QB「僕と契約して(ry」 キョン「・・・魔法少女?」 1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/03/12(土) 11:24:55.60 ID:MnFI2fzS0 そこに、希望はなかった。 見慣れた町並みは廃墟へと姿を変え、虚空には禍々しい光を放った要塞が浮かぶ。 それを指し、魔法少女は『ワルプルギスの夜』と呼ぶ。 ――ワルプルギスの夜 魔女と死者の祭り。 絶望と嘆きと、悲しみが支配するこの世界で、果たして救いなどあるのだろうか。 しかし絶望に立ち向かう光が一つ。 始まりの色。原色。どんな色にでもなれる、純白。この世界に残された最後の希望。 白く眩い輝きを放つ光が『ワルプルギスの夜』に立ち向かう。 其れは、全てを無に帰すもの。 其れは、全てに奇跡をもたらすもの。 絶望と、希望が、衝突した。 2 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/03/12(土) 11:25:42.56 ID:MnFI2fzS0 ††† 「こんなのってありかよ」 なんでこんなことになっちまったんだろうな。 なんで、俺には何も出来ないんだろうな。 「・・・泣くな、バカキョン」 泣いてなんかいないさ。 俺が泣いているように見えるってんならハルヒ。 それはきっと目から汗が流れてるんだろうよ。 「・・・あんたってホントばかねぇ。こんな時にだってそういう事言うんだから」 そうだな。俺は本当にバカだと思うよ。 目の前でお前が傷つけられているのにそれを黙って見ている事しか出来ないんだからな。 「・・・バーカ。あんたを守るのが私の役目なんだから!魔法少女でもないんだからそんなこと気にしないの」 3 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/03/12(土) 11:26:14.68 ID:MnFI2fzS0 俺の目の前で、地面に横たわっているハルヒは、日曜の朝頃に放送している魔法少女のアニメの様なヒラヒラしたフリルがついたドレスを着ている。 年齢的に大丈夫かと一度突っ込んだが学生のうちはセーフなんだとさ。 ・・・しかしそんなハルヒは体中の至るところに怪我を負っていた。 思わず目を逸らしたくなるぐらい酷い傷だ。急いで病院へ連れていき手当てをしないと、死が訪れてしまいそうな、そんな。 ――だからなんだろうか。さっきから目から出る汗が止まらないのは。 「キョン・・・。いいえ、ジョン・スミス。あなたと出会えたから私はここまで来ることができた」 「おいおい、ハルヒ。らしくないじゃないか、そんなしおらくなりやがって」 本当に、らしくない。 だからそんな。そんな切ない顔をするのはやめてくれ。 俺はいつだってお前の笑顔が見ていたいんだよ。 太陽みたいな、見てるこっちまで笑顔になっちまうようなとびっきりの、とびっきりの笑顔をよ。 「いいから。いいから、今から私が言う事、よく、聞いて欲しいの」 4 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/03/12(土) 11:26:42.26 ID:MnFI2fzS0 ††† つまらない世界。 そう感じるようになったきっかけは些細なことだったけど、私にとっては十分すぎる出来事だった。 それ以後、ワクワクするような不思議を、非日常を探していたけど、そんなモノには出会えなかった。 あの時、三年前の七夕の日。東中に忍び込んだ時だって。 私はどうせなにも起こらないだろうって、無意識のうちに諦めてた。 ・・・そんな時にキョン。ジョン・スミスが私の前に現れたの。 その時、私は思ったわ。 「わたしはここにいる」 確かにこのメッセージは、異世界にいるあなたに届いたんだって。 大げさかもしれないけどね、今まで生きてきた中で一番嬉しかった。 キョン。あなたは分からないでしょうけどね、北高であなたと再会した時、私泣いちゃったんだからっ。 だって確信が持てたもの。絶対これからの高校生活三年間、世界で一番楽しくなるって。 ・・・だからもう少し。もう少しだけでも、キョンと一緒にはしゃいでいたかったなぁ。 だから。いいわね、バカキョン! あんたはこれから生きて、生きて、最後まで生き抜いて! 幸せになって、なんの未練もなくなって、たくさんの孫達に見送られながら私のところに来ること! 以上! SOS団団長涼宮ハルヒの、団員その1のあんたへ向けて送る、最後の命令よ。 今までありがとう、キョン。 ††† 5 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/03/12(土) 11:27:04.49 ID:MnFI2fzS0 ―――そしてハルヒは死んだ。 最後まで俺への感謝の気持ちを述べて。 やり残した事だってあっただろうに。 こんな理不尽な運命への怒りだってあっただろうに。 泣き言も。文句も言わずに自分の正義を最後まで貫いて。 我等がSOS団の団長は、この世から去っていった。 「どうしてだよ・・・。死ぬって分かってたくせに。  俺なんかを助けてお前が死ぬよりも、俺はお前に生きていて欲しかったのに!!」 6 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/03/12(土) 11:27:30.20 ID:MnFI2fzS0 ――その言葉は本当かい? 頭の中から声が聞こえる。 その声はどこか、人を誘惑するような魔性を帯びた、そんな。 ――キミのその嘆きのために、魂はかけられるかい? 魂? むしろ魂だけでいいのか? バカヤロウ。魂とは言わずなんだってかけてやる。 俺の全てをだ。 ――戦いの運命を受け入れてまで叶えたい望みがあるなら、僕が力になってあげられるよ。 俺を誰だと思ってやがる。 宇宙人、未来人、超能力者を相手に立ち回ってきた男だぜ。 お前と契約すれば、ハルヒを救えるのか? ――そうとも。キミにはその資格がありそうだ。 何故なら俺はジョン・スミスだからな。 ――教えてごらん。キミはどんな願いで、ソウルジェムを輝かせるのかい? 7 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/03/12(土) 11:28:00.72 ID:MnFI2fzS0 俺は・・・。 俺はハルヒを救いたい。 ハルヒを救うために、ハルヒとの出会いをやり直したい! ハルヒに守られる俺じゃなくて、ハルヒを守る俺になりたい!! ――契約は成立だ。キミの願いはエントロピーを凌駕した。 ・・・。 ――さぁ、解き放ってごらん。その新しい力を! ああ、何度だってやってやるさ! こんな結末、俺は絶対に認めないぞ。――人生リベンジだ!! ††† こうして俺は、魔法少年になった。 ††† 8 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/03/12(土) 11:28:21.50 ID:MnFI2fzS0 渇いた心で駆け抜ける ごめんね 何も出来なくて 痛みを分かち合うことさえ あなたは許してくれない 無垢に生きるため 振り向かず 背中向けて 去ってしまう on the lonely rail 私ついていくよ どんな辛い世界の闇の中でさえ きっとあなたは輝いて 越える未来の果て 弱さゆえに 魂こわされぬように my way 重なるよ いまふたりに God bless... 次回「本日を持ってSOS団を解散する」 9 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[] 投稿日:2011/03/12(土) 11:30:10.29 ID:MnFI2fzS0 初スレ立て初投稿です。 まどかの神回を見て 思いついた突発的ネタ。 需要があれば続きを 書かさせていただきます! ・・・それかどなたか続きを書いてくださ(ry