井尻又兵衛「おや、お主は…」ロボとーちゃん「あっ、…へへ、どーも」  1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2014/06/28(土) 22:05:47.54 ID:SODT0vADo 又兵衛「これは驚いた…お主が何故ここにおるのだ」 ロボとーちゃん「えーと…はは、いやまあその」 ロボとーちゃん「…私がひろしだってよく分かりましたね」 又兵衛「そのようなくたびれた髭の持ち主なんぞヒロシ一人しかおらぬわ」 ロボとーちゃん「あー…はは、そうですね」 又兵衛「…しかし、お主がここにおるという事は」 ロボとーちゃん「…まぁ、そういう事ですよ」 又兵衛「…うむ、そうか」 8 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/28(土) 23:00:01.13 ID:SODT0vADo ごめん、ネタバレ注意書くべきだったわ 3 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/28(土) 22:20:47.41 ID:SODT0vADo 又兵衛「しかし久しぶりじゃのおヒロシよ」 又兵衛「お前たち家族との日々は、今になってもわしの宝物よ」 ロボとーちゃん「あー…大変でしたねぇ」 又兵衛「おかげでここに来てからは酒に困ってはおらぬ、なっはっはっは」 ロボとーちゃん「おっ!って事はもしかして…」 又兵衛「うむ、極楽は良いところじゃ」 又兵衛「毎日びいるが好きなだけ飲むことができるからのお」 ロボとーちゃん「おお〜!さっすが天国だぜ!」 又兵衛「どうだ、再会を祝って一杯」 ロボとーちゃん「あ、是非!」 又兵衛「うむ」 又兵衛「では、数千年振りの再会を祝って」 カンッ ロボとーちゃん「かんぱーい!」 カンッ 4 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/28(土) 22:28:13.43 ID:SODT0vADo 又兵衛「っか〜!美味い!」 ロボとーちゃん「んぐ、んぐ…くぅ〜!このために昨日まで生きてきた!」 又兵衛「おっ、お主上手い事を言いよる!」 ロボとーちゃん「はっはっは!伊達に35歳も生きてきてませんよぉ!」 又兵衛「そうかそうかがっはっはっはっは!」 ロボとーちゃん「あっはははははは!」 又兵衛「…ところでお主、何故尻から酒を入れておるのだ」 ロボとーちゃん「あいやこれはその…色々あったんですよ。色々!」 又兵衛「そうかそうか!生きいれば色んな事があるからなあ!はっはっはっは!」 5 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/28(土) 22:38:00.16 ID:SODT0vADo ロボとーちゃん「いや〜でも良かった!」 又兵衛「どうした薮から棒に」 ロボとーちゃん「ははは…俺、こっちの知り合いなんて指折りもいませんから」 ロボとーちゃん「又兵衛さんに会えて本当に良かった」 又兵衛「うむ、そうかそうか」 ロボとーちゃん「はははは」 又兵衛「ふぅ…」 又兵衛「…ところでヒロシよ」 ロボとーちゃん「あ、はい」 又兵衛「確か貴様と俺と出会った時、歳は35だと聞いておったが…」 ロボとーちゃん「……あっ」 又兵衛「…いや、すまん。余計な詮索であったな」 ロボとーちゃん「いえいえ」 ロボとーちゃん「…又兵衛さんの考えてらっしゃる通りです」 又兵衛「…そうか」 6 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/28(土) 22:51:23.40 ID:SODT0vADo ロボとーちゃん「でも、あっけないものですね」 ロボとーちゃん「これから一家の大黒柱として、妻一人と子供二人に犬一匹支えていこうと思っていたのに」 ロボとーちゃん「まさかこんなに早く…はは、逝っちまうなんてなぁ」 又兵衛「…みな、お主と同じ気持ちよ」 又兵衛「ここには恋人を、妻を、家族を置いて死んでしまった者たちで溢れておる」 又兵衛「それが故に未練を残し成仏出来ぬからこそ、こうやって上から世を見守っておるのだ」 ロボとーちゃん「へぇ〜。そうだったのか…」 ロボとーちゃん「…じゃあ、又兵衛さんも」 又兵衛「……」 9 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/28(土) 23:02:11.64 ID:SODT0vADo ロボとーちゃん「ん?でも俺がここにいるのに…廉姫さんはもうとっくに」 又兵衛「俺と貴様は、生きていた時代が違う」 又兵衛「故に見える現世もまた別…そういう事で良かろう」 ロボとーちゃん「あ、なるほど…」 又兵衛「……」 ロボとーちゃん「……」 ロボとーちゃん「…後悔、ですかね」 又兵衛「何を申すか。武士として戦で死ぬことができたのだ、後悔なんぞあるわけなかろう」 ロボとーちゃん「あ、そうですか…はは」 ロボとーちゃん「…私でしたら、聞きますよ。又兵衛さんの未練」 又兵衛「…ふっ、言いよるわ」 10 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/28(土) 23:25:05.35 ID:SODT0vADo グビッ 又兵衛「ふぅ…」 又兵衛「…情けないものだ」 又兵衛「一国の姫君とその家来。