キョン「ここはどこだ…?つーか俺は誰だ?何も思い出せない…」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/09(水) 23:17:52.18 ID:DxxfMLNx0

ハルヒ「あれキョン?まだ部室にいたの?有希も。今日の活動は終わったのよ?
私は忘れ物とりに来たんだけど」

キョン「キョンって俺のことか?」

ハルヒ「は?あんた何言ってんの?」

キョン「どうも記憶喪失ってやつになっちまったみたいで…」

ハルヒ「それマジで言ってんの?私が誰なのかわからないの?」

キョン「いやあ、かわいい子だとは思うが、名前までは…」

ハルヒ「なっ、何言ってるのよ!わ、わかったわ。嘘ついてるようにはみえないし、
病院に行った方がいいわ。その前に家に連絡した方がいいかしら…」

キョン「すまん」

ハルヒ「でも何で…有希何か知らない?」

長門「・・・」

ハルヒ「まあいいわ。キョン、とりあえずここを出るわよ!」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09:11:29.16 ID:rfGUtfRd0

じゃあ保守代わりに>>1の続きでも書く

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09:14:09.45 ID:rfGUtfRd0

ハルヒ「あれキョン?まだ部室にいたの?有希も。今日の活動は終わったのよ?
私は忘れ物とりに来たんだけど」

キョン「キョンって俺のことか?」

ハルヒ「は?あんた何言ってんの?」

キョン「どうも記憶喪失ってやつになっちまったみたいで…」

ハルヒ「それマジで言ってんの?私が誰なのかわからないの?」

キョン「いやあ、かわいい子だとは思うが、名前までは…」

ハルヒ「なっ、何言ってるのよ!わ、わかったわ。嘘ついてるようにはみえないし、
病院に行った方がいいわ。その前に家に連絡した方がいいかしら…」

キョン「すまん」

ハルヒ「でも何で…有希何か知らない?」

長門「・・・」

ハルヒ「まあいいわ。キョン、とりあえずここを出るわよ!」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09:15:36.54 ID:rfGUtfRd0

 テクテクテクテク…

ハルヒ「ほんっとうに何も思い出せないの? もし冗談で言ってるなら死刑よ死刑」

キョン「物騒だな。でもホントなんだよ」

ハルヒ「だってついさっき、30分くらい前まで普通だったじゃない。いったいその間に何があったっていうのよ」

キョン「さあ・・・なにせ何も覚えてないからな」

ハルヒ「あんたねぇ・・・」

キョン「まず、俺とあんた達はいったいどういう関係なんだ? それを教えてほしいんだが」

ハルヒ「〜〜ッ!!」

長門「・・・・」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09:17:23.27 ID:rfGUtfRd0

病院に着くまでの間俺は二人に、いやほとんど黒髪の方からだけだが、いろいろと事情を聞いた。
どうやら俺はキョンという名前(なんだそりゃ)で、北高という高校の生徒であること。
そして、世界をおおいに盛り上げるための涼宮ハルヒの団、通称SOS団のヒラ団員であるということ。
そこは何度も繰り返して教えられた。どうやら重要なポイントらしい。そうは思えないが。

ハルヒ「しかし本当に記憶喪失なんてあるのね・・・おもしろいといえばおもしろいけど、さすがに困ったわね」

キョン「まったくだ」

ハルヒ「あんた自分のことなんだから少しは焦りなさいよ!」

キョン「とは言ってもな・・・」

ハルヒ「まったく三日間ぶっつつげで寝っぱなしにはなるわ、記憶喪失にはなるわ、ホントに迷惑なヒラ団員ね!」

キョン「そんなこともあったのか。すまんな」

長門「・・・・」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09:18:41.10 ID:rfGUtfRd0

─────

医者「記憶喪失だって?」

キョン「はあ」

医者「何にも覚えてないの?」

キョン「ええ、まあ」

医者「ふむ・・・」

少し困ったように腕を組んだ後も医者は質問を続けてきたが、そのほとんどに俺は答えることができなかった。
30分ほど同じ問答の繰り返しをして、結局何の解決策も見つからないまま俺は医者の元から解放かれた。

ハルヒ「どうだった?」

む、二人ともわざわざ待っててくれたのか。口は悪いけどいいヤツなんだな。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09:19:32.62 ID:rfGUtfRd0

キョン「よくわからん。どうしてこうなったのか、原因がわからない以上手の施しようがないってよ」

ハルヒ「そう・・・」

長門「・・・・」

キョン「まあ、なんだ。きっとなんとかなるんじゃないか?」

ハルヒ「軽いわねー・・・ちょっとくらい困った素振りしたらどう?」

キョン「だって実際特に困ってないしなー」

ハルヒ「もう・・・」


キョン「そういえば」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09:20:19.25 ID:rfGUtfRd0

ハルヒ「何?」

キョン「二人とも、まだ名前を聞いてなかったな。教えてくれないか」

ハルヒ「・・・・」

長門「・・・長門有希」

ハルヒ「あ、あたしは・・・涼宮ハルヒよ。名誉あるSOS団の団長なんだから」

キョン「あ、なるほど。あんたが涼宮ハルヒだからそれでSOS団なのか。いったいの何のことかと思ったぜ」

キョン「よろしくな。涼宮さん。長門さん」

ハルヒ「ハルヒでいいわよ」

長門「有希でいい・・・」

ハルヒ「!?」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09:22:27.95 ID:rfGUtfRd0

二人に送ってもらって無事我が家に到着した。そうか、ここが俺の家か。
なかなかいい家じゃないか。

キョン「じゃ、ありがとな二人とも。本当に助かったよ」

ハルヒ「別にいいわよ・・・団員を助けるのは団長の仕事だしね」

キョン「そうか」

ハルヒ「それよりいい!? 今日一日ぐっすり寝て、明日までには記憶を戻しておきなさい! 命令よ!」

無茶言ってくれるなこいつは。それができるなら俺だってそうしたいさ。

キョン「ま、努力はしてみるよ。それじゃあな」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09:23:56.44 ID:rfGUtfRd0

その後、俺はとりあえず両親らしき人達に、自分が記憶喪失になってしまったということを説明した。
二人はポカンと口を開けて聞いていたが、病院で今のところ打つ手はないと言われたことを教えると、
急に慌てたように心配しだした。

キョン「別に生活に支障があるわけでもないから、多分大丈夫ですよ」

キョン「疲れたんで、今日はもう寝ます」

妹「キョンくん〜・・・」

ん、なんだこの子は。もしかして妹か?
随分かわいいじゃないか。さっき鏡見たけど全然俺に似てないな。

キョン「大丈夫だよ。明日になりゃ全部戻ってるかもしれん」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09:25:15.61 ID:rfGUtfRd0

制服のままベッドに倒れこんで、俺は枕に顔を突っ込み目を瞑った。
記憶喪失か・・・まさか本当にそんなもんがあるとはな。しかも自分の身に降りかかってくるとは。
しかしどうにも他人事のような気分が抜けないな。実際俺自身全然焦ってないし。

ま、きっとそのうち戻るだろ。
疲れたから今は寝よう。

・・・深い海に落ちていくような感覚が襲ってくる。
その時、ふいに枕元に置いておいた携帯電話が鳴った。

キョン「・・・なんだ、こんな時間に・・・」

手に取って着信の画面を見ると、そこには「長門 有希」という文字が映し出されていた。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09:29:45.85 ID:rfGUtfRd0

