長門「あなたの言う通りにする」 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:06:44.23 ID:HyWt/idn0 いつの頃からだっただろうか。  こんなことになるなんて昔のおれは思いもしなかっただろう。  しかし、今更になって後悔してももう遅い。  いや、俺には切り札があるじゃないか。  キョン「なぁ長門」  長門「何?」  キョン「少し前…、そうだな一週間くらい前に時間を戻してくれないか?」  長門「どうして?」  キョン「どうしてってお前…。わかった。改めてだが簡単に説明しよう」 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:07:29.54 ID:HyWt/idn0 少し前…。具体的に言うなら一週間ほど前だ。  俺たちはいつもの様に町内探索に無駄な時間を費やしているところだった。  ハルヒ「キョン!! これはあくまで不思議を探すのが目的なんだからね! 二人に変なことしたら殺すわよっ!」  キョン「へいへい、なにも起こりはしねぇよ」  古泉「そうですよ涼宮さん。彼は何もしないですよ」  ハルヒ「まぁいいわ、それじゃあまた連絡するから、それまで不思議探索に勤しんでちょうだい!」  キョン「了解。それじゃあ行きますか、朝比奈さん。長門」  朝比奈「そうですね」  長門「わかった」  今日は運がいい。なんせ美少女二人とデーt…、いやいや不思議探索ができるのだから。  俺たちはハルヒと古泉が向かった方向とは逆にあるデパートへ向かった。  それは朝比奈さんから要望があったからだ。 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:08:27.75 ID:HyWt/idn0  朝比奈「ちょうどお茶が切れてて……。 何かいい銘柄があったら教えてくださいね」  キョン「えぇ……。俺も探しますよ」  お茶の銘柄なんて全くわからない。そして興味がない。  朝比奈さんはお茶選びに夢中だ。長門は……。  あれ?長門がいない。いつもなら横にいてくれてるのに。  キョン「朝比奈さん、長門何処か知りませんか?」  朝比奈「え? 長門さんですか……? さっきまでそこにいたと……」  キョン「ちょっと俺探してきます!!」  慌てて駆け出す俺。長門が勝手にいなくなるなんて心配にならないはずがない。  デパートのこの階までは一緒に来ていた。となると、というわけでもないが、おそらくこの階にいるだろう。  いなくてもこの階から探すほかない。そして案内図を見る。  するとそこには[本屋]の文字があった。そこしかない。  俺は逆方向に駆け出していたことにも気が付き、慌てて本屋へと向かった。 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:09:25.53 ID:HyWt/idn0  そこには本の前で立ち尽くす長門の姿があった。  キョン「長門!! 何をしてるんだ?」  長門「……」  キョン「まぁ何もなくてよかった。でも一言くらいあっても……」  長門「これ」  そう言って差し出してきたのは長門の目の前にあった本だった。  キョン「なんだこれ? [恋人を作る百の方法] だって?」  長門「そう」  キョン「どうしてまたこんな本を俺に渡すんだ?」  長門「読んで」  キョン「読んでって……ビニールされちまってるしな」  長門「……」  キョン「わかったわかった。読めばいいんだろ?」  仕方なく買い、とりあえず朝比奈さんのところへ戻る。 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:10:27.54 ID:HyWt/idn0 朝比奈「キョンくんに長門さん……、どこに行ってたんですか?」  キョン「ちょっと本屋にね……」  朝比奈「何もなくてよかったです。えっとそれは……?」  俺の持っている本を指さす。  キョン「これですか?なんか長門に読んでって言われちゃいまして」  朝比奈「へぇ〜、長門さんが……。意外ですね」  キョン「そうですね。やはり宇宙人もそういう感情があるんでしょうか?」  朝比奈「私にはわかりません。本人に聞いてみたらどうですか?」  キョン「いえ、それは遠慮しておきますよ」  朝比奈「それにキョンくんがこういう本を読んでみようって思うのも意外です」  キョン「へっ?」  朝比奈「ううん、何でもないです」  小悪魔っぽく笑う朝比奈さん。正直たまりません。 