灰原哀「このロリコン」夜神月「……!」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 21:38:56.48 ID:95o4ZXd40 某日、朝。気晴らしの散歩中。 視界は登校中の小学生達を捉える。 変わらない光景。つまらない日常。 でも、彼女の存在だけは違って見えた。 僕は確信する。彼女のことが好きだと。 彼女こそが――新世界の『女神』だと。 リュ「何ボソボソ言ってんだ、ライト?」 月「ああ……あれを見てくれ、リューク」 リュ「ん? あのガキ達がどうかしたか?」 月「中に、茶髪の女の子がいるだろう?」 リュ「茶髪……? ああ、確かにいるが」 月「早い話、僕はあの子に恋をした」 リュ「……!」 リュ「……おいおい。らしくねぇじゃねーか」 リュ「新世界の神が……恋に落ちるなんてよ」 月「だから言ったろ――『女神』を見つけたって」 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 21:41:27.14 ID:95o4ZXd40 リュ「……それで、お前はどうするつもりだ?」 月「もちろん、彼女にアプローチを仕掛けるつもりさ」 リュ「つまり……新世界の神は諦めるってことか?」 月「まさか。アダムとイヴ。2人で世界を創造するのさ」 リュ「そうか……まぁオモシロければ何でもいいが」 月「ところでリューク。最近はリンゴにご無沙汰だろ?」 リュ「そーいやしばらく食ってねーな。くれるのか?」 月「ああ……僕の言うとおりに動いてくれたらな」 リュ「ふっ。オレとお前の仲だ。お安い御用だぜ」 月「よし。じゃあ今から彼女を盗聴してきてくれ」 リュ「……盗聴? 会話を聞いてくるのか?」 月「そうだ。できる限り情報を集めてきて欲しい」 月「その“見えない体”を利用して、な」 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 21:43:10.27 ID:95o4ZXd40 ◆登校中://某所◆ 歩美「じゃあコナン君の好きな食べ物って?」 コナン「オレは……肉じゃがとかかな……」 歩美「へぇ〜、そうなんだ〜///」 コナン「元太はどうなんだよ? やっぱりうな重か?」 元太「オレ……実はうな重……嫌いなんだ……」 歩美「えええええ!? そうだったのぉ!?」 光彦「元太君からうな重を引いたら何が残るんですか!」 元太「ああ? 何だと光彦!? やんのかコラッ!?」 コナン「おいお前ら。喧嘩はやめろって」 灰原「ねぇ……江戸川君……ちょっといい?」 コナン「ん? どうした灰原?」 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 21:45:50.46 ID:95o4ZXd40 灰原「誰かに付けられてる気がしない?」 コナン「はぁ? 付けられてるだぁ?」 灰原「ええ。さっきから、妙な気配を感じるの」 コナン「妙な気配……ねぇ……」 コナン(やはり灰原も感じていたか……) コナン(だが、コイツをこれ以上、心配させるわけには……) コナン「……なぁお前……ちゃんと睡眠とれてるか?」 灰原「え……?」 コナン「疲れて神経質になってるだけだろ?」 灰原「で、でも……もし正体がバレてたら……」 コナン「だったらジンやウォッカが接触してくるはずだ」 コナン「ところが現に何もない。バレてない証拠さ」 灰原「だと……いいけど……」 コナン「心配すんなって。それに――」 コナン「いざという時は、オレが助けてやっからよ」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 21:48:40.42 ID:95o4ZXd40 ◆同刻://少し離れた場所◆ リュ「――だそうだ」 月「なるほど、苗字は“灰原”というのか……」 リュ「それにどうやら訳アリみたいだぜ」 月「確かに……“正体”ってのが気になるな」 リュ「気になるといえば、隣にいた奴もそうだ」 月「“江戸川”……だっけか」 リュ「ああ、恐らく名前は“コナン”――ブッ」 月「……おい、今、何で笑ったんだ?」 リュ「あ、ああ。すまん……つい……」 月「つい、じゃない。何故笑ったか聞いてるんだ」 リュ「次から気をつける。許してくれ」 月「超えちゃいけないライン、考えろよ」 リュ「……ああ、悪かった(……コンプレックスか)」 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 21:51:05.02 ID:95o4ZXd40 月「とにかく、コナンは“渾名”ということで話を進める」 リュ(まぁ、どっちでもいいけど……) リュ(でも渾名ってのは強ち間違いじゃなさそうだ) リュ(どういうワケか、あの2人だけは――) リュ(“名前”と“寿命”が見えなかった) リュ(奴らはもう人間じゃないのか……?) リュ(それとも神を冒涜する何かをしたのか……?) リュ(どちらにせよ、“正体”とやらに関係ありそうだ) 月「ん? どうしたリューク?」 リュ「……いや、なんでもない」 月「そうか。じゃあ帰るぞ」 リュ「え? もう彼女を追わなくていいのか?」 月「バカ。校内にまで入ったら、ただの変態だろう」 リュ「……確かに。学校名を知れただけで十分か」 月「ああ。帝丹小学校だ……よく覚えとけよ」 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 21:53:36.29 ID:95o4ZXd40 ◆8時30分://夜神家◆ 月「ただいま、母さん」 幸子「あら、ライト。おかえり」 月「今日はパートあるんじゃないの?」 幸子「今から行くところよ。そっちは学校いいの?」 月「創立記念日だって昨日も言ったじゃないか」 幸子「ああ、そうだったわね。最近忘れっぽくてやだわ」 月「ハハッ。じゃあ、いってらっしゃい、母さん」 幸子「いってきま――あ、ライト。粧裕をよろしくね」 月「粧裕? 学校に行ったんじゃないの?」 幸子「何か微熱があるみたいで、学校休ませたのよ」 月「微熱? わ、分かった。後で様子を見に行くよ」 幸子「ええ、お願いね。じゃあいってきます」 月「ああ、いってらっしゃい」 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 21:55:32.55 ID:95o4ZXd40 ◆同刻://夜神家/ライトの部屋◆ 『バサッ』 月「……ふぅ……」 ベッドで仰向けになるライト。 今朝の運命的出会いを振り返る。 月(僕は彼女に恋をした……) 月(でも彼女はまだ、僕を知らない) なんとも一方通行な出会い。 でも道は通じてる。前進は可能だ。 月「ジンに、ウォッカ……か……」 リュ「そういえば話題に上がってたな」 月「会話から察するに――」 月「彼女は何らかの理由でその2人に追われている」 リュ「でもジンとかって確か、人間界の酒じゃなかったか?」 月「ああ、その通りだよ」 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 21:58:41.70 ID:95o4ZXd40 月「彼女らが勝手にそう呼んでるだけか――」 月「それとも、本当にそんなコードネームなのか――」 月「最悪、“追われてること自体”、妄想かもしれない」 リュ「ま、普通の小学生ならその線が妥当だろうよ」 月「だが、小学生の会話に聞こえなかったのも事実だ」 リュ「それはオレも思った。アイツらレベル高すぎだぜ」 月「どちらにせよ、調べてみる価値はありそうだな」 リュ「ジンとウォッカについてか?」 月「ああ。もちろん彼女についても、な」 月「……さて、パソコンを起動させよう」 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:01:34.43 ID:95o4ZXd40 Google「ジン ウォッカ 詳細」 月「……検索っと」 『カチカチッ』 月「……」 Google「灰原 帝丹小学校」 『カチカチッ』 月「……」 リュ「目ぼしい情報はなし……か」 月「だな……まぁ端から期待していないが」 月「一応、あのガキのことも調べてみるか」 Google「江戸川 コナン」 『カチカチッ』 ≪江戸川コナン君、怪盗キッドから宝石を守る!≫ 月「あん?」 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:04:38.55 ID:95o4ZXd40 リュ「なんかヒットしたな。怪盗キッドって誰だ?」 月「ただのコソ泥だよ。狙うものは宝石ばかり」 月「それも犯行予告なんてしやがるオールドタイプさ」 リュ「つまり犯罪者ってことか。ノートで殺さないのかよ?」 月「バカ。顔と名前が分かってたらとっくに裁いてる」 リュ「クックック。だよな。やっぱりライトはライトだ」 月「まぁ今は“コナン”についてだ。ちょっと記事を読ませてくれ」 ≪殊勲のコナン君について、眠りの小五郎こと毛利探偵は≫ ≪いやぁ〜、私の教育の賜物ですかね、グハハハハ≫ ≪とコメントしており、かなり上機嫌な様子が伺えた≫ 月(毛利小五郎だと……?) 月(“江戸川コナン”と、あの名探偵に繋がりがあるのか?) 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:07:23.89 ID:95o4ZXd40 リュ「……結局、肝心の彼女については収穫ゼロか」 月「ああ。せめて名前くらいは知りたかったよ」 月「といっても、今から強引に調べてくるけどな」 リュ「強引? まさかお前、ハッキングするつもりか?」 月「ふふっ、その通りだよ」 リュ(マジかよ……たかが名前のために……) 月「今から、帝丹小学校のWEBサーバに侵入してくる」 月「学内のLANを駆け回れば、名簿くらい見つかるだろ」 リュ「……まぁ好きにしてくれ……オレは知らん」 月「ふふっ。リュークが思っているほど難しくないよ」 月「ウォーミングアップがてらに奪ってくるさ」 リュ(……ウォーミングアップ?) 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:11:14.66 ID:95o4ZXd40 ◆その頃://帝丹小学校/コンピュータルーム◆ 小林先生「はい、みんな。パソコンは起動できたかな?」 小林「出来てない人は手を挙げて先生を呼んでね」 \はぁ〜い/\はぁ〜い/\はぁ〜い/ コナン「……最近は1年から情報の授業やるんだな」 灰原「良くも悪くも、時代の流れね」 コナン「ったく。ガキにネットを使わすとロクなことねーってのに」 灰原「それには同感だわ――って、どうしたの?」 コナン「この学校のコンピュータ、全部LANで繋がってやがる……」 コナン「校長のPCからWEBサーバ、職員のPCにファイルサーバまで……」 灰原「ふふっ、外部からハックされたら芋づる式ですっぱ抜かれるわね」 コナン「ああ。個人情報だだ漏れだ。大丈夫かよこの学校」 コナン「まぁ、オレ達には関係な――ん?」 コナン(妙だな……セキュリティソフトがフリーズしてる……) 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:13:45.68 ID:95o4ZXd40 ◆その頃://夜神家/ライトの部屋◆ 『カタカタ……ッターン!』 月「よし。侵入成功っと」 リュ「随分とチョロイもんだな」 月「ああ。それに校長のPCまで見れるぞ」 リュ「でも欲しいのは名簿だけだろ」 月「まあな。でも一応貰えるだけ貰っとくよ」 ≪コピー中  62%  残り50秒≫ ≪コピー中  71%  残り40秒≫ ≪コピー中  79%  残り30秒≫ 『ピピッ』 月「!!」 リュ「ん? おいライト。なんか鳴ったぞ?」 月「ちっ……どうやら反撃されたみたいだ」 月「応戦しないとマズい」 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:16:56.95 ID:95o4ZXd40 ◆その頃://帝丹小学校/コンピュータルーム◆ 『カタカタカタッ』 コナン「くっ、罠か! 気づかれちまった!」 灰原「ねぇ工藤君。さっきからどうしたのよ?」 コナン「説明は後だ! 奴を取り逃がしちまう!」 灰原「え? 本当に誰か侵入してきたの?」 コナン「ああ……奴らの可能性だってある!」 コナン「絶対に……逃してたまるかよ!」 ◆その頃://夜神家/ライトの部屋◆ 『カタカタカタッ』 月「くそっ、なんて素早い奴だ!」 リュ「クックック。なんか急に忙しくなったな」 月「静かにしてろリューク! 気が散るだろ!」 ≪コピー中  100%  残り0秒≫ 月「よし終わったか! このまま振り切るぞ!」 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:20:21.43 ID:95o4ZXd40 ◆その頃://帝丹小学校/コンピュータルーム◆ 『カタカタカタ……』 コナン「くっ……逃げられたか」 灰原「もしかして、負けちゃった?」 コナン「バーロー。相手は逃走経路まで用意してたんだ」 コナン「圧倒的にこちらの準備不足。実力の差じゃねーよ」 灰原「はいはい。でも、相手が誰か気になるわね」 コナン「ああ。オレ達を狙ってか、それともこの学校を狙ってか……」 コナン「まあ行動ログは取れたんだ。何かが分かるかもしれねぇ」 灰原「あら、凄いじゃない」 コナン「相手にとっても、オレの存在は想定外だったんだろう」 コナン「といってもデータは盗まれたし、IPは抜けなかったけどな」 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:22:57.54 ID:95o4ZXd40 灰原「それで、盗まれたデータは何だったの?」 コナン「生徒名簿と時間割、あと校長のPCのデータだ」 灰原「じゃあ本命は、校長のデータかしら?」 コナン「断定はできないが、その可能性は高いだろうな」 小林「こーら、2人とも。さっきから何話してるの?」 コナン「あ、ごめんなさい……えへへ」 コナン(後で校長のデータを見てみよう) コナン(もしかしたら、何か分かるかもしれねぇ) 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:26:28.86 ID:95o4ZXd40 ◆その頃://夜神家/ライトの部屋◆ リュ「結局、ライトが勝ったのか?」 月「ああ。ログを消し損ねたのが不満だが」 リュ「お前が失敗するなんて、相手はすげー奴だな」 月「ふん……別に大したミスでもない……」 リュ「で、彼女の名前は何だったんだ?」 月「“灰原哀”……帝丹小学校1年B組の生徒だ」 月「ちなみに“江戸川コナン”も同じクラスだったよ」 リュ「そうか……ん? 時間割まで取ってきたのか?」 月「ああ。体育の時間に、彼女を見に行こうと思ってな」 リュ(そんな理由で盗んだのかよ……変態だ……) 月「だが思わぬ収穫があった。見てくれリューク」 リュ「ん? 何だよ収穫って?」 月「今日のこの時間帯、1年B組は情報の授業の最中だ」 リュ「それがどうかしたのか?」 