チョッパー「……また?」ナミ「ええ」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 04:49:32.23 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「ウソップゴームはどうしたの?」 ナミ「あんなの使っても気持ちよくないわ!」 チョッパー「……」 ナミ「じゃ、お願いね。そこのベッドに寝たら良いのよね?」 チョッパー「嫌だ」 ナミ「は?」 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 04:59:05.71 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「俺……もう、したくない」 ナミ「ちょっと」 チョッパー「もう嫌なんだ!長い航海に出る度に、何度も、何度も……!」 ナミ「ちょっとちょっと、チョッパー、良い?冷静に考えてよね」 ナミ「私がこのままチョッパーに処置をしてもらいません」 ナミ「じゃあこの先どうなるの?」 ナミ「この激しい海賊稼業の中、短くても10ヶ月は激しく動けないわ。ましてやこの少人数よ?」 ナミ「途中の島で降りようにも航海士の代わりもいない。というか探さない」 ナミ「なんせ私、仲間だもんね」ニッ チョッパー「……」 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 05:07:31.64 ID:Hqzb1MQq0 ナミ「仮にそれでなんとかなったとして、生まれてきた子はどうするの?」 ナミ「最低3年は誰かが付きっきりでしょうね」 ナミ「それからクルーとして使い物になるまで7年、あ、それと教育も受けさせなきゃ」 ナミ「もちろんこれはただの予想よ」 ナミ「実際にはもっとたくさんの困難が待ち受けてるでしょうね」 ナミ「航海をやめなきゃいけなくなるかも」 チョッパー「……」 ナミ「どうするのが一番か、よく考えてみて?」 チョッパー「……」 ナミ「ね?」 チョッパー「……次からは、ウソップゴームを……」 ナミ「うん使う使う!早くして!」 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 05:11:47.55 ID:Hqzb1MQq0 ―夜― チョッパー「…………」 チョッパー「医者って、命を救う仕事なんだよな」 チョッパー「だとしたら……今の俺は、いったいなんなんだ?」 チョッパー「……Dr.ヒルルクが今の俺を見たら、何て言うのかな」 チョッパー「……」 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 05:20:54.25 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「……駄目だ」 チョッパー「俺、もう限界かもしれない」 チョッパー「……ルフィに、ルフィに相談してみよう」 ―甲板― ドン!ドン! 「イギだいイギだい!イがせてぇぇえ!!!」 「あぁ、サンジ君、中に出してぇ!」 チョッパー「……」 コンコン 「お?誰だー?」 チョッパー「俺だよ、ルフィ」 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 05:29:19.47 ID:Hqzb1MQq0 ガチャ ルフィ「なぁんだチョッパーかぁ!どうしたこんな夜中に!」 チョッパー「ちょっと……眠れなくてな」 ルフィ「はは、あいつらうるせぇもんなー!とりあえず中に入れよ!」 ガチャ ドン!ドン! ア゙ァー! ニンシンカクジツゥ! チョッパー「……」 ルフィ「なんか飲むか?まぁ安いラムしかねーけどよぉ」 チョッパー「……うん、飲むよ」 ルフィ「おっほぉぉ?なんか訳ありっぽいなぁ!どうしたんだ一体?」トクトクトクトク チョッパー「……いや、ちょっと飲みたい気分だっただけさ」 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 05:34:03.74 ID:Hqzb1MQq0 ドン!ドン! ルフィ「んじゃ、とりあえず乾杯でもすっか!チョッパー、なんか乾杯する事ないか?」 チョッパー「ないよ」 ルフィ「いやいや、なんかあんだろぉ?例えばよぉ、さっきから聞こえてる」 チョッパー「ないってば!!!」ドン! ルフィ「…………」 チョッパー「…………」 ルフィ「……あ、あー、そうだな、なけりゃいんだ。悪かったな。」 チョッパー「……いや……俺も……怒鳴って悪かったよ……」 ルフィ「気にすんなって!よおし、今日はどんどん飲めよ!