――ハルヒ22歳の夏――


メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:灰原「なによ」

ツイート

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 02:14:11.62 ID:QZDN8tSA0

高校を卒業してもう4年――。
大学4年生になった私は、周りと同じように就職活動をしている。
いや、していた。と言うべきか。
結局どこからも内定はもらえず、今は毎日エントリーシートを書き、秋採用に備えている。
キョンや古泉くん、そして有希も既に内定を貰っているらしい。

「私のどこがいけないのよ…」
前期、後期の東大に落ち、滑り止めの早稲田、慶応も落ち、今は中央大学に通っている。
今思えば自分は高校の時一番輝いていた。
あの頃は何でもできる気がした。
大学に入ってからは周りと壁を作り、結局サークルにもは入らなかった。
私の友達は高校の頃と大して変わっていない。
何を間違えたんだろう?

「はぁ…」
図書館でため息をついていると、タイミングよくキョンが現れた。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 02:26:07.13 ID:QZDN8tSA0

「おう!ハルヒ!!」
キョンは両手にコーヒーの紙コップを二つ持っている。
「キョン、また来たの?」
「まぁ暇だしな。邪魔なら帰えるが…」
「いいわよ、いなさいよ」
ほい、とキョンは手に持っていた紙コップを私に渡す。
結局何だかんだ言って、キョンとも付き合わなかった。
こんな風に頻繁に会い、私の買い物にもつき合わせたりしているが、高校の頃のまま
今に至っている。
そりゃ、タイミングが会えばキスもしたけど…。

「あんたのせいで、大学生活誰とも付き合えなかったじゃない…。
 とっと告白しなさいよ…」
ボソッ、とつぶやく。
キョンはコーヒーを飲みながら聞こえないふりをした。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 02:26:54.02 ID:QZDN8tSA0

高校の頃からは考えられないが、キョンは東大生になった。
勉強は苦手だったが、文科2類の後期で偶々山が当たり(その年は簡単な計算問題だった)
見事現役で東大生になったのだ。
もちろん、慶応、早稲田とも全て落ちているが…。

「ところでハルヒ就活はどんな具合だ?」
既に内定を貰っているキョンが、私のエントリシートを見ながら言う。
「ちょっと!みないでよね!」
「はいはい…」
「もう…」
面接の練習にも付き合ってもらった。古泉君にも有希にも…。
だけど特に悪いところは見つからない。

春採用のとき会った人事の顔が浮かぶ。
―――「まぁ正直君とは働きたくないよね。悪いけど」
あの台詞で2日は無駄になった。それでもまだ内定は貰っていない。
「明治のどこが悪いって言うのよ…」

キョンはまた聞こえないふりをした。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 02:32:38.70 ID:QZDN8tSA0

(※↑上、明治じゃなくて中央でした)

「大体キョン、何であんたが中央大の図書館にいるのよ…」
「ここの図書館、結構簡単に入れるしな」
「自分の学校に戻りなさいよ…ばかぁ…」

内定を貰っているキョンが羨ましい。
本当は私よりも勉強ができないはずなのに、どうして東大生になんか…。
キョンは私の持っていない何もかもを持っている。
キョンだけじゃない、有希も古泉君も…。
高校の頃は、みんな私よりできなかったのに…!

そこまで考えて、私、嫌な女だな、と少し自分にうんざりした。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 02:38:06.06 ID:QZDN8tSA0

「ハルヒ、誤解するなよ?俺はお前のことが好きだ」
「何よ、それ告白?」
「違う!そうじゃなくて…友達としてってことだよ…」
「はいはい…」
「その前提で聞いてもらえるか?」

キョンがこう言う前置きの時は大抵嫌なことを言われる。
聞きたい気持ちと、ほっといて欲しい気持ちがまぜこぜになって、
私は、曇り空の窓のほうを向いた。

「社会人になるって事は、社会の部品になることだって俺は思ってる。
 いい意味でも、悪い意味でもな…」
「何よ、就活が終わった途端、偉くなったモンじゃない?」
自分の心の中で、東大に入った途端、という言葉も付け足された。
わかってる…。
キョンは変わってないし、悪くない。
悪いのは…いつまで経っても大人になれない私のほうだ。
社会から必要とされない私のほうなのだ。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 02:46:00.84 ID:QZDN8tSA0

「説教をするつもりは無いし、嫌なら黙るさ。
 だけど、俺はお前に内定を貰って欲しいんだ!!」

真剣なキョンの目に、私はぐっと口をつぐんだ。

「ハルヒ、お前は頭もいいし、能力もあることは俺がよく知ってる」
「…」
「だけどな、会社では立ち位置ってのがあって、入ったばかりの俺たちは教えを請わねばならないんだ」
「…」
「特に…言いたかないが、まだまだ女性への差別は根強い。頭の硬いおっさんもいる。
 お前が普通の女というカテゴリーに含まれない事はよくわかってるが…」
「…素直に、なれってことでしょ?」
「あぁ、素直になるふりだけでいいんだ?ほんの10時間くらいのことだろ?」
「…」

そんなこと、とっくにやってみた。
知識が無いふりをしながら、にこにこ笑って話を聞いた。
だけど、ダメだったのだ。
バカ扱いされた上、内定までもらえないんじゃ、もうどうしていいかわからない!

