コナン「光彦が犯人……?」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 20:53:44.34 ID:jRxXtzP20 灰原「いや、ちょっと待って工藤くん。流石にそれは……円谷くんが人殺しなんて……」 コナン「ああ、分かってるって……もう一度、再検討し直そう、うん」 灰原「そうね。どういう推理でそんな結論になったのかしら? 探偵さん」 コナン「……まず、現場に、血文字でこう書き残されてたんだ」 『光彦が殺った』 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 20:55:15.82 ID:jRxXtzP20 コナン「……流石に、このダイイング・メッセージが被害者が書き残したものではないってことは分かり切ってる」 灰原「博士は騙されてたみたいだったけど」 コナン「まあ、それはしゃーない。ともかく、これは犯人による偽造だ」 コナン「理由は二つ。一つは、この字が綺麗に書かれすぎている」 コナン「被害者はナイフで深く胸を刺されてたんだから、仮に死ぬ直前まで意識があったとしても、こんな綺麗に書ける筈がない」 コナン「二つ目。被害者と光彦には一切の面識がない」 コナン「被害者グループとこちらが顔を合わせたのは死体が見つかってからだ」 コナン「それまでは、一切の接触がなかったわけだから、被害者が光彦の名前を書き残せるわけがない」 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 20:55:54.02 ID:jRxXtzP20 灰原「けど、そうなると問題が一つ出てくるわね」 コナン「ああ……この論理でいくと、犯人は光彦のことを知っていた人物……つまり……」 灰原「私、あなた、博士、円谷くん、小嶋くん、吉田さんの誰か……」 コナン「ここに来るまでの道が土砂崩れで通れなくなってるからな……」 コナン「容疑者になるのはこのペンションAに泊っている俺らとあちらの……殺人現場となったペンションBに泊っている彼らのみなんだ」 灰原「とにかく、話を進めましょうか」 コナン「そうだな。さて、そうなると、俺らの誰に犯行が可能だったかということだが……」 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 20:56:30.36 ID:jRxXtzP20 灰原「私と吉田さんは除外されるんだったわね。私達の部屋から外に出るには、あなた達が夜通し騒いでいたリビングを通り抜けなきゃならないから」 コナン「お前らの部屋にある窓ははめ殺しだから、あのドア以外からは外に出られないもんな」 灰原「ええ。それに、私と吉田さんで寝ている時以外はアリバイを保証しあっている」 コナン「……俺らも、基本的にはアリバイを保証しあっているわけだが……」 灰原「円谷くんだけ、途中で一回、外へ抜け出したのよね?」 コナン「……」コクリ コナン「リュックサックを抱えて、外へ出て行って、三十分くらいしてから帰ってきたんだ……」 灰原「で、帰ってきた時、何故か服を着替えていた、と……」 コナン「……」コクリ 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 20:57:42.65 ID:jRxXtzP20 灰原「……真っ黒ね。ダイイング・メッセージは裏の裏を突いた偽造ってことかしら」 コナン「バーロー! み、光彦が、しょ、小学生が大の大人を殺しただなんて!」 灰原「そ、そうよね。うん、そんな……」 コナン「とにかく、考えなおしだ 元太「大変だー!」ガチャ コナン、灰原「!?」 元太「ま、また人が、殺されたんだあ! あっちのペンションで!」 コナン「な、何だと、元太! 誰が!」 元太「……みんな」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 20:58:45.01 ID:jRxXtzP20 灰原「みんな……?」 元太「ぜ、全員、死んでたんだよおおお! 今朝、死んでた姉ちゃん以外の四人が、皆!」 コナン、灰原「!?」 元太「も、もう、俺、どうしたら……」 コナン「落ち着け、元太! 博士と光彦はあっちにいるんだな?」 元太「は、博士はいるけどよぉ……」 コナン「……とりあえず、俺は現場に行く! お前は灰原と一緒に、歩美が寝ている隣の部屋にいろ!」 コナン「頼むぞ、灰原!」ダッ 灰原「え、ええ……」 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:00:08.62 ID:jRxXtzP20 コナン「博士、どういうことだ!」 阿笠「お、おう……新一か……み、見れば分かる……」 コナン「……!?」 コナン「こ、これは……お、斧か何か、か? 皆、首を切られて……」 阿笠「く、首も、体も、ちゃんと四人分あるぞい……それに……」 コナン「それに?」 