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:29:26.44 ID:95o4ZXd40 月「使用教室が“コンピュータルーム”になってるだろ?」 月「そして帝丹小学校のPCは全て、一つのネットワークに繋がっていた」 リュ「なるほど。そういうことか」 リュ「お前が戦っていたのは“灰原哀”か“江戸川コナン”かもしれないと」 月「ああ。もちろん推測の域を出ないが、十分にありえる事実さ」 リュ「クックック。それが本当なら、オモシロッ、だな」 月「……さて、無事にウォーミングアップも終わったことだ」 リュ「そういえば、何に対するウォーミングアップだったんだよ?」 月「警視庁へのハッキングさ。“ジンやウォッカ”について調べるためのな」 リュ「……なるほど。学校へのハックは、その準備体操だったってワケだ」 月「その通り。まぁ、あそこまでハードになるとは思ってもなかったが」 リュ「それで、今すぐやるのか?」 月「いや、まずは警察官である父さんのPCに侵入する」 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:33:51.88 ID:95o4ZXd40 『カタカタ――ッターン!』 月「よしっ、侵入成功」 月「チョコレートより甘いセキュリティーだ」 リュ「流石ライト。それで、どうするんだ?」 月「父さん個人がつけてる犯罪記録がある」 月「まずはそれを洗ってみよう」 『カタカタ……』 【検索ワード】 : ジン or ウォッカ 【オプション】 : 上記文字列をテキストに含むファイル 『カタカタ……』 【検索ワード】 : コードネーム and 酒 【オプション】 : 上記文字列をテキストに含むファイル 月「……ん?」 リュ「どうした、ライト?」 月「1件だけ、こんなファイルが見つかった」 【謎の巨大組織に関する備忘録】 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:36:19.04 ID:95o4ZXd40 ************************** この事件に関して、日本警察は驚くほどに消極的だ。 謎の巨大組織は確かに存在する。 にも関わらず、情報があまりにも少なすぎるのだ。 既知の事実といえばせいぜい コードネームに酒が用いられてること。 それくらいである。 ふざけてるとしか思えない。 警視庁の上層部が、 情報を隠蔽しているのだろうか。 キラ事件が解決した暁には、 今一度、この問題に向きあおうと思う。 20××年×月×日 ************************** 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:38:30.98 ID:95o4ZXd40 月「なん……だと……?」 リュ「……おいおい……いきなり当たりじゃねーか」 月「……いや、当たりと決め付けるのは早計だが……」 リュ「でもよ、有力候補には変わりないだろ?」 月「ああ……その通りだ……しかし巨大組織とは……」 リュ「警視庁へのハックはどうするんだ?」 月「もちろん中止だ……警視庁自体、敵かもしれん」 リュ「……だよな。無駄にハイリスクなだけだ」 月「こうなった以上……アプローチを変えた方がいいだろう」 リュ「アプローチを変える?」 月「ああ。夕方になってから、毛利探偵事務所に向かう」 リュ「ん? なんでそんなところにいくんだ?」 月「バカ。探偵なら何か知ってるかもしれないだろ?」 月(それに名簿によれば、“コナン”はそこに住んでいる) 月(行くだけの価値は十分にあるだろう) 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:42:30.46 ID:95o4ZXd40 ◆その頃://帝丹小学校/コンピュータルーム◆ 『カタカタッ……』 灰原「ちょっと、さっきから何してるのよ?」 コナン「奴が盗んでいった校長のデータを見てるんだ」 灰原「え? あなたもハッキングしたの?」 コナン「ああ。何か奴について、分かるかもしれねーからな」 灰原「そう……それで、何か分かった?」 コナン「いや、それはまだ――ん?」 コナン「!!!!!!!!!!!!!!!」 灰原「どうしたの?」 コナン「そんな……バカ……な……!」 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:44:53.06 ID:95o4ZXd40 コナン「……灰原、外に出るぞ」 灰原「え?」 コナン「あくまで自然にだ。疑われるなよ」 小林「2人ともどこに行くの? まだ授業中よ?」 コナン「灰原さんが、頭が痛いからお家に帰りたいって」 小林「え、ほんと? 灰原さん大丈夫?」 灰原「三」ブンブン... 小林「それは辛いわね。分かった。とりあえず保健室に――」 コナン「僕が家まで送って行くよ。すぐ帰りたいみたいだし」 小林「ダメよ。あなたには授業があるじゃない」 灰原「私……江戸川君に送ってほしい……///」 小林・コナン「「え?///」」 灰原「ねぇ先生……お願い……///」 小林「し、仕方ないわね……コナン君には後で宿題を出します」 コナン「う、うん……(灰原の奴、演技うめぇな……)」 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:47:49.95 ID:95o4ZXd40 『ガラガラ』 元太「ん? アイツらどこに行くつもりだ?」 歩美「……」 光彦「……」 元太「もしかして、駆け落ちとかか? アハハハハ」 歩美「」ギロッ 光彦「」ギロッ 元太「ハハ……ハ……冗談だよ……冗談……」 元太「そんなに怒るなよ……」 ◆同刻://帝丹小学校/校庭◆ 灰原「ねぇ工藤君。一体どうしたっていうの!?」 コナン「ああ。校長のPCデータを見て分かったんだが」 コナン「この学校のオーナーは、あの阿笠博士だったんだ」 灰原「オーナーが……博士ですって?」 コナン「そうだ。全ては博士の思い通りだったってワケさ」 灰原「ちょっと。話が飛躍しすぎよ。ちゃんと説明して」 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:50:25.62 ID:95o4ZXd40 コナン「博士はオレ達に学校へ行くよう勧めたろ?」 灰原「ええ。学校に通ってないと、怪しまれるって……」 コナン「だがそれは名目に過ぎなかった」 コナン「博士の真の目的は――」 コナン「オレ達を“隔離”、そして“観察”することだったんだ!」 コナン「自宅で“組織の研究”に取り組む時間を作るためにな!」 灰原「組織の研究……? あなたまさか……!」 コナン「ああ……信じたくないが……」 コナン「黒ずくめのボスは――阿笠博士だ」 灰原「なん……ですって……」 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:54:02.38 ID:95o4ZXd40 灰原「……ちょっと待って。じゃあ何で博士は、私達を殺さないの?」 灰原「研究する上で私達が邪魔なら、生かしておく必要はないじゃない」 コナン「確かに博士にとって、オレ達は邪魔な存在だろう」 コナン「組織について嗅ぎまわってる、言わば敵なんだからな」 灰原「ならどうして!?」 コナン「それはオレ達が、研究成果そのものだからさ」 コナン「だから学校という施設に放り込み、生活を“観察”してるんだ」 灰原「……じゃあ校長のPCにあったのは、私達の生活報告書ってわけ?」 コナン「ああ。そして、その報告書の送信先メールアドレスが――」 『#969#6261』 コナン「――まさしくボスのそれだったってワケさ」 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 22:56:56.99 ID:95o4ZXd40 ◆その頃://夜神家/粧裕の部屋◆ 『ガチャ』 粧裕「ぎゃっ!?///」 月「粧裕。調子はどうだ?」 粧裕「お、お兄ちゃん! ノックくらいしてよ!」 月「ハハハ、悪い。驚かせちゃったか?」 粧裕「そういう問題じゃないってば……」 月「ん? 何見てたんだ?」 粧裕「あ、これは……その……!///」 月「僕がテニスで優勝したときの学校新聞か……」 月「随分と懐かしいものを読んでるんだな」 粧裕「///」ブクブク 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:00:33.37 ID:95o4ZXd40 粧裕「と、ところでお兄ちゃん学校は?」 月「ああ、今日は創立記念日だよ」 粧裕「そうなんだ……ふふ」 月「ん? 何がおかしい?」 粧裕「ふふ……別にぃ」 月「変な奴だな……熱はどうだ?」 粧裕「コホッコホッ……まだある……かな?」チラッ 月「そうか……ちょっと額貸してみろよ」 『ピトッ』 粧裕「///」 月「ん〜……至って平熱な気がするが」 粧裕「そ、そんなことないもん……///」 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:03:21.83 ID:95o4ZXd40 月「さてはお前、仮病しただろ?」 粧裕「ぎくっ……し、してないよ」 月「正直に言ったらプリンを――」 粧裕「てへへ、仮病です♪」 月「や ら な い」 粧裕「むむっ……よくも乙女の心を……」ジトッ 月「あのなぁ。お前のこと、母さん心配してたんだぞ?」 粧裕「だって、今日は行きたくなかったもん」 月「行きたくないって……何でだよ?」 粧裕「そんなの……気分だもん……」 月「気分? おい、それはダメだろ」 粧裕「もう……お兄ちゃんは鈍感だよ……」ボソッ 月「ん? 何か言ったか?」 粧裕「なーんにも」プイッ 月「……」 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:06:17.77 ID:95o4ZXd40 月「そうか……じゃあ僕は外に行ってくる」 粧裕「え? さっき散歩から戻ってきたばっかりじゃん」 月「僕だって忙しいんだよ。仮病に付きあってる暇はない」 粧裕「ふーん……流石、モテる男は違うな〜♪」 月「バカ。家庭教師のアルバイトだよ」 粧裕「へ? お兄ちゃん、そんなのやってたっけ?」 月「今日から始めることにしたんだ」 粧裕「そうなんだ……相手は女の子?」 月「さあな」 粧裕「じゃあ女の子なんだ♪」 月「何故そうなる」 粧裕「にっしっし。照れなくてもいいんだよ?」 月「くだらない……もう行くぞ」 『ガチャン』 粧裕「……」 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:09:35.69 ID:95o4ZXd40 ◆10時00分://都内某所◆ リュ「家庭教師ってのは初耳だが」 月「当たり前だろ。話してないんだから」 リュ「まさか“灰原哀”のところに行くのか?」 月「ああ。住所は名簿で分かってるからな」 リュ「でも、小学1年生に家庭教師は無理だろ?」 月「それくらい分かってる。だから期待はしてないさ」 月「一番の目的は、彼女の保護者に会うことだよ」 ◆10時30分://阿笠邸前◆ 月「ここが彼女の家か……やけにでかいな……」 リュ「それに“灰原”じゃなくて、“阿笠”だってよ」 月「名字が違うか……ますます訳アリだな……」 月「まぁとにかく、全てはここから始まるんだ」 『ピーンポーン♪』 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:13:48.70 ID:95o4ZXd40 『ガチャ』 博士「何か用かのう?」 月「はい。僕は、夜神月といいまして」 月「家庭教師のアルバイトをしている者なんですが」 博士「家庭教師? なんで家庭教師がウチに……」 月「お宅の哀さんに力添えできればと思い」 月「この度は足を運ばせていただきました」 博士「ん? 何で哀君のことを知ってるんじゃ?」 月「……」 月(……しまった……よく考えてみれば――) 月(僕と彼女には……何の接点もないじゃないか) リュ「ハハッ、ドジったなライト。いや、悪質業者め」 月(くそっ……彼に悪印象を与えるわけにはいかない!) 月(なんたって彼は……灰原哀の保護者なんだ……!) 月(早急に何か……言い訳を考えないと……!) 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:16:58.15 ID:95o4ZXd40 月「よく聞き取れませんでした」 博士「は? 聞き取れなかったってあんた……」 月「すみません。もう一度お願いしてもよろしいですか?」 博士「まぁ……それは構わんが……」 博士「ワシは“何故”、哀君を知ってるのかと聞いたんじゃ」 月「ああ、なるほど。今度は聞こえました」 月「おほん……それはですね……」 月「彼女が僕の――“妹”だからですよ」 博士「……な」 博士「なんじゃって!?」 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:19:15.56 ID:95o4ZXd40 リュ「おいライト。何バレバレの嘘ついてんだ」 月(ふっ……そうでもないよリューク) 月(確かに、普通に考えたらバレる嘘だろうが) 月(この男と彼女では、苗字が違うんだ) 月(もしかすると、そこに抜け道があるかもしれない) 博士(……コヤツ……何を言っておる……) 博士(哀君に限って、兄がいるわけないじゃろう!) 博士(“灰原哀”というのは、架空の人物なんじゃぞ!?) 月「……信じがたいのは分かります。ですがこれは事実です」 月「妹はこのことを知らないと思うので、あなたも初耳でしょうが……」 博士(……最もらしい言葉を並べてるが、そんなことは絶対にありえん) 博士「急にそんなことを言われて、信じられるわけないじゃろう」 月「では、どうしたら信じてもらえるでしょうか?」 博士「証拠じゃ! 当たり前じゃが、証拠がないと話にならん!」 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:23:45.30 ID:95o4ZXd40 月「証拠はありません。妹は、父の隠し子だそうなので……」 月「父は、不倫で子を作ってしまったことに対して、とても後悔していました」 月「ですが僕にしてみれば、彼女はこの世でたった一人の妹なんです……」グスン 月「……妹に会いたい……会って話をしてみたい……」グスン 月「それだけを胸に……僕は今日、ここまでやって来ました……」グスン 月「お願いします!! 哀に……僕の妹に会わせて下さい!!!!!」グスン 博士(……くっ……コヤツめ……下手な演技をしよってからに……!) \ザワザワ/ 博士(ちっ……野次が集まってきたか……早く黙らせたほうがいいな) 博士「君はお父さんに騙されておる! それが分からんのか!?」 月「父は誠実な警察官なんです!! 嘘をつくとは思えません!!」グスン 博士「不倫なんぞする警察官が、誠実なわけないじゃろう!!」 \カワイソーニ/ \イモウトニ アワセテアゲナサイヨ-/ \アノコッテ ヤガミサントコノ ライトクン ジャナイ?/ 博士(ッ!! 野次は完璧にコヤツの味方か……涙に騙されおって!) 月(ふっ……計画通り) 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:26:13.28 ID:95o4ZXd40 月(しかしこの男、僕の真っ赤な嘘に対して、あまり反論してこないな) 月(まさか、『灰原哀の“正体”に関わることだから反論できない』のか?) 月(まぁ何にせよ、反論してこないなら追い打ちをかけ――) 灰原「ねぇ……あなたが私の、お兄ちゃんなの?」 月「…………え」 月「!!!!!!!!!!」 月(なっっっっっっっっ!!!?) 月(な、何で彼女が……ここにいるんだ!!!!?)ガクガク 月(まだ学校にいるはずじゃ……!!!!)ガクガク 月(ダ、ダメだ……動揺するな……冷静になれ!!) 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:30:50.75 ID:95o4ZXd40 月「……お前が……哀なのか……?」 灰原「そうよ……私はあなたの妹なの?」 月「ああ……お前が僕の……たった一人の妹だ」 灰原「そう……私も死んだお母さんによく聞かされてたわ」 灰原「『あなたには、お兄さんがいるのよ』……って」 月「!!!!!」 月(なっ……なんだとっ!? どういうことだ!?) 月(まさか彼女には……本当に生別れの兄がいるのか!?) 灰原(……工藤君……これで本当に良かったのよね?) ―――― ――― ◇5分前://通学路/某所◇ コナン「おそらく博士には、既に校長から連絡が来てるだろう」 灰原「頭痛の私を、あなたが家まで送ってるって?」 コナン「ああ。だから博士は、組織の研究を一時中断し――」 コナン「普段の博士に戻って、俺たちの帰りを待ってるはずさ」 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:34:38.97 ID:95o4ZXd40 灰原「ところで、校長のPCへのハックはバレてないわよね?」 コナン「ああ、それなら心配ない。ログはちゃんと消したからな」 灰原「そう……ならいいわ」 灰原「それで名探偵さんは、これからどうするつもりかしら?」 コナン「流石にいきなり対決は無理だろう。考える時間が欲しい」 灰原「やっぱり彼らに挑むのね……止めても無駄だから止めないけど」 コナン「ハハッ、悪いな……」 コナン「あと組織を潰す準備が整うまで――」 コナン「お前には今まで通り、博士と暮らして欲しいんだが」 灰原「ええ。もちろんそのつもりだから、心配しないで」 コナン「サンキュー……極力、博士と2人きりにはさせねーから」 灰原「心配いらないっていってるでしょ」ジトッ コナン「バーロー。案外お前、心の方は強くないだろ?」 灰原「なによそれ? バカにしてるの?」ジトッ コナン「いや、バカにしてるわけじゃ――ん?」 152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:39:51.87 ID:95o4ZXd40 \ザワザワ/ コナン「……博士の家の前に……野次が集まってるな……」 灰原「……まさか……博士が何かしてるんじゃ……!」 コナン「落ち着け。黒ずくめの頭だぞ? 目立つ真似はしないさ」 『とんとん』 知り合い「あらコナン君、どうしたの?」 コナン「ねぇ、何でこんなに人が集まってるの?」 知り合い「なんかね、哀ちゃんにお兄さんがいたんだって」 灰原・コナン「「……は?」」ポカーン コナン「ハハ……それ……何かの間違いじゃ……」 知り合い「いや、アレは嘘をついてる人間じゃ――って哀ちゃんじゃない!?」 知り合い「ほら、お兄さんが来てるわよ! 会いに行かないの!?」 月「お願いします!! 哀に……僕の妹に会わせて下さい!!!!!」グスン コナン(誰だよアイツ……一体何を企んでやがる……) 155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:42:30.67 ID:95o4ZXd40 灰原「知ってると思うけど、私にはお姉ちゃんしかいないから」 コナン「ああ、分かってる。それに奴は今、“哀”って言ったろ?」 コナン「灰原哀は架空の人物。兄なんか間違っても存在しない」 灰原「とんだペテン野郎ってワケね……どうする?」 コナン「そうだな……」 \ザワザワ/ 粧裕「……」 \ザワザワ/ コナン「空気は完全に奴を味方している……か」 灰原「ええ。博士としては、最悪の居心地ね」 コナン「なぁ……ここはひとつ、博士を助けてやらないか?」 灰原「え? 博士を助けるですって?」 コナン「ああ。お前が妹として、奴の前に現れるんだよ」 灰原「……一応聞いてあげるけど……理由は?」ジトッ コナン「お前と博士と奴の3人で暮らせば、何か進展するかもしれないだろ?」 161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:45:14.71 ID:95o4ZXd40 灰原「呆れた……そんな曖昧な理由で、私に妹役を演じろっていうの?」 灰原「それに、あんな得体の知れない奴と暮らすなんて、絶対いやよ」 灰原「第一博士は、灰原哀に兄がいないことを知ってるじゃない!」 コナン「確かにそうだが、言い訳くらいどうにでもなるだろ」 コナン「『あの場を収めるには、妹として名乗り出るしかなかった』」 コナン「『しばらくしたら、彼には出て行ってもらうつもりだ』……ってな」 灰原「そこまでは別にいいわ。でも一緒に暮らすのは絶対ごめんだから」 コナン「そう言うなって。もしかしたら奴は味方かもしれねーぞ」 灰原「ちょっと。何でそこまで彼に肩入れするわけ?」 コナン「別に肩入れしてるわけじゃねーけど……」 灰原「私は別に、博士と2人で暮らしても平気だって言ってるじゃない」 灰原「研究成果である私達は殺されない、そう言ったのはあなたでしょ?」 コナン「確かに言った……だけど灰原……オレの言うことを聞いてくれ」 灰原「はぁ? 意味不明よ」 コナン「理由は後で必ず説明する……だから今は、オレを信じてくれ」 164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:48:17.42 ID:95o4ZXd40 ◆11時00分://阿笠邸/リビング◆ 野次馬が去ったのち、 阿笠邸に靴を脱いだ4人。 大して言葉も交わさぬまま、 対面式ソファに腰を掛ける。 博士、コナン、灰原、ライト。 異物も認める異物混入だ。 空気は痺れて悲鳴を上げ、 部屋には無音が鳴り響く。 コナン「灰原、頭痛はもう大丈夫か?」 口火を切ったのはコナン。 灰原「ええ、もう大丈夫よ……それより今は彼」 月「……」 月(江戸川コナン……お前は彼女とどういう関係なんだ?) 月(2人揃って学校を早退するような仲、というのは分かったよ) 月(問題は……それ以上か、以下なのか……) 月(答えによっては、僕はお前を許さない) 170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:52:06.67 ID:95o4ZXd40 月「改めまして、僕は夜神月といいます」 コナン「夜神……らいと?」 月「“月”と書いて“ライト”と読むんだよ」 月「ハハハ。変わってるだろ?」 月「だが人の名前を笑うのはよくない」 月「笑うのはここまでにしよう」 コナン「う、うん……(……コンプレックスか)」 月「それで君は?」 コナン「僕は江戸川コナン。両親が海外に行ってて――」 コナン「――今は毛利探偵の事務所に住んでるんだ」 月「へぇ〜、毛利探偵って……あの眠りの小五郎の?」 コナン「うん、そうだよ」 月「それじゃ近いうちにまた会えそうだな」 コナン(ん? どういうことだ?) 171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:54:55.30 ID:95o4ZXd40 月「失礼ですが、あなたは?」 博士「ワシは阿笠博士。一応、肩書きは科学者じゃ」 博士「哀君の親ではないが、彼女の面倒はワシが見ておる」 月「そうですか……(あがさひろし……か)」 灰原「ねぇ、そろそろ本題に入らない?」 月「ああ、そうだな……哀の言うとおりだ」 灰原「ちょっと……名前で呼ばれるの、気持ち悪いんだけど」イラッ コナン「おい何言ってんだよ灰原! お前のお兄さんだろ?」アセアセ 灰原「ふん」プイッ 月「いや、いいんだコナン君。彼女の意見も一理ある」 月「距離が縮まらない内は、“灰原さん”と呼ぶことにしよう」 灰原「ほんと、いちいち気持ち悪いわね」 月「」< グサッ 月「……コナン君。彼女はいつも、こんなに辛辣なのかい?」 コナン「アハハ……今日は機嫌が悪いんじゃないかな?」 173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/11(土) 23:58:34.44 ID:95o4ZXd40 月「おほん。ところで君は何故、阿笠さんに引き取られたんだ?」 灰原「両親が事故で死んだからよ。文句ある?」 月「」< グサッ 月「……それは……気の毒だね……」 リュ「クックック。すげぇ嫌われようだな、ライト」 月(おかしい……彼女はさっき外で、僕を兄と認めたはずだ) 月(まさかあれは、本人の意志じゃなかったというのか?) 月(彼女は母親に、『実は兄がいる』と聞かされていたらしいが) 月(それもただのつくり話で、全てが芝居だったというのか?) 月(……だとすると、彼女は誰かの指示で動いていることになるな……) 月(……そしてその誰かってのも、おおよそ検討がつく) コナン「?」 月(阿笠と僕はずっと口論していた。だからコイツしかいない) 月(ふっ……やはりただの小学生ではないか……) 月(お前の“正体”とやら、いつか拝ませてもらうよ) 178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:03:59.68 ID:r6Ltmomn0 月「ああ、そうだった」 月「阿笠さん、家庭教師の件……お願いしますね」 博士「え? ラ、ライト君。その話は本気だったのか?」 月「はい。家庭教育を通して、兄妹関係を修復できればと考えています」 博士「ハハハ……なるほど……。ちょっと失礼……」 博士「(おい哀君。いつまであの男の妹を演じるつもりなんじゃ?)」ボソッ 博士「(野次馬も去ったことだし、さっさと追いだした方が良いじゃろう?)」 灰原「(そうね……でもそれは無理よ博士)」 灰原「(彼を追い出すには、私が妹でないことを証明しなきゃいけないから)」 博士「(そ、そんなの簡単じゃろう? 灰原哀は架空の人物――はっ!?)」 灰原「(そう。証明するには、私の正体をバラさなきゃいけないの……)」 180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:07:31.54 ID:r6Ltmomn0 博士「(だったらあの男と同じように、ハッタリを掛けるってのはどうじゃ?)」 灰原「(同じ土台に上がるっていうの? いたちごっこになるだけじゃない)」 博士「(……なら、あの男の父親に不倫の事実を否定してもらうとか……)」 灰原「(そんなのダメ……不倫なんて、あろうがなかろうが否定するでしょ)」 博士「(くっ……だとしたら最終手段として、DNA鑑定しかないな……)」 灰原「(ええ、それが唯一の方法ね……拒否されたら終わりだけど……)」 博士「(流石に拒否はできないじゃろう? 兄妹じゃないと言ってるようなもんじゃ)」 灰原「(……いい博士? こちらは一度、兄妹であることを認めてるのよ?)」 灰原「(なのにDNA鑑定をしようだなんて提案したら、彼は何て言うと思う?)」 灰原「(『兄妹の信頼関係に傷が残る』とか言って、拒否するに決まってるわ)」 博士「(むむむ……じゃあワシらにあの男を追い出す術はないのか……)」 博士「(おい哀君……どうして彼の妹だなんて嘘をついたんじゃ……!)」 灰原「(仕方ないでしょ。あの騒ぎを収めるには、これしか方法がなかったんだから)」 183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:12:53.73 ID:r6Ltmomn0 月「あの……何かご不満があるようでしたら僕に」 博士「あ、いや、すまん……続けてくれて構わんよ」 月「ちなみに料金は一切頂きませんのでご安心ください」 博士「なんと……それは本当か?」 月「ええ。その代わり、住み込みが絶対条件ですが」 博士「す、住み込みじゃとッ!? 流石にそれは無理じゃ!」アセアセ 月「阿笠さん。失礼を承知で申し上げますが――」 月「僕と彼女は、7年も空白のある兄妹なんです」 月「その時間を取り戻すには、少しでも長く一緒にいないと」 博士(じょ、冗談じゃない! コヤツは何を考えておるッ!?) 博士(そんなことをされたら、ここで研究できなくなるじゃないか!) コナン「別にいいじゃねーか博士。部屋の一つくらい余ってるだろ?」 博士「(おい新一! 何故この男の肩を持つんじゃ!?)」 187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:14:02.88 ID:r6Ltmomn0 コナン「(別に肩を持ってるわけじゃねーよ)」 コナン「(奴は100%、灰原の演技に気づいている――)」 コナン「(だから『演技の狙いは何か』、疑問に思ってるはずさ)」 博士「(……確かにそれは思ってるだろうが……)」 コナン「(オレ達も、『相手の狙いが分からない』点では奴と同じだろ?)」 博士「(……つまり……ワシらと奴で、戦況はイーブンだと?)」 コナン「(ああ。だからこそ、今は自然な行動が求められるんだ)」 博士「(ちょっと待て。奴をウチに泊めることが、自然だというのか?)」 コナン「(奴を灰原の兄として考えるならそうだろう)」 博士「(むむむ……そこまで兄妹関係が重要じゃろうか?)」 コナン「(この勝負は、より自然な兄妹を演じた方が勝つんだ)」 コナン「(不自然に振る舞えば、相手に情報を与えちまうからな)」 博士「(……はああ……分かったよ……)」 博士「(……とりあえずは、奴を泊めることにしよう……)」 191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:17:49.38 ID:r6Ltmomn0 博士「分かった……住み込みを許可する」 月「ほんとですか!? ありがとうございます!」 灰原「でも、変なことしたらすぐに追い出すから」 月「ハハハ。それは大丈夫だよ」 博士「ちなみに君は、どこの大学に通ってるんじゃ?」 月「大学ですか? 僕は東応大学に通っています」 博士「なんと! じゃあ家庭教師は期待できそうじゃな」 博士「良かったのう、哀君。お兄さんの頭が良くて」 灰原「ええ。少し見直したわ」 月「ハハハ。