そしてその後、メンバー全員の口に合うようなお茶を三人で途方もなく探したのであった。 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:13:00.34 ID:HyWt/idn0 不意に携帯電話が鳴る。  それは勿論ハルヒからだった。  ハルヒ「今すぐ喫茶店に集合!! いいわね!?」  キョン「わかったよ、今から向かう」  朝比奈「涼宮さんからですよね……?」  キョン「はい、お茶、いいもの見つかりましたか?」  朝比奈「はい、大体の目星はつけたので買ってきますね」  そう言ってレジへと駆け出す朝比奈さん。  長門「ねぇ」  キョン「どうした?」  長門「その本……涼宮ハルヒに見せるべき」  キョン「こいつをか? いったい何で?」  長門「…………」  キョン「わかったよ、見せるよ」  長門はなぜこんなことを言ったのだろう。 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:14:47.17 ID:HyWt/idn0 そんなことを考えていると、  朝比奈「お待たせしてしまってすいませ〜ん」  キョン「いえ、では行きましょうか」  朝比奈「はい」  長門「わかった」  俺たちは今朝も集まった喫茶店へと再び向かった。 ___________________________________ 何か要望等ありましたらぜひお願いします。  内容はいじるつもりないですが行間多いとかあったらお願いします 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:18:59.84 ID:HyWt/idn0 喫茶店につく。だがまだ二人の姿はない。  先に席に座りコーヒーを注文する。  長門と朝比奈さんはカフェラテを頼む。  いつになく平和な時間が流れている中、長門が口を開く。  長門「読んで」  キョン「これか? あぁ……わかったよ」  なぜそこまで長門が俺にこの本を読ませたいのかがわからない。  おれはビニールを破り適当にパラパラと本をめくってみる。  キョン「何々。[第十五条、好きな人の頼みは絶対に聞くこと]、[第十六条、好きな人には絶対敬語]だって?」  なんだこれ? まったく理解しがたい内容ばかりだ。   14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:21:37.79 ID:HyWt/idn0  キョン「なぁ、長門。率直に聞こう。なんだこれ?」  長門「……」  キョン「そうかい。まぁお前が言うんだから意味はあるんだろうよ」  長門は無言。俺は見切りをつけ、その後朝比奈さんとの談笑を楽しんだ。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:25:30.69 ID:HyWt/idn0  ある程度会話も弾み、コーヒーのお代わりがほしくなってきたころ二人がきた。  ハルヒ「なによ、あんたたち。早かったじゃない」  キョン「今すぐ来いといったのはどこのどいつだ、ったくよ……」  古泉「まぁまぁお二人とも。さあ僕らも何か頼みましょう」  ハルヒはそうね、とカフェラテを頼む。女子の間ではカフェラテがはやっているのか?  古泉はコーヒー。断言しよう。偶然であると。  そして二人の品とおれのコーヒーのお代わりが来たところでエセ会議の開始だ。 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:33:42.92 ID:HyWt/idn0  ハルヒ「キョン、何か見つかった?」  キョン「そういうお前はどうなんだ」  ハルヒ「まず私はあんなに聞いてるの!!」  古・朝『いつものように仲良しですね』  長門「……」  キョン「不思議って言うか……こんな本を見つけてきた」  ハルヒ「何々? [恋人を作る百の方法] ですって?」  ハルヒは本を俺から奪い、熱心に読みだす。興味なんてないだろうに。  ___________________________  支援ありです。たぶん期待を(悪い意味で)裏切ることになるかもですが、お付き合いください。 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:39:40.12 ID:HyWt/idn0  ハルヒは何度もうなずきく。何を白々しい。  そして俺に、いや店内全員に向けてと言っていいくらいの大声でいう。  ハルヒ「こんなくだらない本を見つけてこいって言ってるんじゃな〜〜い!!!」  