ハルヒ「もうちょっと奥にっ……あっ、違うもうちょっとだけ右……」 1 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◇UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:28:13.66 ID:ayCxzeb70 スカッ キョン「あっ」 ハルヒ「あっ」 キョン「……」 ハルヒ「……ヘタクソ」 コィーン キョン「…」 ハルヒ「……あっ、ちょっと奥すぎ……でもないか‥…」 キョン「…」 ハルヒ「んで……もーちょい……右、右……あっ……あっ、あー」 スカッ キョン「…」 ハルヒ「……はぁ……ダメね」 キョン「…」 ハルヒ「ほらなにぼーっとしてんのよ! もう一回! もーいっかい!」 キョン「…」 3 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:32:10.41 ID:ayCxzeb70 スカッ キョン「…」 ハルヒ「……はぁ……ダメね」 キョン「…」 ハルヒ「ほらなにぼーっとしてんのよ! もう一回! もーいっかい!」 キョン「…」 コイーン キョン「…」 ハルヒ「今度は左側に引っ掛けてみてから……」 キョン「あ、こうか、おぉ……こうだな……」 ハルヒ「一回で取ろうとするから失敗するのよ。だからそうやって……」 スカーッ キョン「…」 ハルヒ「……あれ」 キョン「かすりもしなかったな」 ハルヒ「……もーいっ」 キョン「もういいだろ! 勘弁してくれ!」 ハルヒ「ここまで来て諦めるって言うの? 許さないわよ、そんなのは!」コイーン キョン「おおおぉ……俺の100円が、ちょっ、せめて勝手に金を入れるのはやめてくれ!」 4 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:34:05.53 ID:ayCxzeb70 【数時間前】 ナンデモアリノー タノシイエキー キョン「貯金箱?」 ハルヒ「そ、貯金箱。貯金箱が欲しいのよ」 キョン「へぇ、そうか。買えよ」 ハルヒ「買うわよ。買うけど、買いたいのがないの」 キョン「買いたいものがあるけど、買いたくないので、買いたいものを探しているということか」 ハルヒ「いやそうじゃなくて、買いたいけど買いたくないのばっかりで買いたいから買いたい――」 キョン「あぁ、わかった。つまり欲しいデザインの貯金箱がないってことだな」 ハルヒ「あんたの理解力、どうなってるのよ!?」 キョン「最初からそう言えよ」 ハルヒ「そう言ってたわよこの鳥頭! ハッチポ○チステーションの再放送、終わっちゃったじゃない!」 キョン「いかん、また見逃した。グッチさんが外人の真似をしているトコまでは覚えているんだが」 ハルヒ「だいたい毎週そんな感じじゃない! って、どうでもいいわ! 貯金箱!」 5 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:35:08.45 ID:ayCxzeb70 キョン「貯金箱か……俺はいらないな」 ハルヒ「うん、聞いてないわよ。でもなんで?」 キョン「買うじゃん」 ハルヒ「買うわね」 キョン「小銭を入れるだろ?」 ハルヒ「入れるわ」 キョン「するとこう……開けたくなるんだ……すぐにな」 ハルヒ「うわあ」 キョン「いや、なんとなく貯金できるときもあるんだぞ?」 キョン「しかしだんだん……高額な硬貨からなくなっていって」 ハルヒ「…」 キョン「最後は一円と五円玉ばっかりしか残っていないんだ。怖いだろ」 ハルヒ「怖いわね。あんたが大人になったときの貯蓄額が」 キョン「そういう話はやめろ!」 6 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:36:11.14 ID:ayCxzeb70 ハルヒ「でね、さっきいいのを見つけたのよ」 キョン「ん?」 ハルヒ「これこれ。なんかね、ゲーセンの景品なんだって」 キョン「プライズか……フィギュアとかじゃなく、貯金箱もあるんだな」 ハルヒ「ねー。景品で可愛いのないかなーって、探してみたらあるもんなのね」 キョン「あぁ、お前のせいか……」 ハルヒ「?」 キョン「なんだ、携帯の充電が少ないな」 ハルヒ「んー、テレビ観たりしてたし、こんなもんじゃないかしら?」 