阿笠「こ、これを見てくれ……」 『光彦が殺った』 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:01:06.63 ID:jRxXtzP20 コナン「……」 阿笠「……」 コナン「いや、ねーよ……」 阿笠「で、でも、新一……」 コナン「……博士が書いたんじゃねーよな?」 阿笠「ど、どうしてワシが!」 コナン「いや、分かってるけど……」 光彦「あ、博士とコナンくんじゃないですかー! まだ捜査してるんですかー?」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:02:05.46 ID:jRxXtzP20 コナン、博士「!?」 光彦「どうしたんですか? そんな凄い顔して……」 光彦「うわっ」 光彦「そ、それはもしかして、し、死体ですか……!」 コナン「光彦……」 光彦「なんですか? こんなところで……」 コナン「それ、何だ?」 光彦「それ?」 コナン「お前の袖についている血だよ!」 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:03:44.57 ID:jRxXtzP20 光彦「!」 光彦「何ですか、これ? いつの間についたんですかー?」 光彦「蚊にでも刺されたんですかねー?」 阿笠「し、新一ぃ、やっぱり……」 コナン「落ち着け、博士!」 光彦「何がやっぱりなんですか? 二人とも……」 コナン「……すまん、光彦。とりあえず、眠ってくれ」パシュッ 光彦「うっ」ブスリ 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:06:12.48 ID:jRxXtzP20 灰原「……どういうことなの?」 コナン「……」 灰原「どうして、円谷くんが眠らされて、ロープで縛られてるの?」 コナン「……」 灰原「小嶋くんと吉田さんを近づけない様にして、わざわざ私の前に彼を置いて」 コナン「……」 灰原「それに、博士に何か作ってもらっているみたいだけど、何? 今の状況で何を作ってるのかしら?」 コナン「さっき、凶器と思われる斧が見つかった」 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:07:06.94 ID:jRxXtzP20 灰原「!?」 コナン「で、その斧の柄からは、光彦の左手の小指の指紋が見つかったんだ……」 灰原「……本当?」 コナン「……」コクリ コナン「それから、光彦のリュックサックからはこんなものが」バサー 灰原「……血まみれの服ね」 コナン「……」コクリ 灰原「これは、昨日の?」 コナン「……」コクリ 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:08:07.68 ID:jRxXtzP20 灰原「ちょっと、待ってよ、工藤くん……本当に……」 光彦「うっうう……」 コナン、灰原「!?」 コナン「まずい、光彦が目覚める! 博士? まだ出来ないのか?」 阿笠「もうちょっと待ってくれ新一!」 光彦「!?」 光彦「ちょっと、何ですかこれー? どうして縛られて……!」 コナン「……」スッ 光彦「え? それは、僕の……ふ……く……それに、斧?」 コナン「ネタは、上がってるんだよ……」 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:09:05.89 ID:jRxXtzP20 コナン「だから……」 灰原「……」 コナン「出てこい」 コナン「もう一人の光彦!」 灰原「!?」 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:10:26.25 ID:jRxXtzP20 灰原「ちょ、ちょっと! 工藤くん!」 灰原「どういうこと? もう一人のって……」 コナン「さっき、斧から光彦の左手の指紋が見つかったと言ったろ?」 灰原「え、ええ……」 コナン「光彦は、右利きだ」 灰原「!?」 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:11:09.37 ID:jRxXtzP20 コナン「それから、殺人を犯したっていうのにけろりとした様子……ここから導き出される真実は一つ!」 コナン「光彦は多重人格……そして、その片方の人格が大量殺人を犯した……」 コナン「『光彦が殺った』という血文字も、それを指示している」 コナン「多重人格の殺人犯が、現場にああいうメッセージを残すのは良くあることだからな……」 みちゅひこ「……その通りです」 みちゅひこ「僕は、もう一人の円谷光彦……」 灰原「……!?」 みちゅひこ「僕自身は、自分のことをみちゅひこと呼んでますがね」 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:12:12.58 ID:jRxXtzP20 コナン「みちゅひこ……」 みちゅひこ「……表の光彦、小学生にしては賢すぎると思ったことはありませんか?」 