長門「……パパ?」


メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:長門「甘いチョコレートにはコーヒーが良い」

ツイート

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 18:48:39.46 ID:bvgGrsAa0

キョン「どうした、有希。不思議そうな顔して」

長門「…なぜあなたがここに」

キョン「なにいってんだ、俺がここにいちゃいけないのか?」

長門「ここはわたしが住んでいる部屋」
長門「しかも今は朝。あなたがいるのはおかしい」

キョン「…あのなぁ、からかってるのか?」
キョン「父親の俺が、娘であるお前と一緒に暮らすことのなにがおかしいって言うんだ?」

長門「……」
長門「理解不能」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 18:51:12.66 ID:bvgGrsAa0

長門「あなたはわたしの父親ではない」
長門「そもそもわたしに、血縁者と呼べるものは存在しない」

キョン「……」
キョン「なあ、俺お前になにかしたか?」

長門「今してる」
長門「からかわないで」

キョン「からかってるのはそっちだろ」
キョン「はあ……もういい、仕事行くわ」

バタン

長門「……」
長門「涼宮ハルヒの仕業?」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 18:56:06.75 ID:bvgGrsAa0

長門(おかしい、異常は特に感じられない)
長門(でも彼が学校にいない)
長門(状況はおかしいのに涼宮ハルヒの力の影響は見られない)
長門(なぜ?)

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:00:06.42 ID:bvgGrsAa0

長門「……彼のサイフ?」
長門「中身……お金は少ない」
長門「免許証があった」
長門「長門××……なぜか姓がわたしと同じ」
長門「年齢……32歳」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:04:43.83 ID:bvgGrsAa0

長門(学校にはやはり彼の姿は見られない)
長門(SOS団にも来ない)
長門(…退屈)

ハルヒ「でさぁ、そろそろ男手が欲しいわけよ」

古泉「僕だけではいけませんか?」

ハルヒ「うーん、やっぱり男一人に女三人ってのはどうもね」
ハルヒ「古泉君だって女子ばかりじゃいやでしょ?」

古泉「心遣い感謝します」
古泉「しかし女性に囲まれる状況に不満はありませんよ」

ハルヒ「そう?」
ハルヒ「でも、あと一人くらい男がいたほうがバランスいいじゃない」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:08:06.81 ID:bvgGrsAa0

ハルヒ「だれか、いないかなぁ。、みくるちゃん、心当たりない?」

みくる「あ、あたしは男友達とかあんまりいなくて…」

ハルヒ「そう。古泉君は?」

古泉「そうですね……」

長門(…彼)
長門(彼がいい)


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:09:42.42 ID:bvgGrsAa0

ハルヒ「そっかぁ、まあ面白そうな男がいたならあたしが既に入れてるはずだしね」

古泉「すみません」

長門(彼をいれてあげてほしい)

ハルヒ「ん?有希、心当たりでもあるの?」

長門「……」
長門「わたしの父親」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:13:58.72 ID:bvgGrsAa0

ハルヒ「え?あんたのお父さん?」
ハルヒ「……た、たしかにあんたのお父さんは何回か会ってるから知ってるけど」
ハルヒ「さすがに大人じゃ、ねえ」

長門(…やはり彼はわたしの父親として存在している)
長門(SOS団とも面識はある)
長門(とりあえず、彼を父親ということでわたしも話を合わせるしかない)

長門「彼はSOS団に興味を持っていた」
長門「休みの日だけでも、いれてあげてほしい」

ハルヒ「うーん、あ、あたしはいいけどさ……」

みくる「あたしも大丈夫です。長門さんのお父さん、優しいですし」

古泉「そうですね、長門さんのお父様なら申し分ありません」

ハルヒ「そ、だったら決定ね」
ハルヒ「有希のお父さんもSOS団に入団よ!」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:21:00.55 ID:bvgGrsAa0

キョン「なんだって?俺がSOS団に?」

長門「……」こく

キョン「まいったなぁ、俺みたいなオッサンが迷惑だろ」

長門「そんなことない」
長門「みんなから許可はもらった」

キョン「そうは言っても、あくまで学校のクラブ活動だろ」
キョン「俺なんかが参加できんよ」

長門「仕事が休みの日だけでもいい」

キョン「俺の休日をなんだと思ってる」

長門「……」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:23:44.26 ID:bvgGrsAa0

長門「ごめんなさい……」

キョン「……」
キョン「はあ……」
キョン「本当にいいんだな?」

長門「!……いい」

キョン「じゃ、ちょっとお邪魔させてもらうわ」

長門「わかった」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:26:17.37 ID:bvgGrsAa0

休日

ハルヒ「SOS団恒例、不思議探索!!」

みくる「いい天気でよかったですねぇ」

古泉「長門さんのお父様の初参加ですからね」

長門「そう」

キョン「今日はよろしく頼むよ。それと、俺のことは『キョン』でいい」
キョン「学生時代からそのあだ名で通ってるからね」

ハルヒ「ふーん、キョン……ね。わかったわ、そう呼んであげる!!」

キョン「ああ、頼むよ、涼宮さん」

ハルヒ「う……」どき

長門「……」いら

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:32:26.27 ID:bvgGrsAa0

ハルヒ「とりあえずいつもの喫茶店で作戦会議ね!!」
ハルヒ「今日もワリカンってことで……」

キョン「いや、俺がごちそうするよ」

ハルヒ「え?」
ハルヒ「そんな、悪いわよ」

キョン「さすがに娘の同級生とワリカンというのはな」
キョン「いつも娘がお世話になってるわけだしな。SOS団に入ってから娘は明るくなったよ」

長門(わたしは知らない)

ハルヒ「そ、そう?じゃあ遠慮なく……」

キョン「そうそう、子供が遠慮するな」

ハルヒ「こ、子供じゃないわよ!!」

長門(そういうところが子供)ぼそっ

ハルヒ「え?……有希、なんか言った?」

長門「べつに」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:37:51.46 ID:bvgGrsAa0

古泉「すみません、ではお言葉に甘えまして……」

みくる「ごちそうになります」

キョン「おう、古泉君も朝比奈さんも、どんどん好きなもの頼め」

長門(…なんだかおもしろくない)
長門(彼と一緒にいるのに)
長門(あまりわたしに構ってくれていないような気がする)

ハルヒ「キョンってさ、今いくつ?」

キョン「32だ」

ハルヒ「え?じゃあ有希って16のときの子供なわけ?」
ハルヒ「若すぎない?」

キョン「おいおい、君たちに比べたら十分オッサンだよ」
キョン「それに、昔はいろいろあったからな」

ハルヒ「あ……」
ハルヒ「ご、ごめんなさい」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:46:05.26 ID:bvgGrsAa0

ハルヒ「失礼なこと聞いてしまって」

キョン「ふふ、君は優しいんだな」
キョン「いいんだよ、俺が不甲斐なかった、それだけの話だ」

ハルヒ「……」

キョン「すまん、暗くしちまったな。それじゃあ、有希が小さいときの話でもしてあげようか」

みくる「わ、長門さんが小さいときの話ですか?」

古泉「それは興味がありますね」

ハルヒ「有希って、あんまり自分のこと話さないもんね」

長門「……」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:49:36.72 ID:bvgGrsAa0