古泉「涼宮さん、ちょっと声が……」  キョン「そうだぜハルヒ、確かに俺も少し思うが、そんな大声じゃなくてもいいだろっ!?」  ハルヒ「とにかく! これは没収だから!いいわね!?」  俺は長門を見る。ここで本を取られちまっていいのか?  長門は微動だにしない。これは……別にいいってことだろう。  キョン「どうせだめだっていっても持ってくんだろ?」  ハルヒ「わかってるじゃない! それじゃあ没収〜」  嬉しそうにその本をかばんにしまう。  その後くじ引きの結果何ともむさくるしいチームになってしまった。   19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:44:47.38 ID:HyWt/idn0  俺たちが支払いを済ませ(とはいってもほとんど俺)外に出る。  ハルヒ「キョン! 古泉君に変なことしたら……普通にひくわ」  キョン「お前は馬鹿か!! こいつは男じゃないか!! そんなことありあるか〜!!」  ハルヒ「もしかしたらよ。とにかく何か見つけてきなさいよ!! 古泉君、気をつけてね」  古泉「えぇ、彼に襲われたら真っ先にご連絡を」  キョン「逆ならあるかもしれないがな」  そして俺たちは適当に街に繰り出す。特にやることもないのでゲーセンで時間を潰す。 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 09:57:05.97 ID:HyWt/idn0  二人でゾンビシューティングをやっていると古泉が不意に口を開く。  古泉「あなたはなぜあんな本を涼宮さんに渡したのですか?いや、見せただけですけど」  キョン「あれは長門がだな……」  古泉「そうなんですか。そうですよね、あなたがあんな本を読むはずがない」  キョン「ひどい言われようだな。まぁ確かに興味はあまりない」  古泉「そうであってほしいものです。我々としてはある人に興味を持ってほしいのですがね」  キョン「そーかい。お、おいっ!そこ!!」  その後俺たちはボスゾンビに千円ほどを費やし、結局敗れた。  そして狙い澄ましたかのように電話がきて喫茶店前に集合になった。 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 10:04:03.72 ID:HyWt/idn0  そこには既にハルヒたちが待っていた。  ハルヒ「その様子じゃなにも見つけられなかったようね」  キョン「いや、ゾンビがここまで強いということは判明したな」  古泉「そうですね、あそこであの数は流石に……」  ハルヒ「あんたたち遊んでたんじゃない!!」  キョン「そういうお前もその荷物は何だ?」  ハルヒ「これは秘密よ。女の子の荷物を見ようなんて最低よ!!」  朝比奈「ただの洋服ですよ。ちょっと買いすぎちゃいましたけど……」  キョン「まぁお互いさまってことだな」  そんなこんなでこの日は解散。各自自宅へと帰宅した。 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 10:16:22.48 ID:HyWt/idn0  家に帰ったあとは何事もなく過ごした。  強いて言うのであれば妹がシャミセンで遊ぶのを止めたくらいだ。  そして次の日。ここからだな。  いつものように登校をする。既にハルヒが席に着いていた。  ん? 何かいつもと違う気がする。髪型とかはそんなに変わっていないのだが。  何だろう。すごく違和感を感じる。とりあえず話しかけてみるか。  キョン「よぉ、ハルヒ。早いじゃないか」  すごくもじもじしながら答えるハルヒ。なんだ、これ?  ハルヒ「お、おはようございます。キョンさん」  今何と言った?『おはようございます、キョンさん』だって?  こいつが俺にいや、人にこんな言葉遣いをするはずがない。  少なからず俺は動揺していた。  キョン「お、おい。どうしたんだ?」  ハルヒ「いえ、なんでもありませんよ。あっ、先生がきたみたいですよ」  なんとか、岡部の登場によりこの場はやり過ごしたが。  どうしてだ。とりあえず聞いてみるしかないな。 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 10:28:56.53 ID:HyWt/idn0  一時間目を終えるとすぐさま教室を飛び出した。  とはいっても一時間目何もなかったというわけではない。  執拗にノートや教科書を見せたがるハルヒを無視するのに一苦労。  