キョン「長門・・・? 長門って・・・さっきの二人のちっちゃい子の方か・・・?」

 ピッ

キョン「もしもし」

長門「・・・もしもし」

キョン「長門さん・・・か・・・? どうしたんだいったい」

長門「話したいことがある」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 09:37:45.84 ID:rfGUtfRd0

早口でとある公園の場所を説明され、最後に、そこまで来て、と言われて俺がしゃべる間もなく電話は切れた。
まったく・・・いったいなんだってんだ。12時だぞ12時。
なんて常識はずれな子だ。

しぶしぶ上着を羽織り制服のまま家を出で、庭に置いてあった自転車にまたがった。
俺のだよなコレ。

外はまだ寒い。吐きだした息がわずかに白ずむ。

指示された公園には10分ほどで着いた。
中を覗くとさきほどまで一緒にいた少女が、俺と同じく制服のままでベンチに座っていた。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10:37:55.44 ID:rfGUtfRd0

キョン「すまん、待たせた」

長門「・・・・平気」

キョン「そんな格好で寒くないか?」

長門「少し寒い・・・」

ならなんか着てくればいいのに・・・
さっきから思っていたが、本当にちょっとかわった子だな。
そう思っていたら長門さんは無言でスタスタと歩きだした。

キョン「お、おいどこ行くんだ?」

長門「私の家・・・」

キョン「え?」

長門「ついてきて」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10:42:31.60 ID:rfGUtfRd0

 ガチャリ

長門「・・・入って」

キョン「あ、ああ・・・」

・・・
なんだ? なんなんだ。
普通、こんな夜中に男を自分の家に呼んだりするか?
話したいことってなんだ。いったい何が始まろうというんだ?

 コポコポコポ…

長門「飲んで」

キョン「・・・」

 ズズッ

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10:47:28.45 ID:rfGUtfRd0

・・・しかしでかくていい家だな。
少しばかり殺風景なのが気になるといえば気になるが。

キョン「そういえば、親は?」

長門「・・・両親は外国・・・」

キョン「外国。じゃあ長門さんはこの家に一人で住んでるのか・・・へえー」

長門「有希」

キョン「え?」

長門「記憶を失う前のあなたは私のことをそう呼んでいた」

キョン「あ・・・そうなのか・・・」

長門「呼んで」

キョン「え・・・」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10:51:39.12 ID:rfGUtfRd0

キョン「い、今?」

長門「そう」

キョン「えーっと・・・じゃ、じゃあ」

キョン「有希」

長門「・・・・」

・・・あいかわらずの無表情だが、嬉しそう、というか満足しているように見える。
俺とこの人はいったいどういう関係だったのだろう。

キョン「あー・・・それでだな、有希さん」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 10:55:04.58 ID:rfGUtfRd0

キョン「電話で言っていた、話したいことってのは結局なんなんだ?」

長門「・・・・」

長門「重要なこと」

キョン「うむ」

長門「さっきは涼宮ハルヒが近くにいたから言えなかった」

キョン「うん」

長門「あなたと私は、現在交際中の関係にある」

キョン「・・・・」


キョン「うえっ!?」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11:01:26.26 ID:rfGUtfRd0

キョン「ま、マジ・・・で?」

長門「マジ」

キョン「・・・そ、そうだったのか・・・」

長門「・・・しかし、涼宮ハルヒをはじめあなたが所属しているSOS団の面々には」

長門「そのことは秘密にする、ということになっている」

長門「なので今日中にあなたに伝えておきたかった」

キョン「・・・」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11:10:34.28 ID:rfGUtfRd0

な、なんてこった。
まさか、自分に付き合ってる女の子いようとは。
これは喜ぶべきことなんだろうか?

キョン「・・・・」

実際よく見たら、この有希という子はすごくかわいい。胸はないが。
少し変わっているところもあるが、別に悪い子じゃなさそうだし。
でもなぜだろう。今の俺にはとても素直に喜ぶことはできない。むしろ逆に困った気分だ。

長門「思いだした?」

キョン「いや・・・思い出せはしないけど・・・」

キョン「でも、わかったよ。俺と有希はさんは付き合っていたんだな。それはわかった」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11:15:34.82 ID:rfGUtfRd0

長門「そう」

キョン「ごめんな。こんな大切なことまで忘れちまって」

長門「構わない。あなたの責任ではない」

キョン「ん・・・・」

長門「・・・・」


キョン「・・・で」

長門「?」

キョン「その・・・今から・・・やっぱり何かした方がいいのかな・・・」

長門「したい?」

キョン「え・・・あ、いや・・・」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11:19:56.21 ID:rfGUtfRd0

したい? と言われても・・・
自分がどんな人間だったか覚えていないので、この後どんな行動をとっていいのかわからない。
でも、こんな夜中に俺を家に呼びだしたということは、この子はそういうつもりなんだろうか・・・

長門「私は別に構わない」

キョン「・・・!」

や、やっぱりそうなのか。
そりゃ記憶を無くしてはいるが俺だって男だ。何してもいいっていうならそりゃしたい。
しかし・・・

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11:22:55.64 ID:rfGUtfRd0

キョン「・・・ごめん」

長門「?」

キョン「なんか・・・悪いけど・・・今はそういうことする気分にはなれない。本当にスマン」

長門「・・・・」

長門「そう」

そう言った有希さんは、心なしか残念そうだった。

長門「あなたがそう言うなら構わない。これからいつでもできる」

キョン「うん・・・そうだな」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11:27:07.88 ID:rfGUtfRd0

 キコキコ…

キョン「じゃ、また明日学校でな」

長門「また・・・」

 キコキコ…


キョン「・・・ふう」

今まで深く悩んではいなかったが、やはり記憶を無くすということはどうにもいろいろと大変なことらしい。
さっさと治さないといけないな。このままじゃいろんな人に迷惑をかけちまう。
せめてこうなった原因がわかりさえれば・・・

とりあえず、今だけは何も考えずに眠りたかった。

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11:39:19.99 ID:rfGUtfRd0

翌日。
もしかしたら、と考えていたが、やはり朝になって目が覚めても俺の頭は何も思い出してはくれなかった。
くそ・・・いったいどうすりゃいいってんだ。

キョン「なあおい・・・どうすりゃいいと思う?」

シャミ「知らん」

キョン「!!?」

シャミ「ミャー」

・・・
今、一瞬この猫しゃべったような・・・
やばい。幻聴まで聞こえるようになっちまったらお手上げだぞ。

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11:45:42.81 ID:rfGUtfRd0

学校までは無事たどり着いた。
昨日帰る時は下りだったから気付かなかったが、あの坂、あんなにきついとは。
これからあと二年間毎日あそこを登らなきゃいけないと思うと、ぞっとするな。

谷口「ようキョン! 元気か! あいかわらずしけたツラしてんな!」

む、なんだこの失礼な野郎は。いきなり。

キョン「すまん、あんた誰だ」

谷口「な、何ぃ?」

谷口「おいおいその歳にしてすでに健忘症かよ! 早すぎるだろ!」

キョン「いや、実はだな・・・」

国木田「おはよー二人とも」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 11:53:16.62 ID:rfGUtfRd0

後から入ってきた国木田ってヤツにもいっしょに、俺が昨日から記憶喪失になっちまったってことを説明した。
どうやらこの谷口と国木田ってヤツは俺の友達らしい。特に国木田の方は中学時代からの腐れ縁だとか。
かわいい顔してるなこいつ。

