しんのすけ「ひまわりがお嫁にいくゾ。」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 20:12:52.14 ID:gAgPXRPf0 しんのすけ「ひまわり・・・」 ひまわり「何?お兄ちゃん。」 しんのすけ「お前・・アメリカに行くんだよな。」 ひまわり「うん。」 しんのすけ「お前が風間君と結婚することになるなんて思わなかった。」 ひまわり「そうね。風間さんはお兄ちゃんの友達だもんね。」 しんのすけ「風間君が嫌になったらまた春日部にくるといいゾ!わーっはっはっは!」 ひまわり「お兄ちゃん・・・。」 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 20:17:49.21 ID:gAgPXRPf0 みさえ「ひまわり、支度した?」 ひまわり「はい、お母さん。」 ひろし「忘れ物はないか?」 ひまわり「大丈夫です。お父さん。」 ひろし「うむ、じゃあ空港まで一緒に・・・しんのすけも来るか?」 しんのすけ「いや、俺はいいよ。ひまわり、元気でな。」 ひまわり「うん。」 しんのすけ「あ・・・それからこれ。」 しんのすけはシリマルダシのシリを渡した。 ひまわり「これは・・・」 しんのすけ「お前、小さい時俺のおもちゃをとったりして、まったく困った妹だったよw」 ひまわり「お兄ちゃん・・・ありがとう。」 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 20:22:04.30 ID:gAgPXRPf0 ひまわりは行ってしまった。 しんのすけ「・・・、さて2ちゃんでも見るかな。」 しんのすけは働いていない。もうすぐ30になる。 しんのすけ「・・・」 シロはもういない。ネネちゃんはマサオ君と結婚したし、ボーちゃんは何かの研究をしているようだ。詳しくは知らない。 しんのすけ「・・・2ちゃんもつまんないな。最近。」 しんのすけは寝た。 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 20:25:55.37 ID:gAgPXRPf0 しんのすけが起きた時にはもう翌日の昼になっていた。 ひろしは会社に行っていて、みさえは買い物に行っている。 しんのすけ「俺は・・・いつまでこんな生活を・・・」 しんのすけだって働く意思がないわけではない。しかし、大学は中退し、やることがなくなるとネットにハマる。近所の人間は自分を奇異な目で見つめてることだろう。そう思い込んでいる。 しんのすけ「はぁ・・・テレビでも見るか。」 お昼のニュース番組を見る。すると速報が出てきた。 ニュース「飛行機事故がありました。繰り返します、飛行機事故がありました。日本人が数名巻き込まれたようです。」 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 20:29:34.75 ID:gAgPXRPf0 しんのすけはいつものようにゴロゴロしながらニュースの内容を見ている。 しんのすけ「事故か・・・どのあたりだろうか。」 ニュース「飛行機は太平洋沖で墜落したとの模様です、飛行機は昨日の6時に出て、ニューヨーク行だったとのことです。」 しんのすけに悪寒が走った。 しんのすけ「ニューヨーク?・・・風間君とひまわり大丈夫かな」 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 20:33:59.41 ID:gAgPXRPf0 しんのすけは心配になり、もう着いてる頃だろうとひまわりに電話をかける。 しかしつながらない。メールを送ってみた。メールも送れない。 しんのすけは嫌な予感がした。 しんのすけ「・・・おふくろに連絡してみるか。」 みさえ「あら、どうしたの?しんのすけ?夕ご飯何食べたい?」 しんのすけ「いや、ひまわりのことが心配でさ。ニューヨーク行の飛行機が事故にあったらしいんだ。」 みさえ「ほんとに!?電話は?電話はしたの?」 しんのすけ「電話もつながらないし、メールさえ送れない。もうとっくに着いてるだろうし・・・」 みさえ「とにかく、すぐに家に戻るわ。お父さんにも伝えておいて。」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 20:37:30.38 ID:gAgPXRPf0 ひろし「本当か・・?わかった、すぐに家に戻る。あと、こういう時ってどこに電話すればいいんだ!?」 しんのすけ「ええっと・・・・警察か?わからない。」 ひろし「ともかく、すぐ戻るぞ!」ツーツーツー しんのすけ「ひまわり・・・・」 1時間後 ひろし「帰ってきたぞ!ひまわりからの連絡は?」 みさえ「ないのよ・・・あの子・・大丈夫かしら・・・・」 みさえは不安そうに口を覆う。 しんのすけ「ひまわり・・・。」 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 20:41:12.30 ID:gAgPXRPf0 数時間後のことだった。 