「…わかったわよ!今度素直なふりして面接受けるから…」
「おう!それなら大丈夫だ!何たってお前は我が団の栄えある団長だからな!」
「…ふふ」
キョンが嬉しそうな顔をする。
柄にも無いお世辞なんか言っちゃって…
でもね、ゴメンネ、キョン。私どうやらダメみたい。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 02:54:25.63 ID:QZDN8tSA0

キョンがコーヒーを残して帰って行った。
今から金融の勉強をするらしい。
学生の頃とは変わって(とは言っても今も学生だが)すっかり社会人の目をしている。
時間にもキチンとするようになったし、自分から毎日勉強もしている。

それに比べて私は…。
こんな曇り空の図書館で何をやってるんだろう?
私、どこから間違えたんだろう…。
一浪してでも、東大に入るべきだった。あの時の自分に聞かせてやりたい。
学年が一個落ちることなんて、この苦しみに比べたら屁でもなかった。
それもこれも、全部周りが、キョンが…

あ…
また人のせいにしようとして…

だから私、誰からも必要とされないんだ…
社会から必要とされないんだ…
書きかけのエントリーシートにポタポタ涙が落ちる。

「あ、ヤバッ…」

ダメだ、これまた書き直さないと…。
でも、書いても書いても…結局…。

はずみでキョンの残したコーヒーをこぼし、エントリーシートにぶちまけた。
それを見て、私は…声を殺して泣いた。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 03:06:31.03 ID:QZDN8tSA0

家に帰ってからはTOEFLの勉強をしている。
前回は890点だった。
もちろんTOEFLの点数が就活とはあまり関係ない事は私自身が証明している。
それでもエントリーシートに書く項目が一つでも増えればよい。
そんな気分だった。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 03:12:31.35 ID:QZDN8tSA0

3年生の頃、キョンと二人でスキー旅行に行ったが(もちろん何も無かった)
その夜、まだまだ自分は就活の大変さが理解できてなかった。

「まず商社ね!三菱、三井、住友、丸紅!
 それから、金融! みずほなんかには行かないわ!ひらがなだもの!しょぼいわ!(すみません…)
 狙うは三菱UFJと日銀よ!」
「おう!ハルヒだったら行けるさ!俺も頑張らないとな!」
「ふん、大学では負けたかもしれないけど、就活になったら負けないわよ!
 見てなさい!」

半年、いや9ヶ月前の自分はそう言って啖呵を切った。
ところがどうだろう…今じゃ目も当てられない。
「何で!?おかしいじゃない!あの時あんなに人事が内定あげたいっていったのに!」
学歴の壁は厚かった。
高校の時、ほんの小さな亀裂だった学歴は…4年を得てエベレストのクレバスよりも深いものになっていたのだ。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 03:13:20.06 ID:QZDN8tSA0

もちろん例外はいる。
彼は、同じ大学にも関わらず、三菱商事に内定したらしい。
だが、政治家の父親の選挙活動を手伝い見事当選させるなど…とても真似できない。


さらに、差別は続いた。
「キョン?○○エントリーした?
 何か募集期間なのに、予約いっぱいでエントリーできないみたいなのよ?」
「ん?おかしいな、俺はエントリーできたぞ?」

2chの就活板を見ると、早慶より下の学歴だと、エントリーできないそうだ。
…でも、おおっぴらに出来ないから、予約がいっぱいになった ふり をしているらしい。
真偽は兎も角、エントリーも出来ないんじゃ話にならない。
○○は諦めることとなった。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 03:22:26.88 ID:QZDN8tSA0

5月を過ぎると金融、商社ともに採用は一段落したが、内定は無かった。
私は、こういう場合を考えて、高校の頃聞いたこともなかったような会社に多数エントリーしていたが、
正直、文字通り「一つ」も受からない事態なんて全く考えてなかった。
私は激しく落ち込んだ。

