ハルヒ「…あたしと、ずっと一緒に居てくれる?」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 10:37:46.65 ID:FZmwEnRy0

オナニー開始だひゃっほう

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 10:42:33.18 ID:FZmwEnRy0

波乱続きだった高校生活も一年目を終え無事二年へと進級も決まり、元より決ま
っているようなクラス表を見て溜め息を吐く。どうやってもそいつとは同じクラ
スになるのだから。

「…当然、そうなるよな。」

分かってはいた。分かってはいたのだがそれでも奴の傍若無人振りを思い出すと
、これからの一年間に不安を抱かずにはいられない。

「…やれやれ。」

古泉達の言う神様とやらの名前を見つめながら俺は、本日二度目の溜め息を吐かず
にはいられなかった。


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 10:47:40.50 ID:FZmwEnRy0

「キョン、喜びなさい!同じクラスよあたし達!」

教室に入り、名前順に並べられた席につくなり嬉しそうに目を輝かせながら話しかけてくるハルヒ。

「ああ、そうだな。」

…新学期早々騒がしい奴だ。鬱陶しいことこの上ないが、正直にそう言う訳にも
いかないので適当な返事を返しておく。

「何よ、その返事。もっと喜びなさいよね。」

誰が悲しくてお前と同じクラスになったことを喜ばなくちゃいけない。
はいはいと小さく溜め息を吐きながらいい加減に返事すると、ハルヒはぶつぶつ
と悪態をつきながらも俺に話し掛けるのを止めた。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 10:52:09.47 ID:FZmwEnRy0

やっとハルヒから開放されたことにはぁ、と息を吐いて今日の夕飯について思考
を巡らせる。…というのも昨日朝起きたらうちの親が「一ヶ月程温泉旅行に行っ
てきます」などというふざけた書き置きと生活費だけを残して何処かへ行ってし
まったからなのだが。

問題は食事。簡単な物なら作れなくも無いが流石に一ヶ月は続かない。結果外食
ばかりになってしまいそうだ。
まぁ俺はそれでも構わないのだが、妹にはしっかりとした食事を摂らせてやらね
ば。…何か打開策はないものか。

そんなことを考えているうちに担任の挨拶は終わり、いつのまにやら恒例の生徒の自己紹介に移ってい
た。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 10:56:39.43 ID:FZmwEnRy0

新学期初日というまっこと憂鬱な一日を終え、授業中思い付いた一つの打開策を実行して
みる。尚、本日SOS団は欠席した。ハルヒが団員としての自覚がどうのこうのとギャーギャー喚いていたが知るか。こっち
は死活問題なんだ。

『もしもし、君から電話をくれるなんてどういう風の吹き回しだい?』

それはマイスイートハニー佐々木に料理を作ってもらうという極めて単純なもの
。つまりは他力本願だ。

「すまん、今日から一ヶ月程親が不在でな…。その間家に来て俺達のめs『…何時
に無く積極的だね、キョン。僕としては嬉しい限りだが流石に毎日は身体が保た
ないよ。』

俺の言葉を最後まで聞かずに苦笑しながら言葉を濁す佐々木。まあ確かに、一月
の間毎日家まで来て料理を作れというのは酷かもしれない。…だがここで引き下
がる訳にはいかん。俺の…いや、妹の為だからな。


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:00:29.14 ID:FZmwEnRy0

「俺と妹の為なんだ。どうしても駄目か…?」

『い、妹さんもかい?彼女はまだ幼いだろう。あんな小さな子を交えてなんて感
心しないな。』

電話口から返って来たのは的外れな返事。佐々木よ、何か勘違いしてないか?

『僕としては君と二人でゆっくりと愛を確かめ合いたいんだけどね…。』

会話が噛み合っていないと思ったらどうやら佐々木は夜の営みのことだと勘違い
しているらしい。それは俺としてもじっくりねっとりと二人で臨みたいものだ。

「…夕飯を作りに来て欲しいって話だったんだが。」

『えぇ…!?あ…あはは、すまない。僕としたことが早とちりしたみたいだ…。』

今頃電話の向こう側で顔を真っ赤にしているであろう佐々木の顔を思い浮かべ、
小さく笑う。可愛い奴だ。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:05:46.18 ID:FZmwEnRy0

不安になってきたぜ…
前にこんな感じのSSあったとか言われちゃったら死んじゃう



「俺の分はいいから妹の分だけでも作ってくれないか?勿論食費は出すし礼もす
る。」

『そ、それならお安い御用さ。塾が終わってからでもいいならだけどね。』

「ああ、それでも構わん。ありがとな、佐々木。…お前が彼女で良かった。」

本当に助かった。ふうっと安堵の溜め息を吐いて礼を言う。これで一件落着、俺
の飯ならどうとでもなるしな。

『おっ、煽てても何も出ないよっ?…………ぼ、僕もキョンの役に立てて嬉しい
よ。』

「じゃあ、頼んだ。夕方迎えに行くからな。」

慌てる佐々木の声に笑いながらそう返事をし、彼女の返答を得ると通話終了ボタ
ンを押す。いやぁ、佐々木さまさまだ。あいつが彼女で本当に良かった。

「団活サボって何やってんのかしら?」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:09:43.84 ID:FZmwEnRy0

通話を終えるなり背後から聞こえた聞きなれた…いや、聞き飽きた声。
電話の途中から誰かが後ろに居るとは何となく分かっちゃいたが…まさかこいつとは。

「もしかして佐々木さん?彼女とSOS団、どっちが大切なのよ。」

んなもん佐々木に決まってんだろう。しかしそう言ってしまっては更に機嫌を損
なわせてしまう。ここは無難にどっちも大切だと言っておこう。

「……木さ…なん…いな…れば…かった…に。」

俺の返答を聞いて何故か俯いてぶつぶつと呟くハルヒ。何を言ったかは分からな
かったが、なんとなく不気味な感じがした。

「兎に角、妹の将来がかかってんだ。これから一月週に何日か休ませてもらう。


「はぁ?何よそれ。あんたが妹ちゃんの将来握ってるとでも言いたい訳?」

本当なら一月丸々団活を休みたいところだが、それだと古泉達から何と言われる
か分からん。精一杯の妥協案を伝えると眉を寄せて怪訝そうに尋ねてくるハルヒ
。先程の不気味な雰囲気は霧散していたが…面倒臭い奴だな。一々人の家庭の事
情にまで首突っ込んでくるな。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:12:34.65 ID:FZmwEnRy0

ふぅ…


「そうだ。間接的にだがな。」

苛立つ気持ちを抑えて平生通りに答える。
こいつ相手に怒るだけ無駄だ。KOOLになれ、俺

「あっそ、じゃあ暫く来なくていいわよ。妹ちゃん妹ちゃんって、何よ。気持ち
悪い。」

勘に触る言葉があったが反応するのも面倒だ。団長様がそう言うんだ、それならお言葉に甘えさせて貰お
う。何も言わず踵を返すと小さく手を閃かせて学校を後にする。


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:17:08.84 ID:FZmwEnRy0

「何なのよアイツ!」

乱暴に部室のドアを開けてずかずかと中に入るといつもの席にドカッと座り、苛
立つ気持ちを吐き出す。

みくるちゃんが怯えているが、そんなこと知るか。
先程のキョンの態度を思い返して盛大に溜め息を吐く。
説明くらいしてくれたっていいじゃない…。心配なのよ。

「彼にも事情があったんじゃないでしょうか。」

穏やかな声色でそう言う彼……古泉くんの方を膨れっ面のまま向く。いつ見ても爽
やかな笑顔だ。これほど作り笑いが上手い人はそういないだろう。

「一か月位来れないんだってさ。あのバカキョン。」

「キョン君何かあったのかなぁ…。あ…で、でも涼宮さんがピンチの時にはまた颯爽と駆け付けてくれますよぉ。ヒーロ
ーみたいに。」

まだ少し怯えた様子でいつか在った出来事を話しだすみくるちゃん。
確かに何週間か前にあたしが他校の生徒に絡まれてる時に格好良く…はなかった
けど助けてくれた。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:20:58.29 ID:FZmwEnRy0

「ヒーローねぇ…。確かにキョンがヒーローだったらいいわね。」


上手い方向に話を誘導したわねみくるちゃん。まあいいわ、このまま微妙な空気
にするのもアレだし乗ってあげる。
まあ、もしもキョンが本当にヒーローなら常に最強状態だけど。あたし的に考え
て。

「それは夢がありますね。変身なさったりロボットで戦ったりするんでしょうか?」

「それはダメよ、キョンの顔が見えなくなるじゃない!」

そこまで言って、失言だったと気付く。しかし時既に遅し古泉君は浮かべていた
笑みをより深いものにし、先程まで怯えていたみくるちゃんもニコニコと微笑ん
でいた。

「だ、だって変身なんてありきたりじゃない?」

慌てて取り繕おうとするが、声が上擦る。顔が赤くなるのが分かる。

「〜〜…か、帰るっ…!」

場の空気に堪らず部室を飛び出す。何も言わずただ笑うだけの二人に、なんだか
嘲笑われているような気がした。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:24:18.04 ID:FZmwEnRy0

夕焼けに染まる道を溜め息を吐きながら一人歩く。考えるのはあいつのことばかりで、胸の中が霧がかったようにも
やもやしている。

ああ、ご両親も妹ちゃんも佐々木さんも消えて、キョンがあたしだけのものにな
ればいいのに。

そんなを考えているうちにいつの間にか家の前まで来ていた。
鍵を出そうとポケットを探るとそれとは違う感触が指に触れる。

「やばっ。」

そこで今朝買い物を頼まれていたことを思い出し、急いで今来た道を引き返して
商店街へと向かう。



「…これで全部かしら?」

スーパーの買い物袋を下げてメモを確認する。買い漏らしはない…はず。
さっさと帰ろうと商店街の出口に向かう。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:25:36.26 ID:FZmwEnRy0

「ねぇねぇ、一人?暇?良かったら俺と遊ばない?」

商店街の通りを半分過ぎた辺りで背後から声を掛けられる。
なんだっていうのよ…。
小さく溜め息を吐いて振り返るといかにもヤンキーです、みたいな男がいた。
どうやら一人のようだ。憂さ晴らしに潰してやろうか。

「いいわよ。」

にっこりと作り笑いを浮かべると、そんなあたしの考えには気付かず満足そうに
笑む男。ふん、玉潰して再起不能にしてやるわ。

「ちょっと移動しようか。」

黙って男に着いて行くと、案内されたのは人通りの殆どない路地。街灯の明かり
一つしかない、汚くて、ジメジメした場所。

「着いてきたからには、分かってるよな?」

下卑た笑いを浮かべて振り返りなからそう言った相手に小さくそうね、と返して
思い切り股間を蹴り上げる。
突然の攻撃を防げる筈もなくくぐもった声を漏らして蹲る男。それの髪を掴み、
顔面に膝蹴りを叩き込む。

「へぶっ。」

なんともあっけない。少しもの足りなさを感じながら情けない声を出して倒れ込
む男を尻目にこの場を後にしようとしたその時。


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:27:19.21 ID:FZmwEnRy0

「…やってくれたな。」

あたしの行方を遮った男。言葉を返す前に髪を掴まれ、投げ飛ばされる。持って
いた買い物袋はあたしの手を離れ、中身を撒き散らしながら転がって行く。

「一人だと思ったか?残念だったな。」

冷たい目付きであたしを見下ろす男。かなり大柄だ。古泉君よりも大きいかもし
れない。まともにやり合って勝ち目はないだろう。

「二人掛かりでなんて…情けないわね…。」

よろめきつつも立ち上がり、馬鹿にしたような口調で挑発してみる。怒ってくれ
るとやりやすいんだけど。



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:28:40.80 ID:FZmwEnRy0

「そうだな。」

しかし、そいつは声色一つ変えずにあたしの腹を蹴る。衝撃に耐え切れず再び地
面を転がる。そしてすぐに距離を詰めて追い討ちをかけてくる。

何度も、
何度も、
何度も。

なにか様子がおかしい。こいつは強姦が目的ではないのだろうか。その間にも腹を蹴ら
れ続ける。

痛い、
痛い。

助けて、キョン…。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:30:05.20 ID:FZmwEnRy0

