提督「王 道 を 征 く」日向「……」 1 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 19:40:52.77 ID:DbcjVUpn0 書き溜め、もとい雑な下書きがあります。 今日中に完結させたいのですが、連投規制がおっかないです。 よろしければご協力お願いします。 4 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 19:44:32.35 ID:DbcjVUpn0 提督「妖精さん、今日もこの資材でよろしくね」 妖精「ポッチャマ…」コクリ スタスタ 提督「はぁ…いつになったら戦艦がうちの鎮守府に来てくれるのやら…」 提督「ま、新米にしては資材結構もらった方だと思うし、まだ気長にやって行ってもいいか」 ツンツン 提督「ん?」 妖精「…」 提督「あれ、どうしたの?資材足りなかった?」 妖精「ンー…」フリフリ 提督「違うの?じゃあ何?」 妖精「サスケェ…」ビッ 提督「ん、なになに…え゛!?建造時間こんなに長いの!?ちゅうことは…」 妖精「ン」コクコク 提督「わが鎮守府に、初めての戦艦が…!」キラキラ 妖精「ン」コクコク 提督「わかった!前もらった間宮のアイスあげるから、頑張ってね!」 妖精「オk」スタスタ 提督「うわぁ、戦艦かぁ…楽しみだなぁ。どんな子が来るんだろ」 5 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 19:47:17.57 ID:DbcjVUpn0 ―――――――――――――― カーン カーン カーン 妖精「フゥ…」 日向「ん……ここは?」 妖精「ナノ!」 日向「そうか…私はまた…建造されたのだな?」 妖精「ン」コクコク 日向「うむ。では、疲れているところで悪いが、ここの提督の所に案内してはくれまいか?」 妖精「アレ」ビッ 日向「…向こうでいびきをかいているのがここの提督なのか?随分若いな…」スタスタ 6 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 19:54:48.15 ID:DbcjVUpn0 提督「んごー…んごー…ンゴww……」 日向「随分と幸せそうに寝ているものだな」 チョンチョン 提督「んあ?」 日向「睡眠を妨げてしまってすまないな」 提督「……ん?……おわっ!!」 ガバッ 提督「あ、あのあの…」オロオロ 日向「まずは落ち着いてくれ」 提督「す、すまん……君が、新しく建造された子でいいのかな?」 日向「うむ。伊勢型戦艦2番艦、日向。呉で朽ち果てる迄、戦うつもりだ。これからよろしく頼む。君がこの鎮守府の提督でいいのだな?」 9 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 19:59:19.61 ID:DbcjVUpn0 提督「うん、よろしく」 日向「随分若そうに見えるが」 提督「まあ、最近この鎮守府を任されたばかりだから。だから、君がこの鎮守府初の戦艦だ!期待してるよ」 日向「ああ。君の期待に沿えるよう、随時努力しよう」 提督「いやぁ、頼もしいなぁ」 10 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 20:05:21.16 ID:DbcjVUpn0 妖精「日向は木の葉にて最強…」ボソリ 日向「え?」 妖精「……」 日向「気のせいか…?」 提督「ここの妖精さんは、ちょっと変わってるみたいだから、まあ、多少は大目に見てやってくれ」アハハ… 日向「……」 日向(見たところ、この提督は厳格な人間には見えないが…どうなることやら…) 11 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 20:13:27.13 ID:DbcjVUpn0 ―――――――――――― 提督「早速で悪いんだけど、日向には、この鎮守府付近の警備をしてほしいんだ」 日向「警備、だと?随分と私も甘く見られたもんだな」ムスッ 提督「別に日向の力を見くびってるわけじゃないよ。さっきも言ったけど、日向が来るまでうちに戦艦はいなかったから、近海を守るのも大変だったんだよ」 日向「他の艦はどうなんだ?」 