アスカ「バカシンジのATフィールドが強すぎる」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 22:27:14.80 ID:Eaxuerjp0 ※Qの後 シンジ「……」 アスカ(あの後ヴンダーに戻ってきて、バカシンジは隔離室に入れられた……) シンジ「……」 アスカ(アイツの様子はモニターでいつも見られるけど、起きてるとこ見たことないのよね……) シンジ「……」 アスカ(ちゃんと食事とか出してもらってるのかしら……べ、別にアイツのことが心配なわけじゃないけど) サクラ「碇さん……一応食事持ってきましたけど……いい加減食べはったらどうです?ほな起きて」グイッ アスカ(なんだ、持ってきてもらってるんじゃない……食べないのはアイツの方か……) カッキィィィィィィィィィィン(ATフィールドの音) サクラ「!?」 アスカ(ATフィールド!?) 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 22:31:20.21 ID:Eaxuerjp0 サクラ「碇さん、今の……」ソッ カッキィィィィィィィィィィン(ATフィールドの音) サクラ「痛ッ……なんやコレ」 アスカ「ATフィールド……」 サクラ「あ、式波大尉!なんで碇さんがATフィールド使ってはるんですか?」 アスカ「分からないわよ!こっちだってモニター見てたらいきなりこんなことになってるからすっ飛んできたってのに」 サクラ「とにかく、赤木博士に調査頼みましょう」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 22:38:02.24 ID:Eaxuerjp0 シンジ「……」 リツコ「検査の結果が出たわ」 アスカ「バカシンジはどうしちゃったのよ?」 リツコ「アスカ……前にエヴァの呪縛について話したことあったわよね」 アスカ「ええ……でも歳を取らないことと子供を産めないことくらいしか覚えてないわ」 リツコ「そうね、表面上の認識はそれでいいわ。もっと根本的に言うなら、エヴァとのシンクロによってエヴァと同質の存在に変化していくってこと」 アスカ「でも、私はATフィールドなんか張れないわよ?」 リツコ「彼……碇シンジは、14年間も、それもLCLとなってエヴァとシンクロし続けていたわ。彼は今、エヴァそのものとも言ってもいい状態よ。」 アスカ「なっ……」 リツコ「そして、サードインパクト。無自覚に引き起こしたとはいえ、彼が全く責任を感じないわけではない」 リツコ「おまけにフォースインパクトまで起こしかけ、信頼していた渚カヲルも失った」 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 22:43:06.51 ID:Eaxuerjp0 リツコ「彼の精神は、もうズタボロの状態になっているわ。一般人なら、自殺を図ってもおかしくない」 リツコ「しかし彼は、それすらも許されていない。残された選択は一つ、自分の中に引きこもることよ」 アスカ「ATフィールドは心の壁、か……」 リツコ「今彼は、繭の中の蛹のような状態だと言えるわ。ぐちゃぐちゃの精神を体という蛹で守り、さらにATフィールドという繭で覆ってしまった」 アスカ「また逃げるのね、あのガキは」 リツコ「正常な防衛反応よ。ただ彼の場合、それに加えてエヴァの呪縛が影響してしまって、こんな状態になっている」 リツコ「しばらくして心が癒えたら、自然に目覚める可能性もあるわ」 アスカ「ほっとくしかないってことね」 リツコ「そういうこと」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 22:46:58.79 ID:Eaxuerjp0 ―――― シンジ「…………」 シンジ「……ここは、どこだろう。周りが真っ暗で、何にも見えないや」 ●ボウッ シンジ「……あそこで光ってるのは、使徒の、コア?」 シンジ「……壊さなきゃ。……でも、どうやって?」 ●ピシッ…… シンジ「……ヒビが、入った……?何故?」 カヲル「シンジ君」 シンジ「!カヲル君、どうしてここに?」パァッ シンジ「もしかして僕は、死んだの?」 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 22:50:37.47 ID:Eaxuerjp0 カヲル「君は死んでなんかいないさ。それより、あれを見てごらん?」 シンジ「あれって、使徒のコアじゃないか。