佐々木を迎えに行って家まで連れて行ったのは良かったが、冷蔵庫の中がすっか
らかんだったらしい。
かと言って料理を作ってもらう為に佐々木を呼んだ手前、外食する訳にもいかず
俺が商店街へと買い出しに行くことになった。

慣れない買い物を漸く済ませ、いざ帰ろうと商店街を後にしようとした時、前に
見覚えのある後ろ姿を見つけた。

「何してんだ?」

そいつは買い物袋を下げて商店街のど真ん中で金髪のいかにもな奴と話をしてい
る。まぁ顔はかなり美人の部類だ。またナンパでもされてるのだろう。

何故かその場から立ち去れずやり取りを傍観していると、驚いたことにその男に
大人しく着いていくハルヒ。速攻手を出すと思っていたんだがな。

「…マジかよ。」

何を考えているのか分からない団長様に、盛大に溜め息を吐くと二人に気付かれ
ぬように何気なく自転車を走らす。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:32:35.32 ID:FZmwEnRy0

「げぼっ…おねがい…もうやめてぇ…。」

お腹が燃えるように熱い、痛い。喉の奥から鉄臭いモノが溢れて来る。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら懇願するように言うと、それまで腹を蹴り続け
ていた男が動きを止める。

「そうか。」

小さくそう言うとあたしの上半身を起こし、いきなりどうしたのか制服に手を掛けて手早く脱がせる。
恐らくこれから男がするであろう行動に反して丁寧な手つきだった。

ブラが露になる。抵抗する気にはならなかった。出来なかったと言った方が正し
いだろうか。少しでも気を抜いてしまうと痛みで意識を失ってしまいそうで。

男がゆっくりとあたしの胸に触れようとしたその時

「ハルヒー…!」

聞こえてきた声。
聞きたかった声。

「…っ。」

僅かに驚いた様子を見せる男。咄嗟にそいつの胸板を思い切り蹴り、距離を取る


彼が、キョンが来てくれた。
やっぱりキョンはあたしの……。

そこであたしの意識はプツリと途切れた。

28 名前:1[] 投稿日:2009/04/07(火) 11:48:55.07 ID:QfWg31w/O

携帯から失礼。これから仕事なので投下遅延します。最後まで書き溜めてあるので今日中には終わるかと


「ハルヒーッ!」

目の前に男とハルヒの姿を見つけ、叫ぶ。
ハルヒは制服こそ脱がされていたものの、汚された様子はなかった。腹部の殴打された跡と口の端から流れる血が心配だ。

そのままの速度で、たじろいだ様子の男に突っ込む。ぶつかる直前に自転車を飛び降り、倒れるハルヒに駆け寄る。どうやら気を失っているらしく、ぐったりしている。地面に再び寝かせると、立ち上がって自転車と共に壁に追突した男へと向き直る。

「この女の…知り合いか?」

「ま、学友ってやつだ。正直、こいつは好きじゃないが…お前たちのやろうとしたことはもっと好きじゃないんでな。」

29 名前:1[] 投稿日:2009/04/07(火) 11:54:25.57 ID:QfWg31w/O

「…やる気か?」

緩慢な動作で起き上がる男。先程の自転車での特攻はあまり効いてないみたいだ。正直勝てそうにないが後は警察が来るまで時間を稼ぐだけだ。

「警察に連絡済みだ。それでもやるってんなら別だがな。」

そう言うと男の表情が変わる。険しい表情だ。流石にヤバいと思ったらしいな。

「…ふん。」

と思った刹那、俺の脇腹目掛けて蹴りが入る。
やばい、かなり痛い。
そのまま建物の壁に激突して転がったところをまた蹴られる。超痛ぇ。

30 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 11:57:16.19 ID:QfWg31w/O

「ぐ…こりゃ…死ぬかもな。」

壁際まで転がって相手から距離を取りよろよろと立ち上がりながらそんな他人事のような言葉を吐き、目を閉じて再び放たれた蹴りが俺に命中するのを待つ。しかし、いつまで経っても衝撃がこない。

不審に思いゆっくりと目を開く。

「なんだ?これ…。」

何故か、全てがスローモーションに見えた。
それを不思議に思ったときには男の蹴りを難なく躱し、顎目掛けてパンチを入れていた。

31 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 12:09:19.71 ID:QfWg31w/O

「何…だと…?」

信じられない、そう言いたげな表情で俺を見た後に地に伏す相手。
俺だって信じられんよ。全てがスローモーションに見えたなんてな。





その後、駆け付けた警官によって男達は逮捕されたそうだ。
慣れないことをして疲れて帰宅した俺を待っていたのは佐々木の説教だった。まぁ怒った顔も可愛かったから苦ではなかったが。
二日後我らが団長様はケロッとした顔で登校した。
大事には至らなかったらしい。
古泉によれば当時閉鎖空間がエラいことになってたらしいが、突然消失したらしい。何でかは分からんそうだ。


これで一段落。
再開は13時過ぎになりそです

36 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:11:23.42 ID:QfWg31w/O

お待たせ致しました。一時間程投下再開します。



先日のハルヒ強姦未遂事件より二週間。

今日も一日何事もなく退屈な授業を終え、文芸部室へと向かう。今日は団の方にも顔を出さなくちゃいけない日だ。

部室の前まで来ると軽くノックをする。

「ひゃ〜い。」

程無く朝比奈さんの可愛らしい声が聞こえる。
失礼しますと言ってドアを開けて入室。室内には長門と古泉とメイド服姿の朝比奈さんが居た。どうやら団長様は来てないみたいだな。


37 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:14:50.30 ID:QfWg31w/O

「御久し振りです。いくつかお話したい点があるのですが宜しいでしょうか。」

鞄を机に置き適当に座ると、反対側に座って一人でオセロをしていた古泉が話しかけてきた。
オセロソロプレイのことは置いといて、口調から察するにハルヒに関することだろう。
本当は聞きたくないがこいつのことだ。聞きたくないと言っても勝手に喋り出すだろうな。
観念してああ、と頷く。

「有り難う御座います。ではお話させて頂きますね。」

そう言うと反対側の席から乗り出してくる。近い。ウザいぞ。

38 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:18:40.66 ID:QfWg31w/O

「まず一つ目。最近閉鎖空間の発生が絶えません。率直に言わせて頂きます。毎日とは言いませんが二日に一度くらいはこちらへ顔を出して頂けませんか?」

嫌だ。と言いたいところだがかなり深刻な状況みたいだな。このままじゃ世界が危ういのだろう。
何より古泉の負担を考えると頷かざるを得なかった。

「御理解頂けまして感謝致します。二つ目ですが……。」

そこまで言い掛けて言葉を濁す古泉。おい、早く言え。不安になるだろうが。

39 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:23:34.54 ID:QfWg31w/O

「貴方に、人ならざる力が宿りつつあります。」

「…!」

何だと?訳が分からん。力?俺に?why、何故だ?
それだけでは意味が分からないので先を促す。

「きっかけは二週間前、涼宮さんの力によるものです。恐らく、貴方が暴漢を倒して涼宮さんを助けたのが引き金になったのかと。」

そこまで聞いて盛大に溜め息を吐く。二週間程前大男と対峙したときに周りがスローモーションに見えたこともあったし何よりこいつが言うんだから間違いないだろう。
ああ…なんて迷惑な奴なんだ。

40 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:26:38.74 ID:QfWg31w/O

もしかして誰もいないんじゃあないか?
オナニーは見てもらってこそ気持ち良いというのに…


「貴方がヒーローであって欲しい……実に可愛らしい願望じゃありませんか。貴方にデメリットがある訳ではなさそうですし。」

「そうは言うけどな…。」

再び溜め息をつく。この力にいくらデメリットがないとはいえ迷惑だ。俺は静かに暮らしたいんだ。

古泉を信用していない訳ではないが一応その後長門にも本当かどうか確認してもらい、俺は本日何度目か分からない溜め息を吐いた。暫く考えた結果いつも通り生活すればいいだろうと楽観的な結論を出し、可愛らしく手を振る朝比奈さんに小さく手を振り返して部室を後にした。

本当にSOS団は超人の集まりとなってしまった。

42 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:31:47.73 ID:QfWg31w/O

それから数日。
あれから特に大きな問題もなく俺は佐々木といちゃラブしながら過ごしている。
団には週3くらいで顔を出しているから団長様のご機嫌もそこまで悪くはなっていないようだ。


いつものように佐々木を迎えに行き、帰宅する。
ドアを開けて佐々木を先に入れる。お邪魔します、と律儀な佐々木の声にドタドアと廊下を走ってくる音。

「おっかえりなさーい!」

そう言うが早いか佐々木に飛び付く妹。もう慣れたのか驚くことなく抱き留めて優しく微笑む佐々木。

43 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:33:10.22 ID:QfWg31w/O

「こら、佐々木に飛び付くんじゃありません。」

「そうだねー、佐々木のお姉ちゃんはキョン君のだもんねー。」

これまたいつものように注意すると、ニコニコと笑いながらとんでもない発言をしやがった。妹よ、何処でそんな言葉を覚えたんだ。

ちらりと隣りの佐々木の様子を伺う。…返事に困ったらしく顔を真っ赤にして苦笑いを浮かべている。いつまでも玄関に立ちっぱなしなのもアレなので取り敢えず居間へ連行する。

44 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:35:18.74 ID:QfWg31w/O

佐々木の隣に座り、三人分のお茶を淹れる。

「毎日家に来てるってことはキョン君とお姉ちゃんはお付き合いしてるんだよね?」

待ってましたと言わんばかりに早速お茶を一口飲んでテーブルの向こう側からなんとも直球な質問をぶつけてくる妹。女性ってのは年齢に関係なく色恋沙汰が好きなようだ。

「そ、そうだよっ。キョンと僕は付き合ってるし突き合ってるよっ。」

間髪を容れずの佐々木のその発言に口に含んだお茶を噴く。何を言っているんだ。このままでは妹に変な影響を与えてしまうではないか。

「キョン君きたなーい。…で、お姉ちゃん。キョン君はどんな感じなの?」

45 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:37:49.04 ID:QfWg31w/O

「申し訳ない。僕としたことが少し取り乱していたようだ。」

お茶を一口飲み、ふぅと息を吐いて落ち着きを取り戻した佐々木が言う。先程の顔を真っ赤にして照れながら爆弾発言していたときとは別人かと思うくらいの変貌ぶりだ。

「なかなか可愛かったぞ。」

ニヤニヤ笑いながらそう言うとすかさず頭をバシッとはたかれる。こら、なかなか痛いぞ。

「な、何言ってるんだい。からかうのはやめておくれよっ…!」

そのまま二度三度と叩かれる。途中から嬉しそうな顔をした妹まで参加して来てサンドバッグ状態になったのは言うまでもない。

46 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:40:22.48 ID:QfWg31w/O

「ご馳走様でした。」

佐々木の作った夕食を終え、両手を合わせてそう言い食器を流しへと持って行く。いや、美味かった。
俺が風呂に入っている間に佐々木と妹は先に食べていたらしい。
妹はさっさと食事を済ませて宿題があるからと部屋に戻ってしまった。