キョン「有希は小さいとき、どこに行くにも俺についてきたがってな」

長門「……」

キョン「トイレまでついてこられたときは参ったよ」

ハルヒ「有希ったらそうとうキョンのことが好きだったのね!」

みくる「長門さん可愛いですぅ」

古泉「意外な一面というやつですかね」

長門(覚えがない、やめてほしい)

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:52:28.08 ID:bvgGrsAa0

キョン「あまり女の子が好むようなものを欲しがらなくて……」

長門「……」

キョン「小さいときからカレーが好きで……」

長門「……」

キョン「親ばかと言われるかもしれんが、それがまた可愛くて……」

長門「……」
長門(この世界のわたしは、愛されている)
長門(彼の娘として……)
長門(悪い気はしない)

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 19:56:17.71 ID:bvgGrsAa0

キョン「と、すまんな、俺の話ばっかで」
キョン「娘の自慢話みたいになってしまった」

ハルヒ「そ、そんなことないわよ!!」

ハルヒ(いいなぁ、有希。こんな優しい人に愛されて育てられてきたんだろうなぁ……)

みくる(長門さんのお父さん、やっぱり素敵な人だなぁ)

古泉(うふふ、これが大人の色気というものですか)

長門(でも、みんなの彼を見る目が以前にも増して好意的なのが何故か気に入らない)

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:00:18.77 ID:bvgGrsAa0

キョン「そろそろ出ようか」

ハルヒ「そうね、その前にくじ引きでグループ分けよ!!」

キョン「みんなで行動するんじゃないのか?」

ハルヒ「二手にわかれたほうが不思議と遭遇する確率が上がるじゃない!」

キョン「なるほど、さすが涼宮さんだ」
キョン「なかなか考えてる、いいリーダーのようだ」

ハルヒ「そ、それくらい誰にでも思いつくわよ……」
ハルヒ「ほ、褒めても何もでない……でませんから……」

長門「……」いらいら

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:06:20.30 ID:bvgGrsAa0

みくる「わあ、あたしキョンさんと同じグループだ!!」

キョン「よろしくな、朝比奈さん」

みくる「はい!!」

長門(彼と違うグループで、これほど悔しかったことはない)

ハルヒ(みくるちゃんだけずるいわ、あたしもキョンと一緒になりたかったのに)

古泉(しばらくはおあずけ……といことですかね)

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:08:50.26 ID:bvgGrsAa0

みくる(わあ……き、緊張しちゃいます……)

キョン「朝比奈さん」

みくる「ひゃ、ひゃい!!」

キョン「娘は…有希はちゃんと学校でやっていけてるのかな」

みくる「え?」

キョン「有希は見ての通り感情を表に出すのが苦手な子だ」
キョン「そんなあの子が、学校でうまくやっていけてるのか」
キョン「俺は心配なんだ」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:14:29.93 ID:bvgGrsAa0

みくる「……」

キョン「ああ、すまん、あんまり娘のことを聞き過ぎるのも失礼だな」
キョン「親ばかっていうのは、いくつになっても治らなくてな……」

みくる「長門さんは、長門さんはうまくやっていけてますよ」
みくる「あたしたちを見てください。長門さんはSOS団に入って、毎日楽しく過ごしています」
みくる「親が心配するほど、子供は弱くはないと思います」
みくる「なんて……ごめんなさい、偉そうなこと言っちゃいました」

キョン「いや、ありがとう」
キョン「そうだな、君の言うとおり、SOS団にはいって有希は変わった」
キョン「君たちのおかげだ、ほんとうにありがとう」

みくる「そ、そんな…あたしたちは何もしてませんよ……」
みくる(やったぁ、キョンさんに褒められちゃった)どきどき

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:21:12.07 ID:bvgGrsAa0

ハルヒ「おそい!!みくるちゃん、どこまで行ってたのよ」

みくる「す、すみません…」
みくる(キョンさんに奢ってもらったことは内緒にしなくちゃ)

キョン「すまん、涼宮さん。俺がのんびりしすぎたんだ」

ハルヒ「え?そうだったんですか?それなら、べつにいいんですけど……」

長門(言葉使いが変わってる)いらいら
長門(やはりこの世界は不満)
長門(原因を探る)

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:27:14.10 ID:bvgGrsAa0

夜、長門のマンション


キョン「いやぁ、今日は楽しかった。学生の頃に戻ったようだったよ」

長門「……」
長門「ちょっといい?」

キョン「ん?どうした?」

長門「わたしはいつもあなたをどう呼称している?」

キョン「?へんなこと聞くんだな」
キョン「昔から『パパ』って呼んでたじゃないか」

長門「……パパ?」

キョン「俺はその呼び方はちょっと恥ずかしいからやめてくれって言ったんだがな」
キョン「お母さんもそう呼んでたからかな……ずっと『パパ』だったな、お前は」

長門「……パパ」
長門「ママは、どうしたの?」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:31:06.79 ID:bvgGrsAa0

キョン「!」

長門「ママ……わたしの母はいったい」
長門「あなたが16歳という若さでわたしを産ませたとうことも気になる」
長門「おしえて」

キョン「……そうか」
キョン「いや、すまんな、俺が不甲斐ないばかりに」
キョン「ママはな……お前を産んですぐに死んだよ」

長門「……」
長門「そう」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:34:40.37 ID:bvgGrsAa0

キョン「俺とお前のママはな、当時高校生だったよ」
キョン「バカだったよ、愛さえあれば、なんでもできると本気で思っていた」
キョン「……ほんとうに、馬鹿なガキだった」

長門(つらそう)
長門「いい、もう言わなくても」

キョン「……すまんな」

長門「いい、おやすみなさい」

キョン「ああ、おやすみ」
キョン「……」
キョン「ママ…か」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:39:49.15 ID:bvgGrsAa0

長門「今日も学校、でも彼は学校にはいない」
長門「彼と一緒に暮らせても、以前より楽しくない」
長門「彼がわたしの父親だから?」

ハルヒ「有希、あなたのお父さん、昨日何か言ってませんでした?」

長門(口調が直ってない……それで彼の気をひくつもり?)
長門「楽しかったと言っていた」

ハルヒ「そうですか、有希は、お父さんが大好きなんですよね?」

長門「?なぜ、そんなことを」

ハルヒ「見てればわかりますよ。たまに喋ったかと思えばパパ、パパですもの」
ハルヒ「あたし、妬けちゃいます」

長門「?なぜ」

ハルヒ「あたし、あなたのお父さんが好きですから」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:41:22.90 ID:bvgGrsAa0

長門!!?」

ハルヒ「あら、やっぱりおかしいかしら」

「友人のお父様を好きになるだなんて」

「でも、好きになってしまったものはしかたな……」

長門「やめて」

「え?」

長門「その喋り方、やめて」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:44:21.27 ID:bvgGrsAa0

ハルヒ「……あ、あたしの喋り方がどうかしたっていうの!!?」

長門「それでいい」

ハルヒ「え?」

長門「いつもの喋り方」

ハルヒ「……」





古泉「やはり長門さんの様子が変ですか」

ハルヒ「ええ、キョンのことでなんか悩みでもあるんじゃないの?」

みくる「そんな……あんなに仲がよさそうな親子なのに」


長門「……」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:48:41.28 ID:bvgGrsAa0

