです。
人間の体から血液を供給されて生きている彼らにとって人間の体は電池のようなものです、
それを壊してしまえばエネルギーの供給源がなくなり死んでしまう」

だから、昨日は長門のあの攻撃だけで倒せたのか。
内臓が壊れるほどの衝撃を与えてやれば殺せるってことか。
しかし、元人間を殺すのか、さすがに人殺しはしたくない。

「その点については先ほども言ったように、
寄生された人間は元の意識がありません。
元の人間は死んでいるのです。
そこにいちいち気を遣っていてはさすがに身がもちません。
だが、その言葉はあなたらしいです」

クスッと笑う古泉

「そして・・・大事な話はこれからです、彼らは何故生まれたのか・・・」


・・・嫌な予感がする。


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 18:56:23.64 ID:tKc0Of5/0

俺が今考えていることが分かったのか、古泉は気の毒そうに言った。

「そうです、原因は涼宮さんです」

嘘をつけ!ハルヒがこんな残酷なことを望むはずがないだろ!

「覚えていますか?春休みのこと」

あぁ覚えているとも、最近のことだからな。
一緒に木を植えたりゴミを拾ったりしたことだろ?

「その後、涼宮さんはなんとおっしゃっていましたか?」

なに?「もうこれ以上やっても無駄」だったか?

「もう少し」

まさか・・・

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 19:02:53.60 ID:tKc0Of5/0

「そうです、あなたもご存じの通り涼宮さんの頭脳はかなり優秀です。
彼女は春休みの間彼女は常に地球環境について考えていました。
化学物質についてや生物の生態系のことなど理学的な観点から、また哲学的な観点から。
その結果、今のままで地球がどうなるかと言うのを想像したのでしょう。
我々の未来に明るいものがないのではないかと」

だからって、ハルヒが殺人を生み出すとは思えない。

「しかし、現実としてこうなっています」

「だがな!・・・」

・・・っくそ!言い返す言葉がない。
こいつの言うことはそれなりの根拠があって言っているわけだから何を言っても無駄だ。
だが、俺はハルヒを信じている。

「そろそろ、帰りますか?気分を害してしまって申し訳ありません。
しかし、あなたには伝えておかなくてはいけなかったことなのです」

申し訳なさそうにする古泉に挨拶もせず、無言で席を立ち帰路についた。
何か事件がある度に俺に羅針盤を与えてくれる古泉の話。
しかし今回ばかりは信じる気にはなれなかった。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 19:10:40.72 ID:tKc0Of5/0

次の日、朝から体が重い。
昨日までの今まで異常に非現実的な日常に加え、
古泉からの追い討ちがあって自分でも精神的にまいってるのがわかった。
ここ2日でよほど疲れがたまってるようだ。

「今日、学校どうするかな」

ベッドの上に寝転がっている雄三毛猫に話しかけるが、
「にゃあ」とも答えてくれれず寝たきりである。

「俺もこいつくらい気楽になれたな」

結局休む言い訳も思い浮かばず学校へ行くことにした。
家にいても考えすぎて気が滅入るだけだ。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 19:19:07.84 ID:tKc0Of5/0

教室へ着くなり
「ねぇねぇキョン聞いた?」
相変わらず元気なハルヒの笑顔を見て、
今までの気苦労が幾分か楽になった。

「何がだ?」

「ニュースでは報道されてないんだけど、どうやら殺人犯の正体は人間ではないって噂が流れてるのよ!
見た人がいるんだって!「口だけ頭」っていう化け物が犯人らしいわ!
まったくふざけた名前よね。どんなネーミングセンスしてんのかしら」

公に化け物の正体が報道されていないのは、
きっと古泉の機関が世間に出さないようにしているんだろう。
だが、一般人に目撃された分はどうしようもないってことか。
その結果噂だけが広まってしまう。
しかし、そんなのはただの噂でしかなく、それを人づてに聞いたところで信じる奴なんてそうはいないだろ。
その少数派に我が団長様は「平日に作戦を練って、週末に化け物探しに行くわよ!」なんて仰っている。


なぁハルヒ、その人食いの化け物を生み出したのは本当にお前なのか?

