キョン「あさt……!!」 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:06:14.84 ID:dczNust00 ガチャ 「うおっ……」 パーン 部室に入るや驚かされた。 クラッカーの音が俺を出迎える。 「誕生日おめでと〜!」 「……」 忘れていた。 今日は俺が誕生した日。 「どうした…… お前達」 「こちらの台詞ですよ? さぁここに腰をかけて」 古泉が微笑みながら俺にイスを差し出す。 驚くというより違和感がすさまじい。 「私が企画したのよ! 感謝しなさい!」 「あ?」 バサッ 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:11:17.41 ID:dczNust00 シーツで覆われたソレが目の当たりとなる。 「うお…… これ……」 「さぁ、今日は誕生パーティーよ!」 テーブルには鮮やかなオードブルが並んでいた。 余計嫌悪感を感じさせる。 あまりこういうのは慣れてないんでね。 「今日は部活を忘れて楽しみましょう」 古泉がグラスを差し出す。 否が応にも俺は受け取らざるを得ない。 「ほら有希もっ!」 「……」 長門はクラッカーに興味津々か。 凝視しているようにも見える。 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:15:43.53 ID:dczNust00 ―――――――― なかなか楽しめたんではないだろうか。 気づけばもう一時間も経過していた。 楽しい時間はあっと言う間か。 「さて、誕生パーティーのメインイベントいくわよ!」 「は?」 朝比奈さんがわざわざ持ってきてくれたソレにもシーツが覆せてあった。 オーバーな演出はあまり好きではないんだが。 バッ ハルヒが勢いよくそれを外す。 そして懐かしい響きを耳にした。 「誕生日プレゼントよ!」 「誕生日プレゼント?」 あーそういやそんなのあったな。 ここ数年、それらしいものを貰ったことがない。 「テーブルの割には小さい箱だな」 「用は中身よ、大きさじゃないわ」 ああ、ごもっともだ。 用は中身だな。 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:19:39.07 ID:dczNust00 「開けてみてください」 「ああ」 古泉に開けるよう促され開けてみるに俺は仰天した。 「あ、ipod?」 「そーよっ、どお?」 こんな高価なもん貰っていいのか? 友人という関係であってこのプレゼントの規模は大きすぎる。 「本当にいいのか? 貰っちゃっても」 「あげる為に用意したんだから快く受け取りなさい!」 快く受け取る以前に罪悪感が……。 でも、すごく温かいプレゼントだ。 物も嬉しいがみんなのその気持ちが嬉しい。 「ありがとう」 一人ずつ目をみて俺は感謝を告げた。 ハルヒに、朝比奈さんに、古泉に……。 長門はクラッカーをみてたな。 「あんたはSOS団の団員なんだからこれくらい大したことないわ」 「ふっ……恐れ入るよ」 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:23:02.17 ID:dczNust00 ―――――――― 「おかえり〜 キョン君」 「ただいま」 玄関までお出迎えか。 ペットじゃないんだからそこは自重してくれ。 「誕生日だよねっ」 「ん?」 俺の誕生日をこんなにも覚えてくれている人がいるとは。 今日は隕石の一つや二つ落ちても構わん。 「ほらっ、こっちこっち」 「ケーキがあるよっ」 「……」 一日に二度のおもてなしか。 胸が熱くなるな。 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:25:15.62 ID:dczNust00 ―――――――― あとは寝るだけだがプレゼントが気になった。 ipodって便利かつ高性能らしいからな。 「ん? どうやんだこれ」 操作性がまったく掴めない。 機材の操作は全て手探りだがこいつには手こずった。 「あ、この輪っかをなぞるのか」 あれこれいじくり、堪能したところで睡魔が襲ってきた。 「……そろそろ寝るかな」 どうやらソフトと連動しなければいけないらしい。 ややこしいことは明日にでもやるか。 「ん?」 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:27:45.55 ID:dczNust00 「なんだ? メモ?」 ボイスメモに一件記録されている。 これはなんだろうか……。 「聞いてみるか」 俺はイヤホンをつけ、そのボイスメモに耳をかたむけた。 ポチッ ハルヒ達がメッセージを残してくれているのだろう。 俺はそう思っていた……。 が 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:30:52.04 ID:dczNust00 「……」 ザーッという雑音がしばらく続いた。 「……」 30秒経ったか経たないか。 俺がボイスメモを止めようとした時。 「あっ……」 「あ、あさt……!」 ブッン 「……」 なんだ今の。 人の声であったのは間違いない。 女性と男性の声が収録されていた。 「消えた……」 もう一度再生してみようと思い、画面を見たが……消えてる。 削除方法もわからないのに……。 知らず知らずの間に消してしまった? 「気味悪いな……」 しかしあまり気にはならなかった。 