長門「・・・何でも言って」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 03:24:34.39 ID:0Jffl3NC0

平日の真昼間。
学生は学業に勤しんでいる、そんな時間に俺は病院の窓から広がる風景を
ひとり楽しんでいた。
なぜ俺が病院のベットの上で一人隠居生活をしているのかというと三日前のことになる。

―――三日前、長門から急に電話があった。
すぐに会って話しがしたいとの事だった。長門から会いたいと言ってきたのは珍しく、驚きはしたが
長門の頼みだ。聞かない訳はないし、逆に嬉しいぐらいだ。
あの長門からコミュニケーションをはかってきたんだからな。5分後には俺は愛車の自転車にまたがっていた。

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 03:26:12.22 ID:0Jffl3NC0

長門はマンションの前に立っていた

長門 「急に呼び出してしまった」

キョン「気にすんな。お前からの頼みなら断る訳にいかねーよ。」

長門 「そう」

口数も少ないまま長門は歩きだす。こいつが先頭を歩くのも珍しい。
会話もなく長門は歩き続ける。恐らくだが図書館に向かっているようだ。俺はその後ろを影のようについていく。
図書館前の交差点。信号が青になり、長門はまた音も無く歩き出す。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 03:27:32.11 ID:0Jffl3NC0

「――…」 長門が急に足を止める。そのまま動かない長門。

信号が点滅し歩行者をせかす。

キョン「おい、どうしたんだ長門…?」

動かない長門。

信号が変わる。
そこに黒いバンが突っ込んでくる。


…冗談じゃねえ。なんてスピードだよ。俺たちに気づいていない?そんな訳ないじゃないか。
そんなやつの目は一回取り出して洗浄してみるべきだね。きっと怯えてる俺の姿が映るだろうよ。

―――そんな事考えてる場合じゃない。
次の瞬間。

キョン「危ねえ、長門っ!」

長門を歩道へと押し出し、そこで俺の記憶が遠のく…―――

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:01:23.13 ID:0Jffl3NC0

という訳だ。起きたらそこは見覚えのある古泉推薦の病院だった。
俺は不幸中の幸いといえるのだろうか両腕を骨折したものの、他はどこにも異常がなかった。
朝比奈さんは泣きじゃくり古泉もそれなりに真剣な顔でお見舞いに来た。ハルヒも1日で治しなさい、
なんて言ってはいたが一応心配してくれてるようだ。寝袋で寝てはいなかったがな。
そして長門。

 「全て私のせい。私があの場所で蓄積された内部エラーと外部からの情報バグによる
  一時的フリーズ状態にならなければ、あなたはこのような事にはならなかった。」

続ける長門

 「車に乗っていた者は朝倉涼子のようにあなたを殺して涼宮ハルヒに
  行動を起こさせようとした。守ろうとしたが少し遅かった。あなたの腕は折れてしまった。」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:01:58.00 ID:0Jffl3NC0

キョン「…そうかい…本当に危ない所だったんだな…ん?でも車に轢かれそうになっていたのは長門だぜ?」

長門 「あなたが私を救う事は彼らの計算にはいっていたのだと思われる。」

いやはや、賢いもんだ。いっそ電卓にでもしたいね、全く。

長門 「原因は私にある。何でも言って。」

そう言われてもなあ。

……しかし両腕が使えないのは正直辛いな。一人じゃお茶もろくに飲めない。

キョン「それじゃあ、お茶、入れてもらおうかな。」

長門 「了解した。」

いつもは部室で朝比奈さんがお茶をいれる姿に見とれているのだが、長門がお茶をいれる姿もなかなか
よいものである。これでメイド服なんか着てたら、なんて妄想を頭の中だけで駆け巡らす。
……アホか 俺は。 そんなこと考えたら長門に失礼だな…

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:02:28.49 ID:0Jffl3NC0

長門「了解した。」

え?何を?長門?