灰原さんに言われると照れるなぁ〜、ふふっ」 灰原「気持ち悪いのは変わらないけど」 月「」< グサッ リュ「クックック。この関係は、しばらく続きそうだな」 196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:21:57.08 ID:r6Ltmomn0 かくしてライトと灰原の同居が始まった。 ライトの目的は、灰原との距離を縮めること。 灰原達の目的は、ライトの目的を知ること。 表向きには兄妹を演じながら、 4人ともが、違った思いを巡らせる。 博士(研究の邪魔をされるのは不本意だが、仕方ない) 博士(あまり拒むと、新一に疑われるからな) コナン(よし……これで博士の動きに釘を打てた) コナン(その間にオレは、組織を倒すメドを立てねーと) 灰原(工藤君……これで本当に良かったの?) 灰原(この男、今朝と同じ、妙な気配を感じるんだけど……) 月(正直、ここまで上手くいくとは思ってなかったよ) 月(……これを機に、彼女との距離を縮めるぞ……) リュ(クックック……そこまでしてあの茶髪女がいいとは……) リュ(だがな、ライト……) リュ(いつまでも、思い通りにいくと思うなよ?)                               〜前編・完〜 204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:24:20.26 ID:r6Ltmomn0 ネェクストコナンズヒーンッ! 「憎しみのホモ祭り」 208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:25:05.07 ID:r6Ltmomn0 ◆12時00分://キラ事件捜査本部◆ L「夜神さん。そろそろ休憩してください」 総一郎「ああ、そうだな。悪いがそうさせてもらうよ」 L「ところでライト君は、来ないつもりでしょうか?」 総一郎「いや、今日は来ると言ってたはずなんだが……」 L「……もしかして……ライト君の身に何かが……!」ガタッ 総一郎「ハハハッ、あのライトに限ってそれはないだろう」 L「そんなの分かりませんよ! 連絡とか入ってませんか?」 総一郎「ライトからの連絡か……一応見てみる」 携帯電話『ぱかっ』 総一郎(ん? 幸子からメールが一件きてるな……) 粧裕が風邪を引いたみたいだから、学校を休ませたわ。 もし私より先に帰ったら、声を掛けてあげてね。 総一郎「なっっっ……!?」 総一郎「……粧裕が……風邪を引いただと……?」ガクガク 総一郎「ダメだ、こうしちゃいられない!」ドタドタガタンドン!! 213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:28:23.29 ID:r6Ltmomn0 L「ちょっと夜神さん。どこに行くつもりですか!?」 総一郎「娘が風邪を引いたそうなんだ!」 総一郎「悪いが今日は帰らせてもらうぞ!」 L「そうですか……まぁ、それは構いませんが」 L「もし自宅にライト君がいれば、ここに来るよう伝えて下さい」 総一郎「ああ、分かった! この埋め合わせはいつか必ずする!」 ドア『ガチャン!』 WC『ジャーーーッ』 松田「ふぅ……ん、どうしたんですか? 目暮警部?」 目暮「ああ、娘さんが風邪を引いたらしく、夜神局長が帰宅された」 松田「アハハ……局長の親バカっぷりには困ったものですね」 佐藤「ちょっと松田君。髪の毛にゴミがついてるわよ?」パサパサッ 松田「あ、すみません佐藤さん。わざわざ取っていただいて」アハハ 佐藤「もう。松田君って、ボーッとしてるからほっとけないのよね///」 高木「……」 217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:31:06.99 ID:r6Ltmomn0 僕と松田は4年前に警視庁に入庁した同期。 彼とは、何から何まで、本当にそっくりで、 「違うのは名前くらいだ」って、 先輩からはよく言われた。 でもその名前の違いが、現に僕を悩ませている。 佐藤さんには昔、“松田”という殉職した同僚がいたらしい。 そして不幸なことに、彼女は彼に恋をしていたそうだ。 彼女は松田にばかり優しくする。 それはきっと、彼と重ねているからだろう。 高木(……お願いです、佐藤さん) 高木(僕にそんな笑顔を見せないで下さい) 高木(おい松田……お前、何へらへらしてんだよ……) 高木(くそっ……お前なんか……お前なんか……) 227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:35:06.85 ID:r6Ltmomn0 ◆12時10分://都内某所◆ おかしい……。 総一郎「ハァハァ」 何かがおかしい……。 \……ヒソヒソ……/ \……デタデタ……ウワサヲシテイレバ……/ 総一郎(何故こんなにも、住民の視線が冷たい?) \……オクサン ト コドモサン ガカワイソウ ダワ……/ 総一郎(この私が、何をしたというんだ?) \……ケイサツカン ノクセニ 不倫 ダナンテ シンジラレナイ……/ 総一郎(不倫!? 今、不倫って聞こえた気が……) 幸子「あなた、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」 総一郎「さ、幸子!? お前、パートはどうした!?」 幸子「抜けてきたわ。あなたに会いたくてね……」 幸子「……続きは家で、“じっくり”話しましょ?」 233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:39:09.77 ID:r6Ltmomn0 ◆12時20分://夜神家/リビング◆ 幸子「おいおいおいおい、総一郎さんよぉ!!」グググ 幸子「どういうことか説明しろよッ!! ああん!!?」 総一郎「すまない……私には何でお前が怒ってるか……」 幸子「こんだけ噂になって、知らないわけねぇだろがボケッ!」 総一郎(くっ……忘れてた……幸子は元ヤンだった……) 幸子「不倫だって? いい度胸してんじゃねーかゴルァ!!!!!!」 総一郎「バ、バカを言うな! 私が不倫なんてするわけ……!」 幸子「嘘つけよ!! 火のないところに煙は立たねーだろが!!」 幸子「それにお前、最近やけに帰りが遅かったじゃねーか。あ!?」 総一郎「私は警察官だ! 帰りが遅いのは仕方のないことだろ!」 幸子「それが怪しいっつってんだ!! バカかてめぇ!!」 総一郎「やましい事は何もない! 信じてくれ!! 幸子!!」 幸子「だったらこの黒い噂は、どう説明してくれんだよ!? おい!?」 240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:43:53.21 ID:r6Ltmomn0 総一郎(なんてことだ……ヤンキーは卒業すると言ったから結婚したのに……) 総一郎(くっ……長男にライトとかいう変な名前をつけた時点で気づくべきだった) 総一郎(幸子からはまだ……ヤンキー成分が抜けていない……!!) 幸子「おいおいおい! 黙ってねーで何か言い訳してみろよコラッ!!!!」 総一郎「頼む!! 信じてくれ!! こんな噂、罠に決まって――」 粧裕「……ねぇお母さん……お父さんが不倫してたの、本当だよ……」 幸子・総一郎「「!!!!!!」」 幸子「おい……どうなんだコラ……?」 幸子「風邪を引いて、外に出歩けない粧裕が知ってるんだぞ?」 幸子「お前、噂とか関係なしに、不倫してんじゃねーかよ!!!!」 総一郎(さ、粧裕……どうしてそんな嘘を……はっ!?) 総一郎(まさか粧裕は……私に離婚してほしいのか?) 総一郎(幸子と離婚して……私と2人で暮らしたいというのか?) 総一郎(ふふっ……なんだ……そういうことだったのか……) 総一郎(……お父さん、嬉しいぞ) 248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:48:30.05 ID:r6Ltmomn0 総一郎「すまない幸子……確かに私は不倫をした……」 総一郎「慰謝料でも何でも払う……だから……」 総一郎「……私と……離婚してくれないか……」 幸子「!!!!!!!!!」 幸子「……ちょっと……それ本気なの?」 総一郎「ああ。私にはもう、お前と会う資格はない」 幸子「べ、別にそこまで言ってないじゃない……」 総一郎「いや、私と粧裕は、この家から出て行く」 総一郎「お前はこれから、ライトと2人で暮らしてくれ」 幸子「何よそれ……私とライトを見捨てるっていうの?」 総一郎「ライトはお前、粧裕は私が名付け親なんだ」 総一郎「こう別れるのが自然だろう」 幸子「別れ方なんか聞いてない! 私が言いたいのは――」 総一郎「準備が出来次第、すぐに出て行く」ガチャンッ!! 幸子「うぅっ……どうして……」ガクッ 260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:52:34.49 ID:r6Ltmomn0 ◆13時00分://阿笠邸/リビング◆ 灰原「はい。お待ち遠様」コトッ コナン「そういえば、灰原の手料理は初めてだな……」 月(彼女の手料理……ゴクリ……生きてて良か――ん?) 博士「ほう……ご飯に味噌汁、そして肉じゃがかぁ……」 博士「ワシは、カップメンを食べたかったんじゃが……」ボソッ 灰原「何? せっかく作ってあげたのに、文句でもあるの?」 博士「いや、ないです……」 灰原「まったく。少しは高血圧を自覚しなさいよね」 リュ「おいライト……肉じゃがってことは、まさか彼女……」 月(バカ……偶然に決まってるだろリューク……) 月(彼女に限って……そんなことはありえない……) 271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 00:56:27.59 ID:r6Ltmomn0 月・コナン「「いただきます」」パクパクパクッ 博士「……」 月・コナン「「!!!!!!!!!!」」 月・コナン((な、何だこれ……まずいにも程があるぞ……!?)) 月・コナン((これじゃまるで……馬のエサじゃないか……!)) 灰原「どう、江戸川君? 口に合うかしら?」 コナン「え? あ……えーっと……」 月(はっ……これはチャンスだ!) 月「うまいっ! 凄くおいしいよ灰原さん!」 灰原「……え?」 月「ぱくぱくぱくっ! うまい! うますぎる!」 月「灰原さん! おかわりをくれないか!」 灰原「え、ええ。ちょっと待ってて……」 コナン(嘘だろ……コイツの舌、どうなってんだ……?) 博士(……マジキチ……マジキチじゃ……!) 282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:01:16.89 ID:r6Ltmomn0 灰原「はい、どうぞ……」コトッ 月「ぱくぱくぱくっ! うまい! うますぎる!」 コナン「そ、そんなに好きなら、僕の分も食べていいよ……」 月「おおっ! こんなにうまいんだ! 喜んで頂くよ!」 月「パクパク! んんっ! 灰原さんは料理の天才だ!」 灰原「……あ、ありがとう……」 月「パクパク! うまい! ハハハ! うま――」 月「お……おうぇええええええええええ!!!!!!!」 『ペチャベチャッ!』 『ポタポタ……』 灰原「」 月「……」 コナン「……」 博士「……」 リュ「……吐いたら……ダメだろ……」 灰原「ッ!!!///」グスッ 平手打ち『パァーン!!!』 297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:04:47.98 ID:r6Ltmomn0 ◆14時00分://都内某所◆ 月「……ああ……まだヒリヒリする……」 リュ「ハハハ。追い出されちまったな」 月「違う。荷物を取りに帰るだけだ……」 月「まぁ反省もしてこいって言われたけど……」 リュ(クックック。相当怒ってたからな、彼女) 『PRRRRR♪ PRRRRR♪』 月「ん? 父さんからメール……何だろう?」 『今すぐ捜査本部に来てくれ』 月「捜査本部か。そういえば今日はまだ行ってないな」 リュ「別にいいじゃねーか。そんなのほっといても」 月「家より近いんだ。少しだけ、顔を出しにいこう」 リュ「……」 303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:09:00.78 ID:r6Ltmomn0 ◆14時30分://キラ事件捜査本部◆ 『ガチャッ』 月「こんにちは、皆さん」 『ガタンッ』 L「ライト君……遅いですよ!」 月「悪い。野暮用があったんだ」 L「それは構いませんが……連絡ぐらい下さい」 月「ああ、分かった。次からは気をつけ――」 粧裕「……」 月「!!!!!!!!!!!!」 月「なっ……! 粧裕じゃないかッ!?」 月「何でこんな所にいるんだよ!?」 総一郎「ふっ。ようやく気づいたか、ライト」 307 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:14:14.61 ID:r6Ltmomn0 総一郎「私と粧裕は、今日からここに住む」 月「……は?」 総一郎「……幸子とは、さっき離婚の話をつけてきた」 月「母さんと離婚……? おい……急に何言ってんだ……」 総一郎「嘘じゃない。紛れもない事実だ」 月「離婚って何だよ!? ケンカでもしたのか!?」 総一郎「馬鹿を言うな。そんな子供染みた理由ではない」 総一郎「……私は常日頃から思っていたのだ……」 総一郎「……粧裕とエッチがしたい、とな」 月「!!!!!!!!!!!!!!」 佐藤「くっ……! それが父親の言う事か!」 目暮「こらえろ佐藤ッ!!」 佐藤「し、しかし警部!」 目暮「ワシらには人質がいるということを忘れるな……!」 松田「んー! んー!」 319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:18:20.00 ID:r6Ltmomn0 佐藤「松田君ッ……!」 松田「んー! んー!」 L「夜神さん、本当に私、やっちゃっていいんですか?」(腰を振る動作) 総一郎「もちろん。おい高木、お前も好きにしたらどうだ?」 高木「ええ。そうさせていただきます」 『ギュゥぅぅぅぅ!』 佐藤「!!!!!!!!」 高木「佐藤さん……僕、すごく苦しかったんですよ?」 高木「僕と松田の、何が違うっていうんですか?」 佐藤「ちょっと……! 離れなさいよ高木君!!」 高木「ふふっ……嫌です。もう一生離しませんから」 おっぱい『むにゅ むにゅ』 佐藤「くっ……///!! この……クズがぁ……!!」 高木「あれ、得意の反撃はどうしましたか? 佐藤――」 高木「いや……美和子さん?」 321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:19:16.54 ID:r6Ltmomn0 月「何だよこれ……いったい捜査本部に何があったんだッ!?」 目暮「1時間ほど前、局長は娘さんをここに連れてきたんだ……」 目暮「それからLは、ワシと佐藤君に休憩の指示を与えたんだが」 目暮「何も知らないワシらは、言われるままに外出したんだよ……」 月「……それで戻ってきたら……この有様だった、と?」 