「お粗末様でした。どうだった?美味しかったかい?」

「勿論、美味かったぞ。」

戻って来ると微笑みながら尋ねてくる佐々木。元々料理が出来る上に佐々木補正が掛かった料理が不味い筈がない。

48 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:43:53.08 ID:QfWg31w/O

「そう、良かっ……んん…。」

嬉しそうに笑む佐々木にたまらなくなって軽く唇を重ねるだけのキスをする。

「…ぷは、いきなりどうしたんだい…?」

「いや、余りにも可愛かったんでな。」

しれっとそう囁くように言うと、頬を染めて俯く彼女。ああ、いつもなから可愛いな。

「…そんなこと言われると、その気になっちゃうよ?」

「元よりそのつもりだ。」

にこりと微笑んで佐々木を抱え部屋へと向かう。


これからえっちくなります。
まぁなんせ未熟者なんでエロいかどうかは微妙ですが…。

50 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:45:45.85 ID:QfWg31w/O

「ん、ふ…ぅ…。」

ベッドに彼女の身体を寝かせて覆い被さるようになると唇を重ねる。

先程のものとは違い舌を絡め、何度もキスをする。唇を離す度に混ざりあった唾液が銀色の糸が俺たちを繋ぐ。

それを繰り返しながらゆっくりと佐々木のシャツをはだけさせてその白い肌に指を滑らせる。

「く、くすぐったい…よ、キョン…。」

身を捩らせて潤んだ瞳で見つめてくる佐々木に小さく笑みを浮かべると期待に応えるようにブラを外し、現われた形の良い双丘の先端にある淡いピンク色のそれを摘む。

51 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:46:45.02 ID:QfWg31w/O

「…っん…。」

ゆっくりと片方の乳房を揉みながら、もう片方の先端の突起に舌を這わせる。

「ふ、あ…っ。」

わざと大きな音を立てて既に固くなったそれを吸うと、びくりと身体を震わせる佐々木。胸を揉んでいた手を段々と下へ下げていき、スカートを脱がせると下腹部から太股の辺りを撫で回す。

「や…ん、キョン…。意地悪しないで…触って…?」

熱を帯びた目で俺を見上げながらその発言は正直反則だ。

52 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:48:06.07 ID:QfWg31w/O

願いを聞いて直ぐにでもイカせてやりたいが、もう少し焦らすとしよう。

「何処をだ?ちゃんと言ってくれないと分からんぞ?」

引き続き股の周りを優しく撫でながら囁くように問い掛ける。

「ぼ…僕の…大事なところ……。」

うーむ、まだだな。もうちょっといけるはずだ。
佐々木には悪いがまだおあずけだ。

「人間の身体に大事じゃない部分なんてないぞ。あとどうして欲しいんだっけか。忘れちまった。」

「く、うぅ……後でひどいんだからね…。」



やべ、書き込んでて恥ずかしくなってきた。

54 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:49:51.28 ID:QfWg31w/O

泣きそうな顔もそそるな。太股の内側に手を移し撫でながら佐々木が我慢出来なくなるのを待つ。

「お…おねがい……僕の…おまんこ…触って…。」

これは想像以上の破壊力…俺の息子はクライマックスだ。微笑みながらよく出来ましたと耳元で囁き、佐々木のそこへと指を滑らす。

「ぁあ…んっ…キョン…。」

そこは下着の上からでも分かる程ぐっしょりと濡れそぼっていて、指を上下させる度にねちゃねちゃという音が響く。

56 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:51:46.00 ID:QfWg31w/O

「…ふぅ…うっ…直接、触ってぇ…。」

小さく頷くと、指にショーツを引っ掛けて一気に下ろし、それと佐々木の秘部を繋いでいたねばねばした糸を指で絡めとって彼女の口許へ持っていく。

「…ん、ぅん……ふぅっ…。」

躊躇わず俺の指を咥えて絡み付いた自分の愛液を舐めとる佐々木。
この光景…たまらん。

が、いつまでも指を舐めさせる訳にはいかないので佐々木の口から指を抜き、その手で直接性器に触れる。

57 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:52:29.88 ID:QfWg31w/O

「…ひうぅっ…!」

撫でるように触れただけなのに今までとは比べ物にならない程甘い声を出す彼女。そのまま中へ指を侵入させる。充分過ぎる程濡れた綺麗なピンク色のそこは、くちゅっと水音を立てて容易に指二本を飲み込む。

「ふあぁっ!…あっ、ああ、んんんー…っ。」

中で動かす度に口から漏れる嬌声。そんな様子にクスリと笑うと、より激しく膣内を掻き回す。じゅぷじゅぷといやらしい音が部屋中に響く。

58 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 13:54:20.89 ID:QfWg31w/O

「ふあぁっ…や…っ!は、激しっ…!…だ…めぇ…!」

段々と大きくなる佐々木の声と卑猥な水の音。更に激しく掻き回した後に一番感じるところを突き上げる。

「…らめっ、らめぇ…!イクッ、イッちゃううぅううっ!!」

身体をビクンビクンと痙攣させて甲高い声をあげる佐々木。どうやら達したようで、大量の愛液が膣から溢れ出す。
そこから指を抜いて絡み付いた佐々木の分泌液を舐めとり、一度触れるくらいのキスをする。

69 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 15:09:28.16 ID:QfWg31w/O

支援して下さった皆様マァコォゥトォゥに有り難う御座いますっ
今からちまちまと投下していこうと思います

「…そろそろ、いいか?」

「…うん…、いいよぉ…。」

唇を離して小さく尋ねると、まだ絶頂の余韻に浸っているのか甘ったるい声が帰ってくる。そんな彼女の頭を優しく撫でてやり、はち切れんばかりに膨張した俺の一物を取り出して秘裂にあてがう。

「…っ…はやくぅ…。」

「ああ。」

待ち切れないといった様子で腰をくねらせて性器を俺のそれに擦り付ける佐々木。正直俺も待てません。
頷いて返事をすると一気に挿入する。

「っ!…ふうぅぅうっ…!」

全て入りきったところで佐々木の嬌声と共に膣壁が一気に収縮する。どうやらこれだけで達してしまったらしい。

70 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 15:10:47.02 ID:QfWg31w/O

「これだけでイッたのか?…いやらしい奴だな。」

「…だってぇ…気持ち良過ぎるんだもん…。」

惚ける彼女の口の端からだらしなく垂れた唾液を舐め取って唇を重ねる。
唇の隙間から佐々木の舌が入って来る。それに応えるように舌を絡めながら律動を始める。

ぐちゅっぐちゅっと淫らな音と肌のぶつかる音、そして俺たちの荒い息遣いが部屋中に響く。

「…んんっ!…ん、ふ…!」

71 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 15:11:51.17 ID:QfWg31w/O

ゆっくりと唇を離し、両手で佐々木の腰を固定し。激しく佐々木を奥を突きまくる。

「ふぁ、ああっ…キョンっ!だめっ…!気持ちよすぎて…こわれちゃうっ…!」

「…壊れると困るな。やめるか。」

俺の言葉に戸惑う佐々木の膣から一物を引き抜く。内容物を失い栓が抜けたように汁を垂れ流すそこは、彼女同様物足りなさそうにいやらしくヒクついている。

73 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 15:15:39.57 ID:QfWg31w/O

「なん…でぇ…?」

「だって佐々木が壊れたら大変だろ。」

そう、冷静に返すとみるみるうちに目に涙を浮かべる佐々木。やばい、苛め過ぎたか。そう思い取り繕おうとしたその時。

「わ…わたし、壊れないからぁ…っ!…おねがい、キョンのおちんちんでわたしのおまんこをめちゃくちゃにしてぇっ…!」

怒られるかと思いきや自ら脚を開き、自分の性器を拡げておねだりした彼女。

グッドだ。一人称が変わっているのも中々良い。余裕がないだけなのかもしれないが。
兎にも角にもここまでされちゃヤるしかないだろ。

77 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 15:27:29.88 ID:QfWg31w/O

「分かったよ。」

そんな優しい言葉を掛けながらゆっくりと膣へと自分の性器を挿入していく。佐々木のそれはいとも簡単に俺のペニスを咥え込んでしまう。

「んあぁああっ…!もっと、もっと突いてぇ…っ!」

俺の動きに合わせて自分も腰を動かすなんてエロ過ぎだろ。

腰の動きに合わせてぷっくりと充血したクリトリスを指で摘み、転がす。

「それ、それっ…凄い…っ!わたし…もう……イッちゃいそうぅ…!」



78 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 15:29:00.92 ID:QfWg31w/O

「俺も、そろそろヤバい…。」

段々と締め付けが強くなってくる。お互い限界が近いみたいだな。ストロークを早めて絶頂へと上り詰める。

「キョンのせーし……なかにっ…中に出してぇ…!」

「分かった…。…ぐっ…!」

「イク…ッ、イクッ…!イッちゃ……ふぁ、ああぁあぁあぁあああんっ!!」

強烈な締め付けに絶えきれず最奥を突き上げ、精子を膣内へと吐き出す。同時に佐々木も達したようで、身体を震わせながら恍惚の表情を浮かべている。その彼女の性器からマイサンを引き抜く。そこから溢れ出す白濁の液体がなんともいやらしい。

79 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 15:30:38.44 ID:QfWg31w/O

「佐々木、可愛かったぞ。」

ぐったりと四肢を投げ出す彼女の頬にキスを落とす。最初はボーッとしていた佐々木だったが次第に正気を取り戻してこちらを睨み付けるように見る。

「き、君は最低だ。…あんなこと言わせるなんて…。」

今更思い出して恥ずかしくなったのだろう顔を真っ赤にしてはだけた格好のまま部屋を飛び出して風呂場へ向かった佐々木。
最低?そいつはどうも。



その後俺が風呂から上がると部屋にテンパっている佐々木と妹の姿が。どうやら一部始終見てたらしく挙句の果てに「私もキョン君と合体したーい!」とか言い出す始末。
日付が変わった頃漸く妹を落ち着かせなんとか寝かしつけた俺達はやっと眠りにつけたのだった。


これでいちゃラブ終了

82 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 15:34:22.06 ID:QfWg31w/O

翌日



「いってきまーす!」

と、妹が元気に家を飛び出していった声にパチリと目が覚める。
まだ寝ていたいという飽く無き睡眠欲を振り払い、身体を起こし部屋を見回す。
隣で寝ていた筈の佐々木の姿はなかった。まあ学校があるから当然なのだが。
制服に着替えて居間へ降りると、テーブルの上にはメモと朝食が盛られた皿が。

83 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 15:39:11.53 ID:QfWg31w/O

さっとメモに目を通すとそれが佐々木が用意してくれたものと分かり、小さく笑みを零す。

「おせっかいなやつだな。」

そう素直じゃない言葉を漏らしながらも心の中で佐々木に礼を言って、両手を合わせた後に朝食を摂る。
…やはり美味しかった。

食器を片付けた後にふと時計を見る。
今から全力で自転車を走らせて遅刻ギリギリってところか。
ふう、と息を吐くと鞄を手に家を出る。

いつもなら慌てふためいているはずなのに何故だか焦りはなかった。
…なんでだろうな。

84 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 15:41:27.51 ID:QfWg31w/O

生徒の姿も殆ど疎らになった通学路を自転車で走る。うーむ、日頃運動のしない俺としては全速力はキツいな。
交差点が見えて来たところで不意に足が止まる。

いつもは直進するところだが、今日は何故だか曲がらなければいけないような気がした。そちらへ行かなくてはいけないような。
理由は分からん。

少し遠回りになってしまうが、まあいいだろう。どうせ遅刻だ。


86 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 15:51:25.99 ID:QfWg31w/O

交差点を曲がり、少し進んだところで周囲の違和感に足を止める。道路から歩道にかけてタイヤの跡。鼻を突く鉄のような匂いと生臭さ。…事故か?

実際の事故現場というものを見たことのなかった俺は、興味本位で野次馬連中をかき分けて最前列まで出る。

そこには一台のトラックが歩道の街路樹に突っ込んでいた。運転席には夥しい量の血痕が。重体か、即死か。
状況から察するに運転を謝ってガードレールを突き破り歩道の人を撥ね、街路樹に衝突して止まった…ってところか。

89 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 15:53:30.19 ID:QfWg31w/O

トラックへと再度視線を移す。
フロント部は大きく損傷している。被害者の身体を巻き込んだのだろうか、タイヤは血塗れだった。
そのトラックの周辺から路面にかけて真っ赤な液体が飛散していて、その赤色の中に片方だけの靴が落ちている。

サイズはかなり小さい。小学生だろうか。
見覚えがある。何処で見た?