長門「あなたは今、私に朝比奈みくるのような振る舞いをして欲しいと思っている。」

無表情で見つめる長門。まさか俺の心を読みましたか?長門さん。

長門「詳しいことは禁則事項。」

    気に入ってるのか……

長門 「次来る時までに朝比奈みくるの格好を研究して構成できるようになっておく。」

まてまて なぜそうなるんだ。

長門 「遠慮しなくていい。私がしたいからする。」

キョン「………そうなのか…?」

長門 「そう」

そう一言言い終えると長門は俺の病室を後にした。あれは長門なりの冗談だったのか?

俺はひとり取り残された部屋で一つため息をついた。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:10:22.88 ID:0Jffl3NC0

無口で読書好きな宇宙人がエラーを起こしてから5日がたった。
相変わらずやることはなく、俺は時計相手に"時間を止める"という超能力実験をしている。

俺はこの一年間で、普通の人間には考えられないような日々を過ごしてきたからな。俺にも不思議な力の
一つや二つ身に付いててもいいはずなのだが…。


そんな能力が身についているはずもなく時計の針はノロノロと時を刻み続ける。やっぱり凡人は
どんな体験をしようとも凡人な訳で。
かと言って、俺も本当に超能力者になりたい訳ではない。俺は小泉みたいな営業スマイルはできないし、
ハルヒの作り出した神人とやらに、夜中叩き起こされるのはごめんだ。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:10:55.38 ID:0Jffl3NC0

古泉「あなたは僕にはない強力な力を持っているはずですよ?それも巨大な閉鎖空間や神人を一瞬で
   無に帰すことのできる力をね。」

なんの話だか分からんな。

古泉「なんにせよ、あなたにもいい休暇になったじゃないですか。僕も休暇が欲しいものです。
   僕のバイトは不定期なものでね。」

そう言って古泉は軽くお辞儀をすると病室のドアから出て行った。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:12:56.91 ID:0Jffl3NC0

古泉が出て行って間もなく。病室のドアがまた静かに開いた。
そこには一人の少女が置物のように立っていた。その姿はさながらできのよいアンティークドールで、
学校帰りであろう、いつもの北高の制服に包まれていた。
そしてその手には大きな袋をぶら下げていた。

キョン「なんだ、その袋は。」

長門 「朝比奈みくる本人から借りてきた。ちゃんと許可は取ってある。」

袋の中身はメイド服だった。本当に持ってきたのか…。

長門 「大丈夫、あなたの趣味だということは説明していない。ただあなたが望んだとだけ言って持ってきた。」

その悪気のない、というか表情のない顔は平然と言ってのけた。駄目だろそれじゃ。俺が長門を使って朝比奈さんの服を
持ち出させたみたいじゃないか。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:18:33.72 ID:0Jffl3NC0

長門 「………。ここで着替えていい?」

珍しく疑問系を使った長門に、着替える必要がないこと、俺はメイド服フェチではないと言うことを伝えるのには
結構な時間を要した。前者はすぐに理解してくれたが、後者についてはなぜか認めようとはしなかった。
結局「……分かった…。」というなんとも歯切れの悪い言葉で締めくくられ、そのやりとりは幕を閉じた。

そんな中、俺の"長門の表情感知センサー"は蟻の耳の穴ほどの長門の表情を感じ取った。

SOS団随一の成長株長門有希。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:19:04.79 ID:0Jffl3NC0

一年前の長門なら毛ほどの感情も表に出さないだろう。しかし長門はこの一年でだいぶ変わった。
紛いながらも一年間、それも人より濃い時間を過ごしてきた。そこでの出来事はヒューノマイドなんとかであるとこの
宇宙人、長門有希をいい方向へと変えた。途中、色々と問題はあったが今ではSOS団の何でも屋兼、文化部部長として
その役割をまっとうしている。恐らくSOS団の中で何か賞を貰えるとしたら長門だろう。SOS団名誉会長の肩書き
くらいは貰えるさ。その名誉会長がどれだけ偉いのかはしらんがな。少なくとも顧問より上だろう。