眠くて眠くてしかたなかったからな。 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:35:24.38 ID:dczNust00 ―――――――― 翌日、ハルヒは星を観察すると言い出した。 やむを得ず屋上へと向かう。 「まだ外は明るいだろ」 「そうですね、なにか考えがあるのでしょう」 あいつの考えはろくなもんじゃない。 大人しくしてほしいものだ。 「こっちこっち! 集合〜!」 「……」 腕振りすぎだろ……。 もげるぞ。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:40:40.41 ID:dczNust00 「で、観察ってなにを」 「決まってるじゃない、火星よ」 火星を見てなんになるんだ。 まだこんなに明るいのに。 「みくるちゃん!」 「はいぃ……」 「ちゃんとそこに立ってるのよ!」 「なぜ朝比奈さんをそこに立たせる?」 ハルヒは間もなく答えた。 「チラシ作るからそのついでよ、写真撮るの」 「へぇ〜」 俺の無関心な返事に苛立ったのかハルヒは意地悪くこんなことを言い出した。 「あんたも写すわ、並んで」 「はあ? なんで俺まで」 「いいから! はやくっ」 世界はハルヒ中心で回ってるんですね、わかります。 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:43:28.93 ID:dczNust00 ―――――――― 「もっと寄りなさいよ〜」 「これが限界だ」 いやらしい性格してんなこいつ。 こんなことを思いつつも朝比奈さんに近づく俺。 いやらしい性格してんな俺。 「あ…… あわわ……」 「どうしました?」 「うぅ…… うぅっ……」 朝比奈さんの様子がおかしい。 首をおさえてなにやら悶えている。 「あの…… 朝比奈さん……?」 「助けてください……! 引っ張られて…!」 「あっ……」 朝比奈さんが宙に浮いた。 そして柵を越え真っ逆様に―――――――― 「あ、あさt……!」 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:45:37.63 ID:dczNust00 ドッ 「……」 鈍い音を耳にしたのはそれから間もなくのことであった。 静まりかえる屋上。 吐き気にも似た感情がこみ上げる。 え? 死んだ? 俺は朝比奈さんの安否を確かめることができなかった。 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:51:35.07 ID:dczNust00 投身自殺と処理された。 あれが自殺? 冗談だろ。 「古泉……」 「はい……」 俺はこいつがなにかを知っている前提で話しかけたが……。 「僕もわかりません、この事件の原因が」 「は?」 長門もわからないらしい。 なにがどのような形でこんな事件を招いたか。 ただ一つわかったことはハルヒがこの屋上に呼びださなければ事件は起きなかったということ。 それじゃまるでハルヒが犯人みたいじゃないか。 頼むからそういう展開はやめてくれよ。 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 13:58:58.50 ID:dczNust00 数日後、俺はハルヒを訪ねた。 「おい」 「……なに?」 不満げな様子、そりゃそうだ。 部員が減ったわけだし、減ったという事実よりも友人が亡くなったという事実のほうが大きい。 「どうおもう?」 こいつに聞いてもなにもわかりやしない。 一番の事の発端はこいつで一番なにもわかってないのもこいつなわけだ。 「……」 押し黙り込むハルヒ。 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 14:06:27.75 ID:dczNust00 ―――――――― おかげさまでSOS団は無期限のお休みが続いた。 嬉しいような嬉しくないような……。 「ただいま」 「キョン君今日もはやかったね〜」 「部活が休みなんだよ」 「ふぅ〜ん」 すぐさま部屋へ向かう俺に違和感を感じたのか疑いの視線を向ける妹。 家の中くらい落ち着かせてくれ……。 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 14:13:09.42 ID:dczNust00 ―――――――― なにをするというわけでもなくたたベットに寝転がる。 むしろなにもする気が起きない。 「……」 短い付き合いではあったものの朝比奈さんとは仲良くさせてもらっていた。 楽しい思い出が頭をよぎり、まぶたを熱くさせる 「……」 ふと思い出したプレゼント。 あれも朝比奈さんから頂いたものだ。 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 14:19:13.22 ID:dczNust00 「ipodか……」 使う余裕なんてあるわけない。 机に置きっぱなしのipodを手にとる。 「はぁ……」 俺はこれを見る度に朝比奈さんを思い出すんだろうな。 画面に浮き出るアップルマーク。 この会社にお世話になることはないだろう。 「……」 もったいないかもな……使わないなんて。 むしろ頂いたんだから使わないと逆に失礼? 「あ?」 俺の手が止まった。 