朝倉「じゃ、死んでっ」 キョン「うっ!?」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 16:34:34.03 ID:jh+aQNZd0 キョン「……ん?」 朝倉「……」キョロキョロ キョン「ど、どうかしたのか?」 朝倉「長門さんが来るはずなんだけど……」 キョン「え?長門が?」 朝倉「……外の様子を見てみましょうか。すぐそこまで来てると思うんだけど」ピッ 長門『開かない。一つ一つのプログラムが固い。情報封鎖も厳重。開けて』ガンガン!! キョン「……困ってるぞ」 朝倉「そうみたいね」 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 16:46:41.44 ID:jh+aQNZd0 キョン「入れてやらないのか?」 朝倉「でも、貴方を殺すチャンスを見す見す逃すのももったいないし」 キョン「だけど、お前の口ぶりだとここに長門が乱入してくる手筈になってたんじゃないのか?」 朝倉「そうなのよね。長門さんたっての希望だったから。いえ、私が考えた演出でもあるんだけど」 キョン「どういうことだ?」 朝倉「ええ。私は三年前から消えることが決定していたみたいだから」 キョン「三年前?」 朝倉「長門さんに言われたわ。貴方は三年後、情報連結を解除されることになる。って」 キョン「なんで決まってるんだ?」 朝倉「三年後の長門さん、つまり今の長門さんと三年前に同期したんでしょうね。で、私はそこで簡単には消えたくないって言ったの。急進派として目的を達成したいし」 キョン「それで?」 朝倉「茶番でもいいから、私に使命を全うできる直前までお膳立てして欲しいって言ったの」 キョン「それが今の状況か?」 朝倉「そう。ここで私が貴方を刺そうとしたところで、長門さんが割って入り、ナイフを素手でとめる。貴方はそんな長門さんに惚れる。そういう台本だったのに……」 キョン「……」 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 16:53:46.19 ID:jh+aQNZd0 朝倉「ま、いいわ。このまま貴方には死んでもらいましょうか」 キョン「なんだと?!やめろ!!」 朝倉「だって、私は本当に貴方に死んで欲しいんですもの」 キョン「長門はどうすんだ!?」 朝倉「あれぐらいのプログラムを解除できない長門さんが悪いんですもの。私は悪くないわ」 キョン「それは台本にないんだろ?!」 朝倉「ちょっとしたアドリブを効かせるだけ。全ては長門さんの所為。恨むなら長門さんを恨んでね」 キョン「ま、待ってくれ!!」 朝倉「死ぬのって怖い?死ぬのって嫌?」 キョン「そうじゃない。もう一度だけ外の様子を見てみろ」 朝倉「……」 長門『……』ガンガン!!!! キョン「あんなにも必死になってるのに可哀相だと思わないのか!?朝倉!!」 朝倉「ごめんなさい。私にはそういう感情は理解できないの。それにさっきも言ったけど、これは長門さんの落ち度だもの。同情するほうがおかしいでしょ?」 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 17:00:37.49 ID:jh+aQNZd0 キョン「俺を殺すのは長門に見せ場を作ってやってからでもいいんじゃないのか?!」 朝倉「余計な手間になるもの。それにここで長門さんの侵入を許せばそれこそ台本通りに私は消されることになる」 キョン「それでいいじゃねえか。三年前からの決定事項なんだろ!?」 朝倉「ふふ。助かろうと必死ね。そんなに死ぬのって嫌?」 キョン「と、当然だろうが!!」 朝倉「でも、そんなの私には関係ないの。じゃ、これで終わりね」 キョン「朝倉!!」 朝倉「さよなら、キョンくん」 キョン「待てよ!!分かった!!死のう!!お前になら刺されてもいい!!」 朝倉「……?」 キョン「お前みたいな美人に刺されるなら本望だ」 朝倉「それは嬉しいって思ったほうがいい?それとも哀れだなって思ったほうがいい?」 キョン「前者だ。そして恥じらいもあれば尚良い」 朝倉「分かったわ。―――う、うれしい……じゃ、死んで」モジモジ キョン「待て!!ゆ、遺言ぐらい聞いてくれてもいいだろ!?」 