長門は俺のベットの横にパイプ椅子を持ってきて座り、自分で持ってきたハードカバーを読み始めた。
俺も母さんが家から適当に持ってきた漫画を読みながら、たまに辞書のような分厚い本を瞬きせずに読んでいる
長門の姿を見ていた。


6時になるとパタンと本を閉じ長門は

長門 「また来る。」

とだけ言い残すと、来た時同様メイド服の入った大きな袋を提げて帰っていった。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:22:24.48 ID:0Jffl3NC0

慣れないベッドでの生活が始まって十日。ようやく退院することができた。
病院での薄味の料理は、これはこれでいいものであり、俺には結構ありな味付けだった。

退院後、長門の家でパーティーをすることが決まった。
発案者はSOS団団長兼、映画監督兼、編集長など一人で多くの肩書きを持つ女、涼宮ハルヒである。
だがどうせハルヒのことだ、何か理由付けてみんなで騒ぎたいだけだろう。
俺の退院もその理由に過ぎないってことだ。

無事退院を済まし、十日間を共に過ごしたベッドともお別れした。
そして一旦家に帰ってから、俺は長門のマンションへと向かった。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:33:10.34 ID:0Jffl3NC0

マンションの前には古泉が立っていた。腕の動かせない俺を気遣って待っていたのかと思いきや、
長門の部屋がわからないという理由だった。そういえばこいつだけは行ったことなかったな。
長門の部屋の番号を押す。長門の無言の返答の後、マンションの自動ドアが開く。


鍋パーティーが始まった。クリスマスの時同様、料理の味は最高であり久しぶりの塩分が俺の胃を満たした。
やっぱり肉はいいね。これで食べさせてくれるのが古泉ではなく、朝比奈さんだったら俺はの胃は底なしになっていた
だろう。

始めは朝比奈さんが俺に食べさせてくれていた。しかし一口二口食べたところで団長から"キョンなんかにもったいないわ"
というお言葉で古泉にバトンが渡されたのである。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:33:47.14 ID:0Jffl3NC0

しかしその古泉も数分後

古泉「バイトが入りましたので、これで。」

といって帰ってしまった。
その後古泉が置いていった役割を団長から仰せつかったのは長門だった。

長門 「あーん」

無表情なのが逆に可愛いかった。ものすごく恥ずかしい。
長門は坦々と作業をこなしていき、熱々の豆腐を俺の口へと運ぶ。俺の口と顔は瞬く間に真っ赤に染まった。

ハルヒ「あっはっはっ!いいわよ有希、もっとやってやりなさい!」

熱さに悶絶してタコ踊りをする俺、それを見て笑うハルヒとオロオロする未来人。
そして団長の命令通り、せっせと豆腐を口に運ぶ宇宙人。
そんな楽しい夜の時間はとても短く感じられた。

――― やっぱり時間を止める能力は欲しいかもな―――。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:35:48.85 ID:0Jffl3NC0

いつもの生活が戻ってきた。違うところと言えば腕が真っ白な布に包まれて全く動かないところぐらいなもんだ。
むろんノートなど取れない。授業が始まって20分。すでに授業で飛びかう言葉は、ドイツ語のリスニング問題と化し
そんな言葉も今や俺の耳には届かず、ぷかぷかと教室の天井で浮かんでいる。
いつもならここで手を枕代わりに眠りにつくところなのだが、いかんせん腕が折れている。
枕にしようもんなら激痛で即座に覚醒してしまう。
しょうがないので俺は椅子に深く座り、見つからないようにと願いながら眠りについた。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:53:07.42 ID:0Jffl3NC0

そんなこんなで復帰一日目の午前中の授業を消化した。
4限が終わるといつも通り、後ろのやつは姿を消した。俺は家から持ってきたなんとかinゼリーを取り出し、
谷口と国木田が弁当を持って俺の机に来るのを待っていた。

  「………」

しかし来たのは以外な人物だった。いつもは文芸部室にいるはずのそいつは俺の目の前に立っていた。
その手には小さな弁当箱と水筒を持って。

 谷口「キョン…お前…裏切り者!!」

 国木田「そういうことならキョン、僕たちはあっちで食べるね」

そう言って二人は去っていった。状況の掴めない俺は口が開きっぱなしだ。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:53:38.53 ID:0Jffl3NC0

キョン「どうしたんだ?」

   「食事を持参した。あなたの分。」

そいつは俺の後ろの席に座って弁当を広げた。
小さな弁当箱に入っていたのは……カレー…?


