ハルヒ「レーザービームってあるじゃない」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 18:42:32.88 ID:xjQSRWzq0

「あれの使い手って日本人なんでしょ? みくるちゃんとか使えないのかしら」

 普通の輩が何か言う分に問題は無いが、ハルヒがそんなこというとシャレにならない。
以前の映画撮影の件でもあるように、物事にハルヒが影響するとあるはずの無いことが現実になってしまう。
そうなると被害を受けるのは間違いなく俺だ。どうにかハルヒの気をそらすべくいい案はないかと頭を悩ましていると……
「メジャーリーグのことですか?」
「そうよ!」
 なんてこった。折角話をそらそうと考えているのに。古泉め余計なことを。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 18:44:31.69 ID:xjQSRWzq0

「私たちって野球経験者でしょ?」
 以前の草野球大会のことか。あの試合に出ただけで野球経験者と言うには無理があるんじゃないか?
「それにみくるちゃんは以前作った映画でビームもだしたじゃない!」
「でもあれはフィックションだろう」
 これ以上話を広げられたらたまらない。仕方なく口を出す。
「そうね。けれど野球のレーザービームはフィックションじゃないらしいじゃない」
 兵器としてレーザービームをだしていると勘違いしているのか?
野球の試合で本当にレーザービームなんかが出たら死人がでて野球どころじゃないだろう。
というか、レーザービームなんて技術は確立されているのか?
「そうね、最近やることもないし、みくるちゃんからレーザービームを出すとしましょう。
そして野球界に殴りこみをかけるのよ!」
 野球界とかとんでもないことを言っていないか?
校内とか町内ならともかく野球界となると規模が違いすぎる。
というか朝比奈さんからレーザービームとか、本気か?

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 18:46:31.78 ID:xjQSRWzq0

「あの……あたしレーザービームとか無理だと思うんですけど……」
 そろそろ冗談じゃ済まなくなってきたと、黙っていた朝比奈さんが口を開く。
「大丈夫よ。なんだかんだいって映画の主役やりきったじゃない。気合よ。気合」
「ふええ〜」
「そうときまったら早速野球の練習をしないといけないわね」
そう言ってハルヒは席を立ってドアへ向かって歩き出す。その様子を俺たちが見ていると
「ほら、あなたたちも用意しなさい! 時間は有限なのよ!」
 まあ俺たちが徴集されるのは当然か。それだけハルヒは言うと1人で部室を出て行ってしまった。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 18:49:15.02 ID:xjQSRWzq0

 ハルヒの足音が聞こえなくなるのを確認して俺は口を開く。
「で、どうするんだ?」
「どうするも、参加するしかないんじゃないですか?」
「俺は映画のような目にあうのはごめんだぞ」
 そういうと朝比奈さんの方を向く。
「朝比奈さんはどうするんですか? おとなしくハルヒに従うんですか?」
「あたしは……従いますよ。じゃないと後が怖そうですし……」
 いい具会にハルヒに調教されてしまった朝比奈さんを目の当たりにして俺は頭を抱える。
「んで、長門はどうするんだ?」
「……」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 18:52:29.65 ID:xjQSRWzq0

 相変わらず黙々と分厚い本を読んでいる長門へと声をかけた。
 長門は口を開かない……がしばらく見ていると本をぱたんと閉じて口を開いた。
「わたしは参加する」
 まああまり期待はしていなかったがな。どうやら俺の参加も避けられない状況のようだ。
「参加しないと色々と手遅れになる」
 さらりと恐ろしいことを言ってのける。確かに以前のミクルビームでは長門が居なければ俺は死んでいたかもしれない。
「あなたがストッパーになればいいだけですから。簡単なことでしょう」
「簡単に言ってくれるが、ハルヒの想像してるレーザービームはおそらく兵器としてのレーザービームだろう?
あんなのかまされたら流石に長門だって耐えられんだろう」
「そうでしょうけど、あなたも長門さんも死にはしませんよ。
涼宮さんがあなたがたが死ぬなんて望んでいるはずが無いでしょう?」
 他人事だからって簡単に言ってくれるな。
「まあ、そろそろ部室を出ましょう。涼宮さんを怒らせてしまいます」
 そういうと皆ぞろぞろと部室を出て行く。俺もため息をついて3人を追いかけた。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 18:54:29.18 ID:xjQSRWzq0

「あんたら遅いじゃない!」
 校庭には運動着に着替えたハルヒ。そしてその肩にはバットを担いでいる。
野球をすると言わんばかりだ。まあ野球をするんだが。
 それに比べてこちらは手ぶらで制服。朝比奈さんに至ってはいつものメイド服だ。やる気の無さがにじみ出ている。
 何やら校庭で練習中の部活動の生徒が皆でこちらをみてひそひそと話している。
まあ気持ちはわからないわけではない。長門はともかく他のメンバーが目立ちすぎる。
しかしそんな中で活動するとなると思っただけで憂鬱になってくる。
「まずは基本のキャッチボールから始めましょう」
 そういうと足元にあったグローブを配り始める。仕方なくグローブを手にはめる。
俺や古泉はいいが、セーラー服にグローブの長門や、メイド服にグローブの朝比奈さんは明らかに浮いていた。
「いくわよ!」
 意気揚々とハルヒがボールを握って投球フォームに入る。
 片方の足を上げ、そのまま利き腕を後ろへ。そして上方から力強く投げる。
奇麗なオーバースローだ……というかキャッチボールでそれはやりすぎじゃないか?
 威勢のいい音と共に長門のグローブの中へそのボールが収まった。長門がそのボールを手にとり片足を上げて……