キョン「あ、そろそろピタ○ラスイッチが」 ハルヒ「もういいわよ! なにここ、託児所?」 7 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:37:09.76 ID:ayCxzeb70 オトーサンスイッチ オジイチャンモカッッッ!!! ハルヒ「…」 キョン「…」 ハルヒ「あれ、作ってみようかしら」 キョン「親父にやらせるのか」 ハルヒ「なに言ってるの。キョンがやるのに決まってるじゃない」 キョン「あれ? 俺ハルヒのお父さんだっけ??」 ハルヒ「キョンくんすいっち、や!」ポチー キョン「ヤ行かよ。選択肢あんまねえな」 ハルヒ「や!」 キョン「え、えー……」モゾモゾ ハルヒ「? ……?……あ、焼き討ち?」 キョン「なんでだよ。怖いわ」 ハルヒ「焼畑農業?」 キョン「そうだとしたら俺の表現力とおまえの認識力は異常だ」 ハルヒ「じゃあなによ! わかんないわよ!」 キョン「野球だよ。ほら、三塁線ギリギリのバントをファールゾーンに切れるまで見送る選手の――」 ハルヒ「あんたやっぱりバカだわ」 8 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:37:55.23 ID:ayCxzeb70 ハルヒ「えーと……」 キョン「ぐぬぬ」ピュイーッ ハルヒ「ゆ……ゆ……」 キョン「ぐぬぅ」ピュー ハルヒ「ゆっくりしていってね!」 キョン「最近みないな……いやそうじゃなくて、指笛だ」 ハルヒ「いい齢して指なんか咥えて……ばっちいわね」 キョン「おまえがやれっていうからやったんだぞ」 ハルヒ「でも上手かったわよ。なんで?」 キョン「さあ? やってみたらできた」 ハルヒ「あむ」スィー キョン「ぜんっぜんできてないな……」 ハルヒ「…」フヒィー 9 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:39:38.73 ID:ayCxzeb70 ハルヒ「キョンくんすいっち、よ!」 キョン「よ……よ、ょ……」 ハルヒ「…」 キョン「……なにも思いつかん……」 ハルヒ「ボキャブラリー少ないわね〜」 ハルヒ「よっ」ポフッ キョン「?」 ハルヒ「よっ、よー」モゾモゾ キョン「なんだよ? ……あ、寄り倒しか。はいはいはっけよいはっけよい」 ハルヒ「よ・り・か・か・り! 寄り掛かりよ!」 キョン「お・も・い・ど・け! 重いから寄りかかってくるな!」 ハルヒ「なっ、重くないわよ! むしろ軽いわよ! いや、どうでもいいわ! 貯金箱の話はどこに行ったの!?」 キョン「結構ノリノリだったじゃないか」 10 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:41:30.11 ID:ayCxzeb70 ハルヒ「というわけで、今からゲームセンターへ行きます」 キョン「おい、そういえば俺達以外のSOS団団員はどこへ行った」 ハルヒ「さあ?」 キョン「さあって」 ハルヒ「あ、有希。ほら、外」 キョン「ん?」 ハルヒ「何やってるんだろ……スコップ?」 キョン「あれは……ドラム缶?」 ハルヒ「あんなところに穴なんか開けて……何かな?」 キョン「あのドラム缶、何か入ってないか?」 ハルヒ「よく見えないわね。んー……あれは……」 キョン「……古泉……」 ハルヒ「み、みんな、みんなちょっと今日は用事があるみたいね!」 キョン「そうだな、お、おう! そうだそうだ! これは仕方ない! 二人で出かけようすぐ出かけよう!」 ハルヒ「そういえばみくるちゃんは――」 キョン「生徒会! 生徒会の仕事だ! 多分! 生徒会に入っていなくても、多分そうだ!」 12 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:42:46.90 ID:ayCxzeb70 【ちょっと前】 ハルヒ「うーん……あ、あった!」 ハルヒ「キョンほら、あったわよ! って、あいつどこに?」キョロキョロ モウイッカイアソベルドン! キョン「うぉぉ」ポコポコ ハルヒ「」 ハルヒ「ちょっとキョン、あんたなにやってんのよ」 キョン「あっ、こら邪魔だ! カッ!が出来ないだろカッ!が!」 