   「あーん」

キョン「長門、その、なんだ。食べさせてくれるのはありがたいんだが…『あーん』ってはちょっと…」

 長門「どうして」

キョン「ここは学校でみんな見てるからだ」

無言で首を少し傾ける長門。

 長門「……お茶、飲む?」

キョン「……もういいや」

心を無にするんだ。心頭滅却すれば火もまた涼し。
その後も長門の新妻ラブラブ攻撃は続いた。涼宮ハルヒが帰ってくるまで…。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 04:54:09.70 ID:0Jffl3NC0

ハルヒ「有希。眠りたいの。どいてくれる?」

そこには口をアヒルの様にした涼宮ハルヒが立っていた。
長門はさっさと机の上の弁当を片付けると何も言わず、教室から出て行ってしまった。

その後の授業中はたいへんだった。
ハルヒは俺の背中に穴が開くんじゃないかってくらい視線をぶつけ続けた。
そして部室への移動中。

ハルヒ「あんた……。何でもないわ。」

ハルヒは本日の活動休止を告げるとさっさと帰ってしまった。
とりあえず俺は部室に行き、その旨を皆に伝えた。
しかし長門もその日、部室に現れることはなかった。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:06:27.65 ID:0Jffl3NC0

一日が終わり、眠りにつく。ここまではいつもと同じだ。
しかし今日はあの日同様、違っていた。

「―――なさい!」

おいおい、誰だ。俺を起こそうとしてるやつは。妹じゃないな。妹なら今頃俺は下敷きにされてるはずだ。

ハルヒ「キョン!さっさと起きなさい!!」

Oh...最悪の目覚めになりそうだ。いいから腕を放してくれ


・・・ん・・・・・・腕!?

キョン「痛ええぇええええ!!」

激痛に目覚める俺。しかし起きてみると腕は全く痛くなかった。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:07:08.71 ID:0Jffl3NC0

キョン「どうなってんだ…」

腕に巻いていた包帯どころか痛みまでもなくなっていた。

ハルヒ「前にもこんな夢・・・あんた、前にもこんな夢見たことない?」

キョン「んー知らんな。覚えてないだけかもしれんが。」

忘れるわけないだろ。あんな悪夢、忘れろって言われても忘れられないな。

ハルヒ「そう・・・。いいわ。確か部室にカメラがあったはず。部室に行くわよ!」

キョン「カメラなんて何に使うんだ?」

ハルヒ「いいから付いてくるのよ!」


誰もいない真っ暗な廊下を二人で歩く。アメリカ映画なら次の瞬間、幽霊怪物の類が現れ、
なんやかんやあってカップル完成だ。

部室につくとすでにグラウンドには神人が出現していた。
しかし前のようには暴れておらず、その場に立ち尽くしている。

ハルヒ「キョン!あれを間近で写真におさめるわよ!きなさい!」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:07:44.71 ID:0Jffl3NC0

カメラを持つと俺の手を引く。

キョン「ちょっと待ってくれ。俺は進んであんな訳のわからん物に近づきたくねーよ。行くなら一人でいってこい。」

むぅっと口をアヒルの様にするハルヒ。

ハルヒ「いいわ。玄関の所まで行ってくる。あんたも来たくなったらきなさい!」

キョン「わかったよ。行きたくなったらな。」

ハルヒは颯爽と部室を出て行った。二回目だからか、はたまた夢だと思っているのか。怖がっていてくれたほうが
可愛げがあるってもんだ。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:08:23.18 ID:0Jffl3NC0