そんな私を見て、キョンは励ましてくれたり、ドライブに連れて行ってくれたりしたが…
そもそも根本原因が解決していないのだ。心は晴れなかった。

6月を過ぎても、内定は無かった。
もはや駒も残ってない。
いわゆる中小企業も沢山受けたが、今度は「君偉そうなんだよね?正直一緒に働きたくないよ」と、
おっさんのコンプレックスのせいで、私はどの会社にもうからなかった。
学生時代バカにしていた、名古屋巻きの友達が「私、偶然商社受かっちゃった」と言った時には、
憤りを通り越して、死にたくなった。
彼女はTOEFL360点で、、そのくらいの実力だ。
内定の一番の理由は、いわゆる『人間力』だそうだ。
人間力って何だ?媚を売ることなのか?だったら私だって売ってやる!
実行したが、結局内定はもらえなかった。

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 03:31:08.70 ID:QZDN8tSA0

7月に入った。
内定は無かった。
私は自分を根本的に見つめなおす必要にかられた。

―――そもそも、私は有名企業を受けられるだけの人間じゃなかったのではないか?

―――実力を考えれば、中央だって私には過ぎたものだったんじゃないだろうか?

自分を支えていた根拠の無い自信がガラガラと音を立て崩れ落ちる。
キョンにもよそよそしくなってしまった。
彼は、内定を貰っているし、東大生様だ。考えてみれば私よりもずっと実力がある気もする。

そんな私を見てキョンは
「ハルヒ、大丈夫だ!就活で人間性がどうなんて誰にもわからないじゃないか?
 大丈夫だ!お前の実力は、人事なんかよりずっと前からお前を見てる俺が保障する!」
と言ってくれたが、それを聞いても、
「あぁ、やっぱり東大生のキョンは違うな、人間ができてるな…」
としか思えなくなっていた。

こうやって、私は自分の学歴を、ランクとして心の奥に刷り込まれ、社会の部品になっていくのだろう。
そこまでわかっていても、自分が崩れてしまうのを止めることはできなかった。

この頃になると、内定のためなら何でもやる気分になっていた。
あの時…もし、人事に体を求められれば…私は…。
おかしくなっていたのだ。
何もかも。
キョンに会うのも億劫で、私は毎日図書館にこもった。
キョンはわざわざ学校から、電車に乗って図書館まで来てくれている。

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 03:42:09.20 ID:QZDN8tSA0

TOEFLの勉強が一段落した。
…明日は10時から面接か…。

エントリーシートには、谷川印刷鰍ニ書いてある。
リクナビで受けられそうなところを片っ端から受けた結果だ。

「えーっと…志望理由…私は常々日々雑誌などを通じて、印刷業界に興味があり、
 印刷の持つ社会的意義に注目していました。学生時代は、仲間と共に経済のゼミで
 出版、印刷業界の歴史と今後の発展について学び…」


全部嘘だ。
全部嘘のエントリーシート…嫌になる。
だけど、受からないからこう書くしかない。

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 03:42:45.41 ID:QZDN8tSA0

先輩に相談したら、
「まず自分のコアをみつけてさ、それを人事にアピールすることを考えなよ」
と言われたが…。
考えてみたら、私のコアなんて「楽しい仲間と面白いことをして生きていきたい」
…なんてありふれたものでしかなかった。

明日は10時…もう寝なきゃ…、そう思いながらも、右手は携帯の方に伸びる…
キョン…寝てるよね、もう2時だもんね…

―――起きてる?

そう一言だけメールを打った。
起きてるわけない。彼だって毎日勉強で忙しいのだ。
自分に呆れて、私は布団にもぐった。
早く寝ないと…。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 03:49:48.21 ID:QZDN8tSA0

ドンドンドン!
アパートの扉を激しく叩く音で私は目を覚ました。
誰よ…こんな夜中に…。

「おい!ハルヒ!生きてるか!?!」

キョンの声だ…慌てて扉を開ける。

「はぁはぁ…バイク飛ばしてきた…死ぬのかと思った…ぞ」
「ご、ゴメン…」
私は何故か謝ってしまった。

「いいから、それよりお茶でも入れてくれないか?
 喉がカラカラなんだ…」
時計を見ると2時半…メールを送ってから30分しか経ってない。
「…わ、わかったわよ…
 でも、面接だからすぐ帰ってよね…」

本当はキョンとずっと話していたかった。
印刷会社なんて、面接なんて、行きたくも無い。
だけど、キョンはきっと高校のころの私が好きだろうから…
へタレたところなんて見せられない。

昔聞いた唄を思い出す。
♪僕が僕であるために…勝ち続けなければいけない…

私、負け続けだけど…キョンだけには、失望されたくない。

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 04:02:42.73 ID:QZDN8tSA0

キョンが居間でお茶を飲んでいる。
私は、せめて髪を梳かしたいな、と思って洗面所から出てきたところだ。
キョンの手には、谷川印刷鰍フエントリシート。
明日受けるところだ…。