目暮「ああ。松田はロープで縛られ、局長は拳銃を構えていたワケさ……」 月「くっ……おい父さん! これは一体どういうことだよ!?」 総一郎「簡単なことだ。今日は私と粧裕にとっての記念日」 総一郎「人間ならエッチしたいと思うだろう?」 月「ちっ……おい高木……それからL! お前らは!?」 高木「僕は美和子さんを、松田の目の前で犯したかった」 高木「だから松田を人質にした。ただ、それだけのことさ」 L「私は正直、ライト君をキラと疑っていますから」 L「私のペニスを、ライト君のアナルに監禁しようと思っています」 月「……くそっ……この、クズどもが!!!」 330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:22:32.01 ID:r6Ltmomn0 月「おい粧裕! お前も何で黙ってるんだよ!?」 粧裕「だって粧裕は……ただの人形だもん」 月「はぁ!? こんな時に何言ってんだ!?」 粧裕「じゃあお兄ちゃんにとって、粧裕って何?」 月「バカ。大切な妹に決まってるだろう!」 粧裕「……嘘つき……お兄ちゃんなんか……」 粧裕「……お兄ちゃんなんか……大っキライ!!!」 月「!!!!!!!!」 総一郎「……決まりだな。粧裕は私が好きと言っている」 月「言ってないだろ」 総一郎「ふっ。どうなんだ、粧裕?」 粧裕「いいよ……粧裕を好きにしても……」 月「!!!!!!!!」 338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:25:23.50 ID:r6Ltmomn0 『ガッ!』 月「!?」 L「もうよしましょう」 月「なんだと……?」 L「まだ気づきませんか?」 月「……何のことだ?」 L「ほら、部屋の片隅を見てください」 月「!」 ワタリ「……こんにちは」 ライフル『カチャ』 月「ワ、ワタリ! お前……!」 L「そうです。彼はあなた達を銃で狙っています」 月「なるほど……僕らが変な動きを見せたら……」 月「ライフルで容赦なく殺すってわけか……!」 L「ええ、その通りです。流石ライト君ですね」 343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:27:49.58 ID:r6Ltmomn0 月(くそっ……一体どうすれば……!) もはやキラ事件捜査本部は、 黙る子も泣くカオス劇場と化していた。 人質として、ロープを纏った松田。 パーを駆使し、佐藤の胸を揉みしだく高木。 好きな男の前で、痴態を受ける佐藤。 怒りを噛み締め、それを眺める目暮。 部屋の隅から、銃を構えるワタリ。 ライトの股間を、卑猥にまさぐるL。 そんな状況の中、策を考えるライト。 拳銃片手に、粧裕を味わう総一郎。 人形となり、父に痴漢される粧裕。 ……もう何がなんだか、分からない。 月(何か……何か手はないのか……) 月(この絶対的ピンチを逆転する何か……!) 350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:30:22.52 ID:r6Ltmomn0 リュ「もう……我慢できねぇ……」 月「リュ、リューク!?」 突如デスノートを取り出す死神。 月「おいお前……何をするつもりだよ?」 L「ん? ライト君、誰と話しているんですか?」 リュ「どうせ死ぬなら、お前以外皆殺しにしてやるよ」 月「……僕以外を皆殺し……だと……?」 リュ「ふっ……ほんとお前は鈍感だな……」 リュ「死神だって……恋はするんだぜ……?」 月「!!!!!!!!!」 月「まさか……お前……」 リュ「ああ……オレはお前のことが……好きだ……」 月「!!!!!!!!!!!」 362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:34:06.82 ID:r6Ltmomn0 L「ライト君。独り言はやめて私と会話してください」 L「さもないと……その口にお仕置きしますよ?」 ペニスを繰り出し、ライトの口に近づけるL。 月「おいリューク! 皆殺しなんて絶対――ぐぼぉ!?」 L「ああ……ライト君の口……ヌルヌルしてます……///」シュボシュボ 月(んがぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!) リュ「くっ……コイツ……よくもオレのライトに……!!!」 リュ「殺す!!! 絶対に殺してやる!!!!!」 月「fgあdgへw;おいえfじょあうぇjhgwじゃf!!」 L「あ……おっ……うんっ……この最高の感じ……///」 リュ「なぁライト……お前が灰原哀に恋をしたと言ったとき……」 リュ「実はオレ……かなりショックを受けてたんだぜ……?」 月「dか;えgfjg@おいえhwふぁあじあwhぎおあwげわ!!」 リュ「でもオレは嫌われたくないから、お前に協力する道を選んだ!」 リュ「盗聴とか、会話の相手とか……結局全て無駄だったけどな!!」 366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:36:30.65 ID:r6Ltmomn0 リュ「やっぱり死神と人間じゃ……恋愛なんて無理だったんだ……!」 高木「ふっふっふ。美和子さん……どんどん揉みますよ!!」 佐藤「ちょっとやめ……あっ!!///」モミモミ 松田「んー! んー!」 総一郎「クックック……粧裕の思春期おっぱい……!!」 粧裕(……もう……どうなったっていいもん……)モミモミ 目暮「くっ……この外道が!! 警察官の恥を知れ!!!」 L「ああ……何だか来てます……来てますよぉ!!」 月「sだfhがううぇgpふあwrふえあはっwあゃ!」 ワタリ「右よし、左よし、異常なし」カチャ 加速するマジキチ。しかしリュークは続ける。 リュ「……でも聞いてくれライト……オレはな――」 リュ「今でもお前の事を、心の底から愛してるんだ!!」グスン リュ「だから今から、ノートにLの本名を書き――」 リュ「ここにいる奴らも全員、皆殺しにする!!」 リュ「キラにとって捜査本部は……百害あって一利なしだからな!!!」 カオスの渦の中、ノートに名を刻む死神。 Lのチンコで口の塞がったライトに、 暴走したリュークを止める術はなかった……。 373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:39:36.26 ID:r6Ltmomn0 ******************* ◆DEATH NOTE◆ 「エル・ローライト」 「キルシュ・ワイミー」 「夜神総一郎」 「夜神粧裕」 「目暮十三」 「高木渉」 「佐藤美和子」 「松田桃太」 ******************* L「ライト君! 喉に……喉に出します――くっ!?」ドクンッバタッ! ワタリ「なっ!? どうしましたエr――うっ!?」ドクンッバタッ! 総一郎「へへっ……粧裕のふくらみかけおt――ぐっ!?」ドクンッバタッ! 粧裕(私……ずっとお兄ちゃんのこと……――うっ!?)ドクンッバタッ! 目暮「よし局長が死んだ! 今回ばかりはキラに感――謝!?」ドクンッバタッ! 高木「僕は美和子さんの全てを揉み続け――まっ!?」ドクンッバタッ! 佐藤「くっ……いつまで揉んでるのよ高g――うっ!?」ドクンッバタッ! 松田「んー! んー! んー! んー!?」ドクンッバタッ! 386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:42:06.63 ID:r6Ltmomn0 月「……嘘……だろ……?」 次々と周りの人間が倒れていく中、 その突如残酷な光景に、ライトは声を荒げる。 月「うああああああああああああああ!!!」 リュ「ふふっ……ざまぁみやがれってんだ……Lめ……」 そして死神もまた、徐々にその姿を消しつつあった。 月「リュークッッ!!!! 何故殺したぁあああ!!!」 389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:44:26.72 ID:r6Ltmomn0 リュ「何言ってんだ……お前らしくもない」 リュ「もしあの状況で、Lだけを殺してみろ」 リュ「お前へのキラ疑惑は、より濃厚なものになるぞ?」 月「キラ疑惑だと……? ふざけるなッッッッッッ!!」 月「だからといって粧裕達に何の罪があるんだッッ!!!」 リュ「血迷ったかライト。目撃者ほど有害な存在はないだろ?」 リュ「キラから見れば……合理的な判断だったと思うが」 月「ああああああああああああああああ!!!!!」ガンガン!! リュ「むしろ褒められることを……期待してたぐらいだぜ」 月「この死神がああああああああああああ!!!!!」 リュ「さて……オレに残された時間も……あとわずかだ……」 リュ「最後に一つ……いいことを……教えてやろう……」 ……『江戸川コナン』と『灰原哀』……。 ……奴らは……デスノートで……殺せない……。 394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:46:38.15 ID:r6Ltmomn0 ◆16時00分://キラ事件捜査本部◆ 嵐は過ぎ去った。 夢も希望も奪われた。 青年に残されたものといえば―― 目前に散らばった8人の遺体と……、 死神が落としていった黒いノートだけ……。 粧裕「――」 佐藤「――」 目暮「――」 松田「――」 月「……佐藤さん……」グスン 月「……目暮さん……松田さん……」グスン 月「……くっ……粧……裕……!」グスン 月「うあああああああああああああああ!!」ガンガン!! 一人荒れ狂うライト。理性は遠の昔にふっとんだ。 しかし考えなければならない――考えなければ前に進めない。 まずはこの状況……死体の問題……警察に通報すべきか……。 でも通報したらどうなる? キラだと自供するようなものだ。 苦しい……いっそのこと……自分も死んでしまいたい……。 397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:48:34.59 ID:r6Ltmomn0 ◆16時30分://都内某所◆ 思考を停止し、外をフラフラ歩く。 結局死体は、放置したまま。 (……あ……) 立ち止まるライト。 ちらほら降り始める雪。 (……ははっ……こりゃいいや……) (……雪はきれいだし……) (……死体も長持ちするしな……) 死んだ思考回路。 空っぽの気概。 心の支えが必要だった。 400 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:52:31.22 ID:r6Ltmomn0 足は自然と自宅へ向かっていた。 きっと母親を求めてのことだろう。 唯一の肉親に、宥めてほしかったのだ。 しかし………… ◆17時00分://夜神家/リビング◆ 家に着き、リビングへ向かうライト。 そこでは母親が首を吊って死んでいた。 「世界が壊れたので死にます」 幸子にとって、総一郎は全てだった。 高校時代、ろくでなしだった彼女。 とある新米の警察官に助けられ、 その人生は順風満帆なものへと姿を変えた。 彼とは結婚し、子供も2人授かり、まさに幸せだった。 突然、不倫の事実を突きつけられ、 離婚してくれ、と言われるまでは……。 407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:55:52.35 ID:r6Ltmomn0 月「ははっ……はははははははははは!!」 月「何だよこれ! ははっ! おかしいだろ!!」 錯乱。爆笑。絶叫。マジキチ。 月「ふふ……ふははははははははは!!」 過度な精神負荷によるものだった。 月「この短時間に、何人死ねば気が済むんだよ!?」 月「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!!!」 月「うあああああああああああああ!!!!」 月「フゥーハッハッハッハッハ!!!!!」 月「があああああああああああああ!!!!」 月「八八ははっははっはハハハは!!!!!」 数分後、異常に気づいた隣人が警察に通報した。 411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 01:58:36.66 ID:r6Ltmomn0 ◆18時00分://夜神家/リビング◆ 警官A「あー、これは流石に自殺だな」 警官B「ええ。遺書と家計簿の筆跡が一緒ですしね」 警官C「それで……夜神局長にこのことは?」 警官B「いえ、まだ知らせてないはずですが」 警官C「そうか。じゃあ宇木田に電話するよう言ってくれ」 警官B「分かりました。娘の粧裕さんにも連絡してきます」 警官C「ああ、よろしく頼む」 警官A「……ライト君、落ち着いたらでいいんだけど」 警官A「一応、事情聴取させてもらえるかな?」 月「……クックック……だまってろよ……豚虫が」 月「お前ら警察なんて所詮……皮をかぶったペニスだ」 警官A「え? ちょっとどうしたのライト君?」 月「……いるんだろ? 上層には組織の仲間が」 警官A「組織?(頭がいかれちゃったのかな……)」 414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:01:59.40 ID:r6Ltmomn0 月「ふっ……まぁお前ら下っ端には関係ないことか」ガチャ 警官B「なっ!? おいどこに行くんだ!?」 月「どこって……今日は家庭教師のバイトがあるんだ」 警官B「バイトだぁ!? こんな時に何を言って――」 警官A「(やめろ。母親が死んだんだ。察してやれ)」 警官B「し、しかし!!」 警官A「ライト君……じゃあ事情聴取は後でいいから」 月「……ふん」 『ガチャン!』 419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:05:18.18 ID:r6Ltmomn0 ◆18時30分://阿笠邸◆ 『ピーンポーン』 『ガチャ』 コナン「あ、家庭教師のお兄さん」 月「……彼女は……まだ怒ってるかな……?」 コナン「アハハ……まぁ、ね……」 421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:06:54.41 ID:r6Ltmomn0 ◆同刻://阿笠邸/灰原の部屋の前◆ 『ガt』 月(あ……人の部屋に入るときはノックがいるんだっけ……) 月(……いや……粧裕はもうこの世にいないんだ……) 月(ノックをしなくたって……誰も怒らないか……) 『ガチャ』 灰原「ッ!?」 灰原「ちょ、ちょっと……!!!」 灰原「入るならノックくらいしなさいよ!」 月「……え……?」 灰原「え、じゃないわよ! 常識でしょ!!」 月「……」 灰原「まったく。そんなことも分からないの?」 僕を叱る彼女。でも何だかそれが、とても心地よかった。 