つまみはねぇけど酒はたくさん買ってるからな!」 チョッパー「…………」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 05:37:43.37 ID:Hqzb1MQq0 ルフィ「少し飲みすぎたな……あぁー気分わりぃ……」 チョッパー「……」 ルフィ「……あー……見ろよ、今日は満月だぜ」 チョッパー「……そうだな、とても綺麗だ」 ルフィ「甲板で見たいけど……外に出たらうっせぇしな……」 チョッパー「…………」 ルフィ「……なぁ、チョッパー」 チョッパー「……なんだ?」 ルフィ「なんか……話、あんだろ?」 チョッパー「…………」 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 05:45:55.47 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「……今日、ナミが船医室に来て……」 ルフィ「……」 チョッパー「また、……したんだ」 ルフィ「…………」 チョッパー「ルフィ、知ってるか?」 チョッパー「ナミやロビン、もちろんゾロやサンジも見たことないだろうけど」 チョッパー「人のかたち、してるんだよ」 チョッパー「人になる前のかたちって言った方が正しいかなあ」 チョッパー「手とか、ちっちゃいけれどちゃんと指があるんだ」 ルフィ「…………」 チョッパー「後さ、俺が中にはさみを」 ルフィ「チョッパー」 チョッパー「……」 ルフィ「酒が……不味くなる」 チョッパー「……」 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 05:59:03.51 ID:Hqzb1MQq0 ルフィ「……」 チョッパー「……」 ルフィ「…………」 チョッパー「…………」 ルフィ「…………何でかなぁ」 チョッパー「…………」 ルフィ「初めの頃はもっと違ったんだよ」 ルフィ「あの頃の俺ぁ船もろくに用意できなくてよぉ」 ルフィ「小さな島から島へ渡るのが精一杯でな」 ルフィ「それでも毎日暇な時なんかありゃしねぇ」 ルフィ「ウソップのつてでようやくまともな船を手に入れた時は手を取り合って喜んだもんだ」 ルフィ「その頃からかなぁ……俺らに弛みが出来ちまったのは」 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 06:12:37.07 ID:Hqzb1MQq0 ルフィ「でもな、最後の一線だけは越えない様にって、どっかで皆思ってたはずなんだ」 チョッパー「……」 ルフィ「……その……言いたかねぇけど」 チョッパー「……わかってる。堕胎術を扱った文献を読んだ事もあるなんて、俺が言ったから」 ルフィ「いや……」 チョッパー「……」 ルフィ「……仕方ねぇよ」 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 06:17:22.80 ID:Hqzb1MQq0 ルフィ「ゴク……ゴク……」 ルフィ「ぷふぅ〜……」 チョッパー「…………」 ルフィ「あの時……船から下りさせときゃよかったなぁ……」 チョッパー「……」 ルフィ「チョッパー、お前にも、初めの一回を、許すべきじゃなかった。いくら泣かれようが、喚かれようが、仲間だと言われようが」 ルフィ「いや、仲間だからこそ、船から下ろすべきだったのかな」 チョッパー「……」 ルフィ「……もう俺にはどうしようもねえよ」 ルフィ「もう……俺に出来るのは……ただひたすら自分の夢を追うことだけだ」 ルフィ「あいつらの色に染まらねぇ……骨や、ロボットを仲間にしたりしながら……よ」 チョッパー「……」 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 06:22:07.51 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「……ルフィ」 ルフィ「わかってる」 チョッパー「え?」 ルフィ「下りてぇんだろ……船」 チョッパー「いや……」 ルフィ「……俺は……自分の夢のために……航海してるんだ」 ルフィ「別に……無理やり付き合う必要はねぇ……無理強いする気はねぇよ……」 チョッパー「ルフィ……」 ルフィ「……まぁ、よく考えといてくれ」 ルフィ「もしお前がその気だったら……次の島で……なんとか船医を探してみるからよ」 チョッパー「……」 ルフィ「……」 チョッパー「……わかった」 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 06:27:40.14 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「今日はありがとう……あのさ、俺」 ルフィ「あぁ〜、良いって良いって!