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 17:05:54.29 ID:jh+aQNZd0 朝倉「遺言?私に?」 キョン「お、お前しかいないだろ?」 朝倉「いいけど、早くしてね?」 キョン「ああ……」 朝倉「誰に宛てるの?涼宮さん?それとも長門さん?」 キョン「ハルヒにも長門にも朝比奈さんにも古泉にも、あと俺の妹にもだ!!」 朝倉「多いのね」 キョン「仕方ないだろ。ああ、あと国木田と谷口にも頼む」 朝倉「分かった。いいわよ。それで遺言は?」 キョン「まずはハルヒにだが……そうだなぁ……」 朝倉「一人一人違うの?」 キョン「そりゃそうだろ。お前はこの星の人間じゃないから分からないのかもしれないが、遺言っていうのは個々によって内容が違うんだよ」 朝倉「ふぅん」 キョン「えーと……ハルヒだろ……えーと……どうするか……うーん……」 朝倉「……」 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 17:10:55.45 ID:jh+aQNZd0 キョン「紙とペンをくれ」 朝倉「……どうぞ」 キョン「サンキュー」 朝倉「人間ってよくわからないわ。死ぬ間際に言葉を残してどうするの?」 キョン「生きてた証を残したいんだよ」 朝倉「……」 キョン(長門……早くきてくれ……俺はもう限界だ……) 朝倉「長門さんはどうなったかしら」ピッ 長門『開けて。開けて』ガンガン!!! 朝倉「……」 キョン(くそ……絶望的か……!!長門よ……!!) 朝倉「遺言、書けた?」 キョン「ま、まだだ!!もうちょっと待ってくれ!!」 朝倉「……」 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 17:15:51.06 ID:jh+aQNZd0 長門『コード、解析……』 朝倉「……」 キョン「……」 朝倉「手が止まっているみたいだけど?」 キョン「そ、そうスラスラとは書けないんだよ。最後の言葉なんだから、慎重にもなる!!」 朝倉「……ねえ、キョンくん?」 キョン「なんだ?」 朝倉「時間稼ぎをしているだけなら、即座に殺すけど」 キョン「な、なわけねーだろ!!少しは人間の文化に歩み寄ってくれてもいいだろ?どうせ逃げ場はないんだし」 朝倉「そうだけど」 キョン「一生のお願いだ。朝倉。頼む」 朝倉「本当に一生のお願いになるんだから、無碍にはできないかぁ……」 キョン「流石、委員長だな!!」 長門『……』ガンガン!!! 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 17:23:51.02 ID:jh+aQNZd0 キョン「よ、よし。ハルヒ宛てのはできたぞ」 朝倉「頂戴」 キョン「ほ、ほら」 朝倉「涼宮へ……。これを読んでいるということは俺はこの世にいないのだろう」 キョン「読むな!!こら!!」 朝倉「次は長門さんへの遺書でしょ?早く書かないと、刺しちゃうけど、いいの?」 キョン「くっ……」 朝倉「折角延命できているんだから、謳歌しないとね?」 キョン「ああ……そうだな……」 朝倉「ハルヒ。俺がいないからって泣くんじゃないぞ。いや、お前のことだ、泣くどころか鼻で笑ってるんだろうな。そのほうがずっとお前らしいぜ」 朝倉「そして、いつか見たお前のポニーテールは殺人的なまでに似合っていたぜ。髪は伸ばしたほうがいいと思う」 朝倉「来世で会うことがあったら、またよろしくな。―――これって臭いって言うのかしら?」 キョン「い、いわねーよ。クールって言うんだよ。これだからなんとかインターフェースは……」 朝倉「侮辱?じゃ、死んで」 キョン「違う!!価値観の相違があるなって意味だ!!馬鹿にしたわけじゃない!!」 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 17:32:34.33 ID:jh+aQNZd0 朝倉「ふぅん……。なら、いいけど」 キョン「ふぅ……」 朝倉「……」ピッ 長門『朝倉涼子、ここを開けて。もう少しでいいプロテクトを甘くして』ガンガン!!!! 朝倉「……」 キョン「次は長門か……長門な……長門……」 朝倉「んー……はぁ……。こういう時間って一番無駄だと思わない?」 キョン「仕方ないだろ」 朝倉「そうだけど」 長門『バックアップのはず。