古泉「風邪が伝染るといけないからキスはしないでおきましょう」 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/14(日) 01:29:22.51 ID:IylAjec7O 団活の帰り道、私の家の前。古泉一樹が見送ってくれて、帰る。私は「キスがしたい」と呟いた 古泉「万が一風邪が移ってしまうと大変ですよ。今年の風邪は喉から来ますし」 古泉一樹はそういって少し顔を背け、ゴホゴホとつらそうに咳き込んだ。 長門「心配ない、私には移らない」 古泉「そうかもしれませんが…やはり僕の個人的な感情として、風邪を引いているときにキスをするというのは良いと思えません」 ですからまた風邪が治ってからの機会に そういって古泉一樹は私のから帰っていった …なにかと理由をつけて古泉一樹は私とキスをしようとしない これは、一般的に見て、付き合っているという状態であるといえるのだろうか 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/14(日) 01:49:37.07 ID:IylAjec7O 私と古泉一樹が今のような関係になったのは今日からちょうど6ヶ月前のことだった 初めて手をつないだのは付き合ってから1ヶ月と3日たったとき それからは毎日手をつないで一緒にわたしの家まで見送ってくれる けれどそれ以上はなにもない ハルヒ「え、一般的なカップル?んー…付き合ってから1ヶ月で手をつないで、3ヶ月目にはキスするの、それで半年たったら…まあこれはまだ有希達には早いわね」 でもこんなのはすっごくベタなことよ、そういっていた涼宮ハルヒのことを思い出す ベタ、ということは多くの男女はそのように順序立てて仲を深めていると考えられる しかし、わたしたちは半年たっても1ヶ月目の課題しかクリアできていない 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/14(日) 02:02:22.50 ID:IylAjec7O 3ヶ月目の帰り道、わたしから「キスがしたい」と言った --- 古泉「…キス、ですか」 古泉一樹は少し困ったような顔をする 古泉「まだ早いですよ、長門さん」 長門「今日で3ヶ月目。涼宮ハルヒからの情報では今日がキスをする適切な時期であるといえる」 古泉「それは…最近の男女というのは段階を踏んでいくのが早いですからね、一般的と言っては少し語弊がありますよ」 男女の仲の発展が早い、というのはわたしもすでに持っていた情報だった 長門「分かった。ではいつごろが適性といえる時期なのか教えてほしい」 古泉「適切な時期、というのはその男女によってさまざまです。僕達には僕達の発展があるのですよ…それがいつなのか、というのは…申し訳ありませんが、僕にも分かりません」 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/14(日) 02:13:27.53 ID:IylAjec7O わたしはその次の日、涼宮ハルヒではなく朝比奈みくるに聞いてみた 長門「キスをするのはどの時期が適切なのか、教えてほしい みくる「ふぇえっ!?き、きす、ですか…」 古泉一樹は男女な仲はそれぞれの発展があるというが、やはり大まかな時期というのは決まっているはずである みくる「うーん…わたしは、ですけど…大事な記念日とか、ですかねぇ」 長門「ありがとう」 記念日、という概念も涼宮ハルヒに教わった 次の記念日は、6ヶ月目 あと、2ヶ月と29日後 そう思うといままで唇について無関心だったのに急に気になってしまう。古泉一樹と分かれた後、薬局でシンプルなリップクリームを買った 次の記念日まで、あと2ヶ月と29日の日のことだった 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/14(日) 02:27:18.29 ID:IylAjec7O しかし6ヶ月目も断られてしまった そうなると次は…1周年。あと半年後になる それは、あまりにも遅いのではないか …古泉一樹は、わたしとキスをするのが嫌なのだろうか 一緒に帰っているときも、お互いにあまり喋ることはない 初めて一緒に帰ったときは彼から色々な話をしてくれたのに、2回目からはあまり喋らなくなった いつも少し笑顔をかたくしているだけだった 考えれば考えるほど、古泉一樹がわたしと居て楽しいと思ってくれているかどうかが分からなくなる …もし風邪を引いていなかったら、今日キスをしてくれたのだろうか …風邪 風邪を引いたら看病するのが恋人の役目だと聞いた そう思うといてもたってもいられなくなり、わたしは家を出た 出る前には、買ったときよりも短くなったリップクリームを塗るのを忘れずに 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/14(日) 02:38:07.18 ID:IylAjec7O 古泉一樹の自宅に着く。チャイムを鳴らすと、すぐに古泉一樹の声が聞こえた 古泉「どちら様でしょうか?」 長門「…お見舞い」 それだけいうと、インターフォンはきれ、代わりにすぐに扉が開いた 古泉「長門さん…どうしたんですか」 長門「お見舞い」 古泉「ああ、そうでしたよね。すみません…気を遣わせてしまって」 長門「いい、気にしないで…あがってもいい?」 古泉「あ…汚いですよ?」 古泉一樹はまた困った顔をしている 長門「…迷惑だった?」 古泉「いえ、そんなことはありません…どうぞ、あがってください」 長門「お邪魔します」 室内は綺麗で、ちっとも汚くはなかった 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/14(日) 02:55:26.73 ID:IylAjec7O 古泉「紅茶とコーヒー、どちらがいいですか?」 