提督「流石に駆逐艦に無理はさせられないでしょ。艦娘とはいえ、俺よりも一回りも小さい女の子なんだ」 日向「…随分と優しいのだな。提督としては甘いのではないか?」 提督「そんなことはないさ。誰だってそうする、だから俺だってそうする」 日向「…そうか。まあ、いい。君がそのように考えていたのなら、警備くらいお安い御用だ」 提督「ああ、ありがとう」 12 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 20:20:36.73 ID:DbcjVUpn0 日向「終わったぞ」 提督「おお、お疲れ。どうだった、近海は?」 日向「まあ、深海棲艦はいるにはいたが、あの程度なら何ら問題はないさ」 提督「そうか。ありがとな、日向」ナデナデ 日向「…子供じゃないんだ、撫でるのはやめてくれないか」 提督「おっと、すまん。つい癖でな」パッ 日向「あのな、私たちは君よりも一回り小さい女だと君は言うが、これでも兵器だぞ?あまりそういうことをするのは感心しないな」 提督「そういうものかな?日向は気にしすぎだよ。俺からしたら、日向も駆逐艦も一緒で可愛い女の子だよ。いや、小娘みたいな意味じゃなくてな?」 15 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 20:28:54.46 ID:DbcjVUpn0 日向「…」 提督「俺なんかここにこもって何ができるわけじゃないんだ。せめて、励ましたり、褒めたり、できることをしたいんだ」 日向「……やはり優しいな、君は」 提督「駄目かな?」 日向「まあ、悪くはないのかも…しれないが…」 日向(そうは言っても、所詮、私たちは兵器だ…そのことをわかる日が、きっと来るさ…) 16 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 20:35:57.68 ID:DbcjVUpn0 ――――――――――― 提督「――っ!日向!!」 日向「………どうしたのだ……随分と…騒がしい、ぞ」ボロッ 提督「どうして退却しなかったんだ!?もう少しで、お前は―――」 日向「轟沈…していた、か?」 提督「そうだ!ただでさえこの沖の島海域は危険だと通達は来ていたんだ!無理はするなと出撃前に言ったはずだ!」 日向「無理など…していないさ。大破していたのは私だけだ。……他の艦は問題…なかった」 提督「それはお前が他の艦をかばいながら戦ったからだ!とにかく入渠してこい!話はそれからだ!」 17 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 20:43:37.69 ID:DbcjVUpn0 日向「ふぅ…すまないな、またせて。それで、君は私に言いたいことがたくさんありそうだが」 提督「当たり前だ。どうして大破進軍をした」 日向「先ほども言っただろう?私以外の艦はほぼ無傷だった。よって、進軍は可能だと判断した」 提督「そんなことが聞きたいんじゃない!どうしてお前は自分をないがしろにしたんだと聞いているんだ!」 日向「あのな…前にも言ったが私たちは兵器だ。人のような形をしていようと…人ではない」 提督「っ!」 日向「それに、私が轟沈したところで、君が私を建造したように、代わりはあとからいくらでも用意できるんだ。君が気にすることはない」 18 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 20:50:39.73 ID:DbcjVUpn0 ―――バチィッ 提督「……」 日向「……酷いじゃないか、女性の頬を張るとは」ヒリヒリ 提督「…自分を女性ではなく兵器だといったのはお前だ」 日向「そうだったな、これは失礼」 提督「俺は、お前らに代わりがきくなどとは思っていない」 日向「きくさ、資材さえあればいくらでも」 提督「きかない、きくわけがない」 日向「…前から思っていたが、君は甘いぞ。提督としては致命的なほどに」 19 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 21:02:16.97 ID:DbcjVUpn0 提督「俺なんか甘ちゃんでいい、無能でも構わない。でも…お前たちには沈んでほしくないよ」 日向「…」 提督「なぁ、どうして妖精さんはお前たちを艦娘として作ると思う?」 