佐々木「やぁ、キョン」


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トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:国木田「うっ…、ちょっ、キョンっやめて…、っ、やめて…よ…。」

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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/13(日) 15:52:27.84 ID:+r1k2O5MO

急に呼び掛けられた俺が振り返ると見知らぬ美女が立っていた。
恐らく彼女は俺以外の「キョン」を呼び止めたのだろう。
ほら、よくあるだろう?
同じ学年に鈴木が何人もいたりして
学年集会とかで名前呼ばれる度にみんなが反応してしまうみたいな
挙げ句、六号なんて渾名がついたりな。
まぁ、つまり今の俺はそれなわけだ。
別の「キョン」に自分が呼ばれたと勘違いして振り向いたわけだ。
恥ずかしいことこの上ないわけで、
俺は無理矢理さらに体を反転させ何事もなかったかのように歩き出したわけだが、
あろうことか謎の美女は俺の服の裾を掴んだのだ。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/13(日) 16:08:56.17 ID:+r1k2O5MO

「振り向いたのに無視して行ってしまうなんて酷くはないかい?
それとも僕とは会いたくなかったかい?」

謎の美女の言葉に俺はもう一度よく彼女を見てみた。
肩の辺りまで伸びたあかみがかった髪はどんな極上の絹よりも艶やかで、
まるで美という字が実体化したかのような美しく大人びた顔、
胸は……まぁ、某宇宙人とどっこいどっこいといったところだが、
腰のライン、無駄のない脚線美、どのパーツをとっても美人としか言い様がなかった。
生まれてこの方――
――危機的状況下から唯一脱出する手段として用いたアレを除くのであればだが――
――キスもしたことのない童貞の俺がこんな美女を忘れるわけもなく、
仮に知人だとすれば夜のお供になるわけであり更に忘れる可能性は低いと言えるだろう。
故に俺の前に立つ美女は赤の他人だという結論をだした所で、
その胸を……旨を伝えようとした俺よりも早く口を開いた彼女は言った。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/13(日) 16:18:39.37 ID:+r1k2O5MO

「まさか覚えていないのかい?親友の顔を」

覚えていないのではなく、知らないのだ。
会ったことも見たこともない美女な顔をどうして俺が覚えられようか。

「すみませんが貴女は人違いをしていませんか?
俺は貴女のような美人を知り合いに持った覚えはないのですが」

一瞬の間を置いて美女はくつくつと笑いだした。

「美人だって?
まさかキミが僕を形容するに当たってそんな単語を用いる日がくるとは夢にも思わなかったよ」

くつくつと笑い続ける……くつくつと………

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/13(日) 16:27:49.89 ID:+r1k2O5MO

いや、待て。冷静になれ俺。
COOLだ、COOLになれキョン!
それは有り得ないし、あるわけがない。
国木田の胸がある日突然膨らむくらい有り得ん……ん?いいな、それ。
国木田に胸か
そうだな、出来ることなら小さい胸がいいな。
有るか無いかわからないくらい小さな、
例えるなら長門や目の前の美女より小さいくらいの……って、俺は何を考えているんだ
いきら有り得ないからと言って有り得ないだろう俺。
と、俺の頭に浮かんだ僅かな可能性を振り払うためにイケナイ妄想をしてみたが、
結局、美女の正体は美女の口から明かされた。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/13(日) 16:43:31.22 ID:+r1k2O5MO

「僕だ?佐々木だ。
中学時代は同じ塾にも通っていたじゃあないか」

アホみたいに大きく口を開いた俺を心配そうに見ながら謎の美女こと佐々木は続けた。

「まさか本当に忘れたのかい?
だとしたら僕は悲しいと言わざる得ないね
ほんの二年近く会わなかっただけで忘れるくらいの存在だったのかい?キミの中の僕は」

強烈なインパクト、第一印象で皆幸せになっちゃうようなハルヒのような衝撃はないものの、
特徴的な笑いに始まり、言葉を交わす度にじわじわりと染み入ってくる衝撃を持った女を
たかだか二年で忘れるわけはなかった。
が、俺がその女のことを思い出せなかったのは単に美女になっていたからと言えよう。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/13(日) 17:00:07.82 ID:+r1k2O5MO

