オーキド「そこに三つのモンスターボールがあったじゃろ?」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 14:42:18.01 ID:eqvaNWGf0 オーキド「どうしても……研究費用が必要でな……」 レッド「……」 オーキド「しかた……なかったんじゃ……」 グリーン「じーさん……」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 14:47:23.25 ID:eqvaNWGf0 オーキド「連れて行かれるときの泣き声が、今でも耳に残っておる……」 レッド「……」 オーキド「う……ううっ……。すまん……。すまん……! 許してくれ、フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメ……!」 グリーン「じーさん……」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 14:52:08.07 ID:eqvaNWGf0 オーキド「ポケモン図鑑というものを作ってたんじゃ……。ポケモンと出会うとページが増えていく、素敵な図鑑を……」 レッド「……」 オーキド「わしの昔からの夢じゃった……。いつかお前たち二人に託して、わしの夢を完成させてほしかった……」 グリーン「じーさん……」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 15:00:42.32 ID:eqvaNWGf0 オーキド「夢だけでは生きていけない。じゃから、わしは夢を……売った……」 レッド「……」 オーキド「夢を捨ててまで……夢を叶えるために研究者になったのに……わしは、何の為に……?」 グリーン「じーさん……」 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 15:05:59.04 ID:eqvaNWGf0 オーキド「助手が……仲間が、たくさんいたんじゃ。同じ夢を追う大切な仲間が……」 レッド「……」 オーキド「あの頃は楽しかった。毎日が慌ただしく、議論を交わして……今の静けさからは信じられんじゃろ?」 グリーン「じーさん……」 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 15:09:43.23 ID:eqvaNWGf0 オーキド「家族を養うために、多くが去っていった……。出すものも出せないのだから当然のことじゃ」 レッド「……」 オーキド「残ってくれた者もいたが……わしが強引に別の研究所へ送った。彼らの生活のためを思って……」 グリーン「じーさん……」 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 15:16:45.96 ID:eqvaNWGf0 オーキド「……この研究所も売りに出される」 レッド「……!」 オーキド「色々と工面したが、もうどうしようもないんじゃ……」 グリーン「じーさん……!」 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 15:21:29.44 ID:eqvaNWGf0 オーキド「わしの……わしたちの……! 夢と、思い出が詰まった場所を……わしは……」 レッド「……」 オーキド「わしが今までしてきたことは何だったんじゃ……? ……いや、遅いか早いか、それだけの違いじゃな……」 グリーン「じーさん……」 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 15:25:58.44 ID:eqvaNWGf0 オーキド「わしが間違っていたのだろうか……」 レッド「……」 オーキド「そうかもしれんな。……キクコ、『そんな研究をしてるようじゃだめだ』と言ったな。お前が正しかった」 グリーン「じーさん……」 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 15:31:55.05 ID:eqvaNWGf0 オーキド「……ほっほ! 子供にするような話じゃなかったな! すまん、すまん!」 レッド「……」 オーキド「人生こんなこともある! 駄目な見本と受け取ってくれ! ほっほっほっ……」 グリーン「じーさん……」 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 15:35:39.22 ID:eqvaNWGf0 オーキド「なあ、お前たち、夢はあるか?」 レッド「……」 オーキド「こんなわしが言う資格などないが……夢を大切にしてくれ。……大切にできなかった、わしの代わりに」 グリーン「じーさん……」 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 15:42:30.99 ID:eqvaNWGf0 オーキド「二人とも、年寄りの馬鹿な話につきあわせてすまなかった。聞いてくれてありがとう」 レッド「……」 オーキド「さ、帰りなさい。もうここへ来てはいかんぞ? 解体工事で危ないからのう」 グリーン「じーさん……」 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 15:52:37.25 ID:eqvaNWGf0 その後、オーキド研究所は閉鎖。間もなく解体された。 オーキド「あ……ああ……! 研究所が……! わしの夢……ポケモンたち……みんな……!」 レッド「っ……」 オーキド「あ、う……うあああああ……っ」 グリーン「じーさん……っ」 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/09/10(月) 15:59:57.06 ID:eqvaNWGf0 跡地には遊園地が建造された。 マサラタウンはもちろん、他の町、別の地方からも多くの人を集め、マサラは賑わい、その財政は潤った。 園内の子供たちは一様に笑顔を浮かべている。 マサラは今日も人の笑い声が溢れている。 遊園地は今日も子供たちに夢と希望を与えている。 終わり