長門「そう、いつものわたしは父親である彼を慕っている」
長門「でもこの世界は偽り、ほんとうの世界じゃない」
長門「しかし思念体とのアクセスもなぜかできない」
長門「もしかして、以前わたしがやってしまったような……」

キョン「おい、どうかしたか、部屋でぶつぶつ独り言なんて」

長門「なんでもない」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:50:38.78 ID:bvgGrsAa0

キョン「なあ、なんでまたいきなりママのこと聞いてきたんだ?」

長門「……なぜか、もう一度聞きたくなった」

キョン「そっか、そうだよな」
キョン「やっぱり、ママがいないと寂しいもんな」

長門(…ちがう)
長門(わたしには、あなたさえいれば)


83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:51:58.35 ID:bvgGrsAa0

長門「お風呂」

キョン「え?」

長門「一緒に、お風呂に入る」

キョン「おいおい、中学卒業と同時にやめるんじゃなかったのか?」

長門「知らない」
長門「一緒にはいる」

キョン「やれやれ、しかたないか」
キョン「いくつになっても甘えん坊だな」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:54:09.23 ID:bvgGrsAa0

キョン「ふう、いい湯だ」

長門(わたしの裸を見ても彼は何の反応もしない)
長門(…親子だから?)

キョン「どうした、有希。やっぱり悩み事でもあるんじゃないのか」

長門「ない」

キョン「そうか」

長門「そう」

キョン「……俺はあるんだ、悩み事」

長門「…なに?」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:58:23.60 ID:bvgGrsAa0

キョン「俺さ」
キョン「再婚するかもしれない」

長門「!!?」
長門「ど、どうして」

キョン「やっぱり片親ってのも世間体悪いし」
キョン「そのせいでお前まで変な目で見られたら…と思うとな」
キョン「なにより、俺自身、また結婚したいと思える人に出会ってしまったんだ」
キョン「今まで黙ってて悪かった」

長門「……そう」

キョン「最近、お前が母親について聞いてきたことも何かの縁だと思う」
キョン「再婚することになっても、許してくれるかな」

長門(わたしは、この世界では彼の娘)
長門(彼の幸せを願うなら、喜んであげるべき)
長門(でも、なぜか喜べない)

長門「……いや」

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 20:59:41.38 ID:bvgGrsAa0

キョン「え?」

長門「いや」

キョン「有希……」

長門「再婚なんて……してほしくない」ぽろぽろ

キョン「……」

長門「ずっと二人で暮らしたい」ぽろぽろ

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 21:01:40.58 ID:bvgGrsAa0

キョン「なぜだ?」
キョン「ずっと二人でなんて暮らせない」
キョン「お前だって誰かと結婚すればここから出て行くだろうし」
キョン「なにかの事故で俺だっていつ死ぬかわからない」
キョン「ずっと二人でなんて…無理なんだよ」

長門「……相手は?」

キョン「え?」

長門「相手は誰?」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 21:06:00.25 ID:bvgGrsAa0

キョン「相手を言えば、考え直してくれるのか?」

長門「相手次第」
長門「わたしにも相手を知る権利はある」
長門「その上で、再婚の是非を決める権利も」

キョン「……そうだな」
キョン「相手も知らせずに許してくれ、と言っても納得できんよな」
キョン「俺はお前にも納得してもらって、気持ちよく再婚したいんだ」
キョン「教えるよ」

長門「……」こくん

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 21:10:20.66 ID:bvgGrsAa0

長門「わたしの知ってる人?」

キョン「……そうだ」

長門(しかしこの世界で、彼と再婚の可能性がある者に心当たりがない)
長門(厳密に言えば、わたし≠ェ知らない相手であると考えられる)

キョン「…相手は」

長門「…」

キョン「――なんだ」

長門「!!?」

キョン「黙ってて悪かった」
キョン「ショックなのはわかるが、でも」

長門「認めない」

キョン「…」

長門「認めるわけがない」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 21:13:44.85 ID:bvgGrsAa0

長門「なぜ?」

キョン「……」

長門「なぜ、彼女と」

キョン「……」

長門「信じられない」

キョン「……」

長門「パパ、ママのこと愛していないの?」

キョン「すまん……」
キョン「愛している……」
キョン「俺は、今でも愛している」
キョン「でも……」
キョン「長門有希は……もう俺を愛してはいけない」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 21:20:07.26 ID:bvgGrsAa0

キョン「長門はもう死んだんだ」
キョン「いつまでも、ここにいちゃいけない」

長門「……何を言っている?」
長門「長門有希はわたし」
長門「死んではいない」

キョン「いつまでお前は、自分の娘を束縛する気だ」
キョン「お前は、すでに肉体を失っている」
キョン「娘の身体を使って……まだここにとどまっていたいのか……」
キョン「娘を犠牲にしてまで…」

長門「ちがう」
長門「わたしは長門有希」
長門「SOS団のみんなも、わたしのことを」

キョン「あれはSOS団なんかじゃない!!」
キョン「ハルヒたちの子供たちが、お前を元に戻すために集まってくれているだけだ!!」
キョン「はやく……目を覚ましてくれ」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 21:21:59.00 ID:bvgGrsAa0

長門「出る」ざあああ

キョン「おい!!」

長門「のぼせて頭がぼーっとしてきた」

キョン「△△!!」

長門「ちがう、わたしは長門有希」
長門「そんな名ではない」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 21:24:15.89 ID:bvgGrsAa0

長門「ちがう、わたしは」ぽろぽろ

キョン「……!!」

長門「長門、有希……」ふらっ

キョン「おい、しっかりしろ!!」





わたしは、長門有希ではない。
長門有希と、彼の娘。


128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 21:27:22.37 ID:bvgGrsAa0

わたしは彼のことが好きだった。
父親としてではなく、一人の男性として。
でもこれが間違った感情だということは理解できていた。
だからわたしはずっと我慢してきた。
彼が、わたしの同級生と一緒にいるところを見るまでは。

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 21:35:11.98 ID:bvgGrsAa0

ハルヒ娘「いいんですか、まだ彼女には何も言ってないんでしょう?」

キョン「なかなかタイミングがね。父親が自分の同級生と付き合ってるなんて、ショックだろうし……」

ハルヒ娘「……あたしのほうからも言うべきなんでしょうね」

キョン「いや、俺が言うよ。やっぱり父親の俺から言うのが筋だと思うんだ」

ハルヒ娘「でも、うしろめたいんです」
ハルヒ娘「やっぱり、あたしたちは好き合ったらいけないんじゃないかって」

キョン「なに言ってんだ、ハルヒは快くOKしてくれただろ?」

ハルヒ娘「お母さんは、キョンさんだったら間違いないと思ってるからですよ」
ハルヒ娘「キョンさんが素敵な人だって、昔から知ってますから」
ハルヒ娘「でも、彼女に言わずにこそこそ付き合ってるのが……苦痛で」