コナン「! ああ、そういえば……」 みちゅひこ「実はそれ、彼が幼稚な部分を僕、みちゅひこに押し付けたことによって手に入れた功績なのです」 みちゅひこ「彼の人格は気づいてませんがね……」 みちゅひこ「だから、僕は彼の切り捨てた部分……本能のみで動いているのです」 灰原「!?」 みちゅひこ「人間は狩猟民族……僕が求めているのは、殺し! 人殺しのみ!」 みちゅひこ「あひゃひゃひゃひゃひゃ!」 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:13:04.56 ID:jRxXtzP20 コナン「そういうことか……」 コナン「つまり、理由もなしに人を殺した、ということだな……」 みちゅひこ「そうですよ?」 コナン「……許せねえな」 みちゅひこ「許せない? でも、どうするんです? 僕と光彦は別人ですよ? 僕が悪いのに光彦を逮捕するんですかー?」 コナン「いや、逮捕しても、子供な上、精神的にアレなわけだから罪には問えないだろ」 みちゅひこ「なら、どうするんですかー?」 コナン「一つ、簡単な手がある。お前を裁く、な……」 ガチャッ 阿笠「できたぞ新一! 光彦くんをぶっ殺すナイフじゃ!」 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:14:35.58 ID:jRxXtzP20 コナン「サンキュー博士!」パシッ みちゅひこ「え? ちょっ……」 コナン「お前を殺す……これが、俺が出来る唯一の裁きだ!」 灰原「工藤くん!?」 みちゅひこ「ちょっと、ま、マジですか? や、やめっ……」 コナン「光彦には、すまないと思ってるが……」 コナン「仕方ないからな」 みちゅひこ「ご、ごめんなさ……」 グサッ ブシャー 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:15:31.34 ID:jRxXtzP20 みちゅひこ「そんな……」バタリ 灰原「工藤くん、な、何を!」ガシッ 灰原「そんな、とんでもないことを……」 コナン「仕方がなかったんだ……」 灰原「仕方がないって……な、何がよ!」 コナン「……」 灰原「人殺しなんてして!」 灰原「何で、そんな……とんでもない手を……」 灰原「殺すなら……殺さなきゃならなかったなら……私に頼めば良かったじゃない……」 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:16:22.29 ID:jRxXtzP20 コナン「!?」 灰原「何で、あなたの手を汚して……」 コナン「……すまない………灰原」ギュッ 灰原「すまない、じゃ、ないわよ……馬鹿っ」ギュッ コナン「……すまない………」 コナン「……光彦、まだ、生きてんだ……」 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:17:04.66 ID:jRxXtzP20 灰原「!?」 光彦「……う……うう……!?」 光彦「な、なんですか、これはー! どうして、赤絵の具塗れになってるんですか? 僕はー!」 コナン「このナイフ……人を刺したら刃先が引っ込む様になってて……血糊も噴き出すんだ……」 灰原「…………」カアアアアア コナン「みちゅひこは、あくまで人格だから……『死んだ』って思い込ませることができたら消えるだろうって推理したんだ。だから……」 灰原「ば、馬鹿ー!」パシイッ 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:19:12.17 ID:jRxXtzP20 コナン(こうして、事件はみちゅひこの人格の消滅ということでケリがついた) コナン(警察には山を越えてやって来た殺人犯がやったのだという偽装をし、少年探偵団は無事、帰路についた) コナン(その後、みちゅひこの人格がまた現れるということもないようだ……) コナン(しかし、一つだけ気になっていることがある) 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:20:09.12 ID:jRxXtzP20 コナン(あの斧の指紋だ) コナン(光彦の左手の小指の指紋だけ採れた、という言い回しをした様に) コナン(その他の指紋や掌紋などは一切検出されなかった……拭きとられていたんだ) コナン(なのに、左手の小指だけ残った……まるで、犯人が……) コナン(いや、光彦の殺人鬼以外の人格が『この体がやったんです』と主張する為の証拠を残したかの様に) コナン(それから、あの血文字……) ――『〈光彦〉が殺った』 〜完〜 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/10/24(木) 21:22:07.92 ID:jRxXtzP20 これで終わりです。 お付き合いしてくださった方、ありがとうございました