「……。」

…靴から視線を動かせない。血痕のその先を見るのが怖い。早くこの場を立ち去りたいが、足が動かない。

92 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 16:12:45.98 ID:QfWg31w/O

「派手にやってんなー…。」


ふと背後から聞こえた声に振り返る。この動作は自然に出来た。

…逃げたかったのかもしれない。目を背けたかったのかもしれない。頭の何処かで意識している…最悪のビジョンから。


「谷口…。」


「お?キョンか。はよーさん、どーした?顔色悪いぜ?」


こちらに気付いたそいつは、いつもの如く呑気に手を振りながら野次馬をかき分けて俺の傍らまで来る。

96 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 16:20:07.52 ID:QfWg31w/O

>>94
禿同
あいつに振り回される周りの皆様が不憫でならん

「うわっ…ひでぇなこりゃ…。」

「…ああ。」

現場の惨状に顔をしかめてそう言う谷口に小さく返事をして、奴と同じ方へと振り返る。

事故に遭ったのは知らない人物だ…と淡い期待を抱きながら。

「!?お、おいキョン!ありゃお前の…!」

「…妹、だな。」

自分でもゾッとするくらい冷静な返答が口から出る。…そういやこいつが家に来た時妹の面倒見てもらったっけか。俺の様子を気にする余裕もないのか谷口が口を開く。

「なんでそんなに落ち着いてんだ!きゅきゅきゅ、救急車を!」

小さく首を振る。既に第一発見者が警察と病院に連絡しており、もうすぐ来るだろうと先程野次馬達の話が聞こえた。運転手の方も即死だったらしい。

97 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 16:24:58.33 ID:QfWg31w/O

もう一度、被害者の方を見る。
上半身が千切れ飛んでいて、下半身は車体に巻き込まれたのだろう。ぐちゃぐちゃになって原型を止めていない。



そんな変わり果てた妹の姿を見て、俺は静かに涙した。

98 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 16:27:21.35 ID:QfWg31w/O

妹ちゃんごめんねぇええええええっ!!

101 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 16:33:34.84 ID:QfWg31w/O

力無く学校までなんとか辿り着く。やはり遅刻だった。
生活指導の先生の説教の後にいつものように教室に入りいつものように席についていつものように授業を受ける。
既に情報を入手した古泉や、谷口から話を聞いた国木田が心配して来てくれたが、正直迷惑だった。
その度に妹の死を実感させられ、今更ながら悲しくなって泣きたくなったから。

いつもはうるさいハルヒがやけに静かなのが不気味だった。

103 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 16:38:33.36 ID:QfWg31w/O

学校での一日が終わり、校舎から出る。徐に携帯をポケットから取り出してサブディスプレイを見るとそこには着信が何十件とメールが。全て両親からのもので、今からそちらへ帰るという内容だった。返事はしなかった。する気になれなかったと言ったほうが正しいか。

そのまま佐々木を迎えに行き、自宅まで到着。道中何も話す気にはなれなかった。佐々木も俺のそんな様子に気付いてか何も喋らなかった。

鍵を開け、ノブに手を掛ける。が、手に力が入らない。動悸がして、嫌な汗が滲み出るのが分かる。
怖い。妹がいなくなったという現実が突き付けられそうで。

105 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 16:43:48.54 ID:QfWg31w/O

「…キョン、どうしたんだい?」

いつまで経ってもドアを開けない俺に佐々木が首を傾げて尋ねてくる。

「いや…なんでも、ない。」

小さく首を振ってドアノブを捻り、開ける。
これを開けると、いつも通りおかえりなさいと妹が飛び付いてくる。あんな事故はなかった。そんな期待を抱きながら。

「お邪魔します。」

先に佐々木を通し、俺も後に続く。
いつもならドタバタと走って来る筈の妹が来ないことに小さく首を傾げつつも靴を脱いで居間へと向かう佐々木を見送り、その場に立ち尽くす。靴は俺と佐々木の物だけ。


ああ…やはり

妹はもう、いないのだ。

107 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 16:47:29.28 ID:QfWg31w/O

信じたくない。信じたくなかった。

しかしその現実に今更ながら涙が溢れてくる。止まらない。
居間に入ってこない俺を不思議に思ったのだろうひょいと顔を出した佐々木の表情が驚きに変わり、慌ててこちらへと駆け寄って来る。

「キョン…!?…どうしたんだ……大丈夫かい…?」

そう尋ねるように俺の顔を見上げながらギュッと抱き締めてくれる。

「すまん。大、丈夫だ…。」

袖でぐいっと涙を拭って軽く佐々木を抱き締め返すと、フラフラと居間へと入る。
自分でも分かる程おぼつかない足取りで椅子まで向かい、崩れ落ちるようにそれに腰掛ける。

108 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 16:55:25.12 ID:QfWg31w/O

「…ねぇキョン、一体どうしたんだい?」

隣に腰を下ろした佐々木が俺の手を握りながら心配そうに問い掛けてくる。
佐々木は何も言わず俺が話すのを待ってくれている。…話さなくちゃいけない。覚悟を決めた俺はゆっくりと口を開く。

「…妹が、今朝トラックに撥ねられて…死んだんだ。」

そう絞り出すような声で妹の死を告げる。すると佐々木の顔色がみるみるうちに青ざめていく。

109 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 16:59:47.44 ID:QfWg31w/O

「そう…か。君が言うんだから本当のこと…なんだろうね。」

ああ、と小さく返事をすると堰をきったように再び涙が溢れてくる。佐々木もボロボロ泣いている。

いつもとは違う静かな室内に俺と佐々木、二人の啜り泣く音がいつまでも響いていた。

111 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 17:04:24.00 ID:QfWg31w/O

何時間泣いただろうか。ふと我に帰ったようにぐるりと室内を見回す。電気も点けてなかったので真っ暗だ。

「キョン…?」

「もう、大丈夫だ。」

泣きじゃくっている佐々木に小さく微笑んで言う。
頭の中が妙にスッキリした感覚。何故かもう悲しいという感情は沸き上がってこない。

ふらりと椅子から立ち上がって居間の電気を点けて、時計を見る。

「そんなに時間は経ってないんだな。」

まだ泣きやまない佐々木を抱き寄せて小さく呟く。

113 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 17:07:35.12 ID:QfWg31w/O

「君は…もう、大丈夫っ…なのかい…?」

大丈夫…か。何も感じなくなった点に置いては大丈夫ではないのかもしれないな。
自分でも不思議だ。悲しくない訳ではないが、もう何年も経って頭の片隅でそんなこともあったな、と霞んでしまったようなそんな感覚。
思考はそこまでにして優しく頷くとまだ泣きじゃくる彼女の頭を撫でてやる。

115 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 17:11:30.65 ID:QfWg31w/O

佐々木が落ち着いたのは、それから十分程後。
彼女はいつものような笑みを無理矢理作ると、夕飯の準備に取り掛かった。無理するなと言ったが、頑として聞かなかった。






翌日

まぁ、薄々分かってはいたが殆ど寝られなかった。
時間は6時。上半身を起こすと、隣で寝ていた佐々木もむくりと起き上がる。

116 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 17:14:55.14 ID:QfWg31w/O

「その様子だと…寝られなかったみたいだな。」

「そう言う君こそ。」

そのやりとりに苦笑すると、二人で朝食の準備をした。俺は殆ど寝てないにも関わらずやけにスッキリしていた。佐々木はフラフラしていたが。





それから数時間後。俺と佐々木は商店街を歩いていた。
佐々木は最初は病院に行こうと言っていたが、妹のあの姿を見せると佐々木が壊れてしまいそうな気がして首を横に振った。
正直俺が見たくなかった。今度こそ立ち直れなくなりそうで。
特に目的という目的もなかったが、外出せずにはいられなかった。家で妹の物を見る度に表情を暗くする佐々木を見てられなかったから。

118 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 17:20:55.24 ID:QfWg31w/O

「キョン、これなんかどうかな?」

「ああ、可愛いと思うぞ。」

ふらっと入ったブティックの中。
可愛らしいワンピースを身体に当てて聞いてくる佐々木に率直な感想を述べる。尚、このやりとりは既に五回を超えている。
…そろそろそればっかりと言われる頃だろうか。

「キョン、さっきからそればっかりだね。」

やはりか。正直服はよう分からんのだ。しかもレディースなんて分かるか。分かってたまるか。

121 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 17:26:49.12 ID:QfWg31w/O

「佐々木は可愛いんだからどんな服でも似合うと思うぞ?」

優しく笑いながら何度目か分からない台詞を言う。この台詞は佐々木に効果覿面なのは百も承知だ。

「お、お世辞はなかなか上手いようだね。」

顔を真っ赤にしてそう言い、外方を向くと先程から気にしていた物を二三着掴んでレジに持って行く。
可愛い奴だ。

それから店を出て昼食をとったり映画を見たりとあちこち回り、夕飯の買い物を済ませた頃には日もすっかり落ちてしまっていた。

123 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 17:46:38.38 ID:QfWg31w/O

「どうして楽しいことはすぐに終わってしまうんだろうね。」

「物事に夢中になるからじゃないか?」

商店街の出口へと向かい、他愛もないことを話しながら二人並んで歩く。佐々木の表情は明るい。その表情がまた暗く沈むのかと思うと家に帰りたくなかった。

隣を歩く佐々木の表情をちらりと盗み見る。…いかん、表情が暗くなっている。あんなことがあった翌日だから無理もないが。
ここは、少し笑わせてやろう。

「表情が暗いぞ佐々木っ!」

彼女の背後に回り、両脇に手を差し込んでくすぐってやる。

124 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 17:49:30.83 ID:QfWg31w/O

「…っく、あはははっ…!い、いきなり…なんだい…!…くすぐったいよ…キョン!やめ…っ、て……はは、苦しいっ…。」

俺の的確な攻撃にこそばゆさに大きな声をあげながら身を捩って抜け出そうとする佐々木。息をするのも辛そうになったのでぴたりと手を止める。

「…なんだったんだい?全く…周囲の目というものも考えて欲しいね。」

攻撃を止めて再び隣に戻るとやり過ぎたらしく、怒られてしまった。逆効果だっただろうか。

「すまん、少し調子に乗り過ぎた。」

なんてことを…と後悔しても遅い。目の前の彼女はどう見ても怒っている。
これは下手な弁解をするよりも素直に頭を下げて謝罪したほうが良さそうだ。

「本当に、悪かった…。」

127 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 17:54:17.27 ID:QfWg31w/O

再度彼女の方を見つめて謝ると、突然くすくすと笑い出す佐々木。

「くつくつ、冗談だよ。笑わせてくれて有り難う、キョン。」

彼女の微笑みに肩の力がガクンと抜ける。ああ、これは精神的にくるな。

「悪い冗談は止してくれ…。冷や冷やしたぞ…。」

苦笑混じりにそう言うと、先程よりも穏やかに笑う佐々木。その笑顔に釣られて俺も柄にもなくニコリと笑顔になる。

「…こんな時間がずっと続けば良いのにね。」

131 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 18:08:48.43 ID:QfWg31w/O

――そう、佐々木がそう言って少し駆け足で俺の前に出た瞬間だった。


一瞬で俺の視界から佐々木が消え、変わりに視界を埋め尽くしたのは電飾で縁取られた看板。耳を劈くようなけたたましい音が商店街中に響き渡る。

看板が落ちて来たらしい。咄嗟に飛び退いてそこから離れる。
程無くして周囲の人々から悲鳴が上がる。
佐々木は無事だろうか。

看板の反対側に回る。彼女の姿はない。

142 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 18:26:30.54 ID:QfWg31w/O

「佐々木?」

回りに聞こえる程度に呼び掛ける。反応はない。

恐る恐る、看板の下を見やる。いつの間にか足下はそこから流れる液体によって赤く染まっており、チカチカ光る電飾と石畳の間から、伸びる腕。

嫌な汗を拭って咄嗟に腕を引く。手応えは全くないことを疑問に思いつつもそのまま引き出す。すると

「……ッ!?」


肘から先が、無かった。

144 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 18:30:34.96 ID:QfWg31w/O

それを見た周囲の人達から再び悲鳴が上がる。

「佐々木っ…佐々木…うわああぁあああああぁあっ!!」

彼女を下敷きにしている看板を持ち上げようとするが一人ではピクリとも動かない。

「くそ…動けよっ!!」

「兄ちゃん、俺たちも手伝うぜ!」



その後商店街の人達の手助けもあって看板を退けることに成功したが、そこにいる筈の佐々木は……。


人の形をしていなかった。

147 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 18:34:54.40 ID:QfWg31w/O

程無く到着した救急隊員により佐々木の遺体は収容されたそうだ。

パニックになっていた俺はその時の記憶は殆どない。気付けば病院にいて、気付けば家に帰っていて、気付けば通夜に参加していた。

その週は三日程学校を休み、ただ泣いた。

その日の夕方。一人部屋にいると妹のときと同様、同じ感覚に見舞われた。悲しいはずなのに、涙がもう出て来ない。

「…また、か。」

落ち着きを取り戻してぐるりと室内を見渡す。そこで沸き上がる疑問。
そう言えば、うちの親はどうした?
帰ると連絡を受けてからもう五日以上経っているぞ?