ハルヒ「知らないわよ! なによあんた、ブレザー脱いでまで……」 キョン「男はな、どんな状況でも全力投球するのが――」 ハルヒ「あ、ミスしてる」 キョン「あっ」 キョン「あとすこしだったのに」 ハルヒ「一人で来た時にやりなさいよ」 キョン「なんかその、それは……寂しい」 ハルヒ「いくじなし」 モウニドトアソブナドン! キョン「!? おい、なんか今凄く酷いことを言われた気が」 ハルヒ「気のせい気のせい、ほら、貯金箱見つけたから、こっちこっち!」グィグィ 13 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:44:37.91 ID:ayCxzeb70 キョン「これか。んー、思ってたよりなんか小さいんだな」 ハルヒ「そう? こんなもんじゃない?」 キョン「よし」 ハルヒ「ん」 キョン「……?」 ハルヒ「?」 キョン「ほら」 ハルヒ「なによ」 キョン「なにって……貯金箱」 ハルヒ「I know」 キョン「えっ? 何故に英語?」 ハルヒ「ほら、早く。早く取りなさいよ」 キョン「俺がかよ」 ハルヒ「当たり前じゃない! じゃあなんであんたを連れて来たのよ! ほらお金」 キョン「仕方ないな……俺も得意じゃないぞ」 ハルヒ「お金出して!」 キョン「それも俺が出すのかよ! なんだこれは! ただのカツアゲじゃないか!」 14 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:46:04.81 ID:ayCxzeb70 【>>1に戻る】 キョン「あぁぁ……ま、またミスった」 ハルヒ「あーもー、使えないわねぇ」 キョン「なあ、俺にも感情あるって知ってるか?」 ハルヒ「よし! 攻守交代よ!」 キョン「はぁ?」 ハルヒ「だからー、あたしが操作するから、あんたがアシストしてね!」 キョン「あぁそういう……なあ、これさ」 ハルヒ「なによ」 キョン「一人でやったほうが上手くできるんじゃないか?」 ハルヒ「何言ってるのよ! わんふぉーおーる、おーるふぉーわんよ!」 キョン「二人しかいねえよ。そもそも俺は強制的にやらされているわけだが」 ハルヒ「んもー、そんなのどうだっていいわよ。クレーンゲームの協力プレイは基本中の基本よ!」 15 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:47:26.67 ID:ayCxzeb70 ハルヒ「わかったわよ、今度はあたしのお金で」コイーン キョン「当たり前だ」 ハルヒ「そのかわり取れなかったら許さないから」 キョン「あれ? 協力の精神は何処に?」 キョン「もうちょい前に……あ、いや奥に」 キョン「で横に……あぁ、右か……そうそう」 キョン「あ、ちょっと行き過ぎてるな」 ハルヒ「ああああああ!!!」スカー キョン「!? なっ、大声出すなよなんだなんだ!」 ハルヒ「ヘッタクソ! ヘッタクソだわキョン! なにあんた、どんだけ説明が下手なのよ!?」 キョン「そ、そうは言われてもだな、なんか難しいぞこれは」 ハルヒ「もー、やっぱりだめ! あんたこっち! あたしそっち!」 キョン「わかった、わかったよ、すまんすまん……」 ハルヒ「あたし教える! あんた操作する! お金、出す! あたし、喜ぶ!」 キョン「ちょっと待てこら」 16 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 00:48:40.72 ID:ayCxzeb70 コイーン スカー コイーン スカー ハルヒ「…」 キョン「…」 ハルヒ「…」 キョン「もしかして俺達って……ド下手――」 ハルヒ「言わないで。辛くなるから」 キョン「…」 キョン「もうこれ、店員さんに言って落ちやすくしてもらったほうが」 ハルヒ「ダメよ。ほら、張り紙……ここはそういうの、一切しないって」 キョン「えっ、」 キョン「こういうのはなんというか、幾らか遊んでいたら動かしてくれるもんだと」 ハルヒ「ダメみたい」 キョン「……ちょっとハルヒ、店員さんに動かしてくれーって念じてみろ」 ハルヒ「は? なにそれ、無駄よ無駄! だってほら書いてるし」 キョン「あぁもう、決め付けはよくないぞ! というかなぜ今そんなおとなしいんだ」 ハルヒ「はいはい、いいからほら! 次、次!」 18 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 01:00:02.29 ID:ayCxzeb70 コイーン ハルヒ「…」 キョン「…」 スカッ ハルヒ「><」 キョン「><」 コイーン…… ハルヒ「あ、両替しなきゃ」 キョン「おいおい、幾ら使ったんだ」 ハルヒ「えーと……」 キョン「俺も小銭なくなってるな……両替しなきゃ」 ハルヒ「両替機は……あ、あっちか」 キョン「俺ちょっとトイレに行ってくるわ」 キョン「ふぅ……ん? あれ、ハルヒまだ戻ってないのか」 ハルヒ「」 キョン「うわっ! び、びっくりさせるなよ! 