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 18:56:37.07 ID:xjQSRWzq0

「長門、待て!」
 すかさず待ったを入れる。長門にあんなボールなげられたら取れる自信なんてない。現に朝比奈さんなんかは震えている。
「何よ!」
声を上げたのはハルヒだった。
「キャッチボールの割にはちょっとやりすぎなんじゃないか?」
「レーザービームだすんだからこれぐらいやらないとだめでしょ」
 勘弁してくれ。
「というか、いきなり出てきてここ占拠してるが、大丈夫なのか? 他の部活動の邪魔にならないか?」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 18:58:29.97 ID:xjQSRWzq0

「大丈夫。野球部には話つけてあるわよ」
 なんで野球部はそんな暴挙を許してしまうんだ。
「さあ、再開するわよ!」
「疑問なんですが」
「何よ」
「練習して何か試合にでも出るんですか?」
 ああ、確かにレーザービームだけならわざわざ練習する必要なんてないな。というかレーザービームだけで十分問題だが。
「試合……か、いいわね、それ採用よ!」
 そういうとハルヒはグローブをはずして校内へと駆けていく。
「野球の備品は返しといて!」
 途中で振り返ってそれだけ言うと再び駆け出す。
「また草野球の大会でも出るつもりか……?」
「さあ? まああなたは涼宮さんを追いかけたほうがいいのでは? 片付けは僕のほうでやっておきますよ」
 くそっ。仕方なく俺はハルヒを追いかけて校内へと歩き出した。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:00:32.17 ID:xjQSRWzq0

 そのまま部室へと足を進める。ハルヒが居るといったらそこぐらいだろう。
というかそこ以外にハルヒが行くような場所を俺は知らない。
「おーい、ハル……ヒ……?」
 部室のドアを開けるが居ない。部室を一回り。しかし居ない。と、ハルヒのパソコンが気になり悪いと思いながらも覗く。
どうやら野球の大会を調べていたようだ。と、見ている途中でスクリーンセーバーが起動する。
どうやらちょっと前までここに居たようだ。どこで行き違いになったんだ。
 仕方ない。下手に動いてまた行き違いになるよりはここで待っていよう。
まだハルヒの荷物はあるから最悪下校時間まで待っていれば会うことは出来る。
 椅子に座ってため息をつくと、そこでドアが開く。ドアの方をみるとハルヒ……じゃなくて朝比奈さんに長門に古泉。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:02:37.74 ID:xjQSRWzq0

「あれ? 涼宮さんはどうしたんです?」
「俺がきたときにはもういなかったよ」
「そうですか」というと古泉は自分に割り当てられた席に座る。長門は既に自分の席で分厚い本を読み始めている。
朝比奈さんはどうしたのかと思うと手前にお茶が置かれる。ああ朝比奈さんはほんと天使のようだ。
 そう思って朝比奈さんのいれてくれたお茶を飲む。美味い。
「行ってきたわよ!」
 かすかな幸せがぶち壊しだ。部室のドアでハルヒが仁王立ちしていた。
「行ってきたって、どこにだよ」
「野球部よ。とりあえずみくるちゃん冷たいものちょうだい」
「はぁい」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:04:38.02 ID:xjQSRWzq0

 ハルヒはドアを閉めて団長席へ。朝比奈さんが用意してくれた麦茶を一飲み。
「野球の大会しらべたら近所じゃ無いみたいなのよ。だから野球部に練習試合を申し込んできたわ」
 ほんと勘弁してくれ。というか、いつからそういう流れになったんだ。
「なんで急に練習試合なんだ?」
「いきなり野球界に喧嘩売るのは無理があるでしょう? だから地元から攻めていくのよ」
「それはレーザービームと関係があるのか?」
「あー、そうね」
 忘れてたのか。まあ普通に野球の試合やるだけであれば問題ないか。どうせそのうちハルヒが飽きるに決まっている。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:06:40.03 ID:xjQSRWzq0

「とりあえず試合やるにはメンバーが必要ね。以前の草野球のメンバーは誰だったかしら」
 確かここに居る5人に鶴屋さん、谷口に国木田、それに妹か。って、妹?
「俺の妹がメンバーだが、さすがに高校の練習試合は無理じゃないか?」
 これであきらめてくれれば楽なのだが。
「確かにそうね。古泉くん誰かいないかしら!」
「うーん、残念ながら」
 よし、これで野球の試合はなしだ。
「有希のほうは誰かいない?」
「わかった。用意しておく」
 待て。なんでここで長門がでてくる。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:08:32.16 ID:xjQSRWzq0

「それじゃあなんとかなりそうね! 試合は土曜日だからそれまで練習しましょ! とりあえず今日は遅いからもう解散ね」
 上機嫌なハルヒは謎の鼻歌を歌いながら荷物をまとめて出て行ってしまった。
 土曜日となると今日は水曜だから3日後か。練習に使えるのは2日だが練習量なんて関係ないだろう。
 というか問題は……
「なんで長門が人用意するなんていったんだ?」
 長門に答えを問う。あそこで人がいないと答えれば試合が潰れたかもしれないのに。
「予測不可能なことをされるよりはずっとマシ」
 あー、確かにそうだな。いきなりどこかに旅行に行くなんていわれるよりは野球の試合のほうがよっぽど安全だ。
 と、ここで朝比奈さんが着替えたいと言い出したので自然解散という形になった。
 願わくは何もおこらずことが進みますように。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:10:33.60 ID:xjQSRWzq0

