佐々木「キョン、中日対ヤクルトのCS第二戦が始まるよ」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 17:59:31.90 ID:63g8RbvB0 「あら、佐々木さん……だっけ? 久しぶりね」 「あ、涼宮さん。こんなところで会うなんて、ホントに久しぶりですね」 「あなたもキョンに呼ばれて来たの?」 「ううん、私からキョンに野球観戦したいってお願いしただけだから――あまりキョンのことを怒らないであげて下さい」  ここは俺の家のリビングである。  そして、リビングで妹と遊んでいた佐々木と、今日の撮影を終えて我が家にやってきたSOS団が鉢合わせした、という場面だ。  このやり取りを両親に見られなくて本当に良かったと心から思う。撮影中に商店街の福引で当てた温泉旅行招待券をプレゼントしたのだが、よもやこんなところで役にとはな。  人生塞翁が馬とはこのことを指すのだろうか――少し意味が違うかも知れんが。 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 18:00:25.12 ID:63g8RbvB0  今日は文化の日で休みだった。  映画のスケジュールに追われていた身には天の恵みとも思える休日を、超監督の命令に従って映画撮影に費やし、俺はそれで今日の活動が全て終わったつもりでいたのだが、ハルヒから思わぬ発言が飛び出たのだ。 『昨日のCSって、おもしろかったわよね。だから、今日の試合もみんなで見ましょう!』  という鶴の一声によって、冒頭のような場面が展開されたという次第である。  リビングに座る佐々木の姿を見て、ハルヒが暴れ出すかと思いもしたのだが、それは杞憂に終わったようだ。  こうして佐々木とも仲良く談笑しているのだからな。ハルヒも大人になったってことか。 「キョン、これってどういうことなのかしら? あたしが納得できるように、きちんと答えてね」  穏やかな笑みを、なぜか瞬間接着剤によって無理矢理貼り付けたようなハルヒが、俺だけに聞こえるようなトーンで質問を浴びせかけてきやがった。  なぜだろうか――口調こそ穏やかではあるが、語勢に込められた迫力に気圧された俺は、ただただ言葉に詰まるばかりであった……。 5 名前: ◆nC3Zr8GApc [] 投稿日:2011/11/03(木) 18:01:12.94 ID:63g8RbvB0 ※このスッドレは『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズに登場したキャラクターが、担当チームを応援するスレです。 ※原作『涼宮ハルヒの驚愕』までのネタバレがあるかもしれません。アニメだけしか観ていない方はご注意下さい。 ※話の流れは実際の試合展開に順じます。  → 地上波「CBC」、BS「NHK-BS1」、CS「スカチャン0」で視聴できます 【主な登場人物】  ・古泉一樹:中日ドラゴンズファン  ・長門有希:東京ヤクルトスワローズファン  ・キョン:読売ジャイアンツファン  ・佐々木さん:北海道日本ハムファイターズファン  ・涼宮ハルヒ:阪神タイガースファン  ・朝比奈みくる:広島東洋カープファン ※福岡ソフトバンクホークス対埼玉西武ライオンズの試合は、以下の放送局にて視聴できます。  地上波「TNC(19:00より)」「TOKYO-MX」、BS「NHK-BS1」、CS「JSPORTS3」 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 18:06:27.98 ID:63g8RbvB0 一回表 竜0−0燕 チェンジ P:チェン 山田 遊ゴ 上田 左飛 宮本 遊ゴ 「ヤクルトは、ずいぶん先発メンバーが変わっちまったな」 「先頭打者の山田哲人は、今年から加入したドラフト一位のルーキー。レギュラーシーズンでの出場経験もないため、小川淳司は思い切った先発起用を行った」  高卒ルーキーでプロ初先発が、クライマックスシリーズとはな……。  ヤクルトもずいぶんと思い切ったことをするな。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 18:11:59.82 ID:63g8RbvB0 一回裏 竜0−0燕 チェンジ P:石川 荒木 中飛 井端 捕邪飛 森野 右飛 「しかも先発は館山じゃなくて石川なのか」 「館山昌平は、ファーストステージ第三戦で登板の準備を行っていた。右肘の怪我もあるため先発を先延ばしにしたと考えられる」  なるほど。しかし、勝ち頭の館山を温存とは、少しばかり慎重になってるとも思えちまうぞ。 「石川雅規は中日ドラゴンズとの相性が良い。防御率、勝率ともに館山昌平よりも優れた成績を修めている」  相性を考えての起用ってわけか。好調の森野も抑えたくらいだし、いい勝負になりそうだな。 