キョン「…ハルヒが、ね」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 01:50:45.79 ID:ycQuo39A0 キョン「…ハルヒの奴、今日も団活を休むのか」 キョン「この頃部室に来る頻度減ったな。あいつ」 キョン「団活に関係ある仕事だから、とは言っているが…」 キョン「…気になるな」 コンコン キョン「はい、開いてるよ」 古泉「こんにちは…おや、貴方だけですか?」 キョン「長門はお隣さんのとこ。朝比奈さんはお茶葉を買いに」 古泉「…涼宮さんは?」 キョン「この前と同じ理由だ…」 古泉「…そうですか。最近、全員そろう日がめっきり減りましたね」 キョン「ああ。俺とお前だけの日もかなり増えてきたな」 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 01:55:11.32 ID:ycQuo39A0 古泉「ええ…」 キョン「……」 古泉「…」 キョン「…なんかしゃべれよ」 古泉「…今日は、何をしましょうか?」 キョン「…正直、ボードゲームをする気分ではないな」 古泉「…そうですか。…すみません」 キョン「いや…気にせんでいい」 古泉「…」 キョン「…」 古泉「…そう言えば」 キョン「ん?」 古泉「ああ、閉鎖空間の事です。最近はほとんど発生しなくなりましたよ」 キョン「最近って…いつからだ?」 古泉「貴方もお分かりのはずですよ?」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 02:04:10.48 ID:ycQuo39A0 キョン「…なんだよ、その思わせぶりな言い方」 古泉「んっふっふ。もうあれから1ヶ月近く経ちましたね」 キョン「ああ。そう言えば、そうだったな。もうあいつと付き合い始めてそんなになるのか」 古泉「そう言えばって…随分他人事ですね?」 キョン「…付き合ってから、あいつと放課後に顔合わせるが回数減ったんだ。実際本当に恋人同士なのか怪しくなってくるってもんだ」 古泉「ですが…彼女が活動を休みにした時や、不思議探索以外の休日の時間はいつも合っているのでしょう?」 キョン「まあな。それを含めると、一緒にいる時間自体は増えてんのかな?」 古泉「なら、それは十分仲が進展したとするに足るのでは?」 キョン「…なんだかなあ」 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 02:09:41.78 ID:ycQuo39A0 古泉「…これは、機関の能力者達の意見…というよりは感覚なのですが…」 キョン「何だ?言ってみろ」 古泉「どうも、涼宮さんの能力が減退していっているみたいなんですよ」 キョン「何言ってんだ?この間は、逆に強力になっているかも知れないと言っていただろう」 古泉「いや、あの『驚愕』な事件がある前から、機関の者たちは涼宮さんの能力は減退している。と考えていたのですよ」 キョン「それは、前も聞いたような気がするが?」 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 02:21:12.63 ID:ycQuo39A0 古泉「ええ。あの事件があったために、我々はその認識を改めざるを得なくなりました」 キョン「ますます意味わからん。だったら、今もハルヒの能力は日々進化しているのだろう?」 古泉「……我々が何故涼宮さんの能力が減退していたと、あの事件までは結論付けていたかをご存知ですか?」 キョン「…まさか『分かってしまうから仕方がない』とか言い出すんじゃないだろうな?」 古泉「ご名答です」 キョン「やれやれ…世界を守る機関がそんな曖昧な判定方法でハルヒの能力の増減を測っていいのかよ」 古泉「もともと、この能力、どのように使うか、どんな使命があるのかということも、そのようにして理解したものですからね」 キョン「まあ…言われてみればそうだな。…それで?その素晴らしい感覚を持った能力者全員が能力の減退を感じてたっていうのか?」 古泉「まあ、大体は的を得てますね。正確には、彼女の精神が以前よりもぶれにくくなった…といった方が良いのでしょうか」 キョン「ほう?」 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 02:33:15.39 ID:ycQuo39A0 古泉「以前よりも、高校入学以前からは考えられないほどに、閉鎖空間の発生は稀になってしまいました」 古泉「世界の安定を願う機関一同にとっては好ましい話ですが…」 古泉「それに、去年の映画撮影の時のような改変も全くと言っていいほどないでしょう?」 キョン「まあな」 古泉「それまでの機関では、彼女の能力が発現しなくなる、または発言しにくくなること即ち能力の減退…と捉えていましたから…」 キョン「あの事件までは能力が減退していた…と考えていたってのか」 古泉「ええ。ですが…あの事件で詳らかになった彼女の能力の適応範囲の拡張。