―木曜日−
 谷口と国木田は二つ返事で快諾してくれた。おまえたちは土曜だというのに予定が無いのか。
まあ俺が言えたタチじゃないが。
 そして放課後、ハルヒは「鶴屋さんに説明してくるから遅れるって言っておいて!」
とこちらの返事を聞く前に教室を出て行ってしまった。
 そして部室前。ドアを開ける前にまずはノック。
「どうぞ〜」
 どうやら朝比奈さんは着替え終わっているようだ。部室へ入る。
部室内にはメイド服の朝比奈さんといつものように本を読んでいる長門。俺はそのまま自分の席へつく。
 そうすると間もなく朝比奈さんがお茶を用意してくれる。
ぜひとも我が家でもお茶係りをやってもらいたいが、そんなこと言ったらハルヒに殺される。
「涼宮さんはいないんですか?」
「ハルヒは鶴屋さんに話つけてくるみたいですよ」
 と、そんなことを話してると廊下のほうから足音。その足音が部室の前で止まった。
古泉はこんな歩き方はしまい。となればハルヒか。
 すると勢いよくドアが開かれる。そこに居たのは思ったとおりハルヒだ。
 そしてハルヒに抱えられた……
「にょろ!」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:12:36.37 ID:xjQSRWzq0

 な ん だ あ れ は
 ハルヒに抱えられたよくわからないちびっこいの。二頭身でハルヒに抱えられて短い手足をばたばたさせている。
そしてにょろにょろとよくわからない言葉を発している。
「鶴屋さんを連れてきたわよ!」
「にょろ!」
 鶴屋さんって、居ないじゃないか。どこだ。
「鶴屋さんも頑張ってくれるって!」
「頑張るにょろ!」
 あの抱えてるのは人形か? しかし最近のはよくできているな。
「そういえばキョン、あんたのほうは?」
「ああ、谷口も国木田も大丈夫だった。ところでハルヒ、抱えてるソレは……」
「鶴屋さんじゃない」
待て。
「鶴屋さんって……」
「にょろ!」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:14:35.35 ID:xjQSRWzq0

 とりあえず二頭身。やたら短い手足。長い髪が緑色。髪の色ぐらいしか鶴屋さんと共通点がない。
部室にいる他の2名を見るも、両名とも無反応。俺にどうしろというのだ。
 ハルヒは鶴屋さん(?)を床に置き、ドアを閉めて団長席へ座る。座って間もなく朝比奈さんがお茶を用意する。
 とりあえず鶴屋さん(?)も空いている席に座る。両手で重そうに椅子を引いてジャンプで飛び乗る。
「みくるっ! スモークチーズをもらえるかいっ!」
 そういいながら小さい手足をばたばたさせる。
 朝比奈さんは鶴屋さん(?)に近づいてテーブルの上に何かを置く。小銭だ。
「自分で買ってきな」
「にょろーん」
 いや待て。
 今、朝比奈さんがありえない言葉を発したぞ。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:16:30.92 ID:xjQSRWzq0

 とりあえず鶴屋さんのような物を観察するとする。
 にょろーんとしていたり、たまに何かを想像してよだれをたらしてそれをぬぐったり。それの繰り返しだ。
 頭が痛い。ちょっと外の空気を吸ってくるとしよう。
 俺が席を立って部室を出て行こうとすると、
「キョンくん、どこかにいくのかいっ!」
 呼び止められてしまった。
「いや……外の空気を吸いに」
「私もいっていいかなっ」
「いや……いいですけど……」
 頭痛の原因と一緒に外に出て果たして頭痛は治るのだろうか。とりあえず屋上に向かうとする。
鶴屋さんはちょこちょこと後ろをついてきている。
屋上に行く途中に何名かの生徒とすれ違いになったが、鶴屋さんを気にする生徒は1人も居なかった。本当に何者なんだ。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:18:32.60 ID:xjQSRWzq0

 屋上へ続く階段を上り、屋上へのドアを開ける。ドアに手を当てたまま鶴屋さんを屋上へ通す。
鶴屋さんが通ったのを確認してドアを閉めた。
 屋上の柵に手をついて校庭を見回す。いくつもの部活動が練習をしている。ご苦労なことだ。
「キョンくんキョンくん!」
 と、いきなり鶴屋さんに呼ばれる。
「スモークチーズはあるかい?」
 スモークチーズ? どう答えればいいんだ。どう答えるか考えている間も鶴屋さんはこちらを見上げている。
「いや……ありませんけど」
「にょろーん……」
 どう答えればいいんだ。もしかしてボケろってことだったのか?
とりあえず鶴屋さんに関しては帰りに誰かに聞いてみるとしよう。俺にはこれがなんだかよくわからない。
「部室帰りますけどどうします?」
「それじゃ私もいこうかなっ」
 本当に何者なんだ。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:20:32.34 ID:xjQSRWzq0

 部室前に行くと皆がそろって部室から出てきた。
「ああ、キョン。今から練習に行くわよ」
 練習って野球か?
「ライオンはネズミを狩ることにも全力を尽くすのよ」
 なんだか色々間違っていないかそれ。そんな疑問をよそにハルヒはさっさと歩いていってしまった。
その後を俺以外の部員が続く。
 ハルヒに怒られてはたまらない。俺も仕方なく皆のあとに続いた。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:22:38.18 ID:xjQSRWzq0

