佐々木「メリークリスマス、キョン」 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/24(金) 03:45:23.59 ID:n0MlzWifO キョン「正確にはクリスマスは明日で、今日はイブじゃないのか、佐々木」 佐々木「おや、ずいぶんとつまらないことを気にするんだね」 世間がやれクリスマスだ、やれイブだと騒ぎ立てる今日、俺は佐々木と街をうろついていた。 所謂クリスマスデートってやつだ。どーだ谷口うらやましいだろう。 そんなくだらない事を考えている時、不意に佐々木が立ち止まった。 キョン「どうした?」 佐々木「キョン、あれを見てみなよ。」 佐々木が指差す方向には、熱いキスの真っ最中のカップルがいた。 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/24(金) 03:57:57.46 ID:n0MlzWifO キョン「こら、じろじろ見るんじゃありません」 佐々木を促し、歩き出す。 しかし佐々木は、歩きながらも暫くそのカップルを見ていた。 佐々木「公共の場だというのに大胆だよね。周囲の目は気にならないのかな?」 キョン「さあな。クリスマスの熱に当てられたんだろ」 佐々木「そうかもね。」 佐々木「キョンはキスしたことはあるのかい?」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/24(金) 04:11:10.13 ID:n0MlzWifO キョン「…さあな。」 我ながら曖昧な答え方だな、と心の中で苦笑した。 脳裏に浮かぶのは勿論あの閉鎖空間での出来事。あれは今思い出しても身悶えするぜ。 佐々木「ふむ…」 佐々木は少しの間考えた後、俺の前に向き直った。 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/24(金) 04:18:56.47 ID:n0MlzWifO 佐々木「キョン、これを見てくれ。」 佐々木はそう言い、両手を差し出した。 キョン「?」 何も持っていないように見えるが、とりあえず少ししゃがんで覗き込む。 やはり何も無い。 佐々木「そのまま目をつぶって」 言われた通りに目を閉じる。 刹那、唇に何か柔らかい感触が。 目を開くと、佐々木の顔が超近距離にあった。 佐々木「ん、ちゅっ」 佐々木の顔がだんだん離れる。 佐々木にキスされた… 俺の決して優秀じゃない脳がそれを認識するまでの間、俺はどんな間抜け面をしていただろうか。 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/24(金) 04:32:43.96 ID:n0MlzWifO 何か言おうとしたが、声がでない。 微かに残る唇の柔らかい感触、佐々木のほのかに甘い匂い、その全てが俺の思考能力を奪う。 目の前の佐々木は目が少し潤んでいて、頬が紅潮しているように見えた。 佐々木「今日の僕は少しおかしいようだ。これもクリスマスのせいなのかな。」 佐々木「メリークリスマス、キョン」 おわり 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/24(金) 04:37:49.65 ID:n0MlzWifO なんかごめんよ 佐々木みたいな彼女が欲しい… 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 17:10:11.30 ID:n0MlzWifO 書くって宣言したし誰も見てなさそうだしひっそり書こう >>14続き 佐々木「メリークリスマス、キョン」 そう言った時の佐々木のはにかんだ笑顔は、引き込まれるような魅力があった。 どれぐらい呆けていただろうか、 佐々木「キョン、何か食べに行こうよ」 その一言で正気に戻った俺は、 キョン「あ、ああ。」 とぎこちなく答え、俺達は晩飯を食べに向かった。 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 17:20:29.73 ID:n0MlzWifO カラーン 店員「いらっしゃいませー、二名様ですか?」 サンタの衣装を着た店員さんが出迎えてくれる。 俺達が来たのは、何の変哲もないファミレスだ。 ん?クリスマスにファミレスなんて貧乏くさい? 平凡な男子高校生に彼女を高級レストランに連れて行くような余裕があると思ってんのかこの野郎 と1人ツッコミしたところでメニューを眺める。 キョン「どれにするんだ?」 佐々木「そうだね…」 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 17:32:05.13 ID:n0MlzWifO 佐々木「キョン、せっかくだからこの『ラヴラヴカップルセット』にしないかい?」 とサラリととんでもないことを言ってきた。 佐々木「ハンバーグランチにパフェとコーヒーがついてきてとってもお得らしいよ。」 くつくつと笑いながら言う佐々木はどこまで本気なのか分からなかったが、特に食べたい物も無いのでそれに決めた。 このとき俺は、メニューのカップルセットの下の小さな文字を見ていなかったのである。 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 17:39:50.50 ID:n0MlzWifO しばらく待っていると、店員さんがポラロイドカメラを持ってニヤニヤしながら俺たちのテーブルに来た。 