149 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 18:39:51.96 ID:QfWg31w/O

携帯に連絡してみる。が、繋がらない。呼び出し音すらなりやしない。どうなってる?
不安になってテレビを見てみると、丁度ニュースがやっていた。

『〇〇高速道路下りで発生した玉突き事故の速報です。』

なんでこんなただの事故に嫌な予感がするのだろう。

『前のトラックと後続の大型車の間の乗用車に乗っていた身元不明だった遺体ですが』

動悸が止まらない。

『〇〇市在住の〇〇さんと、妻の〇〇さんだということが判明しました。』

今何て言った?信じられないとテレビを凝視する俺にとどめを刺すように被害者の名前が表示される。そこには俺の両親の名前が並んでいた。

「嘘…だろ…?」

がくりと膝を突き、うなだれる。
何でだ。どうしてだ。こんなに皆死んでいくんだ。

162 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 19:07:41.24 ID:QfWg31w/O

みんな保守thx


その翌日、親戚が家に来て賠償金がどうのこうの言っていた。その辺はよく覚えていない。
親戚の人達が家に来るか?と言ってくれたが、断った。自分でも何故かは分からない。ただ、なんとなく。

結局その週は通夜や葬儀続きで学校に行くことは無かった。
週末も何をする訳でもなく ただ、家で悲しみに暮れた。

数日間家に引きこもり親族と佐々木の死に、ただ涙した。その日の夕方これまで同様の感覚に襲われたが、もう不思議には思わなかった。

164 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 19:10:23.87 ID:QfWg31w/O

しっかりした足取りで洗面所へと向かい、顔を洗う。よりクリアになった頭で今までを振り返ってみる。

一週間の間に立て続けに起こった事故。
俺の周りの人ばかりこんなに事故が続くものだろうか。いやないだろう。

流石に何者かの陰謀なんてものを感じざるを得ない。…何者かが分かればとっくに殺してるんだが。

そうだ、殺してやる。

俺から全てを奪った奴を。

167 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 19:13:38.88 ID:QfWg31w/O

そう決意して洗面所を後して部屋へ向かう。こんなことが出来る奴なんて限られている為大体の見当はついているが、確固たる証拠が欲しい。
…調べなければ。
幸い俺の周りには長門や古泉と情報に長けた奴が近くにいる。

「今日はもう寝るか。」

ベッドに寝転がり、何気なく天井を見上げる。不意に妹、佐々木、両親との思い出が思いだされる。



楽しかった日々。
掛け替えのないあの日々。


もうあの日々は戻らない。

171 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 19:22:10.53 ID:QfWg31w/O

その通り、ここから本番です



翌朝、先週のことがなかったかのように目覚めは良好。気分も良い。
制服に袖を通して顔を洗い、適当に朝食を済ませていつもより余裕を持って学校へと向かう。



教室へと到着。どうやら一番乗りらしく、生徒の姿はない。鞄を机の横にかけて朝のHRを待つ。

数分経っただろうか。突然教室の扉が勢い良く開く。

「あっ、キョン!おはよー!」

そいつは俺を見るなり嬉しそうに笑みを浮かべて俺の側まで駆け寄って来る。

175 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 19:30:57.59 ID:FZmwEnRy0

ハルヒだから仕方がない


「おはよう。」

「ご家族と佐々木さん、気の毒だったわね。」

いつものように挨拶を返すが…何か違和感。何故こいつはこんなにも嬉しそうなんだ?そんな表情をして言うこ
とじゃないだろう。
そんなことを考えて黙り込む俺を不思議そうに覗き込むハルヒ。

「どうしたのよ?」

「いや、なんでもない。」

今はやめておくか。長門や古泉に聞けば自ずと分かるだろう。
そう結論を出して思考を中断すると、席について久し振りにハルヒと適当に会話
することにした。
朝のHR後、身内や恋人が死んだということでクラスメートが群がってくる。


…気の毒だったね。

もう少し学校休んでもいいんじゃない?


…余計なお世話だ。いつもは話し掛けても来ないくせにこういうときだけ心配し
たフリして善人振るんじゃねぇよ。
…そいつらにどう返事したか覚えていない。いい加減な返事を返したことは間違
いないだろうが。

181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 19:35:34.58 ID:FZmwEnRy0

昼休み。一緒に食べようと纏わりついてくるハルヒを撒いて昼食を買い、中庭の
木の下に腰掛ける。幸い他の生徒はおらず、静かに昼食がとれそうだ。
時々吹き抜ける風が心地良い。

「あれ…キョン君?」

購買のパンを平らげ始業まで一眠りするかと寝そべって目を閉じたところで上か
ら降ってくる声。無視するのもアレなので声に反応するように目を開ける。

「…朝比奈さんと鶴屋さん…お久し振りです。」

「やあやあ、キョン君。隣良いかなっ?」

声の主は朝比奈さんだった。それに続くように鶴屋さんが明るい声で話しかけて
くる。
全身を包む倦怠感を押し殺してどうぞ、と言って身体を起こす。

182 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 19:39:22.19 ID:FZmwEnRy0

正直需要がなさそうなeroだよ


「…キョン君っ…!」

と突然身体に柔らかな感触。

「えっと…朝比奈さん?」

状況が理解出来ない。いきなり抱き着いて来た朝比奈さんに尋ねる。

「ご家族と佐々木さんのこと…大変でしたね。」

小さな声でそう言って顔を上げた朝比奈さんは、涙ぐんでいた。ええ、と苦笑し
ながら返事する。まさかここまで心配されているとは思わなかった。何だかむず
痒い。
顔を赤くしてゆっくりと離れる朝比奈さんに対して礼を言うと、今度は背中に柔
らかな感触が。鶴屋さんの甘い香りが鼻孔をくすぐる。

「辛いときはさ、我慢せずに泣いてもいいんだよ。キョン君?お姉さんが抱き締
めてあげるっさ。」

そう言った鶴屋さんの声はいつもより柔らかくて優しくて。その言葉が嬉しくて思
わず泣きそうになった。

193 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 19:58:30.78 ID:FZmwEnRy0

ただいま


その後は予鈴までそこで他愛もない談笑をして過ごした。
朝比奈さん達と別れ教室へと戻ると、慌てた様子の谷口がこちらへと向かって来
る。

「おい、昼休み何処行ってたんだよ。涼宮、大変だったんだぜ?」

大変、とはどういう意味だろうか。あいつが変なのはいつもだと思うが、と言っ
てスルーしたら怒られそうなので一応聞いておくか。恐らく聞いて欲しいのだろ
う。

「ハルヒがどうした?」

「なんかよ、窓から何処か見ながら無表情でずっとブツブツ呟いてるんだぜ。暫
くしたら走ってどっか行っちまったけどよ。みんなドン引きだったぜ。」

…頭が痛くなる。あいつはまた訳の分からんことを。深く溜め息を吐きながら何
気なく窓を覗く。
向こうの校舎と中庭が見える。
…まさか、な。
程無くハルヒが何食わぬ顔で戻って来た。一抹の不安を抱えつつも俺は五時間目
の準備をした。

196 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 20:01:12.16 ID:FZmwEnRy0

それから特に変わった事もなく終礼が終わり、教諭の挨拶とほぼ同時に教室を飛び出
す。向かう先は、部室。ハルヒが来る前にあいつらに聞かなきゃならないことがあるからな


俺の思いをよそに室内には珍しく誰もいなかった。それから一時間程待っていたが一向に誰も来ないので明
日聞くことにして、部室を後にする。



「あら?どうしたのキョン、帰るの?」

下駄箱まで辿り着いたところで背後から聞き慣れた声が。これから帰ろうと思っ
たのに嫌なタイミングで捕まったな。ああ、煩わしい。

「ああ。…!?」

ゆっくりと振り返る。そこには怖いくらいににこやかな笑みを浮かべたハルヒが
いた。手には金属バットと体操着袋。違和感満載だ。ハルヒが金属バットを使う
理由が分からないし、今日は体育はなかった。

208 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 20:05:53.44 ID:FZmwEnRy0

「それ、どうしたんだ?」

取り敢えず先に一番の疑問であるバットについて尋ねてみる。また野球するとか言いやがるんだろ
うか。正直勘弁してくれ。

「野球しようかと思ったのよ。」

ちらりとバットにもう一度視線を移す。…白球を打つだけなのにそんなにバット
がへこむだろうか。まるでもっと固くて大きな物を殴ってきたような…そんな感
じだ。

「何殴ってきたんだ?」

冗談ぽい口調で軽く尋ねる。一瞬、ハルヒの顔が驚いたような表情になった。
嫌な予感がする。

210 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 20:11:42.81 ID:FZmwEnRy0

「…バレちゃったわね。みくるちゃんと鶴屋さんよ。あの二人ったらあたしのキ
ョンに抱き着いたりするんだもの。そんな汚い豚は死んで当然だわ。」

…こいつは何を言ってるんだ?

殺した?朝比奈さんと鶴屋さんを?