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 14:27:47.39 ID:dczNust00 「……」 ビデオに一件記録されている。 「……」 前はボイスメモに記録されていた。 そういやあの声は俺に似てたな。 「なんでこのipod、故障かよ」 誤作動が起きたんだろう。 俺はビデオを撮った覚えはない。 「アップル会社の製品は大丈夫なのかよ」 時計は8時30分あたりを指している。 俺は何時間寝転がってんだよ。 「……」 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 14:32:59.99 ID:dczNust00 再生させてみるか? なにが撮れてんのか気になるしな。 「……」 ポチッ 俺はビデオを再生した。 画面が横にひっくり返る。 「あ、こう見るのか」ヒョイ 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 14:41:22.37 ID:dczNust00 真っ暗……。 周囲の音は聞き取れる。 ちゃんと再生されている。 ゴトッ ん? なにかが落ちた? ドッ!ドッ!ドッ! 「う…っ… あ……ぁ」 鈍い音がリズミカルに続き、うめくような声が……。 真っ暗とはいえなにかが動いているのは掴める。 ピッ 俺は再生を止め、ipodを机にしまい込んだ。 「は……はっ、いたずらかよ……」 「クオリティたけぇイタズラだな…… まったく」 俺は聞かなかったことにした。 とにかく風呂にはいろう。 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 14:47:05.22 ID:dczNust00 ―――――――― 「……」 「ハルヒめ……」 頭から離れない。 あの映像と音声が頭から離れない。 どっぷりビビってんな、俺。 「明日、アレ返してやる」 「おかしいと思ったんだ……」 ハルヒが新品を俺にくれるわけない。 あらかじめ故障していたものをやすく買い取り俺に渡したんだろう。 明日、言いつけてやる。 長々とな……。 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 14:54:13.03 ID:dczNust00 ―――――――― 「あれ? ハルヒは?」 ハルヒが見あたらん。 俺は谷口に問いかけた。 「さあな」 「それより、9組がすごいことになってんぞ」 「9組?」 9組って古泉のクラスじゃないか。 「なにがあった?」 ガララッ! 勢いよくドアが開き、そいつは俺を引っ張る。 「うおっ、ハルヒっ。 引っ張りすぎだ…っ」 ハルヒは反応もせずに俺を連れていく。 いつになく真剣な眼差しは俺をしおらせた。 「……」 どうした、なにがあった……。 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 14:59:08.59 ID:dczNust00 ―――――――― キョン「え―――――」 ハルヒの言っている意味がわからない。 俺は今一度聞き返した。 「古泉が…… なんだって?」 ハルヒは間をおくと重たそうに口を開く。 「何度も言わせないで」 「古泉君が殺されたわ」 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 15:07:26.87 ID:dczNust00 朝比奈さんに続き古泉。 これは偶然ではない。 そして一連の事件の原因を決定づけたのはハルヒのこの一言であった。 「死亡推定時刻は昨日の午後8時から午後8時半……」 八時から八時半? それって…… 俺がipodのビデオを再生させた時刻じゃないか……。 あの映像は生中継なのか? あれは古泉だったのか? 「うっ……!」 腹からこみ上げる吐き気に俺はその場を離れた。 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 17:36:01.76 ID:dczNust00 ―――――――― あのipodか? 畜生 時間はもう戻らない。 朝比奈さんと古泉はもう…… 俺はこの事実を長門に知らせようと走った。 「長門っ!」 「わかってる」 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 17:38:51.40 ID:dczNust00 「あのipodが原因だ!」 「ipod?」 長門はipodを把握していないのか。 いちいち説明すんのもめんどくさい。 「家に来い! 見せるから」 「わかった」 現物を見せれば話は早い。 俺の家へ向かった。 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 17:43:49.28 ID:dczNust00 ―――――――― 「これを見てくれ!」 ipodを長門に突きつける。 長門はそれを受け取ったが 「これが? どう影響する……?」 「は?」 明らかに初見だな。 みんなで決めたプレゼントっつうのは嘘か。 「誕生日プレゼントだろ?」 「みんなで決めたんじゃないのかよ!」 長門は一瞬表情を見せると俺の目を見てこたえた。 「これは涼宮ハルヒが独断で選んだもの」 「なにっ?」 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 17:48:15.88 ID:dczNust00 「涼宮ハルヒが私達を説得した、出費はすべて涼宮ハルヒ」 「なんだと」 ハルヒがプレゼントを選びみんなで選んだと嘘をついた? 