おまけにそのおれの態度が問題なのかぐずりだすハルヒを見て教師が騒ぎ出す。  それに便乗して騒ぎ出すバカな男子共。  谷口は「このバカップル〜!!」と叫びだした。これは後で閉めておく必要があるな。  そんな逆境を救い出してくれたチャイムの音に感謝しながら、まず古泉に会いに行く。   29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 10:34:35.87 ID:HyWt/idn0  キョン「古泉」  古泉「やぁどうも。これはどうかしましたか?そんな形相で」  キョン「どうしたもこうしたもないぜ。ハルヒがおかしくなっちまったんだ」  古泉「おかしくといいますと……?」  キョン「いきなり敬語を使いだしたり、やさしいというかお節介になっちまって……」  古泉「そうですね……。こちらとしては特にお伝えできそうなことはないんですが……」  キョン「何か起きたとかはないっていうのか?」  古泉「そう、なりますね……」  キョン「そうか……。わかった、長門に会ってみるよ」  古泉「お役に立てなくてすみません」  そう言って俺は古泉と別れ、残り少ない休み時間を使い長門のいるクラスへと駆け出した。 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 10:45:14.19 ID:HyWt/idn0  やっとの思いで長門のクラスにつく。  同じクラスのやつに長門を呼ぶように頼む。  若干騒ぎ立てているのは気になるが今はそんな場合じゃない。  廊下で一人待っていると中から長門が来てくれた。  流石に常に部室ってわけでもないんだな。  長門「何?」  キョン「ハルヒが変になっちまったんだ」  長門「そう」  キョン「そう、ってお前……。どうしてかわかるか?」  長門「今回のことに彼女の力が使われた形跡はない。つまり自分でその変化を作ったということ」  キョン「ということはあれはいつものハルヒが今のハルヒを演じているという形になるのか?」  長門「……」  キョン「そうか、ありがとう。それならなんとかなるかもしれない」  長門「そう」  俺は休み時間終了まで後一分というハードな状況に追い込まれていたが猛ダッシュで我がクラスへと戻ることにした。 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 10:51:58.55 ID:HyWt/idn0  俺は今まで生きてきた中で最も早い走りをしたのだがその甲斐もなくチャイムはなる。  そして遅れて教室に入った俺は教師の注意を受けることとなった。  しかも恨むべきことにその教師は遅刻などにうるさい教師だったため、約五分ほど経ったままで怒られた。  全ての体力を殺がれた俺は足を引きずりながら自分の席へと向かい、席に着く。  俺が机に伏せていると後ろからつつかれる。  キョン「なんだ?」  ハルヒ「大丈夫ですか? よかったらこれ」  そう言って差し出してきたのは飴玉だった。  ハルヒ「甘いものは疲れに効くって言いますし」  キョン「ありがとな。でもばれたら怒られるからほどほどにな」  ハルヒ「はい!!」  俺は一応受け取る。 その際に見せたハルヒの笑顔は演技だと思えないくらい自然で、今までに見せたことのない類の顔だった。 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 10:56:50.05 ID:HyWt/idn0  その後はある程度慣れ、それなりに過ごした。  ハルヒの笑顔は可愛いし、気遣いがきくので正直申し分なかったのだが……。  やはり何か違和感を感じる。俺はいつものハルヒがいいのかもしれない。  いや、何かが変わるのが怖かったのかもしれない。  俺は考える。どっちがいいんだ。  いつも俺はハルヒの横暴な態度に嫌気がさしていた。  でも、実際変わってみると元のハルヒが恋しい、いや今のハルヒを受け入れることができていない。  そして放課後。 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 11:03:05.31 ID:HyWt/idn0  いつものように俺は部室に行く。  そこにはまだハルヒの姿はなかった。  そういえば今日はあいつが掃除当番だったな。いつもならおれに押し付けるのだが。  朝比奈「あ、キョンくん。今お茶入れますね」  キョン「ありがとうございます」  古泉「どうも。そういえば涼宮さんの件はどうなりました」  キョン「あぁ、原因もわかったしたぶんなんとかなるだろうよ」  古泉「そうですか。