まるで邪気の感じられない、当然の行いをしたかのように笑顔のそいつの口から
出たその言葉に凍り付く。



215 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 20:23:38.29 ID:FZmwEnRy0

許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない
許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない
。あの雌豚ども、あたしのキョンに抱き着くなんて許せない。

「殺してやる。」
五時間の授業を受けながら昼休みの事を思い出し、小さく低い声で一人呟く。
…二人の下駄箱には既に体育館倉庫に来るようにと書いた手紙を置いてきた。勿
論筆跡も分からないようにしてある。
ふふ、どうやって殺そうかな。
キョンは褒めてくれるかな?頭撫でてくれるかな?抱き締めて欲しいなぁ。うふ
ふふふ。

そんなことを考えながら殺す算段をしているうちにいつの間にか終礼の時間にな
っていた。勿論授業の内容など全く頭に入らなかったが、そんなことはどうだっ
てよかった。

218 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 20:28:32.99 ID:FZmwEnRy0

終礼が終わるや否やキョンが教室を飛び出して行く。…帰っちゃうのかな。妹ち
ゃんや佐々木さんがいなくなったんだから団活に顔出してくれてもいいのに。
あ、もしかしたら体調が悪かったのかも。大丈夫かな、キョン。心配だよ…。

…と、いけない。これから汚い雌豚を殺さなくちゃいけないんだった。キョンに
はまた明日会えるものね。

立ち上がると足早に更衣室へと向かい、体操着に着替える。室内で金属バットを
見つけた。これで頭をフルスイングしてやろう。決定。

バットを担いで目的の場所まで歩いていく。体育館倉庫の前には既に二人の姿が
あった。何やら話をしている。
もしかしてキョンのことを話してるのかしら?許せない。殺してやる。

227 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 20:38:36.85 ID:FZmwEnRy0

「よーし、みくるちゃんに鶴屋さん!良く来てくれたわね!」

二人に歩み寄りながらいつもの調子で話し掛ける。本当は話すのも嫌だけど…こ
れもあたしとキョンの為だ。

「あ…あれ、涼宮さんだったんですかぁ?男の人みたいな字でお話があります。
としか書いてなかったから誰かと思いましたよぉ…。」

「なかなか良い趣味してるねっ、おねーさんドキドキしちゃったよー?」

手紙の差出人があたしと知り、安心したように微笑む二人。呑気なものだ、これ
から殺されるのにね。

「ちょっと他の人に聞かれるとマズいから中で話しましょ。」

倉庫の大きな扉を開けて中に入るよう促す。この時間鍵が掛かってないのとどれ
だけ騒いでも声が外に漏れないのは既に調査済みだ。

232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 20:43:59.48 ID:FZmwEnRy0

「わ、分かりましたぁ。」

「いやー、聞かれたくない話って何かなっ。ワクワクするにょろ。」

よし。二人が入ったのを確認するとあたしも続いて中に入り、扉を閉める。その
まま前を歩いていた鶴屋さんの頭をフルスイングで殴打する。手応え充分ホーム
ラン。うん、いい感じ。

「ハルにゃ…!?っいぎぁああああああっ!!痛い、痛いいだいいぃいっ!」

「すすす、涼宮さんっ!?何してるんですかぁっ!!」

醜く床をのたうちまわりながら叫ぶ鶴屋さん。直撃した後頭部は見事に陥没して
いて、そこから夥しい量の血が溢れ出している。
みくるちゃんが何か喚いているがそんなの知らない。

「みくるちゃんは後回しね。」

237 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 20:48:56.23 ID:FZmwEnRy0

あたしに飛び付いて妨害しようとしたみくるちゃんを振り払い、そう言ってもがき苦しむ鶴屋さんの頭を数回もバットで殴る。
その度に潰れるような不快な音と共に赤い色のとかピンク色のが汚い悲鳴と共に飛び散る。
最初はビクビクと身体を痙攣させていたが、直に動かなくなった。

「いや…いやです…助けてぇ…。」

腰が抜けて立てないのか尻餅をついたまま後ろへと下がるみくるちゃん。顔は涙
でぐしゃぐしゃだった。ああ、醜いなぁ。

「助けてぇっ…!キョン君…!」

240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 20:52:59.69 ID:FZmwEnRy0

今なんて言った?誰に助けを求めた?キョン?
ふざけるな。キョンはあたしのもの、キョンは私だけのヒーローなのよ?
おこがましいにも程がある。調子に乗るな、死ね。雌豚。

「ぐひぃっ。」

頭をぶん殴ってやると潰れた蛙のような声を上げて倒れる豚。そういえばこいつは以前蛙の格好してたっけ。これはお似合いだ。
そのまま勢いに任せて手当たり次第に殴る、殴る、殴る。

「ふふ。」

やがてぴくりとも動かなくなった豚どもに小さく笑う。最早原型すらとどめてな
い。良い気味。キョンに手を出すからだ。ざまあみろ。
取り敢えず制服に着替え、持っていたミネラルウォーターでバットの血を洗い流
す。体操着は袋にしまって小さな窓から脱出する。その後軍手を体操着袋にしま
う。
一端教室に戻り、自分の席に座って達成感に浸る。
キョンは褒めてくれるかなぁ?なでなでしてくれるかなぁ?ギュッてしてくれる
かなぁ?キスしてくれるかなぁ?

242 名前:1[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 20:57:13.93 ID:FZmwEnRy0

「キョン…キョン…っ…!」

彼の名前を口にするだけで下腹部が熱くなるのが分かる。幸い、教室には誰もい
ない。

一回だけなら…いいわよね。
あたしは徐にスカートの中に手を差し入れて、下着越しに割れ目を擦る。
それだけで身体中に感じる甘い痺れ。

「くぅ…ふ、あぁ…あ…。」

意識してないのに口から甘い声が漏れる。
もっと、もっと強い刺激が欲しい。
既にぐっしょりと濡れたショーツを下ろし、性器を直に擦る。
教室でしてるからか、いつもよりも快感が強い。

「…やっ、あ、ぁあ…あっ…きもちいいよぉ…。」

くちゅくちゅと卑猥な水音が教室内に響く。
そんなのお構いなしに一心不乱に性器に指捩じ込んで、そこを掻き回す。

245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:01:31.54 ID:FZmwEnRy0

「キョン、そんなのっ…だめぇっ…!こわれちゃぅう…。」

いつものように彼と性行為する妄想をしながら、自慰に耽る。
床にはあたしの膣分泌液が小さな水溜まりを作っている。
高まるにつれて声が段々と大きくなっているが最早そんなのどうでもいい。
今はこの快楽に浸っていたい。

「だめ…だめ……イッちゃうよぉっ…!」

徐に充血したクリトリスをきゅっと摘む。
激しい快感があたしを駆け巡り、ビクッと身体が痙攣する。
ぷしゅっと愛液がそこから噴出し、机と椅子を汚す。

「はぁぁ…あああ…。」

ひくひくと蠢く性器から指を抜く。
まだまだ絶頂の余韻に浸っていたいが、流石にいつまでもこのままではマズい。
バッグからタオルを取り出して体液で汚れた机と床を拭いて、脱ぎ捨てたショー
ツを拾う。愛液でぐちゃぐちゃで履く気にはなれなかった。
まあノーパンでもいいか。


やっぱボリューム不足でしたorz

249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:03:46.07 ID:FZmwEnRy0

バットと体操着袋を持って清々しい気分で教室を出る。
団活は…今日はいいや。
いざ帰ろうと下駄箱まで向かうと、前方にキョンを見つけた。
キョン、キョンだっ。

「あら?どうしたのキョン、帰るの?」

ぱたぱたと駆け寄って話し掛ける。体調悪いんじゃなかったみたい。良かった。

「ああ。…!?」

あたしの声にいつもののんびりした調子で振り返るキョン。
部室に行ってたのかしら…。そんなことならさっさと部室に行けば良かった。

「それ、どうしたんだ?」

あたしの手に握られたバットを指差して怪訝そうに彼が問う。

「野球しようかと思ったのよ。」

嘘をついてみる。頭の良いキョンならすぐに嘘だと分かるだろうけどね。


250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:07:47.16 ID:FZmwEnRy0

「何殴ってきたんだ?」

流石キョン、あたしのことは全部お見通しみたいね。
やっぱりキョンにはあたしが相応しいわね。そんな嬉しさに自然と笑みが零れる。


「…バレちゃったわね。みくるちゃんと鶴屋さんよ。あの二人ったら私のキョン
に抱き着いたりするんだもの。そんな汚い豚は死んで当然だわ。」

一瞬で彼の表情が凍り付く。どうしてそんな顔するの?

「…何処で、殺したんだ?」

声を震わせながら彼が問う。やっぱり調子が良くないのかしら。

「体育館の倉庫よ。」

あ、分かった。確認しに行くのね。ちゃんと確認したら褒めてくれるよね。

「っ…!」

場所を告げると慌てた様子で駆け出していく。もう、キョンは心配性なんだから。
…それだけあたしのことを心配してくれてるってことかな。えへへ。


252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:10:41.93 ID:FZmwEnRy0

冗談じゃない。朝比奈さんと鶴屋さんを殺しただとっ!?
何故だ?理由がいまいち分からない。俺に抱き着いたからだと?
そこまで思案して漸く気付く。

そうか。

あいつは俺が…

好きなのだ。病的なまでに。



「くそっ!」

今更ながら自分の鈍さに苛立つ。
俺がもっと早く気付いていれば二人が殺されることは無かったのに。

体育館倉庫に到着。久し振りの全速力で呼吸が乱れまくりだ。
今目の前に飲み物があれば2Lくらい一気に飲み干せそうだが今はそれどころではない。
悲鳴を上げる身体に鞭打ちそっと倉庫の扉に手を掛ける。


254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:13:30.08 ID:FZmwEnRy0

この先に、二人の遺体が。動悸が激しくなり、考えるだけで悲しさが込み上げて…

こない。

二人とももう死んでしまったんだ。
考えるだけ無駄だろ?…ゲームの画面を見つめているような…そんな達観したような考え。

はは、どうやら俺もおかしくなっているらしい。

動悸もいつの間にか収まり、不安も躊躇いもなく扉を開ける。

「…?」

そこはいつもと変わらぬ倉庫。二人の死体も無ければ 血痕もない。
ハルヒの妄言だったのだろうか。しかしあのバットは?

…ここでそんなことを考えても無駄なようだ。取り敢えずハルヒを捜そう。



その後一時間程捜し回ったが、校内には既にハルヒの姿は無かった。


258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:16:22.56 ID:FZmwEnRy0

翌日、ハルヒに二人の件を聞くべく早めに登校した。
しかし待てど暮らせどハルヒは姿を見せず、朝のHRの時間になった。
ハルヒは欠席らしい。
そこで担任から二人が行方不明だという事が告げられた。
やはり、二人は殺されたのだろう。しかし死体はどうしたのだろう。
騒然となる教室の中で俺は一人思考を巡らせていた。



結局授業には身が入らないまま帰りのHRの時間となる。
担任の挨拶と同時に教室を出て部室へと向かう。長門か古泉から情報を得ねば。


部室へと到着。ゆっくりとドアを開け中に入る。
どうやらまだ長門しか来ていないようだ。

「よぉ。」

いつも通り挨拶するとハードカバーに向けられていた視線がこちらへと向けられ
る。


262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:23:43.95 ID:FZmwEnRy0

「事情は知っていると思うから掻い摘まんで話すぞ。俺の家族と佐々木が死んだ
理由、それと朝比奈さんと鶴屋さんについて何か知らないか?」

「それはすz「それに関しましては僕の方からご説明致しましょう。」

突然部室に入ってきた古泉が喋ろうとした長門に割って入って来る。
まぁ確かにこいつの説明は理解しやすい。


「分かった。古泉、頼む。…長門、すまんな。」

「いい。」

説明してくれようとした長門に一言詫びを入れておく。
…少し寂しそうな表情をしたのは気のせいだろうか。

「よろしいですか?…単刀直入に申し上げますと、あなたの親族と佐々木さんの
事故は涼宮さんの力によるものです。朝比奈さんと鶴屋さんですが…誠に遺憾で
すが二人は涼宮さんに殺害されました。現場は機関の方で処理したそうです。」

…やはりか。これで最近の奴の異常な行動や言動に説明がつく。
静かに沸き上がってくる殺意と怒り。表情には出さぬよう握り締める手に力を込める。

264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:27:00.57 ID:FZmwEnRy0

「…心中お察し致します。ですが、決して早まった行動は取らないで下さい。」

俺に釘をさすように言う古泉。まあこいつらからすればハルヒは神だ。
むざむざ神様を殺されるような真似はしないだろう。

「もし涼宮さんに危害が及ぶようなことがあれば」

ま、誰にどう言われようとハルヒを殺すことにかわりはない。

「僕達機関も然るべき措置を取るつもりです。」

俺を殺すってか?ああ、俺もそのつもりだよ。
肩を竦めて小さく笑う。

「ああ、分かった。忠告ありがとよ。」

目的が固まったところで踵を返して部室を後にする。要はハルヒを捜して殺すだけだ。
邪魔をする奴も然り。

267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:32:12.95 ID:FZmwEnRy0

彼のいなくなった室内に静寂が訪れる。

自然と小さく溜め息が出る。
涼宮さんの力が働いた以上こうなることは予測していたが、まさか彼と接触した二人を殺害してしまうとは。

「…愛深すぎる故にと言ったところでしょうか。」

「何故彼に教えた。」

ハードカバーに向けられていた無機質な瞳が僕を映す。
彼女も真実を教えようとしたのではなかったのだろうか。

「…勘のいい彼の事です。僕達が教えなくとも真実に辿り着いたでしょう。
それならば先に教えた上で釘を刺す方が効果的かと。
……恐らく、それも無駄になるでしょうが。」