 校庭に行くと体操着のハルヒ以外は皆制服。朝比奈さんはメイド服だが。相変わらずのやる気だ。
と思いきや鶴屋さんも着替えている。そしてその手にはグローブ。よくもまああんな手に合うグローブがあったものだ。
 軽く手足を動かしてキャッチボールを始める……がこれがまた酷い。
SOS団のメンバーはキャッチボールに支障はないが、鶴屋さんが問題だ。まずボールをキャッチできない。
それだけならいいがどこにどうなげても100%おでこにヒットする。
そのままぶっ倒れて大丈夫かと思うとおでこを真っ赤にしてにょろーんと復活する。それの繰り返しだ。
心配して鶴屋さんへボールは投げないようにしているが、他の部員が鶴屋さんにボールを投げる、というか明らかに狙っている。
そんな中鶴屋さんはめげずに必死にキャッチボールを続けている。健気だ。というか何者だ。
 そんなことをしばらく続けていると下校時間を告げる放送が流れる。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:24:41.24 ID:xjQSRWzq0

「それじゃ今日はここまでにしましょう」
 ハルヒはそう言うとさっさと校内へ戻っていく。仕方なく放置された野球道具を片付ける。
 ハルヒに鶴屋さんのことを聞くにしても連れてきたのはハルヒだからアテにはなるまい。どうしたものか。
 片付けて部室に戻ると部室の前で古泉が立っている。古泉を無視してドアを開けようとすると、
「今朝比奈さんが着替えていますよ」
 ああ、だからこいつはここにいるのか。ならば丁度いい。質問するとしよう
「なぁ、あの鶴屋さん……っていうかにょろーんっていうちっこいのなんなんだ?」
 そういうと古泉は腕を組み何か考えるそぶりをする。なんか腹が立ってくるな。
 そしてしばらくするとわかりませんねといわんばかりに両手を天に向けて首を左右に振る。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:26:31.58 ID:xjQSRWzq0

「もういいですよぉ〜」
 部屋の中から朝比奈さんの声が聞こえてくる。そうだ。朝比奈さんなら何かしっているかもしれない。
古泉をどけて部室内へと入り朝比奈さんに近づく。
「ど、どうしたんですかぁ〜?」
 入って急に朝比奈さんに近づいたからだろう。少々おびえさせてしまった。とりあえず謝罪をして鶴屋さんのことを尋ねる。
「朝比奈さんはあの鶴屋さんていうかあのちっこいのですけど。あれをどう見ます?」
「どう見ますって言うのは?」
「いや、俺にはあれが鶴屋さんとは思えないんですけど」
「ググれ」
「え?」
 急に声のトーンを変えて話してきたので驚いてしまった。驚いて沈黙していると、
「キョンくんどうかしましたぁ?」
 今度はいつものトーンで話してきた。何なんだ何なんだ。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:28:33.40 ID:xjQSRWzq0

 と、長門が部屋を出て行くのが視界の隅に映る。
「朝比奈さんすいません。先に失礼します」
 急いで自分の荷物をまとめて長門を追う。長門なら何か知っているかもしれない。
 昇降口でようやく追いつくことが出来た。
「長門!」
「ん」
 必要最低限の返事だけをしてこちらを振り向く。
「ちょっといいか」
「何」
 とりあえず回りに誰か居ないか確認。長門以外誰も居ない。
「あの鶴屋さんってお前の……情報なんとかの仲間なのか?」
 長門はしばらく沈黙した後口を開いた。
「さぁてね」
 それだけ言うと会話はおしまいと言わんばかりに進んでいってしまった。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:30:30.09 ID:xjQSRWzq0

―金曜日―
 鶴屋さんが気になって気になって授業に集中できない。まあ元から集中なんてしてはいないが。
しかし鶴屋さんが気になってハルヒが話しかけていることに気づかないのは致命傷だ。そのせいかハルヒが怒りっぱなしだ。
 まったくもって憂鬱だ。が、そんなのはただの余興だったと気づくのはもう少し後になってのことだった。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:32:29.03 ID:xjQSRWzq0

 な ん な ん だ こ こ は
 部室に入って最初に思ったのがこれだ。
 メイド服姿の朝比奈さん。これはいい。本を読んでいる長門。これもいい。
殴りたくなるぐらいハンサムな古泉。殴りたいけどこれもまあいい。
そして問題は部室内を走り回っているよくわからないちっこいの。その数二。
 1人は鶴屋さんだろう。本当に鶴屋さんなのかは不明だがとりあえず鶴屋さんだ。そして問題はもう1人。
鶴屋さんと同じく二頭身。鶴屋さんと同じくやたら短い手足。違いといったら髪が青いことぐらいか。
『キョンくん!』
 うわ、二人から同時に名前呼ばれた。二人のちっこいのはちょこちょことよってきて足にまとわりつく。なんだこいつら。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:34:31.36 ID:xjQSRWzq0

「ちょっと、そんなとこに立ってちゃ邪魔よ」
 ハルヒがやってきた。確かにこんなとこに立ってちゃ邪魔だな。ちっこいのを蹴らないように気をつけてハルヒに道を譲る。
 と、ハルヒがそれに気づいた。
「ちょっとキョン。この子誰よ」
 そういって鶴屋さんじゃないほうのちっこいのを指差す。その質問の答えは俺が聞きたいぐらいだ。
「その子は朝倉涼子」
 本を読んでいた長門が本に目を落としたまま答える。って朝倉!?
「朝倉さんって、海外に転校したんじゃなかったの?」
「そう。だけど都合でこっちに来てたから、手伝ってもらうことにした」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:36:34.86 ID:xjQSRWzq0