よかったです」  長門「…………」  キョン「ハルヒは掃除当番だ、どうだ古泉、一局」  古泉「いいですね。今日こそは負けませんよ」  俺と古泉はオセロを、長門は読書。朝比奈さんはお茶の研究だろうか?  各々好きなことをやって時間を過ごす。 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 11:07:26.88 ID:HyWt/idn0  そしてある程度たってから扉が開く。  そこにはやはりもじもじしたハルヒがいた。  ハルヒ「皆さん集まっていますか?」  古泉「!! ぇ、えぇ集まっていますよ」  朝比奈「い、今お茶入れますね……」  長門「……」  キョン「珍しく掃除当番やってきたんだな」  ハルヒ「はい、今までやらなかった分も今日は精いっぱいやってきましたっ!」  キョン「それはいいことだな」  ハルヒ「ありがとうございますっ!!」  そう口では言うものの、やはり何とも言えない……いやはっきり言うと嫌だ。  だんだんとその気持ちは積もっていくばかりだ。 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 11:11:58.59 ID:HyWt/idn0  そしてこれまた申し訳なさそうに部屋に入り団長専用椅子に立つ…いや座る。  ハルヒ「今日は特にやるべきことはないので、皆さん好きに過ごしてください」  キョン「いい判断をするじゃないか」  ハルヒ「えぇ、いつも皆さんに迷惑をかけてばかりでしたので……」  古泉「いえ、迷惑だなんて」  朝比奈「そうですよ。ね、長門さん?」  長門「……そう」 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 11:19:29.51 ID:HyWt/idn0  その後各自やっていたことを続ける。  平和すぎて嫌になる。……本当に終わりにしたい。  キョン「なぁもう終わりにしないか?」  ハルヒ「えっ!?あぁはい。わかりました。では解散にしましょうか」  古泉「わかりました。ではみなさん」  朝比奈「それじゃあ着替えるから…」  キョン「わかりました」  先に部屋に出る。そしてすかさずメールをハルヒ以外に送る。  『ハルヒが帰った後もう一度部室に集合お願いします』 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 11:25:29.79 ID:HyWt/idn0  ハルヒをうまくやりすごし、再び部室に戻る。  キョン「すみませんね、戻ってきてもらってしまって」  古泉「別にかまいませんよ」  キョン「お前には言っとらん」  朝比奈「いえ、で。なんでまた集合なんですか?」  キョン「それは……」  古泉「それは勿論涼宮さん絡みですよね?」 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 11:31:32.21 ID:HyWt/idn0  キョン「あぁ。このままでいいと思うか?」  古泉「僕は別に問題ないかと。このままの涼宮さんなら閉鎖空間も起きなさそうなのでね」  朝比奈「それよりも原因は何なんですかぁ〜?」  キョン「それはおそらく昨日の本でしょう」  古泉「[恋人を作る百の方法]でしたか?」  キョン「あぁ。少ししか見ていないのだが今のあいつはその内容を演じているんだ」  古泉「演じる……?」  キョン「あぁ、演じているんだ。おそらく俺たち、特に俺だが驚かせようとしているんだ」   44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 11:35:44.94 ID:HyWt/idn0  古泉「驚かせる、ですか」  キョン「ああそうだ。なぁ、長門?」  長門「……」  キョン「とにかくだ、このままではあいつの思うつぼだ」  古泉「なにをあらそっているんですか」  キョン「明日俺がガツンと一言いってやる。それにこれはあいつを救う意味でもあるんだぜ?」   46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 11:43:10.01 ID:HyWt/idn0  古泉「助ける、ですか……。どういう意味ですか?」  キョン「あぁ、このままじゃ引っ込みがつかないかもしれないだろ?だからこっちがきつめの一言を言えばいやでもやめざるを得ないだろう」  古泉「確かに一理あるとは思いますが……」  キョン「とにかく、明日ガツンというからな。