「そう。」

素っ気なく―彼女らしいと言うべきだろうか―返事をする彼女。
しかし視線は僕に向けられたまま。まだ何か言いたいことがあるのだろうか。
小さく首を傾けて先を促す。

272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:39:25.76 ID:FZmwEnRy0

「観察対象に危害が及ぶことは情報統合思念体も良く思っていない。
彼の行動によっては戦闘もあり得る。」

「それは心強いですが…長門さんは辛くはありませんか?」

僕は咄嗟にそう尋ねていた。
少なからず彼女も彼に好意を寄せている筈だ。
そんな彼女が彼を手に掛けるなんてあんまりだ。
そう、思ったから。

「確かに彼は好ましく思う。もっと、一緒にいたい。」

その言葉に自然と笑みが零れる。やはり彼女も一人の女性だ。
益々彼と戦わせる訳にはいかない。

「ならばこの件は僕達にお任せ下さい。」

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:42:11.00 ID:FZmwEnRy0

「抵抗した場合は?」

「捕まえますよ。なんとしても。」

にこやかにそう言って小さく別れを告げると部室を出る。
確かに、今彼は涼宮さんの力によって尋常ではない程の力を得ている。
生きたまま捕らえるのは至難の技だろう。
既に機関からも殺害せよと命令が出ている。その後涼宮さんを保護せよとも。
そして機関で終わらない幸せな夢を見てもらうことも。
命令違反による罰は免れないだろう。最悪処分されてしまう可能性だって否定出来ない。
でも、それでも…


長門さんの為、
涼宮さんの為、
朝比奈さんの為、
SOS団の為、
彼を死なせない為、

機関よりも先に僕は彼を、捕まえなくてはいけない。

279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:50:58.58 ID:FZmwEnRy0

部室を出て、盛大に溜め息を吐く。何故今日に限っていないんだろうな、あいつは。
そんなことを考えながら徐に振り返る。

文芸部室、俺達SOS団の空間。…もう、来る事はないだろうな。

「じゃあな、SOS団。」

SOS団に、今日までの日々に別れを告げて静かに歩き出す。


これで一区切り


284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:54:58.99 ID:FZmwEnRy0

翌日、いつもより清々しい気持ちで起床。朝食を適当に食べて登校までの時間を潰す。
遅刻ギリギリの時間に家を出発、校門を抜けて玄関に入るとさっとハルヒの下駄箱に手紙を入れて教室へ。



帰りのHRが終わり、クラスメートが教室を出て行く中一人、ハルヒを待つ。

早く、殺したかった。
俺から家族と恋人を奪ったあいつを。
楽しかった日々を目茶苦茶にしたあいつを。

不意に、ドアが開く。
逸る気持ちを抑えてそちらへと視線を向けるとそこには

「どうも。御久し振りです。」

ニヤケ面の古泉一樹が、いた。

287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 21:59:29.15 ID:FZmwEnRy0

…大方俺の邪魔をする為に来たんだろう。

「何の用だ。」

「涼宮さんなら…ここには来ませんよ。」

どうやら作戦―と言えるほどのものでもないが―は失敗らしい。

「下駄箱の手紙は回収させて頂きました。」

「それは分かった。それでお前は俺の邪魔をしにきたんだな?」

「…御家族や佐々木さんのことはお気の毒でしたが、それで涼宮さんを殺すというのは些か突飛ではないでしょうか。
彼女の死は世界の終わりを意味するんですよ?」

世界の終わり?とうに俺の世界は終わっているんだ。
それにどうしてあいつを殺さずにいられようか。
怒りに奥歯を噛み締める。少し、鉄の味がした。

「たとえそうだとしても…俺はあいつを殺す。
世界が崩壊しようがしまいがそんなもの知らん。」


288 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 22:05:30.87 ID:FZmwEnRy0

「分かりました。あなたがどうしてもそうすると言うのなら――

場の空気が、変わる。

――機関は…僕は、貴方を敵と見做します。」

端からそのつもりだったくせに何とも白々しい。
嘲るように小さく鼻を鳴らし、この教室の情報を変更。ここと外部を完璧に遮断する。

「これは…閉鎖空間…?」

「来い。俺を殺さないとお前らの大事な神様が死ぬことになるぞ?」

最初は空間の変化に僅かながらも驚いていた古泉だったが、何を理解したのか薄ら笑いを浮かべる。

「貴方の力には些か驚かされましたが…、閉鎖空間を構築したのが間違いでしたね…。」

そういつものように言うと、いつかの巨大カマドウマのときのように赤い玉をバレーのサーブ如く放って来る。
それを俺は避けようともせずに赤い玉の軌道上に立ったまま右手を振りかぶり力を込める。

さて、どれほどの力が俺にあるのかを試すいいチャンスだ。

291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 22:13:58.08 ID:FZmwEnRy0

振りかぶった右の拳を、間近に迫った赤い玉へと叩き付ける。
その瞬間それはぐにゃりと形を歪めて爆散する。

結構な爆発だったが、身体は無傷。成程、中々頑丈になったみたいだな。

「…これほどまでとは。」

「今度はこっちの番だな。」

表情を険しいものにする古泉、しかし動きは止めずすばしこく赤玉を飛ばしてくる。

「無駄だ。」

全て直撃だったがそんな事は気にせず一気に距離を詰めて奴の腹部目掛け右ストレートを繰り出す。

「ッ!?」

古泉は反応する暇も無く腹部に拳を受け、口から大量の血を吐く。
出血量的にかなりの痛手だとは思うが、敵に手加減する気も必要もない
。一度そこから手を離し、同じ場所に拳を全力で叩き込む。

298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 22:30:39.04 ID:FZmwEnRy0

「…っふふ、かかりましたね…。」

俺の腕を左手で掴んで微笑を浮かべる古泉。凄い力だ。
力任せに腕を振り払おうとしたときには既に遅く。

「ちぃっ!」

今までとは比べ物にならないほど大きな赤玉が古泉の右手に作り出されていた。

「申し訳ありません。」

済まなさそうに苦笑を浮かべる。何故、謝る?
もう一方の手で防ぐが早いか特大の赤玉が目の前で炸裂する。
その爆風は凄まじい音とともに俺を壁に叩き付け、机や椅子、教室にあったもの全てを灰にする。

「…今のあなたはこれぐらいでは死なないはずです。」

涼しい顔でこちらへと歩み寄ってくる古泉。
体の至る所が痛いが、行動に支障はない。

305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 22:52:11.18 ID:FZmwEnRy0

ごめんなさい書き足してました


ゆっくりと立ち上がって古泉の顔目掛けて殴り掛かる。

「…あなたは少し頭を冷やしたほうが良さそうだ。」

俺の見え見えの攻撃に含み笑いをして防御の姿勢をとる古泉。
ここだ。目を見開く。すると段々と周りの景色がスローモーションになっていく


頭から目標を変更、がら空きの腹部を反対側の手で、突き破るイメージで振り抜
く。

いつの間にかスローモーションになっていた景色は元に戻っていた。

「ごぼっ…!」

振り抜いた拳は易々と古泉の身体に穴を開けて後ろの壁に鮮やかな赤を散らす。
ガクガクと震えながら信じられないという様子で跪く古泉。

正直自分でも驚いた。思ったよりも殺傷力があるらしいな。
腕を引き抜いてそんなことを考えている間に古泉は喋ることもままならず腹の空
洞からびちゃびちゃと赤色やピンク色のモノを零してその場に倒れる。

「じゃあな、古泉。」

小さく別れの言葉を吐いて空間情報を元に戻し、事切れた古泉の遺体をそのまま
に俺はその場を後にした。

313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 23:02:22.51 ID:FZmwEnRy0

帰り道、少し遠回りして花屋で妹と佐々木が好きだった花を買い、二人の事故現場へと足を向ける。

どちらも復興作業はかなり早かったらしい。
損傷の激しかった街路樹は植え直されており、歩道のガードレールも元通りになっていた。
商店街のほうは一時期は一部の区画が封鎖されていたが、今は通常通り営業している。
どちらも事故の跡など殆どなく、まるで何もなかったかのような景色。脇に供えられた色んな花だけが、事故があったという事実を物語っている。

「…本当に何も無ければ良かったのにな。」

そんな叶う筈もないことを呟き、携えていた花束を供えられている花の中にそっと置いて俺は帰路についた。


315 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 23:04:18.35 ID:FZmwEnRy0

古泉を殺した翌日。
いつも通り登校した俺は、いつも通りに授業を受け、いつも通りに学校での一日
を終えた。
古泉は転校したことになっていたらしい。機関とやらの力だろうな。古泉がいな
くなったことで機関から刺客が来るかもしれん。

迅速に事を運ばねば。

と意気込んだ俺の出鼻を挫くかのように今日ハルヒは欠席だった。担任曰く風邪
らしい。家に押しかけて殺してやろうとも思ったが、流石にそういう訳にもいか
ない。

結局本日は何事も無く終わりを迎えた。

全く持って無駄な一日だったと苛立つ気持ちを抑えながら帰ろうと廊下を歩いて
いると、そのど真ん中に扉があるのが見えた。

325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 23:13:48.40 ID:FZmwEnRy0

「なんだ…?」

咄嗟に周囲を見回すが、どうやら他の生徒には見えていないらしく素知らぬ顔で通り過ぎて行く。
俺も横を通り過ぎようとしたが、見えない壁に阻まれて進めない。
今の俺なら無理矢理突破することも出来なくはないが時間が掛かる。
こんな芸当が出来るのは長門くらいだろうな。

「やれやれ。」

小さく呟き、はぁっと溜め息を吐いてその扉に触れると、すうっと身体がそこに吸い込まれる。

いいだろう、長門。お前も邪魔すると言うのなら…



壊してやる。

333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 23:20:20.14 ID:FZmwEnRy0

「よ、長門。」

そこには真っ白な空間が広がっていて、正面にぽつりとこの空間の主がこちらをじっと無言で見つめている。
こちらも見つめ返すとフッと表情を緩めるといつもと同じように手を閃かせて挨拶をする。

「で、何の用だ?」

「古泉一樹の生命反応が感じない。やったのはあなた?」

これは驚いた。どうやらあの空間で起こったことは長門にも感知出来ないらしい。
ま、質問には肯定しておこうか。隠す必要もない。

「そうだ。」

眉一つ動かさずこちらを見つめる長門。いつも通りの彼女に苦笑を漏らす。

「観察対象の損失は情報統合思念体は良しとしない。」

「それで、俺を消そうってか?」
指をパキンと鳴らす。
すると真っ白な空間に罅が入って崩れ落ち、学校の教室の風景に変わる。

336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 23:24:49.89 ID:FZmwEnRy0

モチベーションががが


「…情報制御能力の消失を確認。…だが問題ない。」

僅かに驚いたように見えたが、それも気のせいだったのではないかと見紛う程すぐさま攻撃を仕掛けてくる。

「お前を殺さなくちゃいけないなんて…残念だ。」

長門のパンチやキックをひょいひょいと躱しながら小さく呟くように言う。
まあ味方だったらいいな程度で 殺すことに躊躇いなどある訳ないのだが。

「私も残念。」

本当にそう思ってるのかと問いたくなる程躊躇いなどないような表情で蹴りを放
ってくる長門。情報制御能力を奪われてもやはり強い。しかし。

「体術だけだとやはりその程度か。」

こちらに向かって繰り出された左ストレートを右手でしっかりと掴み、強引に引っ張り。投げ飛ばす。

「…っ…。」

342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 23:31:55.67 ID:FZmwEnRy0