427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:10:02.51 ID:r6Ltmomn0 『ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥぅぅぅッッ!!』 衝動だった。 灰原「!!!!!!!!!!!!!」 僕は彼女を抱きしめた。 月「……ごめん……」 謝りつつも、その力は増す。 胸にぽっかり開いてしまった穴を、 彼女の全てで埋め尽くしたかったから。 灰原「何……やってんのよ……あんたっ!?」 灰原「離れな……いと……警察……呼ぶわよ!!」 彼女はもがく。拒絶は目に見えていた。 それでも僕は、彼女を抱きしめ続ける。 瞳からは、今日初めての涙。 別に我慢していたワケではない。 ……ようやく現実を理解したのだ。 月「ううっ……うああああああああああ!!!」 泣いて、泣いて――泣く、泣く。 434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:12:30.94 ID:r6Ltmomn0 灰原「な、何泣いてんのよ……」 月「ごめん……ごめん……!」グスン ただ謝る。とにかくこのままでいたかった。 彼女の小さな体は、僕にとっては大きい。 灰原「……何があったか知らないけど」 灰原「……これ、犯罪だから」 月「……ごめん……ごめん……!」グスン 消えない罪悪感。僕はひたすら謝る。 灰原「はぁ……まったく……」 灰原「このロリコン」 月「……!」 ジト目の彼女から放たれた言の葉。 それ自体は侮蔑に他ならない。 でも何故かこの瞬間―― 僕は彼女に認められた気がしたんだ。 439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:17:10.50 ID:r6Ltmomn0 ◆18時45分://阿笠邸/灰原の部屋◆ 言葉と態度に刺が残るが、 途中から抵抗しなくなった彼女。 同情だろうか? 作戦だろうか? それとも僕の涙に共感したのだろうか? 彼女は両親を無くしたと言っていた。 もしかすると、僕が今流している涙は 彼女が流した事のある涙なのかもしれない。 灰原「ちょっと……いつまでこうしてるつもり?」 月「あぁ……ごめん……」 灰原「まったく……人の料理にあんなケチの付け方して」 灰原「よくもまぁ、そんなことができるわね?」ジトッ 月「あれは……」 灰原「まぁいいわ。何があったか知らないけど」 灰原「今あなたは、私の家庭教師。やるべきことをやれば?」 月「……うん……ありがとう……」 月「ところで……阿笠さんは?」 441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:19:31.25 ID:r6Ltmomn0 灰原「博士なら出かけたわ」 月「え……?」 灰原「おそらく江戸川君も事務所に帰ると思う」 月「……じゃあ2人きりになるのか……」ボソッ 灰原「何か言った?」 月「いや、何も言ってないよ」 月(……ついにここまで来たか……) 灰原「それで、何からやるの? 国語? 算数?」 月「ああ……うーん……そうだな……」 月「……まずは君の事を教えてくれないかな?」 灰原「……え?」 月「君は何故、僕の妹の……ふりをするんだい?」 灰原「!」 444 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:22:55.61 ID:r6Ltmomn0 灰原「……思ったより早かったわね……」 灰原「……でもそれはこっちのセリフでもあるわ」 月「ふっ……お互い無意味な演技をしていたワケだ……」 灰原「それで、どうなのよ?」 月「僕は君に近づきたかった……それだけさ」 灰原「……目的は何なの?」 月「……簡単なことだよ……」 月「……僕は君の事のことが……好きなんだ……」 灰原「」 灰原「……」 灰原「…………は?」 448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:25:06.12 ID:r6Ltmomn0 月「初めて君に会ったとき、僕は震えた……」 月「人を好きになったのは……生まれて初めてだったから」 灰原「ちょっと……何が狙いなの……!?」 月「狙いって……」 灰原「そんな冗談を言って、私を誑かすつもり?」 月「嘘じゃない。僕は本気だ!」 灰原「じゃあ何で突然、兄妹の関係を打ち切ったのかしら?」 灰原「兄妹じゃないなら、あなたはただの変質者よ?」 灰原「この家からそんなに出て行きたいわけ?」 月「僕は君と、兄妹でない、普通の関係でありたいんだ」 月「それに君は、この家から僕を追い出せないはずだよ」 灰原「ッ!!!」 月「コナン君に頼まれたんだろ? 僕と暮らすようにって」 灰原(……バレてたってワケね……) 453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:29:27.40 ID:r6Ltmomn0 月「何で、妹だなんて嘘をついたんだ?」 灰原「さぁ。私は江戸川君に従っただけだから」 月「……じゃあ君たちの正体って?」 灰原「!!!!!?」 灰原「……やっぱり……私たちの会話を聞いてたのね」 月「……え?」 灰原「今朝の登校中、妙な気配を感じたのよ」 灰原「そしてあなたと初めて会ったときもまた……」 灰原「全くと言っていいほど、同じ気配を感じたわ」 月「……なっ……?」 灰原「……どういうワケか、今は感じないけどね」 月(ちょっと待て……それってまさか……) 灰原「そのせいか、少し油断してたみたい……」 灰原「……あなたこそ……一体何者なの……?」キッ 457 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:33:11.13 ID:r6Ltmomn0 ◆???://???◆ 博士「大変なことになった」 ジン「どうしました、ボス?」 博士「これからは自宅で研究できん」 ジン「……何故ですか?」 博士「夜神月……という男を知っているか?」 ジン「夜神月……おいウォッカ! すぐに調べろ!」 ウォ「へい、わかりやした兄貴」カタカタ ジン「それで、そいつが何か?」 博士「ああ……実は、ワシの家に住む事になった」 ジン「」 ウォ「」 ジン「……何故そのようなことに……」 博士「いろいろあってな。とにかく始末してくれ」 ジン「……分かりました。すぐに準備します」 博士「うむ……できるだけ穏便に頼む」 461 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:36:28.73 ID:r6Ltmomn0 博士「全てはワシら組織の夢のため」 博士「そう。全世界の女性を――」 博士「ロリっ子に幼児化させるという、夢のためのな」 ウォ「へへっ……パイパンパイパン」カタカタ ジン「……ところで最近のキラの動きは?」 博士「キラ? いや、特に目立ったことは――」 『PRRRRR♪ PRRRRR♪』 博士「ん? 警視総監からの報告メール……」 本日、キラに大きな動きがありました。 Lを含めたキラ事件捜査本部が心臓麻痺で全滅したそうです。 これにより、『キラは顔や名前を知らずとも殺せる』、 といった可能性が警視庁内で浮上してきています。 事実判明まで、組織の活動は控えた方が良いかと。 博士「な、なんじゃって!?」 469 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:41:00.77 ID:r6Ltmomn0 ジン「何か、あったんですか?」 博士「……Lがキラに殺されたらしい」 ウォ「なっ!? それは本当ですかい?」 博士「うむ。だから今は活動を控えろ、とのことじゃ」 ジン「……では、夜神月の件も……」 博士「いや、活動を控える必要はない」 博士「キラにとって、Lは対をなすライバル」 博士「そんなLを殺せたということは――」 博士「キラの中で、何か変化があったということじゃ」 ジン「……と、言いますと?」 博士「おそらく、キラはかなり、Lに接近したんじゃろう」 博士「顔や名前を知らなくても殺せるというなら」 博士「全世界同時生中継(笑)のときにLを殺せたはずだからのう」 ジン「つまり……殺しに顔と名前が必要なのは変わらないと」 博士「そういうことじゃ。だから心配せんでもよい」 473 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:45:19.27 ID:r6Ltmomn0 ウォ「なっ、なんだとっ!?」 ジン「ん? どうしたウォッカ?」 ウォ「夜神月について調べてたんですが――」 ウォ「とんでもないことが分かりましたぜ!」 博士「とんでもないこと?」 ウォ「ええ! バーボンからの情報ですが――」 ウォ「夜神月は先月から――」 ウォ「キラ事件捜査本部に加入しているそうです!」 博士「な!? なんじゃって!?」 ジン「……夜神月が……Lに接触しているだと……?」 博士「お、おい! 他に捜査本部に加入したメンバーは?」 ウォ「いえ……新加入は奴だけですぜ」 ジン「……ということは……キラの正体は……」 博士「」ガクガクブルブル ウォ「ん? どうかしましたか、ボス?」 479 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:49:36.08 ID:r6Ltmomn0 博士「……ワシは夜神月と……同居しとるんじゃぞ……?」ガタガタ ジン「落ち着いてください。ボスは表世界でも著名人です」 ジン「顔や名なんて、最初からバレてるも同然――」 博士「違う! ワシが言いたいのはそんなことじゃない!」 博士「奴が何故、ワシの家へやってきたか、ということじゃ!」 ジン「それは……」 博士(哀君の兄などと、見え見えの嘘を吐いていたんじゃ……) 博士(奴の真の狙いは……おそらくワシら組織をつぶす事……) 博士(そのために、まずはボスであるワシに接触し――) 博士(ワシら組織の実体を掴もうとしたんじゃ……!) 博士(くっ……なんて大胆かつ舐めきった行動!!) 博士(しかし身の危険が迫れば、ワシを脅せばよいだけ……) 博士(……計算し尽くされておる!!) 492 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 02:53:45.00 ID:r6Ltmomn0 ウォ「じゃあ早急に奴を始末する必要がありますね」 博士「馬鹿者! そんなことをすればワシの命が危ないわ!」 ジン「……では、いかがしましょうか?」 博士「……計画を前倒しにする……!」 ウォ「なっ!? しかしまだ薬は未完成ですぜ!?」 ウォ「それに成功例の観察もまだ不十分かと思いますが」 博士「そんなことは分かっておる! だが時間がないんじゃ!」 博士「夜神月に殺される前に、目的を果たさなければ……!」 TV『えー! ここで緊急ニュースが入って参りました!』 博士「……ん?」 TV『警視庁に、あの怪盗キッドから犯行予告が届いたようです!』 TV『犯行予告時間は今夜9時、そして今度のターゲットは――』 TV『ありとあらゆる女性の――貞操だそうです!』 博士「なっ、なんじゃって!?」 505 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:00:00.21 ID:r6Ltmomn0 ウォ「何だこれ……どういうことだ……!?」 TV『次にキッドからのメッセージを読み上げたいと思います』 レディース、アーンドジェントルメーン! 全国の女性の味方こと、怪盗キッドです。 今夜もまた、宝石を盗みに参上いたします。 それも皆さんの秘部に眠る―― ――とびっきりのダイヤモンドをね。 僕に貞操を盗んでほしい女性の皆さん、 今夜9時に米花町のどこかで待っていてください。 それでは、シーユーアフターナイン。 TV『以上、緊急速報でした』 ジン「……ボス……これはいったい……」 博士「……分からん……だがこれは絶好のチャンスじゃ……」 博士「……この機会を逃す訳にはいかんな……」 ジン「……では……“花火”の準備を……始めるのですね?」ゴクリ 博士「うむ。既に環境だけは整っておる……」 博士「実行は今夜9時……それまでに薬のコピーを急ぐんじゃ!」 ジン・ウォ「「……了解!」」 511 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:05:45.73 ID:r6Ltmomn0 ◆19時00分://阿笠邸/灰原の部屋◆ 灰原「……あなたこそ……一体何者なの……?」キッ 僕を睨みつける彼女。 さっきまでの優しさは何だったんだ。 妙な気配消失による油断? ふざけるな。 過去、救いの手をくれた彼女に。 今、奈落へ突き落とされた。 絶望の底。半端ではない喪失感。 低下する思考力。締め付けられる胸の内。 狂いそう。抉れそう。壊れそう。 崩れそう。犯しそう。死にそう。 月「えっ? 僕の正体? キラだけど?」 それは自分の中で、何かが裏返る感じ。 519 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:12:19.01 ID:r6Ltmomn0 灰原「……は?」 月「本当だよ」 灰原「ついていい嘘と、悪い嘘があるんだけど」 月「本当だよ」 灰原「……じゃあ証拠は……?」 月「今、この場で犯罪者を裁く」 灰原「……は?」 月「だからもし嘘じゃなかったら、僕と付き合ってほしい」 灰原「……ちょっと、自分で何言ってるか分かってる?」 もちろん分かっていた。 その論理が破綻していることも。 自分が壊れつつあることも。 月「今からテレビをつけて――」 月「最初に映った犯罪者を裁いてみせるよ」ククク 523 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:16:11.72 ID:r6Ltmomn0 『ピッ』 TV『えー! ここで緊急ニュースが入って参りました!』 TV『警視庁に、あの怪盗キッドから犯行予告が届いたようです!』 TV『犯行予告時間は今夜9時、そして今度のターゲットは――』 月「うあああああああああああああああ!!!!」 『ガシャンッ!! パリ―ン!! グシャ!!!』 僕はテレビを壊す。壊す。 月「何でよりによってお前なんだよ!! 死ね! 死ね!」 『パリーン!! ガシャン!! ガシャン!!』 TV『……』 月「……クックック! 殺してやったぞ!! ざまぁみろぉ!!!」 月「ハハッ! 雑魚キッドめ!! ハッハッハッハッ八八!!!」 灰原「……」 月「さぁ! 殺したよ! 僕と付き合ってくれ!!」 527 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:19:13.83 ID:r6Ltmomn0 灰原「出てって……」グスン 月「ああ? 僕は約束を守ったじゃないか!」 灰原「お願い……だから……」グスン 月「ちっ! お前をそんな悪い女にしたのは誰だ!」 月「さては江戸川コナンだな?」 灰原「……」グスン 月「あのクソガキがあああああああ!!!!!!!」 