居るなら居るって――」 ハルヒ「」 キョン「なんだおい……どうした」 ハルヒ「……両替機じゃなかった……メ、メダルが……大量に」 キョン「うわあ」 19 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 01:09:56.99 ID:ayCxzeb70 ハルヒ「……これ、ここに入れちゃったらマズいかしら」 キョン「まずいなそれは」 ハルヒ「…」 キョン「とりあえず、店員さんに言って返金を――」 ハルヒ「ダメなの。こういうのって、増やしたメダルも返金してもわからないから……ダメ……なの……」 キョン「…」 ハルヒ「……ダメよ、ダメダメ……」 キョン「おいやめろ、悲しい」 キョン「うーん、仕方ない。じゃあほら、半分払ってやるよ。だから一旦それで遊ぼう」 ハルヒ「え? でも」 キョン「いいから。というか、ちょっと一回違うので遊びたい。恐らくこれは負のループに入っているぞ」 ハルヒ「そうね、わかった。じゃあちょっと違うので遊びましょ!」 キョン「そら、カバン忘れるなよ」 ハルヒ「とりあえずメダル持ちなさいよ! 重い!」 キョン「うわ! おまっ、これ……せ、千円札じゃないな!? 幾ら両替しに――」 ハルヒ「半分払うって、言ったわよね」ニコォ キョン「……後日払います……」 20 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 01:27:21.82 ID:ayCxzeb70 キョン「アイス食うか?」 ハルヒ「うん。えっとね、プリンのがあったらそれがいいわ」 キョン「プリンかー。俺もプリン食いたいから、別のにしてくれよ」 ハルヒ「あんたが違うのにしなさいよ!」 キョン「俺が買ってやるのに何故……」 ハルヒ「じゃあバニラ! で、持つトコがコーンのやつね!」 キョン「もうちょいそっちに座れよ」 ハルヒ「やだ、せまい」 キョン「こっちも狭いと。じゃあせめてカバンを下に置け」 ハルヒ「汚れるからやだ〜」 キョン「いやさっき足元に置いてただろ。……まあいいや」 ハルヒ「ねーちょっと、プリンのちょーだいよ」 キョン「ほら」 ハルヒ「あむっ……んー、いまいちね」 キョン「なっ……ハルヒのもちょっと食わせてくれよ」 ハルヒ「え? もうコーンしか残ってないわよ? それでもいいなら、ど〜ぞ!」 キョン「なんてことだ……」 キョン「…」 ハルヒ「…」 キョン「メダル、凄い増えたな」 ハルヒ「うぅ、さっきから小さい子供の眼差しが痛いわ……」 キョン「ちょっとあげて、あとはまた今度遊びにこようか」 ハルヒ「そーしましょうか。じゃあ、メダル預けてくるわね。キョンはさっさと仕事に戻る! はい、行けー!」 21 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 01:37:10.76 ID:ayCxzeb70 キョン「!」 ハルヒ「おまたせー。ん?」 ハルヒ「!!」 キョン「ない! ないぞ! 貯金箱がない!」 ハルヒ「!!!」 キョン「……俺達がメダルで遊んでいる間に、誰かが……」 ハルヒ「」 キョン「……おっ、店員さん」 店員「あ、これなくなってますね。補充しときますね、頑張ってくださいね〜♪」ガララ ハルヒ「」 キョン「おーい、ハルヒ。生きてるか〜?」 ハルヒ「」 キョン「……死んでる……」 ハルヒ「ちみちみ動かしたのに……元の位置に……」 キョン「しかも最初のと色が違うな」 ハルヒ「いや色はこっちのが好きだからいいけど……よくないわよ!」 キョン「きちっと元の位置だな、うーん。こういうのがあるから、難しいよなあ」 23 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 01:42:25.90 ID:ayCxzeb70 ハルヒ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」 キョン「ため息ながいな。カバのあくびみたい」 ハルヒ「バカに言われたくないわよぉぉぉぉぉぉぉぉ……」 キョン「しかしなんだ、俺も心が……」 ハルヒ「…」 キョン「どうするんだ。