「……」 奇矯な空気が流れる。 「とにかくこれを見てくれ!」 俺は長門からその端末を取り上げあのビデオを見せようとした。 「……」 「あった!」 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 17:53:54.93 ID:dczNust00 「これなんだが……」 再生を押し、俺は長門に渡した。 イヤホンをつける余裕もない。 スピーカーがついてるからそれで十分だ。 「……」 「とにかくこれをみてくれっ!」 ん? スピーカーから俺の声が……。 シュッ 長門が目の前からいなくなる。 どういうこ―――――――― 「来てっ」タタタッ 「あ? 長門いつの間に」 俺の後ろに長門……? どうなってる。 とにかく俺は長門についていった。 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 17:57:29.88 ID:dczNust00 ―――――――― 「どこまでいくんだよっ!」タタタッ 長門は立ち止まり大まかな説明をした。 「あれは私ではない」 「え?」 長門? なにを言ってる? 「あなたがさっき話していた私はあなたの妄想」 「よって私が消滅させた」 「は?」 意味わかんねぇ。 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:03:11.67 ID:dczNust00 「あのままだとあなたは死んでいた」 「なっ……!」 「あの媒体は涼宮ハルヒが選んだ為、なんらかの影響を受けた」 今まであのipodに記録されていたのは未来の出来事か、現在進行形の出来事。 さっきあのスピーカーからは俺の声が聞こえた。 そういうことか……! あのままだと俺は死んでいた。 次、死ぬのは俺だったんだ。 だから偽物の長門につられて俺は……! 「長門! どうすればいい!」 「……」 「つ、次は俺の番なのか!?」 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:07:08.32 ID:dczNust00 「……」 長門は押し黙りこう言った。 「おそらく次はあなた」 「……!」 冗談じゃない……。 迷惑な誕生日プレゼントだ……。 「ちょっとまて」 「いったい誰がこんな事をした?」 そうだ。 誰がどんな目的でSOS団を壊滅させていくんだ? 「……」 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:09:52.52 ID:dczNust00 「それは涼宮ハルヒ……」 ハルヒ? 「ハルヒ?」 「そう」 ハルヒがSOS団員を殺害? んなバカな…… 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:13:53.67 ID:dczNust00 「だとしか考えられない」 「それはあくまで予測か?」 「そう」 ハルヒがなんらかの願望を持ちipodを選んだ。 そしてその願望が今実現しつつある? 「なんでハルヒは俺らを…!」 「わからない……」 無表情な長門にも一瞬悲しげな表情が生まれた。 「あなたが死ねば、次は私」 「……」 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:16:39.96 ID:dczNust00 何故だハルヒ。 俺らに死んでほしいのか? 誕生パーティーってのはなんなんだよ。 みんな笑顔だったじゃないか。 なのになんで…… どうして…… 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:23:03.16 ID:dczNust00 ―――――――― 長門はサポートすると言ったが俺は断った。 これが俺の幕引きであればそれでいい。 「……」 部屋に戻り落ちているipodを拾う。 偽物の長門に渡したipodだ。 偽物? 俺の妄想とか言ってたな。 それはどういうことだろう? 俺の妄想がこれだけではなかったらどうなる? あの長門の発言も妄想か? 朝比奈さんや古泉の死も俺の妄想? すべて妄想? 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:26:15.60 ID:dczNust00 ―――――――― ピリリリリリリリ ガバッ 目覚ましの音がうるさく響く。 すがすがしい朝。 「……」 俺は現実であることを確かめ、再び寝転がった。 ドサッ 「夢か」 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:30:51.54 ID:dczNust00 恐ろしい夢をみたな。 まるで現実のようなクオリティー。 長い夢だったな。 「キョン君、誕生日おめでと〜」 「ん?」 「自分の誕生日忘れたのっ?」 ああ、その夢だよ。 誕生日なんていらないのにな。 あんな怖い思いをするのなら一生こなくていい。 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:34:17.48 ID:dczNust00 ―――――――― 「うーす」 「おお、谷口」 いつも通りの朝だ。 ん、まてよ。 「ハルヒはどこだ?」 「ハルヒ? 誰だそいつ?」 「は?」 なに寝ぼけてんだよこいつ。 涼宮ハルヒだよ、知ってるだろ? 