 ちょっと待て。確か朝倉さんって消滅したんじゃなかったのか。というかそれは朝倉さんなのか。
デフォルメしたとしても適当もいいとこじゃないか。
まあつっこんどいて悪いが俺も殺されかけたことぐらいしかはっきりした記憶はないが……
「そうなの。以前の同じクラスのよしみよ。一緒に野球部を倒しましょう!」
 そういって硬い握手を交わす。というか握手なのかあれは。デフォルメのせいか指が無いぞ!
「それじゃ練習ね。ところでキョン。あんたのほうで用意したメンバーは居ないの?」
「いや、帰ったが」
「練習は?」
「あいつらも練習するのか?」
「当然じゃない! 試合は明日なのよ!」
 一緒に練習するとか初耳なんだが。まあハルヒの理不尽は今に始まったことじゃない。
「それじゃ携帯で連絡するか? 連絡しても練習に来るかは疑問だが」
「時間が勿体無いからいいわよ。ただ明日はちゃんと来てくれるんでしょうね」
「それは間違いない」
「ならそれでいいわ。ほら、みんな外で練習よ!」
 そういうとハルヒは自分の荷物を置いてさっさと部室を後にする。俺も仕方なくハルヒを追った。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:38:37.69 ID:xjQSRWzq0

 野球の練習も相変わらずだった。相変わらず朝比奈さん以外の団員は制服だし鶴屋さんはおでこにボールが当たる。
が、朝倉は違った。朝倉も鶴屋さんと同じかと思っていたが短い手足のくせにやたら動きがいい。
長門のサポートがあるんだろうが、あの二頭身でやたら機敏な動きっていうのはあまりに不自然じゃないか?
ただのキャッチボールなのにダイビングキャッチして目標の相手に向かって的確にボールを投げる。
そしてその後何故か俺の方を向いてよくわからないアピールをする。俺にどうしろっていうんだ。
ダイビングキャッチでどんなに服が汚れてもぱんぱんと埃を落とすと新品同様に奇麗になる。
それは鶴屋さんも同様なのだが、他人からこの光景はどう見えるのだろうか。
「痛!」
 そして朝倉と鶴屋さんに気が取られて俺は自分に来たボールに気がつかない。
制服にはボールの跡が残っているがぱんぱんと叩いてもしっかりボールの跡が残っている。何故だ。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:40:29.05 ID:xjQSRWzq0

「ここらへんにしておきましょうか」
 下校時間にはまだ余裕がある。いったいどうしたんだ。
「明日は試合だから少し早めにあがって体を休めるとしましょう」
 オーバーじゃないか? それは毎日ハードな運動をしてる奴に対して言うことだろう。
 ハルヒは明日の集合時間を告げ、そのまま解散することとなった。
俺は野球道具を片付けて部室に戻る。するとそこには夕日に照らされ一人部室で待っている長門の姿があった。
俺が来るのを待っていたのだろう。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:42:29.31 ID:xjQSRWzq0

「あなたが質問したいことは解ってる」
 当然。朝倉のことだ。
「何で朝倉が居るんだ?」
「都合がいいから」
「都合?」
「そう」
「何の都合なんだ?」
「色々。あまり多くの人と涼宮ハルヒが付き合うのは都合のいいことじゃない。その点朝倉涼子なら問題ない」
 まぁわからないでもない。
ハルヒにとってまったくの他人となればその人間に対してハルヒがどう感情を抱くか予測不能だ。
好ましい感情ならともかく、好ましくない感情を抱かれるのは長門にとっても面白くないのだろう。
その点朝倉ならば以前会ったこともあるし。野球の試合が終われば即オサラバできる。
「それはわかったが、なんで二頭身なんだ?」
「……」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:44:31.02 ID:xjQSRWzq0

 長門が沈黙する。長門が朝倉を『創った』とするならば何故あのような形にしたのだろうか。
しばらく沈黙した後ぽつりとこう言った
「ユニーク」
「え?」
「独特、独自」
「何を言っているんだ?」
 俺はユニークの意味を問いたいんじゃない。
「鶴屋さんを見かけたとき私は衝撃を受けた。何故あんなものが存在しているのか。
同時に存在意義を考えたけどその答えは解らなかった」
「それでなんで同じようなのをつくったんだ?」
「解らない」
「え?」
「解らない。よく解らないけど私の中で何かが変わったんだと思う」
「それがユニークなのか?」
 長門はしばらく沈黙していたが、その後ゆっくりと首を縦に振った。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:46:36.87 ID:xjQSRWzq0

―試合当日―
 降水率70%とは聞いていたが、空を見るとありえないぐらいの晴天だった。
これもハルヒか長門のせいなんだろう。まったく嫌になってくる。
 国木田と谷口は指定した時間通りに来てくれた。
なけなしの俺の面子ではあるが、一応は保たれた。が、二人ともやる気はないらしく私服であった。本人たち曰く
「俺らのところにボールはとんでこないだろう」
 まあ話の都合上そうなんだがな。まったく出番も無いのに来てくれるとは律儀なやつらだ。
後で缶ジュースの一本もおごってやろう。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:48:37.88 ID:xjQSRWzq0