『ガシャン!! ガシャ!! パリーン!!』 もはや夜神月という面影はない。 月「おいお前、アイツのことが好きなんだろ?」 灰原「……」グスン 月「何で答えねーんだよゴルァ!!!!!」 月「殺す!! 江戸川コナン!! 絶対殺す!!」 月「クックック。どうせ探偵事務所に行く予定だったんだ」 月「今から殺しに行く! フハハハハハハハハハッッ!!」 535 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:23:23.54 ID:r6Ltmomn0 ◆19時50分://米花町/某所◆ \ザワザワ/ 記者「えー、ご覧下さい! この寒空の下、雪の中!」 記者「キッド様に抱かれたい女性達がもう集まっています!」 記者「お話を伺ってみましょう――いつから待ってるんですか?」 腐女子「キッド様が生まれる5秒前からですよwwwwデュフwww」 記者「そうですか! ところで、もちろん処女ですよね?」 腐女子「自明wwww33年ワレメ一筋、キッド一筋wwww」 記者「なるほど! スタジオ聞こえましたか? すごい熱意です」 記者「かくいう私も待ちきれなかったりします!!!」クパァクパァ 記者「さて、キッド様はこの大勢の女性達をどう捌くのか!」 記者「非常に見物ですね! それでは一旦返します!」 TV『――現場の記者さん、ありがとうございました』 TV『えー、今夜9時が非常に楽しみですね』 TV『それでは次のニュースです』 539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:27:23.58 ID:r6Ltmomn0 くだらない。何だこの騒ぎは? 僕は今から毛利探偵事務所に行くんだぞ。 邪魔なんだよカスどもが。 \キッド様ー! キッド様ー!/ 月(不愉快なんだよ! その名を口にするな!) くそっ。早く奴を殺さないと腹の虫が収まらない。 コナンめ。デスノートで殺せない所が余計にムカつくな。 小学生のくせに偽名なんぞ使いやがって。 てか死神の奴も。本名くらい言ってから死ねよ。 ん? 着いたか。 『毛利探偵事務所』 月「ふふふ。待ってろよ……江戸川コナン!」                               〜中編・完〜 547 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:30:08.01 ID:r6Ltmomn0 ネクストコナン図ヒント 「カオス」 556 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:33:41.14 ID:r6Ltmomn0 ◆???://毛利探偵事務所◆ 小五郎「何だ何だ。この人盛りは」 蘭「お父さん知らないの? キッド様が原因よ」 小五郎「キッドだぁ? そんなの聞いてねーぞ」 蘭「ふぅん……じゃあ、私もそろそろ行こうかな♪」 コナン「え? どこに?」 蘭「キッド様の所だけど……どうかしたの? コナン君?」 コナン「いや、だって蘭姉ちゃんには……新一兄ちゃんが……え?」 蘭「新一? そんな奴は記憶から消滅したけど?」 コナン「……嘘……だろ……おい……」 蘭「んふふ♪ どんな下着履いていこうかな?」 コナン「らあああああああああああああん!!」 ―――――― ―――― コナン「はっ、夢!?」 英理「あら起きた? コナン君」 559 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:36:31.86 ID:r6Ltmomn0 ◆20時00分://熟女ヘルス『LawYer』◆ コナン「あれ……僕、どれくらい寝てた?」 英理「ふふっ。ほんの数時間くらいかしら」 コナン「……そう……なんだ……」 英理「それよりびっくりしたわ」 英理「久しぶりだもんね、コナン君が来るの」 コナン「アハハ。今日は英理おばさんに会いたい気分だったんだ」 コナン(ははっ……恥ずかしくて言えるわけねーよな) コナン(この世をロリで埋め尽くすという、博士の目的を知って) コナン(熟女派のオレが焦って熟女ヘルスに来たなんて……) 英理「あら? コナン君、何か隠してない?」 コナン「か、隠してないよ」 英理「ふふふ。そう」 英理「ところでコナン君が寝てる間に大変なことがあったのよ」 コナン「大変なこと?」 566 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:42:13.49 ID:r6Ltmomn0 英理「キッドが警視庁に犯行予告を出したみたい」 コナン「なっ!? キッドだと!?」 コナン(まさか、さっきのは……正夢!?) コナン「……ターゲットはもしかして……」 英理「確か女の子の貞操って言ってたけど」 『ガタンッ』 コナン「蘭の処女が危ない!」 英理「えっ?」 英理「ちょ、ちょっとコナン君! どこに行くの!?」 コナン(熟女好きでありながら処女厨という矛盾……) コナン(しかしそれがオレである以上――葛藤している場合ではない!) コナン「最高の矛と、最高の盾が争うならば――」 コナン「オレは剣士として、漁夫の利を得るだけさ!」 そう言い残し、名探偵は熟女ヘルスを出発した。 向かうは毛利探偵事務所。熟女も大事だが、処女も大事だ。 575 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:48:31.93 ID:r6Ltmomn0 ◆20時00分://毛利探偵事務所/玄関◆ 『ピーンポーン』 蘭「はぁーい、今出ますね」 『ガチャ』 月「こんばんは。名探偵に相談があります」 蘭「相談ですか? あ、あの。もう営業は終わったんですが」 月「そうですか……それは残念」 『ガシッ!』 蘭「ッ!!」 月「動くな。動くと首がふっとぶぞ」 ライトは素早く回り込み、蘭を羽交い締めした。 手にはナイフが握られている。 蘭「ぅ……ぁ……」 とっさの出来事に、蘭も空手を繰り出せない。 579 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:51:59.01 ID:r6Ltmomn0 ◆同刻://毛利探偵事務所/客間◆ 蘭「……ッ!」 小五郎「蘭!! お前、どうした!?」 月「これはこれは名探偵。夜分にすみません」 小五郎「貴様ァ!! 蘭に何してんだッ!!!」 月「おっと、動くと蘭さんの命はありませんよ」 小五郎「……くっ……要求は何だ?」 月「流石は元刑事……随分と理解が早いですね」 小五郎「元刑事……オレのことを調べたようだな」 月「いや、警察関係者の身内から偶々聞いただけですよ」 月「最近、あなたの探偵としての台頭は著しいですからね」 小五郎「……さっさと要求を言え」 月「ここに江戸川コナンがいるはずだ。奴を出してもらおう」 小五郎「ふっ。何が狙いか知らねーが、コナンならいねーぞ」 月「何?」 584 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 03:59:56.97 ID:r6Ltmomn0 月「嘘をつくな。小学一年生が出歩く時間じゃないだろう」 小五郎「何だそのマヌケな見解は? さては童貞か?」 月「おい!! 口を慎め!! 僕は新世界の神だぞ!!」 小五郎(ちっ……目が逝かれてやがる……) 月「さっさと出せ!! 奴を僕の目の前に!!」 『スッ』 蘭「うっ……!」 人質の首から、赤い線が滴る。 小五郎「……くっ……てめぇ……!!」 月「江戸川コナンはここに住んでいる。それは間違いない、な?」 小五郎「……ああ……今年の春から住んでいる……」 月「なるほど……今年の春とは興味深い」 月「つまり、眠りの小五郎が売れ始めた頃と同じ、ってワケだ」 小五郎「!!!!!」 592 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 04:04:46.40 ID:r6Ltmomn0 小五郎「……何が言いたい?」 月「ふふっ。江戸川コナンの正体と関係があるのでは、と思いましてね」 小五郎「……コナンの正体……だと……?」 月「だっておかしいじゃないですか。眠りの小五郎だなんて」 月「当たり前ですけど、眠った人間は喋らないんですよ?」 小五郎「!!!」 月「答えてください。あなたは、眠ったフリをしているんですか?」 小五郎「……ッ!」 月「答えないという事は、蘭さんの命がどうなっても?」 小五郎「分かった! 分かったから蘭を傷つけないでくれ!」 月「なら、どうなんです?」 小五郎「……ああ……オレは……眠ったフリをしている……」 月「では、眠ったフリをして、実は推理を喋っていたと?」 小五郎「……いや、違う……実際に推理をしてるのは……コナンだ……」 月(……なるほど、見えてきたな) 597 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 04:11:23.95 ID:r6Ltmomn0 蘭「ちょっとお父さん! それってどういう――」 月「黙れツノ男!!」 月「自分が人質だということを忘れるな」 小五郎「……おい、もういいだろ?」 月「いいや。まだです」 月「コナンの正体について、あなたにも思う所があるのでは?」 小五郎「……いや……ない……」 月「嘘が下手ですねぇ。そんなに蘭さんを殺したいですか?」 小五郎「くっ……!!」 月「あなたも頭が悪い。正直に言えばいいものの」 小五郎「……オレだって探偵の端くれだ」 小五郎「毎回、効果の無くなった麻酔銃を打ち込んでくる少年……」 小五郎「……そんな怪しい奴の正体を、考えないわけがないだろ……」 月「ほう。では、その正体とは?」 610 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 04:22:07.50 ID:r6Ltmomn0 小五郎「……オレの推理では……コナンの正体は……」 小五郎「……工藤……新一だ……」 月・蘭「「!!!」」 蘭「えっ……お父さん何言って……」 月「喋るなこのヘアスタイルがっ!!」 月「……毛利探偵。あなた、自分が何を言ってるか分かってます?」 月「高校生が、小学生になるはずないでしょう?」 小五郎「最初はオレもそう思ったさ。だが、今はそれしか考えられねぇ」 小五郎「あの推理力、顔立ち、新一行方不明後のコナンの登場……」 小五郎「あの声を変えるメカ、そして新一との通話時におけるコナンの留守率」 小五郎「まだ他にもある……裏付けるものが多すぎるんだよ……!」 月(……嘘をついてるようには見えないし、根拠はあるようだな……) 月(……信じられないが、一応ノートに名前を書いておくか……) 618 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 04:27:16.43 ID:r6Ltmomn0 『工藤新一』 僕は2人に気を配りながら、 デスノートにそう刻む。 小五郎「おい……何をしてる?」 月「ああ、これは申し遅れました」 月「僕は世間一般に……キラ……と呼ばれているものです」 蘭「……え……」 小五郎「……な……に……?」 月「このノートはデスノートといって――」 月「名前を書くと、その人間を殺す事ができるんですよ」ニヤリ 蘭・小五郎「「!!!!」」 月「ちょっとコナン君には恨みがありましてね」 月「死んでもらう事になったわけですよ」ニヤリ 蘭・小五郎「!!!!!!!!!!!!!」 620 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 04:31:11.39 ID:r6Ltmomn0 蘭「……取り消し……なさいよ」 月「あん? 誰が喋っていいって――」 蘭「取り消せって言ったのよ!!!!」 『ピシュンッ!』 蘭「んぁ……!!」 月「おい。まさかお前も奴のことが好きなのかよ」 蘭「ねぇ……新一は……無事なの?」 月「ふっ。まぁどっちでもいいが」 月「もし好きだったなら残念なお知らせがある」クックック 月「江戸川コナンこと工藤新一は、あと5秒で死亡だ!!」 蘭「えっ?」 月「4 3 2 1」 月「ゼロ!!!! ハッハッハ!!! さらばだコナ――」 サッカーボール『ギュルルルルルルルルルル!!!』 月「がぁ!!」< ずどーん! 631 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 04:39:23.89 ID:r6Ltmomn0 ???「随分な始末じゃねーか、お兄さんよぉ」 月「……くっ……誰だ! 僕にボールをぶつけたのは!!」 コナン「江戸川コナン……いや」 コナン「工藤新一……探偵さ」 月「江戸川コナン!? お前、何で生きてるんだ!!」 コナン「バーロー。ノートに名前を書くだけで死ぬ方がおかしいだろ」 小五郎「おいコナン……お前、本当に……新一……なんだな……」 コナン「おじさん、今まで騙しててごめん」 小五郎「……オレはいい! 他に謝る人間がいるだろう!」 コナン「うん。分かってる……」 コナン「蘭……待たせたな……」 蘭「……本当に……コナン君が……新一なの……?」 コナン「ああ。遊園地のデート、一緒に帰れなくて悪かったよ」 蘭「……新一の……バカァ!」グスン 635 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 04:45:21.14 ID:r6Ltmomn0 月「何故死なない!? こんなのは認めないぞ!!」 月「さてはお前、工藤新一じゃないだろ!」 小五郎「フン。キラごっこは終わりのようだな」 月「遊びじゃない! 僕は本当にキラなんだ!!」 小五郎(……目が血走ってる……どうかしてるぜコイツ……) コナン「夜神月……お前の狙いは何だったんだ?」 月「お前を殺す事に決まってるだろ! そして組織も潰して」 月「灰原さんと2人で仲良く暮らすつもりだったんだ!!」 月「それをお前は! お前は……!!」 コナン「……組織? まさかお前……」 月「ああ! コードネームに酒を用いる組織のことだ!」 月「知らないとは言わせないぞ!!」 コナン「やはり、今朝の登校中に聞かれてたんだな……」 コナン「……知ってるよ。ボスの名前も、奴らの狙いも」 月「!!!!!」 643 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 04:49:55.86 ID:r6Ltmomn0 月「おい教えろ! 僕はキラなんだ!!」 月「ボスの顔と名前が分かれば、ボスを殺す事が出来る!」 コナン「……悪いが、お前はキラじゃない」 月「キラだって言ってるだろ!」 月「じゃあこの女を殺せば信じるな? そうだろ?」 蘭「!」ビクッ コナン「……そんなことをする奴に、教えると思うか?」 月「クズがっ! お前は灰原さんを救いたいとは思わないのか!!」 コナン「……」 小五郎「おい新一。こんな狂人の戯れ言に耳を貸す必要はない」 月「狂人だと? 僕のどこが狂っているっていうんだ!!」 月「狂ってるのは、お前の方だ江戸川コナン!」 