キョン「今日こそ、話すよ」
キョン「歪な形かもしれないが、」
キョン「俺たちの愛が間違っているなんてことはない」

ハルヒ娘「キョン……」



「理解不能」

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 21:37:13.19 ID:bvgGrsAa0

「涼宮ハルヒの娘……わたしの同級生」
「なぜ、あなたが彼といる?」
「なぜ、彼と仲良く話している?」
「なぜ、彼と口付けを交わす?」
「なぜ、わたしは彼の娘?」



理解不能

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 21:43:56.99 ID:bvgGrsAa0

ハルヒ娘「あなたは長門有希さんじゃないのよ」
ハルヒ娘「目を覚ましてください!!」

ちがう
わたしは長門有希
あなたは涼宮ハルヒ

ハルヒ『有希、明日の不思議探索、ちゃんとあんたの父親連れてきなさいよ』

わかった

朝比奈娘「あんた、いい加減にしなさいよ、いつまでふざけてる気よ」

あなたは朝比奈みくる

みくる『長門さん、明日はがんばりましょうね』

了解した

古泉息子「お前の親父さん、泣いてたぞ。なあ、戻ってくれよ……」

あなたは古泉一樹

古泉『長門さんのお父様はいつもお優しくていいですね、うらやましいです』

そう

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 21:50:42.84 ID:bvgGrsAa0

わたしは長門有希
この世界は涼宮ハルヒの能力で改変された世界
彼はわたしの父親ではないが、今は同調しておく

キョン「……俺が悪かった」
キョン「お前に、早く彼女とのことを言うべきだったんだ」
キョン「悪かった……謝るからさ……」
キョン「戻ってきてくれよ……」

キョン『SOS団か、お前が気に入ってるんだから、よっぽどすばらしい人たちみたいだな』
キョン『明日が、楽しみだよ』

わたしもたのしみ

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 21:56:42.13 ID:bvgGrsAa0





「思い出した」

キョン「!!」

「わたしは長門有希ではない」
「パパ、わたしはパパの娘だよ」

キョン「ああ……そうだ」
キョン「長門は死んだんだ」
キョン「お前を産んですぐにな……」

「ごめんなさい……わたし、みんなに迷惑かけちゃった」ぽろぽろ

キョン「いいんだ、俺が彼女のことを内緒にしてたのがいけなかったんだ」

「わたし、パパとハルちゃんが一緒にいるところ偶然見ちゃって……それで……」

キョン「ごめん、ごめんな……」

170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:00:28.74 ID:bvgGrsAa0

「ねえ、パパ、ハルちゃんと結婚するの?」

キョン「……お前が認めてくれれば、な」

「……どうして、ハルちゃんなのかな」

キョン「……長門には悪いが、俺は」

「本当に、愛してるの?」

キョン「……ああ」

「そっか、そうなんだ」
「でもさ、なんで?」














「なんでママは、パパに殺されなくちゃいけなかったの?」

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:08:11.34 ID:bvgGrsAa0

ねえ、キョン、あんた有希と結婚しなさいよ

なんでだ、俺が好きなのは……

あたしもあんたのことが好き、でも有希だってあんたのこと……




キョン、できちゃったみたい……あんたとあたしの子供よ
やっぱりまずいよ、有希に隠れてこそこそしてたからバチがあたったのよ……

いいじゃないか、この際だ、長門とは別れるよ

だめよ、だめ……あたしは有希の幸せを願って……

きれいごと言うなよ、その長門を裏切って俺とよろしくやってたのはどこのどいつだ
結局お前は長門を見下して喜んでただけなんじゃないのか?

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:10:20.66 ID:bvgGrsAa0

有希はほんとうに死んじゃったの?

ああ、不幸な事故だ、出産に母体が耐えられなかった、よくあることさ

でも、有希も妊娠していたなんて

嫉妬か?俺と長門をくっつけといてよく言うよ
結局お前は何がしたかったんだ?

…………

194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:13:07.24 ID:bvgGrsAa0

有希とあんたの子供、有希にそっくりね

まあな、ときどき長門が生まれ変わったんじゃないかって思うよ

……そうね
あのさ、キョン、あたしの子、いえあたしとあんたの子がね……

200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:17:21.09 ID:bvgGrsAa0

ハルヒ(有希、見てる?)
ハルヒ(あんたは有希じゃないけど、有希なのよ?)
ハルヒ(ねえ、どんな気持ち?大好きな人を盗られて、どんな気持ち?)
ハルヒ(わたしとわたしの娘が奪ったのよ、あんたの大切な人を)
ハルヒ(一度命を奪われて、そして今度は大切な人を目の前で奪われるってどんな気持ちなのかしら?)
ハルヒ(悔しいでしょうね、憎いでしょうね)

ハルヒ「もっと、見せてよ」
ハルヒ「あんたが狂っていく様を」






210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:20:32.64 ID:bvgGrsAa0

SOS団活動中のキョンが慕われている描写は、すべて長門の妄想
()内の台詞も含めてすべて
嫉妬に狂う長門は怖ろしくて可愛いのです
おやすみ

215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:26:53.98 ID:bvgGrsAa0

ごめん、読み返したら鬱展開はないわ
書き直す

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:28:54.16 ID:bvgGrsAa0

長門(今日はパパの誕生日)

長門(はやく帰って料理をつくる)

長門(♪)






まったくの別ストーリーなんで注意

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:35:52.13 ID:bvgGrsAa0

長門「材料買ってきた」
長門「パパが帰ってくるまで時間はまだある」
長門「かならず完成させる」








長門「カレーケーキを」

232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:38:15.82 ID:bvgGrsAa0

長門「カレーケーキ、いい響き」
長門「この料理は絶対に完成させる」
長門「レシピもある」
長門「失敗することはない」











長門「失敗した」

238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:42:41.90 ID:bvgGrsAa0

朝倉「それで、あたしになんとかしてほしいって泣きついてきたわけね?」

長門「…………」めそめそ

朝倉「もう、無理して料理なんか作らなくても、キョン君なら祝うだけ喜んでくれるわよ」

長門「…………」ふるふる

朝倉「しょうがない、時間ないんでしょ?手伝ってあげるから早くやりましょ」

長門「……感謝する」ぐす

241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:46:32.44 ID:bvgGrsAa0

長門「もうすぐパパが帰ってくる、早くして」

朝倉「もう、人に任せておいてそれはないんじゃない!?」

長門「早く」

朝倉「わかってるわよ、ほら、あとは飾りつけだけよ」

長門「……カレーケーキ?」

朝倉「普通のケーキよ!!カレーの材料は全部だいなしにしちゃったでしょ!!」
朝倉「ていうか、今まで何見てたのよ!!」

長門「時計見てた」
長門「パパが帰ってくるまであと十分と三十四秒」

朝倉「いけない、じゃああとは任せたわよ」
朝倉「邪魔しちゃ悪いしね」

長門「いい、ここにいて」

朝倉「……いいの?」

長門「大勢のほうが楽しい」

242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:48:09.42 ID:bvgGrsAa0

長門「だから飾りつけも早く」

朝倉「はいはい、結局それが目当てね」

長門「……ちがう」




キョン「おーい、帰ったぞ」

長門「帰ってきた」

朝倉「おかえり、キョン君」

243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:49:35.38 ID:bvgGrsAa0

キョン「なんだ、涼子ちゃんもいたのか」

朝倉「ふふ、今日お誕生日なんでしょ?」
朝倉「おめでとう」

キョン「ああ、ありがとう」

長門「おめでとう」

キョン「ありがとう、有希」

長門「ケーキも用意した」
長門「わたし一人で用意した」

247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:52:32.91 ID:bvgGrsAa0

朝倉「ちょっと、有希!!」

長門「……うそ、涼子が全部作ってくれた」
長門「わたしは何もできなかった」ぽろぽろ

朝倉「な、なにも泣くことないじゃない……」

キョン「いいんだよ、有希」
キョン「一生懸命作ろうとしてくれたのは、あの台所の惨状を見ればわかるよ」
キョン「ありがとうな」

長門「……うん」ぐすっ

251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 22:56:43.51 ID:bvgGrsAa0