この強靭なプログラムは一体どこから入手した?』ガンガン!!! 朝倉「……退屈。キョンくん、あと10分で仕上げてくれる?」 キョン「無理だ!!」 朝倉「もう待てないわ。私は早く貴方を殺して涼宮ハルヒの出方を見たいの。情報を得たいの。わかる?」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 17:40:51.43 ID:jh+aQNZd0 キョン「そういわれても……」 朝倉「あと9分51秒ね」 キョン「な!?」 朝倉「えっと、あと6人分でしょ?一人1分以上も余裕があるわ。涼宮さんに宛てた遺言程度の分量なら十分でしょ?」 キョン「無茶だ!!」 朝倉「あと9分43秒」 キョン「くっそ!!分かった!!けど、延長はありにしてくれ!!」 朝倉「それは遺言の出来次第ね」 キョン「出来がよければ延長もいいのか!?」 朝倉「ええ」 キョン「わ、分かった」 朝倉「……」 キョン「長門は……図書館と家でお茶したぐらいだよな……えーと……」 朝倉「……」ソーッ キョン(長門へ。これを読んでいるということは長門が間に合わなかったということになるな)カキカキ 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 17:46:56.96 ID:jh+aQNZd0 朝倉「……」ジーッ キョン(でも、俺はお前のことは恨まない。あれだけ必死に壁を殴打している姿を見たからな。文句なんて言えない) キョン(むしろ俺のためにあれだけ必死になってくれたんだ。感謝したいぐらいだ) 朝倉「ここだけの話、俺は長門にほれていたんだ」 キョン(ここだけの話、俺は長門に―――) キョン「って、なんだよ?!」 朝倉「平凡でありきたりなことを書いているから、アドバイスをしてあげたの」 キョン「アドバイスだと?お前、遺言のノウハウなんて持ってないだろ?」 朝倉「手紙を書くというのなら何度もしたわ。メールだってクラスメイトと何度も交わしたし」 キョン「遺言とメールは違う」 朝倉「相手に一方的な文面を送りつける意味では酷似した形態だと思うけど?」 キョン「……」 朝倉「あと8分12秒」 キョン「わ、分かった!!ええと……なんだっけ?」 朝倉「俺は長門に惚れていたんだ。一目みたときから、お前しか居ないって思ったね」 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 17:54:03.14 ID:jh+aQNZd0 キョン「お前しか居ないって思ったね……」 朝倉「こんな形での告白を許してくれ、長門。でも、最後だからこそ言っておきたかったんだ」 キョン「言っておきたかったんだ……」カキカキ 朝倉「長門、愛してる」 キョン「長門、愛してる……」カキカキ 朝倉「ぴーえす、眼鏡はないほうがいいぞ」 キョン「ぴーえす、眼鏡はないほうがいいぞ」カキカキ 朝倉「完成」 キョン「完成」カキカキ 朝倉「完成は余計ね。消してくれる?」 キョン「そ、そうか……」 朝倉「……ありがとう。いい手紙ね」 キョン「あ、おい。それどうする気だ!?」 朝倉「どうせあと7分後には貴方は死ぬんですもの。先にこの手紙だけ長門さんに渡すの。素敵でしょ?」 キョン「なに?!やめろ!!」 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 17:59:10.11 ID:jh+aQNZd0 朝倉「投函」ピッ キョン「な……!?」 長門『……』ペラッ キョン「長門!!読むな!!」 朝倉「無駄。ここから貴方の声は届かない」 キョン「長門!!読むな!!長門!!!」ガンガン!!!! 朝倉「ふふ。さぁ、キョンくん。次の遺言状書いてくれる?あと6分06秒しかないわよ?」 キョン「くっ……」 長門『……』キッ 朝倉「……え?」 ドォォォォン!!!!! 長門「―――侵入、成功」キリッ 朝倉「……」 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 18:05:05.37 ID:jh+aQNZd0 朝倉「な、長門さん……!!どうして……!?」 長門「一つ一つのプログラムが甘い。側面部の空間閉鎖も情報封鎖も甘い。