周りの机を巻き込みながら吹き飛び、壁にぶつかり倒れる長門。
俯いている為表情は伺えず、ぴくりとも動かない。
いや、この程度じゃ宇宙人は倒せないだろう。
とどめをささなければ。そう思い歩み寄ったその時―

「…なっ!?」

足払いをされ、近くにあった机ごと宙に舞って盛大に教卓に突っ込む。

「動かないで。」

仰向けで床に倒れる俺へとマウントポジションをとって首筋にガラスの破片を突き付ける長門。

「…手詰まりか。」

流石長門だ。思わず苦笑が漏れる。
この状況の打開策は…どうやらなさそうだ。
俺が何かアクションを起こす前に首を切られるだろう。

347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/04/07(火) 23:40:42.45 ID:FZmwEnRy0

みんな有難う
本当、励みになります



「いいぞ、殺せ。」

敗北を認め、早く殺すように促す。
ハルヒを殺せなかったのは残念ではあるが、正直この世界にはもう用はないからな。

目を伏せて死の瞬間を待つ。

「……?」

しかし待てど暮らせど長門が何かする様子はなく、あるのは長門の体重の重みだ
け。

「どうした…?」

それを疑問に思い目を開けようとしたその時、ぱたぱたと生温い水滴が顔に当た
った。
何が起こったんだとゆっくりと目を開ければ。

355 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/07(火) 23:50:33.82 ID:FZmwEnRy0

日付跨ぎそうなので酉つけました


「エラー、エラー、エラー、エラー。」

長門が泣いていた。
あの、長門が。
ガラスの破片を持つ手は震え、何やら呟いている。

「長…門?」

「…私は、あなたを殺したくない。」

しめた。
これがチャンスだとばかりに上体を起こしてギュッと小さな身体を抱き締め、苦
笑混じりに笑う。

「……っ。」

強張っていた長門の身体から力が抜ける。

360 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/07(火) 23:54:54.04 ID:FZmwEnRy0

俺に攻撃の意思がないと思ったのか、
抵抗する気が無くなったのか。こちらを見上げながらギュッと俺の制服を掴む長
門。そんな彼女に優しく微笑んで髪をクシャッと撫でた後



一気に彼女の首の骨を折った。



腕の中の少女から力が抜けていく。最期の長門の顔が頭から離れない。
…本当に殺す必要があったのだろうか。

いや、迷ってる暇はない。
一度敵になった以上ここで見逃していたとしてもまた襲われないとも限らんしな。
暫く抱き締め続けて長門が息を引き取ったのを確認すると、閉鎖空間を解除する。

「…じゃあな、長門。それと……すまない。」

ゆっくりと彼女の身体を床に寝かせて別れと謝罪の言葉を呟いて俺は廊下を歩み出す。

これで俺の邪魔をする者は最早いない。これでやっとあいつを殺せる。


長門すまねええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

368 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/07(火) 23:58:12.93 ID:FZmwEnRy0

みんなごめんなさい

392 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/08(水) 00:07:58.76 ID:4XTUvAeh0

トイレに行っている間に…なんだこれ


そして翌日。

以前同様、靴を履き替える前にハルヒの下駄箱に手紙を入れておく。
邪魔する者がいない今、ハルヒは必ず呼び出しに応じるだろう。

いつも通りの一日の始まりだと自分の下駄箱を開けると一枚の紙がヒラヒラと足下に落ちた。

「なんだ?」

紙を拾い上げ、それに書かれた文字を読む。文面から察するにどうやらラブレターらしい。
差出人は…。

「…涼宮、ハルヒ。」

驚いた。まさかあっちから接触してくるとはな。こいつは好都合だ。
笑いが止まらない。そのまま手で紙を握り潰すと教室へと向かった。

395 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/08(水) 00:10:28.45 ID:4XTUvAeh0

いつもの如く代わり映えのしない一日を終え、HRの終了と共に教室を出る。
向かう先は屋上。教室に誰もいなくなるまでの時間潰しだ。

フェンスに凭れて空を仰ぐ。
雲一つない青天、手が届きそうなくらいに何処までも広がっている。
天国とやらはこの向こう側にあるのだろうか。

俺の家族、朝比奈さん、長門、古泉、鶴屋さん、そして佐々木はそこにいるのだろうか。

徐に空へと手を伸ばす。
しかしそんなことで何かを掴める筈もなく空しく虚空を掴む。

「もうすぐだ…。もうすぐ。」



もうすぐで、全て終わる。

410 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/08(水) 00:23:42.22 ID:4XTUvAeh0

ただいま


日が傾いてきた。
そろそろ誰もいなくなった頃だろうか。
足早に教室へ戻る。
そこには夕陽に染められた室内に佇む一人の女子生徒。涼宮ハルヒ。

「よ、話ってなんだ?」

何故かこちらを向かないそいつの元へと歩いて行き、いつもと同じように話し掛ける。

「あのね、キョン…。」

後ろを向いたまま何時に無くしおらしく話を切り出したハルヒ。
軽く口端を吊り上げて優しく先を促す。

「…あたしと、ずっと一緒に居てくれる?」

「断る。」

まあそんな話だろうな。だが寝言は寝て言え。
相変わらずこちらを向かないハルヒの後ろ姿を睨むように見据える。

413 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/08(水) 00:25:35.01 ID:4XTUvAeh0

「そう、それなら…っ。」

「…。」

振り返ったハルヒは泣いていて、怒っていて、笑っていて、片手に包丁を持って俺に襲いかかってくる。
ああ、振り向かなかったのはそういう訳か。

「あんたはあたしのものなの!キョンは、あたしのものなの!ねぇ、あたしを見
て。あたしだけを見て!」

鳥肌が立つような気味の悪い言葉を連呼しながら俺の腹に包丁を突き立てる。

「キョン…キョン、キョンッキョンキョンキョンキョンキョンキョンッ!」

何度も、何度も。
抜いては刺すを繰り返す。
刺された部分から血が噴き出すが、痛みはない。
何も感じない。刺された傷もすぐに塞がっていく。
悪いが、無駄なようだ。

415 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/08(水) 00:26:27.06 ID:4XTUvAeh0

「どうして、死なないのよぉっ!」

「この力はお前がくれたんだぜ?ハルヒ。…さあ、俺の家族と佐々木と朝比奈さ
ん、鶴屋さんの恨みだ。死んでもらおうか。」

ヒステリックに喚き散らす強引にハルヒの持っていた包丁を取り上げて、いつもよりも低い声で言う。

「え?…キョンの家族と佐々木さんは…。」

「事故で死んだとでも?」

知らなかったとはいえ怒りが込み上げてくる。
こいつがそんなことを望まなければあんなことにはならなかったのに。

「そ、そうでしょ?何が言いたいの、キョン?」

俺の言葉に気圧され後退るハルヒを追い詰めるように一歩一歩足を進める。

416 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/08(水) 00:27:29.90 ID:4XTUvAeh0

「お前にはな。願望を現実にする力があるんだ。」

「は、はぁ?…そ、そんなの漫画とかアニメの話でしょ?」

「…一週間に両親、妹、佐々木がそれぞれ別の事故で死ぬと思うか?
それこそ天文学的な数字だ。」

「そ…んな…。」

こいつに罪の自覚をさせた以上もう話す事はない。
はぁ、と息をつくとハルヒから取り上げた包丁をそいつの左太股に突き立てる。

「っ…痛あぁああっ!!ゆるしてぇえええ!!」

嫌だね、もっと苦しめ。
床を転がりながら痛みに悶え苦しむハルヒの上から包丁を落とす。
さて何処に刺さるかな。

「あがっ…!!うぁああぁあああっ…!ごめんなさいぃぃ!!」

腹部に命中。中々良い場所だ。
そんなことを考えている間に大量に吐血し、赤い液体でびちゃびちゃと床を汚すハルヒ。
汚い奴だ。

417 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/08(水) 00:28:10.49 ID:4XTUvAeh0

流石に五月蠅くなってきたので、疑似閉鎖空間を構築して外から完全に隔絶する。
その景色は…文芸部室。
やれやれ、因果なものだ。

景色が変わったことも分からず金魚みたいにじたばたしながら痛みに呻くそいつを空中に拘束して左腕を思い切り捩じるイメージを描く。

「うぎゃぁあああっ、がぁああああっ!!」

どうやら成功のようだ。
ブチブチと何かが切れるような音がしてやがてハルヒの左腕から力が抜ける。

「右腕もいっとくか。」

先程と同じ要領で右腕も捩じる。今度は容易に出来た。
ハルヒの右腕が肩の下辺りからぐるぐると二回転程して骨の砕ける音が響く。
呼吸をするのが精一杯らしく目をこれでもかという位見開き、歯を食いしばって痛みに叫ぶ。
実に醜いな。しかし愉快だ。

418 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/08(水) 00:28:50.66 ID:4XTUvAeh0

「あぎぃいいいいいいいいいいいっ!!」

こんなものじゃ済まさん。次は脚だ。左脚の膝の辺りを押し潰すイメージ。
程無くぐしゃっという音と共にハルヒの左膝が潰れる。

「ぐぎぁああっ!!ぁは…あははっ…!」

最初は苦悶の表情を浮かべていたが突然笑い始めたハルヒ。痛みで気でも触れたか。
試しにそのまま右膝も潰す。

「あははははっ!ねぇ…右脚も動かなくなっちゃったぁ…。ふふ、うふふ…。」

…もっと泣き喚いて欲しかったが。潮時か。
拘束を解き、壊れたように不気味に笑うそいつを床に叩き落とし、そのまま放置して一人疑似閉鎖空間を出る。
そして、その空間をハルヒごと一気に消滅させる。
お前が作った団室と共に死ね。

419 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/08(水) 00:29:30.99 ID:4XTUvAeh0

まるで何事も無かったかのように静寂を取り戻した教室。

…閉鎖空間で死んだ奴はどうなるんだろうな。
願わくば成仏出来ない事を祈るばかりだ。

「…これで、終わった。全て。」

ふぅと小さく息を吐いて誰もいない教室を後にして、最後の目的地へと向かう。

421 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/08(水) 00:30:13.11 ID:4XTUvAeh0

ドアを開けて屋上に出る。空は綺麗なオレンジ色。染まる町並みは中々絶景だな。


一歩一歩コンクリートを踏み締めフェンスへと歩みを進めていると、不意に佐々木とのやり取りが思い出される。



『キョン、君は死後の世界はあると思うかい?』

『ないと思うぞ。』

『その考えは正しいと思うけど……夢がないね。』

『死後に夢もへったくれもないだろう。…ま、あればいいなとは思うが。』

『へぇ、それはどうしてだい?』

『そうしたら死んだ後も佐々木といられるってことだろ?』

『くつくつ…そうだね。そうだといいね。……ずっと一緒にいようね、キョン…
。』



…なんでこんなときにこんなことを思い出すかね。
自嘲気味にフッと笑い、止めていた足を再び動かす。


422 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/08(水) 00:30:54.56 ID:4XTUvAeh0

「…死後の世界、か。」

例えあったとしても人殺しの俺はもう皆とは、佐々木とは会えないだろうが。

フェンスを乗り越えて真下を見る。
不思議と恐怖は無かった。
むしろこれで終わりだという達成感。

ゆっくりと目を閉じて、そのまま足を踏み出して空中へと身を踊らせる。



さらば世界、
さらば…SOS団。








430 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/08(水) 00:33:52.73 ID:4XTUvAeh0

一応これで終わりです
保守して下さった皆さん、こんな稚拙な文章を最期まで読んで下さった皆さん
本当に有難う御座いました

442 名前: ◆kyonDtcVuE [sage] 投稿日:2009/04/08(水) 00:39:16.53 ID:4XTUvAeh0

俺の頭の中では頭潰さない限り再生するって感じでした
説明が足りなかったねごめん



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