俺で良けりゃいつでも話を聞いてやっから!」 チョッパー「うん……あ、ルフィ、それとね」 ルフィ「なんだ?」 チョッパー「お酒……飲みすぎだよ」 ルフィ「……」 チョッパー「……じゃ、俺もう寝るから」 ルフィ「……おう」 ギィ……ガチャ チョッパー「……ふう……」 チョッパー「俺……やっぱりルフィに会えて良かった」 チョッパー「……話せて、良かったな……」 ナミ「何の話してたの?」 チョッパー「!!!」 149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 14:21:00.24 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「ナ、ナミ」 ナミ「こんな夜中に船長と密談かしら?」 チョッパー「い、いや、別に……」 ナミ「何の話してたの?教えてよ〜」 チョッパー「お、俺、もう、寝るから」 ナミ「仲間に対して隠し事?」 チョッパー「……」 ナミ「ふーん、チョッパーにとって私たちってそんな存在だったんだ」 ナミ「明日になったら皆に言っちゃおっと」 ナミ「チョッパーは私たちの事を仲間だと思ってないって」 ナミ「皆怒るわね。特に、ウソップ。あの人、特に仲間意識みたいなのが強いから」 チョッパー「……」 ナミ「もう一度聞くわ」 ナミ「何の話してたの?」 チョッパー「……」 チョッパー「……く、クスリだよ」 155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 14:25:33.92 ID:Hqzb1MQq0 ナミ「クスリ?」 チョッパー「そう、ルフィったら最近眠れないらしくてさ、睡眠薬を処方したんだ」 チョッパー「今はタコのように眠ってるよ」 ナミ「睡眠薬、ねぇ」 チョッパー「もういいだろ?俺も寝るから」 ナミ「ねぇ、その薬、私にも処方してくれない?」 チョッパー「え?」 158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 14:31:16.16 ID:Hqzb1MQq0 ナミ「私も最近寝付きが悪くてさぁ〜」 ナミ「良いでしょ?別に、仲間だしさぁ」 チョッパー「……」 ナミ「あ、それともやっぱり、ルフィが眠れないってのは嘘で、本当は別の話してたんだ」 チョッパー「ち、違」 ナミ「そうよね、あの脳筋ならぬ脳ゴム馬鹿が、そんなデリケートな訳な」 チョッパー「やめろ」 ナミ「は?」 チョッパー「……」 ナミ「ねぇ今なんてった?」 チョッパー「クスリなら、作ってやるから」 チョッパー「もうそれでいいだろ」 ナミ「ヒュー、さっすがチョッパー、話がわかる!私たちの仲間ね!」 チョッパー「……」 176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 14:47:26.33 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー(……眩しい) チョッパー(……また、朝が来た……) チョッパー(……ルフィに俺の気持ちを伝えてから1ヶ月ぐらいか) チョッパー(次の島にはまだ着かないのだろうか) チョッパー(……) チョッパー(早く起きないと……まずは、薬を調合して、それから……) チョッパー(……往診に行かないと) 182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 15:02:06.86 ID:Hqzb1MQq0 ―甲板― チョッパー「……ウソップ」 ウソップ「……」 チョッパー「ウソップ!」 ウソップ「……あぁ〜?なんだ、チョッパーかぁ〜」 ウソップ「見ろよチョッパー、今日の海は虹色だぁ……ほらあそこ、貝が泳いでやがらぁ……はは、ははは」 チョッパー「……」 ウソップ「なぁチョッパー、昨日のカヤったら凄かったぜぇ、なんせおっぱいが3つもありやがるんだぁ」 チョッパー「……水、飲んで」 ウソップ「いらねぇいらねぇいらねぇよ〜!それよりクスリねぇのかぁ!?」 194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 15:10:10.51 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「……あるよ」 ウソップ「おぉ?話がわかるなぁ!さすがチョッパー、我らが船医様だぁ!」 