…そうケジメをつけて仕えておったのに」 又兵衛「男としての情は、何時までも姫様を諦める事はなかった」 又兵衛「それが故に姫様にも辛い思いをさせてしまった…武士として仕える者としての恥よ」 ロボとーちゃん「…そう、ですかね」 又兵衛「なんだ、間違ってると申すか」 ロボとーちゃん「たとえ身分の違いがあっても、又兵衛さんと姫様は男と女じゃないですか」 又兵衛「む…」 ロボとーちゃん「その男としての気持ちがあったからこそ、姫様は又兵衛さんを好きになったんじゃないですかね」 又兵衛「…だが、それは姫様にとって大きな傷を残す事になった」 又兵衛「誰の元にも嫁がぬとは…康綱様はさぞかし悲しんでおるだろうに…」 ロボとーちゃん「あー…それはまあ、はは、そうでしょうね」 ロボとーちゃん「…でも、嬉しいことじゃないですか」 ロボとーちゃん「姫様の心には、いつまでも又兵衛さんがいるんだって事ですよ」 又兵衛「…それが枷となるならば、男として半人前であろう」 11 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/28(土) 23:31:38.43 ID:SODT0vADo ロボとーちゃん「はぁ〜でもいいなぁ〜」 ロボとーちゃん「愛する妻にそれだけ愛されるだなんて…いやいや、羨ましい!」 又兵衛「だ、誰が妻と申したか!?べ、べつに俺は姫様にとととと嫁いでなどおらぬわ!」 ロボとーちゃん「いやいや、もう結婚したも当然ですよ!はっはっは」 又兵衛「き、貴様からかいおって…!」 ロボとーちゃん「ははは」 又兵衛「全く…態度だけは大きくなったわ」 ロボとーちゃん「でも、羨ましいなあ本当に」 ロボとーちゃん「…愛する人に、ずっと愛してもらえるなんて」 又兵衛「…ぬっ?」 12 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/28(土) 23:42:35.45 ID:SODT0vADo 又兵衛「何を言うかヒロシよ」 又兵衛「お主にはみさえがおったであろう」 又兵衛「あのような強い絆で結ばれた男女は他にはおらぬ」 ロボとーちゃん「…はは、そうですね」 ロボとーちゃん「えぇ、居ますよ……今でも、ずっと」 又兵衛「…なんだ、やけに含みのある言い方をするのだな」 ロボとーちゃん「……」 又兵衛「……」 又兵衛「話してみよ」 又兵衛「それがお主のその身体にも何か関係があるのだろう」 ロボとーちゃん「…まあ、そうですね」 14 名前:訂正[] 投稿日:2014/06/28(土) 23:50:35.27 ID:SODT0vADo ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 又兵衛「……」 ロボとーちゃん「…まぁ、こんな所ですかね」 又兵衛「ううむ、お主も色々と苦労したのだな」 ロボとーちゃん「ははは。でもこの体、しんのすけには好評だったんですよ」 又兵衛「しんのすけか…懐かしい響きだ」 又兵衛「今頃お主がいなくて寂しい思いをしておるだろう」 又兵衛「まだ齢5歳だと言っておったな…悲しい事よ」 ロボとーちゃん「…いや、しんのすけはいつも通りだと思いますよ」 ロボとーちゃん「家族は、ちゃんと4人と1匹、揃っているからなあ」 又兵衛「…そうか」 15 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/29(日) 00:05:11.00 ID:cBVLrZBxo ロボとーちゃん「…一時期は、この体を便利だと思いましたよ」 ロボとーちゃん「人間のオレなんかより、数倍も仕事が出来て、家族サービスもこなせる」 ロボとーちゃん「生まれ変わったスーパーとうちゃん!なんてな。ははは」 又兵衛「……」 ロボとーちゃん「でも、この身体が家族を傷つけるハメになりましてね」 ロボとーちゃん「なんとか丸く収まったんですけど…まぁ、私はこの通りです」 ロボとーちゃん「しんのすけの強くて格好良い父親になれた事が、私にとっても誇りだと思いました」 ロボとーちゃん「…でも、俺は愛する夫にはなれなかった」 ロボとーちゃん「みさえに、夫婦としてのぬくもりを与えてやることは出来なかったんですよ」 又兵衛「……」 16 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/29(日) 00:13:22.86 ID:cBVLrZBxo ロボとーちゃん「…当たり前、ですよね」 ロボとーちゃん「こんな、冷たくて硬い鉄の身体じゃあ、みさえを抱きしめてやる事が出来ない」 ロボとーちゃん「みさえの心の中を、半分も満たしてやる事が出来ない」 ロボとーちゃん「そんな男じゃあ、夫として失格なんですよ」 又兵衛「…ヒロシ」 又兵衛「涙を拭け。 …今のお主は見ていられぬ」 ロボとーちゃん「あれ?