すまんない、今書いてるんだ。


美女になっていたからという意味はそのままの意味に受け取ってもらいたい。
俺の知る佐々木、つまり中学時代の佐々木は地味で変という一見、相反する要素を併せ持つ不思議な奴だったからである。
今目の前に立っているコイツのように女と意識させるようなヤツではなく、
良い意味で谷口のような存在だったと言えよう。

「そんなに変わったかい?僕は」

どうやら自分の変貌ぶりにコイツは気付いていないらしい。
今すぐ鏡と卒業アルバムを渡してやりたいが生憎どちらも持ち合わせていなかった。

「確かに最近出会った知人に髪のことや服装のことで色々御教授いただいたし、
今来ている服もその知人の見立てによるものだが、
あのキミに美人と言わせるほどのモノとは思えないが」

どうやらコイツは良い友人に巡り会えたようだ。
しかし髪や服装でここまで化けるとは変な女という固定観念に囚われ、
彼女の容姿を見誤っていたのかもしれない。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/13(日) 19:50:04.09 ID:+r1k2O5MO

「ところでキミは何をしているんだい?
ラフな格好から察するに友人と遊びにでも行くのかい?」

遊びか?と問われれば否定できない部活動のような団活動であり、
非公式アングラ団体一同による不思議探索と名うったお散歩である。

「休日に友人と散歩か。
健全な高校生らしい遊びかと言えば疑問符の付く行為だが実に羨ましい限りだ。」

そう言う佐々木の手には中学時代と変わらない勉強道具を入れた鞄がぶら下がっていた。
中学の時は高校に上がったら遊ぶぞーと息巻いていたが、どうやらそうも言ってられないらしい。

「ご察しの通り僕はこれから塾さ。
学校の勉強に着いていくために塾で勉強する。
勉強のために勉強をするという灰色の日々を送っているのさ」

そう疲れたように笑った佐々木は大学でも遊ぶぞーと付け加えた。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/13(日) 19:59:13.59 ID:+r1k2O5MO

話し込んでいるうちに集合時間が近づいていることに気付いた俺はそのことを告げると、
佐々木は一瞬思案した後言葉を発したのだが、
やはりというべきか容姿が変わっても中身は変わらず
変な女という称号に値する人物であると俺に再認識させた。

「キミが親しくしている友人なんだろう?
なら僕も挨拶くらいさせて貰おうかな
いいだろう?キョン」

お前は俺のお袋か何かなのか?えぇ?とツッコミたくなる衝動をどうにか抑え込み、
どうにかコイツをハルヒに会わせない手段を考えたが、
俺が何を言おうとコイツは理屈っぽく屁理屈を並び立てるだろうと思い観念した。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/13(日) 20:12:07.35 ID:+r1k2O5MO

集合場所には既に俺以外の全員が揃っていて、
待ち合わせ十分前にも関わらず我等が愛すべき団長様は
鬼の形相で、いや鬼も裸足で逃げ出すような形相で仁王立ちしていた。
その団長様は俺を見付けると罵倒の言葉を一通り浴びせた後、
俺の後ろの存在にようやく気付き一言

「誰よあんた?あんたもなじられたいの?」

そんな物好きがいるハズがない。
俺が説明するより早く佐々木は一歩前にでると

「はじめまして。えぇと……涼宮さん」

そう言い、笑顔で手を差し出した。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/07/13(日) 20:32:22.88 ID:+r1k2O5MO

対するハルヒはというと差し出された手を無言で見つめるだけでその手を取ろうとはしなかった。
見知らぬ人を警戒していると言うよりは、敵対心をあらわにしていると言った感じだった。
そんな空気に耐え兼ねたのか古泉が俺との関係を訊くと佐々木は端的に

「親友」

と答えた。
その返答にその場にいた全員が唖然としていた。
興味なさげに宙を仰いでいた長門でさえ二度ほど佐々木の顔を確認していた。
それから軽い自己紹介を他の団員と交わすと静かな嵐は去っていったのだった


おわり。
俺は寝る



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