さてどうしたものか・・・。俺は何をすべきか考えていると目の前に一つの赤い光が現れた。
その赤い光はみるみる人の形になっていき、その人の形は古泉へと変化した。

キョン「今日は輪郭だけじゃないんだな」

古泉 「ええ。お蔭様で。今回は前ほど世界の隔離が行われていない様です。神人も活動的ではない。」

   「最も組織の総力を使ってもこの程度にするのが精一杯のレベルなのですが・・・」

キョン「で、ここに閉じ込められたと言う事は、今回も前と同じ様な事が?」

古泉 「ご察しの通りです。今回も世界のためによろしくお願いしますよ。」

キョン「・・・・・・。お前の超能力とやらでどうにかならんのか。」

古泉 「私としても実体化がギリギリでして。力を行使するのは難しそうです。」

   「今回もあなたの頑張りに期待していますよ。なんせこの世界を救う力を持っているのは他でもない"あなた"なのですから。」

   「・・・それともこのまま世界が変わってみるのを待ってみますか?」

軽く笑ってみせる古泉。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:09:00.06 ID:0Jffl3NC0

古泉 「ああ、そうでした。長門有希から伝言を預かっているんでした。」

   「『PCの電源をつけて』だそうです。」

俺はPCの電源をつけた。大体言われそうな事は分かるがな。

N.YUKI:『見えてる?』

:『ああ、見えてるぞ』

N.YUKI:『あなたと涼宮ハルヒは世界から消えている。』

:『そうか、またか』

N.YUKI:『世界の再構築は行われていない。しかし大規模な時空震の兆候はある。』

:『で、俺にどうしろと』

N.YUKI:『あなたは以前と同様の行動をとればいい。』

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:09:39.89 ID:0Jffl3NC0

N.YUKI:『―――ただ』

少しの間の後、PCの画面が坦々と文字を羅列する。


『―――黒い棺桶の上にいる男は私に言った。"あなたの発表はまだですよ。" 私は棺桶上の男に聞いた。私は何を
 すべきかと。男は言った。"周りを見るのです。あなたはあなたのすべき事をするのです。それまでここには入れません。"
 私は周りを見渡した。真っ暗な部屋に棺桶が一つ。いくら見渡してもそれ以上でも以下でもない。
 次の瞬間、棺桶も棺桶の上の男も消えていた。真っ暗な部屋に私だけが残された。真っ暗な世界に私だけが残された。
 その部屋でどれほど待っただろう。小さな光が見えてきた。その光はだんだん大きくなり、その光は一つ二つと増えていき、
 4つの光が部屋を照らした。さまざまな色の光が私を照らした。私は私を初めて見た。私は私を確認した。
 私の存在が変わった。私の運命は大きく動かされた。
 やがて一つの光に私は恋をした。それは暖かくて強い光。私を溶かしてくれる光。

 私は雪。水じゃなくてもっと寂しい粒。
 音も無い世界に 舞い降りた雪 』

これはあの時の幻想ホラー小説の続きかなんかか?

:『これがなんなんだ、長門』

N.YUKI:『私は―――』

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:10:34.47 ID:0Jffl3NC0

    『私という固体はあなたに以前と同様の行動をとって欲しくない』

    『この気持ちが何なのかは理解できない。エラーなのかもしれない。でも私はそう思っている。』

   :『どういうことだ』

N.YUKI:『私はあなたが涼宮ハルヒとキスという行為をすることを望まない。』

 私は―――


        あなたが好き


 『あなたと涼宮ハルヒは大切な観察対象。消失してもらっては困る。』

 『でもあなたが涼宮ハルヒとキスをしている所を想像すると胸部が痛む。』

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:11:05.04 ID:0Jffl3NC0

時が一瞬止まった気がした。それは超能力ではない。俺の思考が停止していた。
長門が俺を好きだなんて一度も考えたことがなかった。
俺は、俺はどうなんだ。長門のことは好きだ。それは仲間として。
本当にそうか?頼りにしていたのは仲間としてなのか?