キョン「じゃ、メシ食ったらケーキはいただくよ」
キョン「メシは?」

長門・朝倉「あ……」

長門「忘れてた…」
長門「ケーキに夢中で」
長門「用意してない…」ぽろぽろ

キョン「わー、泣くな泣くな!!」
キョン「いいさ、今日は誕生日だし、みんなで外に食いに行こう」
キョン「涼子ちゃんもくるだろ?」

朝倉「え、いいんですか?」

キョン「もちろん、ケーキ作ってくれたしな」

長門「わたしは何もしてない」ぽろぽろ

キョン「だから泣くなって!!お前の気持ちだけで俺は嬉しいんだから!!」

254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/22(日) 23:00:27.79 ID:bvgGrsAa0

キョン「せっかくだ、フランス料理でも食いに行くか」

朝倉「そんな、いいですよ、無理しなくて?」

キョン「俺の誕生日だぜ、しょぼいのはごめんだ」
キョン「それともなんかリクエストあるのか?」

長門「ない」
朝倉「あたしも」

キョン「じゃあ、行くか」

256 名前: ◆p777rsrFAU [] 投稿日:2009/02/22(日) 23:01:40.85 ID:bvgGrsAa0

一時間休憩
日付変わるといけないから酉だけ

289 名前: ◆p777rsrFAU [] 投稿日:2009/02/23(月) 00:11:55.88 ID:+F5CdK4U0

キョン「なかなか旨かったな」

朝倉「そうね、でもほんとうに大丈夫だった?結構高い店だったけど」

キョン「親子そろって浪費癖はないもんでな」
キョン「食うには困らんよ」

長門「おいしかった」
長門「しかも家ではケーキが待っている」
長門「楽しみ」

290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 00:14:06.97 ID:+F5CdK4U0

長門「ケーキおいしい」

朝倉「そう、よかったわ」

キョン「わざわざすまんな」

朝倉「いいのよ。普段からいろいろお世話になってるしね」

長門「おかわり」

朝倉「はいはい」

キョン「うん、今日はいい誕生日だ」
キョン「俺は幸せだ」


291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 00:17:15.07 ID:+F5CdK4U0

朝倉「じゃあ、今日はご馳走様でした」

キョン「いや、こっちこそ。ケーキ旨かったよ」

朝倉「ふふ、じゃあおやすみなさい」

キョン「ああ、おやすみ」

長門「おやすみ」

朝倉「また明日、学校でね」




キョン「さて、風呂にでも……」

長門「……」じっ

キョン「……まさか、今日もか?」

長門「……」こく

キョン「高校生にもなって……しょうがない子だ」

295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 00:21:22.99 ID:+F5CdK4U0

長門「気持ちいい」

キョン「はっ、はっ、はっ、きついぞ……有希……我慢できない……もう出るぞ?」

長門「だめ、まだイってはだめ」
長門「わたしはまだ満足してない」

キョン「もう……俺は……」

長門「……そうやって、いつも早めに終わらそうとする」
長門「やっぱり、娘とはいや?」

キョン「……」

299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 00:28:20.36 ID:+F5CdK4U0

キョン「そういっていつも長湯させられてるんだ!」
キョン「俺はもう出るからな!!」ざあああ

長門「あ……」
長門「……」
長門「まだ話したいことがあったのに」

301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 00:30:27.77 ID:+F5CdK4U0

長門「パパ、もう寝た?」

キョン「寝ました」

長門「うそ、寝たならそんな返事はしない」

キョン「へいへい、起きてますよ」

長門「……一緒に寝たい」

キョン「なあ、有希、お前いくつなんだ?」

長門「……16」

キョン「そう、もう法律では結婚できる年齢なんだ」
キョン「いつまでも俺と寝てちゃ……」

長門「……」うるうる

キョン「ああ、もう……」
キョン「おいで」

長門「わかった」ぱあああ

303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 00:32:06.79 ID:+F5CdK4U0

長門「パパ、お話して」
長門「……」
長門「パパ?」

キョン「……」むにゃむにゃ

長門「そう」
長門「……」
長門「誕生日おめでとう」

305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 00:36:21.00 ID:+F5CdK4U0

ハルヒ「え!?昨日有希のお父さんの誕生日だったの!?」

長門「そう」

ハルヒ「それで昨日は早く帰ったのね……」
ハルヒ「なんでそれを言わなかったのよ!!」
ハルヒ「ああ、あたしもお祝いしたかったのに!!」

朝倉「あたしはさせてもらったわよ」

ハルヒ「なんで涼子だけ!!」

朝倉「だってあたしは同じマンションに住んでるもん」
朝倉「きのうはキョン君にご馳走になっちゃったし」
朝倉「ねー」

長門「ねー」

ハルヒ「きいい!!悔しい!!」

みくる「まあまあ、涼宮さん。一日遅れでも祝ってあげればいんじゃないですか?」

306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 00:40:21.27 ID:+F5CdK4U0

ハルヒ「そうね、そうよ!!というわけで、今日は有希の家で誕生会よ!!」

長門「いい」
長門「昨日いっぱい祝ったからする必要ない」

ハルヒ「あたしがやるって言ったらやるのよ!!」

古泉「まあまあ涼宮さん。長門さんのお父様の都合もありますよ」

ハルヒ「うー……そうだ!!じゃあ本人に聞いてみましょ!!」

長門「そんなことしなくていい」

ハルヒ「ふふん、もう電話かけちゃったもんね」

ぷるるるる

長門「!?なぜパパの番号を」

ハルヒ「この前教えてもらったのよ」

長門(迂闊……)

307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 00:41:53.32 ID:+F5CdK4U0

ハルヒ「あ、有希のおとうさん?」
ハルヒ「今日さ、あんたの一日遅れの誕生会をやろうって話になったんだけど」
ハルヒ「ったく、あたしに内緒にしとくなんて水臭いじゃない!!」
ハルヒ「わかったわ、じゃあ今夜ね」

ぴっ

ハルヒ「OKですって」

長門「……」

310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 00:47:13.78 ID:+F5CdK4U0



キョン「悪いね、ハルヒちゃん。わざわざ俺のために」

ハルヒ「いいのよ。一応あんたは我がSOS団の名誉団員なんだから!!」
ハルヒ「おとなしく祝ってもらえばいいのよ!!」

キョン「うん、ありがとう」

古泉「おめでとうございます」
みくる「おめでとうです、これ、あたしが作ったケーキです。どうぞ」

キョン「二日連続でケーキとは、俺もついてるな、遠慮なくいただくよ」
キョン「それにこの料理もな。一樹君がわざわざ?」

古泉「はい、知り合いにレストランをやっている者がおりまして」
古泉「特別に作ってもらったんです」

キョン「いやぁ、なにからなにまで……」

古泉「ふふ、僕たちの感謝の気持ちです」
古泉「普段、あなたには大変お世話になってますから」

316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 00:52:11.99 ID:+F5CdK4U0