日向「はぁ?」 提督「いいから。どうしてだと思う?」 日向「…それは…わからないな」 提督「俺もわからない。だけどさ…妖精さんはきっと、お前達に幸せになって欲しいんだと思う」 20 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 21:11:14.35 ID:DbcjVUpn0 日向「…」 提督「戦時中、辛い思いをしてきたお前達だからこそ、艦娘として、一人の女の子として生まれて、幸せになってほしいから…だから、お前達に感情を持たせているって、そうは思わないか?」 日向「随分と…無茶なことを言うな」 提督「確かにそう思うかもしれない。艦娘を作る本来の目的は、深海棲艦と戦わせることだから。でも…俺は艦娘全員に幸せになってほしいんだ」 提督「だから…俺のいる鎮守府では、誰一人沈ませない。全員に幸せになってもらう。これは、上官命令だ」 日向「…私は、兵器だ。幸せなんて…わからないさ」 21 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 21:19:01.67 ID:DbcjVUpn0 提督「じゃあ、こうしよう」 日向「…」 提督「戦いが終わったら、みんなで旅行に行こう。たくさんの場所に行って、きれいな風景を一緒に見よう」 提督「たくさんのおいしいものを食べよう。俺の地元に、おいしいラーメンの店があるんだ。皆に紹介したいほどの、飛び切り旨い奴だ」 提督「たくさん遊ぼう。トランプだって、オセロだって、将棋だっていい。きっと、何か気に入るものがあるはずだ」 提督「だから…俺は一緒に、みんなの幸せを探すから、絶対にその時が来るまで沈むんじゃない」 日向「…!!」 提督「それじゃ、不満かな?」 22 名前:そろそろ規制が… ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 21:27:23.34 ID:DbcjVUpn0 日向「……君は」 提督「ん?」 日向「君は本当に甘ちゃんだな…台詞だって臭すぎる…」 提督「はは、まあいいじゃないか」 日向「若いくせに、口だけは達者だ…」ツツー 提督「俺の意地にかけて、本気で実現して見せるさ。ほら、涙をふきなさい。涙を見せるのは、戦いが終わってからでいい」 日向「ああ。そうだな…」グイッ 提督「よし!今夜は飲もう!それがいいな!」 日向「提督…」 提督「なんだ?」 日向「すまなかった」ペコリ 23 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 21:36:50.43 ID:DbcjVUpn0 提督「…いいよ、気にすんな」ナデナデ 日向「!」 提督「おっと、すまん。つい」 日向「いい」 提督「え?」 日向「撫でられるのも、悪くない。続けてくれ」 提督「…」ニコッ ナデナデ 日向(温かい…手だ…) 提督「なんか顔赤いぞ?大丈夫か?」 日向「…!き、気のせいだ」 提督「…そっかなぁ」ナデナデ 日向(幸せ…か……) 25 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 21:49:08.35 ID:DbcjVUpn0 ――――――――――― ペラッ ペラッ 提督「あー…これは…………覚悟は、しないといけないな」 コンコン 日向「日向だ。入っても?」 提督「ああ、構わんぞ」 ガチャ 日向「失礼する」 提督「…おぉ」 日向「どうだ?」 26 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 21:54:35.47 ID:DbcjVUpn0 提督「いやぁ、こうしてみると凄いなあ。妖精さんの頑張りが伝わるようだ」 日向「ああ。これで艦載機も前よりもたくさん載せることができる」 提督「そうだな。じゃ、改めて…日向。改造、おめでとう」 日向「ああ、ありがとう」 提督「しかしすごいな…妖精さんはなんて?」 日向「日向は木の葉にて最強…とは言っていたが、なんのことやら」 提督「木の葉は関係ないけど、現時点でこの鎮守府最高の戦力だよ、お前は」 日向「…少しずつだが、ここの艦娘も増えてきたな」 提督「ああ。