佐々木氏の閉鎖空間に割り込める力…」 古泉「このことを以て、機関は涼宮さんの力は、減退ではなく、むしろ増進している。と考えるようになりました」 古泉「発現回数が減ったのは…おそらく、彼女自身が力をコントロールできるようになったからだと」 キョン「コントロールって…無意識で?」 古泉「ええ。無意識で。彼女の深層意識に更なる理性が加わったと考えてもらえば結構です」 19 名前:眠いから矛盾点いっぱいあるかも名[] 投稿日:2012/01/25(水) 02:44:17.14 ID:ycQuo39A0 キョン「ほう…で?そう考えたお前らがなんで今になって考えをもとに戻したんだよ?」 古泉「実は、ですね…貴方が涼宮さんに告白し、それを涼宮さんが受け入れてからというもの…能力者たちにある異変が起こりました」 キョン「異変?」 古泉「ええ。…超能力の減退。並びに消失、ですよ」 キョン「なんだと?!じゃ、じゃあお前はもう…」 古泉「いえ、僕自身の能力は未だに健在です。ですが…他の仲間が、1か月前から能力の不調を訴えていまして…そしてつい先日…」 キョン「能力が消失したと?」 古泉「…いくら力をコントロールしていて、それを発現させていないからと言って、僕たちの能力までもが制限されることはないはずです」 古泉「僕たち能力者は、彼女の理性のようなものですから…力をコントロールできているなら、むしろ強くなってもいいはずなのに…」 キョン「世界を崩壊させる訳にはいかないっていう理性か…」 古泉「ええ。このまま減退が続けば、僕たちの卒業を待たずして、彼女の力は消失するでしょう」 キョン「…ところで?どうしてこんな話題を引っ張り出したんだ?」 古泉「此方から提供できる話題がそれくらいしかなかった…では納得してくれませんよね…」 キョン「当たり前だ」 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 02:56:52.31 ID:ycQuo39A0 古泉「貴方が言っていた、涼宮さんが団活に顔を出しにくくなった理由。まさにそれがこの話題に関係してくる…と思ってまして」 キョン「…何の関係性もなさそうだが?」 古泉「…涼宮さんがより現実を見るようになったと考えられませんか?」 キョン「あいつが?」 古泉「そう。…SOS団ができた当初は、それこそ彼女は自分のしたいことは何としても実行しようとしていました。」 古泉「そして、日常を嫌い、常に非日常を…不思議を追い求めていた」 古泉「時には周りの事を考えず、やりすぎてしまうことさえもありましたね」 キョン「それが、SOS団の仲間と触れ合ううちになくなっていったと?」 古泉「人と触れ合うことの楽しさや、協調性というものを学んでいったのでしょうね。」 古泉「彼女にとってはかなりの成長と言っても過言ではありません…大人になったといえるでしょう」 キョン「…ハルヒが、ね 古泉「そして…その成長も、最終段階へと突入した」 キョン「最終段階?」 古泉「ええ」 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 03:09:17.46 ID:ycQuo39A0 キョン「なんだよ、その最終段階って?」 古泉「ある考え方を身につけること…でしょう」 キョン「もったいぶるなよ、古泉」 古泉「んっふ。貴方なら、考えれば分かりそうなものですが…」 キョン「生憎俺はそこまで頭が切れる方ではない。こんな少ないヒントじゃあてられるわけないだろう」 古泉「それです」 キョン「は?俺、今なんか言ったか?」 古泉「貴方のその考え方、ですよ。有り体に言えば『諦観』、『諦め』という概念ですね」 キョン「…それじゃあ何か?ハルヒが『不思議を諦められるようになること』が、成長の最終段階だって言いたいのか?」 古泉「仰る通りです。そう考えるのならば、彼女が団活に顔を出しにくくなったのも頷けるでしょう?」 キョン「…確かに最近は不思議探索が終わった後も『不思議見つけた?』って言わなくなったような気がするな」 古泉「ええ、しかも、その不思議探索自体、回数が減っている」 キョン「…団活に来なくなったのも、設立理由から考えればあてはまるな」 古泉「『宇宙人や未来人や超能力者達と遊ぶこと』ですからね」 キョン「…だんだん現実味を帯びてきやがった……」 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 03:16:42.52 ID:ycQuo39A0 キョン「じゃあ、あいつが諦めることを覚えたときには…」 古泉「…全員の能力が消失するでしょうね。涼宮さんの能力も含めて」 キョン「……お前らは、どうなるんだ?」 古泉「諦めることを覚えた彼女なら、我々が説明をすれば…」 キョン「会えなくても仕方がないって諦めて…朝比奈さんは未来に、長門は思念体に帰るってことか…」 古泉「僕はここに残りますよ。