長門「溶けて死にそう」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 20:19:34.84 ID:62cstSm+0 キョン「清く正しい姿勢で言われても、説得力に欠けるんだがな」 長門「何事においてもやる気がでない」 キョン「そうか」 長門「表紙をめくるのも億劫」 キョン「そうか」 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 20:22:18.35 ID:62cstSm+0 長門「水」 キョン「ああ、茶なら俺の水筒に残ってるが」 長門「浸かるため」 キョン「足でも冷やすのか?」 長門「そう」 キョン「しかし、水を入れられそうなものは掃除用のバケツと、コスプレ用の着ぐるみの頭部くらいしかないぞ」 長門「構わない」 キョン「そうか」 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 20:30:02.83 ID:62cstSm+0 キョン「涼しいか? カエル(着ぐるみ)の頭部に詰まった水道水は」 長門「ぬるい」 キョン「そうか」 長門「――来る」 キョン「ハルヒか?」 コンピ研部長「頼もう!」バーン キョン「ドアは静かに開閉してくれ」 部長「ああ、すまない……ところであの時代遅れの暴力女はいないのか?」 キョン「ハルヒならまだ来てないが。知ってるか、長門」 長門「彼女ならトイレで力んでいる」 キョン「そうか」 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 20:39:25.66 ID:62cstSm+0 部長「ふん、まあ、それでもいいさ。今日こそは略奪されたPCを返してもらうぞ!」 キョン「まだ根に持ってたのか」 部長「大枚叩いて手に入れたんだ。そう簡単には諦め切れないさ」 部長「本日、その正義の執念を神が認め、機会を下さった」 キョン「頭を冷やした方がいいんじゃないか。ぬるいが、水ならここにあるぞ」 部長「誤魔化そうったってそうはいかないからな!」 部長「正義に力を! 悪に裁きを! 閃け、我が異形の魂!」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 20:43:37.95 ID:62cstSm+0 部長「どうだ、これでも要求を拒絶できるかな」ジャキン キョン「おいおい、なんだその物騒な代物は。どっから取り出したんだよ」 長門「対戦車ライフル」 キョン「あれが? 高そうなエアガンだな」 部長「馬鹿にするなよ!」ドーン 長門「部室の壁の消失を確認」 キョン「見りゃわかるさ」 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 20:50:58.03 ID:62cstSm+0 キョン「おいおいマジかよマジモンだよ。マジヤバじゃん。どうするながもん」 長門「落ち着いて」 キョン「よし、落ち着いたぞ」スーハー 長門「対戦車ライフルは接近戦には向いていない。銃口をよく観察すれば避けられる」 キョン「そうか」 キョン「しかし、理論を聞いても納得しきれるもんじゃないな」 長門「そう」 部長「くそ、再装填に手間取るな……」カチャカチャ キョン「! 長門、しっかり掴まってろよ」バッ 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 20:58:41.71 ID:62cstSm+0 ―― キョン「空いた穴から飛び降りたはいいが、流石に足が痺れるな」 キョン「大丈夫か、長門」 長門「問題ない」 キョン「そうか」 キョン「とりあえず離れるとして……これからどうしたもんか」 キョン「しかし、あの部長があそこまでエキセントリックな性格だったなんてな」 長門「おそらく、涼宮ハルヒの影響によるもの」 キョン「性格が? 銃刀法違反がか?」 長門「両方」 長門「私のやる気がないのも、涼宮ハルヒのせい」 キョン「こないだの数学が赤点だったのも、あれはハルヒのせいだったのか」 長門「それは違う」 キョン「そうか」 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 21:06:23.73 ID:62cstSm+0 キョン「夏の暑さのせいじゃないのか」 長門「涼宮ハルヒのせい。私が幼児体型なのも、元はといえば涼宮ハルヒが元凶」 キョン「まじか。私見だが、後者に関しては悪くないとおもうがな」 長門「そう」 キョン「しかし、ハルヒが発端ならいつもの如く、何らかの解決法もあるだろう」 長門「要求物を引き渡すのも一つの手段」 キョン「それじゃあハルヒが納得しないだろうし、部長の厄介な性格は消えないだろう」 長門「めんどい」 キョン「それもこれも、ハルヒのせいだな」 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 21:17:20.67 ID:62cstSm+0 キョン「校門に着くと、鶴屋さんがいた」 長門「前方に敵影を確認」 キョン「たった今俺が説明を……ん、敵?」 鶴屋「やあやあキョン君。久しぶりだねっ」 キョン「ご無沙汰してます。では、急ぐのでこれで」 鶴屋「ちょーっと待つにょろよっ! 通行料として、有希っこを置いていくにょろ」 鶴屋「ドールは高く売れるからねっ!」 キョン「ドール? 長門のことですか」 鶴屋「どう見てもそうにょろ」 キョン「確かにこいつはNASAとかが喉から手を出してさらいそうなほどのスペックを持ってますが」 キョン「流石に人身売買に供するのは賛成できませんね」 鶴屋「言うこときかない悪い子には……実力行使にょろ!」ダッ キョン「おい、逃げるぞ長門」 長門「怠い」 キョン「いいから」グッ 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 21:28:35.87 ID:62cstSm+0 キョン「おいなんだ速すぎるだろ足。