チョッパー「その前にこの水、飲んで。体に触るよ」 ウソップ「いぃんだよ体なんてぇ〜、ほら、クスリくれよお!」 チョッパー「ウソップ」 ウソップ「……あぁ〜、飲む、飲むよ……クスリは……後で船医室に貰いにいっから……」 チョッパー「……」 201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 15:17:36.78 ID:Hqzb1MQq0 コンコン チョッパー「……入るよ、ルフィ」 ガチャ チョッパー「うわ……酒くせぇ」 チョッパー「酒瓶だらけで危ないな……よっと」 チョッパー「ルフィは……今日も樽の中か」 チョッパー「ルフィ?」コンコン 「……誰だぁ?」 チョッパー「俺だよ、チョッパー」 「あぁ……今開けらぁ」 206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 15:29:01.97 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「ほら、水飲んで」 ルフィ「……すまねぇ」 チョッパー「自力で出れる?」 ルフィ「あぁ……ま、なんとかなんだろ」 チョッパー「……」 ルフィ「あいつらは……?」 チョッパー「……いつも通りさ」 ルフィ「そうだよな……」 チョッパー「……」 ルフィ「チョッパー、水、有り難いんだけどさ、まだ起こして欲しくなかったな」 チョッパー「……体、壊すよ」 ルフィ「……大丈夫、ゴムだから」 チョッパー「……」 227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 15:50:52.19 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「じゃ……お大事に、ね」 ルフィ「……」 返事はなかった。当然かもしれない。 ルフィは違うって言ってくれたけど、ルフィの海賊船をぶち壊したのは俺だ。 やっぱり俺は、この船から降りるべきだ。 ルフィは反対するだろうな。いいや、皆も反対するだろう。 でも俺には……もう耐えられない。 最近、随分と処置に手慣れてしまった。 いずれ、ナミのように何も感じなくなるのかもしれない。 それとも、ウソップやルフィのように酒や薬に溺れるのかも。 俺は、そんなのは嫌だ。 船長室から出ると、彼らの嬌声に混じって悲しげな旋律が聞こえて来た。 どこかでブルックが自慢のヴァイオリンを弾いているのだろう 仲間になった当初はとても陽気だった彼も、今では本物の死体のように陰気になっていた。 ウソップが流れる音楽に会わせて、小刻みに体を動かしている。 ……もう、帰ろう。 俺は、逃げるように甲板を後にした。 248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 16:09:02.99 ID:Hqzb1MQq0 ナミ「……」 ナミ「ふぁあ、あ〜……眠た……」 ナミ「……ん?あれ……」 ナミ「……島、島だわ」 ナミ「皆、島!島が見えたわよ!サンジくん!ゾロ!ロビン!ルフィ!」 261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 16:15:56.36 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー(……ついに) チョッパー(ついにこの日が来た) チョッパー(ルフィにお願いして……) チョッパー(降ろしてもらおう) チョッパー(……もし、新しい船医が見付からなかったら) チョッパー(いいや……もう俺には関係ない) チョッパー(俺は……船を、降りる) ウソップ「チョッパー!」 チョッパー「あ、ウソップ!今行くよ!」 ウソップ「いや、じゃなくてさ、降りてる間の分のクスリ、くれねぇか?へへ」 チョッパー「……」 284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 16:25:00.96 ID:Hqzb1MQq0 ルフィ「おぉ〜!随分でっけぇ町だなぁ!こりゃ沢山酒があるぞぉ!」 チョッパー「……ルフィ」 ルフィ「わかってる」 チョッパー「え?」 ルフィ「降りるん、だろ、船」 チョッパー「……うん」 ルフィ「……わかってる!俺たちゃこの島で新しい船医を探すよ!」 ルフィ「だから、心配すんな!」 