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:37:11.24 ID:dczNust00 ―――――――― 放課後、俺は部室へ走る。 「はあ…… はあ……」 ガチャ! 「……」 その光景は俺が知っている部室ではなかった。 物置といったほうが正しいかな? 「……」 俺はずいぶん長い夢をみていたようだ。 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:44:26.44 ID:dczNust00 涼宮ハルヒ 朝比奈みくる 長門有希 古泉一樹 そんな生き物いなかったんだ。 全部、俺の妄想か。 かってに思い出を作り、かってに楽しんで。 勝手に妄想していたんだな。 一人で。 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:49:42.10 ID:dczNust00 ―――――――― 「ただいま」 「キョン君、おかえり〜」 スタスタ あまりいい気分ではない。 俺は部屋に閉じこもった。 「……」 目を疑う。 何故、つくえにipodが? 「……」 これも夢? いいかげんにしろ。 俺はipodを手に取った。 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:52:13.34 ID:dczNust00 「……」 「ふっ……」 またボイスメモが一件、記録されている。 もうなにがなんだかわからない。 半ばヤケクソでそのボイスメモを再生した。 ポチッ 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 18:57:36.27 ID:dczNust00 ザーッ! 雑音が続き、そして。 「この中に宇宙人・未来人・異世界人・超能力者がいたらあたしのところへ来なさい」 「以上!」 ブッン 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 19:01:44.35 ID:dczNust00 「……」 夢? 現実? ”死のipod”が”生のipod”へ? また会うことになりそうだな。 これは俺の妄想かもしれんがそれでもいい。 待ってたぜ、ハルヒ 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 19:05:45.24 ID:dczNust00 ―――――――― 「転校生だってよ」 谷口は興奮気味の様子。 まあ、それは昨日から知っていた。 退屈はしなさそうだ。 いくつか矛盾はあるしな。 谷口とハルヒが同じ中学校でないってのもあるし。 ガラララッ 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 19:12:43.81 ID:dczNust00 ―――――――― 「この中に宇宙人・未来人・異世界人・超能力者がいたらあたしのところへ来なさい」 「以上!」 ザワザワ 辺り騒然となる中、ハルヒは自分の席につく。 「涼宮さんだっけ? よろしく」 他人の気がしない。 話かけざるを得ない。 「ん? なによ」 「初対面でなによとはまた酷だな」 「……」 攻守交代か? 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 19:18:38.46 ID:dczNust00 ―――――――― 「髪、結ばないのか?」 「わ、私の勝手でしょ」 「まあな」 ハルヒはその場を立ち去る。 こういう感じは苦手なのか? 「ちょっと待てよ」 「なによっ!」 こいつがこんな調子なら俺が動くしかないな。 「俺らで部活を作らないか?」 「へ?」 「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」 「略して”SOS団”を作ろうじゃないか」 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 19:54:45.97 ID:dczNust00 なに言ってんだ? 俺は ハルヒにはウンザリしてたはずだろ? なのに―――――――― 「ま、お前の自由だけどな」 「……」 「私の為の…… 団?」 ハルヒは戸惑いを隠しきれていなかった。 そりゃしかたないか。 俺みたいな奴は希少種だ。 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 20:02:00.62 ID:dczNust00 ―――――――― 「……」 ガラッ 職員室から出るとそこにはハルヒの姿が。 「お、待ってたか」 「別に……」 相変わらずの性格だな。 ま、ハルヒらしいっちゃハルヒらしい。 「先生は許してくれたみたいだ」 「え……SOS団、作ったの?」 「お前が勝手にしろ、みたいなこと言ったから作ったんだろ?」 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 20:07:19.96 ID:dczNust00 「……」 くくく、お前うれしいくせに。 こんな雑用二度と現れないぞ? 「勝手なことしないでくれる?」 「は?」 「私、関係ないから」スタスタ おいおい。 言う台詞、間違ってないか? 「おーい、ハルヒ! どこいくn……」 「下の名前で呼ばないで! この変人!」 「……」 あらら。 まあ確かに俺は変人だな。 