キョン「と、まぁそういうわけなんだ」

国木田「へー、記憶喪失ねぇ・・・」

谷口「おまえ本当に変わってるな。記憶喪失になるヤツなんかいねーぞ普通」

キョン「? 俺は変わってるヤツなのか?」

谷口「あー変わってるよ。人のうんこ食いたがったりよぉ」

キョン「何!?」

国木田「谷口、嘘教えないように」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12:02:39.45 ID:rfGUtfRd0

国木田「でもその割に全然焦ってるところがないね」

キョン「まーな。・・・でも治せるもんならさっさと治したいね。あたり前だけど」

国木田「SOS団のことも忘れちゃったの?」

キョン「あー、そのなんとか団のことなんだが・・・」

みくる「キョン君!」

キョン「!?」

いきなり後ろのドアを開けて、目を見張るような美少女が教室に入ってきた。
な・・・なんだこの人は! ものっすごいかわいいぞ。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12:08:47.30 ID:rfGUtfRd0

みくる「キョン君・・・聞きましたよ。記憶喪失になっちゃったんですって・・・?」

キョン「は、はあ・・・」

俺を知ってる・・・ってことはこの人も俺の友達かなんかなのか。
美人の知り合い多くないか? 俺。

ハルヒ「あんた、やっぱりまだ治ってないの?」

さらに後ろから、昨日俺を病院まで連れて行ってくれた・・・そう、涼宮さんが入ってきた。この子もかわいいよな。
あともう一人、なんか笑顔がサワヤカな男もついでにいる。なんでだろう。なんかこいつムカツクぞ。

古泉「記憶喪失ですか・・・あなたも困った人ですね」

キョン「なんだよあんたは」

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12:19:57.36 ID:rfGUtfRd0

古泉「おやおやこの僕のことまで忘れてしまうとは・・・悲しいかぎりです」

なんか本当に悲しそうだ。

ハルヒ「今ここにいる3人はね、みんなあんたと同じSOS団の団員よ!」

キョン「この人たちもSOS団なのか」

みくる「そうですよぅ」

話を聞くと、どうやらこの恐ろしくかわいい・・・そして巨乳の方が、朝比奈みくるさん。
そして後ろにいた男が古泉というらしい。

むう、古泉とかいうヤツはどうでもいいとして。
いいじゃないか。SOS団。

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12:24:31.44 ID:rfGUtfRd0

ハルヒ「ホントにもう、さっさと思い出しなさいよ!」

キョン「そう言われてもなぁ」

 キーンコーンカーンコーン

みくる「あ・・・予鈴。あたし達も戻らないと」

古泉「そうですね・・・おっとその前に、少々失礼をば」

キョン「な、なんだよ」

古泉「ふむ・・・頭には特に外傷はないようですね。失礼しました。それではまた」

みくる「キョン君・・・元気出してくださいね・・・」

そう言って二人は教室から出て行った。

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12:29:30.24 ID:rfGUtfRd0

─────

古泉「どう思います?」

みくる「は、はあ。何がですか?」

古泉「彼の記憶喪失のことです」

みくる「どう思う、と言われましても・・・」

古泉「頭に衝撃を受けたような様子もなかった。しかしその割には突然すぎる」

みくる「はあ」

古泉「涼宮さんの話によれば、彼は昨日、僕たちが解散した後、なぜか部室に残っていたそうです。
   そして横には長門さんがいた」

みくる「???」

古泉「・・・・」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12:45:43.74 ID:rfGUtfRd0

─────

 キーンコーンカーンコーン

四時間分の授業が終わり、ようやく昼休みに入った。
不思議だったのが、なぜか授業で勉強したことなんかは、朧気にだけど覚えているってことだ。いったいどういう記憶喪失なんだろう。
ま、その朧気ってのは、単純に俺の頭が悪かったからなのかもしれないが。
谷口の話によると俺は赤点の常習犯だったらしいからな。

キョン「ふあ〜・・・」

 チョイチョイ

キョン「ん・・・おわっ!」

長門「・・・」

キョン「なが・・・いや、有希さん・・・」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12:50:23.25 ID:rfGUtfRd0

長門「ダメ」

キョン「え?」

長門「今はそう呼んではダメ。他の人に私たちの関係を気付かれる恐れがある。なので、ここでは長門と呼んでほしい」

キョン「あ、うん・・・わかった」

長門「・・・二人きりの時は、有希と呼んでほしい」

キョン「・・・・」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 12:58:00.74 ID:rfGUtfRd0

長門「それより」

長門「お弁当を作ってきた」

キョン「お弁当?」

長門「コクリ」

長門「いっしょに食べる」

キョン「そ・・・そうだな。そうするか」

キョン「でも、付き合ってるのバレたらまずいんだろ? いっしょに食ってるの見られたらまずくないか」

長門「平気」

長門「この前いい場所を見つけた。ついてきて」

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13:10:16.88 ID:rfGUtfRd0

 ガチャン

長門「ここなら誰にも見られることはない」

キョン「へー、屋上かぁ。いい眺めだなーここ。高い場所にあるだけあるな」

長門「座って」

キョン「ん」

 パカッ

キョン「おお、長門さんの手作り弁当か。すごいな。うまそうだ」

長門「あーん」

キョン「!?」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13:13:14.64 ID:rfGUtfRd0

長門「食べて」

キョン「・・・」

こ、これは・・・
な、なんという照れ臭いシチュエーション。断固拒否したいところだが・・・
けど、きっと記憶を失う前の俺には、これが普通だったんだろうな。
長門さんを悲しませるわけにもいかない。ここは素直に従うか。

 パク

キョン「モグモグモグ…」

長門「・・・おいしい?」

キョン「うん。うまい。絶品だ」

長門「そう」

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13:16:51.28 ID:rfGUtfRd0

─────

ハルヒ「あれ? ねえ、キョン知らない?」

国木田「いや? 僕たちも見てないけど」

谷口「トイレでも行ってんじゃねーのか」

ハルヒ「あ、そ・・・」

ハルヒ「・・・」

ハルヒ「・・・何よ・・・せっかく元気出させてあげようと思ってお弁当作ってあげてきたのに・・・」

ハルヒ「いいわよ全部一人で食べるから」

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13:25:20.19 ID:rfGUtfRd0

─────

ランチタイムを終えて授業開始ギリギリの時間に自分の教室に戻ると、なぜか後ろの涼宮さんにとんでもなく不機嫌な目つきで睨まれた。
なんだいったい。

ハルヒ「あんた、どこいってたのよ」

キョン「俺? あー、なが・・・」

やばい。秘密なんだった。

キョン「・・・ちょっと考え事したくてな。中庭で一人でパン食ってたよ」

ハルヒ「あーそう。ふーん」

キョン「なんだよ」

ハルヒ「うるさい馬鹿」

・・・なんだってんだよ。俺なんか悪いことしたか。

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13:40:44.66 ID:rfGUtfRd0

放課後がくると涼宮さんは問答無用で俺のことを引きずり廊下に出た。

キョン「お、おい。どこに行くんだ」

ハルヒ「部活よ! 決まってんでしょ!」

例のSOS団とやらか。

ハルヒ「緊急会議よ。絶対に意地でもあたしのこと思い出させてやるんだから」

キョン「あたしのこと?」

ハルヒ「・・・! あたしたちよ、あたしたち!」

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13:50:34.67 ID:rfGUtfRd0

 バンッ!