チョッパー「ルフィ……」 460 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 21:41:58.00 ID:Hqzb1MQq0 サンジ「……」 ゾロ「……」 チョッパー(……とうとうこの日が来た) サンジ「……しっかし、チョッパーが船から降りたがってたなんてなぁ……」 ナミ「……」 ゾロ「……別に、俺たちに無理やり止める権利はねぇ……」 サンジ「わかってる、わかってるけどよぉ……」 チョッパー(サンジ……ゾロ……) サンジ「チョッパーがいなけりゃいったい誰がナミさんたちの子をオロしてくれんだ……?」 ゾロ「ガンギメセックスも卒業……だな」 チョッパー(……) 470 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 21:53:41.20 ID:Hqzb1MQq0 サンジ「あっ、そ〜だ!だったらせめて降りる前にさ、目一杯ヤク作っといてくれよ!」 ゾロ「そりゃ良いな!そうだ、どうせなら今夜は宴にしようぜ」 サンジ「ひょお〜、街のかわいこちゃん捕まえてか?マリモにしちゃいぃ〜事思い付くじゃねぇか!」 ゾロ「となりゃあ相当分のヤクがいるな……チョッパー、頼んだぜ」ポン チョッパー「……」 サンジ「そうだ、この先この島でやってくんならついでにちょいとヤクサバいとけよ。何はなくとも金は入り用だぜぇ?」ポン チョッパー「……」 475 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 22:01:33.12 ID:Hqzb1MQq0 サンジ「んじゃ、俺はナミさんの所にでも行くかぁ……マリモ、てめぇは」 ゾロ「あぁ……俺は……ちょいと抜いてくる」 サンジ「おいおい」 ゾロ「わぁってる……口でしてもらうからよ……」 サンジ「お、そういや、ルフィの奴は?」 ゾロ「さぁ……スカウトにでも行ってんだろ」 サンジ「仲間になれよ!」ドン! ゾロ「うるせぇ!行こう!」ドン! サンジ「wwwww」 ゾロ「wwwww」 サンジ「じゃあ後でな」 ゾロ「おう」 ゾロ「チョッパー、元気でやれよ」ポン チョッパー「……」 チョッパー(……本当に……最後まで……こいつらは……) 505 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 22:55:59.06 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー(……この船とも、お別れ、か) チョッパー(未練はないはずだったんだけど……やっぱり……ちょっと寂しいな……) 「ヨホ……チョッパーさん」 チョッパー「あ……ブルック」 ブルック「あ、あ、あの……私……チョッパーさんが船から降りるって聞いて……」 ブルック「ほ、ほら、フランキーさんも……」 フランキー「ピーガシャンガシャン」 チョッパー「……ありがとう。フランキーも……」 ブルック「ヨホ……フランキーさんも、降ろせたら、良いのですが」 フランキー「ピロピロパラポロピ」 チョッパー「……次に来る船医が、心療を心得ている事を願おう……」 ブルック「そうですね……」 521 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 23:06:54.39 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「……」 ブルック「そ、そうだ、私、チョッパーさんに曲書いてきたんです」 ブルック「あ、あの、今から弾きますんで聴いてください!」 チョッパー「……ありがとう……」 ブルック「ヨホホ、お安い御用です!最高に陽気な曲ですよ!」 チョッパー「そりゃ楽しみだ!フランキー!踊ろう!」 フランキー「アイルビーバックアイルビーバック」 528 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 23:15:02.67 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「……あー……太陽が……沈む……」 ブルック「……ヨホ」 フランキー「ピー」 チョッパー「……薬……作んねぇと……」 ブルック「……」 フランキー「……」 チョッパー「……なぁ、ブルック」 ブルック「ヨホ?どうかしましたかー?」 チョッパー「……あのさ、例えばの話だよ」 チョッパー「生の演奏が聴ける病院ってどう思う?」 ブルック「……」 536 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 23:23:49.34 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「俺は、人の身体を治してさ、ブルックは、人の心を、治すんだ」 チョッパー「な、どう思う?