月「お前が本当に工藤新一なら、何故心臓麻痺で死なないんだ!!」 コナン(……本当にコイツ……何言ってんだ……?) 649 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 04:55:30.29 ID:r6Ltmomn0 月(待てよ。まさかリュークが放った言葉の、本当の意味って……) 月(コナンが偽名を使っている、なんてレベルではなく……) 月(そもそもデスノートで殺せない人間って意味なのか?) 月(……でもそんな人間が……この世に存在するワケ……) コナン「おじさん、どうするこの人?」 小五郎「コイツはもう、何の脅威も無いただの狂人なんだ」 小五郎「警察がキッドの件で忙しい今――」 小五郎「無理に通報する必要はないだろう」 コナン「だよね。その辺の縄に縛り付けておこうか」 月(いや……でも“江戸川コナン=工藤新一”が本当なら――) 月(コイツは“時を遡った”ということになる……) 月(それが神の逆鱗に触れて――) 月(人間の称号を剥奪されたとしたら……) 月(ちっ……リュークめ……具体的に言ってから死ねばいいものの) 656 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 04:59:52.63 ID:r6Ltmomn0 コナン「蘭、貞操は無事だろうな?」 蘭「やだっ、新一ったら……もう……///」 3人「「「わははははは」」」 月(クソがッ! こっちは真剣に考えてるんだぞ!) 月(僕は灰原さんと全然うまくいって――ん?) 月(……そういえば……コナンのことばかり考えてたが) 月(灰原さんに対しても……全部同じ事が言えるんだよな) 月(……待てよ……ってことはまさか……) 月(……灰原さんも……時を遡ったというのか……!?) 月「…………」 月「うあああああああああああああああああああ!!!!」 3人「「「!!!!!」」」 小五郎「……おい新一。奴に麻酔銃を打て」 コナン「いや、ダメだよ。この麻酔銃、強化してるから死んじゃう」 小五郎「そうか……なら仕方ねえな」 658 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 05:03:30.73 ID:r6Ltmomn0 月(……落ち着け……僕は今の彼女が好きなんだ……) 月(……たとえ彼女が……既に人でなくとも……) ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ リュ「やっぱり死神と人間じゃ……恋愛なんて無理だったんだ……!」 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲ 月「!!!!!!」 月(違う……何を考えてるんだ……) 月(彼女が死神なわけ――) ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 灰原「今朝の登校中、妙な気配を感じたのよ」 灰原「そしてあなたと初めて会ったときもまた……」 灰原「全くと言っていいほど、同じ気配を感じたわ」 灰原「……どういうワケか、今は感じないけどね」 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲ 月(……ハハハ……ありえない……人間が死神になるなんて……) 661 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 05:08:15.79 ID:r6Ltmomn0 月「おい……江戸川コナン……」 コナン「……ん?(……何だ急に改まって)」 月「……お前は、死神って信じるか……?」 コナン「死神? 何だよ。今度は御伽話ってか?」 月「……真面目な話だ……」 コナン「バーロー。んなもんいるワケねーだろ」 蘭「そう? 私はいると思うな」 蘭「死神は人間を不幸にするから好きじゃないけどね」 月「……人間を……不幸にする……だと……?」 小五郎「ああ……昔からそういう言い伝えがあるな」 月「ハハハッ……じゃあ彼女が死神なわけないな……」 月「だって僕は今、こんなにも幸せ……ッ!?」 月「……こんなにも……しあわ……せ……」グスン 月「ハハハッ……ハハハハハハハハハハッ!!!」グスン 665 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 05:12:27.06 ID:r6Ltmomn0 月「……毛利探偵……コナンが来て、何か不幸なことは……?」 小五郎「不幸だぁ? むしろ収入が上がって大福だぜ大福!」 月「……それってつまり……身の回りで殺人が増えたって事だよな……?」 小五郎「……え……オホン……それはまぁ……そうだな……」ポリポリ 小五郎「確かにコナンを連れて行くと、そこで殺人事件は必ず起こ――」 小五郎「ちょっと待て。よく考えてみれば異常な程起こってる……」 コナン「……てめぇ……何が言いたい?」ガクガク 月「……お前……身体が小さくなったのは……組織のせいだろ?」 コナン「……ああ。奴らに変な薬を飲まされ、身体が縮んだ……」 月「……そうか……全てはその薬のせいだったのか……」 コナン「……どういうことだよ?」 月「……お前、もうじき黒い羽根が生えてくるだろうよ」 月「そしたら死神界に召されて、死神大王からデスノートを貰う」 月「後に顔は醜くく変わり果て、そして不老不死の身体を得る……」 670 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 05:18:05.16 ID:r6Ltmomn0 コナン「……ハハハ……何言ってんだよ……」ガクガク 月「何って……時に逆らった……神からの罰さ……」 月「その組織はな……知ってか知らずか……」 月「……死神を作り出しているんだよ……」 コナン「ちょっと待て……」 コナン「……組織の目的は、ロリを量産することのはずだ……」 月「……なるほど……じゃあ知らずに死神の薬を作ってるわけだ……」 コナン「ふざけるな。証拠がないだろ」 月「証拠? フッ。こんな状況になって、まだそんなことを言うか?」 月「灰原哀と江戸川コナンに出会った今朝から――」 月「僕の運命はメチャクチャにされたんだぞ……」 月「家族は死に、仲間は死に、僕の心は、もう廃れてしまった……」グスン コナン「……何をバカなこと……そんなことあるはず……」ガクガク 月「こんなことになるなら……最初から彼女に……」グスン 月「……出会わなければ良かった……」グスン 679 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 05:24:37.95 ID:r6Ltmomn0 ◆20時55分://帝探小学校/校庭◆ 帝探小学校という名の、組織の基地。 被験者を観察するだけにはもったいなく、 その地下には隠された秘密があった。 雪が降りしきる中、 グラウンドから突如現れる巨大装置。 ――通称“花火”。 勃起したペニスのようなそれは、 まるで願いを届けるように夜空を仰いでいた。 そして玉袋部分に白い粉を次々と注ぎ込む黒い人影。 これこそ、APTX4869(改)である。 ウォ「天候は雪と、最適ですね」 ジン「ああ。きっとうまくいく」 博士「……じゃあ行くぞ。準備はいいか?」 ジン・ウォ「「はい!」」 博士「ロリコンの願い……天まで届け!!!」 『ポチッ!』 686 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 05:29:31.12 ID:r6Ltmomn0 『ドォォォォオォォォォォォォォォオオンッッッ!!!!!』 とてつもない爆音と共に、 とてつもない量のAPTX4869(改)が放出される。 それは水に溶けない魔法の粉。 雪と区別がつかない白い粉。 呼吸で吸えてしまう軽い粉。 午後9時00分。 「我先に」キッドに犯されようと、全国から集まった女達。 薬の効果により、次々と倒れていく。 それに対し、「興奮しすぎたのか?」と思った連中は時既に遅し。 薬の効果により、次々と倒れていく。 それに対し、「我こそは」と、意気込む人種も時既に遅し。 薬の効果により、次々と倒れていく。 やがて集まった女性達および、 外出していた人間全てが倒れていった。 そこに遅れてやってくるキッドだが、 キッド「おい!! 僕の名を語って、予告状を出したのは……」 キッド「……誰……だ……!」 彼もまた、儚くも散る……。 693 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 05:33:38.07 ID:r6Ltmomn0 起き上がる人々。 その数は全体の1割程度にも満たない。 コナンや灰原のように幼児化した肉体。 そして変声期を迎える前の声で泣き叫ぶ。 それはもう、何かの誕生を告げるように……。 どうしてこうなった。 どうしてこうなった。 その声の数は、およそ5000人。 もう彼女らは人ではなく……死神の子。 今までバランスを保っていた米花町だったが、 リュークとコナン達が、出会ってしまったことが運の尽き。 死神の力は、町の整合力を遥かに凌駕し、 結果として夜神月の不幸、キッド信者の発狂を生み出した。 そして今度は、5000という圧倒的な数。 その計り知れない死神の力は、さらなる絶望の幕を上げる――。 697 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 05:39:53.50 ID:r6Ltmomn0 『ガシャ! グシャ!!』 歩美「ふふふふふ!! 死ね!! 死んじゃえ!!」 『ガシャ! グシャ!!』 光彦「勉強? いやですよ! 死んで下さい!!」 『ガシャ! グシャ!!』 元太「よくも昨日、うな重に椎茸を入れやがったな! 死ね!」 それぞれの親を殺す歩美、光彦、元太の3人。 ジン「よくも今まで扱き使ってくれたものだ」 博士「――――」ポタポタポタ ウォ「それはこっちのセリフだよ!」 『ガン!!』 ジン「ぐぁ!!」 ウォ「死んで詫びな。お二人さんよぉ……」 どんどん広がる、死神の力……。 701 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 05:46:56.77 ID:r6Ltmomn0 小五郎「オラオラオラオラ!!」 『ギシギシ』 蘭「あんあんあんあん!!」 子を犯す親。 優作・有希子「「一緒に死のう」」 仲良く心中する夫婦。 英理「あれ? 何で私、ヘルスなんてやってるの? 死の」 自殺する弁護士。 総一郎「ぷはぁっ!」 何故か生き返る親父。 総一郎「うううう!! があああああ……」 そして死ぬ親父。 カオスの輪は広がり続ける。 710 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 05:59:49.21 ID:r6Ltmomn0 そして世界は、終焉を迎える……。 720 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 06:05:18.51 ID:r6Ltmomn0 バーボン「……ついにこの世界も終わり、か……」 ???「ああ。これで最高の奉仕ができた。感謝する」 バーボン「ふっ。礼なんていらない……」 ???「いや、実際。お前が居なきゃ達成できなかった」 バーボン「オレだって、お前のノートに気づかなきゃ死んでたさ」 ???「あの捜査本部のやつか? あれは気づいたお前の方がスゲぇ」 バーボン「まぁ実際、信じるかどうかはかなり迷ったがな」 ???「ハハハ。随分、無茶なことが書いてあっただろ?」 バーボン「まぁな。でもそのノートの効力のお陰で信じられたわけだ」 ???「ふっ、それにしてもキッドを使うのは名案だったな」 バーボン「んっ? キッドを知ってたのかお前?」 ???「ああ。つい最近、教えてもらったんだ」 バーボン「そうか。まぁ結果、組織の連中を上手い事誘導できて良かった」 729 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 06:13:14.66 ID:r6Ltmomn0 ???「この姿になって、話すのは何回目だろうな」 バーボン「さぁ、結構頻繁に会ってるんじゃないか?」 バーボン「ライト君が生きてる間も会ってたし」 ???「何言ってんだ。ライトはまだ生きてるぜ?」 バーボン「はいはい。でも実際、かなり負担が掛かってたと思うぞ?」 ???「まぁ……それは否定できないな……」 ???「実際ライトも、自分が壊れていくのを悟ってたみたいだし」 バーボン「だろうな。無意識に二重人格になってんだから」 バーボン「所々記憶も飛ぶし、何せもう一つの人格は死神だ」 バーボン「死神の力に影響され、とても正気じゃいられなかったはずさ」 ???「……そうだよな……二重人格……なんだよな……」 バーボン「ん?」 ???「いや、ライトの奴、オレが死んだと思ってるんだろ?」 ???「……何だかそれが悲しくてな」 734 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 06:22:03.83 ID:r6Ltmomn0 バーボン「仕方ないだろ。『お前がLを殺す=お前が死ぬ』って思ってんだから」 ???「でもよ、あの天才ライトだぜ? 気づいてくれてもいいだろう……」 ???「Lはライトに恋をしていた。だからLがライトの寿命を縮めるわけがない」 ???「それに他の奴らは取るに足らない連中。だからオレは死なないって……」 バーボン「でも、その隙があったからライト君の中に入れたんじゃないか?」 ???「確かに……抜け殻状態になったライトに入ることは容易かったけどよ」 バーボン「終わった事にくよくよするな。これから創るんだろ?」 バーボン「新世界」 ???「ああ、そうだな……アダムとイヴ、2人で新しい世界を創るぜ」 ???「もちろんアダムはライト。イブはオレだけどな」 バーボン「ハハハ。それでいい。勝手にしてくれ」 ???「そして上手くいった暁には、2人で禁断の果実を食う!」 ???「それが今のオレと、ライトの夢……だなっ!」 738 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/02/12(日) 06:30:59.59 ID:r6Ltmomn0 バーボン「禁断の果実って……リンゴだろ……ショボいな……」 ???「おい! リンゴをバカにするなよ!」 バーボン「はいはい。じゃあまたどこかで会おうな」 (???)月「おう。ありがとな、バーボン……いや、宇木田」 (バーボン)宇木田「いいってことよ」 宇木田「このデスノートは、貰っていくぜ?」 月「構わねえ。オレにはライトのデスノートがあるから大丈夫だ」 宇木田「ふっ、礼を言う。じゃあな、リューク」 月「ああ、また会おう……新しい世界でな」 世界は滅び、地球が死神界と化した今、 ライトとリュークは、再び歩き出した。                               〜後編・完〜