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 19:32:22.73 ID:tKc0Of5/0

放課後、団活では「口だけ頭対策ミーティング」が行われたが、
俺にとってはそれを捕まえることが重要でなかった。

その残虐非道な殺人はハルヒによって作られたものなのか、
もしそうなら俺はどう思うのだろうか。
恐らく、ハルヒに対する失望感と義憤に悩まされ気が狂いそうになるだろう。

だが、ハルヒはそんなやつじゃない、それは俺が一番よく知っているはずだ。

だがしかし・・・

そんな苦悩で頭を抱えているうちに、
長門の本を閉じる音が鳴り下校の合図が知らされる。

帰り際、下駄箱に見覚えのある一通の手紙が入っていた。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 19:39:22.80 ID:tKc0Of5/0

その手紙には

「家に帰る前に例公園の桜の下のベンチで待っていてほしい」

という内容が可愛らしい字で書かれてあった。
この手紙は恐らく彼女のものだろう。それも未来の方の。

俺は嬉しかった。今の悩みを誰かに打ち明けたくて仕方がなかったのだ。

いつもなら古泉が俺の気持ちを整理し言語化し一番妥当な意見を与えてくれるのだが、今回は違う。
その古泉の話を信じたくない俺の心は路頭に迷っていた。
何でもいいからアドバイスが欲しい。
今後どうすればいいのか教えて欲しい。

急いで公園に向かった、彼女に初めて未来人だと告白された場所へ。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 19:47:24.49 ID:tKc0Of5/0

公園へ着くと彼女はすでに待っていた。
相変わらずそのモデル以上に魅力のある完璧なプロポーションを拝見できたのはこれで何回目だろうか。

「お久しぶりです」

「キョン君、久しぶり。私にとってはそれほど久しぶりじゃないんだけどね。
 今日は大事な話があってこの時代にきました。
 もう知っていると思うけど、例の事件のことです」

「俺もそのことで相談したくて急いで来ました」

彼女に話せば安心が得られる。根拠もなしにそんな期待を抱いていた。




だが、その期待は彼女の一言によって裏切られた。

「これは規定事項なのです」

俺は耳を疑った。規定事項?
規定事項っていうのは現在が未来につながる為に必要な要件のことだ。
この出来事が規定事項?この狂気じみた殺人が必要なこと?


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 20:07:20.87 ID:tKc0Of5/0

「キョン君の心境はお察します。落ち着いて聞いてください。

この事件は今後未来に大きな影響を二つ与えます。

 一つはご存知の通り、環境問題についてです。
彼らの種が今後人類に大きなヒントを与えてくれます。
確かに今は残虐な殺人を繰り返しているかもしれません、
しかし時が経てば彼らはひっそりと人間社会に溶け込み人に害を及ぼさなくなります。
そして彼らの噂は徐々に忘れられて行きく一方で地球環境についての意識が高まっていきます。」

だからって今現に殺人が起きてるんだぞ、それを黙って見過ごすっていうのか?

ふざけるな、とでも言いたかったが

話を続ける朝比奈さん(大)の話に耳を傾ける。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 20:12:32.86 ID:tKc0Of5/0

「そして、二つ目ですが、TPDDについてです。
TPDDは以前お話しましたが、タイムプレーンデストロイドデバイスの略で、タイムマシンの本体です。
この概念が私などの時間跳躍できる人間の脳細胞に刻まれています。
このTPDDの元になるのが彼らの脳細胞なのです。

確かに理論だけなら、涼宮さんの論文からでも導き出すことができました。
しかし時間移動に耐えうる脳細胞が存在しなかったのです。
そして使われたのが彼らの遺伝子。
私たちの遺伝子の一部には彼らの遺伝子が組み込まれています・・・」



あの時、化け物が喋っていた「仲間の反応」ってのは・・・?

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 20:31:12.61 ID:tKc0Of5/0

「だから、今回の事件については何も関わらないで欲しいんです。
 無理に危険に巻き込まれなくてもそのうち解決しますから」

「ふざけないでください!人が、人が殺されているんですよ!
それを黙って見過ごせっていうんですか?
一人や二人じゃない、今では100人以上の人間が犠牲になっているんです!
これが規定事項だって・・・むちゃくちゃだ・・・」

俺は何に怒っているのかわからなかった。

これは俺の正義感から来るものなんか?
イライラする

「でもね、キョンく・・・」

「もう結構です!」

俺はどうしちまったんだ。朝比奈さんに対してこんなことを言うなんて。


62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 20:44:41.40 ID:tKc0Of5/0

俺は救いを求めるかのように走り去った。
俺の足は長門の元へと向かって行った。
長門ならきっと俺の味方をしてくれる。
長門なら世界を改変してくれる。
人殺しをする化け物がいていいはずがない、そうだろ?長門・・・