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 20:42:35.55 ID:dczNust00 ―――――――― 「……ふぅ」 一人でなにやってんだか。 こんなにきれいにしちまった。 「よし、これなら部活できるな」 学校から支給してもらった机4つに椅子4つ。 あと特注の椅子と机が必要だな。 「やれやれ世話のやけるやつだ」 ―――――――― 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 20:45:54.20 ID:dczNust00 ―――――――― 「ただいま〜」 「おっかえり〜」ドタドタ ま〜たこいつは。 ペットじゃないんだから。 「ほらっ、はやく!」 「ん?」 「また忘れてるの? 誕生日っ」 あーそうだった。 今日は俺の誕生日だ。 「ああ、わかったよ」 「はやくきてね〜」ドタドタ 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 20:49:28.11 ID:dczNust00 ―――――――― 部室を見せたらあいつもやる気になるだろう。 楽しみだな。 俺は目覚ましをAM7:00にセットした。 「さて、寝るか」 「ん……」 たまたま視界に入ったのか それとも視界に入る運命だったのか。 「……」 誰かさんに貰ったipodを再び手にした。 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 20:53:38.32 ID:dczNust00 「……」 怖いな またサスペンスな展開が用意されていたらどうしよう。 「……」 ま、記録されてるとは限らないし。 見るだけ見てみるか。 画面に浮き出るアップルマーク。 もう使わないって誓ったはずなんだが。 「……」 ボイスメモに一件……。 なるほど。 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 20:58:02.77 ID:dczNust00 これを聞かないと眠れないだろう。 かくして俺はそのボイスメモを聞くことにした。 ポチッ 「だから嫌って言ってんでしょ!! このストーカー!!」 ブッン 「……」 「……」 声の正体を詮索するのはやめよう。 あの方でないことを願う。 ・ ・ ・ 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 21:02:56.33 ID:dczNust00 ―――――――― ガラッ 「……」 いたいた。 今日はツインテールか。 「おはよう」 「え? ああ……またあんた?」 「俺じゃ問題ありか?」 「ありありよ」 ハルヒはまた席を立ち上がる。 相当、俺を避けているらしいな。 「どこ行くんだ?」 「トイレよ! うっさいわね〜」 「……」 人のトイレは邪魔しちゃいかんな……。 勧誘のタイミングが難しい。 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 21:09:23.18 ID:dczNust00 ―――――――― そうだ、今気づいた。 ハルヒがSOS団に入らない限りメンバーが集結しない。 いつまで経ってもSOS団が活動できない。 となると…… 強引にハルヒを入部させることも考えないとな。 よし。 放課後、俺はハルヒを呼び止めた。 「おーい、待ってくれ」 「なに……? まだ私に用があんの?」 「見せたいもんがあるんだ」 「見せたい物?」 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 21:14:39.34 ID:dczNust00 ―――――――― もちろん部室を見せるわけだ。 やる気を起こさせるにはそれしかない。 ハルヒだって本当はこれを望んでいるはずだ。 「開けてみろ」 「襲ったりしないでしょうね……」 「バカいえ」 なにを言い出すんだこいつは……。 「さあ、開けてみろ」 「……」 おそるおそる開けるハルヒ。 こんな小心者のハルヒは今後みれないかもな。 ガラララ……ッ 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 21:21:13.17 ID:dczNust00 「こ……これなに?」 「なにを隠そうSOS団の部室だ」 決まった……。 これでハルヒは心をうたれたはずだ。 なんて素晴らしい部員なんだ……と。 「……」プルプル 感動でふるえてんのか? 「あんたね……」 「SOS団へようこそ」 「……」 「いい加減にしなさい! 警察呼ぶわよ!」 「……」 へ? おいおい…… 「だから嫌って言ってんでしょ!! このストーカー!!」ダッ 「……」 やはりあれはハルヒだったか。 畜生……。 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 21:28:07.59 ID:dczNust00 はあ……こんな難しい奴だったとは……。 まさかの展開だな。 トントン 何者かが俺の肩を叩く。 「ん?」 振り返った先……そこには。 「な… ながt」 おおっと、危ない危ない。 こいつと俺はまだ初見か。 そうだよな?長門。 「えーとあなたは……誰?」 いかにも初対面を装い、長門に話かけた。 「演じなくてもいい」 「え? いや、演じてなんか……」 「私もあなたと一緒」 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 21:33:02.52 ID:dczNust00 「は?」 