一本の電話が入る。 みさえ「ひまわり?ひまわりかしら?」 ひろし「でてみよう。・・・もしもし?」 男「野原様でしょうか?」 ひろし「はい!あ、あの・・・」 男「実は・・・飛行機事故の件なんですが・・・」 ひろしは唖然とする。 男「野原ひまわり様が飛行機事故に巻き込まれました。安否は現在不明です。」 ひろしの頭の中でその言葉がコダマする。 ひろしは倒れこんだ。 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 20:45:07.62 ID:gAgPXRPf0 みさえ「あなた!どうしたの?」 ひろしは涙を流した。 みさえ「あなた・・・嘘よね・・・そんなこと・・・」 ひろし「みさえ・・・うっ・・・・うっ・・・」 みさえ「かわって!ちょっとあなた誰なの?うちのひまわりがどうしたっていうの!?」 男「奥様ですか?」 みさえ「そうよ!ひまわりは生きているわよね?」 男「安否は確認できておりません・・・申し訳ございません。」 みさえ「へっ・・・・・うっうっううぇぇぇぇぇん」 ひろし「みさえ・・・」 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 20:50:29.92 ID:gAgPXRPf0 しんのすけもまた、泣きたかった。が、なぜだろうか。涙は出てこない。 心は悲しくブルーであったが、二人のようには泣けない。 男「また詳しい情報が入ったらお伝えいたします。」 みさえ「ひまわり・・・ひまわり・・・ひまわり・・・ひまわりひまわりひまわりひまわりひまわりひまわりひまわりひまわり」 ひろし「みさえ・・・落ち着け。まだひまわりが死んだと決まったわけじゃないんだ!風間君のことだ。きっとひまわりを・・守ってくれている。」 みさえ「・・・そうよね。私がバカだったわ。しんちゃん・・・こっちに来て。」 何年ぶりだろうか、母親から「しんちゃん」と言われたのは。 そう思いながらしんのすけはふらふらと歩み寄る。 みさえ「しんちゃんも信じてるわよね。ひまわりのこと。そして風間くんのことも。」 しんのすけ「ああ・・・」 ひろし「しんのすけ・・」 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 20:54:58.11 ID:gAgPXRPf0 しんのすけは、二階の自分の部屋に行って、激しく後悔した。 風間君はニューヨークの大会社の次期社長候補であり、ひまわりはいい大学に行き、薬剤師の国家資格も取った。 それなのに自分は・・・と思うと、憎悪の念で頭がいっぱいになった。 あの頃の気楽にバカバカしかった自分はもういなかったのだ。 しんのすけは思ったことがある。他人の幸せなど、壊れてしまえばいいと。 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 21:01:28.71 ID:gAgPXRPf0 しんのすけは思った。 ひまわりには生きていてほしいと。なんで自分が死ななかったんだろうと。 風間君との交際を反対したら良かったかもしれないと。 しんのすけ「ひまわり・・」 夜空は曇っていた。星など見えやしない。春日部の空はいつになくどんよりとしていた。 数日後、ひまわりと風間君の死亡が確認された。 運ばれてきた遺体は酷く汚れ、痛々しかったが2人の顔だけは綺麗だった。それがなぜか悲しくて、しんのすけは初めて泣いた。 みさえはショックのあまり葬式を終えた後は外に出なくなっていた。 ひろしは会社には行ったが、会社先では毎日泣き、家でも泣く、そんな日々が続いた。 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 21:06:31.85 ID:gAgPXRPf0 それから1か月が過ぎる。しんのすけはまだ忘れられないでいた。ひまわりのこと、風間君のこと。 忘れたいとも思っていた。でもおそらくそれは簡単ではないだろうし、忘れてはいけないとも思っていた。 この1か月でしんのすけ自身が変わったこと。それは何もなかった。 相変わらずネットを見たりゲームをしたりする。そんな毎日だった。 ふと、しんのすけは思い出した。シリマルダシのシリを渡したことを。 あれは今頃太平洋の中に沈んでいるのか・・焼けているのか。 そう思うとまた悲しくなってくる。 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/06/02(日) 21:18:26.35 ID:gAgPXRPf0 しんのすけはひまわりの遺品に初めて手を付けた。 ひまわりが最後まで手を離さなかったカバンだ。 カバンの中には時計や、財布、携帯などいろいろなものが入っていた。 そして一つずつ取り出すと、奥に何か引っかかるものがある。 プラスチック?そんな感じがした。取り出してみるとそれには 「ぶりぶりー」 と書いていた。字は汚かったが、ひまわりの字だ。 しんのすけは号泣した。 終了