N.YUKI:『これは私という固体の考え。後の決定はあなたに任せる。』

    :『おい、なが』

PCは小さなファンの音を置き去りにして切れてしまった。

37 名前:ああ ごめんなさい 知らなかった[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:19:45.51 ID:0Jffl3NC0

古泉 「どうしました?何か問題でも起こりましたか?」

古泉にも・・・言えないよな。
突然のことで頭が回らない。どうする。どうすればいい。

古泉 「まあ何にせよ、この先の話はあちらの世界に戻ってからにしましょう。僕もそう長くはこちらにいられないので。」

   「では、僕は先にあちらの世界へ

キョン「もしもだ」

古泉が言い終わる前に俺は口を開いていた。

キョン「もしも・・・俺がハルヒとあちらの世界へ戻れないと言ったらどうする。」


古泉 「・・・それは僕たちの世界に戻りたくないということですか?」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:20:16.02 ID:0Jffl3NC0

キョン「いや、そうじゃないんだ。そうじゃないんだ・・・。」

古泉 「それは・・・・・・長門さんと関係があるのですか?」

キョン「まあ・・・な。少し考える時間が欲しいんだ。」

古泉 「そうですか・・・・・・。しかしそうもいかないようです。見てください。神人が少しずつ破壊活動を開始したようです。」

急の爆音と共に揺れる校舎。

古泉「私は組織の一人です。あなたには力ずくでもあちらの世界に戻ってもらわないといけません。」

  「それがあなたの意思に反し、あなたを傷つけようとも。」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:20:47.00 ID:0Jffl3NC0

目つきが変わる古泉。
まあそうだよな。そのために転校してきたんだもんな。涼宮ハルヒを観察するために。なんだかんだでこいつには
お世話になったし、少し、ほーんの少しだが信頼もしていた。ボードゲームももう一回ぐらいは付き合ってもよかったんだがな。
まあしょうがないな。
こいつと一戦交えるとは思わなかったよ。まあ勝てるとは思わんが、少しだけ抵抗してみよう。
こういうことは苦手だし痛いのはほんとは勘弁なんだがな。

身構える俺。

一歩、一歩俺の方へ歩み寄る古泉。古泉が目の前に来た。いつもと目つきが違う。
俺はその顔目掛けてこぶしを振りぬく。
しかし渾身の力で振りぬいたこぶしはなんなく受け止められてしまった。
そして、一歩、また一歩と近づいてくる古泉。

キョン「やっぱり駄目だったか。」

小さくつぶやいた。
古泉の腕が振り上げられる。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:27:11.30 ID:0Jffl3NC0

古泉の両腕が俺の肩に置かれた。古泉はいつもの古泉に戻っていた。

古泉 「忘れないで欲しいですね。僕は組織の一人ですが、SOS団の副団長でもあるんですよ。」

   「何があったか深く追求はしませんよ。僕は色恋事は苦手でね。」

こいつ覗いてやがったな。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:27:41.72 ID:0Jffl3NC0

古泉 「それに、僕たちは長門さんに借りがありますからね。あの時の約束覚えてますか?」

   「一度だけあなた方の肩を持つと、例えそれが組織の意向に背くものだとしてもね。それが長門有希のためでもあると判断しますが?」

キョン「悪いな。」

古泉 「気にしないでください。約束は守りますよ。だからあなたも僕と約束してください。どちらを選ぶにしても"絶対に後悔しない"と。」


   「それでは僕はこれで。あなたとの学園生活、悪くはありませんでしたよ。願わくば・・・またあなたと、今度は普通の友達として
    会いたいものです。」

   「それでは僕はこれで。」

俺は声を振り絞って言った。

キョン「―――おう、またな。」


古泉は微笑を浮かべ、赤い光となり、そして消えた。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:57:22.75 ID:0Jffl3NC0