「私もあなたと同じ状況にいる」 「……」 あれ? この長門あの時の長門? 「どうもお久しぶりですね」 後ろから声がもう一人でてきた。 「古泉……?」 「あ、朝比奈さんも……っ」 なんだこの状況。 どうなっている。 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 21:38:39.37 ID:dczNust00 ―――――――― 「今、世界が二つ存在している」 「……二つ?」 そう。 世界が二つ存在していた。 古泉、朝比奈さんは殺されこちらの世界へ移された。 「じ、じゃあ…… 俺も?」 長門がそれに答える。 「あなたは、自宅で殺害された」 「……」 118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 21:42:36.59 ID:dczNust00 「ち、ちょっと待て!」 「なんで殺されてこっちの世界に?」 長門が間もなく答えた。 「それが涼宮ハルヒの願望」 「……願望?」 古泉が立ち上がり、補足を加える。 「ええ、そうですよ」 「これらのすべては涼宮さんの願望です」 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 21:48:48.66 ID:dczNust00 前、長門は俺にこう言った。 「涼宮ハルヒの願望がその媒体に影響を及ぼした」 その媒体とはipodのことだ。 となるとipodが涼宮ハルヒの願望を実現し続けている。 ということになる。 この状況がハルヒの願望? 「そうですよ」 「……」 こんな状況、誰が得するんだ。 ハルヒはいったいなにを望んでいる……。 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 22:01:31.97 ID:dczNust00 「……」 この空気を打ち砕いたのは古泉の一言であった。 「涼宮さんはこれ以上僕達に迷惑をかけたくなかったのかもしれませんね」 「……迷惑?」 「彼女は意識していたのでしょう」 「……」 自分がいなければ迷惑をかけることはなかったと意識しはじめたのでしょう。 できれば団員の高校生活をまた最初からやり直させたかった。 その為に僕達をあの世界から消し、こちらの世界へと移した。 いわいる来世ってやつですか? 団員を想う涼宮さんのお詫びの印ですよ わざわざ高いものを買ってあげたのは。 「……」 そうか……。 だからハルヒはSOS団を拒んだのか。 俺達を巻き込ませたくなかった……。 126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 22:09:25.98 ID:dczNust00 「……」 「そんな事ないさ……」 俺はあの日、誕生パーティーを開いてもらったあの日。 SOS団のメンバーでよかった……って心から思った。 すごく温かい気持ちになったよ。 仲間の大切さを再認識した。 「……」 なのにあのバカは……。 勝手な思いこみは困るね。 こっちは別に迷惑なんかじゃなかった。 むしろ楽しかったんだ……。 「……」 「どうすればいい、古泉……」 「……」 重たい空気が部屋を包む。 団長席のない部屋で……。 こんなのSOS団じゃない。 129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 22:17:00.40 ID:dczNust00 ―――――――― 「ただいま」 「おかえり〜」ドタドタ 「……」 「どうしたの? キョン君……暗いね」 妹が心配そうに俺の顔をのぞきこむ。 頼むから一人にさせてくれ。 バタン 「はぁ……」 力なくベットに寝転がる。 ハルヒが俺を避けていた理由がわかった時、胸が痛かった。 勝手な勘違いをされるほうが迷惑だ。 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 22:21:54.18 ID:dczNust00 「キョン君〜!」ドタドタ 頼むから静かにしてくれよ。 そんな気分じゃないんだ。 ガチャ 「キョン君はなんのお願い事する〜?」 「は?」 「明日は七夕だよ? はやくしないと間にあわないよ?」 明日は七夕か。 ハルヒはどうしたるんだろうか。 一人で宇宙人対面計画を立てているのだろうか……。 まてよ。 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 22:26:38.20 ID:dczNust00 ―――――――― 答えを聞かせてくれ。 明日俺はなにをすべきなのか。 すべてはこのipodが知っている。 俺が考えている行動が正しいのか、否か。 「……」 ビデオに一件記録されている。 こりゃありがたい。 明日、俺の運命を知っているのはこのビデオだ。 さあ…… 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 22:28:17.84 ID:dczNust00 ポチッ 俺はビデオを再生した。 ―――――――― 135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 22:34:49.15 ID:dczNust00 ―――――――― 翌日 午後8:00 「な〜にやってんだよ」 「……」ビクッ 校庭に大規模な落書きをしている女子に話かけた。 