そうだ、カヲル君ならあれを壊せるよね?」 カヲル「いや、壊せないよ。だってあれは」 カヲル「君の、魂だもの」 シンジ「――ッ!?」 カヲル「さっきの質問に答えよう。どうしてここに?それはね……」 カヲル「もしも、もしも僕が死んだとき、シンジ君がショックで自分を見失ったとき」 カヲル「そんなときにシンジ君のココロを守ってあげられるように、僕の魂の一部を君のココロの中に押し込んだのさ」 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 22:56:45.95 ID:Eaxuerjp0 シンジ「じゃあ、君は、カヲル君の一部なの?」 カヲル「今はそういう認識でいいさ」 カヲル「シンジ君。君は、先の事件でココロに大きな傷を負ってしまった。ここに僕がいられるのがその証拠さ」 シンジ「どういうこと?」 カヲル「一つの体に二つの魂は入らない。魂の欠片なんか、もっと簡単に追い出されてしまう」 カヲル「でも君の魂は、それを守るココロまで弱まって、今や崩壊寸前だ。あのヒビを見ただろう?」 シンジ「じゃあ、僕は死ぬの?」 カヲル「まさか!そんなことにならないように僕がいるんだ、大丈夫、君の魂が元気を取り戻したら、僕はここからいなくなる」 カヲル「君は、元のきみに戻れる」 シンジ「そんな!そんなのないよ!僕が元に戻ったら、カヲル君は居なくなっちゃうんでしょ!」 シンジ「じゃあこのままでいいよ!……一緒に居てよ、カヲル君」 カヲル「君が元気になるためなら、なんでもするよ……」ニコ 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 22:59:43.05 ID:Eaxuerjp0 ―――― アスカ「……シンジ」 カッキィィィィィィィィィィン(ATフィールドの音) シンジ「……」 アスカ「起きなさいよ。起きて、こんな世界にした責任を取りなさいよ!」ブン カッキィィィィィィィィィィン(ATフィールドの音) アスカ「…………また来るから。その時起きてなかったら、その時は……」 シューッ バタン シンジ「……」 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 23:02:54.11 ID:Eaxuerjp0 サクラ「碇さん、食事とかとらなくても平気なんでしょうか」 リツコ「本当なら、点滴とかした方がいいかも知れないけど、あの状態では無理ね」 サクラ「……」 リツコ「問題ないわ。エヴァと同質の存在となった、なってしまった彼なら……」 サクラ「……失礼、します」 リツコ「ご苦労様」 リツコ「……」 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 23:08:05.44 ID:Eaxuerjp0 ―――― シンジ「じゃあ、今僕は、僕の心の中にいるってこと?」 カヲル「うん、それであってるよ。君と僕は、君のココロの中にいるのさ」 シンジ「じゃあ、僕の心は、随分殺風景ってことなのかな?僕とカヲル君と、コアみたいな形をした僕の魂しかない」 カヲル「……じゃあ、風景を変えてみようか」 シンジ「……そんなこと、できるの?」 カヲル「君が覚えていること、君が望んでいるもの、なんでも造ることができるよ。なんたって、君のココロの中なんだから。ホラ」ヒュッ ミーンミンミンミンミン ミーンミンミンミンミン シンジ「第三、新、東京市……」 カヲル「君の記憶の中の、第三新東京市だ。へえ、こんなところだったんだね」 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 23:13:26.19 ID:Eaxuerjp0 シンジ「でも、おかしいや。人がいない……まるで、使徒襲撃時みたいだ」 カヲル「そうだね……呼んでみる?」 シンジ「……まだ、いいや。もう少し、ここでのんびりしたい」 カヲル「それがいいね」 シンジ「…………」 カヲル「…………」 シンジ「ねえ、カヲル君」 カヲル「なんだい、シンジ君」 シンジ「……ピアノ、弾かない?」 カヲル「……いいね」 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 23:16:44.33 ID:Eaxuerjp0 ♪ジャーン ジャーン(Qのアレ) カヲル「……楽しいね」 シンジ「……うん。ずっと、ここでピアノを弾いてられたらいいのに」 カヲル「出来るよ。