ハルヒ「緊急会議をはじめます」

ハルヒ「みんなもう知っての通り、この馬鹿キョンがなんと記憶をなくしてしまいました」

ハルヒ「今までのSOS団の活動のことも! そんなことは断固許さないわ!」

キョン「・・・・」

ハルヒ「そこで!」

ハルヒ「いったいどうやったらこいつの記憶が戻るかどうか、みんなで考えてちょうだい!」

ハルヒ「何かいい案が出たら即実践するわ!」

なんか微妙に怖いこと言ってやがるな、こいつ。

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 13:55:45.95 ID:rfGUtfRd0

古泉「ふむ・・・」

みくる「ふえ〜・・・」

長門「・・・」


ハルヒ「あたしはもう一つ考えてあるわ」

キョン「ほう」

ハルヒ「記憶を失った時と同様に頭に強い衝撃を与えるってのは、基本的だけどやっぱり一度はやっておかないとね」

キョン「ちょ、ちょっと待て!」

ハルヒ「はい、せーのっ!!」

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14:01:59.38 ID:rfGUtfRd0

キョン「待てって! そんなのは迷信だ! 誇大妄想だ! 非科学的な原始人の言う戯言だ!」

ハルヒ「なによ、いっくじなしね〜」

キョン「それにな、俺、頭に衝撃受けた覚えなんて一つもないぞ。古泉もさっき言ってたろ」

古泉「そうですね。彼の頭にそれらしい外傷はありませんでした」

ハルヒ「何よつまんない」

キョン「・・・もうちょっとマシなこと考えてくれよ・・・」


古泉「やはり、あなたがなぜ記憶を失ってしまったのか、その原因を突き止めるのが最初にするべきことなのではないでしょうか」

そうだ。古泉とやら、いいこと言うな。

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14:12:24.37 ID:rfGUtfRd0

古泉「記憶を失う前後のこと、本当に何も覚えてないんですか?」

キョン「む・・・ああ。気が付いたらここに立ってたんだ。それ以前のことは何一つ覚えてない」

古泉「長門さん」


古泉「あなたは、涼宮さんが戻ってきた時、彼といっしょにこの場にいたんですよね?」

長門「・・・・」

長門「いた」

古泉「あなたは何か見てないんですか」

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14:16:29.66 ID:rfGUtfRd0

長門「・・・・」

古泉「・・・・」

長門「何も見ていない」

古泉「そうですか。では質問を変えます」


古泉「僕たちが解散したあと、あなたはなぜこの部室に戻ってきたんですか?」

長門「・・・・」


キョン「???」

ハルヒ「???」

みくる「???」

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14:21:26.39 ID:rfGUtfRd0

長門「・・・」

長門「カーディガンをここに置き忘れた。なので、取りに戻った。すると彼がそこに立っていた」

長門「それ以前に彼に何があったのかは、私も見ていない」

古泉「・・・・」


古泉「・・・そうですか」

ハルヒ「な、なんかよくわかんないけど、結局私たちが解散したあと、キョンは一人でここに戻ってきて、
    そしてその空白の30分程度の間に何かがあったってことね」

古泉「そういうことになりますね」

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14:32:41.48 ID:rfGUtfRd0

その後の話し合いでは、結局何の解決策も見つからなかったし、俺が記憶を失った原因もわからなかった。
しかし部活と名乗っているくせに、顧問もいないしまともに活動もしてもいないようだが、いいのかねこれ?

ハルヒ「・・・あ、もうこんな時間じゃない。しょうがないわ。今日はもう解散!」

キョン「ふう・・・」

ハルヒ「キョン! あんたはあたしといっしょに帰るわよ!」

キョン「え、な、なんで!?」

ハルヒ「あんた一応重度の記憶喪失者なのよ!? 何かあったら困るじゃない。家まで送るわよ!」

キョン「ちょ・・・」

涼宮・・・いや、ハルヒに腕を引っ張られて部室を出る寸前、有希の顔を見た。
どこか寂しそうな顔をしている・・・ような気がする。
しかたないな。後で謝っておこう。

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14:36:29.07 ID:rfGUtfRd0

─────

長門「・・・・」

長門「帰る」

古泉「あ、長門さん。それと朝比奈さんも。少しお話があります」

みくる「は、はい?」

長門「・・・なに?」

古泉「いえ・・・今の彼に涼宮さんの能力のことや、僕たちの正体も教えておいた方がいいのか、意見を聞いておきたいのです」

みくる「ああ・・・」

長門「・・・・」

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14:40:28.35 ID:rfGUtfRd0

長門「・・・教えるべきではないと思われる」

古泉「? なぜです」

長門「今の彼に余計な情報を与えれば、さらに記憶の混乱を招く恐れがある」

古泉「ふむ・・・」

長門「・・・今、考えるべきは涼宮ハルヒのことより彼のこと」

古泉「・・・なるほど」


長門「帰る」

古泉「はい。ありがとうございました」

みくる「さ、さよぉならぁ〜・・・」

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14:44:35.60 ID:rfGUtfRd0

─────

 トボトボトボ…

ハルヒ「・・・・」

キョン「・・・・」


キョン「・・・どうしたんだ? 急にしおらしくなったな。さっきまではあんなに元気だったのに」

ハルヒ「・・・! べ、別に何でもないわよっ・・・!」

キョン「そうか・・・」

ハルヒ「・・・・」

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14:49:15.14 ID:rfGUtfRd0

ハルヒ「・・・ねえ、キョン」

キョン「ん?」

ハルヒ「・・・・」


ハルヒ「・・・ホントに忘れちゃったの?」

キョン「・・・え?」


ハルヒ「・・・だって・・・」

ハルヒ「だってだって! あたし達SOS団じゃない! いろんなことやったじゃない! いろんな場所いったじゃない!」

ハルヒ「映画だって撮った! 合宿だって行った! 野球もした!」


ハルヒ「・・・ホントに・・・あんなに楽しかったじゃない・・・」

キョン「・・・・」

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14:53:06.75 ID:rfGUtfRd0

ハルヒ「それなのに・・・」

ハルヒ「それなのに・・・全部・・・忘れちゃうなんて・・・」

ハルヒ「・・・あんまりよ・・・」

キョン「・・・ハルヒ・・・」

 ズズッ

ハルヒ「・・・・」

ハルヒ「・・・ごめん」

ハルヒ「本当にごめん。これはあんたのせいじゃないもんね。それなのにあたし勝手に怒って・・・」

ハルヒ「・・・ごめん・・・でも・・・」

ハルヒ「・・・なんか悔しくて・・・」

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 14:58:04.75 ID:rfGUtfRd0

キョン「・・・」

・・・その後。
俺はハルヒに、結局何も言ってやることができなかった。
そのまま、無言のまま、俺たちは同じ歩幅で歩き続けた。

ハルヒ「・・・じゃ」

ハルヒ「あたし、こっちだから」

キョン「ああ」

ハルヒ「ここまで来れば、もう一人で帰れるでしょ」

キョン「ああ。ありがとなわざわざ」

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15:01:47.31 ID:rfGUtfRd0

ハルヒ「いいわよ別に」

キョン「ん、じゃ・・・」

ハルヒ「あ、ねえキョン・・・」


ハルヒ「さっきは本当に・・・ごめんね・・・」

キョン「いいって。そんな謝るなんておまえらしくないぞ」

ハルヒ「・・・・」

ハルヒ「・・・それもそうね。それじゃ」

キョン「おう」


キョン「・・・あれ?」

150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15:06:52.98 ID:rfGUtfRd0

なんか・・・今、一瞬だけど・・・
ふっと、自然にアイツの表情が浮かんだような・・・

そうだよ。それじゃなきゃ、おまえらしくないなんて言えるはずもない。

キョン「記憶、戻りかけてるのかも・・・」

まるで出口のない暗闇の中を手探り歩いているような感覚だったが。
あいつの言葉が、少しだけ光を照らしてくれたみたいだ。
まだまだ完全に思い出すには時間がかかりそうだが。