もう帰るか」 ハルヒ「…」 キョン「多分今日はもうダメだ。また明日にでも出直して――」 ハルヒ「嫌よ! もー決めた今決めたすぐ決めたわ! これ取るまで、今日は帰らない!」 キョン「なっ」 ハルヒ「キョンも帰さないから! ほらやるわよ!」 キョン「あーぁ意地になってるな……仕方ないな。でも次からは本気でやるぞ?」 ハルヒ「最初っから本気も本気よ! ほら、お金お金!」 キョン「えっ、やっぱり俺の金でやるの?」 24 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 01:47:43.60 ID:ayCxzeb70 コイーン スカッ ハルヒ「」 キョン「」 コイーン スカッ ハルヒ「><」 キョン「><」 コイーン スカッ ハルヒ「にしこり」 キョン「にしこり」 コイーン キョン「うぅ……取れなすぎて、一瞬妙な顔になった気が……」 ハルヒ「でもあとちょっとよ! ほら、かなり手前まで出てきたわ!」 キョン「これは奥からちょん、っと引っ掛けたほうがいいのか?」 ハルヒ「待って待って! 多分右隅から手前に」 モドリー キョン「( ∵ )」 ハルヒ「( ∵ )」 25 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 01:56:19.33 ID:ayCxzeb70 キョン「大変だ……もう、100円あと一枚しかないぞ」 ハルヒ「うぅ……」 キョン「もうほんとにほんとの最後だぞ……どうするんだ」 ハルヒ「ギリギリ取れそうなのに……」 キョン「これで取れなかったら諦めるんだな。また今度、一緒に来てやるから」 ハルヒ「待って! あたしがやる!」 キョン「? いいけど、俺の指示じゃ下手ってお前が」 ハルヒ「最後だから! ほらもうこうなったら願掛け! こうやって」モゾモゾ キョン「……狭い」 ハルヒ「ミスしたらキョンのせい、だからね!」モゾモゾ キョン「あぁもう、そこで動くな。顎に頭が当たって痛い……二人羽織みたいだな」 ハルヒ「いい? レバー、動かすわよ!」 キョン「おぅ、もうなんでもいい。最後だから集中して……」 26 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 02:04:48.32 ID:ayCxzeb70 ハルヒ「もぅ……ちょい、奥にっ……」 キョン「いや、このへんだ」クッ ハルヒ「! ちょっと、何勝手に」 キョン「ずっと操作してた俺を信じてみろって、ほら次」 キョン「あっ、ちょっと行き過ぎ――」 ハルヒ「ここっ!」ピタッ キョン「うわ、マズイだろ! 奥に行き過ぎて」 ハルヒ「ここでいいの! 横からみると、ちょっとだけ傾いてたから」 キョン「うぉぉ……だ、大丈夫か……」 ウィーン…… キョン「…」 ハルヒ「…」 コトンッ ハルヒ「!」 キョン「!!」 27 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 02:11:58.95 ID:ayCxzeb70 ハルヒ「!!!!」 キョン「やったぞハルヒ! 落ちた!」 ハルヒ「とれた! とれたわ! キョンとれた!」ピョンピョン  ゴンッ キョン「アゴッ!」 キョン「し、舌噛んだ……」 ハルヒ「やったやった! うーん! 良かった〜♪」 キョン「……まあいいか」 ハルヒ「キョン! ほら、貯金箱!」ニコニコ キョン「わかったわかった。はは、よかったなハルヒ」 ハルヒ「キョンも頑張ったわね! うんうん、褒めてあげるわ!」 キョン「はいはいどうも。ほら帰るぞ、中々恥ずかしいこれは」 ハルヒ「あ」 キョン「うわぁ……ちょっと小銭で重かった財布がこんなペラッペラに……ん? どうした?」 ハルヒ「ほら、あの子」 キョン「? あ、さっきメダルのトコにいた……なんか指咥えて、こっち観てるな」 ハルヒ「ちょっと行ってくるわ! キョン、先に外に行ってていいわよ!」タタタッ…… ハルヒ「おまたせ」 キョン「? 遅かったな。……あれ、貯金箱は?」 ハルヒ「……あのね……あれ、あげちゃったわ」 キョン「はぁ!?」 28 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 02:19:04.07 ID:ayCxzeb70 キョン「なっ、さっきの子供か!」 