能力が消失したからと言って、去らねばならないわけではありませんから」 キョン「……」 古泉「……」 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 03:24:40.39 ID:ycQuo39A0 古泉「よ…余計に雰囲気が悪くなってしまいましたね、すみません」 キョン「お、おう……」 古泉「…」 キョン「…古泉」 古泉「…はい?」 キョン「やっぱり、ボードゲームをしよう」 キョン「お前がここに残るって言っても、時間が無限にあるわけじゃないからな」 古泉「ええ、そうですね。今を楽しみましょうか…」 コンコン 古泉「はい。開いていますよ」 ガチャ みくる「すみませーん。遅くなりました」 長門「…普段よりもプログラム構築に30分多くかかってしまった…うかつ」 古泉「おやおや…一気ににぎやかになってきましたね」 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 03:34:00.69 ID:ycQuo39A0 キョン「一人足りないが…まあ、賑やかな方が俺たちに合ってるだろ?」 古泉「ふふっ。それもそうですね…」 みくる「あれ?涼宮さんは…」 キョン「ああ…あいつは今日も外出ですよ。団活は通常どうりに、と」 みくる「………そう、ですか」 古泉「おや?どうかされたのですか?」 みくる「え?…ああ、何でもありません!!今、お茶入れますね!」 長門「お茶請けを希望する」 みくる「ありますよ〜お茶葉を買った時に、お店によって買ってきたんです!はい!」 古泉「おお、羊羹ですか」 長門「感謝する」 みくる「ふふ…やっぱり、お茶にはこれですよね!」 キョン「俺にとっては朝比奈さんのお茶を飲めるだけで幸せですが…ね」 みくる「またまた〜。そんなこと言ってると、涼宮さんに怒られちゃいますよ?」 キョン「ははは。あいつがいない時くらいいいでしょう?」 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 03:42:30.16 ID:ycQuo39A0 翌日・早朝 キョン(ふう…今は…よし、時間通りだ) キョン「おはよう」 キョン母「あら、お早う。ここの所、ずっと早いわね」 キョン「ああ…毎朝迎えに来るように約束させられたからな」 キョン母「ふふふっ…それ、ハルヒちゃんの事でしょ?」 キョン「…知ってたのか」 キョン母「そりゃあ…あれだけしょっちゅうハルヒちゃんの話してれば誰だってそう思うわよ…ね、付き合ってるんでしょ?」 キョン「なんでそこまで話さなくちゃいけないんだよ」 キョン母「まあ、聞かなくても分かるけどね。ほら、朝食できてるから食べちゃいなさい」 キョン「頂きます」 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 03:45:52.73 ID:ycQuo39A0 キョン母「こんど、家に招待しなさいな」 キョン「ああ、気が向いたらな」 キョン母「…そんなにツンケンしてると愛想着かされちゃうわよ」 キョン「母さんだけだから大丈夫だよ…さて、と。行ってきます」 キョン母「ふふ・・・行ってらっしゃい」 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 03:53:11.52 ID:ycQuo39A0 キョン「お、いたいた」 キキィ キョン「よう、お早う。ハルヒ」 ハルヒ「おはよ。キョン。寒かったわ」ギュー キョン「…ははは、この甘えんぼさんめ」ナデナデ ハルヒ「んふふー…さ、行きましょ!!」 キョン「おう。ほら、後ろに乗れよ」 ハルヒ「とうっ!」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 キコキコキコ キコキコキコ キョン「…なあ、ハルヒ?」 ハルヒ「ん?」 キョン「昨日さ、どこに行ってたんだ?」 ハルヒ「ふへ?なんでそんなこと聞くの?」 キョン「そりゃあ…な?このところ、放課後お前が部室に顔出さなくなってるからな」 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2012/01/25(水) 04:02:36.12 ID:ycQuo39A0 ハルヒ「なになに?心配してくれてるの?」ギュー キョン「当たり前だろう。これでもお前の彼氏だぞ」 ハルヒ「えへへ。嬉しいっ。…確かにここ最近は部活いけてないけど、あんたが心配するようなことはなーんにもないわ!!」 キョン「そうか?…それなら、いいんだが…教えてくれないのか?」 ハルヒ「恋人同士って言っても、お互い何かしらの秘密はあるものよ」 ハルヒ「それとも何?あんたって、あたしの時間を全部占有するほど独占欲強かったっけ?」 キョン「いや、そうじゃないんだ。純粋に心配なだけだったんだ…無理だけはするなよ?ハルヒ」 ハルヒ「分かってるわ。ありがと。キョン!そういう優しいとこ、だーい好き♪」ムギュウ 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/01/25(水) 04:05:04.51 ID:ycQuo39A0 流石にもう…限界だ おやすみ