今日はそれを伝えといた方がいいと思ってな」  古泉「まぁあなたにお任せしますよ」  キョン「あぁ、まかせてくれ」  そしてその日はそれで帰る。  今日は疲れた。それに腹がへった。  俺は飯を食って風呂に入り、すぐさまマイマイベッドへと飛び込んだ。 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 11:52:04.73 ID:HyWt/idn0  そして運命の次の日。  妹「キョンく〜ん!! あ〜さ〜だ〜よぉ〜!!」  キョン「ぐふ!! 俺、の、上で、飛び跳ねる、なっ!!」  朝からやってくれるぜ。おかげで体が痛すぎる。  俺はその満身創痍の体を引きずり学校へと向かう。  やはりハルヒは先に来ていた。俺は無言のまま自分の席に着く。  ハルヒ「おはようございます!」  キョン「あぁ、おはよう」  ハルヒ「……」  キョン「……」  ハルヒ「あっあの……」  岡部「それじゃあ朝のホームルームを始めるぞぉ〜」  ハルヒ「……」  その後俺はハルヒと口をきくこともなく放課後を迎えた。 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 11:56:58.17 ID:HyWt/idn0  俺は一足早く部室へ行く。今日はおれの掃除当番だがそんな場合じゃない。  しかしそこには既に全員がそろっていた。  キョン「もう揃っていたのか。早く着たつもりだったのだがな……。  古泉「それは残念でしたね」  朝比奈「今、お茶入れますね」  ハルヒ「キョンくん、今日掃除当番じゃないの?それにしては早いですね」  キョン「あぁ面倒だからさぼった」  ハルヒ「だめじゃないですか! しっかりやらないと……―」  キョン「なぁハルヒ」  ハルヒ「なんですか?」  キョン「はっきり言おう。今のおまえは不気味だ」 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:03:31.58 ID:HyWt/idn0  ハルヒ「っ!!!!」  古泉「ちょっと! それは言い過ぎではないですか!?」  朝比奈「そうですよ!」  長門「…………」  ハルヒ「ったわよ……」  キョン「ん?」  ハルヒ「わかったわよ! この!! 馬鹿キョン!!!」   51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:05:55.69 ID:HyWt/idn0  そういうとハルヒは部屋を飛び出して行った。  そして残った全員が俺の方を凝視する。  古泉「あなたを見損ないましたよ」  朝比奈「そうですよ。たとえあれがいたずらだったとしてもそれはいい過ぎです!!」  俺は無言のままうつむく。  長門「…………」  古泉「今日は解散にしましょう。こんな状況なのでね」  朝比奈「そうですね。着替えるから先に帰ってて」  俺は追い出される形で部屋を出る。  くそっ!俺は間違っていたのか? 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:10:28.27 ID:HyWt/idn0  俺は家で悩む。  何か間違ったことを言ったのか?  ……もう寝よう。  その日はいやな夢を見た。  ハルヒがビルから飛び降りるのを見る夢だ。  俺はその悪夢で飛び起きる。  時刻は午前四時。少し早いが準備でもしよう。  もう眠る気にはなれない。 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:15:58.85 ID:HyWt/idn0  その日学校にはハルヒは来なかった。  そしてその日はおれも部活に行かなかった。  みんなに合わせる顔がないってのが本音かもしれない。  その日俺はどこにも寄らずに家に帰る。  しかし、次の日もその次の日もハルヒは学校に来なかった。  国木田「ねぇキョン。涼宮さんなにかあったの?最近学校こないみたいだし……」  キョン「さぁな……」  原因は知っている。何をしらばっくれているんだ俺。  しかしいう気にはなれない。  国木田「そっか〜、一回くらいお見舞いにでも行ってあげたら?」  キョン「気が向いたらな」  俺に行く資格なんてないのだろう。  その日も俺はそのまま帰る。 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:25:01.89 ID:HyWt/idn0  そして次の日。