ハルヒ「これはあたしから!!」

キョン「プレゼント?開けてもいいのかな?」

ハルヒ「さっさと開けなさいよ!!」

キョン「……」
キョン「ネクタイだ」
キョン「しかし……これは結構な値段がするもんじゃないか?」

ハルヒ「い、いいのよ!!ほんとうは親父がいらなくなったやつなんだから、それ!!」

みくる「涼宮さん、素直じゃないんですね」
古泉「ええ、丸一日店で吟味して買ったものだというのに」

キョン「ふふ、そうか」
キョン「まあ、せっかくもらったものだ、大事に使うことにするよ」

ハルヒ「そう、それでいいのよ」ぱあああ

長門「……」

318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 00:55:27.79 ID:+F5CdK4U0

長門「これ」

キョン「ん?」

長門「昨日は何も渡せなかったから」
長門「これ」

キョン「有希のプレゼントか、なんだろな」
キョン「……」
キョン「これは?」

長門「わたしのお気に入りのレトルトカレー」
長門「すごく美味しい」
長門「とっておき」

319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 00:59:32.32 ID:+F5CdK4U0

ハルヒ「有希、それ、本気?」
ハルヒ「そんなの、スーパーにいけばいつでも買えるじゃない」

長門「そう」
長門「だから、わたしのお気に入り」

ハルヒ「うーん、だからさぁ」
ハルヒ「それ、誕生日プレゼントで渡すものじゃないわよね」

長門「……ちがう?」

ハルヒ「そもそもレトルトっていうのがね……」
ハルヒ「手作りカレーならまだわかるけど」
ハルヒ「レトルトのカレーをぽんと渡されちゃあ……」
ハルヒ「ぷ……くくく……」
ハルヒ「あははは、そんなのプレゼントじゃないわよ」

長門「……そう」
長門「では、これはプレゼントではない」
長門「また……用意できなかった」ぽろぽろ

324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:02:42.19 ID:+F5CdK4U0

ワシは鬱がすきなんだ……

327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:06:50.42 ID:+F5CdK4U0

ほのぼのなんかありえんだろ……
原作がほのぼのしてるのにこっちでもほのぼのしてどうすんだ
以下、鬱

331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:10:23.75 ID:+F5CdK4U0

長門「ごめん……なさい」

キョン「有希……謝るなよ」
キョン「昨日も言ったろ?お前の気持ちだけで十分俺は嬉しいんだ」
キョン「ハルヒ、あんまりそういう意地悪言わないでやってくれ」

ハルヒ「う……ごめんなさい」

長門「……」

みくる「長門さん、ほら、せっかくのお誕生日なんです、そんなに暗くならないで」

古泉「そうですよ、長門さんの優しい気持ちはみんなが知っていますから」

長門「……そう」
長門「ありがとう、みんな」

朝倉「うふふ」

334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:11:49.47 ID:+F5CdK4U0

長門(みんな優しい)
長門(SOS団にはいってほんとうによかった)
長門(でも……)
長門(なぜパパは、さっきハルヒ≠ニ呼び捨てに?)

340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:15:47.47 ID:+F5CdK4U0

キョン「もうこんな時間か」
キョン「よし、もう遅いし、俺が送っていくよ」

みくる「え、そんな、悪いですよ」

キョン「いいって、帰りになにかあったんじゃ、大変だろ」

ハルヒ「そうよ、みくるちゃん、せっかくだからお言葉に甘えちゃいましょうよ」

みくる「うーん、わかりました、じゃあよろしくお願いします」

キョン「あいよ」

長門「わたしもいく」

キョン「おいおい、俺の車は四人乗りだから定員オーバーだよ」
キョン「おとなしく待っててくれ」

長門「…そう」

朝倉「有希、二人でお留守番してましょ」

345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:18:38.34 ID:+F5CdK4U0

ぶろろろろ……

朝倉「さ、部屋で待ってましょ」

長門「……」

朝倉「どうしたの?」

長門「いやな予感がする」

朝倉「え?」

長門「……」

348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:24:20.49 ID:+F5CdK4U0

ハルヒ「あはははははは!!!れ、レトルトですって!!!!!キョン、あんたの娘、相当頭おかしいんじゃない!!!!」

みくる「うふふふ、さすがにあたしも笑いをこらえるのが大変でしたよw」

古泉「おや、そのわりには見事なフォローでしたけど?」

キョン「おいおい、俺の娘をそういう風に言うなよ。しかし、気持ちはわかるぜ」
キョン「誰に似たんだが……本気で精神科に通わせたほうがいいのかもしれんな」

ハルヒ「もう、あんな根暗はどうでもいいじゃない」
ハルヒ「それより、今から行くんでしょ?」

キョン「ん?どこに?」

ハルヒ「もう……きまってるでしょ、ばか」

キョン「はは、じゃあいつもの場所行くか」

古泉「娘さんはいいんですか?」

キョン「いよ、どうせ涼子がうまいこと言ってくれるしさ」
キョン「最近は俺にべったりで、なかなか抜け出せなかったしな」

351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:26:28.03 ID:+F5CdK4U0

朝倉「長門さん、今日はもう寝ましょう?」

長門「いい。パパを待ってる」

朝倉「ひとりひとり送り届けるんだから、結構時間かかるわよ」
朝倉「ね?今日はあたしの部屋で一緒に寝よう?」

長門「……わかった」

354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:29:37.12 ID:+F5CdK4U0

翌日

キョン「おはよう」

長門「おはよう」
長門「昨夜は、いつ帰った?」

キョン「ああ、結構時間かかっちゃってな」
キョン「すぐ寝たから覚えてないな」

長門「そう」

キョン「ん?どこ行くんだ?」

長門「ちょっと、散歩」

358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:31:41.90 ID:+F5CdK4U0

長門(パパの車に仕掛けておいた盗聴器)
長門(これで、昨日の車の中での会話が)
長門(……怖い)
長門(でも、聞く)

ざああああ

キョン『ほんと、あの糞ガキ育てるはめになるなんて貧乏クジだぜ』

長門「!!」

362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:38:08.63 ID:+F5CdK4U0

キョン『世間知らずで口数も少ない、何考えてるのか意味不明』
キョン『ほんと、脳に障害があるとしか思えないぜ』

ハルヒ『あんたの育て方が悪いんでしょw』

キョン『あのなぁ、俺はちゃんと育てたんだぜ』
キョン『それこそ愛情を注いでな』
キョン『あいつの母親にはうんざりしてたが、子供っちゅーのは可愛いもんよ』
キョン『けど、あいつが成長するたび、わけのわかんない奴だってことがわかるたびに、』
キョン『めんどうくさくなってきた』

長門「……うそ」ぽろぽろ

365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:43:27.00 ID:+F5CdK4U0

キョン『なにより母親に似てきたってのが、一番むかつくな』

ハルヒ『あんたの奥さんってたしか』

キョン『ああ、死んだよ。有希を産んで少し経ってからな』

ハルヒ『ふーん、ま、いいじゃない、有希のおかげであたしたち知り合えたんじゃない』

キョン『まあな、それより、体調はいいのか?』

ハルヒ『うん大丈夫よ。有希なんかとは違って、ちゃんとした子を産むからね?』

古泉『おや、おあついことで』

みくる『もう、あたしのお腹の子供にも愛情を注いでくださいよ?』

キョン『わかってるって』

古泉『僕のも…』

キョン『お前とはいくらやっても子供はできないだろw』

わはははははは

長門「……嘘」

嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘

371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:46:55.80 ID:+F5CdK4U0

長門「わたし、いらない子?」
長門「わたし、頭おかしい?」
長門「……パパは、わたしがきらい?」


ざああああ

『そろそろ場所変えるか……』

長門「……これは?」

『ったく、マジでうざい』
『……物置……』
『つの……』
『……たい』

373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:49:06.16 ID:+F5CdK4U0

長門(物置?)