キョン「ありがとな、団長さん」

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15:11:54.42 ID:rfGUtfRd0

家に帰って、風呂に入り、メシを食って寝る準備をしていると、またもや枕元に置いておいた携帯が鳴った。
着信画面には「長門 有希」。

なんだろう。また何か用だろうか。
それにしても夜中に電話かけるのが好きな子だな。

 ピッ

キョン「もしもし」

長門「・・・もしもし」

キョン「おー、えっと、有希。どうした?」

長門「・・・・」

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15:14:20.68 ID:rfGUtfRd0

キョン「あ、そうだ。今日はごめんな。おまえ置いて帰ったりして」

長門「・・・別にいい。あなたのせいじゃない」

キョン「ん」

長門「・・・それより」


長門「明日は休日」

キョン「え?」

長門「明日は休日」

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15:16:55.45 ID:rfGUtfRd0

キョン「・・・・」

長門「・・・・」

・・・なんだろう。
つまりこれは、明日どっか連れてって、ってことか?

キョン「あー、・・・有希」

長門「・・・・」

キョン「明日、どっか遊びに行こうか」

長門「そう」

やっぱりそうだったのか・・・

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15:21:18.15 ID:rfGUtfRd0

キョン「どこ行きたい?」

長門「どこでも・・・」

キョン「有希が行きたい場所でいいぞ。やっぱり図書館か?」


長門「・・・・どうして」

キョン「ん?」

長門「どうして覚えているの?」

キョン「あ・・・」

159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15:24:32.83 ID:rfGUtfRd0

そうだ。
なんで俺、有希が図書館が好きだなんてことを知っている?

長門「・・・・」

キョン「ははは・・・何かよくわからんけど、少しずつ記憶、戻ってきてるのかもしれん。
    さっきも同じようなことあったしな」

長門「・・・そう」

あれ? おかしいな。喜ぶと思ったのに、逆になんか落ち込んだ?

キョン「まあ、そのことはいいよ。とりあえず明日は図書館でいいか?」

長門「・・・いい」

キョン「ん」

161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 15:30:51.52 ID:rfGUtfRd0

というわけで、明日のデートは図書館で、ということに決まった。
デートとして行くにはちょっと変な場所だとは思うが、まあ有希が好きだというならいくらでも付き合うさ。
そうと決まればさっさと寝なくちゃな。明日は早い。

妹「キョンくん、どお〜?」

キョン「ん、なにがだ」

妹「ちょっとは思い出した?」

キョン「いやー、すまんな妹よ。今のところまだ何も思い出せていないんだ」

妹「そっかぁ。でも今も前もキョン君あんまり変わってないから、そんなに無理しなくていいよ〜」

さりげなくちょっとひどいこと言ってくれるなこの妹は。

350 名前:>>167[] 投稿日:2008/04/11(金) 07:37:44.45 ID:csSw3BMQ0

というわけで、明日のデートは図書館で、ということに決まった。
デートとして行くにはちょっと変な場所だとは思うが、まあ有希が好きだというならいくらでも付き合うさ。
そうと決まればさっさと寝なくちゃな。明日は早い。

妹「キョンくん、どお〜?」

キョン「ん、なにがだ」

妹「ちょっとは思い出した?」

キョン「いやー、すまんな妹よ。今のところまだ何も思い出せていないんだ」

妹「そっかぁ。でも今も前もキョン君あんまり変わってないから、そんなに無理しなくていいよ〜」

さりげなくちょっとひどいこと言ってくれるなこの妹は。

351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07:38:10.71 ID:csSw3BMQ0

さて翌日。
俺は自転車をフルスピードでかっとばしていた。なぜかというと、まあ簡単に言えば寝坊したからだ。
どうやら俺は朝に弱い体質だということが判明した。なにせ三つかけておいた目覚ましが全部知らないうちに止まっていたからな。
しかし(今の俺にとっては)最初のデートでいきなり遅刻をかますとは。なんというダメ男なんだ。

待ち合わせ場所の駅前のベンチに、彼女はこの前と同じくちょこんと縮こまって座っていた。
くそ、やっぱり間に合わなかったか。

長門「・・・・」

キョン「有希っ」

長門「・・・・」

キョン「すまん。遅れちまった」

長門「平気・・・・」

352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07:39:18.53 ID:csSw3BMQ0

そう言って立ち上がった有希は、いつもの制服姿ではなく、水色のワンピースを着ていた。
うおうっ、か、かわいい・・・
彼女の私服姿は新鮮で、彼女という素材がより一層引き立って見えた。

キョン「・・・・」

長門「なに?」

キョン「あ、いや・・・その、な・・・」

ちょいと照れ臭いが、ここは正直に自分の思ったことを言ったほうがいいってもんだろう。

キョン「その服、似合ってるぞ。めちゃめちゃかわいい」

長門「・・・・」

長門「そう」

キョン「ああ」

353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07:40:21.56 ID:csSw3BMQ0

その後、一方的に俺がどうでもいい内容の話しをしゃべりかけながら、歩いて図書館まで移動した。
彼女の反応は「そう」とかそんな素っ気ないものばっかりで、全然会話になっていなかったけど、でもなぜか全然苦痛にはならないんだよな。
このくらいが心地よいというか。なんとも不思議なもんだ。

 ウィーン

長門「・・・・」

図書館の中に入ると、有希の目がキラキラと輝きだした。・・・ように見えた。
いや、実際の表情はまるで変わってはいないんだ。でも、俺にはなんとなくわかる。
多分それであっているんだろう。

キョン「好きなだけ見ていっていいぞ。時間ならタップリあるから」

長門「わかった」

354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07:40:46.97 ID:csSw3BMQ0

さてと・・・
ただ待っているだけってのも退屈だな。俺も本の一つでも読んでみるとするか。
ん、なんだこれ・・・バトルロワイヤル?
ほう。中学生同士の殺し合いね。はっ、どうせあれだろ、中二病の痛い話だろ。
だいたい最近のラノベとかはどれもこれもバトルものに走り過ぎなんだよな・・・どれ。