金剛、榛名、扶桑…彼女たちが来てくれてからこの鎮守府もにぎやかになったもんだ」 日向「君は随分と彼女たちに鼻の下を伸ばしているようだがな」ジィー 提督「は、はて?なんのことやら」 日向「…まあいいさ」 提督「ヤキモチか?」ニヤニヤ 日向「そんなわけないだろう!全く…」 27 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 22:02:39.87 ID:DbcjVUpn0 提督「すまん、冗談だ。お前が俺にヤキモチ妬くはずがないもんな」 日向「…唐変木め」ボソッ 提督「よっし、今夜は改造祝いだ!飲もうか」 日向「ああ、それもいいだろう」 提督「どうせならみんな呼ぼう!それがいいそれがいい」 日向「……」ジーッ 提督「…?」 日向「君は、わかっててやっているだろう?」 提督「なにが?ちょっと待ってろ、すぐ呼んでくるから」 日向「はぁ…」 提督「…なんてなっ!ほら、こっち座れ。二人で飲もうぜ」ニヤニヤ 日向「なっ!やはりわかっていてからかっていたんだな!」 提督「もう付き合いも長いんだ、かんがえている事くらいすぐわかるよ」 日向「…」 提督「どうした?」 28 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 22:10:36.29 ID:DbcjVUpn0 日向「君が私の考えをわかるというなら…私だって君の考えくらい、わかるさ」 提督「…?」 日向「別にとぼけた顔を繕わなくてもいい…何か不安なことがあるのだろう?」 提督「…さぁ?もし心配そうに見えたとしても、お前に言うようなことじゃないさ」 日向「……」 提督「ささ、早くこっち座れ!今日はいい酒出してやるから!」 日向「…まあ、君がそういうのなら無理には聞かないさ…」 提督(今は、これでいい。こいつのためにできることは…なんだって…) 29 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 22:17:07.98 ID:DbcjVUpn0 日向「すぅ……」 提督「……」 ナデナデ 提督「お前、意外とお酒弱いんだよな」 ナデナデ 提督「…うん」 スタッ 提督「おやすみ、日向」 スタスタ バタン 提督「妖精さん?作ってほしいものが、ふたつほど」 31 名前:前回食らいました…eモバイルだけあるみたいです ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 22:27:46.84 ID:DbcjVUpn0 ―――――――――――――― 金剛「hey!提督!」 提督「どうした、金剛」 金剛「そろそろ秘書官を私にしてほしいデス!日向ばっかりズルいですよ!」 提督「そうは言ってもなあ…秘書官の仕事なんて面倒なだけだぞ?」 金剛「それでもいいネ!提督とお仕事したいデス!」 提督「うーむ…」 榛名「提督、榛名も秘書官の仕事、してみたいです」 提督「榛名もか?全く…こまったなあ」 榛名「榛名は大丈夫ですから!」 提督「何がだよ…」 榛名「何だってしますから!」 金剛「ン?」 34 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 22:37:48.32 ID:DbcjVUpn0 提督「なんのこっちゃ…」 扶桑「あ、あのう…」 提督「扶桑…まさか」 扶桑「はい。…日向には負けたくないので」 提督「別に秘書官になったら勝ちじゃないだろ…」 扶桑「い、いえ…そういうことではなく…あの、その…」 提督「…?はあ。で、どうなの?日向?」 日向「却下だ」 金剛「why!?」 榛名「あ、あんまりです!横暴です!」 扶桑「むむむ…」 35 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 22:44:01.68 ID:DbcjVUpn0 日向「秘書官なんて、大変なだけで何も得るものはないぞ?」 金剛「で、でも」 日向「金剛は事務書類の漢字は読めるのかな?」 金剛「oh…」 榛名「榛名なら!」 日向「秘書官なら、晩酌くらいは付き合わないとな。榛名は確かお酒飲めないだろ?」 提督(お前も大して強くないけどな) 扶桑「なら私なら!」 日向「却下」 扶桑「話すら聞いてもらえないなんて…不幸だわ」 日向「私に勝つのだろう?