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 18:19:25.80 ID:63g8RbvB0 二回表 竜0−0燕 チェンジ P:チェン 青木 遊直(荒木好捕!) バレンティン 中飛 ホワイトセル 二ゴ 「畠山は先発落ちかよ」 「畠山和洋は昨日の試合において安打こそ放っていたが、本来のスイングができていなかったと判断されたと推測される」  ヤクルトもここに来てオーダー変更とは、本当に追い詰められてるんだろうな。 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 18:27:58.63 ID:63g8RbvB0 二回裏 竜0−0燕 チェンジ P:石川 ブランコ 二直 谷繁 左飛 和田 二ゴ  昨日は全打席で出塁していた和田も、石川の前に凡退してしまったようだ。 「和田か。今年は調子悪そうだったな」 「ええ、そうですね。西武から移籍されてからというもの、中日打線の屋台骨を支えていましたから、今年の成績は彼にとっても不本意だったと思います」  好投手同士の投げ合いだけに、どちらの打線が先に奮起するかが、勝負の分れ目になりそうだ。 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 18:32:48.84 ID:63g8RbvB0 三回表 竜0−0燕 チェンジ P:チェン 相川 右安 浩康 遊併殺 石川 投ゴ 「ゲッツーかよ。送りバントでも良かったんじゃないか?」 「田中浩康の次の打者が石川雅規だったために、強攻策に出たと考えられる」  まあ、石川の次はルーキーの山田だし、簡単に送るって選択はできなかったってことか。  しかし、ヤクルトはオーダー変更があまりうまくいってないようだな。 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 18:40:09.62 ID:63g8RbvB0 三回裏 竜0−0燕 チェンジ P:石川 平田 遊ゴ 大島 三ゴ チェン からさん 「しかし、あっさり試合が進むな」 「両投手が好投していますからね。順当な展開とも言えるかもしれません」  今日も一点が重い展開になるってことか。さて、どっちが先制するか見ものだな。 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 18:51:13.16 ID:63g8RbvB0 四回表 竜0−0燕 チェンジ P:チェン 山田 中飛 上田 右安 宮本 遊飛 青木 中飛  上田にヒットが出たものの、ランナーも進められずに凡退か。ヤクルトもヒットは出てるんだが、得点圏に進められてないな。 「みんなおまたせー! SOS団特性鍋よ!」  ハルヒのやつが満面の笑みで、土鍋を持ってきやがった。  台所で何かしていると思っていたが、晩飯を作ってくれてたのか。両親が旅行中なだけに助かるぞ。  まあ、二日連続で鍋っていうのはどうかと思うが、美味いんだから文句は言えねえか。 「あれ? 佐々木はどうしたんだ?」 「佐々木さん? 一緒に手伝ってくれてたけど、まだキッチンに残ってるわよ。もうすぐ来るって」  なるほど、すぐに来るって言うなら迎えに行くこともないか。 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 18:58:32.16 ID:63g8RbvB0 四回裏 竜0−0燕 二死二塁 P:石川 荒木 右飛 井端 左安 森野 一ゴ(進塁打、ホワイトセル好捕!) 「おお、あの打球を止めたのか」  一塁手の横を痛烈に抜けていこうとした打球を、ホワイトセルが飛びついたのだ。 「惜しいですね。抜けていればワンナウト一三塁という場面だったのですが」  しかし、これで得点圏にランナーが進んだのだ。両チーム通じて、初の得点機が訪れたってわけか。 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 19:04:27.58 ID:63g8RbvB0 四回裏 竜0−0燕 チェンジ P:石川 ブランコ からさん  二塁にランナーを背負う場面だったが、相川の慎重なリードもあり、石川がブランコを三振に切って取った。 「大きく外すなど、ブランコ選手の打ち気を惑わせるようなリードでしたね。勝負か敬遠か、彼も戸惑ったのではないでしょうか」  古泉の解説を聞き流しつつ、鍋に舌鼓を打っていると、よやく佐々木が戻ってきたようだ。 「佐々木、何してたんだ?」 「デザートの用意をしていてね。ハロウィンのときにケーキを焼いたのだが、思いのほか家族に好評でね。せっかくなので今日も焼いてきたのだよ」  手には切り分けられたシフォンケーキがあった。かぼちゃの香りがするところをみると、けっこう手の込んだものであるようにも思われる。 「ちょっ! なにそれずるい!」  ハルヒが何に驚いているのかはわからんが。 