ハルヒ「うん」 キョン「お前そんな、なんでもかんでも他人にやるなよ! それにあれ、あんなに頑張って」 ハルヒ「怒ってる? そりゃ怒るわよね……ごめん」 キョン「……理由は。別に俺はかまわん、あれはハルヒのモノだし……でもちょっと怒ってるっちゃあ怒ってるぞ」 ハルヒ「さっきの子供もね。あの貯金箱欲しかったんですって」 キョン「だからって知らない子供にあげるのは」 ハルヒ「届かないのよ」 キョン「?」 ハルヒ「だから、ほら。子供の身長じゃ、クレーンマシーンに届かないの」 キョン「あ……そうか」 ハルヒ「だからね、欲しいけど遊べないから……ずっと観てたんだって。あたし達のこと」 キョン「…」 ハルヒ「知らない子供にあげるのはいけないかもしれないけど……それ知ってて、持って帰るのはあたしはちょっと……」 キョン「なんだよ珍しい。いつものハルヒなら、自分で頑張りなさい! とか言って、帰ってくるのに」 ハルヒ「だってほら、あたしもあれ……自分一人で頑張ったわけじゃないし、また今度とりにくればいいしね」 キョン「……ここで俺の金だぞって言うのも、野暮か……まあいいさ。そりゃそうだ、また来ればいいな」 ハルヒ「怒ってない?」 キョン「怒ってないさ。むしろなんかちょっといいことしたみたいで、気分がいいな。自己満かもしれんが」 ハルヒ「可愛そうだなから、今度何かプレゼントしてあげるわよ。さ、帰りましょ!」 29 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 02:25:33.73 ID:ayCxzeb70 【翌日】 キョン「おいハルヒ、ちょっと」 ハルヒ「? なによ」 キョン「これ」スッ ハルヒ「! 貯金箱!」 ハルヒ「え? なんで? あんたまさか、学校抜けて取りに行ってたの!?」 キョン「いやいや、ずっと居たよ学校に。というかさっきまでずっと一緒に居たろうが」 ハルヒ「じゃあなんで? あ、これ……最初取ろうとしてたやつとおんなじ色……」 キョン「俺らが離れた隙にな、朝比奈さんが来てたんだとよ」 ハルヒ「え?みくるちゃんが?」 キョン「ハルヒ、俺にあの貯金箱教える前に、朝比奈さんにも相談してたんだってな」 ハルヒ「そうね。ちょっとだけ話してたわ」 キョン「で、昨日。俺達がクレーンから離れているときに朝比奈さんが来て、これ……一回で取ったんだってよ」 ハルヒ「一回で……」 キョン「何も言うな。それは俺もちょっと悔しかったわ……でさっきすれ違ってな。俺から渡してくれってさ」 ハルヒ「…」 キョン「ほらよ。ハルヒにプレゼントだ」 ハルヒ「あ、ありがと。って、みくるちゃんに言わないとね」 キョン「そうだな。……うん、良かったな」 30 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[] 投稿日:2014/09/24(水) 02:30:42.71 ID:ayCxzeb70 ハルヒ「でもこれ、はい」 キョン「え?」 ハルヒ「キョンにプレゼント!」 キョン「いやお前、これは朝比奈がお前の為に」 ハルヒ「だってこれ、あたしの気に入った色じゃないもの!」 キョン「お前……」 ハルヒ「だ、か、ら! ほら、行くわよ!」 キョン「なっ」 ハルヒ「あたしのと、みくるちゃんのお返しも! 今日は昨日よりもっと頑張らないといけないわね!」 キョン「あ、そういう……やれやれ」 ハルヒ「あとはこうなったら、有希のと、古泉君のと……」 キョン「はいストップ、その辺にしとこう」 キョン「昨日の今日だからな。あんまりお金ないぞ」 ハルヒ「無理しない範囲でね! でもほら、協力してやればいいじゃん。昨日取ったときみたいに!」 キョン「またアゴに頭突きされるのか……」 ハルヒ「ほらほら、早く行かないと! また誰かに取られるかも!」グィー キョン「わかったわかった。なあでも、その前に何か食べに行かないか? なんか腹減って腹減って――」                                                   終わり。 31 名前:ハルヒはキョンの嫁 ◆UBgxfb/oXY[sage] 投稿日:2014/09/24(水) 02:32:24.56 ID:ayCxzeb70 このSSは、「協力プレイ」「指を咥える」「プレゼント」の3つのお題から作りました 久しぶりに頑張って書いたけど、楽しかったです! ではまたー!