古泉が消えてすぐハルヒが部屋に飛び込んできた。

ハルヒ「キョン!すごいわ!巨人が動き出したの!是非お友達になりたいわ、行くわよ!!」

おいおい、こいつはどこまで馬鹿なんだ。

キョン「友達になるってどうする気だ?日本語が通じる人間なのか?」

つーかあれは人間じゃないだろ。

ハルヒ「やってみないと分かんないわ!いいから行くわよ!」

ハルヒに連れられて俺たちはグラウンドへ向かった。

玄関まで来て止まるハルヒと俺。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:57:53.78 ID:0Jffl3NC0

キョン「で、どうする気だ?」

無言で一歩づつ歩き出すハルヒ。そして振り向く。振り向いた姿に見とれる俺。
黙っていれば学校一の美人にだってなれそうな容姿。それは俺も認めている。
俯いて何か考えている。そんな一つのアクションでさえ絵になってしまう。
何かを決心したのか俺に話しかける。

ハルヒ「ビックリしちゃった。有希が・・・じゃなくて古泉くんがいきなり火の玉になるんだもん。」

キョン「お前・・・見てたのか」

ハルヒ「まあね、ちょっと驚いたけどすぐ分かっちゃった。これは夢なんだって。」

   「前にも同じ様な夢見たの。前もあんたと二人だけ。この学校に二人だけ。」

キョン「へぇ。そうかい。で、最後はどうなったんだ?」

少しイジワルを言ってみる。いつも俺達を振り回してくれるお礼だ。

ハルヒ「さあね。夢だから忘れたわ。」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 05:58:29.88 ID:0Jffl3NC0

あっけらかんとした表情で言うハルヒ。

ハルヒ「それで、たぶんこれも夢なの。それであんたも私の頭の中の想像。だから、その・・・。」

   「この夢から覚めるにはするしかないの。」

ちゃんと覚えてるじゃねーか。できれば忘れてて欲しかったが。

ハルヒ「そうよ。ちょっとしてしまえば目覚めるのよ。うん。そうよ。」

自分に言い聞かせるハルヒ。そしてこちらを睨み付け目を閉じる。
おいおい。まじかよ。どうすればいいんだ、俺。
目を閉じたハルヒの顔を見て、一瞬ドキッとする。すげー可愛い。

――――――よし。
決心は付いた。俺は・・・・・・。
ハルヒの肩を掴む。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 06:00:05.68 ID:0Jffl3NC0

そして俺はハルヒを遠ざけた。驚いた表情で目を開けるハルヒ。自分の夢でこんな展開は想像してなかったのだろう。

キョン「俺は・・・。」

ハルヒが言葉をさえぎる。

ハルヒ「いいの!覚えてなさい!明日目が覚めたらただじゃおかないんだから!学校で一日中睨みつけてやるんだから!」

ハルヒの言葉には力がなかった。少し触れただけで崩れてしまいそうな空元気だった。
その頬には涙が伝っていた。泣きながら笑っている。なんて顔するんだ・・・。俺は・・・俺は・・・。

その瞬間ハルヒの後ろから光が差し込んだ。いや、光ではない。白、今まで見たこと無いような本物の白。
その白が学校を、世界を、俺を、ハルヒを包んでいった。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/20(水) 06:00:39.30 ID:0Jffl3NC0

―――ある世界のある時間―――


   「―――あなた、起きてください。」

キョン「ああ、すまん。寝てたか。」

   「ふふふ、こんな所で寝てたら風邪引きますよ。」

 涼子「有貴!なに本ばっか読んでんのよ!冒険に行くわよ!」

 有貴「・・・・・・待って。」

黙って本を閉じ、姉に付いて歩く弟の有貴。

   「有貴は本を読んでばっかり。あんまり活発に運動しようとしないし。」

   「涼子は女の子なのに活発すぎるわ。」

そして俺は言った。

キョン「はははっ、ほんと昔のお前にそっくりだよ。」


おしまい

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/20(水) 06:02:29.25 ID:0Jffl3NC0

眠いのでこんなオチで。
初めて書いたので駄作かもしれませんが、読んでくれた方ありがとうございました。
指摘・感想書いてくれたら後で読ましていただきます。
ではおやすみなさい。



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