 ペラッ

キョン「・・・・」

 ペラッ

キョン「・・・・」

355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07:43:05.64 ID:csSw3BMQ0

─────

キョン「・・・・」

長門「・・・・」

キョン「・・・・」

 チョイチョイ

キョン「ん、どうした有希」

長門「もう閉館・・・」

キョン「はあ? 嘘言えよ・・・ってええ!!?」

壁に掛けられた時計を見て俺は思わず声を上げた。
針は確かに5時ちょうどを指している。

356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07:43:51.57 ID:csSw3BMQ0

なんてこった。まさかこんなに時間が経っていようとは。
どうもあまりのおもしろさに熱中しすぎていたらしい。そういえばメシも食ってない。

キョン「悪い有希・・・腹減らなかったか?」

長門「平気・・・」

キョン「そうか・・・それにしても、くそ。あと少しで終わるというのに」

長門「大丈夫・・・また来ればいい」

キョン「ん・・・それもそうだな」

いや・・・にしても悔しいぜ。
来週も必ず有希と来よう。

357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07:51:51.45 ID:csSw3BMQ0

キョン「さてと」

キョン「どうしようか。とりあえず、なんか食べにでもいくか?」

長門「・・・・」

長門「私の家に来てほしい」

キョン「え、いいのか?」

長門「コクリ」

長門「夕飯を振るまいたい」

キョン「そ、そうか。そいつは楽しみだな」

358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07:56:37.19 ID:csSw3BMQ0

─────

 ジャージャー…

キョン「・・・・」

キョン「なあ、なんか手伝おうか?」

長門「ダメ」

長門「あなたはお客さん。まかせて」

いや、でも・・・
なんていうか・・・どことなく危なっかしいんだよな。

キョン「いや、でもさ。二人で共力して作るってのも、それはそれで味があると思うぞ?」

長門「・・・・」

359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 07:57:05.78 ID:csSw3BMQ0

長門「確かにそうかもしれない」

長門「でも、今日は私が作りたい」

長門「あなたに食べてもらいたい」

長門「二人で作るのは、今度」

キョン「ん、そうか・・・わかった」

そこまで言うならしかたない。手伝うのは諦めよう。
俺はできる限り腹を空かせる努力して、有希の手料理を待つことにした。

362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08:12:58.87 ID:csSw3BMQ0

それから数分くらいすると、キッチンからカレーのいい匂いが漂ってきた。
やっぱりカレーだったか。夕飯を振るまいたい、と言った時点でだいたい想像はできていたが。

キョン「あいつホントにカレー好きだなぁ・・・」

キョン「・・・あ」

・・・まただ。
覚えているはずのないことが、無意識のうちに頭の中に浮かんできていた。
有希がカレーが好きだったことなんて、なぜ覚えている?


長門「おまたせ・・・」

363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08:13:22.67 ID:csSw3BMQ0

 コトリ

キョン「・・・・」

長門「・・・? どうしたの・・・」

キョン「あ、いや、今な。有希がカレーが好きだってことが、自然と頭に浮かんできたんだよ。
    やっぱり記憶、戻りかけてるのかもしれない。この調子ならもうすぐ完全に戻るかもな」

長門「・・・・」

キョン「・・・有希?」

長門「そう・・・」

キョン「嬉しくないのか・・・?」

364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08:13:43.70 ID:csSw3BMQ0

長門「・・・・」

長門「嬉しい」

キョン「・・・・」

なんでだ。それ、あからさまに嘘っぽく聞こえるぞ。
有希は俺に記憶が戻ったら何か不都合なことでもあるんだろうか?

キョン「・・・ん。まあ、それよりも。あったかいうちにカレー、食べよう」

キョン「すげー旨そうだな。ていうか、めちゃめちゃ腹減った」

長門「・・・・」

365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08:14:03.59 ID:csSw3BMQ0

有希が作ってくれたカレーは、普通に旨かった。なんというか、カレー屋の味に近い感じ。
そのカレーを3杯食った後に、大量のポテトサラダが出てきた時にはさすがに焦ったが、
俺はそれもなんとか完食した。愛がありゃなんでもできるもんだぜ。

ふと時計を見ると、すでに時刻は9時半を回っていた。
幸せな時間が過ぎるのは早い。
・・・本当なら泊まっていきたいところではあるが、明日も学校だ。
そろそろ帰らないとまずいだろう。

キョン「さてと・・・」

長門「・・・もう帰る?」

キョン「ああ。ご飯ありがとな。本当においしかったよ」

長門「・・・・」

366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08:26:01.59 ID:csSw3BMQ0

 ガチャリ

キョン「じゃ、有希。ごちそうさま。また明日な」

長門「待って」


長門「・・・ありがとう」

キョン「え?」

長門「楽しかった」

そう言うと、彼女は俺の肩を掴んで、背伸びをしながら触れるように軽い口づけを交わしてきた。

367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08:26:21.16 ID:csSw3BMQ0

キョン「・・・・」

キョン「・・・・」


長門「・・・また・・・明日・・・」


 ガチャン…


キョン「・・・・」

368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08:26:42.68 ID:csSw3BMQ0

─────

帰り道、俺は半ば放心状態のまま、自転車のペダルをこいでいた。
おかげで危なく電信柱に衝突しそうになることが2回ほどあった。

キョン「・・・・」

キョン「・・・キス・・・されたな・・・」

あれが、俺が覚えている限りのファーストキスだ。まあ当然っちゃ当然だが。

キョン「・・・・」

キョン「・・・早く記憶取り戻さなきゃ・・・」

有希と、もっといっしょにいたい。もっと話したい。笑っているところが見てみたい。
今の俺は、それしか考えられなくなっている。

そのためには、早く失った記憶を取り戻さなくてはならない。

369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08:27:11.87 ID:csSw3BMQ0

─────

 プルルルルルル…ピッ

長門「・・・・」

古泉「長門さん・・・ですか?」

長門「・・・なに?」

古泉「お伝えしたいことがあります」

長門「・・・・」

古泉「本日、過去最大規模の閉鎖空間が発生されました」

長門「・・・・」

長門「そう」

古泉「僕が何を言いたいのか、あなたならもうおわかりでしょう」

370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08:27:30.32 ID:csSw3BMQ0

長門「・・・・」

古泉「今回の事件、僕にはもうわかっています」

長門「・・・・」

古泉「このようなこと・・・あなた以外にできるはずがありませんからね」

長門「・・・・」

古泉「・・・あなたの気持ちもわかります。ですが今は・・・一時の感情に流されないように行動してください」

古泉「今ならまだ間に合います。それでは」

 ピッ

長門「・・・・」

372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08:45:43.37 ID:csSw3BMQ0

─────

谷口「ようキョン。どうだ、一日経って記憶は戻ったか」

キョン「いや、それがまだなんだ。時々断片的には思い出すんだが・・・」

谷口「ほー。ま、おまえ記憶あってもなくても全然変わんねーからよ。別にどっちでもいいんじゃねーか」

妹と同じセリフ吐きやがって・・・

国木田「頭に強い衝撃を与えたら戻るんじゃない?」

谷口「お、それやるなら俺が手伝ってやるぞキョン。野球部からバット借りてきてやるよ」

キョン「だからそんなもんは迷信だって」

373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08:46:39.51 ID:csSw3BMQ0

その日も特に何もなく、平和に一日は進んでいった。
うん、これなら確かに谷口の言う通り、記憶があっても無くてもどっちでもいいような気がしないでもない。
しかし・・・やはりSOS団・・・いや、有希との今までの思い出だけは、どうしても思い出したいのだ。