 打順や守備位置は例によってアミダの神に頼ることになった。
一番、ファースト、俺  二番、キャッチャー、長門  三番、セカンド、朝倉
四番、ピッチャー、ハルヒ  五番、センター、古泉  六番、ショート、国木田
七番、ライト、朝比奈さん  八番、レフト、谷口  九番、サード、鶴屋さん
 当然補欠なんていない。
以前は一番だったハルヒだが、四番という重要さに気がついたのだろう。
ハルヒは四番を選んだ。当然他のメンバーはアミダである。
なんだかんだで試合が始まる。先攻は俺たちだ。まったく俺たちと試合するってことは野球部もそんだけ暇なのかね。
そんなことを思いながら俺は位置についた。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:50:30.15 ID:xjQSRWzq0

「打つからにはホームランうちなさいよね!」
 無理な声援が自軍ベンチから飛んでくる。と、自軍ベンチを見て俺は我が目を疑った。
さっきまで制服だった朝比奈さんがどういうわけかチアガールになっている。
その左右ではおまけ程度にちっこい二人もチアガール姿でポンポンをもって応援している。
朝比奈さんの存在感はかなりのものだが、左右の二人も凄い。
よくわからない謎のダンスでどういうわけか目が離せない。
そんなわけで俺は見逃し三振。ベンチでハルヒに散々いやみを言われる。
 次の長門は1,2塁間を抜けるライト前ヒットで出塁。朝倉も長門と同じヒットで出塁。
二人ともホームランを打つのは余裕だろうが、あえてハルヒに見せ場を譲ったのだろう。
そしてハルヒは当然ホームラン。上機嫌でダイヤモンドを一周して皆とハイタッチ。
俺はやる気がないので片手だけタッチした。その後の古泉と国木田は共に三振。3−0で攻守交替を迎えた。
 俺たちの守備。ハルヒは最初と次のバッターを三振に沈める。
三人目はファールで粘られた後にフライを打ち上げる。これを俺が取り1回が終了した。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:52:32.03 ID:xjQSRWzq0

 2回表。朝比奈さんは構えすらままならない。
ピッチャーから迫ってくるボールの恐怖もあるが、一番の原因はチアガール姿で打席に立っていることが原因だろう。
あんなの誰だって恥ずかしいに決まってる。おどおどしている間に三振。谷口も三振。
そして鶴屋さんだが、これが問題だった。まずヘルメット。
朝倉にはぴったりだったはずなのに鶴屋さんがかぶると妙にぶかぶか。結局ぶかぶかのまま打席へ。
そして一番の問題はバット。これが重くて持つことすら困難とのこと。
頑張ってバットをもって打席に立っているとなんとか三振。
ただバットを持って立っていただけなのにベンチに戻ってくる頃にはへろへろになっていた。
 2回裏。野球部の打撃陣もハルヒの球に慣れてきたせいか、ぼちぼちヒットが目立つようになってきた。
しかし、打たれるとほぼ確実に出塁されるのは問題じゃないか?
朝比奈さんはフライがとんできても「あうあう」とかいって捕り逃すし、
鶴屋さんなんかは相変わらずおでこにあたる。
そんなこんなで2点とられ3−2。2アウトで1塁にランナーがいる状態となった。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:54:31.56 ID:xjQSRWzq0

「ちょっと、みんなまじめにやんなさいよ!」
 ハルヒがご立腹だ。俺は野球の試合を文句言わずやっているだけでも評価されてもいいと思うんだがね。
そもそもこのメンバーにまじめも何も無いだろう。
 一人全開で突っ走るハルヒ。やる気はなさげだが実力はハルヒを凌ぐんじゃないかという長門と朝倉。
へらへら笑っている古泉。言っちゃ悪いが穴だらけの朝比奈さんと鶴屋さん。
空気な谷口と国木田。そしてやる気の無い俺。いい加減だるいと思っているとそこで事件がおきた。
 ハルヒの投げた球が打たれる……がフライだ。問題は朝比奈さんに向かって飛んでいるということぐらいか。
フライを取れないと察したランナーが2塁を目指して駆け出す。
ランナーが2塁に到達する直前。
案の定朝比奈さんはフライをキャッチできずそのまま朝比奈さんの目の前にボールが落ちた。
その間もランナーは止まらず3塁を目指す。朝比奈さんはボールを持ってどこに投げるかとあたふたしていると、
「みくるちゃん! 3塁よ、レーザービームよ!」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:56:30.30 ID:xjQSRWzq0

 ハルヒが叫ぶ。ああそういえばレーザービームとかそんな話もあったな。鶴屋さんと朝倉のせいですっかり忘れてた。
 ハルヒに言われるまま朝比奈さんが3塁へ向かってボールを投げる。
その投球フォームはまんま女投げと呼ばれるものだ。これ3塁に届かないんじゃないのか? などと思っていると目の前で信じられないことが起こった。
 朝比奈さんが持っていたボールが手から離れた瞬間、ボールが白光を帯びて、
その軌跡を残しながら一直線に3塁、つまり鶴屋さんに向かって進んでいく。
ボールに意思があるんじゃないかと疑いたくなる。
やる気の無い女投げから生み出されたレーザービームは白い軌跡を残しながら朝倉の横を抜けて
鶴屋さんのグローブへ……と思っていたがやっぱり鶴屋さんだ。こんなの捕れるはずない。
まあ俺もこんなのきたら捕れる自信なんてないが。
捕球をミスってレーザービームはワンバウンド……しようとしたところで突如爆発が起こった。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 19:58:30.23 ID:xjQSRWzq0