「何よ?何か文句あるの?」
「この会社明日受けるのか?」
「そうよ!まぁ、あんたから見れば、たいしたこと無いでしょうけど」

もう傷つけられたくなくて心にも無いことを言う。
言ってからしまった、と思った。

「お前印刷に興味なんてあるのか?」
「し、失礼ね…印刷だってたいしたものよ!
 あのね、日本は世界一印刷部数の多い国であり、印刷業界はわが国の文化発展に大きな役割を示しているの!」

言いながら、これ、エントリーシート書いたのそのまんまだな…と思った。
キョンだけには嘘つきたくなかったのに…。
もう傷つけられたくないから。

「…」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 04:03:00.59 ID:QZDN8tSA0

「そもそもね、日本の印刷業界っていうのは、歴史的にも世界で類を見ない…」
「…もういいって」
「あ〜、キョンわかってないわねぇ〜、印刷業界は金融にだって負けてないのよ、例えば…」
「…もういいって、お前そんなんじゃなかっただろう…」

一番言われたくない台詞を言われてしまった。

「な、何よ…私は、変わってないわ…」
「変わったよ…」
「変わってないわよ!キョンの方がおかしくなったんじゃないの!
 ちょっと良い所受かったからってさ!
 あんたの感じ方の問題よ!!」
「…」
「もういいわよ!ほっといてよ…」
「…ああそうかい、勝手にしな!」
バタン、と扉を閉めてキョンは出て行った。

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 04:08:32.42 ID:QZDN8tSA0

やってしまった…。
私は後悔で胸が一杯になった。
もういい、寝てしまおう。
キョンには、明日メールで謝ろう。

それにしても、あんなにヒス女の事を馬鹿にしていた私が、まさかこんな風になるとは。
もう、自分が信じられなかった。


…キョン、ゴメンね。
心配してバイクで駆けつけてくれたのに、何てことをしてしまったのだろう。

眠れなかった。
時計は4時を示している。後、6時間で面接だ。
…寝とかないと、ヤバイ。
あるかないかわからない実力すら発揮できない。

ダメだ!
布団をぴっぺがして、玄関にでる。
外の空気を吸おう。

「あ…」
そこにはバイクにまたがったキョンがいた。
「よう、コーヒー飲むか…?」
私は、コクリとうなずいた。

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 04:14:54.00 ID:QZDN8tSA0

「キョン…ゴメンね…」
バイクの後部席に腰掛けて、私は謝った。
手にはキョンの買ってくれたコーヒーがある。
高校の頃から、こうやってずっと奢ってくれて…。

「まぁ、誰にだっておかしくなる時はあるさ…。
 お前がどんだけおかしくなっても…まぁ、なんだ…
 俺はそんなに迷惑しないから…気にするな…」

キョンがコーヒーを飲みながら、照れくさそうにそっぽを向いた。
良い雰囲気だ。
キョンの傍は落ち着いていて、居心地が良い。
だけど、明日は面接だ。

「ゴメン、キョン、そろそろ…」

普段のキョンなら、そうか、と言って帰っただろう。
だが今回は違った。

「ハルヒ、ここにいろ」
「え?」
「探しに行くぞ、お前の コア とやらを…」

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 04:21:04.35 ID:QZDN8tSA0

「バカ…行かないわよ…もういいの!明日ちゃんと頑張れるから…」
「いや、ダメだ。今日は付き合ってもらう…」
「でも、内定、いや、面接が…」

キョンは全く動じる様子も無く、ただ、私の肯定を待っている。
「付き合ってくれ」
「…」
「…」
「…わ、わかったわよ。仕方がないわね…」
「そうか、よし神戸に帰るぞ。服着て仕度しろ!」

キョンの意図はわからなかったが、私はついていくことにした。

171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 04:28:24.45 ID:QZDN8tSA0

バイクの背に乗って、高速道路を西へ西へと向かう。
途中ラフな運転をしたトラックに危うくぶつかりかけたが、びっくりなんかしなかった。
キョンの運転は世界一うまいのだ。

バイクの免許は私が取らせた。

「いい?キョン、大学生になったからには、これまで以上に活動範囲を広げてどんどん
 面白いことを見つけないといけないの!そのためには足が必要なのよ!」

最初、キョンはバイクは危ないから、と嫌がっていたが、今ではこんなに上手くなっている。
それなのに、私は…。

「キョン、ごめんね…」
「もういいって、気にしてないぞ」
「違うの…高校の頃から、いっぱい威張って、迷惑もかけて…」
「…」
「あと、期待にこたえられなくて…」
「…」
「無理やり買い物にも付き合わせたり、荷物持ちさせたり、カラオケでは尾崎しか歌わせなかったり…」
「いいって…」
「でも、凄く感謝してるのよ…」
「黙って乗ってろ」