侵入を許す」 朝倉「さっきまで半べそかいてたくせに」 長門「なんのこと?記憶情報に歪みがあると思われる」 朝倉「減らず口を……!!」 キョン「長門!!来てくれたか!!」 長門「……」 キョン「長門……?」 長門「離れないで」ギュッ キョン「え、あ……おう……」ギュッ 朝倉「長門さん、何してるの?」 長門「……」ギュゥゥ キョン「長門……?苦しいんだが……」 朝倉「言っておくけど、さっきの手紙は嘘よ?私がキョンくんに無理やり書かせたものなの。残念っ」 長門「……」 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 18:12:19.30 ID:jh+aQNZd0 朝倉「この涼宮ハルヒに宛てた手紙に彼の本当の気持ちが詰まっているわ」 長門「……」 キョン「長門……」 長門「嘘?」 キョン「え?」 長門「……」ジーッ キョン「眼鏡はないほうがいい」 長門「わかった」スッ 朝倉「邪魔する気?そいつを殺せば間違いなく涼宮ハルヒは―――」 長門「貴方は私のバックアップのはず。独断専行は許されていないし、私に対する悪質な嫌がらせは到底許容できない。私に従うべき」 朝倉「嫌だと言ったら?」 長門「抹消する」 朝倉「……」 キョン「長門……怒ってるのか?」 長門「別に」 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 18:19:54.19 ID:jh+aQNZd0 朝倉「抹消……。情報結合を解除するつもり?」 長門「貴方が従わないのなら、そうする」 朝倉「ここでは私のほうが有利よ?この教室は私の情報制御空間―――」 長門「情報結合の解除を申請する―――」ダダッ!!! 朝倉「え?」 長門「ふっ!!」ドゴォ!!! 朝倉「ぁはっ!?」 キョン「長門?!」 長門「……」 キョン(ああ、やっぱり人間じゃないみたいだ……この二人は……) 朝倉「や、やるじゃない……」 長門「素直に私に従うべき」 朝倉「でも、この空間じゃ私には勝てないわ」シャキン 長門「―――パーソナルネーム、朝倉涼子を敵性と判定。当該対象の有機情報連結を解除する」ポキポキ 朝倉「貴方の機能停止のほうが早いわ」 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 18:25:42.81 ID:jh+aQNZd0 長門「ふっ―――」ダダッ 朝倉「そこね」ザンッ 長門「……こっち」 朝倉「そんな―――」 長門「ふっ」ドゴォ!!! 朝倉「ふぐぅ?!」 キョン「あ、あぁ……」 長門「貴方はやってはいけないことを犯した。これは当然の処置」 朝倉「くっ……ちょっと……まって……」 長門「消去」バキィ!! 朝倉「ぁう!?」 長門「デリート」ベキィ!!! 朝倉「ぁぁ?!」 キョン「長門!!もういい!!十分だ!!」 長門「……」 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 18:33:07.19 ID:jh+aQNZd0 朝倉「……体が動かない……私の負けね……」 キョン「朝倉……」 朝倉「よくかったわね、延命できて……」 キョン「あ、ああ……」 朝倉「ふふ……でも、私のような急進派がまたくるかもしれない」 長門「……」 朝倉「あ、消えるから、もう少し喋らせて……」 キョン「長門、待てって。これでも朝倉は待ってくれたんだぞ」 長門「……待つ?」 キョン「そうだ。朝倉は三年前から消えることに納得してくれてたんだろ?だから、茶番劇をお前に持ちかけたって聞いたぜ?」 長門「最高機密を喋った?」 朝倉「え?だって……」 長門「……」グイッ 朝倉「ごめんなさい。だって、もう死ぬから……いいかなって……」 キョン「長門!!やめろって!!弱い者いじめじゃねーか!!」 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 18:40:41.73 ID:jh+aQNZd0 長門「そう。朝倉涼子は三年前から消えることになっていた。これは決定事項」 キョン「なら、多少は好きにやらせてもいいんじゃねーのか?」 朝倉「……」 長門「でも、彼女は越えてはいけない一線を越えた。これは糾弾するべき」 キョン「それはそうかもしれないが、やり方ってもんがあるだろ?」 