 幸運にもランナーは既に3塁を過ぎていたから大丈夫。問題は直撃を受けた鶴屋さんか。
が、俺は見た。爆発が起こった瞬間「にょろーん」というやる気の無い悲鳴と共に空を舞う鶴屋さんの姿を。
 大惨事といえば大惨事だ。とりあえず試合は中断。
レーザービームで起こった砂埃が野球場を支配していたがしばらくすると砂埃は消え、
その惨状がはっきりと目の前に映し出される。
3塁ベースは消滅。文字通り消滅。
3塁ベースのあったとおぼしき場所には小さいクレーターができておりその破壊力の凄さを物語る。
サードを守っていた鶴屋さんは、重傷と言えば重傷。無事といえば無事だった。
少しはなれたところで全身をいい具合に焦がしてぴくぴくしている。
まあ今までの流れだと数時間後には完全復活しているんだろうよ。俺はもうつっこまない。
「なんだか思ったよりも面白くないわね」
 そういうとハルヒは野球道具を片付けてさっさと引き上げてしまった。おいおい、どうするんだこの状況。
あたりの様子を伺う。朝比奈さんはとりあえず泣いたり謝ったりの繰り返しで逆に野球部の連中が困っている。
古泉は野球部顧問となにやら話しをしているようだ。長門と朝倉は沈黙。谷口と国木田は空気。俺にどうしろって言うんだ?

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 20:00:30.26 ID:xjQSRWzq0

 どうすべきか辺りをうかがいながら考えていると、野球部顧問と話していた古泉が寄って来た。
「今日のところは引き上げです」
 引き上げってこの状況はどうするんだ? レーザービームとかだしちまったんだぞ。
「それも含めて、とりあえず本日は引き上げです。このまま続けるにもグラウンドがこの状況ですし、涼宮さんももう居ません」
 いや、俺が言っているのはそういうことじゃなくてだな。
 と、服がくいくいと誰かにひっぱられる。誰だと思い後ろを向くと長門だ。長門はどうするんだ。この状況を。
「大丈夫」
「だから大丈夫です。あなたは心配しなくても僕たちのほうで上手くやっておきますよ」
 俺はお払い箱ってことか? まあこんな非常識な事態の収め方は確かにお前たちのほうがなれているだろうが。
 色々と納得できない部分は残るものの俺も引き上げることにした。
確かに場を収めるだけならあの二人に任せておけば問題ないのだろう。
が、レーザービームをだしたという事実に関してはどうなるんだ? それこそ記憶操作でもやらかすつもりか?
 とりあえずそのへんは明日でも聞くとしよう。日曜だしハルヒ抜きで話をする状況を作るのも難しくはあるまい。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 20:02:28.67 ID:xjQSRWzq0

―次の日―
「キョンくんキョンくん!」
 この声は妹か。折角の休みなんだからもっと寝かせてくれ。
「遅刻しちゃうよ!」
 遅刻? 誰かと約束していたっけか。
「キョンくんキョンくん!」
 余りにも五月蝿い。仕方なく起きる。妹が出て行ったら二度寝だ。一応携帯で時間を確認。
おいおい、平日に起きる時間じゃないか。休みの日になんでこんな時間に起きる必要が。
と、ここで携帯の隅に表示されている日時がおかしいことに気づく。なんで木曜なんだ? 三日もずれてるのか?
「おい妹」
「なーにー?」
「今日は何日の何曜日だ?」
「今日はねー。○日の木曜日だよー」
 なんてこった。もしかして今まで見ていたのは夢か何かの間違いだったのか。
妹を部屋から追い出し急いで登校の準備を始める。
 本当に木曜日なのかと疑っていたが、どうやらそのようだ。
他の学生の姿はあるし、少なくとも日曜ではない。教室でハルヒに聞いてみるも。
「木曜でしょ。あんた何言ってるの」
 と怒られてしまった。本当に木曜らしい。それじゃなんだ。レーザービームの一件は全部夢だったのか?

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 20:04:36.73 ID:xjQSRWzq0

 放課後になるとハルヒは「先に部室行ってて」と言って返事を聞く前に教室を出て行ってしまった。
これはあれか。鶴屋さんを連れてくるのか。あのちっこい鶴屋さんを。
 頭を抱えながら俺は部室へ向かった。またあんなことを繰り返すのか?
というか今現在も夢の中だったらどうすりゃいいんだ。また同じく木曜からやり直すのか?
 憂鬱な気分の中部室のドアを開けると何かが足に当たった。
部室の入り口に物を置く馬鹿は誰だ。そう思って足元を見ると二頭身が目を回している。二人ほど。
 これはあれだ。鶴屋さんと朝倉だ。なんでこいつらがここにいるんだ。そう思い部室を眺める。が、特に変わった所は無い。
「ちょっとキョン。そんなとこに立ってたら邪魔よ!」
 後から来たハルヒに怒られてしまった。とりあえず目の回している二人を抱えて脇にどかす。
 ハルヒは団長席に座るとしゃべりだした。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 20:06:31.66 ID:xjQSRWzq0