店員「ラヴラヴカップルセットを注文されたお客様ですよね?」 顔が笑っている。なにが面白いんだ俺の顔かこの野郎。 キョン「そうですが」 心の声を抑えて返事した。 すると店員さんの顔がいっそう緩む。 店員「では、先に写真撮影やりましょうか。」 佐々木「あ、はい。」 ほう、そんなサービスもあるのか。 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 17:47:31.01 ID:n0MlzWifO 店員「ではどうぞ。」 佐々木「キョン、ん…」 佐々木が顔を近づけてくる。 キョン「ちょ、ちょっとまて佐々木、タイム、タイムだ!」 佐々木の肩をつかみ、顔を遠ざける。 佐々木「どうしたんだい、キョン?」 佐々木が不思議そうに言ってくる。 キョン「どうしてお前は俺にキスしようとしてくるんだ」 佐々木「どうしてって…」 佐々木がくつくつと笑う。 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 17:54:57.61 ID:n0MlzWifO 店員「お客様、メニューは読まれたのでしょう?」 キョン「?」 メニューを広げ、ラヴラヴカップルセットを探す。 そこには、小さな文字で、 ※ただし、食前にカップルである証明としてキスしてもらいます。その様子はカメラで撮影してプレゼントしちゃいます☆ と書いてあった。 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 18:02:49.72 ID:n0MlzWifO キョン「なんですとっ!?」 佐々木「何を驚いているんだい?さっきもやったじゃないか。」 と意地の悪い笑みを浮かべる佐々木。 こいつ確信犯だな… 店員「さっさと済ませましょうよ。」 店員の顔は相変わらずニヤついている。 お前は黙ってろ。 佐々木「覚悟を決めなよ、キョン。」 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 18:09:50.50 ID:n0MlzWifO くそったれ…だが俺も男だ、やってやるさ! 自分に気合いを入れ、佐々木と向き直る。 佐々木「いくよ、キョン…」 佐々木の顔が向かって来る。 こっちも顔を近づける。 視界の端には、カメラを構えた店員さん。 心臓が張り裂けそうなほど高鳴っている。 そして、唇が重なる。 佐々木「ん…」 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 18:19:30.43 ID:n0MlzWifO 恐らく、時間にすると一秒足らずだっただろう。 しかし、俺には永遠のように感じられた。 どちらともなく唇を離す。 店員「はい、これどうぞ。」 できた写真を渡された。 勿論、俺と佐々木がキスしている。 ぐおおおおこれは想像以上に恥ずかしいぞマジで と身悶えていると、佐々木が俺の手から写真をとった。 佐々木「へえ、良く撮れているじゃないか。」 そう言って写真を見つめる佐々木。 表情こそ平然としているが、明らかに顔が赤い。 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 18:27:59.89 ID:n0MlzWifO 店員「では、料理ができるまで少々お待ちください。」 そう言って、店員は俺達のテーブルから離れていった。 その後、ハンバーグランチやパフェを食べたのだが、正直味が良く分からなかった。 ファミレスを出て、近くの公園のベンチで少し話した後、そろそろいい時間だから帰ろうかと切り出した時、佐々木が俺の前に立った。 53 名前:残念、大魔神だ[] 投稿日:2010/12/24(金) 18:35:05.77 ID:n0MlzWifO 佐々木「今日のデートで決心がついた。俺のフォークを伝授するよ」 キョン「オーゥ、エクセレント!」 こうして佐々木直伝のフォークを取得した俺は、絶対的な守護神としてプロ野球界で大活躍しましたとさ。 大魔神エンド 59 名前:クリスマスジョークだ[] 投稿日:2010/12/24(金) 18:56:11.11 ID:n0MlzWifO >>52から 佐々木「キョン、以前僕は恋愛感情は病気の一種だ、と言っていたよね。」 確かにそんなことを言っていた。 佐々木「キョン、最近の僕はおかしいんだ。」 佐々木「四六時中君の事を考えている。君の事を考えるとせつない気分になるんだ。やはりこれは病気の一種だろうね。」 佐々木「そして、この病気を治す手段はただ一つ、もしかしたら悪化するかもしれないけど、」 そこまで言うと、佐々木は目をつぶり深呼吸する。 そして目を開け、こう言った。 佐々木「キョン、好きです。僕と付き合ってください。」 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/24(金) 19:06:06.57 ID:n0MlzWifO 途中からなんとなく予想はしていた。 だが、実際に佐々木の口から聞くと物凄い破壊力だ。 勿論俺に選択肢など無かった。 キョン「…本当に俺みたいなやつでいいのか?」 佐々木「君が良いんだよ、キョン」 キョン「じゃあ…これからよろしくな、佐々木。」 そう言って佐々木を抱きしめる。 佐々木「嬉しい…私嬉しいよキョン」 涙を浮かべる佐々木の顔を上げさせ、俺達は本日三回目のキスをした。 おわれ