のび太「ドラえも〜ん!」 1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/26(金) 23:50:15.86 ID:pebdteFAO ドラ「……」 のび太「…、どうしたのドラえもん」 ドラ「抱きついてこないという事は、その時間(ひ)だと気付いたのですね」 のび太「ど、どうしたのドラえもん? その日ってどういうこと?」 ドラ「綺麗に言えば、目覚めの時間(ひ)というところでしょうか」 2 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/26(金) 23:54:17.95 ID:pebdteFAO のび太「目覚め?」 ドラ「のび太クン…。えぇ、今はまだのび太クンとお呼びします。私がこの世界に居ることが当たり前になってはいますが、不自然に思ったことはありませんか?」 のび太「何が不思議なのさ」 ドラ「なぜ、貴男の下にしか、未来のロボットがやってこないのか」 3 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/26(金) 23:58:44.27 ID:pebdteFAO のび太「それはセワシが…」 ドラ「そもそも、未来から過去に戻ること自体、時間改変になると思いませんか?」 のび太「それはポケットの道具で、よくわからないけど、なんかしてるんでしょ?」 ドラ「いいえ、のび太クン。未来から過去には戻れないんですよ」 4 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:01:55.19 ID:stSwUomAO のび太「じゃあ、ドラえもんは何なのさ。一緒に過去に行ったりしたじゃないか!」 ドラ「あれは創られた擬似空間です。偽物です」 のび太「ウソだ!」 ドラ「ウソではありません。偽物という事実は変わりません」 のび太「ウソだよ。じゃああれは何だったのさ!」 5 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:06:07.58 ID:stSwUomAO ドラ「のび太クン、君のために用意したものです」 のび太「そんな必要、何であるのさ…?」 ドラ「貴男の経験を劣化させないため」 のび太「劣化?」 ドラ「そう、貴男は長い休みを必要としていた。それに伴う貴男自身の劣化を避けなければならない」 6 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:10:02.20 ID:stSwUomAO のび太「ボクに、休みが必要って?」 ドラ「えぇ、とても長い休みを必要とされていました。その為、貴男は貴男のために準備をした」 のび太「…、もういいよ。ドラえもん、疲れてるんだろう?」 ドラ「私に疲労というものは存在しません」 のび太「……」 7 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:13:04.96 ID:stSwUomAO ドラ「核心に入りましょう。私は猫型ロボットですらありません」 のび太「じゃあ何だって言うのさ」 ドラ「この世界で貴男をナビする為に、都合よく少し不思議な存在として生まれた。概念とでも呼びましょうか」 のび太「よくわかんないよ」 ドラ「妖精みたいなものですよ」 8 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:16:32.91 ID:stSwUomAO のび太「よくわかんないけど、そんな存在なんだね」 ドラ「その程度の理解で結構です。言い換えれば、私はどのような存在にも成れます」ザッ のび太「うひ、先生」 ドラ「貴男にはインパクトのある存在に変わってみました」ザッ のび太「それは、秘密道具なんかじゃないんだね」 9 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:20:15.25 ID:stSwUomAO ドラ「次はのび太クン、君自身です」 のび太「ボク?」 ドラ「貴男の特技は、射撃、あやとり、早寝ですね?」 のび太「そうだよ?」 ドラ「この部屋には射撃に該当する道具はありません。また、日本という法治国家では、その類(たぐい)のものを所持するのは許可制です」 10 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:24:27.71 ID:stSwUomAO のび太「輪ゴム鉄砲が良く当たることがそんなに不思議かな」 ドラ「貴男が擬似空間と言えど、各地で活躍した際、秘密道具を使っての高度な射撃はただの少年では、有り得ないのです」 のび太「秘密道具だからじゃないの?」 ドラ「秘密道具によって発生する結果は管理しますが、結果そのものを強制はしていません」 11 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:29:32.54 ID:stSwUomAO のび太「……」 ドラ「次に早寝ですが、通常状態で数秒の間によるレム睡眠へな以降は、ほぼあり得ません」 のび太「そうなの?」 ドラ「眠りそのものを、身体も段階を追います。簡単に素早く眠れることを、常時平然と行えるものではありません」 12 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:32:58.34 ID:stSwUomAO のび太「ボクは、おかしいの?」 ドラ「いいえ、その眠りの管理は私自身が行っていたものです」 のび太「え、ボクを眠らせてたの?」 ドラ「貴男が意識のある状態では、情報の処理を行うことは出来ませんでしたから」 13 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:36:53.83 ID:stSwUomAO のび太「…、ねぇ、ドラ」 ドラ「気付きましたか。そうです、そもそも貴男が今まで過ごした世界そのものが、擬似空間です」 のび太「…、あぁ、わかってる。ドラ。ご苦労だった」 ドラ「貴男様のお役に立つことが至上の喜びです。マスター」 14 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:42:06.55 ID:stSwUomAO のび太「かなりの年月が経ったか?」 ドラ「2年、142日、13時、50分、12秒ほどです」 のび太「そうか。年老いた身体だからな。仕方ない」 ドラ「申し訳ありません」 のび太「良くやった方だ。しかし、良い夢だったな」 15 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:46:13.47 ID:stSwUomAO ドラ「私も、久し振りに感情豊かな貴男様を見られました」 のび太「そうだな。私のいない間、どうなっていた?」 