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 19:13:07.78 ID:63g8RbvB0 五回表 竜0−0燕 チェンジ P:チェン バレンティン からさん ホワイトセル 捕ゴ 相川 左二 浩康 敬遠 石川 遊ゴ 「相川はすげえな」  ファーストステージから打ってると思っていたが、ナゴヤドームに来ても好調を維持しているらしい。  しかし、続く田中は敬遠、ピッチャーの石川で勝負をした中日バッテリーに軍配が上がったようだ。 「…………」  しかし、ケーキにパクついている俺様子を、佐々木がしきりに伺っている気がするのだが、俺の考えすぎだろうか……。 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 19:29:03.58 ID:63g8RbvB0 五回裏 竜0−0燕 チェンジ P:石川 谷繁 右飛 和田 よんたま 平田 遊ゴ(エンドラン・進塁打) 大島 敬遠 チェン 投ゴ 「また和田を走らせたのか」 「ええ、昨日と同じような場面だったのですが、今回は成功したようですね。三度目の正直――というのは大袈裟でしょうか」  まあ、昨日は和田と平田で二回も三振ゲッツーしていたからな。  最低限、ランナーを進められたというだけでも中日にとっても悪いイメージを振り払えたのかもしれん。  ……しかし、堅実な野球が続くな。見てるだけで疲れてきそうだぞ。 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 19:33:37.37 ID:63g8RbvB0 六回表 竜0−0燕 一死 P:チェン 山田 三ゴ 「今、アナウンサーが『ダメか……』って言ってたな」 「ルーキーを応援したいという気持ちの表れなのだろうけれど、実に正直な感想だったね……」 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 19:41:17.52 ID:63g8RbvB0 六回表 竜0−0燕 チェンジ P:チェン 上田 からさん 宮本 左飛 「宮本さん調子悪そうですね。カープとの試合ではかなり打ってた印象があるんですけど……」  宮本の度重なる凡退に、朝比奈さんから意外そうな声があがった。  確かにリーグを代表するようなバッターだが、そんなに広島で打ってたのだろうか。 「ええ……。宮本さんは、広島戦で四割五分を超える打率だったので……、すごく意外ですね」  昨日もこんな話をした気がするのですが、朝比奈さんの応援する広島はずいぶんとヤクルトに打たれていたのですね……。 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 19:50:38.42 ID:63g8RbvB0 六回裏 竜0−0燕 チェンジ P:石川 荒木 右飛 井端 遊ゴ 森野 二ゴ 「森野も今日は音無しか」 「それだけ石川雅規の投球が優れているという証左。六回まで被安打1という成績は賞賛に値する」  フォアこそ出しているが、ここまで一安打ピッチングなんだよな。  ただ完投を考えた場合、チェンよりも球数が多いだけに、石川の方が少しばかり不利ってことになるかもしれないか。 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 19:57:12.84 ID:63g8RbvB0 七回表 竜0−0燕 チェンジ P:チェン 青木 からさん バレンティン 遊ゴ ホワイトセル → 畠山 投ゴ 「畠山が出てきたが、うーん、あんまり調子良くなさそうだな」 「凡退の内容が悪い。狙い球の選択も、ストライクゾーンの判断も甘い。だから中日ドラゴンズに抑えられる。先発落ちを許す」  長門のフラストレーションも溜まる一方だろうな。  出会った頃みたいな話し方になってるぞ。 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 20:05:05.78 ID:63g8RbvB0 七回裏 竜0−0燕 チェンジ P:石川 ブランコ 右飛 谷繁 三ゴ 和田 遊ゴ 「しかし、中日打線も石川に抑えられちまってるな」 「誰しも調子を落とすときはあります。大切なのは、如何に不調から抜け出すかということに尽きるかもしれません――そう、ドアラくんのようにね」  ああ、そういやドアラのやつもバク宙の失敗で二軍落ちを経験してたんだったか。  二軍で何を学んだのかはわからんが、スランプは脱出してるようだな。 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 20:12:51.76 ID:63g8RbvB0 八回表 竜0−1燕 チェンジ P:チェン 相川 遊ゴ 浩康 からさん 石川 → 飯原 右ホームラン! 山田 右飛 「石川を代えちまうのか」 「石川雅規はここまで好投を続けているが、中三日での登板であるため、これ以上の続投は難しいと考えられる」  なるほど、日曜の試合から時間も経ってないからな、仕方ないのか。  