キョンがアクセルをふかして、スピードをあげた。
私はその背中に体重を預けて目をつぶった。

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 04:42:54.46 ID:QZDN8tSA0

名古屋のインターで少し休憩し、名神を使って神戸に出た。
ここ1年、神戸の土は踏んでない。
インターを出てすぐの公園で、私は朝飯としてキョンの買ってきたパンを食べた。
もう10時、本当なら面接会場にいるはずの時間だ。

「電話、かけとけば良かったかな?」
「…気にするな、少しくらい迷惑でもかけておけばいい」

キョンがこんなこと言うなんて初めてだ。
普段なら、相手も迷惑だぞ、って絶対文句言うはずなのに。

「これからどうするの?」
「正直、考えてない…」

「はぁ?もう!キョンったら東大生にもなってなんて…」
言いかけて口をつぐんだ。
「…仕方ないわね、キョンはSOS団の雑用だもの。
 こういう重要な決定は団長自ら下します!」
「あんまり面倒くさくないプランを頼む…」
「まぁそれは私の気持ちしだいね!」

232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 04:48:41.52 ID:QZDN8tSA0

私がニカッ、と笑うとキョンもつられて苦笑いした。
このたわいのない、ごっこ遊び…。
私達にはこれくらいの距離がちょうどいい。
付き合うのはまだまだ先になりそうだ。

…と思った時、
「そろそろ、俺も雑用係を卒業したいんだが…」
キョンが急に顔を赤くして何かつぶやいた。
「? 何よ? 雑用係を卒業して、私の彼氏にでもなりたいってわけ?
 10年はやいのよ」
笑いながら私は続ける。
「あぁ、そのまさかだ」

「へ?」
「…まぁそういうことだ」

全くキョンにはデリカシーのかけらも無い。

「はぁ?ちょっと!嫌よ、こんなの!!
 何でこんなコントみたいな流れで、つ、つ、付き合うとか!!
 お、おかしいんじゃない!」
「な、何怒ってんだよ!」

233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 04:48:52.41 ID:QZDN8tSA0

「と、とにかくこの件は保留!!
 いい! この旅行中口に出したら、もう、絶対、絶対…」
「絶対? 何だよ?」
「まぁいいわ!とりあえず、もう出るわよ!三宮に向けて急いで!」

私は、ぷい、っとそっぽを向いて、バイクの後部席に座った。
この件は、東京に帰ってからゆっくり考えないと…。
そうじゃないと、勿体無い。

いつも鈍感なキョンは、
「ハルヒ、怒ったならわるかった」等素っ頓狂な事を言っていた。

285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 05:14:48.20 ID:QZDN8tSA0

三宮には16時についた。
この分では、明日の面接も切ることになりそうだが、今はそんなこと気にしていない。
キョンが「親御さんに会うか?」
と聞いていたが、
秘密のままキョンと過ごしていたかった。

――駅前の交差点、よくコーヒーを奢ってもらったカフェ…
それらを通り過ぎるたび、高校の頃の記憶が蘇ってくる。

そうだ…私、高校生の頃、何でこんなに張り切ってたのか、思い出した…。
まだ小さなの頃、私の周りの人間は、世界一面白い人ばかり集まってるんだって信じ込んでいた。

でも、ある日、ふと自分が地球から見れば何万分の一の人間でしかないことがわかってしまった…。
世界一面白いと思ってた私の周りは、実はごくありふれた平凡なもので…。
世界一どころか全く凡庸なものだったのだ。
これって…今の私と似てる。

就職に落ちて、私、自分自身が実はくだらない…大企業はおろか社会からも必要とされていない人間だって思い込んでいた。
高校の時、その時の私どうしたんだっけ…。

287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 05:15:47.42 ID:QZDN8tSA0

あ!
その時思ったんだ。

―――つまらないなら、私が、私の力で、周りを世界一面白いものに変えてやろう、って!

…だから、宇宙人探しも!南の島への旅行も!野球も!
面白い、と感じる事はなんでもやった!
だって、自分しか、自分の周りを変えられないから!!