ドラ「アンドロイド及び機械化兵団の連合の手により、南米の地を奪取に成功しています」 のび太「素晴らしい。ふふ、もう私は必要ないのではないかな?」 16 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:49:46.24 ID:stSwUomAO ドラ「御冗談を、生き残りの民達は、皆貴男の帰りをお待ちしています」 のび太「やれやれ、老人には優しくしてほしいものだ。そろそろ覚醒(ねむ)らなければならないが、転送はいつぐらいに終わる?」 ドラ「数分もあれば」 のび太「やれやれ、技術革新にはついていけんな」 17 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:53:23.84 ID:stSwUomAO のび太「……、ふぅ、培養液からの寝覚めは相変わらず最低だな」バシャバシャ 「マスター、お帰りなさいませ」 のび太「ただいま。君のアンドロイド隊が活躍したそうだな?」 「皆様の尽力あってこそです。我等はお助けしたに過ぎません」 のび太「謙遜するな、私は誇りに思う」 18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 00:58:14.37 ID:stSwUomAO 「もったいなきお言葉です。こちらをどうぞ」 のび太「ありがとう。身体を拭く間に空間電話を。あいつはまだ生きてるだろう?」 「ジャイアン三世様ですね、お待ちを………」 ジャイアン三世『こちら、ジャイアンさんせ……、のび太技師長、お目覚めになられましたか!』 19 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 01:01:35.88 ID:stSwUomAO のび太「うん、再生に時間を喰ってしまったよ。いない間、皆奮戦したみたいだね?」 ジャイアン三世「アメリカ大陸はほぼ取り替えました。現在、ヨーロッパ方面から、あのタコ野郎共に吠え面かかせてやるところです」 のび太「なるほど。我が日本はまだまだ先になりそうだな」 20 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 01:05:57.45 ID:stSwUomAO ジャイアン三世「…祖父とのび太技師長の祖国ですね」 のび太「何、まだ大抵の人間が祖国を取り返せてないんだ。優遇してはいけんぞ。冷静に、冷酷に、そして厳格に皆を護るため、確実に外星生物から地球を取り戻そうじゃないか」 ジャイアン三世「えぇ、それにそれが祖父の悲願であり、我がゴウダ家の願いです」 21 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 01:09:41.91 ID:stSwUomAO のび太「では復活報告は以上だ。こちらの連中にも、知らせなければならんからな」 ジャイアン三世「わかりました。今度の共同戦線、楽しみにしています」プツン のび太「はぁ、若いお前についてくの大変だってのに。ボヤキは歳だな、さて地上に向かうか」 22 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 01:13:59.03 ID:stSwUomAO 上るエレベーターの中、のび太は思う。 あのまま、夢の中に浸っているべきだったかな、と。 齢(よわい)はとうに100を越えたが、肉体は独自に開発した複製技術で30代を維持している。 こんなにしてまで、戦い続ける理由を考えた時。目に映るのはあのタコ共に蹂躙される街と親しい友人達。 23 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 01:17:45.69 ID:stSwUomAO 生き延びたのは、ジャイアンと自分だけだった。皆、訳も分からず殺された。 避難船に乗り込み、遠くなる崩壊した町並みを見て思った。絶対に帰ってくると。 慣れない北米の地で、必死に勉強した。そしてジャイアンと共に戦闘技術を訓練した。 24 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 01:21:28.39 ID:stSwUomAO まだ幼かった。その時に万能なロボットを作り、過去に送り出せばあの悲劇は解消されるのではないか。その思いは時間という絶対の存在に阻まれた。 その代わり、アンドロイドという人類の新たな友を生み出すことができた。それだけが、のび太のわずかな救いだった。 25 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 01:26:20.80 ID:stSwUomAO 見た夢は子供の頃過ごした街と皆がいた。 ドラもわざわざドラえもんというロボットに称していたのは、自分の中に眠っていた未来から過去にロボットを送れないか、その願望を読みとったからなのだろうか。 のび太「ふふ」 夢物語に付き合ってくれたことに感謝して少し笑う。 26 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 01:29:54.63 ID:stSwUomAO エレベーターが上がりきり、ドアが開くと大量のフラッシュが焚かれた。 報道陣が自分の復活をニュースにするため、より映りがいいように場所の取り合いをしている。 のび太「皆ご苦労。あの外来種にヒドくやられたが、こうして復活できたよ」 27 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 01:33:20.02 ID:stSwUomAO 「すでにご存知か思いますが、南米の地は我々の手に帰りました。次はどこを目標にされるのですか?」 のび太「流石にトップシークレットだね。でも、すぐわかるさ」 そう言いながら、室内の外にでると、一般人の多くも駆けつけていた。 28 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2014/09/27(土) 01:39:15.35 ID:stSwUomAO 「のび太様だ!」 「復活なされたか! これで、安心だ」 「良かった…、良かった…」 その射撃技術で、多くの難所を切り抜け、民を守り続けた守護神の帰りを皆待ちわびていた。 のび太「皆、待たせたな。私が復活した以上、この勢いに乗り外来種共を一体残らず地球から追い出す。皆も引き続き協力してくれ!」 歓声が上がる。夢に浸れない現実が目の前にある。 これからも、のび太は戦場をかけ走る。 いつまで? 死ねるまで。 29 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage] 投稿日:2014/09/27(土) 01:41:40.51 ID:stSwUomAO これにてこのSSは終わりです。 他であったドラえもんの作品に触発されて即興書きですわ。 誤字脱字多いけど気にせんといて。