おかしいなぁ…俺、スイッチ押さないと…泣けない、のに」 ロボとーちゃん「なんでだ…変だなぁ …はは、は」 18 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/29(日) 00:29:47.00 ID:cBVLrZBxo 又兵衛「…ヒロシよ」 ロボとーちゃん「……」 又兵衛「お前の最期は、寂しいものであったか」 ロボとーちゃん「…いえ」 ロボとーちゃん「…家族全員が、俺の最期を、見届けてくれました」 ロボとーちゃん「しんのすけは、最後まで俺を父親として見ていました」 ロボとーちゃん「カッコよかった、強かったよ、って…みさえも、あなた…って」 ロボとーちゃん「そう、言ってくれてっ…」 又兵衛「…そうか」 又兵衛「…なら、お主は妻に、家族に見捨てられてなどおらぬ」 又兵衛「例えカラクリの身体だとしても、心は家族を愛する漢の鑑だ」 又兵衛「しんのすけも、みさえも、それが分かっておったからこそ…お主の死を見届けたのだのであろう」 又兵衛「お主は偽物などではない…野原家の当主。野原ひろしだ」 ロボとーちゃん「…はい。…っ…っはい!」 19 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/29(日) 00:35:16.80 ID:cBVLrZBxo ロボとーちゃん「……」 又兵衛「…未練は無くなったか」 ロボとーちゃん「…そう、ですね」 又兵衛「…そうか、良かったのう」 ロボとーちゃん「又兵衛さんのおかげです」 ロボとーちゃん「二度も助けて頂き、ありがとうございました」 又兵衛「それはこっちの申す事だ」 又兵衛「礼を言う。…楽しい時を過ごす事が出来た」 ロボとーちゃん「へへ…それほどでも」 ロボとーちゃん「じゃあ、お先に失礼しますね」 又兵衛「うむ、達者でな」 20 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/29(日) 00:37:37.21 ID:cBVLrZBxo 又兵衛「……」 又兵衛「また、一人になってしもうたか…」 又兵衛「……」 グビッ 「おい、青空侍。」 又兵衛「…!」 又兵衛「姫…様」 21 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/29(日) 00:42:08.18 ID:cBVLrZBxo 又兵衛「……」 又兵衛「…ふっ、雲を眺めてそのような名を囁くとは」 又兵衛「誠に、難儀な事ですな」 又兵衛「…姫様」 又兵衛「私の様な芋侍を、心からお慕い頂き」 「…誠に、光栄でございました。」 22 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/29(日) 00:50:40.92 ID:cBVLrZBxo ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「しんのすけー!バスが来たわよー!」 「ほーい」 「しんのすけー!しんちゃ…ってコラァーっ!」 「何でまだパジャマのままで寝てるのよ!バスが来たってママ言ったでしょう!?」 「んー今日はおしりが二つにわれてるからようちえんお休みしようかと」 「お尻に三つ目の割れ目入れてやろうかアンタァーっ!!いいからさっさと着替えなさい!」 「いやあああああんけだものおおおおおおお!オラたち親子なのにいいいいいいいっ!!」 「ご近所に誤解されるでしょうがああああああああああああ!!!」 みさえ「すみませんすみません…後で送って行きますので…」 ペコペコ よしなが先生「あはは…ではよろしくお願いしますー」 23 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/29(日) 01:05:23.75 ID:cBVLrZBxo みさえ「はぁ…!はぁ…!はぁ…!はぁ…!」 キコキコ しんのすけ「おお〜!かあちゃんいつになく漕ぐのが早いゾ〜!ダイエット?」 みさえ「やかましいっ!アンタ罰として今日おやつ抜き!」 しんのすけ「えぇ〜!?そんなガムたいなぁ〜!」 みさえ「それを言うなら御無体なでしょうがっ!!」 しんのすけ「そうともゆう〜」 ひまわり「とっと!とっと!」 しんのすけ「…お?どしたのひまわり?」 ひまわり「たいや!たたいのお!ていっ!」 しんのすけ「んもうお空の雲なんか見て嬉しがるなんて子どもだなあ〜」 ひまわり「たたたいっ!ぎーっ!たいやっ!」 しんのすけ「うわあ!分かった分かったから!見ればいいんでしょ見ればー!」 ひまわり「たいやっ!」 しんのすけ「んもうひまったらせっかちさんなんだから〜」 しんのすけ「…お?」 しんのすけ「…おおっ!」 しんのすけ「おじさんの旗だ!」 しんのすけ「ロボとーちゃんの顔もあるゾ!」 ひまわり「たいやっ!」 しんのすけ「さっすがひまわり!オラの妹だ〜!ほ〜らよしよし〜」 みさえ「自転車漕いでるのに立つなこのおバカ!三日間おやつ抜き!」 しんのすけ「ひいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!」 〜おわり〜 24 名前: ◆J56L221nBM[] 投稿日:2014/06/29(日) 01:06:49.57 ID:cBVLrZBxo ロボとーちゃんがあまりに衝撃的だったから勢いで書いた。反省も後悔もしてない 読んでくれてありがとう