大学3年の頃、キョンに「最近は大人しいな」と言われたことがある。
「もう高校生じゃないんだから、宇宙人探しなんてしないわよ」って答えた。
何言ってるんだろう、私。
高校生の頃のほうがよっぽど素直で、自分に忠実で…そして、前向きだった。

キョンは私の、多少強引なところが好きだと思っていた。
だけど、違うのだろう。今ならわかる。

「おい、ハルヒ、あの子お前に似てるな」
三宮駅前でふと、キョンが制服姿の女の子を指差した。
彼女は、自分の好きなスイーツのことをつばを吐きながら精一杯目を輝かせて説明していた。
まるで相手にも、自分の幸せな気持ちを分けてあげるかのように…。
周りの子も本当に嬉しそうだ。

「…」
そうね、私、あんなふうだった。

290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 05:16:17.31 ID:QZDN8tSA0

「気でも害したか?」
「…」
「別に調子に乗ってるわけじゃないぞ」
「…全然、似てないわ…」
「…そうか」
「今はね…でも、あと一ヵ月後の私なら似ているかもね!
 見てなさい!キョン!」

きっとこれが私のコアなのだ。
思い出した。昔の気持ちを。

309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 05:26:09.66 ID:QZDN8tSA0

「キョン!私なのよ!!」
バイクの背にまたがり、キョンに言った!
「私が変えるのよ!」
「そうか…」
キョンは何だか嬉しそうだ。

私が、私が、って普通の人が聞いたら意味がわからないだろうが、キョンはわかってくれただろうか?

きっと…わかってくれてる。
だってずっと一番近くで私のことを見ていてくれたから。

「んで、雑用係の俺はなにをすれば良い?」
キョンが笑いながら尋ねる。
「そうね…役に立たないあんたにも、できる仕事をあげるわ。
 私の家に向かいなさい!」
「面倒くさいな…親御さんには会わないんじゃなかったのか?」
「いいからっ!」
「はいはい」

324 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 05:34:29.32 ID:QZDN8tSA0

「ただいまっ!」
玄関の扉を開けて適当に挨拶した。
「お母さん!キョン連れて来たから!」

キョン、キョンって犬じゃないんだから、と自分でも思うが、もうこの気持ちは自分でも止められない。
「お母さん!お茶はいらないから!私の部屋そのままでしょ!しばらく入らないで!」
キョンはキョンで、私の母親と丁寧な挨拶を交わしていた。
バックから東京バナナを出す辺り、最初から三宮に連れてくるつもりだったのか、と、今更ながらしてやられた、と思ったがもう関係ない。

「お母さん!挨拶はその辺でいいから!キョンいくわよ!」
キョンは苦笑いしながら
「お邪魔します〜」と私について階段を登ってきた。

365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 05:51:26.70 ID:QZDN8tSA0

バタン、と扉を閉める。

「な、何だ。キレイな部屋じゃないか。」
キョンは落ち着かない様子で部屋をきょろきょろみている。
「部屋の清潔さなんてこの際どうでもいいわ!」
「…?」

「キョン!私にキスしなさいッ!」
「え!?」

「…ちゃんと、歯は磨いたわよ」
自分の口の端をひっぱってキョンに見せる。
「そういう問題じゃなくてだな…その部屋の中で…」
「ここじゃなきゃダメなのよ!!」
「…何でだ?」

私はキョンに説明した。

366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 05:51:46.13 ID:QZDN8tSA0

「私は、昔から自分の周りを変えるのは自分だ…って強く思ってたけど、その反面自分しか見えないことが多かった。
 …大学では、自分しか見えない、って所ばかり目に付いて、一時は自分を変えようともしたわ…」
「…」
「でも、それは違ったの。
 あの時の私は何でも出来る気がした!今必要なのはそんな意気込みなのよ!」
「…」
「ところがね、思い出したの。
 あの時の私は、自分しか見えなかったけど…例外的に周りもちゃんと見えてた、そんな時期があったわ!」
「…」
「ね?そうなれば私最高じゃない!」
「…で、それはいつなんだ?」
「一年の夏休み前よ!」

私は目を輝かせた。

「私、何故かわからないけど、夢の中でキョンに『俺はポニーテール萌えなんだ』って言われてキスされた気がするの!
 その時、私、あぁ周りから影響を受けるのもたまには悪くないわねって思ったの!」
キョンは、ボソっと、…しっかり、覚えてるんじゃねーか、とつぶやいた。
話を合わせてくれたのだろうか?
今はどうでもいい!