君が望む限りね」 シンジ「ありがとう、カヲル君」 カヲル「……次、弾こうか」 シンジ「……うん」 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 23:20:51.23 ID:Eaxuerjp0 ―――― ミサト「碇、シンジ君の様子はどう?」 リツコ「体の方はきわめて安定よ。でも変ね。心理グラフが、寝ているとは思えないくらい変動している」 リツコ「まるで、誰かと会話でもしてるかのように」 ミサト「……ちょっと、見てくるわね」 リツコ「……」 シューッ バタン ミサト「……シンジ、君」スッ カッキィィィィィィィィィィン(ATフィールドの音) ミサト「…………ッ」スッ カッキィィィィィィィィィィン(ATフィールドの音) ミサト「……ダメね。ATフィールドは心の壁、って言ってたからもしかしたらと思ったけど」 シューッ ミサト「!!」 リツコ「大丈夫、私よ」 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 23:26:12.27 ID:Eaxuerjp0 リツコ「あなたが大変なのは分かっていたわ。艦内での威厳と、シンジ君に対する情。その二つが、いつもせめぎ合っていたわ」 ミサト「ちょっち、冷たくし過ぎたかもね……艦内の空気を悪くしない、それだけのために」 ミサト「短い間とはいえ、家族として過ごした、シンジ君を……」 リツコ「……ここの監視システムを切ったわ。記録もされていない」 リツコ「……今だけ、泣くといいわ」 ミサト「……ごめんね、シンジ君……」 リツコ(……彼が精神の傷をいやすために外界をシャットアウトしたのはわかる。でも、会話したような痕跡があるのはなぜ?) リツコ(二重人格?……まさかね) ミサト「…………」 リツコ(こんなとこ、艦内の他の人には見せられないわね……) 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 23:30:36.02 ID:Eaxuerjp0 ―――― シンジ「カヲル君、僕の家に行こう?」 カヲル「いいよ。一緒に行こう」 シンジ「じゃあ、案内するよ」 ………… シンジ「ここだよ。さあ、上がって」 カヲル「お邪魔します。……この家で、暮らしてたんだね。シンジ君」 シンジ「うん。……ミサトさん、それからアスカと一緒にね」 シンジ「ご飯、作ろうか。お腹はすいてないだろうけど」 カヲル「ありがとう。シンジ君の作るご飯、食べたいな」 シンジ「そういってくれると嬉しいよ。ちょっと待っててね」 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 23:36:32.97 ID:Eaxuerjp0 カヲル(シンジ君。君は今、癒されているかい?かつての日常を追憶して) カヲル(でもこんなんじゃ、彼が現実に戻ったとき、また地獄に逆戻りかも知れない……) シンジ「……?どうしたのカヲル君?難しい顔して」 カヲル「……ううん、なんでもないよ?」ニコ シンジ「なら、いいんだ///」 カヲル(……自然に、現実を受け止められるようにするにはどうすればいいんだ) カヲル(僕は、またシンジ君を幸せに出来ないのか?) シンジ「……できた!食べようカヲル君!」コト カヲル「……わあ、美味しそうだね。作ったことあるの?」 シンジ「……アスカが、好きだったハンバーグだよ。週に1回は作ってたかな」 カヲル「それは楽しみだ。さあ、食べよう」 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 23:39:46.33 ID:Eaxuerjp0 シンジ「……うん、美味しい」 カヲル「美味しい」 シンジ「カヲル君がそういってくれると、うれしいな」 カヲル「本当に美味しいね。シンジ君の優しさが詰まっているみたいだ」モグモグ シンジ「そんなこと……//////」 カヲル「シンジ君はピアノに料理、何でもできちゃうんだね」 シンジ「……なんでもは、できないよ」 シンジ「なんでもできたら、世界をやり直すことだってできたはずだよ」ボソッ カヲル(しまった。そういう意味じゃないのに) 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/01/14(月) 23:41:02.16 ID:Eaxuerjp0 ……というわけでなんか精神世界の中で楽しく暮らす二人と シンジを叩き起こそうとするヴンダーの皆さんが書きたかった もう寝る