長門「あなたは寝ていていい。今日はお見舞いに…」 そこで気付く 薬も食べ物も、なにも持ってきていないことに 長門「…なにか必要なものはある?今買ってくる」 古泉「いえ、大丈夫ですよ?そんなに熱もないですし…長門さんが、来てくれたので、風邪もどこかへ吹っ飛んでしまいました」 なんてね、とほんのりと赤い顔で言う 長門「嬉しい…けど、顔が赤い。着替えて睡眠をとるべき」 着替えを手伝おうと制服のネクタイに手を掛けると、古泉一樹が急に立ち上がった 古泉「自分で着替えられますから、大丈夫です…顔が赤いのも、大丈夫です」 長門「…そう」 着替えをすませたあと、ベットに寝てもらう 大丈夫ですと何度も言うが、結局申し訳なさそうにベットに入った 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/14(日) 03:05:27.58 ID:IylAjec7O 長門「…あなたに、聞きたいことがある」 古泉「なんでしょうか?」 古泉一樹がベットの横に用意してくれた椅子から立ち上がり、彼の頬に手を添えて顔を近付けて話す 古泉「いや、あの、長門さん?どうしました?」 うろうろと視線をさ迷わせ、いつも以上に困った顔をする 長門「…その顔」 古泉「はい?」 長門「わたしと居ても楽しくない?…わたしと付き合っているのは、苦痛?」 古泉「そんなことありません!」 ハッとわたしの目を見て強く否定するが、またすぐに視線を逸らしてしまう 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/14(日) 03:13:39.86 ID:IylAjec7O 長門「どうして目を逸らすの」 古泉「…顔が近いですよ」 長門「あなたと彼がもっとも近づいたときと同じ距離を保っている。彼とはよくて、わたしは駄目?」 古泉「いや駄目というかですね、彼は同性ですし、長門さんは、恋人、ですし。立場が違いますから…」 長門「ではわたしはもっと近づいてもいいということ?」 より顔を近付けてると、手から感じる古泉一樹の体温がぐっと上昇した 古泉「そういうことを言っているわけではなくて、長門さん。落ち着きましょう、一旦離れましょう」 長門「拒否する…古泉一樹、キスをしてもいい?許可を」 古泉「ちょ、ちょっと待ってください、本当に…!」 鼻が当たるか当たらないかまで近づいたその時、彼の手がわたしの背中に回る …半年目で、初めて抱き締められた 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/14(日) 03:25:25.79 ID:IylAjec7O 古泉「…長門さん」 長門「なに」 肩口に埋められた古泉一樹の体温がわたしの全身に伝わる …わたしも体温が上昇している? 古泉「長門さんと、キスをするのが嫌なわけではないんです…ただ、勇気が出なくて」 古泉一樹はポツリポツリと話してくれた 初めて一緒に帰ったとき、緊張してしまって喋りすぎてしまったこと それからはなにを話していいのか分からなくなってしまったこと キスをすることを考えると、どうしようもなく恥ずかしくなってしまうこと 古泉「長門さんの前では、こんな臆病な僕は出したくなかったんです…いつもの古泉一樹らしく、と思えば思うほど、どうしたらいいのかわからなくなってしまって」 すみません。そう言って彼はわたしから離れた 泣きそうな、と形容するのが一番にあっている顔をした古泉一樹と目が合った 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/14(日) 03:32:26.23 ID:IylAjec7O 長門「わたしの前では気負わなくていい…もっと、本当の古泉一樹をわたしに見せて」 古泉「…はい」 長門「だから、キスがしたい」 古泉「えっ」 まさかこの状況でキスをしたいと言われるとは思わなかったらしい またそっと頬に手を添える 長門「許可を」 古泉「あの、その…ど、どうぞお願いします…」 付き合ってから半年目 色々な記念日となった日 初めて古泉一樹の家に行った日 初めて古泉一樹の本音を聞いた日 初めて抱き締められた日 初めて…キスをした日 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/14(日) 03:39:37.74 ID:IylAjec7O 古泉「僕達、立場が逆ですよね…僕が長門さんをリードしないといけないのに」 長門「わたしたちにはわたしたちの付き合い方がある」 古泉「そうですけど…でもやはり男としては…んっ」 悩んでいる古泉一樹に2度目のキスをする 長門「2回目…風邪が、移るかもしれない」 そういうと、今度は古泉一樹からキスをしてくれた 古泉「も、もし移ったら…僕が長門さんを看病しますから」 長門「つまり、移るまでキスをしたいということ?」 古泉「なっなんでそうなるんですか!ちがっ…」 おわり 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/14(日) 03:43:57.19 ID:IylAjec7O 今日は珍しくハルヒSSがおおいですね 思わずのっとってしまってすみません このあとは続きを書いてくれる方がいたら是非続けてください また新しく別の話を書いてくださってもかまいません 古泉が乙女すぎて自分でもねーよ、と思いました この古泉はHの時にうるさそうですね もしもしからだったので読みづらい点が多々あると思います、申し訳ありません 読んでくださってありがとうございました! おやすみなさい