368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 05:52:32.89 ID:QZDN8tSA0

「さぁ、キョン!私にキスしなさい!『俺ポニーテール萌えなんだ』って言いながら!!!」
「え?」
「あの時の気持ちを思い出したいの!早く!
 そうすればまた何でもできる気がするの!」

「うーん…だ、だったら…」
「何よ?」
「付き合ってくれ…」
「…?しょうがないわね、いいわよ、別に!!」
「え?だってお前…」
「私もキョンのこと好きだもの。遅かれ早かれこうなるわ!」
「元に戻ってるじゃないか…」

369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 05:52:45.75 ID:QZDN8tSA0

「さあ!早く!!」

『お、俺・・・』
私は視線で促す

『ポ、ポニーテール萌えなんだ…』

その後、私とキョンは長いキスをした。

394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 06:02:30.12 ID:QZDN8tSA0

「舌入れるんじゃないわよ!」
調子に乗って舌を入れようとしたキョンを平手打ちする。
「痛…す、すまん」
「まぁいいわ!ごちそうさま!」
右手で口を拭う。

そうね…、と私は考える。
とりあえず、今受けているところは全部パス。
病気になって受けて内定したところで、一生自分のコアには合わない。

私のコア…私が自分の力で、皆を幸せにできる所…
楽しくて、そうね、自分の面白いと思った人間を傍におけるところがいいわ。
力ね!権力!!
私が作る事の出来る所!

…思いついた。
「キョン、私ネットが使えないから家に帰ったら検索して欲しいことがあるの」
「雑用係卒業じゃなかったのか?」
「何言ってるの?自分から奴隷志願したじゃない!」
「そういう意味だったのか…」
「そう!さあ!帰るわよ!ぼやぼやしてらんないわ!」

お母さん!ばいばい!と挨拶もそうそうにキョンに鞭打って東へ東へと向かう。
さあ見てなさい!キョン!
これからあっと言わせてあげるわ!!

435 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 06:16:57.72 ID:QZDN8tSA0

――― 一年後、就職した俺たちが久しぶりに集う。
    都内の居酒屋で、SOS団同窓会をやることになった。

「何と言うか…皆、落ち着くところに落ち着きましたね。」
古泉が長門に話しかける。
「…?」
「就職の話ですよ。」
「そうだな…」
古泉は、一橋を出て出版社勤務。らしいと言えばらしい。今は一年目編集としてしごかれているらしいが、全く疲れを感じさせない。
あの笑顔も健在だ。
「お前は合コンでもさぞモテるんだろうな」
「おや、嫉妬ですか?」
「別に…モテたいとは思わん…」
「そうではなくて、僕が女の子に取られちゃうかも…と」
コイツが担当するモノ書きよ、かわいそうに…絶対苦労するだろうな。
扱いにくさも高校の時のままだ。
「…私…」
長門が口を開く。
「最近は毎日楽しい」
そういって極上の笑顔を見せてくれた。
「お、おう!」

453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 06:23:45.17 ID:QZDN8tSA0

長門は○HKで歌のお姉さんをやっている。
意外に思うだろうが、子供を見てるのは楽しいらしい。
わけを聞いたら「アプリオリにプログラムされてる人間知性が・・」とか言っていたが、正直全く理解できなかった。
まぁ楽しいなら良いだろう。

「あ、ゴメン〜遅れちゃいました〜」

そう言って、廊下ですっころんだのは、朝比奈さん。
昔あった大人朝比奈さんに良く似た年頃だと思うが、微妙に何かが捻じ曲がったのだろうか?
まだ童顔で小さいままだ。
未だに『過去』にいるし、その辺はSF的な事情があるんだろう。
そんな朝比奈さんは今、保険のセールスレディーだ。
確かに、納得する職業である。これで保険業界が潤えば日本は安泰だ。

「そんなあなたも、収まるところに収まりましたね。」

468 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 06:29:48.37 ID:QZDN8tSA0

「まぁ、そうだな…」
俺は何の因果かハルヒと毎日仕事をしている。
しかも雑用係は相変わらずだ。

ハルヒは週に一回面白い人材を見つけてきては、俺たちのチームに入れる。
お陰でうちは大所帯だ。。
そんな人材のマネジメントも俺の仕事になっている。
高校の時とあまり変わらないんじゃないだろうか?