 チョイチョイ

キョン「ん・・・っとうわ!」

長門「・・・・」

頭の中にいた本人がそこに立っていた。
驚いた・・・気配を絶って接近するのがホントに上手いな、こいつは。

キョン「どうしたゆ・・・長門」

長門「・・・・」

374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08:47:24.70 ID:csSw3BMQ0

キョン「どうした? 何か話があるなら遠慮するなよ」

長門「・・・・」

長門「・・・今日、SOS団の活動が終了した後」

長門「一度部室に戻ってきて」

キョン「?」

キョン「ああ・・・わかった」

長門「・・・・」

 スタスタスタ…

行ってしまった。なんだったんだろう。
何か少し言い淀んでたように聞こえたけど・・・
でも、部活が終わった後にわざわざ? 今言えないような話でもあるんだろうか。

375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 08:47:49.92 ID:csSw3BMQ0

放課後になり、部活という名のダベリタイムをぐだぐだと過ごしているうちに、
すでに外はすっかり夕闇に覆われていた。
そして窓際のパイプ椅子に座っていた有希が膝の上でパタン、と読んでいた本を閉じた時、活動は終了し、俺たちは解散することになった。

みくる「キョン君・・・まだ思い出せそうにないですか?」

キョン「はあ・・・でも、時々少しずつ思い出したりもするんですよ」

ハルヒ「もう。だったらついでに全部思い出しなさいよ!」

有希と古泉は用事があるとかで別の道から帰り、朝比奈さん、ハルヒ、俺の3人は、いつも通り、あの坂を下って歩いていた。
ハルヒに一昨日のしおらしさはすっかりない。
うん、こいつはやっぱり元気なのが一番似合ってるよ。

381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:15:59.01 ID:csSw3BMQ0

それから3人で5分ほど歩いたところで、俺は振り返った。もうそろそろいいだろう。

ハルヒ「? キョン、どうしたの?」

キョン「あー・・・悪い。ちょっと教室に忘れものしちまったんだ。取りに行ってくるから先帰っててくれ」

ハルヒ「ちょ、ちょっとあんた一人で大丈夫なの!?」

キョン「ああ、もう道もバッチリ覚えたし平気だ。じゃあな」

そう言って二人に手を振ってから、早足で俺は今降りてきた坂を駆け上がった。

386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:30:11.76 ID:csSw3BMQ0

─────

戻ってくると、部室のドアの下からわずかに明かりが漏れていること気が付いた。
どうやら有希がすでに戻ってきて待っているらしい。
また遅れちまったかな。

 ガチャリ

キョン「よっ」

長門「・・・・」

キョン「また待たせちゃったか?」

長門「平気・・・」

387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:30:40.05 ID:csSw3BMQ0

キョン「それで、どうしたんだいったい? わざわざみんな帰ってから呼びだすなんて」

長門「・・・・」

キョン「何か話でもあるのか?」

長門「・・・・」

長門「重要な話」


長門「私は・・・」

長門「あなたにまず、謝らなければいけない」

キョン「え?」

長門「ごめんなさい」

388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:31:48.40 ID:csSw3BMQ0

キョン「???」

なんだ、いきなり? ごめんなさい・・・って、有希がなんか悪いことしたのか?

キョン「な、なんで謝る必要があるんだ?」

長門「私はあなたに嘘をついた」

キョン「え・・・嘘?」

長門「そう」


長門「記憶を無くす前のあなたと私は、付き合ってなどいなかった」

キョン「・・・・」


キョン「・・・え?」

389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:32:27.56 ID:csSw3BMQ0

長門「・・・・」

キョン「・・・え、ってことは・・・」

長門「そう」

長門「あなたは私に恋愛感情など持ってはいなかった」

キョン「・・・・」


長門「私はあなたを騙した。本当にごめんなさい」

390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:33:16.26 ID:csSw3BMQ0

キョン「・・・・」

キョン「・・・でも・・・」

キョン「じゃあなんで、そんなこと・・・」

長門「・・・・」

長門「私の中に積もり積もったバグが、そうすることを余儀なくさせた」

バグ?

長門「私は・・・あなたといっしょにいたかった」

キョン「・・・・」

391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:34:17.64 ID:csSw3BMQ0

キョン「・・・ん・・・」

キョン「えーっと・・・」

キョン「・・・なんか俺、ちょっとまだよく状況を理解できてないんだけど・・・」

キョン「でも、あれだ。もし記憶を無くす前の俺が有希と付き合ってなかった、てのが本当だとしても」

キョン「今の俺は、おまえが大好きだ」

キョン「だから、謝ることなんかない。嘘でもなんでも関係ないさ」

キョン「これからも二人でいっしょにいよう」

長門「・・・・」

長門「それはできない」

キョン「え・・・ど、どうしてだ?」

392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:34:53.66 ID:csSw3BMQ0

長門「・・・・」

長門「実は」

長門「あなたの記憶の消去を行ったのも、私」

キョン「は?」


長門「あなたといたかった。だから、そうした」

長門「ごめんなさい」


キョン「・・・・」

いやいやいや、ちょっと待て。

394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:35:43.49 ID:csSw3BMQ0

キョン「記憶を消すなんて、そんなこと人間にできるはずないだろ。何言ってんだよ有希」

長門「そう」

え?

長門「私は人間ではない」


長門「情報統合思念体によって作られた、対人間用インターフェース。それが」

長門「わたし」


キョン「・・・・」

396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:36:54.35 ID:csSw3BMQ0

情報統合思念体・・・対人間用インターフェース・・・

キョン「う・・・・」

宇宙人・・・未来人・・・超能力者・・・

キョン「・・・あああ・・・」

長門・・・朝比奈さん・・・古泉・・・

ハルヒ・・・

キョン「・・・!!!」


長門「・・・思い出した?」

397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:37:55.16 ID:csSw3BMQ0

キョン「・・・・」

キョン「・・・ああ」

キョン「思い出した、全部」


自分のことも。SOS団のことも。朝比奈さんのことも。古泉のことも。ハルヒのことも。
そして・・・

おまえのことも。


長門「そう」

398 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:38:50.44 ID:csSw3BMQ0

キョン「・・・・」

長門「・・・・」

長門「あなたはすごい」

キョン「え?」

長門「私が記憶を消去したにも関わらず、自力でそれを取り戻した」

長門「普通の人間にできることではない」

そう言われて、俺は思わず苦笑した。

キョン「いや、長門。そんなことないよ」

キョン「俺はごく普通の高校生だ」

401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:39:48.70 ID:csSw3BMQ0

そう言った時、長門の顔が僅かにだけど微笑んだような気がしたのは、
俺の気のせいだったんだろうか。

長門「この四日間」

長門「あなたには本当に申し訳ないことをした」

長門「私の身勝手な行動に付き合わせてしまった」

長門「ごめんなさい」

キョン「・・・謝ることなんかない」

キョン「前にも言ったろ? 我慢なんかする必要ないんだ」

キョン「長門がやりたいと思ったら、好きにやればいい。俺はいくらでもそれに付き合うから」

キョン「それに・・・俺の方こそ、楽しかったしな」

402 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:42:20.85 ID:csSw3BMQ0

長門の瞳はただジッと俺の目を見つめつづけ、そして、また平坦な声で言った。

長門「ありがとう」

長門「でも」

長門「私は、あなたからこの四日間の記憶を奪わなくてはならない」

キョン「えっ?」

長門「それは、規定事項」

キョン「ちょ、ちょっと待てよ」

403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 09:42:57.52 ID:csSw3BMQ0