凄く良いって思わないか?」 ブルック「……ヨホ、凄く魅力的な……提案です……」 チョッパー「じゃあ」 ブルック「それでも」 チョッパー「……」 ブルック「……駄目なんです……」 チョッパー「……どうして」 ブルック「……今のフランキーさんを……一人には出来ませんよ」 フランキー「ナデナデシテー」 チョッパー「だったら、フランキーもさぁ!ルフィに頼み込んで!」 ブルック「ルフィさんを、一人にするのが良い、と?」 チョッパー「……」 ブルック「……」 549 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 23:28:53.99 ID:Hqzb1MQq0 ブルック「それに……ルフィさんと同じく、私にも目的はありますから……」 チョッパー「……そっか、会いに行かなきゃだもんな」 ブルック「はい……申し訳ありません」 チョッパー「はは……いいんだよ……」 ブルック「……」 チョッパー「……」 フランキー「……」 チョッパー「……俺、そろそろ作り始めないと」 ブルック「……そうですか。最後のお仕事、頑張ってください」 562 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 23:36:51.85 ID:Hqzb1MQq0 チョッパー「……これを……よし、これで100包……これだけあれば良いだろ……」 コンコン チョッパー「……誰だ?」 「チョッパー、いるんだろ、チョッパー」 チョッパー「……ルフィ?」 ガチャ ルフィ「チョッパー、あ、あのよ、あの」 チョッパー「ど、どうしたんだ?ルフィ!」 ルフィ「そ、そのな!お前に変わる船医を見つけた!」 チョッパー「え……そうなんだ、良かったじゃん」 ルフィ「そうなんだ。おーい、こっち来てくれ!」 チョッパー「?」 ルフィ「……聞こえなかったのかな?おーい、おーい!」 チョッパー「……行ってみよう、なんか、変な予感がするよ」 ルフィ「ああ、そうだな、行こう!」 569 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 23:47:16.00 ID:Hqzb1MQq0 ナミ「へぇ……女の子とキスした事もないんだ」 少年「は、はい!恥ずかしながら!」 ナミ「ふーん、じゃあさ」 「おーい、ナミー!」 ナミ「チッ」スッ ルフィ「お、いた!」 ナミ「あら、ルフィ?どうしたの?」 ルフィ「どうしたも何も、いきなり居なくなるから……」 ナミ「別にどうもしないわよ……あ、チョッパー」 チョッパー「……」 少年「??」 ナミ「ほら、あんたの元上司よ。挨拶しなさい」 少年「こ、こんにちは……」 チョッパー「お、おう……」 575 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 23:50:47.10 ID:Hqzb1MQq0 少年「……」 チョッパー(……なんか気まずいな……) ナミ「……ほら、ルフィ」ボソ ルフィ「……あのさ、やっぱりやめに……」 ナミ「……」 ルフィ「……あ、あのさ、チョッパー!ちょっとこっちに来てくれ!」 少年「?」 チョッパー「……なんだ?」 579 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/25(土) 23:54:41.33 ID:Hqzb1MQq0 ルフィ「……」 チョッパー「どうしたんだルフィ?」 ルフィ「あ、あの……よ」 ルフィ「……引き継ぎって……あるじゃん……?」 チョッパー「……は?」 588 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/26(日) 00:01:01.74 ID:ERB81GiZ0 ルフィ「だから……その」 ルフィ「……お前が……最近……良くやっている仕事を……彼に……教えてやってくれ」 チョッパー「…………」 ルフィ「な……いいだろ……?」 チョッパー「……何でだよ」 ルフィ「……」 チョッパー「何で……そんな事を……」 ルフィ「……ナミたちが……そうしなきゃ、俺たちも降りる……って……」 チョッパー「何でそこまでして……海賊王になりたいんだ!!」 ルフィ「…………」 チョッパー「…………」 ルフィ「……夢、だから。」 チョッパー「……」 ルフィ「約束、だから……」 607 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/26(日) 00:06:48.05 ID:5pcKx+9K0 ルフィ「……」 チョッパー「俺……ルフィの夢……少しでも手伝えたらって……そう、思ってたんだぞ!」 