まさかの光景が広がる。  ハルヒが学校に来ていたのだ。  しかしおれの方を全く見ようとしない。当り前か。  おれも無言のまま席に着く。  すごく気まずい空気が流れている。  俺は口を開くことができぬまま放課後を迎える。  今日は部室によってみるか。そう思い部屋をノックする。  「はぁ〜い」  相変わらずの朝比奈さんの返事が来る。  そして俺はドアを開ける。  朝比奈「キョンくん……!!今まで心配してました!!」  目を潤ませながら俺に駆け寄ってくる朝比奈さん。  俺は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。   56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:28:06.61 ID:HyWt/idn0  古泉「やっと来てくれましたか。心配していましたよ」  キョン「そうかい」  長門「……」  キョン「それより……ハルヒは?」  古泉「ここ最近来ていませんね。あなたは同じクラスでは……?」  キョン「だから聞いてるんだ。そうか。来ていないか……」  その日は朝比奈さんが入れてくれたお茶を飲んで帰る。 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:33:07.33 ID:HyWt/idn0  そして休日。  だが当たり前のように不思議探検の知らせは来なかった。  そして俺は家から一歩も出ないまま休みという貴重な時間を浪費した。   58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:36:32.76 ID:HyWt/idn0  …  ……  ……………  キョン「というわけだ。だから時間を戻してやり直させてほしい」  長門「どうするつもり?」  キョン「一応策は練ってあるさ。長門」  長門「何?」  キョン「今の状況をお前のせいだ、とは言わないが協力してもらえるとは思っている」  長門「…………」  キョン「頼むよ長門」  長門「わかった、あなたの言う通りにする」  そして世界は一週間前へと時間を戻す。 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:43:59.77 ID:HyWt/idn0  キョン「くっ。あぁ……」  目を覚まし、携帯で時間と日付を確認する。  一週間前。あの事件が起きた日だ。  時刻は集合二時間前。まだ余裕だな。  準備万端の俺はいつもより早く家を出る。  ハルヒ「遅い!! 罰金!!」  キョン「へ?」  思わず間抜けな声を上げる。だって今は集合一時間前だ。  それなのに全員が全員そろっている。……もう今度から早く行こうなんて思わない。  そして前と同じメンバーになり、前と同じハルヒの注意を受け、前と同じ行き先であるデパートへ繰り出す。   60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:48:15.24 ID:HyWt/idn0 朝比奈「ちょうどお茶が切れてて……。 何かいい銘柄があったら教えてくださいね」  キョン「えぇ……。俺も探しますよ」  結局買う銘柄はいつものなのだが……。  朝比奈さんはお茶選びに夢中だ。長門は……。  あれ?また長門がいない。……あいつの記憶も消えているのか?  キョン「朝比奈さん、長門何処か知りませんか?」  朝比奈「え? 長門さんですか……? さっきまでそこにいたと……」  キョン「くっ、ここは変わらないのかよ!ちょっと俺探してきます!!」  前と変わらないということは本屋しかない  俺は迷うことなく本屋へと向かう。   61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:53:41.27 ID:HyWt/idn0  やはりそこには本の前で立ち尽くす長門の姿があった。  キョン「長門!! 何をしてるんだ?」  長門「……」  キョン「まぁ何もなくてよかった。でも一言くらいあっても……」  長門「これ」  そう言って差し出してきたのは長門の目の前にあった本だった。  キョン「これを読めばいいんだろ?」  長門「そう」  キョン「わかったよ」  長門「そう」  その本を買い、とりあえず朝比奈さんのところへ戻る。  そしてやや心配してくださっている朝比奈さんに詫びを入れていつものお茶を買う。   