強引に奪って見せろ」ニコリ 37 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 22:49:26.44 ID:DbcjVUpn0 提督「…なんだか、お前も変わったな」 日向「そうか?」 提督「もちろん、初対面のときとは言わずもがなって感じだけど、他の戦艦の子が来てから、また雰囲気が柔らかくなった。いい傾向だよ」 日向「そうだろうか…まあ、君が言うのだからそうなのかもしれないな」 提督(そう…それでいい。もう、俺がいなくても―――――) バンッ 青葉「司令官!」 提督「!?」 青葉「本部から緊急の通達です!とにかく早く目を通すようにと!」バサッ 提督「…!ついにか…」 日向「何があった!」 提督「日向、至急みんなを集めてくれ。全員だ」 日向「……ああ」スタスタ ガチャ バダン 金剛「提督…」 提督「お前らは装備を整えておけ。一番いいの乗せとけよ」 提督(思っていたより早かったな…まあ、これも仕方のないことかな) 38 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 22:56:07.03 ID:DbcjVUpn0 ―――――――――――――― ザワザワ 提督「静かにしろ。先ほど、本部より通達があった」 提督「現時点でこの鎮守府を廃棄。艦娘は、全員本部へと向かうこと、以上だ」 日向「…!」 榛名「提督!どういうことですか!」 提督「話は簡単だ。最近、深海棲艦に各地方の鎮守府がやられている。簡単に言うと押されているんだ。このままではジリ貧だが…本部が、深海棲艦の本拠地らしきところを発見した。中央に戦力を集中させ、一気に形成を覆すこと…これが今回の目的だ」 金剛「提督は!?」 提督「俺は後から陸上を経由して本拠地へ向かう。全員、直ちに出撃準備をしろ!お前たちは海を渡って本拠地に向かうんだ」 扶桑「あの、提督」 提督「なんだ」 扶桑「また、みんなでここに戻ってこられますよね?」 提督「…当たり前だ!沈むことは俺が許さんぞ!全員生きて帰ってこい!いいな!」 「はいっ!」 39 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 23:01:29.74 ID:DbcjVUpn0 提督「…ふぅ、やっぱり慣れないなぁ。あんなに強い口調で話すの」 日向「…提督」 提督「なんだ、まだ残っていたのか。早く準備をしろ」 日向「何を隠している?」 提督「何が?」 日向「っ!」 ガシッ 提督「…なにするんだ。離してくれ」 日向「…君の」 日向「君の表情を見れば、考えている事なんてわかるといったはずだ!」 提督「嘘だな。考えていることがわかるなら、俺に聞かなくてもわかるだろ?」 日向「違う!そういうことが言いたいのではない!」 提督「…ちょうどいいや、どっちにせよ、お前には話もあったしな」 日向「…話?」 提督「話の前に離してくれ。…いや、ギャグじゃないぞ?」 日向「わかっているよ…」パッ 40 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 23:07:11.12 ID:DbcjVUpn0 提督「それじゃ。日向…皆のことをよろしく頼む」 日向「ああ」 提督「前にも言ったが…俺は艦娘には幸せになってほしいんだ。全員、絶対生きて返してくれ」 日向「ああ」 提督「それから…これを」ゴソゴソ 日向「…!」 提督「お守りだ。照れ隠しで隠していたが、お前にはすべてばれていたようだな」スッ 日向「…これ、は?指輪…か?」 提督「まあな。妖精さんにお守りって言って作ってもらったんだけど、まさか指輪にするとはなぁ」 日向「……」 提督「おいおい、泣くなよ。今生の別れでもないんだぞ?あくまでもお守りだ。それに、前にも言ったろ?涙を見せるのは、戦いが終わってからでいい」 日向「ああ…わかっている」ゴシゴシ 提督「……あれっ?あれなんだ?あの天井の」ビッ 日向「え?何処に……!」 チュッ 提督「………ふぅ、ごちそうさま」 41 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 23:12:17.06 ID:DbcjVUpn0 日向「き、君はっ!」 