「大丈夫です。今のところ、組織の人間はそこにはいません。」

ただ―――と古泉が続ける。
 「涼宮さんの活動が前よりもずっと活発になっているので、
  第二、第三の組織や団体が絡んできても不思議ではありませんがね?」
そう言って、古泉はいたづらっぽく笑った。

「これ以上の面倒はゴメンこうむりたい!」
俺はびしっと断言した。

488 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 06:37:40.88 ID:QZDN8tSA0

「おやおや、さすが涼宮さんが選んだ方だ!
 後ろに涼宮さん本人がいるのに、面倒、なんて平然と言ってのけるなんて…」

そっと後ろを振り向く。
そこには目を釣りあがらせたハルヒがいた。
「は、ハルヒ…」

「折角キョンの仕事も一緒に終わらせてあげたのに…」
そうだった、今日はハルヒが俺の仕事も片付けてくれたのだ。
「もう!今度から絶対手伝ってあげないんだから!」
古泉がニヤニヤしている。
「相変わらず仲が良いですね。お二人は!」

「あ、あの〜折角集まったんだし、仲良くしましょうよ〜」
朝比奈さんもあいかわらずだ。
長門は…、
ちびちびビールを飲んでいる。
本がビールに変わっただけでポジションは特に変わらない。

511 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 06:46:18.14 ID:QZDN8tSA0

「でもさすが我らが団長!我々が想像もつかないことを平然とやってのけるなんて!!」

就活のこと?とハルヒが聞き返す。
しかし、アレは就活…なんて言うのだろうか?

「キョンのおかげよ!」
ハルヒが俺の頭をバシバシ叩く。
くそっ、後で仕返ししてやるからな!

「ほら!キョンってインターネットで検索できるじゃない?」
それは誰でも出来ると思うが…。
「だから『幸せ』『楽しく』『作る』とか、幾つか思いついた単語のキーワードを入力してもらったの。
 そしたら、理想の会社にいけるんじゃないかってね。ほら、HPに大抵社の説明が載ってるじゃない!」
「なるほど…」

「そこで見つけたのが、ここの会社よ!もう採用が終わってたから、人事に直接メールしたわ!
 中途採用ってのがあってね、そこにメアドが載ってたの!!」
「会ってくれたんですか?」
「会ってくれたわ!メールにちゃんと水着の写真添付したもの!
 自己管理を怠らなかったことがここで生きたわね!」

539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 06:58:25.46 ID:QZDN8tSA0

「さすが涼宮さん、与えられた道を通らない、その行動力。感服いたしました。」
古泉が恭しく頭を下げる。

いいわよ、とハルヒがそれを制した。
この辺大人になったのだろうか?
まぁ間違っている気もするが。

「でも結局そこも違ったんだけどね…何か言ってることがしょぼいのよ!
 入らなかったわ!!
 だけど、そこの人事が話わかってくれる人でね〜
 是非あわせたいと、紹介してくれたのが、○○さん」

541 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 06:58:48.89 ID:QZDN8tSA0

そうだ、ハルヒの身分は一応「政治家秘書」と言うことになっている。
来年、国家一種を受けて正式に政策秘書にも登録するらしい。

「まぁ今は○○さんの元で修行しつつ、キョンの会社で、排出権取引の準備やってるわ!」

こうして、ハルヒは「政治家子飼い」の肩書きの元、来るべき排出権取引の準備をうちの会社ですることになった。
そして、…これはわかっていたことだが…その時、担当になったのが俺というわけだ。
「さっきからうちの会社をボロクソ言ってくれてるわけだが…」
ハルヒに愚痴る。
「何言ってんのよ、あんたの分の仕事もしたんだから、文句言わない!」
そういってハルヒは一気にビールを煽った。

「しかし、涼宮さん、高校の頃言っていたように、本当に世界を盛り上げてくれるかもしれませんね?」
「ん?古泉君当たり前よ!」


―――だって、世界を変えられるのは自分しかいないんだからっ!
   今までも!そしてこれからだって!!

そういってハルヒはいつものようにいたづらっぽく笑った。


END

573 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 07:04:21.45 ID:QZDN8tSA0

「2時から長時間頑張ってスレに張り付いてくれてありがとう!
 感謝するわ!!
 就活鬱の皆も、これから就活する皆も悔いの無いよう頑張ってね!!
 ありきたりに聞こえるかもしれないけど、自分を信じて歩めば道は開けるはずよ!!
 じゃあね!どこかでまた会いましょう!」

591 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/20(日) 07:11:04.55 ID:QZDN8tSA0

自分自身は就活してない大学4年生です。
寮の友達に就活生が多いので、伝聞を元に書きました。
ハルヒとこじかのりんは俺の嫁!

>>579
引っ張ると1スレで終わらなそうだったので…

しかし、恋愛モノ…あんまり出すとつまらないですね。
最初のほうも愚痴愚痴しすぎて、つまらないという意見が…。
参考になりました。
俺より皆のほうが尾崎の比喩が上手い点について…。

あと、スレで初めてハルヒが神戸ではなく西宮出身と知りました。
不肖の俺を許してください;
TOEFLは自分が受けるので、間違っちゃいました。TOEICですね。

ノシ



ツイート

メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:ハルヒ「そうよ、やっぱオウム真理教よね!」〜物語の舞台は94年〜