長門「……」 キョン「もっと楽に逝かせてやれないのか?」 長門「楽に」 朝倉「大丈夫よ、キョンくん。私にはそういう死ぬ恐怖とかないから」 キョン「でも、概念は理解できるんだろ?」 朝倉「ええ。死ぬ、消えるときに怖いと感じるっていうのは知ってる。でも、私にはそういうの分からないから」 キョン「ある意味幸せなんだろうけど……」 朝倉「さ、消して。長門さん」 長門「……」 キョン「長門、ちょっと待ってくれ」 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 18:46:28.05 ID:jh+aQNZd0 長門「なに?」 キョン「あー、いや……なんだ、ちょっと見てみたくなった」 朝倉「なにを?」 キョン「三年間、この日のために温めてきたものがあったんだろ?」 朝倉「ええ。ずっと考えてきたわ。黄緑さんも一緒に」 長門「……」コクッ キョン「それを未公開のままお蔵入りするっていうのは勿体無いと思う」 朝倉「どういうこと?」 キョン「つまり、発表しないまま消えたら朝倉も悔いが残るだろ。化けて出てくるかもしれない」 朝倉「そんなことないわ。計画は失敗した。それだけのことだもの」 長門「貴方が気にすることではない。我々の失態」 キョン「お前らにとっての三年はほんの少しかもしれないけど、人間の三年は大きいぜ?」 長門「……」 キョン「どうせ消えるならそれぐらいのリクエストに応えてくれてもいいんじゃないか?」 朝倉「うーん……私はいいけど。長門さんは?」 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 18:52:51.42 ID:jh+aQNZd0 長門「……みたい?」 キョン「ああ、見たいね。朝倉が台本を考えたんだろ?三年も寝かせたならさぞかし高いクオリティだろうし」 長門「……」 キョン「しかも朝倉の話によれば、俺が長門に惚れるぐらいの演出っていうじゃないか」 長門「……」 キョン「長門に惚れさせてくれよ」 長門「……わかった」 朝倉「やるのね?」 長門「今、肉体の損傷を修復する」パァァ 朝倉「―――よっと。ふぅ、なら、どこからする?」 キョン「どこからが台本なんだ?」 朝倉「キョンくんが教室に来るところからだけど」 キョン「そうか。でも、そのくだりはやっちまったし、朝倉が俺を刺そうとするところからでいいんじゃないか?」 朝倉「そうね。なら、そこから始めましょうか。長門さんも用意はいい?」 長門「いつでもどうぞ」 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 18:59:07.77 ID:jh+aQNZd0 朝倉「……ふふ」シャキン キョン「や、やめろって!!冗談でも笑えない!!」 朝倉「私は貴方に本当に死んで欲しいんだもの」 キョン「な……!?」 朝倉「じゃ、死んでっ」ダッ キョン「うっ?!」 長門「どーんっ」 キョン「え?」 朝倉「空間を突き破ったときの音」 キョン「あ、ああ。なるほどな」 長門「……」 朝倉「長門さん、まさかこんなにも早く見つかるなんて思わなかったわ」 長門「一つ一つのプログラムが甘い。側面部の空間閉鎖も情報封鎖も甘い。だから私に気づかれる。侵入を許す」 朝倉「でも、遅いわ。ここで彼は死ぬもの」 長門「させない。私が守る。そのために私はここにいる」キリッ 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 19:05:32.16 ID:jh+aQNZd0 朝倉「さ、どっちが早いかしら」ダッ キョン「う、うわー、しぬー」 長門「無駄」ザッ 朝倉「こいつを守るの?こいつを殺せば確実に涼宮ハルヒは動く。情報を得るにはこれしかないのよ?」 長門「……」 朝倉「わかったぁ。貴方、彼のことが好きなのね?」 長門「……それは関係ない」 朝倉「ふふ。可愛い。そう、たった1ヵ月であなたは……ううん、貴方は三年前から好きになっていた。違う?」 長門「……」 キョン「……え、えっと、どういうことだ、ながと?」 長門「気にしないで」 朝倉「キョンくん、長門さんは貴方のことが好きなのよ。何度も接するうちに貴方に惹かれていった。