62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:55:40.31 ID:HyWt/idn0 そして電話が鳴る。わかってたさ。  ハルヒ「喫茶店に……―」  キョン「今すぐ集合だろ?わかったよ」  ハルヒ「わかってるならいいわ。早く来てよね!」  俺たちは喫茶店に向かう。どうせ俺たちが先につくのに。 喫茶店につく。だがまだ二人の姿はない。  先に席に座りコーヒーを注文する。  長門と朝比奈さんはカフェラテを頼む。  いつになく平和な時間が流れている中、長門が口を開く。  長門「読んで」  キョン「わかったよ」  しかし結局なぜそこまで長門が俺にこの本を読ませたいのかがわからない。  おれはビニールを破り適当にパラパラと本をめくってみる。  キョン「何々。[第十五条、好きな人の頼みは絶対に聞くこと]、[第十六条、好きな人には絶対敬語]だって?」  相も変わらず理解できない内容だった。全くわけがわからん 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 12:59:06.57 ID:HyWt/idn0  会話内容を知っているっていうのもあり、会話も弾み、コーヒーのお代わりがほしくなってきたころ悪びれる様子もなく二人がきた。  ハルヒ「なによ、あんたたち。早かったじゃない」  キョン「今すぐ来いといったのはどこのどいつだ、ったくよ……」  古泉「まぁまぁお二人とも。さあ僕らも何か頼みましょう」  ハルヒはそうね、とやはりカフェラテを頼む。女子の間ではカフェラテがはやっているのか?  古泉はカプチーノ。あれ?前はコーヒーじゃなかったか?  そして二人の品とおれのコーヒーのお代わりが来たところである意味重大会議の開始だ。 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:08:17.40 ID:HyWt/idn0  長門が俺の耳元でささやく。  長門「その本を見せるべき」  タイミングは違うが予想通りだ。  キョン「わかったよ」  ハルヒ「何か不思議は見つかった?」  キョン「不思議はなかったがこんな本があるんだ」  ハルヒ「何々? [恋人を作る百の方法] ですって?」  ハルヒは本を俺から奪い、熱心に読みだす。  ここからが勝負だな。  そして俺に、いや店内全員に向けてと言っていいくらいの大声でいう。  しかしおれは動じない。   65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:09:07.27 ID:HyWt/idn0 ハルヒ「こんなくだらない本を見せるんじゃ……―」  キョン「だろ?妹がその本をもっていたんだ」  ハルヒ・長門「えっ?」  キョン「もうそんな年ごろなのかと思ってな。それで女性陣に意見を聞こうと思ってだな」  ハルヒ「そうなの……妹ちゃんが。わかったわ!このあとはアドバイスに時間をかけましょう!」  キョン「助かるよ」  ハルヒ「でも、私たちがアドバイスするんだからしっかり役立てなさいよ!!」  キョン「へいへい」 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:15:59.23 ID:HyWt/idn0  その後興味のない女性の恋愛観を延々と語り続けるハルヒ。  それを嫌そうに聞いているであろう俺といやな顔一つせず聞いている古泉。  そして一番意外だったのが長門の驚く顔だった。  長門「どうして?」  俺にそっと耳打ちをする。そんなの分かっているじゃないか。  キョン「いや、これは規定事項なんだよ。だから少し嘘をついた。すまんな」  長門「いい」  キョン「ありがとな、長門」  長門「いい」  キョン「お礼というわけではないが今度どこか出かけないか?例えば……そうだな図書館でも」  長門「…………」          あなたの言う通りにする                                fin 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/12(金) 13:21:20.30 ID:HyWt/idn0 読んでくれていた人がいるかわかりませんが、読んでくれた人ありがとう。  そして支援してくれた人、かきこしてくれた人、このページを開いてくれた人もありがとう!  初作品でぐだぐだ過ぎで済まんかった……。というかこれがvipデビュー(?)でしたw  まぁとにかく読んでくれてありがとう!!!!