提督「…絶対生きて帰ってこいよ。絶対だ。そしたらお前ら全員俺が幸せにしてやる」 日向「…言ったな?武士に二言はないぞ」 提督「そりゃ責任重大だな…ははっ。じゃあ早く準備をしてこい」 日向「ああ。だがその前に…」ガシッ 提督「うおっ!?」 チュッ 日向「お返しだ。負けっぱなしは気分が悪いからな!では」スタスタスタ 提督「…やられたなぁ」 42 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 23:16:48.00 ID:DbcjVUpn0 日向「よし!皆、準備はできたな!」 金剛「提督、おいしいティーを用意して待っててネ!」 提督「ああ、もちろんだ」 榛名「提督、榛名、絶対に生きて帰りますから!帰ったら一緒にお酒飲みましょう!」 提督「お前の下戸に付き合うのも悪くない。約束するよ」 扶桑「あの…提督?帰ったら、一緒に食事でも行きましょうね?」 提督「ああ。おいしい飯屋を探しておくから、期待してくれ」 日向「…」ジッ 提督「…行ってらっしゃい」ニコリ 日向「…ああ!」 日向「では、出撃するぞ!くれぐれもはぐれるなよ!」 提督「…行っちまったか」 43 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 23:21:38.77 ID:DbcjVUpn0 ヒョコッ 妖精「ン?ンーン?」 提督「ああ、妖精さん、準備お疲れ。色々ありがとな」 妖精「ン」 提督「…普通にしゃべれるの知ってるから、普通にしゃべったら?」 妖精「………じゃあ、そうしようかな。でも、提督さんはいーの?」 提督「なにが?」 妖精「逃げなくて。本当のことみんなに言わなかったでしょ?」 提督「本当のことは言ってないけど嘘の事も言ってないさ。本部に艦隊を集めるように言われてたのは本当だし」 妖精「もうすぐ、来るよ」 提督「知ってる。だから、ここで最後の仕事だ」 妖精「全部やったげるのになぁ」 提督「おいおい、ここに配属されてからの相棒だろ?一人にはできないよ」 妖精「いいのに」 提督「いやぁ、車とかないし…今から逃げたところで、ねえ?」 妖精「それもそっか」 44 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 23:27:47.25 ID:DbcjVUpn0 提督「…日向は木の葉にて最強、ねぇ」 妖精「うん!…日向ちゃんなら、ちゃんとあの子たちを守ってくれるよ。…保険も付けたしね」ニヤリ 提督「あいつ、いきなり強くなって、びっくりするかな?まさか指輪に秘密があるとは思うまい」 妖精「ふふっ♪さしずめ、あれは結婚(仮)ってとこかな。提督が今から全力で逃げてくれれば(仮)も取れるんだよ?」 提督「残念。それは一生取れそうにないな。…本当に残念だ。微妙に赤くなったり青くなったり、あいつの表情もようやくわかるようになってきたんだけどなぁ」 ドカーン ドカーン 提督「うわっとと……やっとお出ましか。あれが噂に聞くたこ焼き?初めて見るな」 妖精「…どこまでひきつける?今ので結構やられたっぽいけど」 提督「そうだなぁ、どうせならもっとひきつけようか」 45 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 23:30:51.17 ID:DbcjVUpn0 スッ 妖精「はい…ボタン」 提督「さんきゅ。……うわー、これは壮観だ。あいつら、確か姫とか鬼とか呼ばれてたっけ?」 妖精「鎮守府ひとつ潰そうってんだから、そりゃ気合も入るよ」 提督「それもそうかもな…。よし、覚悟はいいか?俺はできてる」 妖精「うん…大丈夫」 提督(すまないな…日向。お前との約束、守れそうにないよ。でもさ…今のお前なら、きっと自分で幸せを掴める。そう、信じてるから…) 妖精「……」ギュッ 提督「…じゃあな――――」ポチッ ―――――――――――――――――――――――カッ!! 46 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 23:36:37.08 ID:DbcjVUpn0 ――――――――――――――――― 日向「久しぶりだな、提督」 かつて鎮守府があって、今はなにもないこの場所で手を合わせる。