文芸部室で出会ったときから、長門さんは貴方のことが好きだった」 キョン「な、なんだってー」 長門「やめて」 朝倉「だからこそ、貴方のことを命がけで守ろうとする。勝ち目のない戦いなのにね。ホント、可愛い」 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 19:11:48.47 ID:jh+aQNZd0 長門「全て貴方の誤解」 朝倉「今更隠すことはないでしょ?全て事実なんだから」 長門「……」 朝倉「まぁ、そんなに睨まないで。流石の私も恐怖を覚えるわ」 長門「貴方を敵性と判断する」 朝倉「やってみる?ここでは私のほうが有利よ?それに貴方は……彼を守りながら戦う。大きなハンデね」 長門「……」 キョン「長門……」 朝倉「行くわよ」スッ 長門「離れないで」ギュッ キョン「お、おう」 朝倉「ズダダダダダ」 長門「効かない」 キョン「え?」 長門「朝倉涼子から攻撃を受けている、つもり」 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 19:16:05.59 ID:jh+aQNZd0 キョン(ああ……この二人の勝負はついてるもんな……) 朝倉「どこまでもつかしら」 長門「……」 朝倉「しっかり守りなさい。―――ばんっ」 長門「……!」 キョン「……?」 長門「貴方の胸部に被弾した」 キョン「……ぐぁぁ……なんじゃこりゃぁ……」 朝倉「あーあ……だから、しっかり守りなさいっていったのに……」 長門「しっかり」 キョン「うぐ……ながと……おれは……もう……」 長門「大丈夫助かる」 朝倉「助けるつもりなの?どうしてそこまでするのか私には理解できないわ」 長門「心配いらない……すぐに……」 キョン「長門!!顔が近いぞ!!」 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 19:21:09.17 ID:jh+aQNZd0 朝倉「口移しで治療ナノマシンをキョンくんの中に注入するの」 キョン「口移しだと!?」 朝倉「こういう話では定番だから」 キョン「俺はヒロインだったのか?!」 朝倉「長門さん、もう少し」 長門「……」ググッ キョン「目を見開いたまま迫ってくるな!!長門!!ダメだ!!」 長門「こうしないと貴方は死ぬ。貴方が死ねば涼宮ハルヒがどうなるか分からない。世界が一変するかもしれない」 キョン「まて、でもここは口移しをした、つもり。でいいだろ?無理にすることはない!!」 長門「……」 朝倉「……」 キョン「な?」 長門「分かった」 キョン「ふぅー……」 朝倉「キョンくんはやっぱり、涼宮さんが大好きなのね」 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 19:27:12.00 ID:jh+aQNZd0 キョン「な?!」 長門「……」ジーッ 朝倉「普通だったら、ご褒美として受け取ると思うけどなぁ」 キョン「そんなんじゃないって!!」 朝倉「ファーストキスは好きな人とがいいものね」 長門「……」 キョン「いい加減にしろ!!朝倉!!それよりも先に進めろ!!」 朝倉「キョンくん。なら、ここは大人しく長門さんとキスをしてくれない?」 キョン「口移しだろ?!」 朝倉「一緒。それにキスしないとキョンくんが死んでしまうから話が進まないの」 キョン「だから、したってことにしたらいいだろうが!」 長門「……」 朝倉「キースっ、キースっ」 長門「……」 キョン「うっ……?!」 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/12/06(木) 19:33:03.93 ID:jh+aQNZd0 長門「……」 朝倉「わかったわ。長門さん、目を瞑ってあげて」 長門「……」コクッ キョン「いや……」 朝倉「さ、どうぞ」 キョン「……朝倉」 朝倉「どうしたの?」 キョン「やっぱり、こういうことでキスするのは違う。きっと長門も後悔する」 朝倉「後悔?キスだけで?」 キョン「ああ。これは間違ってる」 朝倉「ふぅん。でも、このままじゃ話が進まないわよ?」 キョン「キスするまで納得しないのかよ」 朝倉「大事な場面だから。私が絶対に入れたほうがいいっていってねじ込んだシーンだし」 キョン「……わかった。朝倉、こうしよう」 朝倉「どうしたの?」