キョン「いいか、有希、この物置は絶対に開けちゃダメだぞ」

長門「なぜ?」

キョン「この中はあんまり整理できてないからな、鼠やら何やらがいっぱい……」

長門「……」ぶるぶる
長門「わかった、絶対に開けない」

キョン「よし」





長門「あの物置のこと?」

376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:50:19.23 ID:+F5CdK4U0

長門「!!パパがくる」たったったっ

キョン「……」

ばたん

ぶろろろろ

長門「行った……」
長門「物置……」
長門「開けてみる」

378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:51:40.98 ID:+F5CdK4U0

長門「ここ」
長門「近づくだけで怒られてきた」
長門「中に何が?」

がちゃがちゃ

長門「開かない……」

379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:52:58.95 ID:+F5CdK4U0

長門「鍵はどこ?」
長門「パパの部屋?」
長門「探す」

がちゃっ

長門「お邪魔します」
長門「パパの部屋も、勝手に入ると怒られてきた」
長門「何か隠してる?」

383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:55:13.56 ID:+F5CdK4U0

長門「机の中……ない」
長門「クローゼットの中……ない」
長門「ベッドの下……エロ本」

長門「……」ぺらっ
長門「ユニーク」

386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 01:57:19.04 ID:+F5CdK4U0

長門「……」
長門「こんなことしてる場合ではない……」
長門「でも……ちょっとだけ」

ごそごそ

389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:00:17.47 ID:+F5CdK4U0

朝倉「ちょっと!!有希、遅刻よ!!」

長門「」

朝倉「」

長門「なぜ、ここに」

朝倉「いや、ドアがフルオープンだったから」

長門「まって、すぐに終わらせる」

朝倉「え、続きやるの?」

390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:02:38.80 ID:+F5CdK4U0

朝倉「で、キョンくんの部屋でなにしてたの」

長門「ナニしてたと思う?」

朝倉「オナニー?」

長門「そう」
長門(物置のことは言えない)

朝倉「ねえ、有希」
朝倉「あたしたち親友でしょ?」
朝倉「だったら、本当のこと教えて欲しいな」

長門「……親友」
長門(たしかに、嘘つくのはよくない)
長門(でも、涼宮ハルヒと同様に、わたしを内心バカにしてる可能性もある)

393 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:05:08.64 ID:+F5CdK4U0

長門(でも……涼子なら……)
長門「実は……」

朝倉「え?物置の鍵を探してた?」
朝倉「どうしてまた……」

長門「……」
長門「なんとなく、開けてみたくなった」

朝倉「そう、でも今は学校に行くことのほうが重要」
朝倉「そんなの帰ってきてからにしなさい」

長門(今日はパパの帰りは遅い)
長門(学校が終わってからでも時間はある)
長門「わかった」

395 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:06:33.28 ID:+F5CdK4U0

うん、そうなの、物置の鍵を探してたんだって

え?もちろん、開けるわけないじゃない

そうね、学校が終わったらまた開けようとするでしょうね

うん、わかった、まかせておいて

403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:09:17.74 ID:+F5CdK4U0

放課後、自宅

長門「やっと終わった」
長門「はやく探す」

キョン「おかえり、有希」

長門「!!?」
長門「どうして」

キョン「今日は、有希のカレーが無性に食べたくなってな」
キョン「作ってくれるか?」

長門「……そう」
長門「わかった、作る」

キョン「にや」

409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:13:20.62 ID:+F5CdK4U0

キョン「そういえば、この鍵どこの鍵か知らないか?」

長門「……それは?」

キョン「いや、今日持ってる鍵を整理してたんだけど、どうしても何の鍵かわからないのがでてきてさ」
キョン「おかしいなぁ、どこの鍵だろ」

長門「……そう」

キョン「うーん、まあ思い出せないってことはそんな重要なモンでもないんだろ」
キョン「お前も何の鍵かわかったら教えてくれ」
キョン「ここに置いておくから」

長門「……わかった」
長門(もしかして)

410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:15:07.91 ID:+F5CdK4U0

深夜


長門「……」そわそわ
長門「もう寝たかな?」

しーん

長門「寝た」
長門「寝たにちがいない」

414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:17:16.32 ID:+F5CdK4U0

長門「この鍵」
長門「もしかしたら」
長門「物置の鍵?」

ちゃっ

長門「鍵穴には入った」

がちゃんっ

長門「!!」
長門「開いた」

ぎいいいい……

長門「中を見る」
長門「……真っ暗で、怖い」

417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:19:33.10 ID:+F5CdK4U0

長門「……特に変わったものはない」
長門「単なる物置」
長門「……鼠もいない」ほっ

「」

長門「?」
長門「だれか、いるの?」

「」

長門「……」びくびく
長門「誰?」

425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:21:51.60 ID:+F5CdK4U0

「」

長門「暗くて見えない」

「」

長門「そこにいるのは……」

ぎいいい、がちゃん

長門「!!」
長門「ドアがしまった……鍵もかけられた」

キョン『有希、悪い子だ』

長門「パパ……!」

433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:26:21.24 ID:+F5CdK4U0

キョン『あんなに、物置は開けちゃいけないって言ったのにな』

長門「なぜ……鍵はここに」

キョン『そんなもんスペアに決まってるだろ』
キョン『ほんと頭悪いな』

長門「あけて……」

キョン『だめだ、お前はそこで一生過ごすんだ』

長門「……なぜ」

キョン『さあな、警察には行方不明になったって言っておくよ』

長門「……」
長門「やっぱり、パパはわたしがきらい?」

キョン『ああ、大嫌いだね』

長門「……なぜ、わからない」ぽろぽろ

440 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:29:26.30 ID:+F5CdK4U0

キョン『なぜ、なぜ、うるさいんだよ』
キョン『ことばで説明しても理解できないんだろ?』
キョン『だから嫌いなんだ』

長門「……ごめんなさい」
長門「もう……言わないから」
長門「……あけて……」ぽろぽろ

キョン『有希、これからはいい子にできるか』

長門「!!する、いい子になる」
長門「ちゃんと世間知らずも治す」
長門「だから……だから……」

447 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:34:21.55 ID:+F5CdK4U0

キョン『よし、わかった』

がちゃっ

長門「……パパ」

キョン「有希、ごめんな、怖かっただろ?」

長門「うん……うん……!!」ぽろぽろ

キョン「もうこれからは、物置に近づいちゃだめだぞ?」

長門「ごめん……なさい……」

キョン「よし」


450 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:36:25.36 ID:+F5CdK4U0

キョン「さ、もう物置のドアを閉めて鍵をかけるぞ」
キョン「お前の持ってる鍵は返しなさい」

長門「……はい」

キョン「よし」

ぎいいい……

「」

長門「あ、」
長門「今何か」

がちゃん……

キョン「ん?何かあったのか?」

長門「……」
長門「ない」

459 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:40:18.01 ID:+F5CdK4U0

キョン「さ、もう寝るぞ」

長門「……はい」
長門「……?」
長門「手に何かついてる?」
長門「紙?」















た        す








469 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:48:10.50 ID:+F5CdK4U0

翌日

ざあああああああ

『……物置……』
『つの……』
『……たい』

長門(……この声、パパ?)
長門(……他の人……女の人の声もまざってる)
長門(でも、おかしい)
長門(音が不鮮明すぎる)
長門(なぜこれだけ、こんな聞きにくい音声?)