長門のマンションにたどり着きインターフォンを鳴らす

「入って」

とういう声と共に自動ドアが開かれる。
急いで部屋まで向かい、ドアをノックする。
出てきてくれた長門は俺を部屋へ招き入れる。

「用件はわかっている。落ち着いて聞いて欲しい」


今はまだイライラが収まらないが、先ほどよりはいくらかましだ。
心のどこかできっと長門が何とかしてくれると思っていたのかもしれない。


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 21:04:35.86 ID:tKc0Of5/0

「今回の世界の改変は、限られた空間内において生命が飽和状態になっている現象を改善しようとするもの。
人と呼ばれる種の生命活動の方法と地球、大気、太陽の関係も踏まえ、
人類が生存できる期間はもって後100年
。地球の衰退を防ぐには生命の飽和状態を改善するしかない。
そのために生まれたのが彼ら」

「それはもう聞いた。長門、お前ならなんとかしてくれるんだろ?」

その口調は有無を言わさず何とかしろと言わんばかりだ。


「不可能。情報統合思念体はこの現象を肯定的に受け止めている。
自律進化の可能性を十分に含んでいると認識している」
イラッ

「どうしてもダメか?」
「ダメ」
イラッ


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 21:22:51.95 ID:tKc0Of5/0

ならもう一つ聞こう、

「こんな事態に陥ったのはハルヒの仕業か?」

「・・・」

コクンと無言で頷く長門。
その瞬間、俺の中で何かが崩れた。
今まで信じたくないと思っていたが、長門に言われたら信じざるを得ない。

ハルヒが化け物を生み出した。
化け物は人を殺す。
化け物はハルヒが生み出した。
ハルヒが人を殺した?

この事実を受け入れることが怖かった。


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 21:24:38.94 ID:tKc0Of5/0


「うわあああああああああああ!!!!!」


俺は狂ったように外へ出た。
もう何も信じられない。


殺人を許容する未来人

ハルヒを犯人とする超能力者

進化の可能性とする宇宙人

もう俺は何を信じればいい?
SOS団はこんな糞みたいな連中だったのか?
くそう!

何が世界を盛り上げるだ!

何が不思議探索だ!

人殺し!   人殺し!    人殺し!

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 21:30:08.20 ID:tKc0Of5/0

気づいたら見知らぬ路地裏にたどり着いていた。

どれくらい走ったのだろう。
そんなことも分からないくらい無我夢中に走っていたのだ。


そこで例の化け物と出会った。
どうやら「お食事中」らしい。


「どいつもこいつも人をおもちゃみたいに扱いやがって。
そんなに未来が大切か?
人を殺してまで手に入れるものなのか?
ふざけやがって!」

思っていたことが声として表に出た。

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 21:36:10.81 ID:tKc0Of5/0

・・・・・

ふざけているのは俺なのか・・・?

人殺し=悪と決めつけて仲間を悪者にした俺

本質を理解しようとはしない俺

俺はそんなに偉かったか?
賢かったか?

妙な正義感で仲間を見下していた。
俺はそんな自分にイライラしてたん・・・

そう思った途端、
上下逆さまになった首のない自分の体が目に映り、
そこで俺の意識は途絶えた・・・。




『地球上の誰かがふと思った。生命(みんな)の未来を守らねば』

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 21:42:24.19 ID:tKc0Of5/0





-------------終---------------------




と、書き溜めした分はこれで終わりです。
投下速度が遅くなってすみません。
支援&保守してくれた方ありがとうございます。

また、寄生獣ファンの方々、申し訳ありませんでした。
俺も寄生獣が好きで久々に読んでみたら、こんなの思いつきました。


現在は、続きを書こうか迷ってる段階です。
とりあえずキリのいいところで終わっておこうと思いまして。

読んでくださった方ありがとうございました。

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/24(日) 21:47:54.08 ID:tKc0Of5/0

もし、続きを書くならこんな流れにしたいと思います。


目を覚ますと、目の前に空が広がっている。
しかしそこは普段見慣れたそれではなく、どこか見覚えのある景色だった。

体を起こして周りを見渡す。
耳に入る音は何もなく、色のない世界。
しかし、ここは以前来たものとは異なり、
全体的に白いイメージで包まれている。
そしてもう一つ違うところは、神人と呼ばれるデカ物がいないことだ。

「ここは・・・閉鎖空間か?」

「キョン」

困惑している俺に、聞き覚えのある声が聞こえた。
SOS団の誰かだろうと思って振り返ると、予想もできなかった友人がそこにいた。

「やっぱりキョンか、1年ぶりくらいか。まさかこんなところで会うとはね」



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