キョン「なんだよそれ、そんなの俺、認めないぞ。俺、この四日間でわかったことがあるんだ」

長門「・・・・」

キョン「それを・・・その記憶まで消されたりしたら・・・また忘れちまうじゃないか。嫌だ。俺は・・・」

長門「ごめんなさい」

キョン「長門っ!!」

長門「・・・・」

長門は、ゆっくりとこちらに向かって手を伸ばした。
そして、何度も何度もピンチの場面で聞いた、あのへんてこなインチキ呪文を静かに唱えだしてていた。

408 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:07:03.56 ID:csSw3BMQ0

キョン「・・・・」

キョン「・・・長門」

長門「・・・なに?」

キョン「・・・もう、どうしようもないなら、最後にこれだけは言っておく」


キョン「俺、長門が好きだ。ハルヒでも、朝比奈さんでもなく。おまえが好きだ」

キョン「多分、元に戻った俺はもう、そんなことは言わないと思う。でも・・・」

キョン「・・・俺はいつでも、おまえのことが好きだ。それだけは・・・」

キョン「忘れないでくれ。頼む・・・」


長門「・・・・」

長門「ありがとう」

長門「─────」

409 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:07:58.94 ID:csSw3BMQ0

──────

キョン「・・・・」

キョン「・・・・」

キョン「・・・!!? あ、あれ!?」

なんだ?
なんか今一瞬、意識が飛んでいたような気がする。
立ったまま寝てた?そんなまさか。

キョン「・・・って、なんだこれ、うわっ」

目を拭うと、なぜだか知らんが大量の涙がこぼれていた。
なんだよこれは。やっぱり寝てたのか?

キョン「あ、おい長門」

411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:08:50.36 ID:csSw3BMQ0

長門「・・・・」

隣りで長門がこっちをじーっと見ている。
そうだ。俺は部活が終わった後に、長門に話があると言われてここに呼び出されたんだ。

キョン「なあ・・・俺、今一瞬もしかして寝てたか?」

長門「・・・寝てない」

キョン「だよな」

じゃあ、なんだったんだろう。あの不思議な感覚は。
随分長いこと夢を見ていたような気がする。

キョン「長門。今、いったい何があったかわかんないか? なんだかすごく不思議な感覚に襲われたんだが」

412 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:09:43.35 ID:csSw3BMQ0

長門「何もない」

キョン「うーん・・・」

わからん。わからんが・・・
長門が何もないというなら、まあ、本当に何もなかったんだろう。

キョン「あ、それで長門。話たいことってのはなんだ?」

長門「・・・・」

長門「忘れた」

キョン「はあ?」

413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:10:03.15 ID:csSw3BMQ0

長門「帰る」

キョン「お、おい。ちょっと待てよ長門」

スタスタと部室から出ていく長門を慌てて追いかける。
長門が伝えたかったことを忘れただって? そんなことあるもんなんだろうか。

早足で廊下を行く長門の背がピタッと突然止まった。
前を見ると、古泉がいつものサワヤカ笑顔で立っていやがった。

古泉「おや、お二人とも今お帰りですか」

415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:10:51.07 ID:csSw3BMQ0

キョン「あれ。おまえも残ってたのか。何やってんだ?」

古泉「いえ、ちょっとした野暮用でしてね」

長門「古泉一樹」


古泉「なんでしょう?」

長門「あなたには迷惑をかけた。申し訳なかった」

古泉「ふふ。いいんですよ。気にしないでください」

古泉「今回の件は他言しません。恐らく、実情を知っているのは僕とあなただけでしょう。ですから誰にも咎められることはありませんよ」

長門「・・・・」

キョン「???」

なんのこっちゃ。

417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:11:56.07 ID:csSw3BMQ0

古泉「それでは」

キョン「あ、おい古泉。おまえは帰らないのか」

古泉「いえ、僕がいたら邪魔になりそうなので、遠慮しておきます。今日は長門さんといっしょに帰ってあげてください」

キョン「? なんだあいつ」

わかっちゃいたけど変なヤツだな。

長門「・・・・」


長門「帰る」

キョン「ん。そうするか」

419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:12:52.27 ID:csSw3BMQ0

 ヒョオオオオオ…

この時期になっても、夜はまだやはり寒い。
吐き出した息がかすかに白く淀んで、霧散しては消えていく。

キョン「・・・寒くないか? 長門」

長門「・・・寒い」

そりゃそうだ。そんな薄っぺらいカーディガン一枚じゃ寒いに決まってるぜ。
いくら宇宙人だからといって変な無茶するもんじゃないぞ。

 バサッ

長門「?」

キョン「俺のジャケット、貸すよ。着て帰れ」

420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:13:34.41 ID:csSw3BMQ0

長門「ダメ。あなたが体調を壊す」

キョン「いいって。こういう時はな、男がちょっと無理してでも我慢するもんなんだ」

長門「・・・・」

・・・なんか俺、地味に恥ずかしいこと言ってるな。

長門「・・・ありがとう」

キョン「ん」

422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:14:30.53 ID:csSw3BMQ0

─────

キョン「・・・じゃ、俺こっちだから」

長門「そう」

キョン「また明日、学校でな」

長門「あ・・・」

キョン「ん?」


長門「・・・明後日、土曜日。図書館に行くこと希望する」

キョン「へ?」

長門「あなたと」

423 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:15:21.95 ID:csSw3BMQ0

キョン「・・・・」

なんだそりゃ。随分とまた突拍子がないな。

長門「ダメ?」

・・・そんなかわいい顔で言われて、俺が断れるはずないだろ。

キョン「いや、全然ダメじゃない。オーケーだ」

長門「そう」

キョン「明後日な。覚えておくよ。それじゃあな」

長門「・・・また」

427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:26:50.37 ID:csSw3BMQ0

キョン「・・・」

今のは・・・あれだったのかな。

もしかして、長門流のデートの申込みだったんだろうか。

だとしたら嬉しい限りだ。あいつも少しずつ、でも確実に、人間に近づいていってるんだな。

428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:27:08.44 ID:csSw3BMQ0

─────

翌日。

ハルヒ「キョン!!」

キョン「なんだ。朝っぱらからやかましいな」

ハルヒ「あんた、どうなのよ。まだ治らないの!?」

キョン「あ? 何の話だ」


ハルヒ「え?」

キョン「あ、そうだハルヒ。春休みの合宿のことなんだけどよ。俺、やっぱ釣りがやりたいな。今度は釣りツアーなんてどうだ?」

ハルヒ「・・・・」

429 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:27:48.35 ID:csSw3BMQ0

ハルヒ「キョン・・・」

キョン「ん?」

ハルヒ「もしかして、治ったの・・・?」

キョン「だから、さっきからおまえは何言ってんだ。ていうかさ。今日って金曜日だったっけ?
    俺よくわからんけど、火曜日の道具持ってきちまったよ。何か昨日からちょっと変なんだよな」

ハルヒ「・・・・」

 バシイッ!

キョン「!!! 痛ってええええええ! いきなり何しやがんだこの馬鹿!!」

ハルヒ「馬鹿はどっちよ!! 治ったならすぐに電話しなさいよこの馬鹿! あんたね、あたしがどんだけ・・・!」

キョン「だから! 何の話だって聞いてんだよ! 痛っ! やめっ、やめろーー・・・・・!!!」

430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:27:59.43 ID:csSw3BMQ0



436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 10:30:49.73 ID:csSw3BMQ0

ギャグにするつもりだったのになんかシリアスになっちゃったな
あとのことはまかせた



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