…ここに来ようと思うまでは何年もかかってしまった。 日向「約束通り、全員生還したが…そういえば君はあの時、自分が生きるとは一言も言ってなかったな。まんまと私は騙されたわけだ」 帰還した私たちを向かえたのは、あの甘っちょろい提督ではなく、一枚の紙切れ。 みんな泣いていたのだろうか。私はその時のことをあまり覚えていない。周りを見ることもできなかった。 日向「ほかのみんなは幸せに暮らしているよ。みんな、もう兵器などではなく、ただの女の子だ。かくいう私も艤装を外されて、女の子デビューを果たしたがな」 もうみんな、戦いの事は忘れて、個人個人幸せに生きている。もちろん、それは喜ばしいことだ。 日向「だが、不思議なことに、私だけ時が止まっているみたいなんだ。この指輪を捨てることもできない。…これも、ただの指輪ではなかったのだろう?」 事の顛末は聞いている。本部が発見したのは、敵の本拠地だけではなかった。私たちの鎮守府へ近づく、おびただしい数の深海棲艦も発見していた。 もちろん提督にも逃げるように通達は来ていたらしい。だが…私達の鎮守府を中継にして燃料や弾薬を補給し、本部に攻め込む予定だった敵の主力を、馬鹿と妖精は身を挺して止めたのだ。 日向「嘘つきめ…。また…来るから」 47 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 23:38:34.13 ID:DbcjVUpn0 「ごめんな」 日向「…!」 「大丈夫、時間はかかるかもしれないけど、お前ならきっと幸せを見つけることができるさ」 日向「…っ!何を言うんだ…きみは…」 「泣くなよ。お前の戦いの本番は、これからじゃないか。俺の愛した戦艦は、そんなにやわじゃないはずだ。…指輪は、ここに置いて行けよ。辛くなったら…いつでも俺はここにいてやるから」 日向「っ…………!」 ザザーン ザザーン 日向「この、このっ!大嘘つきめ!」ブンッ 48 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 23:40:02.68 ID:DbcjVUpn0 ―――ザザーン ザザーン 「それでいい…それでいいよ。ありがとな…さようなら…日向」 日向「ああ……さようなら、あなた」 きれいに澄んだ、彼が守った青い海。 そこから吹く風に乗って、彼の甘っちょろい声が聞こえたような、そんな気がした。 おわり 49 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 23:42:18.68 ID:DbcjVUpn0 王道を征く(ありがちとは言ってはいけない)このノンケss、いかがだったでしょうか 当初はヤンデレで書こうと思ったんですが、着任から書いてたらそんな気はなくなってしまいました。 因みに、日向の資料集めにあたって、薄い本から1フレーズだけいただいてきた部分があります。 54 名前: ◆3UO.XRpYJ2[saga] 投稿日:2014/12/07(日) 23:52:26.44 ID:DbcjVUpn0 今回は本当に疲れました。さて、次にssを書くとすると多分次の土日になると思うんですが、 1…ヤンデレssに戻る 2…王道を征く 3…提督「鈴谷といちゃいちゃするふりをして熊野の話ばかりしてみる」 どれを書こうか考えてます。もしよろしければ、道を示していただければ… 60 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2014/12/08(月) 00:41:48.33 ID:quSrLQUAo 過去作教えてけろ 62 名前: ◆3UO.XRpYJ2[sage] 投稿日:2014/12/08(月) 01:20:01.19 ID:sOHyIL0M0 >>60 しょうがねえなぁ(悟空) 提督「ヤンデレ?」168「……」青葉「……」 https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417522246/ 提督「ヤンデレ?」大井「……」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417174813/#footer あとはとあるss投稿サイトで加賀と大井と青葉ばっかり出てくるss書いてました。