「ま、またあんた?」 「俺で悪かったな」 ハルヒは俺を無視し、白線で地上絵を描き続ける。 「……」 「なにやってんだ?」 「あんたには関係ないわ」 「織姫と彦星宛てにメッセージか?」 「えっ……」ピタッ 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 22:42:22.39 ID:dczNust00 「なんであんた知ってんの……?」 ハルヒのキョトンとした顔がまた面白い。 「昔、そういう奴と友人だったんだ」 「そいつはホントお騒がせな奴でな」 「まったく大変な子だったよ」 ハルヒは完全に立ち止まり、こちらの話に聞き入っている。 「でも悪くなかった」 「そいつと過ごせて良かったよ」 「……」 俺はハルヒの持っている道具を横領した。 「ちょ……あんたなにすんのっ!」 「代わってやるよ」 「……」 「あそ、じゃあお願い」 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 22:46:18.22 ID:dczNust00 ―――――――― 「違う! そこを右っ!」 校庭に響く声がまた懐かしい。 これじゃあの時と一緒だな。 ハルヒと俺が初めて出会った時となんら変わらない。 「そこ引き直しよっ! あとそこも!」 「はいはい……」 「返事は一回!」 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 22:49:55.28 ID:dczNust00 ―――――――― 「ふーっ……」 「んん、まあいいわ。 上出来よ」 褒められちまった。 俺はハルヒの隣に座った。 「ほれっ」 「え?」 缶ジュースを差し出すが受け取ろうとしない。 「ほら、どうした」 「……」 「あ、ありがとう……」 「どうも」キャコッ 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 23:15:55.02 ID:dczNust00 「……」 「なんだ? 飲まないのか?」 「……」 あ、さてはこいつ……。 「開かないのか?」 「なっ……! ち、違うわよっ!」 どうやら図星だな。 プルタブが石灰で滑るのか。 「ったく、貸せ」パシッ 「あっ……」 キャコッ 「ほらよ」 開けてやった缶をハルヒに差し出すと同時に乱暴に奪われる。 「あ、開けてもらわなくても開けれたわ! 余計なお世話よっ!!」 「はは、悪かったな」ズズ 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 23:21:38.81 ID:dczNust00 ―――――――― 「……」 頼りないライトがグランドを照らし、地上絵を光らせる。 風の音ってのもいいな、静かな時間がゆっくりと過ぎていく。 「あんた……」 「ん?」 「なんで私に構うのよ……」 なんで構うのよ……か。 いつの間にか俺が構ってちゃんになってるんだがな。 「……」 「俺もよくわからん」 「はい?」 「俺もわからん……が」 これだけは言える。 言わせてくれ。 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 23:24:02.76 ID:dczNust00 「お前みたいな奴が好きなんだろうな」ズズ 「え――――――――」 ハルヒがどんな顔していたか知らん。 でも伝わったんだろうな、だろ? ipodさんよ。 151 名前:>>146 こりゃあいい[] 投稿日:2010/03/27(土) 23:28:24.79 ID:dczNust00 ―――――――― 「すまん、おくr」 「遅い!! もう何分遅刻だと思ってんの!」 ファミレスで怒鳴るな……。 頼むから。 「まぁ、彼もそのつもりはなかったでしょうし」 「……」 「古泉君が言うんならしかたないわ、許したげる」 「さ、今日は不思議探索よ! 班分けするから」 無事SOS団始動。 一段落ついたと思いきやこれだよ……。 154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 23:34:39.24 ID:dczNust00 ―――――――― そしてさっそく例の事態。 閉鎖空間だとよ……。 不満を抱けばすぐこれか。 ま、これを望んでいたわけだがな。 ipodはいつの間にか消失していた。 あれがなんであったか、もうその件にゃ用はない。 今がよければ全て良しだろ? 156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/27(土) 23:39:35.27 ID:dczNust00 ただお礼は伝えておくよ。 あのビデオがなければ今はない。 あれはハルヒ自身なんだろうな。 あの記録はイコールハルヒの願望なんだから。 ん、待てよ? じゃあこの状況も願望通り? 「……」 「な、なに見てんのよ、ほら探しなさい」 「……」 お前にはお手上げだ―――――――― ○おわり○ 159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/03/27(土) 23:42:11.22 ID:dczNust00 稚拙な文章に耐えてくださった皆さん 本当にありがとうございます たくさんの支援のおかげで頑張れました。 今後台本形式で書くことにしようw