いくら運動神経に差があるからって」 キョン「離せる程度だった距離がぐんぐん縮まって来てるんだが」 長門「彼女の能力は、スピードアップ」 キョン「能力?」 長門「そう」 長門「少し前、彼女は恐ろしい速度で蛇口の開閉を繰り返していた」 キョン「節水しろよ」 鶴屋「あはははは、逃がさないよ!!」 キョン「眩しい笑顔で目をむいて突進してくる鶴屋さん」 長門「もはや、諦めるのが賢明」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 21:37:03.18 ID:62cstSm+0 鶴屋「いっひっひひひひひひ……ふぎゃっ!」ビターン キョン「おお、鶴屋さんがこけた」 長門「今のうちに大きめの石で頭を潰して」 キョン「エグイこと言うなよ」 鶴屋「いたた……これ何にょろ、ワイヤー?」パチッ 鶴屋「いぎっひい!!」バリバリバリ 長門「感電しているようす」 キョン「痛そうだな。かくいう俺も幼少の頃、コンセントに指を突っ込んだことがあってな」 長門「興味ない」 キョン「そうか」 ?「うっふ、大丈夫ですか」 キョン「その声は古泉か」 古泉「カンが良いですね。せっかく演劇部から仮面を拝借してきたというのに」 キョン「気色悪い鼻声が聞こえたからな」 古泉「ヒーローに対しての扱いではありませんね」 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 21:47:19.71 ID:62cstSm+0 キョン「悪かった。しかし古泉、この一連の怪奇現象はいったい」 古泉「僕の考えでは、やはり涼宮さんの願望……」 古泉「能力者同士の抗争を望んでいるのではないでしょうか」 キョン「バトル物か」 古泉「ええ。校舎内でも数人の能力者を確認次第、首を絞めておきました」 キョン「解決した後が怖いな」 古泉「尻拭いは森さんがやってくれます」 キョン「森えもんか……ながもんといい勝負だな」 ながもん「日光が白皙に厳しい」 ながもん「休憩を要求する」 古泉「そうですね、とりあえずそこの窓から空き教室に忍び込みましょうか」ガシャーン 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 21:53:14.91 ID:62cstSm+0 ――隅の空き教室 キョン「なあ、普通に玄関からじゃ駄目だったのか?」 古泉「こちらのほうがスマートでデンジャラスかと思いまして」 長門「ショートカット」 キョン「毒されてんな」 古泉「ときに長門さん、バケツ水の具合はいかがですか?」 長門「ひんやり」 古泉「んっふ。蛇口を捻ってから少し待つのが極意ですよ」 キョン「節水しろよ」 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 22:03:52.69 ID:62cstSm+0 キョン「それで古泉。解決法はないのか?」 古泉「そうですね。僕の知識から言って、恐らくですが、地球をコピーしてから全人類の魂を抜き取れば解決かと」 キョン「ハルヒの暴走と競える壊滅っぷりだな。他にはないのか?」 古泉「アニメか漫画に感化されただけだと思われますので……能力者同士の戦いを観戦させるとか」 キョン「それだと地球上に血気盛んな奴らによるバトルが繰り広げられかねん」 古泉「僕はそれでも構わないのですがね。ようやく手に入れた主役の立ち位置ですし」 古泉「しかし、それ以外の解決手段を望まれるのならば、要は戦いを終わらせればよいのです」 古泉「敵と味方がはっきりと設定されているようですし、あるいは全滅させることが出来れば……」 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 22:08:33.15 ID:62cstSm+0 キョン「敵役がいなけりゃバトルは打ち切りってワケだ」 古泉「涼宮さんに見つからないように事を運ぶ必要がありますが」 キョン「敵の数を把握する必要もあるな。勝てる保証もないし、可能な限りは戦術を組み立てておきたい」 長門「涼宮ハルヒなら、まだトイレで踏ん張っている」 キョン「長いな。便秘か?」 長門「たまに捻りだせているので、便秘ではない」 古泉「!」 古泉「長門さん、もしや……」 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 22:21:27.96 ID:62cstSm+0 キョン「何してるんだ?」 古泉「燃やせそうなものを探しているんです。この箒なんてよさそうですね。柄の部分からダイオキシンが発生しそうですが」 キョン「おいおい……」 古泉「ふんっ!」バチッ! 古泉「あとはこれを廊下に突き出すだけです。簡単ですね」メラメラ キョン「狼煙でも上げるつもり……うおっ」 ジリリリリリリリ ザー…… キョン「なんだこりゃ、スプリンクラーか?」 古泉「クーラーすらない北高ですが、涼宮さんの命に関わることなので」 古泉「夏休みに機関の方で援助し、設置して頂いたんです」 キョン「どうせならクーラーも設置してくれよ」 キョン「夏の熱気でマッハなハルヒのストレスが軽減されれば、神人も減るんじゃないのか?」 長門「名案。採用すべき」ヒンヤリ 古泉「盲点でした……」 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/08/04(土) 22:35:03.03 ID:62cstSm+0 長門「能力者反応を複数確認。最寄は三つ隣りの教室」 キョン「長門レーダーが強化されているな」 古泉「やはり。彼女の能力は、水を媒介にして周囲の状況を察知できるものなのでしょう」 古泉「一応ですが、ヒロイン役の能力ですね。蘇芳には適いませんが」 長門「そんなキャラクターは確認されていない」 古泉「今なんと?」 キョン「いま一つわからんが、これで敵の位置が把握できるわけだ」 長門「濡れたことで体が重い」 キョン「そうか」 長門「おんぶして貰わないと、索敵に集中できない可能性がある」 古泉「僕は貴重な戦闘要員ですので」 キョン「致し方ないな」