しかし、ここで三者凡退するようなことにでもなれば、ヤクルトも――おい! マジでか! 「飯原誉士が値千金のホームラン。わたしは信じていた」  長門が何かしてたんじゃないかと思えるほど、劇的なホームランだったな……。 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 20:16:58.82 ID:63g8RbvB0 八回裏 竜0−1燕 一死 P:館山 平田 → 藤井 右飛 ※山田 → 館山(投)   飯原 → 森岡(遊) 「おいおい、ここで館山が出てくるのかよ……」 「東京ヤクルトスワローズにとっては絶対に落とせない試合。小川淳司の執念が感じられる」  確かに執念は感じられるが、ここで館山を使っていいのか?  明日以降の先発がいなくなるんじゃないかと心配になるぞ。 160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 20:24:26.72 ID:63g8RbvB0 八回裏 竜0−1燕 二死二塁 P:館山 大島 よんたま チェン → 小池 投犠打 「チェンも降板か」 「いいピッチングを続けていたのですが、先制を許してしまいましたからね。代打も仕方ない場面ですよ」  しかし、館山もあまり調子は良くないようだ。  大島にフォアボールを与え、代打の小池にバントを決められてしまった。 「一点ビハインドの場面ですが、ここで同点に追いつけば必ずやドラゴンズに流れが向くでしょう。この試合を占う意味でも、最も重要な場面かもしれません」  ヤクルトには引き分けも許されない試合だからな。  荒木がタイムリーでも打てば、ファイナルシーズンの大勢が決まりかねないか。 170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 20:32:23.88 ID:63g8RbvB0 八回裏 竜0−1燕 チェンジ P:館山 荒木 中飛 「ふむ、荒木選手も粘ったのですが……、ここは館山投手の執念が勝ったようですね」  荒木の打球はセンターへの平凡なフライに終わってしまった。  ヤクルトの気合が勝ったような勝負だったな。 「東京ヤクルトスワローズは、絶対に落とせない試合。館山昌平はよく抑えた」  残りの試合を考えない継投が実ったのか。  見ごたえはあったが、ファーストシーズンを思い出すような場面だったぞ。やれやれ。 181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 20:37:15.52 ID:63g8RbvB0 九回表 竜0−1燕 一死一三塁 P:高橋聡文 上田 中安 宮本 投犠打 青木 二内安 「ここで高橋が出てくるのか」 「高橋聡文投手はシーズン終盤でようやくチームに合流できたのですが、やはり中継の中核を担う選手ですからね。なんとしても抑えていただきたいものですよ」  しかし、得点圏に進められて、青木は内野安打か。  去年は大車輪の活躍をしていた高橋だったが、さすがに長期間のブランクが影響しちまったようだな。 203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 20:46:26.77 ID:63g8RbvB0 九回表 竜0−3燕 チェンジ P:高橋聡文 → 河原 バレンティン → 藤本 二ゴ(本塁憤死、代走福地) 畠山 中タイムリー! 相川 左飛  これまで重要な場面で、殊勲打を放っていた藤本だったが、今日ばかりはさすがに凡退してしまったようだ 「藤本敦士は凡退してしまったが、次の打者は畠山和洋。彼の奮起に期待――」 「おおー、あの畠山がタイムリーかよ」 「畠山和洋は重圧のかかる場面において、しっかりと懐に呼び込み鋭い打球を放った。この追加点は非常に大きい。チームにとっても、畠山和洋自身にとっても」  中軸の不振が続いているヤクルトにとっては、本当に大きな得点になっただろうな。  長門の顔も、心なしかほころんでいるようにも見えるぞ。 225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 20:54:35.66 ID:63g8RbvB0 九回裏 竜1−3燕 二死 P:館山 井端 一邪飛 森野 右ホームラン! ブランコ 遊ゴ 「館山が続投するのか」 「そのようです。我々としては、このまま完封されることだけは――おおっ! さすが森野選手です!」 「ホームランかよ。森野は大当たりだな」 「昨日の試合でも、森野選手が全打点を挙げていましたからね。彼がいなかったらと思うと、少しばかり背筋が寒くなりますよ」  レギュラーシーズンじゃ不振続きだったようだが、ポストシーズンでここまで働いてくれれば文句も言えねえよな。 246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 21:00:05.98 ID:63g8RbvB0 九回裏 竜1−3燕 試合終了 P:館山 谷繁 右飛 「ふむ、谷繁選手は凡退してしまいましたか……」  しかし、中日の投手陣も見事だったな。  