「昨日テレビで野球みたんだけど」
 俺も自分に割り当てられた椅子に座る。
「レーザービームってけっこう地味ね。なんかこうもっとパッとしたのを想像してたんだけど、がっかりよ」
 何を言ってるんだこいつは。
「それに以前草野球の大会で一通り野球は経験してるのよね。忘れてたけど野球ってすごい簡単なのよね。
あんなので一番とっても面白くないわ」
 野球ファンにとっては屈辱もいいとこだな。
「そんなわけで土曜日の試合はキャンセルしてきたわ。そこで代わりだけど、この雑誌にこんな記事が……」
 そういってハルヒが持ってきた雑誌、当然オカルト雑誌だ。これについて意味の無い談義を繰り返すことになった。
 土曜日にこの雑誌の心霊スポットに行きたかったらしいが、談義の途中でそれもお潰れ。
結局土曜は何もしないことになった。
 そんなこんなで下校時刻。ハルヒはさっさと下校してしまった。
朝比奈さんと古泉も下校残ったのは俺と長門とちっこいの二人。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 20:08:33.96 ID:xjQSRWzq0

「長門」
「ん」
「昨日のこと覚えてるか?」
「昨日というのは、どちらの昨日?」
 どうやら長門はわかっているようだ。
「何で木曜に戻ったんだ」
「涼宮ハルヒの意思」
「ハルヒの意思?」
「そう」
 相変わらず必要最低限の会話だ。まあ古泉のように長々と話されるよりは幾分マシだが。

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 20:10:32.14 ID:xjQSRWzq0

「涼宮ハルヒが期待していたほどレーザービームは面白くなかった。
よってそのレーザービームを見る為の過程であった木曜日、金曜日、そして土曜日がリセットされたのだと思う」
「ハルヒが満足してなかったからリセットボタンおしてセーブポイントに戻ったようなものか」
 長門は首を縦に振る。
「俺たち以外、たとえば朝比奈さんとか古泉の木曜とか金曜の記憶はどうなってるんだ?」
「不明。ただ、会話から推測するに同じくリセットされていると思われる」
 そうなるとレーザービームの件は俺と長門しか覚えていないことになるのか。
「またどこかでリセットされるってのは起こりえるのか?」
「それも不明。以前の夏休みや今回のように起こりえる確率はあるけれど、予測は不可能」
 まああいつの考えてることなんてわからないしな。
「まぁ、それはいんだが、こいつらはどうなるんだ?」
 そういって俺が指をさしたのはちっこいの二人。鶴屋さんと朝倉だ。
「鶴屋さんはこんなんだし朝倉もこんなんだし。普通の鶴屋さんはどこいったんだ?」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 20:12:34.32 ID:xjQSRWzq0

「わからない」
「わからないってどういうことだよ」
「……」
 まただんまりか。まあこいつも全知全能というわけではないし仕方ないかもしれないな。
「まあ鶴屋さんはおいといて、これはなんだ、これは」
 そういって俺はちっこい朝倉を抱える。
「?」
 長門は首をかしげる。いや……そうじゃなくて。
「なんで朝倉が居るんだ?」
「……」
 しばらく沈黙を続けた後こう言った。
「癒し」
「はぁ?」
 そういう長門の朝倉を見る目が妙に優しかった気がする……が多分気のせいだろう。そう思うことにした。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 20:14:28.13 ID:xjQSRWzq0

―後日―
「何してるんだお前ら」
 自販機の前で谷口と国木田が何か言い争っている。
「二人でジュース買おうぜと思ってたらこいつが100円玉を自販機の下におとしやがったんだ」
「だから悪いって謝ってるだろう」
 相変わらず低レベルな争いをしているな。
「ジュース買う金もないのか、お前たちは」
「キョン、それは違う。100円の大切さを俺はこいつに説いていただけだ」
 もっと大切なことが他にあるんじゃないのか?
「見苦しい争いをしているぐらいなら俺が奢ってやる。何がいい」
『え?』
「だから奢ってやるよ。何にする」
「じゃあ……コーラで」
「俺はお茶」
「ん」
 500円玉を投入してコーラとお茶を買い、それを二人に手渡した。
「どういう風の吹き回しだよ」
「ん?」
「おまえが奢るとか珍しいって話さ」
「ああ、借りた借りは返さないといけないだろ?」
「俺たち何か貸したっけ?」
「さあ?」
「とりあえず返したぞ。移動教室だからおまえらも遅れるなよ」
 それだけ言い残すと俺はその場を後にした。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 20:16:29.53 ID:xjQSRWzq0

「なんだあいつ?」
「さあ?」
「ところで谷口」
「ん?」
「たとえば、作中で出番が無いかわりにオチで出番がもらえるのと」
「は?」
「作中で活躍しまくりでオチにまったく触れない役回りと、どっちがいい?」
「なんのことさ」
「とりあえず答えてくれ」
「んー、とりあえず言えることは」
「言える事は?」
「俺たちはどっちも関係ないってことじゃねえ?」
「そうか」
「作中でもおまけ程度に出てるぐらいで、オチにはまったく触れられない。そんなとこだろう」
「なんか悲しいな、ソレ」
「まあそんなもんだろ」
 そういって谷口が飲み終わったジュースの缶をゴミ箱に投げる。
が、無常にも淵に当たりあさっての方向に飛んでいってしまった。




74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/17(日) 20:25:38.94 ID:xjQSRWzq0

こんばんは>>1です。
こういったSS書くのははじめてどころかスレ立て、Vip書き込みすら初めてのチキン野郎です
なんとか書き終わりましたが、改めてみると見難いかもしれませんね。申し訳ない。

今回空気よめずぽんぽん投下しましたが、
もしも今度投下するようなことがあったらもうちょっとVipに滞在して投下のタイミングやら見極めたいと思います

とりあえずスレ開いてくれた皆様に感謝
読んでくれた皆様にはもっと感謝

それでは。



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