ルフィ「……」 チョッパー「……もういい」 ルフィ「……」 チョッパー「もう……これっきりだ」 チョッパー「もう、一切俺に関わるな」 チョッパー「俺、お前に付いてくるべきじゃなかった」 ルフィ「……」 チョッパー「……ねぇ、君!」 少年「は、はい!」 チョッパー「今から君の仕事場と、君がする仕事を教えるよ!」 チョッパー「ちょっと付いてきてくれないかな!?」 少年「は、はい!わかりました!」 チョッパー「じゃあな……クソ野郎」ボソ 612 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/26(日) 00:10:04.51 ID:5pcKx+9K0 少年「あの、仕事ってどういう……」 チョッパー「はは、簡単な施術さ……少し特殊だけど、すぐに意味がわかるよ……」 少年「わぁ……ですね……」 ルフィ「……」 ルフィ「…………」 ナミ「……はは、上出来」 ルフィ「……これで」 ナミ「わかってるわよ……船からは降りない、ね?船長」 ルフィ「……ああ」 ナミ「満足、でしょ?」 ルフィ「……ああ」 635 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/26(日) 00:26:41.76 ID:5pcKx+9K0 ……あの日から、三年が過ぎた。 街の娘たちを拐かして、薬の中毒者にした、悪名高き海賊たち。 彼らが去ると同時に街に現れた俺は随分と迫害されてきた しかし、俺の罪悪感から行なった中毒者たちへの献身的な看護が、結果的に街の人たちに受けたらしい。 今、俺は街の外れで小さな診療所をやっている。 あの時ブルックが聴かせてくれた曲を込めたダイヤルも中々好評だ。 彼らの消息は、何一つ知らない。 一度だけ、行き着く街々で麻薬をばらまく非業の移動麻薬工場の話を聞いた事があるが…… 俺にはもう関係ない話だ。 656 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/26(日) 00:39:42.13 ID:5pcKx+9K0 チョッパー「はい、では喉の腫れを抑える薬を処方しますから……毎食後に飲んでくださいね」 村人「はい、わかりました!」 チョッパー「どうです、お茶でも飲んでいきますか?」 村人「ああ、頂きます!……ところで先生、知ってますか?」 チョッパー「何をですか?」 村人「三年前にこの島に現れた海賊どもの事がわかったんですよ!」 チョッパー「……へぇ」 村人「見てください、奴らの賞金!どいつもこいつも悪そうな顔してますよぉ!」 そこには懐かしい顔があった。 ルフィ……今の二つ名は「麦藁」ではなく「酒樽」らしい。随分と頬がこけている……。 賞金も俺がいた頃の二倍にはなっていた。 他にも、ナミ、ゾロ、サンジ、ウソップ、ロビン……。 みんな、変わっていない。 当たり前だ。 あいつらは、俺がいた頃からずっと……クズだった。 ブルック……フランキー……。彼らも、三年前と変わらない顔を浮かべている。 当たり前だ……骨と、ロボだもの。 冷めた目で彼らの顔を眺めていると、一番下に見慣れない顔がある事に気付いた。 ……いや、この顔は……。 片方の口を曲げて、心底、歪んだ愉悦を浮かべながら、笑っている、この顔は……。 669 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/26(日) 00:50:13.33 ID:5pcKx+9K0 少年『これ、なんの薬なんですか?』 いずれわかるさ…… 少年『この施術、難しそうですね……』 大丈夫……すぐに慣れるよ 村人「……生、先生!」 チョッパー「……は?」 村人「どうしたんですか?急に塞ぎ込んじゃって……」 チョッパー「……いや……なんでも、ないさ」 村人「そうですか……先生、医者の不養生だけはよしてくださいね?俺、先生以外の医者なんていまさら考えられないっすよ」 チョッパー「はは……ありがとう」 村人「じゃ、私はこれでおいとまします……お大事にしてくださいね」 チョッパー「……」 チョッパー『じゃあな……クソ野郎』 結局……一番のクソ野郎は、俺だったのか。 671 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/26(日) 00:51:46.86 ID:5pcKx+9K0 チョッパー『そういえばさ、おかしな術について書かれた本読んだ事あるんだ!なんでも、お腹の子供を……』 ……昨日の手術で使った麻酔、まだ置いてたよな。 チョッパー「……また?」ナミ「ええ」 完