飯原のホームランがなければ、どちらが勝っていたか本当にわからなかったぞ。 「飯原誉士のホームランは偶発的なものだったかもしれない。しかし、短期決戦において最重要視されるのは結果。今日の勝利は、何よりも東京ヤクルトスワローズを勇気付ける」  巨人を応援している身とすれば、こんなことを言うのも悔しくもあるんだが、緊張感のあるいい試合だった。  これで中日の二勝、ヤクルトの一勝か。ヤクルトにとっては厳しい状況が続くが、この一勝はファイナルシーズン突破への光明となるかもしれないな。 253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/11/03(木) 21:08:44.10 ID:63g8RbvB0 お疲れ様でした! 試合終盤まで両先発の緊迫した投手戦が繰り広げられておりましたが、 代打飯原の値千金となるホームランで流れを掴んだヤクルトが勝利を収めました。 これで通産成績は中日の二勝一敗となりました。 満身創痍のヤクルトが必死に食い下がっているという印象を受けてしまいます。 リーグ覇者の中日が王手をかけるのか、ヤクルトが通算成績を五分に戻すのか、 明日の試合も楽しみになってしまいます。 本日はお付き合いいただきましてありがとうございました。 また明日も18時頃にスレ立てしようと思っております。 よろしければ、次の試合もお付き合い下さいますようお願い致します。 265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/11/03(木) 21:18:27.55 ID:63g8RbvB0  今日の試合は、飯原の劇的な代打ホームランでヤクルトが勝利を収めた。  ハルヒたちはというと古泉の呼び寄せたタクシーに乗り、帰宅の途についたようだ。  俺はと言えば、すっかり夜の深けてしまった住宅街を親友と二人で歩いている。  妙な下心でもあるんじゃないかと勘ぐられかねない行動だが、暗い夜道を見目麗しい少女一人で歩かせるわけにもいかないだろ。まあこれくらいはさせてくれ。  それに佐々木には言っておきたいこともあったからな。 「佐々木、今日はすまなかったな。本当ならあいつらが来る予定もなかったんだが」  佐々木から観戦しようという先約があったにもかかわらず、今日はSOS団+1という形になってしまった。  何の断りもなく、大勢での観戦となってしまったのだ。侘びの一つも入れたくなるぞ。 「いいのだよ、キョン。確かに涼宮さん達が来たことは意外だったけれど、実に楽しかった。これはお世辞でなく本心からの言葉だ」 「そうか、そりゃ良かった」 「ふふ、キミはいつもあのような時間を過ごしているのだね。少しばかり羨ましくなってしまったよ」 「それならまた一緒に野球でも見ればいいじゃないか。もちろん、お前の都合が合えば、だが」  気がついたときには、既にそんな言葉を投げかけていた。 267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/11/03(木) 21:21:15.83 ID:63g8RbvB0  こいつの話を聞く限りでは、学校生活を楽しんでいる様子もない。それに春先の騒動では、佐々木の家庭環境についても仄聞してしまった。  そんな佐々木に少しでも楽しい時間を過ごしてもらいたいと思うのは、俺の思い上がりだろうか。親友としての枠から逸脱した行為なのだろうか。 「ねえ、キョン」 「何だ?」 「今日、僕が焼いてきたケーキなのだけれど、どうだったかな? キミの口に合っただろうか」  野球観戦に誘ったつもりだったのだが、どうしてここでケーキの感想など訊くのだろう。佐々木の意図もわからないまま、俺は率直な感想を述べた。 「うまかったぞ。うん、本当にうまかった」  手作りケーキなんぞ、めったに食べることもないからな。余計に美味く感じたのかもしれん。 「そうか、それは良かった」  そう言って、佐々木は満面の笑みを浮かべる。 「ならば、またキョンに作ってあげなくてはね。ふふ、楽しみにしていたまえ――出来は保証しないけれどね」 「ああ、今から楽しみだ」 268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/11/03(木) 21:22:26.10 ID:63g8RbvB0  何ともまわりくどいやり取りだったが、今後も佐々木は一緒に観戦してくれるようだ。  親友とはいえ、大きなお世話だったかもしれない。だが、こいつの笑顔を前にしては、そんな考えも吹き飛んでしまった。 「佐々木、また明日な」 「うん、また明日」  門扉の前で手を振り合う。なぜか火照ってしまった頬に、晩秋の夜風が心地よかった。                                      <セリーグCSファイナルステージ第三戦につづく>