473 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:51:19.55 ID:+F5CdK4U0

ざあああああああ

『……物置……』
『いつの……』
『……したい』

長門「……」

ざあああああああ

『……物置に……』
『あいつの……』
『……したい』

長門「……」がくがく

『……物置に……』
『あいつの……』
『……したいが』

長門(聞けば聞くほど)
長門(よく聞こえるようなる……)
長門(怖い)がたがた

476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:52:40.51 ID:+F5CdK4U0

長門(物置にあいつの死体が?)
長門(あいつって、誰?)

長門「もしかして……」
長門「今日、また物置に入る」

479 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:55:32.66 ID:+F5CdK4U0

午後一時、物置前

長門「鍵はあった、無用心」

長門「パパは会社」

長門「学校を早退したから、この時間に誰かくることない」

長門「開ける」


ぎいいいいいいい

482 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 02:58:24.64 ID:+F5CdK4U0

「」

長門「……やっぱり誰かいる?」

「」

長門「誰?」

「」

長門「……懐中電灯」

ぱっ

長門「……!!」
長門「あ……あ……」
長門「なんで……」

「」

長門「なんで、ここに……」

「」

長門「だって、あなたは……」

ぎいいいいいい……
がちゃん!!

490 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 03:02:33.57 ID:+F5CdK4U0

長門「……閉じ込められた?」

長門「……あけて」

長門「……外には誰もいない?」

長門「では、なぜ」

「…が」

長門「……あなたの仕業?」

「…がと」

長門「……そう」

「…ながと」

505 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 03:13:34.16 ID:+F5CdK4U0

長門「あなたは、だれ?」

「……」

長門「あなたは、本来ならここにいないはずの人」

「……あなたが……」

長門「わからない」
長門「なにが本当で」
長門「なにがうそなのか」
長門「あなたは、」

















長門「……涼宮ハルヒ?」

518 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 03:20:06.19 ID:+F5CdK4U0

長門「なぜ、ここにいる」

「……」

長門「なぜ、わたしを呼んだ?」

「」

長門「なぜ、涼宮ハルヒと同じ姿で」

「な…がと」
「ゆ………き」
「あんた……が」

長門「…わたし?」
長門「わたしが、なに?」

「あんたと……きょん」
「おかしな……こと」

長門「……?」

「おやこ……だとか」
「わけ……わか」

526 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 03:24:11.53 ID:+F5CdK4U0





キョン「なあ、俺と長門は今日から親子になったんだ」

長門「そう」

ハルヒ「はあ?」
ハルヒ「あんた頭にウジ沸いてるんじゃないの?」
ハルヒ「寝言は寝ていいなさいよ」

キョン「いや、大真面目だよ」
キョン「だってさ、考えても見ろよ」
キョン「こんな無口な美少女が、俺のこと『パパ』とか言って懐いてくるんだぜ」
キョン「たまらんだろ」

長門「そう」
長門「わたしも、彼に甘えられる」

ハルヒ「〜〜!!!」
ハルヒ「そんなこと言ったって、あんたの歳で養子縁組なんてできないし、そもそも結婚もしてないじゃない!!」

キョン「そんなの関係ないよ」
キョン「お前さえ願えば、俺たちは本当の親子になれるんだ」

529 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 03:26:41.82 ID:+F5CdK4U0

長門「そう」
長門「願って」

ハルヒ「は?意味わかんない」
ハルヒ「そもそも、あたしはあんたたいが親子になってほしいなんてちっとも……」

キョン「おい」

ハルヒ「え?」

ばきっ!!

ハルヒ「あれ?痛い……痛いよ?」

キョン「俺と長門は親子だ」
キョン「そうだろ?」

534 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 03:30:06.18 ID:+F5CdK4U0

ハルヒ「いたい……キョン、あんた本気で」

ごんっ!!

キョン「な、俺と長門は親子だろ?」

長門「そう、親子」

ハルヒ「いたいいたいいたいいたいいたい!!あ、頭が1!!!頭が!!!!!」

キョン「ハルヒ、お前もそう思うよな?」
キョン「本気で願ってるよな?」

ハルヒ「いや!!!!こないで!!!!!!そうだ、きゅうきゅうしゃ、きゅうきゅうしゃよんで」

げしっ!!

ハルヒ「がはっ……」

キョン「ほら、はやく願えよ」

539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 03:32:49.51 ID:+F5CdK4U0

繰り返し、繰り返し

キョンはあたしに暴力を振るう

有希はそれを見てるだけ

でも、どこか楽しそうだった記憶がある

あたしはキョンたちが狂ったわけを知らない

ただ、助かるためには

「キョンと有希が親子になること」を本気で願わないといけないということだけはわかった

542 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 03:34:41.39 ID:+F5CdK4U0





長門「うそ」

「……」

長門「ならば、なぜわたしは彼から愛されていない?」

「……」

長門「なぜ、涼宮ハルヒが二人も存在している?」

「……」

長門「あなたが望んでこの世界が生まれた?」

「……」

長門「なぜ、そんなことができる?」

547 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 03:40:01.88 ID:+F5CdK4U0

「しらない」
「ただ、ほんきでねがってあげたわよ」
「おのぞみどおりにね」
「あんたときょんがおやこになるようにってね」
「でもね、でもね」
「こうもねがったわよ」
「きょんがもっともっとおかしくなりますように」
「きょんがおかしくなって、ゆきをきらいになりますように」
「ほかでもない、あたしじしんがきょんをおかしくしますようにって」
「ね、あたしがつくったんなら、そうなっちゃったんじゃないの」

長門「うそ」
長門「そんなことができるなら、あなたはすでに自分を救うように」

「むりよむりよ」
「あたし、だっていまがいちばんいいんだもの」
「いきているってつかれるもん」
「だから、このままでいいの」
「ね、ゆきもいっしょにねない」
「このままでいいけど、ひとりはたいくつなの」
「ね、ね」

長門「……」

552 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 03:45:40.96 ID:+F5CdK4U0

「」

「」

「」

「」

「」

「」

「」

そこには、亡骸が二つある。
腐臭はない。
だから誰も気づかない。
二つの亡骸は互いを慰めあうように、折り重なるように横たわっている。
永遠に。






561 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/23(月) 03:50:28.94 ID:+F5CdK4U0

長門主役ものは初めてなんだ、へんな終わり方ですまない
まあ正当なほのぼのなんて自分には無理ということがよぅわかった


おやすみ



ツイート

メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:しんのすけ「母ちゃんおはよー!」